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【初心者さん向け】放任でもOK! こぼれ種で毎年花咲くニゲラ(クロタネソウ)を育ててみよう

【初心者さん向け】放任でもOK! こぼれ種で毎年花咲くニゲラ(クロタネソウ)を育ててみよう

billysfam/Shutterstock.com

ガーデニングに挑戦したいけれど、なんだか難しそう……。そんな初心者さんにぜひおすすめしたいのが、ユニークな花姿が魅力の「ニゲラ(クロタネソウ)」です。日本ではクロタネソウの別名で親しまれているニゲラは、変わった風情の花姿から、西洋では「茂みの中の悪魔(Devil in a bush)」というちょっぴり恐ろしげでユニークな英名で表現されることもあります。そんな個性的な見た目とは裏腹に、ニゲラは放任しても丈夫に育ち、ビギナーでも育てやすい植物です。こぼれ種でも増えるほど強健で、病気の発生もほとんど心配ありません。開花時期は4月下旬から7月上旬頃で、花後につく実も観賞価値が高く、ドライフラワーとしても活用できます。この記事では、そんなニゲラの魅力や、初心者でも安心して挑戦できる育て方のポイントを詳しくご紹介します。

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ニゲラの基本情報

ニゲラ
terra incognita/Shutterstock.com

植物名:ニゲラ
学名:Nigella
英名:Nigella
和名:黒種草(クロタネソウ)
科名:キンポウゲ科
属名:クロタネソウ属
原産地:地中海沿岸~西アジア
形態:一年草

ニゲラは、キンポウゲ科クロタネソウ属の秋まき一年草です。ライフサイクルは短いほうで、秋にタネを播いた後に育苗し、冬になると生育が止まってそのまま年を越します。春の生育期になると茎葉を旺盛に伸ばし、4月下旬から7月上旬にかけて開花。開花が一通り終わったら、夏の暑さに耐えられずに枯死します。花苗店には苗が販売されているので、春に買い求めて苗の植え付けからスタートしてもよいでしょう。

ニゲラの学名は、Nigellaと表記します。地中海から西アジアに分布し、約15種あるとされています。日本ではクロタネソウの別名で親しまれており、これはニゲラ・ダマスケナ(Nigella damascena)で、主に南ヨーロッパに分布している種類です。

種姿と花が一緒に楽しめるニゲラの花壇。STEKLO/Shutterstock.com

ニゲラの花や葉、実の特徴

ニゲラの花後
KazarinaSofiia/Shutterstock.com

園芸分類:草花
開花時期:4月下旬~7月上旬
草丈:40~100cm
耐寒性:強い
耐暑性:弱い
花色:青、紫、ピンク、白、複色

ニゲラの葉は糸のように細く、裂けて広がるような形で展開します。一見するとトゲトゲしいのですが、触ってみると柔らかいので扱いにくくはありません。花は、花茎を伸ばした先端に1輪つきます。花径は3〜5cmほどで、花色は白、ブルー、ピンクなど。花弁に見える部分は萼片で、トゲのように見える糸状の総苞片(そうほうへん)が周囲を覆うようにつく、独特の花姿をしています。花がら摘みをせずに開花後そのままにしておくと、ふっくらとしたラグビーボールのような実がつきます。グリーンの実には縦に茶色のストライプが入り、トゲのような総苞片が残る個性的な実姿にも観賞価値があります。この実はドライフラワーにしやすく、インテリアの素材にしても素敵です。

ニゲラの草丈は30〜80cmで、花壇の中段〜後段に向いています。細い枝や針のような葉は、少しの風でもゆらゆらと揺れ、繊細な佇まいを見せてくれます。適度に花つきがよく、野草のように楚々とした雰囲気を持っているので、ナチュラルガーデンなどに向いています。

ニゲラの名前の由来・花言葉

ピンクのニゲラ
Sarah2/Shutterstock.com

ニゲラの花の名前はラテン語の「niger」(黒いという意味)から来ており、真っ黒な種に由来しているとされています。和名の黒種草(クロタネソウ)も同様に、タネが黒いことから名付けられました。英名には、「Love in a mist(ラブ・イン・ア・ミスト/霧の中の恋人)」や「Devil in a bush(デビル・イン・ア・ブッシュ/茂みの中の悪魔)」があります。これらは花や姿の独特の造形から名付けられたようです。

ニゲラの花言葉は、「当惑」「困惑」「不屈の精神」「夢の中の恋」「ひそかな喜び」「夢の中で会いましょう」など。いずれもトゲを絡めた中で、ひそやかに美しい花を咲かせる姿をイメージさせるものばかりです。

ニゲラの代表的な種類

‘マルベリーローズ’

ニゲラ‘マルベリーローズ’
ニゲラ‘マルベリーローズ’ Walter Erhardt/Shutterstock.com

八重咲きの愛らしいピンクの花がつきます。濃いめのピンクがでたり、ピンクと白の2色咲きになったり、その色幅やグラデーションを観賞する楽しさもあり、群植すると迫力が出ます。草丈は50cm前後。

‘ペルシャンジュエル’

花径が4〜5cmで、紫、青、白、ピンクの色が揃います。華やかな八重咲きの花姿が魅力です。

‘ブルーイスタンブール’

その名の通り澄んだブルーの花色が目を引く品種。花径は6cmほどとやや大きめで、花もちがいい性質があります。草丈は120cmほどになるので、花壇の後段などに。

ニゲラ・パピローサ‘アフリカンブライド’

ニゲラ・パピローサ‘アフリカンブライド’
ニゲラ・パピローサ‘アフリカンブライド’ Ole Schoener/Shutterstock.com

人気の白花種。真っ白な5弁花に黒みを帯びた雌しべや雄しべのコントラストが美しいのが特徴です。草丈は50cmほど。

‘グリーンマジック’

ニゲラ‘グリーンマジック’
ニゲラ‘グリーンマジック’ InfoFlowersPlants/Shutterstock.com

花弁と萼片がなく、グリーンに白がほんのりのる爽やかな総苞を観賞する品種です。

‘ミッドナイト’

ニゲラ‘ミッドナイト’
ニゲラ‘ミッドナイト’ Alex Manders/Shutterstock.com

濃いブルーと黒い花心が、その名の通り深い夜の色を思わせる品種。珍しい花色なので、花壇やフラワーアレンジメントのアクセントとして用いられます。花茎の分岐が多く、花数が多いため、ボリュームも出しやすい花です。

‘ミスジーキル’

ニゲラ‘ミスジーキル’の白花
ニゲラ‘ミスジーキル’の白花。Alex Manders/Shutterstock.com

淡い青、濃い青、白など清涼感のある花色が特徴。草丈が約45cmと小ぶりな‘ミスジーキル’は、可憐な佇まいから、フラワーアレンジメントでも人気の高い品種です。

ニゲラ・オリエンタリス‘トランスフォーマー’

ニゲラ・オリエンタリス‘トランスフォーマー’
ニゲラ・オリエンタリス‘トランスフォーマー’ rontav/Shutterstock.com

天に向かって真っすぐに伸びる緑の花心が特徴的な品種。茎が太く、しっかりとしています。枯れ姿もおしゃれで、ドライフラワーのアレンジメントにもよく用いられます。

ニゲラの栽培12カ月カレンダー

開花時期:4月下旬~7月上旬
肥料:3月中旬~4月、10月~11月
植え付け:10月上旬~11月下旬、3月中旬〜4月下旬
種まき:9月上旬~10月下旬

ニゲラの栽培環境

ニゲラ
iMarzi/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

ニゲラを栽培する際には、日当たりや風通し、水はけが大切なポイントです。日当たりがよく、風がよく通り、水はけのよい環境で育てましょう。

日陰ではニゲラが育たず、茎だけが細くヒョロヒョロと伸びる、徒長の状態になってしまう恐れがあるので注意します。

また、水はけにも注意が必要です。ニゲラは過湿を嫌うので、土の水はけが悪かったり、水やりをしすぎたりすると弱ってしまいます。

耐寒性・耐暑性

ニゲラは寒さに強く、暑さに弱い植物です。暑さに耐えられず夏には枯れてしまいますが、冬は特に対策を必要としません。

ただし、凍結や霜で傷んでしまうことがあるので、不織布やマルチングなどで覆って寒さから防ぎましょう。

ニゲラの育て方のポイント           

用土

土
bluedog studio/Shutterstock.com

【地植え】

酸性に傾いた土壌を嫌う傾向にあるため、植え付ける1〜2週間前に苦土石灰をまいて、酸性土壌を中和しておきます。さらに腐葉土や堆肥などの有機質資材を投入し、よく耕してふかふかの土を作っておきましょう。土に土壌改良資材や肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。

水やり

水やり
wavebreakmedia/Shutterstock.com

株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、ジョウロのハス口を外して、株元の地面を狙って与えてください。

【地植え】

植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチすることが、枯らさないポイントです。冬は乾きにくいので水やりは控えめにし、気温の上がる昼頃に与えるようにします。

肥料

肥料
Singkham/Shutterstock.com

【地植え】

あまり多肥を好まないため、植え付け時に十分な土づくりをしていれば、追肥は不要です。逆に与えすぎると徒長して倒れやすくなり、病害虫も発生しやすくなります。

【鉢植え】

晩秋〜冬に植え付けた場合は、生育が盛んになる少し前の3月上旬頃に、緩効性化成肥料を施すとよいでしょう。春に植え付けた場合は、元肥を施してあれば十分です。ただし、生育が悪いようなら速効性のある液肥を与えて様子を見ましょう。

注意する病害虫

アブラムシ
nechaevkon/Shutterstock.com

【病気】

病気の発生はほとんど心配ありません。

【害虫】

ニゲラに発生しやすい害虫は、アブラムシです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉について吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目にも悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。    

ニゲラの詳しい育て方

ニゲラ
ABO PHOTOGRAPHY/Shutterstock.com

苗の選び方

ニゲラの苗を選ぶ際は、節間が間のびしておらず、がっしりと締まって勢いのあるものを選びましょう。株の根元まで葉がついた元気なものがおすすめです。まだ花が咲き始めていない若い苗を選べば、花を長く楽しめます。

なお、ニゲラは種子からでも育てられます。種まきについては次項で解説します。

種まき

ニゲラのタネ
spline_x/Shutterstock.com

ニゲラは、ビギナーでも種まきから育てられます。種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広く、たくさんの苗を植え付けたい場合は、コストカットにもなりますね。

ニゲラの発芽適温は20℃前後。種まきの適期は、暖地では9月下旬〜10月頃です。寒冷地では、春まで待ってから播くのがよく、4月中旬〜5月中旬が適期。すると6月下旬〜8月上旬に開花します。

ニゲラは嫌光性種子(発芽に光を必要としない種の性質)で、しっかりと覆土することが、種まきの最大のポイントです。また、植え替えると根づきにくい性質があるので、庭に直まきするか、黒ポットに種を播き、苗を育てます。育った苗は、根鉢を崩さずに丁寧に植え付けるとよいでしょう。

庭に直まきする場合、間隔は20cmほど取ります。明るいと発芽しないので5mmほどの穴に2〜3粒ずつタネを播き、しっかり覆土しておきます。最後にはす口をつけたジョウロで、高い位置から優しい水流でたっぷりと水やりしておきましょう。

黒ポットに播く場合は、黒ポットに市販の草花用培養土を入れ、5mmほどの穴にタネを2〜3粒ずつ播き、しっかり覆土しておきます。最後にはす口をつけたジョウロで高い位置から優しい水流でたっぷりと水やりしておきましょう。風通しのよい場所に置き、乾燥させないように水の管理をします。

直まき、ポットまきともに、15〜20日ほどで発芽します。発芽後はしっかりと日光に当てて管理し、幼苗のうちに1本を残して他は間引きましょう。ポットまきにした場合は、7〜10日に1度を目安に液肥を与えて生育を促し、植え付け適期まで育苗します。

植え付け

植え付け
AlenKadr/Shutterstock.com

黒ポットに種まきして育てた場合、植え付けの適期は温暖地で11〜4月頃、寒冷地で6月頃です。フラワーショップで苗を購入してスタートする場合は、春先に苗が出回っているので、入手次第植え付けます。

【地植え】

土作りをしておいた場所に、苗を植え付けます。ニゲラは植え替えを嫌う性質があるため、ポットから苗を出した時に根鉢を崩さずにそのまま植え付けるのがポイントです。複数の苗を植え付ける場合は、約20㎝の間隔を取っておきましょう。植え付けた後に、たっぷりと水やりします。霜が降りる場所や乾燥しやすい場所では、表土にバークチップなどをまいてマルチングをしておきましょう。

【鉢植え】

鉢の大きさは、6〜7号を準備します。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットのまま鉢に仮置きし、高さを決めます。ニゲラは植え替えを嫌う性質があるため、ポットから苗を出した時に根鉢を崩さずにそのまま植え付けるのがポイントです。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

日常のお手入れ

ニゲラ
Golden Shark 2/Shutterstock.com

ニゲラは、自然と花びらが散るので花がら摘みは基本的に必要ありません。

ただし、株全体が過密になると風通しが悪くなり、病害虫を招くことがあります。茂りすぎていると感じたら、適宜花がら摘みや間引くような剪定を行ってもよいでしょう。

なお、花が終わった後に放置していると、種子がこぼれて芽吹くことがあります。こぼれ種を防ぎたい場合は、花がらは摘んでおきましょう。

増やし方

ニゲラの種まき時期は春、もしくは秋です。暖かい地域の場合は秋、寒い地域の場合は春に種まきをするのがおすすめです。

ニゲラの種はポット、土への直まきどちらでも芽吹きますが、明るい場所では発芽しにくい性質があります。そのため、まいた種の上から土をかぶせて、暗い環境を保つことが重要です。

種をまいた後は、土が乾かないように水やりを行いましょう。種まきから15日ほどで発芽するので、その後は明るい場所に置きます。

ニゲラの活用方法

ニゲラは花を楽しむほか、ドライフラワーやスパイスとしても活用されています。       

ドライフラワー

ニゲラのドライフラワー
Natalia Dralova/Shutterstock.com

ニゲラはドライフラワーにしても楽しめる花です。

花が終わった後には風船のようなユニークな形の実をつけます。この状態でドライフラワーにすると、独特な趣のある姿になります。

ドライフラワーを作る手段としてもっとも簡単なのは、花瓶に挿した切り花の水を少しずつ減らす方法です。水が腐らないように花瓶の水を替えつつ、徐々に水の量を減らしていきましょう。

切り花を干してもドライフラワーにできます。風通しのよい環境で逆さに吊るし、1~2週間ほどで完成です。

完成したニゲラのドライフラワーは、ほかのドライフラワーと合わせてブーケやリースに活用できます。花瓶に挿したり、束ねて壁やドアに吊るしたりと、シンプルに飾ってもおしゃれですよ。

スパイス

ブラッククミンシード
Tatevosian Yana/Shutterstock.com

ニゲラの一種であるニゲラ・サティバ(Nigella sativa)は、別名ブラッククミンシード、あるいはカロンジ、和名ではニオイクロタネソウなどと呼ばれ、スパイスとして世界各地で食用されています。

ブラッククミンシードには鎮痛や抗菌・抗炎症、抗酸化、肝臓保護、気管支拡張、降圧などさまざまな効能があります。そのため高血圧や喘息、糖尿病などへの効果が期待されており、スーパーフードとして注目されています。

ただし、一般的な園芸品種であるニゲラ・ダマスケナには毒性があります。同じニゲラでも、品種によって食べてはいけないものがあるので注意が必要です。

なお、食用であるニゲラ・サティバも、わずかに毒を含んでいます。少量なら体への影響はありませんが、大量に摂取すると中毒を起こす可能性があるので気をつけましょう。

ニゲラを育ててみよう!

ニゲラ
vov4ikIV/Shutterstock.com

ニゲラは、ユニークな花を咲かせ、実姿にも観賞価値がある草花です。こぼれ種でも増えるほど強健で、病気にも強い性質のため、初心者でも育てやすいのもいいですね。花壇にもコンテナ栽培にも向いているので、ぜひガーデンやベランダに迎えてみてはいかがでしょうか。

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