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庭の彩りが寂しくなる冬、寄せ植えや花壇を華やかに演出しているガーデニストの面谷ひとみさんに、この冬大活躍の植物を教えていただきます。大定番のパンジー&ビオラから、クリスマスの演出に重宝する常緑低木まで10品種が登場。寄せ植えや花壇での使い方の実例をたっぷり&栽培のちょっとしたコツもご紹介。冬こそガーデニングを楽しみましょう!

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【パンジー&ビオラ】芸術的に進化する魅惑の花色を鉢植えで

パンジー&ビオラ

パンジー&ビオラは冬の花の代表選手。10月頃から店頭に並び始め、翌年の4月まで庭を彩ってくれる花期の長い一年草です。毎年、新品種が登場し、八重咲きやフリル、フリンジ、斑入り、ピコティ(覆輪)、バイカラー(2色咲き)、小輪、極小輪など、多彩なバリエーションは進化し続けています。人気作出家やブランドの花は1株千円前後することもありますが、ひと冬うっとり過ごさせてくれる千円を他に探すのは難しいかもしれません。ちなみにパンジーもビオラもどちらもスミレ科の植物で、花の比較的大きいものをパンジー、小さいものをビオラと呼び区別しています。

パンジー&ビオラの寄せ植え

パンジー&ビオラの色は季節で変化があり、寒いほどに鮮やかさが際立ちます。上の写真は同じ寄せ植えですが、左が12月で右が翌年3月の様子。冬の間はピンクが濃く、メリハリのある表情ですが、春になると花色が優しくなり、花数も増えてふわっとした印象に変化しました。そんな季節による表情の変化もパンジー&ビオラの魅力の一つです。

パンジー&ビオラの栽培のコツ

パンジー&ビオラ

これまで何百という種類を育ててきた経験から、花の特徴によって生育の仕方にも個性があることが分かりました。人気のフリル系八重パンジーは、花弁数が多いので花を咲かせるのに通常のパンジーよりパワーが必要です。植え込み時には元肥を、そして生育中も肥料が切れないように液肥をしっかり与えながら育てると、花数が確保できます。そうした特徴からも施肥管理がしっかりできる鉢植えのほうが栽培には向いているようです。また、雨に濡れると八重咲きは花が傷みやすいので、置き場所は軒下などがいいでしょう。

ビオラ

一方、花径が小さく素朴な印象のビオラは地植えで活躍してくれます。冷たい雨に濡れても花茎がシャキッと立ちます。春になると花数が増えて華やかになりますが、草丈が10〜15cmと小さいので、春咲きの球根花やクリスマスローズの株元を彩るのにも最適です。

【ガーデンシクラメン】華やかな色彩でハレの日にぴったり

ガーデンシクラメン

シクラメンは赤やピンクのパッと目につく華やかな花色が特徴で、クリスマスやお正月などハレの日の演出に最適な冬の花材です。一般的なシクラメンは寒さに弱いため、部屋の中で鉢植えを楽しみますが、シクラメンよりミニサイズのガーデンシクラメンは、寒さに強く冬の庭でも育てることができます。花弁が反り返って咲くピンクや赤系の花が一般的ですが、上向きに咲くものや花弁がクルクルとリボン状になるもの、ブルーやイエロー系など多彩なバリエーションで毎年楽しませてくれます。

ガーデンシクラメン
ストライプ模様がユニークなシクラメン‘クレヨン’。

ガーデンシクラメンの栽培のコツ

ガーデンシクラメン
葉を外側へ、花芽を中央に移動する「葉組み」により開花が促される。

ガーデンシクラメンはサクラソウ科シクラメン属の球根です。葉が密に重なっており、内側に枯れた花や傷んだ葉が隠れがちです。株をそっとかき分けながら、枯れた花や枯れ葉は、「株元から」茎をやさしくねじって折り取るようにします。シクラメンがかかりやすい病気に灰色かび病という病気がありますが、球根や葉、花に水がかからないよう株元に水やりをし、上記の手入れをして風通しよく育てることで防ぐことができます。

冬の寄せ植え

ガーデンシクラメンは一般的なシクラメンよりは寒さには強いですが、雪や霜が強く降りると、花がしおれて復活しにくいので、鉢植えで軒下などで育てるのがおすすめです。

ガーデンシクラメンの夏越し方法

シクラメンは5月頃別の鉢に植え替え、水やりをせずにそのまま9月頃まで過ごさせることで休眠して夏越しが可能です。その間、地上部は葉も茎も何もない状態になります。直射日光と雨の当たらない屋外の風通しのよい場所で鉢を管理します。秋になり涼しくなってきたら、植え替えて日当たりのよい場所に移動し、水やりと肥料を再開しすると再び葉が茂り始めます。

【ストック】草丈の高さを生かして大鉢の中心に

ストック

ストックの草丈は20〜80cmで、パンジー&ビオラやガーデンシクラメンなど、他の冬の花に比べて、この時期では貴重な草丈のある花です。その草丈の高さを生かして大鉢の寄せ植えの中央にストックを植えると、立体的なフォルムになり存在感が抜群。特にクリスマスやお正月の頃の寄せ植えには真っ赤なストックが活躍してくれます。

ストックの花壇
草丈のあるストックは冬の花壇も立体的に見せてくれます。

ストックの栽培のコツ

ストックは、アブラナ科アラセイトウ属の一年草です。原産地はヨーロッパ南部で多年草とされていますが、日本の厳しい夏を乗り越えられないため、日本では一年草に分類されています。一年草ですが11月頃から苗が出回り、翌年5月頃まで花を咲かせる花期の長い花です。ガーデン向けに販売されているストックは分枝するタイプのものが多く、花がら摘みをすることで脇からも花茎が伸びて繰り返し花が楽しめます。

【スイートアリッサム】レースのような群花がエレガント

スイートアリッサム

スイートアリッサムは、ひと花は小さいですが、花いっぱいの姿がエレガント。花色は、白、ピンク、紫など、他の花と組み合わせやすい色が揃っています。草丈は、10~15cmと低く、広がって咲き、寄せ植えでは鉢縁に植栽すると枝垂れるように伸びて、鉢との一体感を生んでくれます。

スイートアリッサム

ガーデンでもよく咲き広がり、広い面を花で埋めてくれるグラウンドカバープランツとしても活躍します。大鉢の周りをスイートアリッサムで埋め尽くすようにすると、よりロマンチックな雰囲気になります。

スイートアリッサムの栽培のコツ

花期は長く、2~6月、9~12月。高温多湿が苦手なので、春に咲いた花は、夏に茎を5cm程度切り戻すことで、秋にもよく花を付けます。さらに、ゆっくりと効果があらわれる緩効性の肥料を施すと、きれいに咲き継いでくれるでしょう。日本では一年草として扱われているアリッサムですが、じつは、冷涼な地域では宿根草として扱われます。

【ペルネッティア】オーナメンタルなたわわな実

ペルネッティア

別名ハッピーベリーとも呼ばれ、花言葉は「小さな幸せがいっぱい」「実る努力」です。そんな花言葉から、この時期、受験勉強に励むお子さんがいるお宅におすすめ。初夏頃にズスランのような小さなベル形の花を咲かせますが、秋から冬に実る赤やピンクの実を主に観賞します。園芸店に流通するのもその頃です。ツヤツヤの実は寄せ植えや花壇のかわいいアクセントになり、クリスマスらしい雰囲気を演出するのにも重宝します。

ペルネッティア
花壇の縁を彩るペルネッティア。寒さに強く地植えでOK。
ペルネッティアの寄せ植え
淡いピンクと濃いピンクのペルネッティアを鉢縁に入れた寄せ植え。

ペルネッティアの栽培のコツ

ペルネッティアはツツジ科の常緑低木で、北海道で生産されることが多く耐寒性には優れていますが、耐暑性は弱いです。また、多くの庭の植物がアルカリ性から中性の土壌を好むのに対し、ペルネッティアは酸性土壌を好み、人工受粉をしないと再び実をつけるのが難しいので、私は一年草扱いとしてワンシーズン楽しんでいます。

【宿根ネメシア】ボリュームたっぷりに咲く開花期の長い小花が魅力

宿根ネメシア

日本で長く親しまれてきたのは一年草のネメシアですが、近年は2〜3年は株が生育する宿根草タイプが重宝されています。宿根ネメシアは耐寒性が強く、耐暑性もほどほどあり、10〜6月まで長期間開花し夏越しします。上記写真のネメシア・エッセンシャル‘ラズベリーレモネード’のようなイエローとラズベリーの組み合わせなど、花色も多彩に進化し、香りが豊かなものなど魅力が増すばかりです。

宿根ネメシア・メーテル
甘い香りが漂うゲブラナガトヨの宿根ネメシア・メーテル。耐寒性が強くマイナス5℃まで耐える。

宿根ネメシアの栽培のコツ

10月から6月の開花期間中、咲き終わった花はこまめに取り除きます。株全体の花が咲き終わってきたら、株元から5〜10cm程度の場所で切り戻すと再び新芽が発生し開花が促されます。開花中と切り戻し後には定期的に液肥を与えます。

【カルーナ】クリスマスの演出に重宝する常緑低木

カルーナ

カルーナは常緑低木でシュッと細長い形状をしており、葉っぱがモミの木に似ているのでクリスマスの演出に最適です。細かな緑の葉の間から縦に連なるように花を咲かせ、花穂のような咲き姿になりよく目立ちます。品種によりさまざまな草丈がありますが、高さがあるものは大鉢や細長いタイプの鉢の中央に植えると見応えが出ます。花色も赤、ピンク、オレンジ、黄、白など多彩なバリエーションがあります。荒れた痩せ地の酸性土壌に自生し、耐寒性は強いですが耐暑性は弱いので、暖地での夏越しは困難です。私は一年草として扱っています。

カルーナの寄せ植え
カルーナを中心にストック、ガーデンシクラメン、パンジー、スイートアリッサムと、鉢縁にいくに従い草丈が低くなるよう寄せ植え。
カルーナの寄せ植え

丸くてこんもりと茂るタイプの花が多いなか、カルーナはライン状の花姿が寄せ植えのよいアクセントになります。草丈が小さいコンパクトな品種は、中鉢から小鉢の寄せ植えにぴったり。

冬の寄せ植え
横長のバスケットコンテナにガーデンシクラメン 、ビオラ、スイートアリッサムと寄せ植え。

【ハボタン】バラに似た葉姿がお洒落

ハボタン

ハボタンはキャベツやブロッコリーなどと同じアブラナ科の植物で、別名「ハナキャベツ」とも呼ばれます。キャベツと異なるのは美しい色。観賞期間はとても長く、寒さに強く気温の低下に伴って鮮やかに発色し、白やピンク、赤、紫などに株の中心部が染まっていきます。小ぶりでバラのような花形のものなどがあり、寄せ植えにお洒落な雰囲気をもたらしてくれる冬の素材です。春には株の中心部が伸びてきて菜の花とよく似た黄色の花を咲かせます。二年草、または多年草ですが、私は一年草扱いでワンシーズン楽しみます。

ハボタンの寄せ植え
左は12月の植栽直後。右は翌年4月の様子。春になると花心が長く伸びてきて、菜の花によく似た花が咲く。

【スキミア】つぼみの姿がかわいい常緑低木

スキミア

スキミアは、ミカン科ミヤマシキミ(スキミア)属の常緑低木。晩秋から冬にかけてプチプチとしたつぼみや赤い実をつけた可愛い姿を保ち、春になると花が咲き、冬から春にかけての花壇や寄せ植えで活躍してくれるガーデンプランツです。園芸店に並ぶ幼苗は樹高30cmほどで、寄せ植えや花壇で活躍します。花期は春の3月頃ですが、11月頃に花芽ができはじめ、冬はつぼみのまま全く変わらない姿を観賞でき、手をかけなくてもきれいな姿を保つことができるのが嬉しいところ。クリスマスやお正月の花飾りとしても活躍します。

スキミアの寄せ植え
赤と緑のスキミア、パンジー、チェッカーベリーを大鉢に寄せ植え。春にはつぼみが開花して白い花が咲き、雰囲気がガラリと変わる。

スキミアの栽培のコツ

スキミアの苗が園芸店に出回るのは、主に11~12月なので冬は寄せ植えに用い、その後は寄せ植えをバラして地植えにします。スキミアは元々山の中で育つような植物なので、日陰を好みます。夏の暑さや直射日光が苦手なので、庭のシェードエリアに地植えにしています。生育はとてもゆっくりで、将来的にも樹高は80~100cmほどとコンパクトなので、花壇の奥のほうへ植えておくと手がかからず常緑の葉がいつもきれいに日陰を彩ってくれます。

【コニファー】クリスマスの定番樹木

コニファー
クリームイエローの葉が美しいコニファー・サルフレア。成長すると2〜3mに。

コニファーは常緑針葉樹の総称で、マツ科やヒノキ科などのさまざまな種類があります。葉色は緑に限らずシルバーがかっていたり青味がかっていたり個性豊か。円錐形の美しい樹形は、クリスマスツリーとして活躍します。大きなクリスマスツリーを庭にしつらえるのは大変ですが、小型のタイプのコニファーを寄せ植えにすると、華やかなクリスマスツリーが演出できます。

パンジーやガーデンシクラメン、チェッカーベリーなど赤い花の中にミニサイズのイタリアカサマツ(ピヌス・ピネア)が入ると、よりいっそうクリスマスらしい雰囲気。

コニファーの栽培のコツ

日当たりのよい場所が栽培適地。耐寒性は強いですが、夏の暑さには弱いので西日が強く当たる場所は避けます。苗木のうちは寄せ植えにできるくらい小さいですが、例えば上のイタリアカサマツ(ピヌス・ピネア)は10mくらいになるので、地植えにする際は生育後の樹高を調べてから場所を選ぶ必要があります。

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