春は種まきの季節です。タネから育てるなんて難しそう、と思うかもしれませんが、タネはそもそも発芽するようにできているので心配はご無用。タネから育てれば経済的で、その後も丈夫に育つというメリットも! 初心者でもできるやり方を分かりやすく徹底解説します。

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タネは発芽するようにできている!

発芽
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花や野菜をタネから育てるなんて難しそう……。あなたは、そう思っていませんか? でも、タネをまいて発芽させるのは、じつは意外に簡単。というのも、花や野菜のタネには素晴らしい力が秘められているからです。タネの中には生物が成長していく元となる「胚(はい)」と、成長の養分となる「胚乳(はいにゅう)」があり、水をやったり光に当たったりすることで休眠から目覚め、発芽し生育するシステムを持っているのです。

そして、種まきから数日後、可愛い緑色の芽が出ているのを発見したときの感動といったら! 一度でもその感動を味わえば、種まき大好きになること間違いナシ!

さあ、この春はぜひ、花や野菜の種まきに挑戦してみましょう!

3月になったら種まきを始めよう

種まき
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3月上旬から4月~5月上旬にかけては、春播きの花や野菜の種まきの適期です。

桃の節句(3月3日)が過ぎたら、種まきの準備を始めましょう。

春の種まきカレンダー(一般地)

[花]

  • ジギタリス 3月上旬~4月、5月中旬
  • アグロステンマ(麦なでしこ) 3月中旬~4月
  • インパチェンス 3月中旬~5月中旬
  • フラックス(宿根アマ) 3月中旬~4月
  • ニコチアナ(花たばこ) 4月~5月中旬
  • ジニア(百日草) 4月中旬~6月上旬
  • ナスタチウム(金蓮花) 4月~5月

[野菜]

  • レタス 3月下旬~
  • トマト 3月中旬~5月
  • ズッキーニ 3月中旬~5月上旬
  • ホウレンソウ 3月中旬~5月下旬
  • 小カブ 3月下旬~
  • 青ジソ 3月下旬~7月上旬
  • 春大根 5月下旬~

タネ袋の説明をよく読もう

タネ袋
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種まき栽培で失敗しない大切なコツ──。それはタネの袋の裏面の説明をよく読むことです。地域ごとの種まきの適期、タネの播き方、発芽適温、発芽までの日数、発芽率、発芽後の管理の仕方など、タネ袋の裏面には大切な情報がいろいろと記されています。その説明を読み、記されている通りにタネを播けば、失敗することはありません。

タネを一晩水につける

ナスタチウム、朝顔、ホウレンソウなどはタネの外皮が硬いので、一晩水につけてから播くと、よく発芽します。

ナスタチウムのタネは、水につける前、カッターなどで外皮に軽く傷をつけておきましょう。

覆土する? 覆土しない?

花のタネのなかには、発芽するときに光を必要とするものと、光を嫌うものがあります。これを「好光性」と「嫌光性」といいます。

[タネが好光性の草花]

ニコチアナ
好光性のニコチアナ。mizy/Shutterstock.com
  • ジギタリス
  • インパチェンス
  • ペチュニア
  • フラックス(宿根アマ)
  • ニコチアナ(花たばこ)

[好光性のタネの播き方]

  1. 種まき用土に、まず水をたっぷりとやります。
  2. その湿らせた用土にタネを播き、指でタネを用土に押しつけ、圧着させます。
  3. 覆土はしません。
  4. その後は発芽まで乾燥させないように、霧吹きで水やりを続けましょう。または水を入れたトレイにタネを播いたポットを入れ、底面吸水をさせましょう。

[嫌光性の種]

ナスタチウム
嫌光性のナスタチウム。SANLYN/Shutterstock.com
  • 野菜のタネは、ほぼ全てが嫌光性。覆土を必要とします。
  • 草花では、ナスタチウム、ジニア(百日草)、朝顔などが嫌光性。覆土を必要とします。

[覆土の仕方]

  • 種類によって、タネが隠れる程度に薄く覆土するものと、タネの2~3倍の厚さに覆土するものがあります。
  • 覆土の仕方はタネ袋の裏面に記されていますから、それをよく読み、説明の通りに覆土をしましょう。

ポットやトレイに播く

種まき
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花や野菜のタネの多くは、用土を入れたポットやトレイの苗床にタネを播いて発芽させ、苗を育てます。そして、ある程度成長したら、プランターやコンテナ、花壇、家庭菜園などに植えつけます。

[必要なグッズ]

ポットで育苗するときは次のようなグッズを用意しましょう。

  • 3号ポット
    直径3cmのビニールポットです。
  • 鉢底網
    ポットの大きさに合わせてカットして使います。
  • 種まき専用土
    粒子の細かい種まき専用土が市販されています。花や野菜用の培養土にタネを播いても発芽しますが、発芽率の向上を目指すなら種まき専用土を使うようにしましょう。
  • 霧吹き
    タネを播いた後、乱暴に水をやるとタネが流れてしまいます。霧吹きで丁寧に水やりをしましょう。あるいは、タネを播いたポットを水が入ったトレイのなかに置き、底面吸水をさせましょう。

[トレイの苗床]

種まきポット
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たくさん苗をつくりたいときは、種まき用のトレイや連結ポットを利用するとよいでしょう。イチゴの空きパックなどを利用することもできます。容器の底に小さな穴を開け、種まき専用土を入れて苗床をつくり、種まき用トレイとして代用することもできます。

タネを直播きすると強い苗が育つ

トマト
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野菜のタネの多くは、家庭菜園や用土を入れたプランター、またはコンテナに直播きして発芽させ、苗を育てます。春以降、園芸店には野菜の苗が多数並びます。苗を買ってくればより手軽に野菜を育てられますが、苗はそれまで育てられていた場所から、あなたの庭や畑へと栽培環境が変わるため、その変化に対応し慣れるための期間中に、病害虫被害を受けるリスクがあります。そこで、時間はかかるもののタネまきから育てたほうが病害虫に強く育つというメリットがあります。

[タネを直まきする野菜]

  • レタス
  • ホウレンソウ
  • 小カブ
  • 大根
  • 人参
  • ズッキーニ
  • カボチャ
  • トマト

[トマトのタネの直まき]

トマトは、通常はポットやトレイにタネをまいて苗を育成します。しかし、家庭菜園に直まきすることもできます。その場合は、5月初旬頃、気温が高くなり、地温も充分に上がってからまくようにします。トマトは菜園に直まきすると、病虫害に強い苗が育ちます。キュウリやナスも同様に直まきで栽培できます。

[タネの直まきができる草花]

  • ポピー
  • ラークスパー(千鳥草)
  • ジギタリス
  • ニゲラ(クロタネソウ)
  • ナスタチウム

花壇をよく耕し、腐葉土、完熟堆肥、苦土石灰、化成肥料などを施し、たっぷり水やりをした場所に播きます。ラークスパー、ジギタリス、ニゲラは花が終わった後、タネを採取し、すぐに播きます。あるいはタネを保存しておき、9~10月頃に播きます。翌春に開花します。

コカブ
ホウレンソウや小カブはプランター内の用土にタネを直まきして栽培することができます(写真は小カブ)。

点播きと条(すじ)播き

タネの播き方には、点播きと条(すじ)播きという2つのやり方があります。どちらのやり方が適切かは、タネの袋の裏面に記されていますので、それに従うようにしましょう。ジギタリスのタネは非常に細かいので、トレイの苗床などにバラ播きします。

[点播き]

ペットボトルのフタなどを用土に押し付けて深さ1cm程度のまき穴をつくり、そこにタネを3~4粒ずつまきます。まき穴とまき穴の間隔、覆土の厚さはタネの袋に説明されている通りにします。

[条(すじ)播き]

用土に深さ1cmほどのまっすぐな播き溝をつくり、そこにタネを播いていきます。

タネとタネの間隔、播き溝の幅や間隔、覆土の厚さはタネの袋の説明に従います。

植物に合わせた3つの「種播き」の方法

発芽後の管理は?

[間引き]

  • 発芽後、本葉3~4枚になった頃、成長が最もいいものを残して他は間引き、1本立ちにします。
  • 間引きの時期についてもタネの袋に記されていますので、それを参考にしてください。

[植え替え]

  • 苗の成長に合わせて1~2回り大きいポットに植え替え、さらに育苗を続けます。
  • 植え替えを2度ほどした頃から、ごく薄い液肥を与えましょう。頻度は2週間に1回程度とします。
  • 小さなポット苗に顆粒状の化成肥料を与えるのは禁物です。顆粒が溶け始めると、急速に肥料分が効き、苗を枯らしてしまいます。

[植えつけ前の土づくり]

苗が成長し、植えつけの時期が近づいてきたら、土づくりをしましょう。

  • プランターやコンテナ用の土=赤玉土(小粒)6、腐葉土3、完熟堆肥1の割合で混合し、苦土石灰をひとつかみ加えます。
  • 以上をよくかき混ぜ、3週間ほど寝かせておきましょう。
  • 花壇や家庭菜園は、苗を植えつける3週間前によく耕し、腐葉土、完熟堆肥、苦土石灰、化成肥料などを施しておきます。

[植えつけ]

  • 苗が充分に成長したら、プランターやコンテナ、花壇、家庭菜園などに植えつけます。

植えつけ後は、たっぷり水をやりましょう。

  • トマトの場合=ポットやトレイにタネを播いて育てたトマトの苗は、一番花が咲き始めた頃に家庭菜園に植えつけます。

タネには消費期限があります

タネには食料品などと同じように消費期限があります。おおよそ1年間がその期限で、それを過ぎると発芽率がとても悪くなります。なかにはもっと消費期限が長いものもありますが、いずれもタネ袋に記載されているので、よく読んで期限内に播きましょう。

Credit

文/岡崎英生(文筆家・園芸家)
早稲田大学文学部フランス文学科卒業。編集者から漫画の原作者、文筆家へ。1996年より長野県松本市内四賀地区にあるクラインガルテン(滞在型市民農園)に通い、この地域に古くから伝わる有機栽培法を学びながら畑づくりを楽しむ。ラベンダーにも造詣が深く、著書に『芳香の大地 ラベンダーと北海道』(ラベンダークラブ刊)、訳書に『ラベンダーとラバンジン』(クリスティアーヌ・ムニエ著、フレグランスジャーナル社刊)など。

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