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これ何だ?「クサレダマ」|風変わりな名前をもつ植物たち

これ何だ?「クサレダマ」|風変わりな名前をもつ植物たち

「クサレダマ」——。まるで妖怪か、あるいは妖怪が振り回す武器のような名前だと思いませんか。そんな禍々しい名のものをぶん投げられたら、ひどいことになりそうな予感。でも、じつはクサレダマは「腐った玉」でも、「臭い玉」でもないのです。音の響きからは想像もできない優美で爽やかな姿の植物、それがクサレダマ。いったいなぜこんな名前がついたのか、クサレダマの正体に迫ってみましょう。

クサレダマは水辺で活躍する美しい宿根草

初夏の湿った地面から、すっと立ち上がる茎。その先に咲くのは、明るく澄んだ星形の小さな黄色の花。どこにも「腐れ」と呼ばれるような要素は見当たりませんが…。

クサレダマ
iwciagr/Shutterstock.com

この花の正体は、草連玉(クサレダマ)。レダマという低木の花に似た宿根草であることから、草のレダマ「クサレダマ」と呼ばれるようになったというのが通説ですが、音の響きから「腐れ玉」と誤解を受けることが多々ある植物です。

レダマ
名前のもとになったと考えられている低木のレダマ。地中海沿岸やカナリー諸島を原産とし、日当たりと水はけのよい場所を好みます。TAMER YILMAZ/Shutterstock.com
オカトラノオ
リシマキア・ブルガリスは、白い花穂が美しいオカトラノオの仲間。Khairil Azhar Junos/Shuttersotck.com

学名はリシマキア・ブルガリス( Lysimachia vulgaris var. davurica)。サクラソウ科オカトラノオ属の宿根草で、白い花穂が美しいオカトラノオや、ガーデンのグラウンドカバーとしてよく用いられるリシマキア・ヌンムラリア‘オーレア’などの仲間です。リシマキア・ブルガリスはヨーロッパからアジアにかけて広く分布し、日本でも湿地や水辺、用水路沿いなどで見られます。その湿地を好む性質も、「腐れ玉」という誤解を後押ししてしまったのかもしれませんね。

ミソハギとクサレダマ
ミソハギと美しいコントラストのクサレダマ。aga7ta/Shutterstock.com

そもそも、誰がつけたか草のレダマで「クサレダマ」というのもやや雑な名付けのようにも思われますが、昔の植物の呼び方は愛称でも、商品をアピールするものでもなく、その特徴を最短距離で伝えるための伝達情報でした。臭ければ臭い。厄介なら厄介。似ていれば、そのまま似ているものの名を借りる、といった具合。それは昔の人が植物をぞんざいに扱っていたわけではなく、ただ、植物があまりにも身の周りに当然にありすぎて、わざわざ美しい名前を付ける必要がなかったということかもしれません。

シェードガーデンにおすすめのクサレダマ

クサレダマと花々
クサレダマを夏の花々とともに。Sarycheva Olesia/Shutterstock.com

クサレダマは半日陰〜明るい日陰で育つ丈夫な宿根草で、一度根付けば放置気味でもよく増え、真夏の花の端境期の彩りとして活躍します。さらに、湿り気を嫌わないのも貴重な特徴。雨が集まる場所や湿った場所は「植えるものがない問題」に悩まされがちですが、クサレダマなら、レインガーデンの雨落ち部分でも平気です。

広がりすぎに注意

ただし、丈夫で生育旺盛がゆえに気をつける点も。クサレダマは地下茎で増えるので、勢いがよすぎると他の植物の生育に影響を与えることがあります。花壇の中では彩ってほしい範囲を決め、根のコントロールをするのが安心です。プラスチック製の根止めはホームセンターや園芸店などで身近に手に入るアイテムですし、トタン板を深さ20〜30cm土に差し込むことでも、根の広がる範囲を限定できます。

クサレダマに別名をつけるなら?

クサレダマ
水辺に生息するクサレダマ。Evannovostro/Shutterstock.com

上手に使えば真夏に貴重な涼を得られるシェードガーデンやビオトープの「光の差し色」になり、空間が明るくなりますよ。もし現代の感覚で、この花の活躍ぶりを讃える素敵な別名を与えるとしたら、たとえば——「ミズベノヒカリ」、「ナツノコモレビ」、「サマーシェード・イエロー」などでしょうか? 

名前はどうあれ、クサレダマは夏の日陰にそよぎ、私たちに安らぎを与えてくれる植物。今も昔も同じ場所に咲きながら、人の変化を静かに眺めているのかもしれません。

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