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咲き乱れる花々に癒やされる滋賀県「English Garden ローザンベリー多和田」
日本とは思えない美しい花々が咲く庭 僕が初めて「ローザンベリー多和田」の名前を聞いたのは、2015年の春のことでした。知り合いのガーデナーさんから「ローザンベリー多和田が綺麗らしいけれど、知ってる?」と聞かれたり、バラのシーズンになるとSNSでは関西の友人たちが入れ替わり立ち替わり毎日のように綺麗な庭の写真を投稿していました。 それらを見ていて、1枚の写真に引き込まれました。それは立派なレンガの柱と重厚なアイアンのゲートが写っている写真です。本当にイギリスで見たガーデンのようで、僕もこのゲートの前に立ってカメラを構えてみたいという思いが湧き上がってきました。そしてすぐにFacebookで既に友達になっていたこの庭のガーデナーである西居秀明さん、通称「ヒデさん」に連絡をして、「来年は一番きれいなときに必ず伺います」と約束をしました。 写真家としての一面もあるヒデさんとの出会い その日からちょうど1年が経った2016年6月3日。岐阜県可児市の「花フェスタ記念公園」での早朝のバラの撮影を終えたあと、滋賀県米原市の「ローザンベリー多和田」に向かいました。撮影は夕方からと決めていたので、高速道路は使わずにゆっくりと下道で、雲一つない爽やかな空気の中、美しい景色を眺めながら2時間弱のドライブを楽しみ、「ローザンベリー多和田」の駐車場に到着。 すぐにヒデさんに電話すると「お待ちしておりました。すぐに伺いますから少しお待ちください」とイメージ通りの明るい関西の訛り声が聞こえて、1分もしないうちに、ハンチングに革のベストをバシッときめたヒデさんが登場しました。 まだヒデさんを知る前でしたが、フォトコンテストの審査もさせていただいたことがあります。その中で、アマチュアの中に一人だけプロのカメラマンがいると思うほど際立っていた写真があったのを記憶しています。もちろん、優秀賞に選ばせていただきました。それがヒデさんでした。写真関係のお仕事をしていたというだけあって、とても印象的な写真でした。 さらにその数年後、雑誌『花ぐらし』の誌面づくりの時のことです。バラとクレマチスを取り上げる企画で京都のナーセリー「松尾園芸」に伺った際、「どこかバラとクレマチスをうまく使ったお庭があったら紹介してください」とお願いしたところ、滋賀県の米原にある庭をご紹介いただきました。バラもクレマチスも完璧で、さらに写真もうまい人がいますとのこと。 その方が投稿するブログを見せていただくと、僕から見ても完璧すぎるというのが第一印象でした。普段は自分と似たような年齢の女性と気楽な仕事ばかりをしていたものですから、こんな“完璧な男性”に会うのは気が引けたというのが正直なところでしょうか。こうしてヒデさんとの初対面の機会を逃してしまったのでした。あのとき思い切ってヒデさんと会っていれば、その後「バラとクレマチス」の企画で何回もご一緒に仕事をさせていただいていたかもしれないと思うと、ちょっと残念な気がします。 イギリスの田舎道を思わせる初感覚の庭 そのヒデさんに案内をお願いして園内に入ると、いきなり目の前に、会いたかった古いレンガの門柱が現れました。そしてゲートを潜るとナチュラルに野草を思わせる植物が集まる植栽エリアがあり、奥には古いレンガの大きなパーゴラにバラが満開! その奥の階段を降りると、カシワバアジサイの群落に遭遇したり、レンガの塀を過ぎると時代を経たように見える板塀に野バラが絡んでいたり……。 こんなにイギリスの田舎道を歩いているような気分にさせてくれるガーデンは初めてだなぁと思いながら、夕方の光になるのを待ちました。撮影後は、ガーデンのオーナーである大澤惠理子さんにもお会いして、正にイギリス風な美味しいお茶とお菓子をご馳走になりながらガーデンの話に花が咲きました。「きっとここには、何度もカメラを担いで伺うことになるだろうな~」という予感がするほど充実した時を過ごしました。 2016年以降は、毎年のように、春にはパンジー&ビオラフェアーやクリスマスローズの撮影を、バラの最盛期には撮影だけでなく写真講座もさせていただいたりしています。 ガーデンストーリーで紹介したいと撮影 今年2022年の撮影は5月28日。「ローザンベリー多和田」のガーデナーたちの愛情がこもった、素晴らしく綺麗なこのローズガーデンをガーデンストーリーに紹介したいと思い、去年からしっかりと撮影してきました。最高の写真を撮影するために、5月に入ってから何度も連絡をしてベストなタイミングを探りました。 そのお陰で、バラのコンディションも素晴らしく、天気も予報通り晴天に恵まれ、気分も上々! 足しげく通った“勝手知ったるローザンベリー”で、これ以上ない夕方の光に浮かび上がるガーデンを思う存分楽しんで撮影ができました。それぞれの写真に添えたコメントも併せて、ガーデン写真を堪能していただけたら嬉しいです。
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滋賀県
カメラマンが訪ねた感動の花の庭。滋賀県のコミュニティーガーデン「Rose Branch」
2018年にオープンした「ローズブランチ」 5月18日早朝のこと。今回ご紹介する「Rose Branch(ローズブランチ)」のガーデナー、上田政子さん、愛称「まーちゃん」の車に先導してもらい彦根の町を抜けて街道を右折すると、すぐに朝陽に輝くガーデン、「ローズブランチ」が目に飛び込んできました。 この庭は、隣接する会社「ベースワン」のバラ園で、2017年に「ベースワン」の社長に「この土地にバラ園をつくってほしい」と頼まれたのがきっかけでした。最初、まーちゃんは、大した経験もない自分にできるのか悩んだそうですが、これは人生の転機だと思って決断、まずはベースワンに就職して、この庭のガーデナーになったのです。 はじめのうちは、水はけの悪い粘土質の土との戦いに疲れ果て、自分には無理と諦めかけたこともあったようですが、「最初が肝心」と社長さんに相談。事情を聞いた社長が必要なものをすべて用意してくれて、さらに、バラに詳しい友人たちの助けもあって、翌2018年に「ローズブランチ」はオープンしました。 小屋を背景に咲くバラと宿根草 それから4年。まーちゃんのバラ愛と頑張りで、バラがモリモリ咲くようになったのです。始めはバラ以外には興味のなかったまーちゃんですが、今ではすっかり宿根草好きに。最近は「バラも植物の一つ」と考えが変わって、フェンスや小屋にはあふれるようにつるバラが、そして、庭の随所に宿根草が咲く素敵なガーデンになっています。 この庭は、西側と隣地のベースワンとの境の北側に高いフェンスが設けられていて、そこにはモダンローズやイングリッシュローズ、いろいろなつるバラが誘引されています。しかし、残念ながら訪問した時期の彦根では、まだ2割くらいしか咲いていませんでした。 東側には、野菜栽培用のビニールハウス、南側は隣に民家があります。これらを隠すためにモルタル製の小屋が立ち並んで、さながら小さな町並みのような景観を作っています。モルタル製の小屋には、いかにもまーちゃんの好みそうなオールドローズや小輪のつるバラが可愛らしく誘引されていましたが、こちらもまだほとんどがつぼみでした。 自由なアイデアあふれる植栽術 目を中央に向けると、ちょっと大きめのアイランドの白花と、シルバーやグリーンの葉のテクスチャーでデザインされた花壇の宿根草が朝日を浴びてキラキラ輝いているではないですか! 何年か前の3月、クリスマスローズを見に来た時に、無国籍な雰囲気の自由なアイデアあふれる植栽がなされたこの庭を見て、「いつかしっかり撮影してみたい」と思ったことが、今まさに実現することになったのです。 東側のハウスの上から斜めに差し込んでくる朝陽を浴びて、白いサポナリアの花や隣のバラモンジ、そして麦の穂などが、まるで「きれいでしょう」「早く撮りなさい」と言っているようで、僕も「きれいだね~」と呟きながらアングルを探して歩いてはシャッターを切りました。また数歩進んではシャッターを切って…30分もしないうちに陽が高くなったので、このエリアの撮影を終了。まだ日陰になっているセリンセやクレマチスを撮って、この日は次の撮影地である神戸に向かいました。 19日は早朝から神戸のお庭の撮影を終えて、再び車を東に向け、一路滋賀県へ。夕方の「ローザンベリー多和田」と、さらに間に合えば「ローズブランチ」のあの宿根草をもう一度、夕方の反対方向から差す光で撮影してみたいと思い「よい天気でありますように」と願いながら車を走らせました。 途中「ローザンベリー多和田」に連絡してみると「まだバラは3割程度で、ベストは来週くらいです」とのこと。一応自分の目で庭の状況を確認させてもらおうと思い、16時過ぎに「ローザンベリー多和田」に入り、撮影できるバラは押さえさせてもらって、再び「ローズブランチ」へ向かいました。 「行きます」と連絡していなかったので、突然来た僕を見て、まーちゃんはびっくりしてましたが、夕陽の中の宿根草のアイランドは、やっぱりきれい! 太陽の沈み具合を見ながら18時過ぎまで撮影して、次回のバラの撮影を約束して帰路につきました。 シーズン3度目の訪問は絶好の撮影日和 宿根草がいい感じで撮れたので、後はバラが咲くいいタイミングに行って撮影すれば完璧だなと考えながら、5月27日に3度目となる「ローズブランチ」に向かいました。16時過ぎに到着。すると予想通り、フェンスのバラも小屋に絡むつるバラも素晴らしく可愛く咲いていました。またまた、まるで植物たちが「待ってましたよ」「さあ早く撮ってください」と言っているようで、まーちゃんに向かって「最高~」と思わず叫びながら撮影開始です。 小屋に絡む“まーちゃん好み”のバラは、じつは僕も大好きなバラばかり。そのうえ、バラたちがタイミングもぴったりに可愛く咲いているのだから、もう嬉しくて楽しくて。本当にまーちゃんのセンスに感謝しながら、日暮れまで「ローズブランチ」の中を歩き回っていました。 まーちゃんに今後の目標を聞いてみたら、「バラとコラボして可愛い植物や、バラの後に咲き出す植物、真夏に元気な植物、秋に枯れ姿の素敵な植物……どれも好きな植物たちを集めて、ローズブランチを一年中楽しめるお庭にしたい」と夢を描きながら、日々奮闘中だそうです。 やっぱり植物が三度の飯より好きで、暑い日も寒い日も、雨の日も植物を見ていたいというくらいのガーデナーさんが僕は好きだなぁ、と改めて思う撮影となりました。
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素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪37 滋賀「グリーンロフトザパーク」
河川跡を有効活用した 瑞々しいショップが誕生 旧草津川の廃川に伴い生まれた空間、草津駅まで続く全7kmの有効活用として、5年ほど前にオープンした「ai彩ひろば」。スポーツ・農業などアウトドア活動の拠点として整備され、バーベキュー&DAYキャンプ、サイクリングロード、ジョギングが楽しめるスポットです。その1区画に、緑のある暮らしを提案する園芸店「グリーンロフトザパーク」がオープン。広々として子どもから大人まで楽しめるショップです。 ‘すべての人が楽しめる、身近な自然との接点になる場所’をコンセプトに、心癒やされる自然空間を提供している「グリーンロフトザパーク」。300㎡もの売り場には、インドアグリーンや花苗、コンテナ、雑貨など、ガーデニングライフを応援するアイテムがずらりと並び、最近人気のパルダリウム関連商品も充実しています。 店内は、木製とステンレスの什器を巧みに取り合わせ、有機質と無機質の絶妙なバランスを見せています。欧米のインテリアショップのようなトーンを落とした照明が、心地よい空間を演出しています。 観葉植物は沖縄や鹿児島まで買い付けに出向いているそうですが、「特別に変わった種類や樹形などにはこだわっていません。それよりも樹木本来の姿を生かした扱いやすいものを仕入れて、素敵に見せることに力を入れています」と、マネージャーの佐藤真昭さん。 ホームセンターのバイヤーとして約20年、ガーデニングの流行の移り変わりを眺めてきた佐藤さん。このあたりは、住宅開発で移住してきた感度の高い若者が集まるエリアで、昔ながらの見慣れたアイテムでも見せ方に工夫をすれば、新鮮なものとして受け入れてくれるそう。「若い人は違うスタイルやジャンルのものでも先入観なく、いろいろなことに結びつけたり、はめ込んでいったりすることができるんですよね。単に珍しいものを追い求めるのではなく、一般的なものでも魅力的な見せ方をすることで、植物を好きになるきっかけづくりに繋げることが大切。今までの園芸の枠を脱して、園芸を楽しむ人の裾野を広げたいですね」。 テーマパークのような ディスプレイを拝見 来る人を飽きさせない努力を惜しまない、グリーンロフトザパークのスタッフたち。「こまめに模様替えをしていますよ。大がかりなチェンジもしょっちゅうです。室内のディスプレイやパワープレイ、どんな仕事もスタッフそれぞれが協力しあってお店をきれいにしています」と、アシスタントマネージャーの東晧平さん。モデルルームやショップの装飾も依頼されることが多いそう。 洋書とドライフラワー、ガラス商品を組み合わせたディスプレイには、エレガントさも漂います。「欧米の知的な雰囲気を香らせたり、古きアメリカを感じさせたり…異なる雰囲気を共存させています」と佐藤さん。チープにならないように、意識を注いでいるのが伝わってきます。 アウトドアのガーデニングコーナーも 魅力的なしつらいに 外の売り場も清潔感あふれ、落ち着いたブルーの建物を背景におしゃれな雰囲気。植物は季節の草花に加え、カラーリーフも充実。あらゆるシーンに対応できるラインナップです。 大きめなコンテナは屋外の軒下コーナーで販売。インテリアになじみやすいグレーやアイボリーのマットなデザインのものが多く並んでいます。それと向かい合わせになるように、樹木類も陳列。オリーブやユーカリなど、リーフが美しい人気樹種は、品種も豊富に揃っています。 もし希望の樹木がなければ、お取り寄せも可能。また、配達や庭への植え付けも可能な範囲でやってもらえます。「植え付けをする場合は用土代を頂くだけで、いわゆる手間代は不要です。その浮いた分で、ほかのアイテムを試していただきたいですからね」と東さん。 ところ狭しと並ぶ 暮らしまわりの雑貨コーナー ガーデンパーティーやキャンプでも活躍してくれそうな食器やキッチンツール、ファブリックも充実。丈夫でカジュアルな価格なので、庭でも惜しみなく使えるものばかりです。 テーマパークのデコレーションのような楽しさあふれるコーディネートも必見。眺めているだけで、ワクワクする空間です。 佐藤真昭さんイチオシの 日本製の小さな鉢 輸入鉢が多い中、最近佐藤さんが注目しているのが、メイドインジャパンのもの。「日本の伝統工芸品にはどこか雅な雰囲気が残っていて、観葉植物に合わせにくいところがあるのですが、地元の信楽や岐阜県の美濃焼など、とくに若い作家さんの作る鉢で合わせやすいものを見つけたんです。これからほかの産地のものを含めて、どんどんアイテムを増やしていきたいですね」。 植物をいかに美しく暮らしに取り入れるかを追求し続ける「グリーンロフトザパーク」。お客様を飽きさせない、最旬の提案でいっぱいです。『café KaimanaLio(カフェ・カイマナリオ)』も併設しているので、地場野菜を使ったフードやドリンクを頂きながらショッピングできます。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、JR琵琶湖線「草津」・バス「陽の丘団地口」下車より徒歩約8分。名神高速道路「栗東」ICから車で約15分。
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滋賀県
「ローザンベリー多和田」の開園物語と庭づくり 〜お客さまが憧れる庭をかたちに
専業主婦が8年かけて採石場跡を開発 JR琵琶湖線「米原駅」から琵琶湖の北側に広がるのどかな田園風景の中、車で15分。四方を山々に囲まれたイングリッシュガーデン「ローザンベリー多和田」があります。 園内は、バラと宿根草の庭や英国建築の建物、羊の牧場、レストラン、バーベキュー場などがあり、四季を楽しみながら1日中過ごせます。開園から10周年を迎えた現在、メディアでも多く取り上げられる人気のガーデンに成長しました。 しかし、ここまで至るには何度も自然の脅威にさらされ、その都度庭づくりを見直し、風土にあった植栽にし直したり、来園者が楽しめる仕掛けを行ったりと、努力を積み重ねてきました。 「ここは元採石場で、見渡す限り雑草に覆われた場所でした。硬い岩盤だったので、ブルドーザーを使ったり、大型重機で土木工事をしたり、庭づくりというより“開拓”からのスタートだったんです」と、オーナーの大澤惠理子さんは当時を振り返ります。 「昔から子育てが一段落したら何かしたいと考えていました。家族に相談したら『今まで家のことをしてきてくれたから、これからは好きなことをしたらいいよ』と言ってくれました。何をしようと考えたときに、子どものころから父親の庭を手伝い、自然に囲まれた環境にいたので、土や花と触れ合いたいと思ったんです」 そして、専業主婦だった大澤さんが挑んだのは、東京ドーム2.5個分の荒れ果てた採石場跡を開発し、観光庭園を建設するという、もはや「子育て後の余暇」をはるかに超えた大プロジェクトでした。この大事業を成し遂げるまでに、どれほど起伏にみちたストーリーが展開されたかは想像に難くありませんが、「取材でよく苦労話を聞かせてくださいと言われますが、大変なことはたくさんあっても、苦労と思ったことはないです。花と土が相手じゃないですか。だから最高に幸せでしたね」と大澤さんは穏やかに微笑みます。 自分好みの庭から、徐々に憧れの庭へ 周りを囲む山々や広大な調整池、昔からある立派なヒマラヤスギやサクラ。庭づくりの見直しは何度も行ってきましたが、その土地の景色に調和した庭をつくりたいという思いは開発当初から変わっていません。 「日本の田舎にどんなに美しいイングリッシュガーデンをつくっても、城やイギリスの建築物があってのイングリッシュガーデンですから、本場には勝てません。イギリスと同じ庭をつくるのではなく、この土地に昔からあるヒマラヤスギやサクラ、雑木を生かして、日本の田舎の風景に合う山野草や宿根草を入れたガーデンをつくろうと思いました」 開園当時は、子ども会や地域の団体が参加できるような体験型観光農園からスタート。 「私はタンポポやホトケノザ、スミレなど、世間でいう雑草が好きで、オープン1年目はそれにプラスして山野草や宿根草を植えていました。シャクヤクも山シャクヤクのみで、とにかく地味な庭でした」 オープンは9月。山野草や宿根草ではほとんど花が咲いておらず、来園者から「お金を払って来ているのに、花がないとはどういうことなの」という声を受けました。「実からタネまで花の一生を見ることができる庭にしたかったけれど、当時は誰にも受け入れてもらえませんでしたね」と大澤さんは振り返ります。 2年目からは来園者の好みを反映し、とにかく華やかな雰囲気の園芸品種を植えて花を増やします。3年目はバラやクレマチス、西洋オダマキ、アナベルなど華やかな雰囲気の花に加え、素朴でかわいらしい小花が咲く山野草も植栽しました。 バラが好きな来園者も、山野草の庭を見て「こういうお花も素敵ね」と新鮮味を感じているようです。こうしてそれぞれの花の魅力が際立つ庭になり、その後も試行錯誤を重ね、コニファーガーデンやキッチンガーデン、果樹園、山野草と宿根草の庭、シャガの庭など徐々にガーデンの特徴が明確になり、それぞれにファンができる庭に発展しました。 台風による倒木が植栽を変えるきっかけに 庭の方向性も決まり、順調に思われた2018年秋。大型台風で、園内の13本の巨大なヒマラヤスギが根っこからごっそり倒れてしまいます。幸い建物の間に木が倒れて、建物やパーゴラ、ガゼボなどに被害は出ませんでした。 「古くからある大木のヒマラヤスギに魅せられてこの場所を決めたようなものなので、庭づくりの原点でもあった大木が倒れたことに衝撃はかなりありました」 ところが、これが転機となります。今までは大木で日陰だった場所に日が当たり、四季咲きのバラを植えられるようになったのです。イングリッシュガーデンに華やかさが加わり、バラの植栽が広がっていきました。 庭づくりの工夫を潜ませ、ヒントを見つけてもらう 現在ガーデンには、四季折々の花が植えられた、たくさんの巨大な鉢が置かれています。鉢の8割は英国製のウィッチフォードを使い、風景にはイギリス本場のロートアイアンのゲートと、アンティークレンガを使用。これら英国の資材は日本の植物にもよく似合い、しっとり落ち着いた雰囲気を演出してくれています。 「資材も植栽も妥協せずお客さまが憧れる庭をつくらないと、せっかくお金を払って見に来てくれているのですから」と大澤さん。 資材までこだわった庭ですが、実はあえて完璧にはつくっていません。例えばクレマチスを誘引する柵は庭木を剪定した時に出る枝を使うなど、一般家庭の庭にも取り入れやすいアイデアを各所に潜ませているのです。憧れをかき立てる演出の一方で、身近な物も使っているから、真似がしたくなる。それが、来園者が何度も訪れたくなる理由の一つになっています。 感性を磨く環境は、庭づくりに影響する 花はもちろん、おしゃれなベンチやオブジェ、「ひつじのショーン」に登場する牧場主の家を再現した『ひつじのショーンファームガーデン』などの数多くのフォトスポットが用意されていたり、意外な場所に寄せ植えが現れたりなど、広大なガーデンは歩くといくつもの発見があります。 「お客さまに感動し喜んでもらうには、庭のシーンづくりの工夫は必要だと思っています」と大澤さん。花を育てるための専門的な知識があるのと、そうした美しい風景づくりは別のスキル。そのため大澤さんは、美術館などを巡り、庭以外の美しいものや芸術に触れるようにしています。 「私が子どもの頃、半世紀以上前には、この辺りでバラを植える人はいませんでした。ところが、いわゆる『ハイカラ』であった父は、バラを植えたり、芝生の庭に出て家族でごはんを食べたり、抱えるほどの笹ユリを採ってきて玄関や書斎に生けて香りを楽しんだりしていたので、季節を身近に感じる暮らしが日常でした」 こうした古い物と新しい物をバランスよく取り入れる暮らしで感性が磨かれ、庭のデザインに生かされているようです。 スタッフ一丸で考える、ローザンベリーらしい植栽 ガーデン部門のスタッフは主に社員3人、パート10人の合計13人。バラの咲く時期は、ほぼ水やりと草取り、花がら摘みの繰り返しです。1年で一番忙しいのは実は冬で、パンジーやビオラの花がら詰みといった日常的なメンテナンスに加え、菜園や花壇の土壌改良、株分けや植え替え、バラは剪定や誘引、寒肥など12月~2月にかけて済ませなければいけない作業が満載です。 植栽計画やデザインは大澤さんが一人で決定しています。デザインを考えるときは、現場に立って風景や空気を感じながら、図面ではなくイラストを描きます。イラストで色などのイメージをスタッフに相談し、それに合う花苗をスタッフが探してきてくれます。 「庭のイメージは私が決めていますが、ありがたいことにスタッフの皆が『この花は社長喜んでくれるかな』『これは好きやろ』『これは嫌いやから仕入れたらあかん』と考えてくれるようになり、少しずつ私の個性が表れ、それが植栽イメージの基準となってきました」と大澤さん。 植物のセレクトは庭のイメージを大きく左右し、簡単にやり直しもできないため慎重になる場面ですが、スタッフとの信頼関係で、「ローザンベリー多和田」らしさが築き上げられています。「今後は、私がいつか引退したときのために、しっかりと引き継がないといけないと思います」と大澤さんは未来を見据えます。 植物の一生を風情として楽しむのが人気 10年前はガーデンに華やかさが求められていましたが、ここ5年ほどで来園者の興味が変化しているようです。タカサゴユリの咲いた後の花柄だけの姿や、花のない時期にバラの誘引を見に来る人や、ドライフラワーのように茶色くなるノリウツギやアナベルを見て「花が付いているのを最後まで見ることができて素敵」と感じる人など、花の移り変わりを楽しむ人が圧倒的に増えたといいます。 「園芸の雑誌などでは花が終わったら切るように説明していて、書いているとおりに育てると葉っぱだけが残り、タネを見る機会がありませんよね。だから、タネが翁の髭のようになるから『翁草』と呼ばれることや、サルスベリは冬になったら落葉してタネが弾けて、殻がついている姿がきれいだと説明すると喜ばれます」と大澤さんは嬉しそうに話します。 求められるシーンを想定する 2018年の年間来園者数は約8万人。2019年3月に『ひつじのショーン ファームガーデン』をオープンして、約24万人に急増しました 「どうしたらお客さまが喜んでくれるか考えるのは、観光庭園にとって不可欠です。庭が主役の観光庭園だからといって、植物やデザインにこだわるだけでは不十分です。『ひつじのショーン ファームガーデン』を始めたことで客層が広がり、子どもから家族連れ、カップル、若い女性グループなど今まで来なかった人たちが増えました。このエリアは庭や植物に興味がない方にも喜んでいただけるものをとつくった庭で、写真撮影したりベンチに座っておしゃべりをして楽しそうに過ごす様子を見ると本当に嬉しいですね」 さまざまな客層にフィットするよう庭のあり方や楽しみ方のバリエーションを柔軟に広げてきた成果が、来園者数に反映されています。 2020年はコロナ禍で4月~GWに閉園したにもかかわらず、来園者数が約20万人を超えました。「閉園中はパンジーやビオラが一番きれいな時期でした。再開した時にさびれた雰囲気にならないように、良い状態をキープしようとガーデンスタッフは全員出勤して、花がら摘みや植え替えなど、毎日花の世話をしていました」とコロナ禍を振り返ります。こうした人目に触れない地道な努力の積み重ねが、愛される所以ではないでしょうか。 お客さまが喜ぶ美しい庭を目指す ローザンベリー多和田といえば、シックな緑やグレーを基調にデザインされた大人の庭のイメージがあります。しかし10年目の今年は、イギリスのガーデンショーの雰囲気を意識してショッキングピンクの看板にしたり、水色のミニクーパーに花を植えたり、ポップな色使いで来園者を楽しませています。 「花を植えた場所だけではなく、丘に自生するヤマツバキも美しく姿が見えるように手入れします。自然に溶け込んで成長してくものを植えたいですね。段取り良くすみずみまで気配りできる施設にしたいです。お客さまに、『こんなところまで花が植えられている』という発見をして、喜んでもらえる美しい庭にするのが目標です」と力をこめる大澤さん。 風土に合わせ、上質なエンターテイメントにこだわりつくられたイングリッシュガーデン。来園者の憧れの庭がどう進化していくのか、今後の展開が楽しみです。 ●花の庭巡りならここ! 自然の恵みを五感で楽しめる、充実の観光ガーデン「English Garden ローザンベリー多和田」の記事もご覧ください。 協力 ローザンベリー多和田(オーナー 大澤惠理子さん) URL https://www.rb-tawada.com Credit 執筆/株式会社グリーン情報 「グリーン情報」は、花・緑・庭に関わるトレンドを取り入れた業界の最新情報をお届けする、業界唯一の専門雑誌です。 https://green-information.jp/products/list 季節の花や人気のグリーンはもちろん、植物と人、植物と社会の繋がりを深掘りした記事で、昭和55年創刊以来の長きにわたり、多くの方にご購読いただいています。最新のWEBサイトでは、無料会員登録により過去の記事を閲覧できたり、グリーンマップに登録することで情報発信の拠点を構築できたりと、IT時代における業界の情報プラットフォームとして、その役割を担っています。 https://green-information.jp
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花の庭巡りならここ! 近代名建築を華やかに盛り上げる西洋式回遊庭園「びわ湖大津館 イングリッシュガー…
湖を背景にバラも健やかに育つガーデン 1934年に建てられた昭和初期の近代名建築、「旧びわ湖ホテル本館」をリニューアルし、2002年に「柳が崎湖畔公園 びわ湖大津館」としてオープン、隣接する敷地にはイングリッシュガーデンがつくられました。その後、数度のリニューアルを経て、県下最大の300種、3,000株のバラで彩られる「びわ湖大津館 イングリッシュガーデン」として親しまれるに至っています。 「花と湖、四季折々の花々に囲まれた楽園で過ごす安らぎのひととき」がコンセプトのイングリッシュガーデンは、約5,900㎡の敷地を持ち、大人の足でゆっくり歩いて約30〜60分ほどの散策を楽しめます。それは湖上を渡るさわやかな風と優しい花の香りを感じながら、心身ともにリフレッシュできる穏やかな時間。琵琶湖を借景にしたガーデンウェディングも開催されており、祝福の心を表すように手入れの行き届いた景色は、必見です。 ローズソムリエ、小山内健さん監修の 300種、3,000株のバラにうっとり! 「びわ湖大津館 イングリッシュガーデン」は、大まかに「グラベルガーデン」「ボーダーガーデン」「ノットガーデン」「ランドスケープガーデン」「スイレンの池」のエリアに分かれています。写真は小石、砂礫を組み合わせ、可憐な花々やハーブを植え込んだ「グラベルガーデン」。春はソメイヨシノ、シダレザクラ、ヤエザクラなどの花木と、チューリップ、スイセン、ポピーなど春の草花との競演が楽しめます。特にチューリップは約20種8,000球が植栽されており、4月頃が見頃です。 美しい琵琶湖と一体になった、絵画のような景色を楽しめる「ランドスケープガーデン」では、5月上中旬に「野田藤」が見頃になります。池に渡した太鼓橋を覆うように長い花房を垂らす、それはそれは見事な景色! フォトスポットになること間違いありません。 バラの名所でもある「びわ湖大津館 イングリッシュガーデン」。バラの見頃は5月中旬〜6月中旬、10月下旬〜11月下旬です。写真はランドスケープガーデンの一角にあるローズガーデンで、散策路の両サイドに四季咲き性の品種が植栽されています。ローズガーデンは、京阪園芸のローズソムリエ小山内健さんの監修で、間近でバラの姿形や香りが楽しめるように設計されています。アーチを彩るのは‘コルデス・ジュビリー’で、開いた黄色い花が花弁の縁から徐々にピンクに染まっていく、ひと株で花色のグラデーションが楽しめるバラです。 バラは、「F&Gローズゾーン」「つるバラゾーン」「香りのゾーン」のほか、皇室や著名人にちなんで名付けられたバラを集めた「皇室ゾーン」「音楽家ゾーン」「俳優・女優ゾーン」「ペインターズ(画家)ゾーン」などに分類して植栽されています。 青空の下、琵琶湖から渡る風が心地いい! エリアごとのシーン演出に心が躍る英国式庭園 散策路や塀に沿って細長く取られた植栽スペースは「ボーダーガーデン」が。立体的に植栽されたこのエリアには、芝生のグリーンや、つるバラには希少なオールドローズ、色とりどりの宿根草、ハーブなどが絶妙に調和する風景を楽しめます。ピンクのつるバラは‘スパニッシュ・ビューティ’と‘キュー・ランブラー’。 白バラの‘アイスバーグ’、‘ホワイト・クリスマス’のアーチで場面転換される向こうに見えるのは、「ノットガーデン」。ノットは「結び目」を意味し、ツゲを刈り込んでトピアリーのように紋章を形づくり、その中心に花やハーブを植えて強調しています。琵琶湖に面しているため視界が開けて心地よく、また紋章をはっきり見るには「びわ湖大津館」建物の上階から眺めるのもオススメです。 「スイレンの池」では、5種以上、約150株の耐寒性スイレンと、約5種50株の熱帯性スイレンが集められ、優雅な姿を見せてくれます。見頃は6~9月で、訪れた方からは「太鼓橋の藤の景色とも相まって、庭を愛した印象派の画家、モネの絵のように素敵」との感想も聞かれます。 写真は琵琶湖側からノットガーデンを通して「びわ湖大津館」を望む景色。ノットガーデンでは年2回の植え替えがあり、秋はアメジストセージが紫色に染め上げます。 「びわ湖大津館 イングリッシュガーデン」では、年間を通してジャズコンサートやハロウィン、お姫様体験会(ドレス試着体験)などの各種イベントや、寄せ植え教室、基礎バラセミナー、各種カルチャー教室も開催。特にバラ監修の小山内健さんのセミナーは、毎回盛況を見せています。ぜひ公式ホームページをチェックして、気になるイベントに参加しましょう! 琵琶湖を望むレストランで美食を満喫! ギフトショップもバラにまつわる雑貨が充実 ひと通り散策を終えたら、港町をイメージしたフレンチレストラン「ベルヴァン・ブルージュ」で、琵琶湖を一望しながらラグジュアリー感のある食事やティータイムを楽しんではいかが。頬をなでる風が心地いいテラス席もあります。営業時間は10:00〜21:00。ランチコースは2,160円、3,500円・5,000円(共に要予約)。ほかにお子様ランチ1,080円、カレー1,080円〜などがあります。デザートは自家製ワッフルセット1,080円、ケーキセット910円など。 写真は、「シェフのおすすめランチコース」2,160円。季節の前菜、本日のスープ、メイン料理、デザート盛り合わせ、パンまたはライス、コーヒーまたは紅茶をいただきます。メニュー内容は月ごとに替わるので、リピートしてみたいですね。 「びわ湖大津館」内には、ショップ「Shiga no Hana(シガノハナ)」があるので、ぜひ立ち寄ってみましょう。ギフトやお土産にぴったりの、滋賀県ならではのクラフト品やお菓子、バラ園にちなんだローズ雑貨がさまざまに揃います。
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滋賀県
花の庭巡りならここ! 自然の恵みを五感で楽しめる、充実の観光ガーデン「English Garden ローザンベリー…
さまざまな雰囲気の庭が楽しめる「English Garden ローザンベリー多和田」 2011年9月にオープンした「English Garden ローザンベリー多和田」。園内敷地は約12万㎡、そのうちガーデンは1万3000㎡で、約30〜60分かけて散策できる広さです。「いつか自分の庭をつくりたい」とオーナーの大澤惠理子さん自らデザイン・植栽を手がけ、自然の景色に溶け込むナチュラルガーデンを完成させました。ガーデンは「宿根草の庭」「サクラ並木」「コニファーガーデン」「メドーガーデン」「シャガの庭」「ローズガーデン」「キッチンガーデン」の7つのエリアに区分けされ、それぞれ雰囲気の異なるガーデンスタイルを観賞できます。 四季を通しての開花リレーが楽しめる植栽となっていますが、トップシーズンはなんといっても5月上旬~6月。4.5mのロートアイアンをベースにした藤のアンブレラ仕立てが素晴らしい景色を生み出し、約400品種のバラ、約70品種のクレマチスが咲き誇ります。 ガーデン以外でも、園内には体験工房、野菜や果物の収穫体験、羊と触れ合える牧場、季節ごとのワークショップ、バーベキューなど、さまざまなレジャーが用意されているほか、レストランやショップも充実しており、家族で楽しめる観光ガーデンです。 里山の景観と調和する優しい花色でコーディネートした エレガントなガーデンには四季を通して足を運びたい! メイン通路「ココロード」では、毎年3月中旬〜4月中旬に「パンジー ビオラフェスティバル」を開催。育種家が愛情を込めて育てた、まるで芸術品のような美しい品種をセレクトし、寄せ植えやスタンディングミニ仕立てで、より美しく魅せるギャラリーにしています。 上写真は通路の奥にあるエンブレムの前の桜が満開になった4月上旬の様子。桜とパンジー、ビオラの競演は、必見です! 「English Garden ローザンベリー多和田」のトップシーズンともいえる、バラの見頃は、5月中旬〜6月中旬。約400品種1,000株ものバラを観賞できます。パステルカラーのバラを主とした優しい雰囲気で、無理な誘引をせずに木々や造形物に自然な表情で溶け込むように仕立てられています。 ローズガーデンでは、バラの顏がよく見えるように樹高を剪定でコントロールし、観賞しやすい高さで咲くよう調整されているのが嬉しいところ。周囲に添える宿根草も、あくまで引き立て役として控えめに植栽されています。 左写真はローズガーデンに咲くイングリッシュローズ‘ボスコベル’、右写真はキッチンガーデン横の建物に絡むつるバラ‘キュー・ランブラー’。 6月中旬〜7月上旬はアジサイの季節。ガーデン正面の入り口には、色とりどりのアジサイが飾られています。なかでも次々と開花し続ける四季咲きアジサイの‘霧島の恵’は、これから大注目の品種です。6月中旬は「秋色アジサイの展示」のイベントが開催されます。 夏のガーデンでは、ルリトラノオ、アガパンサス、ノリウツギ、八重咲きのユリが開花リレーをしていき、メイン通路「ココロード」ではサンパラソル、ニチニチソウ、トレニア、アンゲロニアなどが夏の暑さに負けずに元気いっぱいに咲き誇ります。カラーリーフプランツとの組み合わせ術も参考になりそうです。 9月下旬からシュウメイギクやヒガンバナが咲き始め、10月中旬ごろから秋バラが見頃になります。写真は、11月上旬の「宿根草の庭」の様子。オータムカラーに染まったガーデンと、深いブルーのベンチとのコントラストが目を引きます。 そして秋が深まり、11月中旬〜12月上旬にはメイン通路「ココロード」のメタセコイヤの紅葉が見頃に。斜めから差し込むやわらかな光を受けて、黄金に輝く景色を楽しみましょう。 2018年冬より、通年開園をスタート。花のない時期も、実やタネ、雪景色など、冬にしか出逢えないガーデンの景色を楽しめます。冬はバラが葉を落として枝のみになるので、つるバラの誘引・剪定の仕方を参考にするのもいいですね。 ガーデニングショップでは寄せ植えのワークショップを開催 ここでしか買えない品揃え満載のセレクトショップも人気 「English Garden ローザンベリー多和田」内にはガーデンショップがあり、貴重な育種ビオラ、秋色アジサイ、希少なクレマチス、クリスマスローズ、シクラメン、山野草など、セレクトのこだわりがうかがえる花苗が多数揃います。ウィッチフォードの鉢やワンダーデコールのガーデンオーナメントなど、ガーデン雑貨も素敵なものばかりで、目移りしてしまいそう。 土日・祝日には、寄せ植えのワークショップを開催しています。随時受付可能で、植木鉢の持ち込みもOKです。 「English Garden ローザンベリー多和田」のセレクトショップ「はぜの木」には、ここでしか購入できないオリジナル商品が多数揃うのも魅力です。特に人気なのが「伊吹ミルクジャム」「苺ジャム」「ほうじ茶ジャム」「緑茶ジャム」「季節限定のジャム」など、オリジナルジャム各種540〜1,037円(税込)。 人気商品は、ニュージーランド直輸入のハチミツを練り込んだ「やさしいハチミツキャンディー」357〜756円(税込)、「大地のレストラン」人気メニューの「チキンカレー」「ルンダンカレー」「グリーンカレー」各735円(税込)、「ねぎ野菜みそ」(要冷蔵)432円(税込)、「玉ねぎドレッシング」(要冷蔵)486円(税込)。 オシャレなカフェ&バイキング形式のレストランにリピーター続出 手ぶらで訪れて楽しめるバーベキューも! 「English Garden ローザンベリー多和田」内には、オシャレなカフェ「EASYTIME」があります。営業時間は10:00〜17:00(食事のラストオーダー16:00、ドリンク&スイーツのラストオーダー16:30)、客席は30席。価格帯は、ランチ980〜1,500円(税込)、スイーツ500円(税込)〜、ドリンク400円(税込)〜です(※グリーンカレーにはスープはつきません)。 写真左は人気メニューの「多和田ランチ」1,500円 (税込)。メインはビーフストロガノフかグリーンカレーから選べます。サラダにスープ、日替わりデリ5種盛りつき。 写真右はオーダーを受けてから焼き上げる、クロワッサンワッフル700円(税込)。クロワッサン生地を使ったサクフワの食感が楽しめます。 一方、「大地のレストラン」はバイキング形式で、料理研究家・関口絢子さんプロデュースの季節ごとに変わる10品を含む30品と、手作りデザート10品から選べます。営業時間は11:00〜15:00(受付は14:30まで)、料金は大人1,750円(税込)、小学生1,200円(税込)、幼児(4・5歳)850円、3歳以下無料 ※ソフトドリンク込み、アルコール・ノンアルコールは別途料金です。 また、300席を有するバーベキュー場があり、手ぶらで訪れて楽しめます。受付時間は10:00〜14:00、料金はベーシックコースで肉160g(牛80g&豚80g)、ウィンナー2本、野菜食べ放題(3〜5種類)、ごはんのセットで2,300円 (税込・入園料別途)。ほかに、お得プラン2,800円(税込)、女子会プラン2,800円(税込)、 滋賀こだわりプラン3,500円(税込) 、近江牛プラン5,400円(税込)があります。飲食物の持ち込みは禁止です。※飲み物は、好きなものを別途オーダー。 Information English Garden ローザンベリー多和田 所在地:滋賀県米原市多和田605-10 TEL:0749-54-2323 http://www.rb-tawada.com アクセス:公共交通機関/JR米原駅よりタクシーで約15分 ※米原市乗り合いタクシー「まいちゃん号」(要予約:0749-62-0106)利用可。 車/米原ICより約15分 オープン期間:通年 休園日:毎週火曜日(祝日営業)、年末年始 営業時間:10:00〜17:00(1〜11月) 10:00〜16:00(12〜3月) 料金:大人(中学生以上)800円、小人(4歳以上)400円、3歳以下無料 Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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カメラマンが訪ねた感動の花の庭。滋賀「English Gardenローザンベリー多和田」のパンジービオラフェステ…
「English Garden ローザンベリー多和田」で開かれた「パンジービオラフェスティバル」 「English Garden ローザンベリー多和田」は、オーナーの大澤恵理子さんが、細部にまでこだわってガーデンをつくってこられました。大澤さんもイギリスがお好きのようで、私のようなイギリス好きのカメラマンにとっては、たまらないガーデンです。そんな素敵なガーデンを会場にして、日本各地から育種家さんの可愛いビオラが集められ、撮影ができるという夢のようなイベント「パンジービオラフェスティバル」が開催されるというのですから、ワクワクして出かけたのはご想像の通りです。 ビオラが好きになった20年前の記憶 元々僕は白や青、薄いピンクの小花みたいな花が好きだったので、ビオラは好きな花でした。そのビオラが大好きになったのは20数年くらい前、千葉県富里市の沖縄出身のご夫婦がなさっている「七栄グリーン」と言うお店との出会いがきっかけでした。七栄グリーンは、とってもセンスの良いカラーリーフを使った寄せ植えとハンギングで有名なお店で、僕も機会があるごとにうかがって撮影をしていました。そんな七栄グリーンの寄せ植えに欠かせない花がビオラでした。 その当時は、まだ“育種家さんのビオラ”のような個性的な品種はなかったのですが、七栄グリーンさんは大手の種苗会社のカタログの中からきれいなビオラをセレクトして、棚の上にはいつもかわいいビオラがたくさん並んでいて、僕もそんなビオラを使ってよく寄せ植えをつくっていました。 その後七栄グリーンさんは沖縄に帰られお店はクローズしてしまったのですが、最近はホームセンターなどでも見元さんや他の方々が生み出したかわいいビオラが手に入るようになったので、寄せ植えは今でも時々つくっています。 育種家さんのビオラとの出会い 僕が最初に育種家さんのビオラに出会ったのは、雑誌の取材で訪れた北海道札幌市にある「国営滝野すずらん丘陵公園」で、梅木あゆみさんが主催するイベントでした。その以前にもいろいろな方から「宮崎の育種家さんのビオラが素晴らしいよ」と、話は聞いていたので、是非拝見したいと思っていました。実際に見る育種家さんによるビオラは、色も形も大きさも想像以上にバラエティに富んでいて素晴らしく、興奮しながら撮影したのを覚えています。 その後は大阪の園芸店「Kanekyu金久」さんに取材に行ったり、神奈川県横浜市の笈川さんのハウスにお邪魔していろんなビオラを見てきました。知り合いのガーデンラバーさん達は、もうとっくに宮崎にまで行っていたりして、「今度一緒に宮崎に行きませんか?」と誘われてしまうほど育種家さんのビオラは、僕にとってしっかり撮影してみたい憧れの花になってしまいました。 自宅から5時間かけて「ローザンベリー多和田」へ そんな憧れのビオラが「ローザンベリー多和田」さんに勢揃いすると聞いたら、行かないわけにはいきません。4月4日、当日の天気を確認していざ出発です。自宅の千葉からローザンベリー多和田のある米原までは450kmおよそ5時間のドライブです。暗いうちに出発したので、お昼前には無事到着。SNSのショートメールでガーデナーのヒデさんに連絡してゲートへ向かうと、4日は休園日とのことで園内はガラーンとしていました。これは、ビオラ独り占めで撮影ができる! 素晴らしい機会となりました。 ローザンベリーと言えばアンティークレンガの塀とメタセコイアのロングウォークが有名ですが、その塀の前には分かりやすく、育種家さんごとにテーブルが置かれていました。アイアンのフェンスの前には、大きなハンギングやテラコッタがいくつも、いくつも並べられていています。 カメラマンとしては、育種家さんごとに全部の花をカメラに収めたいし、大作のハンギングやテーブルの上のグルーピングの写真も撮りたい。撮っても撮っても終わらない大変な一日になってしまいましたが、どの花も可愛く、どのハンギングも素敵だったので、不思議と疲れは感じない充実感いっぱいの幸せな一日になりました。 ○2018年のビオラフェアー パンジービオラフェスティバル は、3月17日(土)~4月15日(日)の開催です。詳しくはホームページ(http://www.rb-tawada.com)でご確認ください。 ○この記事でご紹介してきたすべての写真は、すべて「English Garden ローザンベリー多和田」で今井秀治さんが撮影したものです。 Information English Garden ローザンベリー多和田 所在地:滋賀県米原市多和田605-10 TEL:0749-54-2323 http://www.rb-tawada.com アクセス:名神高速道路 一宮ICより約40分 JR米原駅よりタクシーで約15分 オープン期間:火曜休(祝日の場合は営業) ※冬季休園あり 2018年は3月17日(土)からの営業(オープン期間はHPにてご確認ください) 営業時間:10:00〜17:00(レストランは11:00〜15:00) ※冬季(12〜3月)は10:00〜16:00の営業 入園料:大人(中学生以上)800円、小人(4歳以上)400円、3歳以下無料 ※団体は15名以上、割引あり