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素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪24 島根「Soraniwa(そらにわ)」
つややかな緑と屋根のある売り場で 心地よくショッピング 松江駅から北東に20分ほど車を走らせたところにある「Soraniwa(そらにわ)」松江店。緑に囲まれたブルーの建物が目印です。 「Soraniwa(そらにわ)」は庭や外構の設計・施工・管理などを手掛ける「Green Gardens」が営む園芸店。鳥取県米子市にある本店に続き、2号店として6年前にオープンしました。今ではおいしいランチやスイーツが楽しめるカフェが設けられており、地域の人気スポットとして注目を浴びています。 つややかな緑のゲートをくぐると、正面に広がるのは花苗売り場。ずらりと並ぶ花苗は、自然な風景を生み出すナチュラルな趣のものがほとんどです。「僕の好みもあるのですが、主に植栽や寄せ植えの中で主張しすぎずになじみやすい草花を選んでいます」と、オーナーの作野良さん。ここで扱う花の種類は1千種以上にものぼるそう。屋根付きの店内は、雨の日でも安心してゆっくり買い物が楽しめます。 一角では、「ペチュニア祭り」が開催中。ショップおすすめのペチュニア、カリブラコアが並び、購入する数によっては割引も。その時々で取り上げる植物が変わります。 売り場を素敵に盛り上げる 装飾ディスプレイにも注目 ショップのイメージを印象づけているのは、大人っぽいカラーのブルーの建物です。しゃれた雰囲気ですが、これはかつてウナギの養殖場として建てられたあと、ライブハウスとして活用されていた古い建物だとか。「倉庫っぽいつくりが気に入ったんです」と作野さん。無骨な建物に、店名に通ずる色をペイントし、内装にもこだわりながらモダンに仕上げています。 売り場には、古いものやレトロな雰囲気を持つ道具や雑貨、ドライフラワーを用いたおしゃれなディスプレイがたくさん。これらは、かつて花屋で培った作野さんの感覚と、もともと備わっていた美的センスによるもの。ともするとシャビーになりすぎる組み合わせも、壁の程よい重みのあるモダンなカラーで、効果的に植物と響き合っています。 ‘わざわざ’行きたくなる 見どころ満載のショップ 店舗を囲む雑木類が瑞々しい緑のスクリーンとなって、心地よい時間を提供している「Soraniwa(そらにわ)」。ブルーの建物に美しくグリーンが映えるコーディネートです。これらを手掛けたのも作野さん。造園会社や花屋で修業したという実力派です。 30歳までに自分の店を持つと決めていた作野さん。独立までの約12年の間に、造園会社ではお寺の作庭や個人邸のエクステリア施工を行ったり、災害で崩れた松江城の石積み修復を手がけるなどの経験を通じ、ソフトからハード面まで、幅広い知識を吸収していきました。その後は花屋で、切り花のアレンジメントや店舗のディスプレイ、鉢花販売などの修業をし、今から12年前に独立。店内には、作野さんの高い技術と知識を裏付ける素敵なシーンがあちらこちらで見られます。 大通りに面した1号店の米子店に対し、4倍の広さがあるものの、市街地からはやや離れた場所にある松江店。立地としてはよいとはいえないだけに「わざわざ足を運ぶ店」を目指し、品揃えの充実だけでなく、庭づくりや暮らしを彩る提案をそこかしこに盛り込んでいます。 ショップでは庭やエクステリアの設計・施工を請けており、「庭づくりのことなら何でも聞いてください。植栽、エクステリア、ガーデニングとトータルでお客様をサポートいたします」と、頼もしい限りです。 ショップの空間を潤す 樹木と草花にズームアップ! ショップの自然な風景を構成している、植物たちをご紹介します(2021年5月中旬取材時)。 左/アオダモ:モクセイ科・落葉高木・H3~10m 中/ツリバナ:ニシキギ科・落葉中木・H2~4m 右/サルスベリ:ミソハギ科・落葉高木・H3~10m 左/ヤマモミジ:ムクロジ科・落葉高木・H5~10m 中/ベニシダレモミジ:ムクロジ科・落葉高木・H3~5m 右/テマリカンボク:スイカズラ科・落葉低木・H 1.2~2m 左/黄金コデマリ(スピラエア):バラ科・落葉低木・H約1.5m 中/コバノズイナ:ズイナ科・落葉低木・H 1.2~1.5m 右/西洋イワナンテン:ツツジ科・落葉低木・H約1.5m 左/ユーフォルビア・カラシアス:トウダイグサ科・多年草・H0.5~0.8m 中/キンギョソウ‘ブロンズドラゴン’:オオバコ科・一年草・H0.3~0.4m 下/ペンステモン‘ハスカーレッド’ :オオバコ科・多年草・H 06~0.9m 「Soraniwa(そらにわ)」の作野さんのイチオシはコレ! ナチュラルな草花を使った愛らしい寄せ植え ショップ入り口脇に並ぶ、愛らしい寄せ植えの数々。ショップの植栽同様、ナチュラルな花合わせが魅力です。鉢を持参すると、スタッフと一緒に植え替えや寄せ植えづくりができるのだとか。苗選びから付き合ってもらえるので、寄せ植えづくりのコツが学べます。 インテリアも学べる 屋内売り場 建物内のディスプレイもとても魅力的。トーンを落とした照明で、インドアグリーンを効果的に使い、落ち着きのある空間が演出されています。 こだわりの食材で 飛びきりの時間を提供 店内に設けられたカフェ「そらにわキッチン」では、卵・乳製品を使用せず、オーガニック食材によるランチやスイーツを提供しています。瑞々しいグリーンに囲まれながら、野菜を中心とした彩り豊かなヘルシーなランチと写真栄えしそうなスイーツを、ぜひ味わってみましょう。 緑に包まれた心地よい空間が人気の「Soraniwa(そらにわ)」。「わざわざ訪れてくれた人に、確かな満足を提供したい」という、ホスピタリティあふれるショップです。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、松江だんだん道路・川津ICから車で約5分。 【GARDEN DATA】 Soraniwa(そらにわ) 島根県松江市下東川津158-2 TEL:0852-67-5828 営業時間:10:00~18:30 定休日:火曜日 https://soraniwa-garden.com/ Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。 写真協力/soraniwa
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花の庭巡りならここ! 伝統的な英国スタイルのガーデン「松江イングリッシュガーデン」
2007年に開園した、島根県松江市立「松江イングリッシュガーデン」。イギリスからキース・ゴットさんをヘッドガーデナーに迎えて整備された、英国式庭園です。約1万㎡に及ぶ敷地は、「バラのテラス」「キングサリのアーチ」「ホワイトガーデン」「サンクンガーデン」「パーゴラの中庭」「噴水広場」「憩いの広場」「屋内ガーデン」「クロイスターガーデン」の9つにゾーニングされ、それぞれにテーマ性のある景色が楽しめます。そして特筆すべきは、これだけの規模の庭園で、行き届いたメンテナンスが施されながら、入場は無料だということ。四季を通して見どころが変化していく庭園にはリピーターが多く、地元の方々の憩いのスポットとなっています。 これぞイングリッシュガーデン! 洗練された植栽術にうっとり 毎年、豪華な花穂のデルフィニウムを主役とした、ランドスケープガーデンを制作しています。ゴールデンウィークが一番の見頃で、深いブルーや紫、白のデルフィニウムの株元には、ロベリア、セイヨウダイコンソウ、ブロンズ色のカラーリーフが美しいリシマキア‘ファイヤークラッカー’などが縫うように植栽され、ナチュラルな景色が魅力です。 「松江イングリッシュガーデン」では橋がかけられた水辺の景色も楽しめます。橋の左手に誘引された赤いバラは‘レッドメイディランド’、手前の房咲きのバラは‘バレリーナ’で、6月初旬の景色です。池にはスイレンが植栽され、初夏から開花を楽しめます。空や植物が映り込む水鏡を保つために、スイレンが繁茂しすぎないように、間引いたり花殻摘みをしたりと、定期的なメンテナンスをして景観を維持しています。 5月中旬〜6月中旬のバラの季節は見どころ満載! 「松江イングリッシュガーデン」の園内にはさまざまなバラが植栽されています。見頃は5月中旬〜6月中旬。ホワイトガーデンのアーチは高さ3.5m、奥行き4mで、白バラの‘クライミング・アイスバーグ’、‘オドラータ’がダイナミックに仕立てられています。このホワイトガーデンのアーチの一番の見頃は5月下旬〜6月初頭のわずか1週間ほど。この素晴らしい景色を写真に収めようと、タイミングをはかって何度も訪れる人もいるそうです。 一段下げてつくってあり、上から遠くまで一望できる沈床スタイル「サンクンガーデン」の一角。手前のピンクのバラ‘ピンクヘイズ’が満開を迎えています。19世紀終盤〜20世紀初頭の伝統的な英国スタイルの庭園を再現した園内には、トピアリーや生垣で縁取った、整形式花壇も制作。「松江イングリッシュガーデン」では、総じて約500種の植物が息づいています。 修景バラの‘レッドメイディランド’が園路を彩るランドスケープガーデンの一部。奥のガゼボには、ピンクのバラ‘アロハ’が仕立てられ、現在はガゼボを覆い尽くすほどに成長しており、人気のコーナーになっています。ガゼボの中に入って、香りのよいバラとして知られる‘アロハ’の芳香を楽しみながら、くつろぎのひとときを過ごせます。 宍道湖の借景を生かした、ビロードのように整備された芝生の庭。視界が開けて心地よく、春から秋にかけてはお弁当を広げてくつろぐファミリーの姿が多く見られます。 「松江イングリッシュガーデン」の開花リレーは次の通りです。セイヨウスイセンが2月下旬〜4月下旬、デルフィニウムが4月下旬〜6月中旬、藤棚にダイナミックに仕立てられ、スパイシーな香りが楽しめるシナフジは4月下旬〜5月初旬、キングサリが5月初旬〜下旬、ジギタリスが4月下旬〜7月上旬、バラが5月中旬〜6月中旬、ユリが6月中旬〜7月下旬、宿根サルビアが9月下旬〜12月初旬、紅葉が10月下旬〜12月中旬、クリスマスローズが1月上旬〜4月上旬。リピーターが多いのも納得です! 温室では展示会やコンサートなどのイベントを開催! 温室ではベンジャミンやアコウの大木、熱帯植物を見ることができます。庭園を取り囲むように、温室を兼ねた多目的ホールや回廊があり、展示会やコンサートなどのイベントも開催されます。 このほか、売店では、お菓子や地元のキャラクターグッズ、ガーデニンググッズ、花をモチーフにした雑貨などのお土産物が揃います。なかでもビスケットやクラッカー、チョコレートなど、イギリスをはじめヨーロッパから輸入されたお菓子が大人気だそうです。 併設するイタリアンレストランでコース料理を堪能! 「松江イングリッシュガーデン」では、ウェデイングパーティーも行える、イタリアンレストラン「レストランウェディングLaut」を併設。壁の一面がガラス張りとなっており、宍道湖を一望できるナイスビューを楽しみながら食事を楽しめます。ランチは11:30〜14:00、ディナーは予約制で18:00〜22:00、定休日は火曜です。 写真右はランチの一例。メニューはコースのみで、2,000、3,000、4,500円から選べます。旬の食材を使ったコース料理に舌鼓を打つ、贅沢なひとときを過ごしてみませんか? Information 松江イングリッシュガーデン 所在地:島根県松江市西浜佐陀町330-1 Tel. 0852-36-3030 http://www.matsue-englishgarden.jp/ アクセス:出雲空港より車で約40分 JR松江駅よりバス「免許センター・朝日ヶ丘行き」約30分 一畑電鉄松江しんじ湖温泉駅より、一畑電鉄、出雲方面行きに乗り約5分 車で大阪・岡山方面より米子自動車道−山陰道(松江西ランプ下車)−国道9号線−宍道湖大橋−国道431号線(出雲方面へ) 広島方面より中国自動車道(三次東JCT)−やまなみ街道(尾道松江線)−宍道JCT−山陰道(松江西ランプ下車)−国道9号線−宍道湖大橋−国道431号線(出雲方面へ) オープン期間:通年 定休日:無休、ただし年末年始(12/29~1/3)は閉園 営業時間:9:00〜17:30(4〜9月)、9:00-16:30(10-3月) 入園料:無料 Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが、醍醐味ですね。https://twitter.com/passion_oranges/