【寄せ植え】ハボタンが主役の寄せ植え コツは組み合わせと植え方!

寄せ植えはさまざまな花を組み合わせるためブーケのように華やかながら、日々植物が生育して姿を変えていくのが大きな魅力です。1鉢で華やかな寄せ植えの作り方を、花のスペシャリスト、エム・アンド・ビー・フローラの難波良憲さんに教わる連載「1鉢で華やか! 寄せ植えブーケ」。第3回目は1~2月の厳冬期に美しさを発揮するハボタンの寄せ植えを解説します。
目次
寒さに本領を発揮するハボタン

ハボタンはキャベツやブロッコリーなどと同じアブラナ科の植物で、別名「ハナキャベツ」とも呼ばれます。形はキャベツによく似ていますが、キャベツと違って美しい色が特徴。寒さに強く、気温の低下に伴って鮮やかに発色し、白やピンク、赤、紫などに株の中心部が染まっていきます。近年は、小ぶりでバラのような花形のものもあり、黒やシルバーなど葉色のバリエーションも豊富。まるで葉脈にワインを流し込んだように赤色がくっきりと浮き立つ品種も人気です。大型のものもありますが、寄せ植えではミニサイズの品種を用います。脇役に回りがちなリーフ類ですが、ハボタンは主役として存在感を発揮してくれる冬の素材です。

観賞期間はとても長く、秋から冬にかけて色が美しさを増し、春には株の中心部が伸びてきて菜の花とよく似た黄色の花を咲かせます。株姿がどんどん変化するのも楽しいリーフです。
ハボタンが主役の2月の寄せ植え

ハボタンの美しさを愛でる寄せ植えを作ってみましょう。草丈の低いハボタンを前面に置き、中央後部にガーデンシクラメンを配置して高さを出します。全体をハボタンの葉脈の色に合わせてピンク系で揃え、きれいな扇形にまとめます。
【花材】

- ハボタン 2苗
- ガーデンシクラメン‘森の妖精’ 1苗
- ネメシア‘フラミンゴ’ 2苗
- セイヨウイワナンテン‘フロマージュ’ 1苗
- スイートアリッサム 1苗
(*鉢の大きさに応じて苗の数を調整してください)
【その他の材料と道具】
- 鉢/幅20cm前後
- 鉢底石
- 培養土
- 水を張ったバケツ(手洗い用)
- 何も入っていないバケツ(土捨て用)
- 回転台(あると便利)
【作り方】
① 鉢の底に鉢底石を入れ、培養土を8〜9分目くらいまで入れます。鉢は回転台の上に乗せて作業します。

② ハボタンをビニールポットから取り出します。ポットの中で根が回っていたら根をほぐし、色の褪せた外葉は株元から外します。

③ ハボタンを前面の両端に1苗ずつ植えます。基本的に後から土を足さないので、株元までしっかり植わるようにグッと苗を土に押し込みます。このとき、少し前方へ傾けて植えるのがポイント。
【きれいのPoint!】

ハボタンの魅力がどこにあるか、株を持って観察してみましょう。バラの花のように渦を巻いた中心部分がきれいだと思いませんか? 色のグラデーションも美しいこの中心部がよく見えるように、斜めに傾けて植えるのです。

まっすぐ直立させて植えると、置き場所によっては葉の裏ばかりが見えて、せっかくのハボタンのチャームポイントが見えません。植えるときは、その植物の魅力はどこにあるのか、よく観察して、チャームポイントが生きるように配置してあげましょう。

④ シクラメンをビニールポットから取り出します。ポットの中で根が回っていたらベリッとはがしながら、ほぐします。また、葉っぱをかき分けて、内側に枯れたつぼみや葉、黄変した葉があれば取り除きます。この後に登場するほかの植物も同様にします。

枯れたつぼみや葉っぱにはカビが発生することがあり、そのままにしておくと病気の原因となります。
【きれいのPoint!】

苗をほぐす際に土を触ったら、1回1回、手を洗ってきれいにしましょう。土のついた手で植物を触ると、葉っぱや花が汚れて仕上がりが汚くなってしまいます。寄せ植えの花たちは、鉢の中で共演する、いわば舞台役者です。汚さないように丁寧に扱いましょう。

⑤ ガーデンシクラメンを中央後方へ植え付け、ハボタンとガーデンシクラメンの間にセイヨウイワナンテン‘フロマージュ’を入れます。ハボタンとガーデンシクラメンは高さに差があるため、セイヨウイワナンテンを入れることで間を自然につなぎます。

このとき、ポットから抜き出したセイヨウイワナンテンをそのまま植えると、間がうまくつながりません。株を割り広げ、横長にしてから植えましょう。

⑥ ネメシア‘フラミンゴ’をガーデンシクラメンの両サイドに入れます。中央に入れたガーデンシクラメンを頂点とし、寄せ植え全体が扇形のフォルムになるようにしたいので、ネメシアもやや株を広げます。このとき、1株ずつの花の高さを観察して、左右どちらに配置するかを吟味します。
【きれいのPoint!】

左の写真のように端にくる花の草丈が高いと、扇形にならず全体のまとまりが悪くなります。右の写真のように端にくる花の草丈が低いと扇形に近づきます。同じ花でも株には個体差があり、高さもまちまちです。わずかな差ですが、1株1株をよく見て配置を見定めることによって完成度が変わってきます。


⑦ アリッサムをハボタンの間に植え込みます。植え込み前に株を内側までよくチェックし、枯れ葉や黄色くなった葉は取り外しておきます。

⑧ 最後に回転台を回しながら、全体をチェックします。植え込んでいくうちに、最初に植えた植物が傾いてきてしまうことがあるので、微調整しましょう。

完成です。ハボタンは、生育にするにつれ茎が伸びて浮き上がってしまうので、そうなったらグッと株元まで深く埋め戻してあげましょう。寒さには強いですが、置き場所は霜や雪の当たらない軒下などが向いています。
ハボタンの寄せ植えバリエーション

プラチナケールというハボタンの仲間とガーデンシクラメン‘プチティアラ’をメインにした円形の鉢の寄せ植え例です。バラの花のようなピンクのハボタンに、鮮やかなピンクのガーデンシクラメンを合わせました。この寄せ植えでは、ネメシアをガーデンシクラメンとハボタンのつなぎに使っています。

ハボタンはさまざまな色や形があり、可愛らしくも演出できますし、黒葉を使ってカッコよくも演出できます。次回は、黒葉を使ったクールなハボタンの寄せ植えをご紹介します。お楽しみに!
協力/株式会社エム・アンド・ビー・フローラ
Credit
寄せ植え制作&アドバイス / 難波良憲

八ヶ岳にある種苗メーカー「エム・アンド・ビー・フローラ」に勤務。膨大な植物の知識を生かし、花の個性を生かしたブーケのように華やかな寄せ植えが好評。同社のショップ(現在はクローズ)での店長を担当しつつ、寄せ植え教室を開催。現在は、同社インスタグラムを通じて、季節毎の華やかな寄せ植えの紹介や、水やりなどガーデニングの基本知識や様々なお役立ち情報の発信を行っている。気になる方はぜひアカウントを覗いてみてください。
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取材&文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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