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7月、8月、9月に咲く夏の花/暑さにも蒸れにも強い!ローメンテナンスで咲き続ける超高性能な夏花新品種

7月、8月、9月に咲く夏の花/暑さにも蒸れにも強い!ローメンテナンスで咲き続ける超高性能な夏花新品種

暑さに蒸れ、雨、害虫など、夏は花を美しく保つためにクリアしなければいけない課題が山積。さらに、夏の日盛りの庭には手入れの足も向かず、美観が損なわれがちです。誰もが抱えるそんな庭づくりの悩みを解決するのが、近年登場している超高性能な夏の花々。ジャパンフラワーセレクションの審査を経て認められたスーパーハイパフォーマンスな花々をご紹介します。

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花がら摘みをしなくても勝手にずっときれい! 夏の庭の優等生たち

驚異的な分枝力で夏も次々咲いてボリューミー
ゴンフレナ(千日紅) ‘ラブラブラブ’
●草丈/50〜70cm 株幅/50〜70cm 多年草

ゴンフレナ(千日紅) ‘ラブラブラブ’

ゴンフレナはもともと乾燥や高温、直射日光に強い植物ですが、‘ラブラブラブ’はそうした特性に加え、枝分かれしてたくさんの花を咲かせるよう改良された品種です。1株で50〜70cmとボリュームたっぷりに咲いてくれるので、夏の花壇や寄せ植えの背景にぴったり。またカットしても驚異的な分枝力で花がすぐに上がり、カッティングガーデンの素材としても最適。発色も花もちもよく、花材が少なくなりがちな真夏にどんどん花を供給してくれます。切り花のほか、ドライフラワーにしても楽しめます。

【育て方のコツ】

花もちがよく花がらも目立ちませんが、長雨によって徒長してくることがあるので、株姿が乱れてきたら思い切ってカットしましょう。摘んだ花も飾って楽しめます。

夏の花の寄せ植え
赤いカリブラコア、暑さに強いバーベナ ‘スーパーベナ’、白花のロベリア、キャットテールなどを寄せ植えに。後方に配したゴンフレナ ‘ラブラブラブ’は、真夏へ向かうにつれ花数を増やし、次第にピンクの寄せ植えに変わる。

青い珊瑚礁の名の通り地面を青く染め上げる
エボルブルス‘ブルーラグーン’
●草丈/20〜40cm 株幅/40〜70cm 多年草

エボルブルス‘ブルーラグーン’

「アメリカンブルー」の名前で知られるエボルブルスは、近年の日本の猛暑にも耐えられる貴重な植物。加えて‘ブルーラグーン’はよく枝分かれし、花と花との間隔が従来のものより狭く、咲き広がると、まさにブルーラグーン(青い珊瑚礁)のように小花が地面を青く染め上げます。草丈が低く、這うように広がるためグラウンドカバーとしてもぴったり。目にも涼しげな青花ですが、実際、グラウンドカバーを茂らせると、地温がアスファルトより10℃以上低くなることが環境省の実験で確認されています。夏の暑さ対策にもなるうえ、他品種に比べ耐寒性にも優れています。

【育て方のコツ】

切り戻しをしなくてもきれいに咲き広がりますが、梅雨前に一度切り戻すとより高密度に花が咲き、9〜10月の開花ピーク時には真っ青なカーペット状になります。

夏も真っっっ白! 新雪のようにふわふわ咲き続ける
ユーフォルビア ‘ダイアモンドスノー’
●草丈/30〜45cm 株幅/30〜45cm 多年草

ユーフォルビア ‘ダイアモンドスノー’

‘ダイアモンドフロスト’ ‘ダイアモンドスター’に続く八重咲きの最新品種。

ユーフォルビアはフラワーアレンジに使われるカスミソウのように、主役の花を引き立てる名バイプレーヤーで、ほとんど何もしなくても咲き続けるローメンテナンスの女王。初心者でも失敗しない確率99.9%。‘ダイヤモンドスノー’とこれまでの品種との違いは、下の写真の通りの旺盛な生育。真夏の高温期でも休むことなく、炎天下に新雪のような真っ白な花をふわふわ咲かせ続けます。八重咲きで花密度が高いので、もはや脇役を卒業し、単植で見応えたっぷりの主役級の花。寄せ植えなどの脇役に向くのは従来の品種。使い分けて楽しめます。

ユーフォルビア
左は‘ダイアモンドスター’、右は最新品種の‘ダイアモンドスノー’。どちらも1株で、同じ条件下で育ててこの違い。
ユーフォルビア‘ダイアモンドフロスト’とペチュニア
ユーフォルビア‘ダイアモンドフロスト’とペチュニアの混植。白いふわふわした花は可憐な雰囲気を演出するのに最適。

【育て方のコツ】

日当たりのよい場所で、適宜水やりをしていればOK。切り戻しの必要もありませんが、大きくなりすぎたなと思ったら切り戻してもOK。

●以上の品種 プルーブンウィナーズ https://provenwinners.jp

初心者も花いっぱいに!ローメンテナンスな
スカエボラ‘サンク・エール’
●草丈/25〜30cm 株幅/40〜60cm 多年草

スカエボラ‘サンク・エール’

出身地はオーストラリア南東部で、暑さに非常に強い花。スカエボラの他品種には生育するにつれ株の中央に花が少なくなるものがありますが、‘サンク・エール’は根元から次々に分枝するので、夏を迎える頃には株全体が花で覆われます。水切れにも強く、虫もつかず、下の写真のように真夏の露地でも株を覆い尽くすように満開状態が続き、晩秋まで花が楽しめます。写真のブルーグラデーションは新品種。他に白やライトピンク、バイオレットなど7色の展開があります。

スカエボラ‘サンク・エール’

【育て方のコツ】

日当たりのよい場所で、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをしていればOK。切り戻しの必要もありませんが、大きくなりすぎたなと思ったら切り戻してもOK。

1株が40cmにも広がる新品種登場
ニチニチソウ‘フェアリースター’
●草丈/20〜30cm 株幅/30〜40cm 多年草

ニチニチソウ‘フェアリースター’ 

花径2cm程度の花をつけるニチニチソウの極小輪シリーズで、サントリーフラワーズのオリジナル品種。もともと花つきがよく酷暑のなかでも花いっぱいになる品種ですが、2022年新発売の「パステルピンク」と「ピンクウィズアイズ」(写真左の2品種)は、これまで以上に株張りがよいのが特徴。愛らしい花姿とは裏腹に病気にも強く、生育旺盛で秋まで花を楽しむことができます。鮮やかな花色は単植でも見応えたっぷりですが、極小輪なので寄せ植えの花材としても重宝します。

【育て方のコツ】

株元が蒸れると灰色かび病やうどんこ病の心配があるので、植え込む際は深植えせず、苗の表面の土が隠れない程度で植えるのがコツ。加湿を嫌うので、水の与えすぎに注意して、しっかり土が乾いたことを確認してから水やりしましょう。大きくなると株が密になってきて株元の風通しが悪くなるので、様子をみて何本か根元から間引くように切るといいでしょう。

以上2品種 サントリーフラワーズ https://www.suntory.co.jp/flower/

春から秋まで次々花が上がる
ジギタリス F1 ‘パンサー’
●草丈/50〜60cm 宿根草

ジギタリス F1 ‘パンサー’ 

イングリッシュガーデンの定番花、ジギタリス。バラとの共演にも欠かせない宿根草ですが、従来の品種との大きな違いは、バラの最盛期の5月以降も次々に花が上がり、秋まで咲き続ける点。また、これまでのジギタリスは、1本の花茎が開花してから、次の花茎が伸びて開花するまでに時間がかかりましたが、‘パンサー’は最初の花が咲く頃には次の花茎が数本〜十数本上がってくるので、1株で豪華な花姿に。タネがつかない性質のため、1輪の見頃が長いのも特徴で、切り花としても楽しめそう。暑さや病気に強く、宿根して年を追うごとに株が大きくなり、たくさんの花を咲かせます。草丈は従来より低くコンパクトなので、小さな庭やベランダガーデンでも重宝します。半日陰でもよく育ちます。

【育て方のコツ】

咲き終わった花を花茎ごとカットします。次の側枝の成長を促進し、より多くの花が楽しめます。

驚異的な花数と花もちに優れ長期間楽しめる
宿根ガーベラ ‘ガルビネア スイート’
●草丈/30〜40cm  宿根草

宿根ガーベラ ‘ガルビネア スイート’

ガーベラといえば、フラワーアレンジメントなどでなじみ深いカラフルな花ですが、これまで庭植えや鉢植えでは、うどんこ病・ハダニなどの病害虫や耐寒性があまり強くないため、観賞期間は限られていました。しかし、宿根ガーベラ‘ガルビネア’はそうした課題をクリア。マイナス5℃程度まで耐える耐寒性を有し、地域によって冬越しすることもできます。花は春〜冬まで咲き続け、関東以西の平地暖地では1〜3月以外は次々に花をつけます。さらに、1株で10本以上の花を同時に開花させることもあり、1本の花もちも3〜4週間と長いため、切り花としても重宝します。おすすめの「スイート」シリーズなど、ガーデナーの創造性を刺激する幅広い色展開も魅力。

【育て方のコツ】

次々に花茎が伸びるのを促進するために、咲き終わった花は株元からハサミで切り取ります。生育旺盛で葉もどんどん茂ってくるので、古い葉も株元から切り取り、花芽ができる株中心に光が当たるようにすると花つきがいっそうよくなります。11月以降、冬の期間は株が弱ることがあるので、花も葉も切り取りはいったんストップします。冬は低温で葉が紅葉するので、春先になったらそれらを取り除きます。非常に生育旺盛なので、鉢植えの場合、春に植え替えをして 根詰まりを起こさないよう1、2サイズ大きい器に植え替えましょう。

●以上2品種 タキイ種苗 https://www.takii.co.jp

よく咲く夏花をもっとよく咲かせるためのコツ

植物にとって花を咲かせるというのは、体力を使う活動です。ここまでご紹介してきた花たちは暑さに強く、よく咲き続ける性質ですが、人でいえば、咲いている間はずっとフルマラソン状態。ときどき、栄養補給をしてあげましょう。

特に土の容量が限られている鉢植えは、土の栄養がなくなってくるので、定期的に肥料を施すとよいでしょう。肥料は土の表面に置くタイプの「置き肥」と、水やりの際に水に希釈して与える「液肥」があります。置き肥は少しずつ溶け出して長く効くので1カ月に1回程度、液肥は10日〜2週間に1回程度です。どちらか一方でも構いませんし、併用すればよりパフォーマンスは上がります。液肥は植え付け後、2週間くらい経ってから使い始めます。

ペチュニアの悩みを解決! 切り戻しなしでも美しく咲く最新品種

ペチュニア
茎の先にしか花が咲かなくなってきたら、一度切り戻してリセット。Nata Lunina/Shutterstock.com

ペチュニアを育てたことのある方のなかには、生育するにつれ、伸びた茎の先にしか花が咲かなくなり、株の真ん中が寂しくなってしまうという経験をされた方も多いのではないでしょうか。

それを回避するための作業が、切り戻し。梅雨入り前に株元15cmくらいを残して茎をバッサリ切ります。ただ、切り戻してから次の花が咲くまでには約1カ月かかります。ですから、その間は葉っぱだけになってしまいます。1カ月も葉っぱだけを見るのは寂しいですよね。でも大丈夫! 各種メーカーが開発している最新品種には、切り戻さなくても株の中心からどんどん花が上がってこんもりきれいに咲いてくれるものが登場しています。

‘ラブリーアイ’

ペチュニア‘ラブリーアイ’

耐暑性、耐雨性に優れ、夏の強い日差しの下でも褪色せず、淡く美しい花色を保ちます。花数がとても多く立体的にふんわり茂り、株の中心部もよく咲き続けます。地植えでは1株で1㎡ほどに広がります。鉢植えでも写真の通り、1株でこんなにふんわり!/タキイ種苗

‘サフィニア JAPANレッド’

‘サフィニア JAPANレッド’

中心部がさらに濃い色になる真紅の花がシックな雰囲気。夏の日差しに当たっても褪色せず、深みのある色を保って一際目を引きます。ジャパンフラワーセレクションの試験栽培で、切り戻しをしたものと、してないものを比較したところ、切り戻しなしでもふんわりと美しい株姿を保ちました。花壇植えにも鉢栽培にも向いています。/サントリーフラワーズ

寄せ植え制作/安酸友昭(ラブリーガーデン)、面谷ひとみ

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