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猛暑に負けない花壇!「第3回 東京パークガーデンアワード 砧公園」の『サステナブル審査』を迎えた、5人の庭と審査の様子をご紹介

猛暑に負けない花壇!「第3回 東京パークガーデンアワード 砧公園」の『サステナブル審査』を迎えた、5人の庭と審査の様子をご紹介

強い日差しが照りつける日もあれば、強い雨が打ちつける日もあり、梅雨らしい期間が短いまま夏本番に突入した7月。昨年以上に温暖化による異常気象を実感するなか、東京・世田谷にある都立砧公園では現在「第3回東京パークガーデンアワード」の5つのコンテストガーデンが一般公開されています。7月中旬に行われたガーデンの耐久性などを見る『サステナブル審査』とガーデンの様子をご紹介します。

年3回審査を行うガーデンコンテスト「東京パークガーデンアワード」

“グランプリ”、“準グランプリ”、“審査員特別賞”と、最終的な結果が決まるまでに4・7・11月の3回に渡り審査が行われますが、ガーデンの施工から8カ月ほどが経過した今回、2回目となる『サステナブル審査』が行われました(梅雨を経て猛暑に向けた植栽と耐久性を審査します)。
審査期間:2025年7月10日~16日。

審査員は以下の5名。福岡孝則(東京農業大学地域環境科学部 教授)、正木覚(環境デザイナー・まちなか緑化士養成講座 講師)、吉谷桂子(ガーデンデザイナー)、本木一彦(東京都建設局公園緑地部⻑)、植村敦子(公益財団法人東京都公園協会 常務理事)

【コンテスト審査基準】
丈夫で長生きする宿根草・球根植物(=多年草)を中心に季節ごとの植え替えをせず、季節の花が順繰りに咲かせられること/公園の景観と調和していること/公園利用者の関心が得られる工夫があること/公園利用者が心地よく感じられること/植物が会場の環境に適応していること/造園技術が高いこと/四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること/「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること/メンテナンスがしやすいこと/テーマに即しており、デザイナー独自の提案ができていること/総合評価
※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。

今回の評価のポイントは主にガーデンの耐久性で、「梅雨を経て、猛暑に向けた植栽がなされ、秋まで庭が維持されるような持続性が考えられているか」。しかし、単に猛暑に耐える庭であることだけが重要ではなく、「植物個々の特性・魅力がしっかり見せられているか」、「葉や花の組み合わせがデザイン的に美しいか」、そして今回のテーマ、「訪れる人々の五感を刺激し、誰もが見ていて楽しいと感じる要素を取り入れた“みんなのガーデン”が表現されているか」などの項目も含めて評価されています。
※年によって気象条件が変わるため、開花の時期がずれていても評価に影響しません。
※今回行われた審査結果の公表はありません。

7月のショーアップ審査を迎えた5名のガーデンをご紹介

コンテストガーデンA
Gathering of Bouquet 〜庭の花束〜

【作品のテーマ・制作意図】

皆さんの日常に癒やしや潤いを届けたいという願いを込め、プランツ・ギャザリングの視点で、ガーデンをひとつの大きなブーケに見立ててデザインを構成しました。動物たちが次の訪問者のために心遣いを残していく絵本から着想を得て、あらゆる世代の方が見て触れて、香りなどを楽しめるように、花の形や手触りがおもしろいものを用いた植栽計画をしています。ぜひ手に取って、お気に入りの植物を見つけてください。たくさんの感動や気づきが新たな会話を生み、笑顔になるシーンが増えますように。

【7月中旬(審査当日)の様子】

審査時の見どころ マツやケヤキなどが作る日陰などの外的要因によく合わせられた植栽。美しくまとめられた配植のバランスは絵画的。春に引き続き、絶妙な足し算と引き算でまとめられたガーデンからは高い技術力が伺える。

開花期を迎えていた植物 ユーパトリウム‘ベビージョー’、ルドベキア ‘フラメンコ・ブライトオレンジ’、ルドベキア ‘フラメンコ・バニラ’、アガパンサス‘エバーホワイト’、エキナセア・マグナス‘スーペリア’、アジサイ‘アナベル’、アガスターシェ‘モレロ’、ヘリオプリス ‘ブリーディングハーツ’、エキナセア ‘サンシーカーズ レインボー’ など

ンテストガーデンB
Circle of living things 〜おいでよ、みんなのにわへ〜

【作品のテーマ・制作意図】

季節によってカラーリングが変化する植物や、実をつけて味わい深い風景を作ってくれる植物に集まる多様な生き物たち。そして各所に配置したサークルネストはそんな生き物たちの拠り所に。命の循環というキーワードをもとに植物だけではなく生きとし生けるものたちの集まる「庭」をテーマにデザインしました。人間だけに限らず、あらゆる生き物たち「みんな」にとっても楽しめる「命を感じられるガーデン」は「みんなのにわ」となり、命を循環させてゆきます。

【7月中旬(審査当日)の様子】

審査時の見どころ 土壌の栄養がよいのか巨大な葉が見られるなど、整いすぎていないワイルドさが魅力。生物多様性を意識した自然に親しむことができるガーデンは、自然のエネルギーを感じさせ、見ているだけで元気が出てくる。やや日陰を好むアンジェリカ・ギガスがうまいところに植わっていて、形のおもしろさや色彩を際立たせている。

開花期を迎えていた植物 ヘリオプシス‘ブリーディングハーツ’、エキナセア‘ブラックベリートリュフ’、エキナセア・テネシーエンシス、ムスクマロー‘ホワイトパーフェクション’、ユーパトリウム‘マスク’、アンジェリカ・ギガス、バーベナ‘バンプトン’、バーベナ・ボナリエンシス など

コンテストガーデンC
Ladybugs Table 「てんとう虫たちの食卓」

【作品のテーマ・制作意図】

砧公園で暮らす「小さな住人(虫たち)」がこのガーデンを訪れて住みやすいように生態系を意識した植栽のデザインをしています。植栽は、見る場所や角度によって印象が変わるように、カマキリなどの天敵が身を潜められるような複雑さが出るよう工夫しました。植物は、てんとう虫やカマキリの食料となるアブラムシなどが好む「バンカープランツ」や蝶やミツバチたちの蜜源となる植物を植えています。「小さな住人(虫たち)」の生活をそっとのぞき見ることができる場所を目指しています。ここでの小さな体験が、自分の身近な自然環境を考えるきっかけになってもらえたら嬉しいです。

【7月中旬(審査当日)の様子】

審査時の見どころ 高低差やレイヤーで魅せる美しいバランスが印象的。開花させることだけを目的とせず、葉形や幹、茎が全体的にマッチするよう形をうまく生かした配植は、多様な表情を見せ、自然の風景を存分に楽しめる。それぞれの植物の特性に合わせた配置も機能的に考えられている。

開花期を迎えていた植物 ユーパトリウム・マスク、ユーパトリウム‘ベビージョー’、アリウム‘ミレニアム’、アリウム‘サマービューティ’、アリウム‘イザベル’、エキナセア‘メローイエロー’、カノコユリ‘ブラックビューティー’、アンジェリカ‘ビガーズミード’、ペニセタム・カシアン、モリニア‘エデュスダッチェス’、エラグロディス・スペクタビリス など

コンテストガーデンD
KINUTA “One Health” Garden

【作品のテーマ・制作意図】

ヒトの健康、生きものの健康、環境の保全を包括的な繋がりとして捉えるワンヘルス (One Health)の概念を軸に、それら3つの主体が密接に関わり合う「ワンヘルスガーデン」をつくります。土壌環境を改善し、植物や微生物を豊かに育て、鳥や虫などの地域の生きものを呼び込む。ガーデンの香りや触れ合いを通し、ヒトの健康と安らぎを生み出すガーデンをつくり、いろいろな生きものがやってくる「みんなのガーデン」を実現します。

【7月中旬(審査当日)の様子】

審査時の見どころ 土壌のバクテリアを育てるなど、実験的な取り組みがおもしろい。自然を意識した植栽は、藪の中にいるような気分にさせる。昆虫も多く見られ、“生物多様性”の目標に達成していることが伺える。時間の経過でまとまってくると感じられる絶妙なバランス。

開花期を迎えていた植物 アーティチョーク、オミナエシ、ウスベニアオイ、モナルダ(赤)、ルドベキア‘ゴールドストラム’、クナウティア・マケドニカ、アジサイ‘アナベル’、スモークツリー など

コンテストガーデンE
「みんなのガーデン」から「みんなの地球(ほし)」へ

【作品のテーマ・制作意図】

私は「みんなのガーデン」を、来園者だけでなく、花を訪れる虫、土壌菌類などの分解者、そして庭の先につながるこの生きた星「地球」の環境といった全ての「生あるもの」をつなげる庭と捉えました。温暖化する東京の気候に合った植物を差別なく組み合わせ、虫や菌たちによる循環系の形成、見るだけでなく庭づくりに参加もできる「みんなのガーデン」。「みんな」が共に助け合いながら、末長く幸せに暮らす世界、生命共存の尊さ・美しさを伝えたい。この想いが、この庭から未来へ・社会へ・地球へと広がっていけば、と考えています。

【7月中旬(審査当日)の様子】

審査時の見どころ カラフルでダイナミック、ポップでパワフル。植物の種類をたくさん入れることを恐れず、植物の可能性を追及するあくなきチャレンジ精神に拍手。つい写真を撮りたくなる見栄えのするパートがいっぱい。人を長時間滞在させる、飽きの来ないガーデンです。

開花期を迎えていた植物 カンナ‘ベンガルタイガー’、ヘレニウム‘モーハイムビューティー’、ネリウム(キョウチクトウ)‘ペティットサーモン’、エリンジウム・ユッキフォリウム、コレオプシス‘ガーネット’、アガスターシェ‘ブルーフォーチュン’、エリンジウム‘ブルーグリッター’、フロックス‘ハーレクイン’、モナルダ‘ファイアーボール’、バーベナ‘バニティ’、サルビア‘ロッキンディープパープル’、バーベナ‘バンプトン’ など

<News> オンラインイベント開催&第4回参加者募集

第3回 東京パークガーデンアワードの入賞者によるオンライン座談会イベント開催

現在、都立砧公園にて開催中の第3回コンテストガーデン入賞者5名によるオンライン座談会を2025年8月1日(金)15:30~17:00に開催します。座談会では、自身の応募書類の紹介、植物の調達から造園、メンテナンスまで、参加したからこそ分かる”ナマ”の声をお伝えします。ご視聴のお申し込み(無料)は、以下のバナーをクリック!

「第4回 東京パークガーデンアワード 夢の島公園」の参加者募集!

2022年にスタートしたガーデンコンテスト「東京パークガーデンアワード」が、代々木公園・神代植物公園・砧公園での開催を経て、2025年、夢の島公園で始まります。第4回のコンテストの舞台は、夢の島公園「グリーンパーク」内(東京都江東区)。コンテストのテーマは、「海辺のサステナブルガーデン」です。応募の締め切りは、2025年8月31日(日)18時必着。応募方法など詳細は、以下のバナーをクリック!

コンテストガーデンを見に行こう! Information

都立砧公園「みんなのひろば」前
所在地: 東京都世田谷区砧公園1-1
電話: 03-3700-0414
https://www.tokyo-park.or.jp/park/kinuta/index.html
開園時間:常時開園
※サービスセンター及び各施設は、年末年始は休業。営業時間等はサービスセンターへお問い合わせください。
入園料:無料
アクセス:東急田園都市線「用賀」から徒歩20分。または東急コーチバス(美術館行き)「美術館」下車/ 小田急線「千歳船橋」から東急バス(田園調布駅行き)「砧公園緑地入口」下車/小田急線「成城学園前駅」から東急バス(二子玉川駅行き)「区立総合運動場」下車
駐車場:有料

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