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花の庭巡りならここ! 大人の社会科見学スポット「富山県中央植物園」
研究植物園らしい植物収集数を誇り 市民に憩いの場を提供 1996年に全面オープンした「富山県中央植物園」は、研究植物園として植物の収集・展示を行うとともに、市民の憩いの場としても提供。24ヘクタール、外周2kmに及ぶ園内は、大人の足で1〜2時間の散策を楽しめます。 研究の成果を披露するという側面があるため、珍しい植物のコレクション数も多く、分類学、生態学などに基づいた展示が特徴です。植物のもともとの生育地である草原、森、海岸、水辺などの環境を再現した適材適所の植栽は、ショーガーデンとは対照的。より自然に近い自生する姿に親しむ「大人の社会科見学会」を満喫できそうですね。 園内は、「世界の植物ゾーン」「日本の植物ゾーン」に分かれています。「世界の植物ゾーン」では、温冷室が充実するほか、日本の植生と類似性のある「雲南省の植物エリア」「北米の植物エリア」があり、世界はつながっている、と実感できます。また、繊維を採って加工できるものや、香料やスパイスの材料となるものなど生活に役立つ植物も見られます。一方「日本の植物ゾーン」では、植生を再現してより自然な姿で育てながらも、春から秋まで開花リレーをつないで、いつ訪れても野趣あふれる花姿を楽しめるようにしています。 年間を通して約10万人が訪れる「富山県中央植物園」は、リピーターも多い癒しの場。「北アルプスの借景もいい」「芝生がきれい」「自然な景観ながらも、それぞれの植物が繁茂しすぎずに調和した、手入れの行き届いた管理が心地いい」といった声が届いています。季節によって企画展などさまざまなイベントも開催されているので、まめにホームページをチェックして出かけるのがオススメです。 雪に閉ざされる冬に元気をもらえる! 5棟が立ち並ぶ充実の温冷室 「世界の植物ゾーン」内には、5棟の温冷室が建っています。冬も緑の楽園「熱帯雨林植物室」「熱帯果樹室」「ラン温室」「雲南温室」の温室4棟と、冷室の「高山・絶滅危惧植物室」です。いずれも大変充実した展示となっているので、温冷室を目当てに訪れてはいかがでしょうか。月下美人を中心に夜に咲く花が多くなる季節など、年に数回は夜間開園する時期もあるので、甘い香り漂う夜の温室を堪能するのもいいですね。 写真の「熱帯雨林植物室」では、400種もの熱帯性植物を展示しています。冬に一歩足を踏み入れると、外の雪に閉ざされた景色から一変。むっと湿度のある草いきれが漂う、生命力に満ちた眺めに元気をもらえそうです。棟の高さは22mにも及び、巨竹やヤシの木が自由に枝を広げています。特に花がきれいなのは、春に咲く鮮やかなエメラルドブルーのヒスイカズラや、フォルムが美しいサガリバナ。香料として珍重されているビャクダンが生育する姿も見学できます。 「ラン温室」では、ランが好む湿潤な空調のなか、一年を通して華麗に咲く姿を楽しめます。コチョウランやシンビジューム、デンドロビュームなど、華やかな咲き姿を見せる洋ランを多数展示。ほかにも、楚々とした味わいを見せる野生系のランや、小笠原諸島で見られる亜熱帯性の植物など、コレクションは多岐にわたっています。 こちらは、中国の雲南省に生息する多様な植物を集めた「雲南温室」。写真は中国で親しまれているトウツバキの開花の様子で、2〜3月が見頃です。花径約15cmの大きな花が派手やかに咲く様子は、圧巻。侘び寂び感をまとった日本のツバキとは、また違った魅力がありますね。「雲南温室」では、ほかにもモクレンの仲間で香りが素晴らしい、キンコウボクやギンコウボクの観賞もオススメです。 植生を再現するアカデミックな展示のほか 植物園の研究成果も披露 「日本の植物ゾーン」では、日本各地の植物が見られます。春は写真のフクジュソウから始まり、カタクリ、サクラ、カキツバタ、ハナショウブへ。夏はオミナエシ、秋はフジバカマ、落葉樹の紅葉や、ドングリなど実をつけた木々の姿も観賞できます。ここでもう気づいた方がいらっしゃるかもしれませんね。この園内では華やかに改良された園芸植物ではなく、日本に古くから自生し愛でられてきた花々で開花リレーが構成されているのです。楚々とした花々の姿に、森歩きを楽しんでいるような気分を味わえますよ! 「富山県中央植物園」では、サクラのコレクションも見どころの一つです。野生では絶滅の危機にあるホシザクラや、北陸地方ならではの花弁が数百枚にも及ぶ菊咲き性品種など、その品種保有数は、なんと約120種類! サクラはこんなにも表情豊かな花木だったのかと、感嘆すること間違いありません。300mも続くソメイヨシノの花のトンネルは、開花期間中はライトアップが行われ、水面にもその花姿が映し出されて幻想的な景色を楽しめます。園内への飲食持ち込みはOKなので、花見を楽しむのもいいですね。ただし飲酒は不可、ゴミの持ち帰りは忘れずに、マナーを守りましょう。 夏は、屋外の広大な池の一角で、南米原産の巨大な水草として有名なオオオニバス(パラグアイオニバス)の群生が見られます。写真のように、直径1m近い葉が池の岸辺を埋め尽くす景色は圧巻です。ここで一つ疑問が浮かびませんか? 「熱帯植物のオオオニバスが、雪国の富山でどうやって越冬するの?」って。 それは「富山県中央植物園」が研究機関でもあることに由来します。一年草のオオオニバスのタネの採取から、タネ播き・育苗後の定植まで、雪国での育成に成功した研究成果が披露されているのです。もちろん北国では「富山県中央植物園」でしか見られない珍しい景色ですから、必見ですね。毎年8月中・下旬の3日間、子どもを対象に、オオオニバスに乗った姿を記念写真に収めるイベントも開催されています。 高山気候から熱帯性気候まで内包し、世界の植物の宝庫として知られる中国の雲南省。ランやトウツバキ、サクラソウ類の原産地としても知られています。「富山県中央植物園」では、現地機関と共同研究を行っている縁もあり、「雲南エリア」の展示が充実しているのも、特色の一つです。現在では持ち出すことができなくなった雲南省の貴重な石林の石を配置して、現地の風景を再現。甘い香りを持つウンナンザクラや、黄色い花を咲かせるチヨウキンレンをはじめ、珍しい雲南省の植物コレクションの数々を観賞できます。 北アルプスが借景のイギリス風景式庭園 景色を愛でられる喫茶室にも立ち寄りを 屋外は緑の美しい芝生や木立、広大な水面、曲線的な園路で構成され、自然への賛美を表現する「イギリス風景式庭園」となっています。手入れの行き届いた植物園ながらも、北アルプスの雄大な山々を借景に、野山を散策するような心地よさがあります。 冬はカモ類を中心に、多種多様な水鳥が飛来して越冬するため、白銀に化粧した北アルプスを背景にバードウォッチングを楽しめます。自然保護のためにも、餌やりはご遠慮くださいね。 「富山県中央植物園」には、喫茶「ココナッツアイランド」があり、紅茶やコーヒー、軽食などを楽しめます。営業時間は11:00〜16:00、木曜定休、テーブル席5席。大きく取られた窓の向こうには、広い池や野鳥の姿も見え、見晴らしがいいのが嬉しいですね。ランチは500〜1,000円くらいの価格帯で、サンドイッチ、蕎麦、カレーなどがあります。特に生のフルーツを使ったジュースやジェラートがオススメ。 Information 富山県中央植物園 所在地:富山県富山市婦中町上轡田42 TEL:076-466-4187 http://www.bgtym.org/ アクセス:バス/JR富山駅前(6番乗場)発→ファボーレ経由 萩の島循環線「中央植物園口」バス停下車、徒歩約15分 車/北陸自動車道 富山ICより婦中大橋経由約15分 オープン期間:通年 休園日:木曜日(ただし木曜日が祝日の場合、および4月の第1・2木曜日、ゴールデンウィーク、お盆の期間は開園)、年末年始(12月28日~1月4日) 営業時間:9:00~17:00(2〜10月、最終入園は16:30まで)、9:00~16:30(11〜1月、最終入園は16:00まで) 料金:大人500円(3〜11月、団体20名以上は400円) 大人300円(12〜2月、団体20名以上は240円) 高校生以下、70歳以上は無料 駐車場:普通乗用車332台、大型バス専用駐車場6台(無料) 併せて読みたい ・花の庭巡りならここ! 牧野富太郎コレクションを堪能「高知県立牧野植物園」 ・花の庭巡りならここ! 麗しき英国式庭園「みつけイングリッシュガーデン」 ・カメラマンが訪ねた感動の花の庭。北海道 イコロの森 Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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花の庭巡りならここ! 五感で楽しめる癒やしの庭「氷見あいやまガーデン」
里山の地形を生かした広大なガーデン 富山県の「氷見あいやまガーデン」は、4.4万㎡の敷地面積を誇る、広大な観光ガーデン。元の里山の地形を壊さずに赤松林や雑木林を借景とし、高低差を生かしたゾーニングが特徴です。園内には「フロントガーデン」「ローズガーデン」「フォーマルガーデン」「グレートウォーク」「沈床ガーデン」「円形花壇」「水辺エリア」「子ども広場」「展望台」などがあり、テーマ性をもたせた、変化に富んだ景観を楽しめます。 春から秋まで開花リレーが展開し、 いつの季節も爛漫の景色が楽しめる 4月中旬からは、チューリップが見頃を迎えます。その数は、約20品種、約4万球。チューリップの足元にはパンジーなどが添えられて、カラフルな春の喜びでいっぱいの景色を楽しめます。毎年違った表情を楽しめるように、色彩計画を立てて植栽しているので、チューリップの季節を目当てに訪れるリピーターも多く見られます。 5月中旬からはバラの季節。250品種、3,000本が植栽されています。アーチに仕立てられたピンクのバラは‘アンジェラ’。房咲きになってアーチを覆い尽くすほどに咲き誇ります。5月は花菖蒲やフジも見頃を迎えるので、この時期は特に来場者数が増えます。 人気ナンバーワンのバラ、ピンクの‘ピエール・ドゥ・ロンサール’と花つきがよい赤バラ‘カクテル’のコンビネーション。バラの季節は、芳しい花の香りに誘われ、花に顔を近づけて品種ごとの香りの違いを楽しむ姿もちらほら。「バラの花の香りにうっとりしました」との声が多く聞かれます。 夏から秋はビビッドな花色合わせが見どころ このエリアは「フロントガーデン」と「フォーマルガーデン」をつなぐ、「グレートウォーク」のエリア。初夏のナチュラルな花壇で、ベゴニア、マリーゴールド、サルビア・ファリナセアなど、夏らしいピンクやオレンジ、紫のビビッドカラーの中に、白花のオルレアが調和役となっています。さまざまな花色の組み合わせ方は、自邸の庭の参考になることでしょう。 6月中旬ごろのナチュラルな花壇。黄色い花はヘメロカリス、奥のオレンジはバラ、紫色の花穂を伸ばす花はブルーキャットミント。反対色同士の花色を組み合わせ、コントラストをつけた花壇も素敵です。 6月下旬からは、西洋アジサイ‘アナベル’とユリが同時に咲き始めます。グリーンがかったホワイトの魅力的な花色で、ボリュームたっぷりの花姿が人気の‘アナベル’は、約50株植栽され、群植された姿は壮観です。ユリはスカシユリやオリエンタルリリー、カノコユリなど32品種、1万6,000株を植栽。ウェディングに使われる豪華な品種や野趣感漂う品種など、それぞれのユリの魅力を見比べることができます。 季節が進むほどに花色が深みを帯び、黄昏れていく景色も、また秋の花壇の魅力。黄色のヤナギバヒマワリ、紫のシオン、白のガウラ、ピンクのシュウメイギクが織りなす、オータムカラーの花壇です。 冬を越えて、また春が到来 自然豊かな癒しの庭は、眺望も抜群 3月中旬からは、約500株のクリスマスローズが主役に。開園当初に、八重と一重の品種を数十株植えたところ、毎年のように新たな自然交配の品種がふえているとか。つまり、ここでしか出合えないクリスマスローズがあるのです。この時期はスイセンやクロッカス、ヒヤシンスも見頃となり、早春の表情が楽しめます。 里山に近く四季折々に見どころがある「氷見あいやまガーデン」。水の音や葉擦れの音、虫や鳥の声、さらりと肌をなでる風……「五感で楽しめる庭ですよ」という案内の言葉通りの、癒しのガーデンです。 標高100mの位置から見渡す景色。氷見市の市街地、富山湾、その奥に3,000m級の山が連なる館山連峰が広がります。全体を回るには、大人の足で40〜60分ほど。ゆっくり散策を楽しみ、2時間ほどかけて景色を楽しむ方が多いそうです。 ゲストハウスではドライフラワーショップが人気! ゲストハウスでは、ハイシーズン限定でレストランがオープンする予定。ドライフラワーショップ「ぶらぶら」では、園内の植物を使った、手作りの花束やドライフラワー、ハーバリウムを販売しています。ほかに地元のお菓子や香水、タオルなどの雑貨類も扱っているので、お土産選びにぜひ立ち寄ってみてください。 Information フォレストフローラル 氷見あいやまガーデン 所在地:富山県氷見市稲積112-1 TEL:0766-72-7187 https://www.aiyamagarden.jp/ アクセス: 能越自動車道 氷見北ICより約10分 JR氷見線 氷見駅よりタクシーで約15分 オープン期間:無休(設備維持管理、年末年始、臨時休園あり) 営業時間:9:00〜17:00(最終入園時間16:30) 入園料:大人800円、小・中学生400円、65歳以上700円 Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/