まるでパッと開いた小さな花火! 可憐な山野草「カラマツソウ」を毎年咲かせる夏越しのコツ
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繊細な花糸を放射状に広げ、まるでパッと開いた花火のように可憐な花を咲かせる「カラマツソウ」。ナチュラルガーデンや和風の庭、茶花としても高い人気を誇る山野草です。宿根草なので一度根付けば毎年花を楽しめますが、やや暑さに弱く、「夏に枯らしてしまった」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、カラマツソウの基本情報や花言葉をはじめ、夏越しを成功させる育て方のコツ、株分け・種まきでの増やし方、人気の仲間の種類まで分かりやすく解説します。ぜひ元気な株を育てて、涼やかな花を咲かせてみてくださいね。
目次
カラマツソウの基本情報

植物名:カラマツソウ
学名:Thalictrum aquilegiifolium var. intermedium
英名:Feathered Columbine、French Meadow Rue、Meadow rue cultivarなど
和名:カラマツソウ(唐松草、落葉松草)
その他の名前:オオミノカラマツソウ、ミチノクカラマツソウ
科名:キンポウゲ科
属名:カラマツソウ属
原産地:日本(北海道、本州、四国、九州)
形態:宿根草(多年草)
学名はThalictrum aquilegiifolium var. intermedium (タリクトルム・アクイレギフォリウム・インターメディウム)。キンポウゲ科カラマツソウ属の多年草で、原産地は北海道、本州、四国、九州。自生地は野山から山地の草原、湿原、高山など広範囲に分布しているので、種類によって管理の仕方が異なります。寒さには強い一方で、暑さにはやや弱い性質です。3月中旬から芽吹き始め、夏から秋に開花します。秋になると地上部から姿を消しますが、枯れたわけではなく地下で休眠し、越年して春になると再び生育し始めます。一度根付けば毎年開花を楽しめる、息の長い植物です。
カラマツソウの花や葉の特徴

園芸分類:山野草
開花時期:6〜8月
草丈:50〜120cm
耐寒性:普通
耐暑性:やや弱い
花色:白、薄紫、淡ピンク
カラマツソウの開花期は6〜8月で、花色は白、淡い紫、淡いピンク。花茎を立ち上げた先端に、直径1cmほどの細い花糸を花火のように放射状に広げます。花弁はなく、花に見えるのはしべ(花糸)です。開花から1〜2カ月後に平らな実をつけます。

カラマツソウの草丈は50〜120cm。葉は長さ2〜3cmで、先端が浅く3つに裂けるのが特徴です。三出複葉になり、葉柄の基部には托葉があります。
カラマツソウの名前の由来と花言葉

カラマツソウは漢字で「唐松草」または「落葉松草」と書き、細い糸状の花姿がカラマツの葉に似ていることが名前の由来です。花言葉は「さりげない優しさ」「献身」「大胆」などです。
カラマツソウの仲間の種類

カラマツソウの仲間にはいくつかの種があります。ここでは代表的な種類をご紹介します。
ミヤマカラマツ

漢字で「深山唐松」と書きます。北海道、本州、四国、九州に分布し、国外では朝鮮半島や中国東北部、ロシア沿岸などにも自生。湿り気のある林床や高山草原などで生育しています。開花期は5〜8月で、草丈は20〜80cm。
アキカラマツ

漢字で「秋唐松」と書きます。北海道、本州、四国、九州、南西諸島に分布し、国外では朝鮮半島や中国東北部などにも自生。日当たりと水はけのよい環境を好み、山野の草原や丘陵地などに自生しています。開花期は7〜9月。草丈は50〜150cmで、淡い黄色の花を多数つけ、丈夫で育てやすい種類です。
ツクシカラマツ
漢字で「筑紫唐松」と書きます。日本が原産地ですが、自生地は不明です。日当たりと水はけのよい環境を好みます。開花期は7〜8月で、花色は淡いピンク。草丈は10〜15cmで、小さくまとまります。育てやすい山野草として人気があり、入手しやすい種類です。
ヒメカラマツ
漢字で「姫唐松」と書きます。本州や四国の高山地帯に分布し、国外ではヒマラヤに自生。高山植物で、暑さに弱い一方で寒さに強い性質を持っています。開花期は7〜8月。草丈は10〜20cmと、小ぶりな草姿です。
タリクトラム(タリクトルム)・デラバイ

中国原産のカラマツソウ属の多年草。別名オオシキンカラマツ(大紫錦唐松)とも呼ばれ、日本のシキンカラマツに花は似ていますが別種です。花色は薄紫、白。アジアンタムのような小さく柔らかな葉に、ロウ細工のような繊細な花をたくさん咲かせ、ガーデンプランツとしても人気があります。
カラマツソウの栽培12カ月カレンダー
開花時期:6~8月
植え付け・植え替え:3月下旬〜4月、10月頃
肥料:4月下旬、10月上旬(地植え)/4月下旬〜10月(鉢植え)
種まき:9月下旬〜11月上旬
カラマツソウの栽培環境

日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】基本的に日当たりのよい場所を好みます。しかし、夏は葉焼けすることがあるので、朝のみ光が差し込む東側か、木漏れ日が落ちる落葉樹の足元など、半日陰の環境を選ぶとよいでしょう。
【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。
【置き場所】強い乾燥や過湿を嫌い、水はけがよく乾きすぎない環境を好みます。夏の直射日光や高温により弱りやすいので、夏を涼しく過ごさせるのがポイント。地植えの場合は、朝のみ光が差し込む東側か、太陽が高く上がる日中は木漏れ日がチラチラと差す落葉樹の株元など半日陰の環境を選ぶとよいでしょう。または、真夏は鉢に植え替えて風通しのよい涼しい場所に移動して管理するのもおすすめです。鉢植えの場合は風通しがよく涼しい半日陰に移動して養生させましょう。また強風で茎が折れやすいので、強い風があたらない場所で管理しましょう。
耐寒性・耐暑性
品種により異なりますが、寒さには強いほうで、基本的に戸外で越年できます。ただし、寒さが厳しい地域では鉢上げして日当たりのよい軒下などに移動するとよいでしょう。耐暑性はやや弱いため、夏越しの際は遮光などにより涼しい環境で育てましょう。
カラマツソウの育て方のポイント
用土

【地植え】
植え付けの2〜3週間前に植え穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んでよく耕し、植え穴に戻しておきます。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
【鉢植え】
市販の山野草用培養土を利用すると手軽です。
水やり

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の土を狙って与えてください。
真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がって株が弱ってしまうので、夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。
また、真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。
【地植え】
根付いた後は、ほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続いて過度に乾燥している場合は水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと与えてください。乾燥を嫌うため、水切れには注意しましょう。ただし、いつもジメジメした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。また、冬に地上部が枯れても、カラカラに乾燥させることのないように、適宜水やりを続けてください。
肥料

【地植え】
植え付け時に元肥として緩効性肥料を施します。追肥は4月下旬と、10月上旬に緩効性肥料を与えるとよいでしょう。
【鉢植え】
植え付け時に元肥として緩効性肥料を施します。4月下旬〜10月の生育期は、真夏を除いて2週間に1回を目安に液肥を与えるとよいでしょう。
注意する病害虫

【病気】うどんこ病・軟腐病
うどんこ病は、カビによる伝染性の病気で、葉、新芽、つぼみなどの表面が白く粉を吹いたようになります。放置するとどんどん広がって光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発生しやすいので注意。病害部は摘み取って処分し、適用のある殺菌剤を散布して、蔓延するのを防ぎましょう。
軟腐病は細菌性の病気で、高温時に発生しやすくなります。特に梅雨明けから真夏が要注意。
成長点近くの茎、地際の部分や根が腐って悪臭を放つので、発症したら周囲に蔓延しないようにただちに抜き取り、周囲の土ごと処分してください。予防としては、連作(同じ科に属する植物を同じ場所に植え続けること)を避け、水はけをよくしていつもジメジメとした環境にしないこと。また、害虫に食害されて傷ついた部分から病原菌が侵入しやすくなるので、害虫からしっかり守ることもポイントです。
【害虫】ハダニ・アブラムシ・ナメクジ・ヨトウムシ
ハダニは、葉裏に寄生して吸汁します。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期には葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。
ナメクジは、花やつぼみ、新芽、新葉などを食害します。体長は40〜50mmで、頭にツノが2つあり、茶色でぬらぬらとした粘液に覆われているのが特徴。昼間は鉢底や落ち葉の下などに潜んで姿を現しませんが、夜に活動します。植物に粘液の痕がついていたら、ナメクジの疑いがあるので、夜にパトロールして捕殺してください。または、ナメクジ用の駆除剤を利用して防除してもよいでしょう。多湿を好むので風通しをよくし、落ち葉などは整理して清潔に保っておきます。
ヨトウムシは蛾の幼虫で、漢字で「夜盗虫」と書き、主に夜に姿を現して茎葉を食害します。大きくなった幼虫は食欲が旺盛で、一晩で株を丸裸にしてしまうほどです。葉から食害し始めるので、異変を察したら幼虫がまだ若いうちに駆除しましょう。発生しやすい時期は4〜6月、9〜10月です。食害の痕が認められたら夜にパトロールして捕殺するか、適用のある薬剤を散布して防除します。
カラマツソウの詳しい育て方
苗の選び方
苗を購入する際は、節間が短くがっしりと締まって、勢いのあるものを選んでください。
植え付け・植え替え

カラマツソウの植え付け・植え替え適期は、3月下旬〜4月または10月頃です。ただし、ほかの時期にも苗が販売されていることがあるので、入手したらできるだけ早く適地に植え付けましょう。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも1回り大きな穴を掘り、根鉢をくずさずに植え付けます。最後に、たっぷりと水やりしましょう。
地植えの場合、環境に合えば植え替えの必要はありません。しかし、夏の暑さで弱る場合は鉢に植え替え、風通しのいい涼しい場所に移動して夏越しさせるとよいでしょう。
【鉢植え】
入手した苗の根鉢よりも1〜2回り大きな鉢を準備しましょう。
底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから山野草用の培養土を半分くらいまで入れます。苗を鉢に仮置きし、高さを決めたら、根鉢をくずさずに植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。
成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1回は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出したら根鉢をくずして古い根を整理し、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、前よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。
日常の手入れ

【支柱立て】
春になると茎をよく伸ばし、開花時期には風や雨で倒れやすくなるため、必要に応じて支柱を立てて支えるとよいでしょう。
【花がら摘み】
カラマツソウの終わった花は摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫の抑制につながります。また、いつまでも花がらを残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次々に花がつき、長く咲き続けてくれます。
【花茎切り】
開花がひと通り終わったら、花茎を元から切り取ります。
増やし方

カラマツソウは、株分けと種まきで増やせます。
【株分け】
株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株分けできます。カラマツソウの株分けの適期は、3月下旬〜4月または10月頃です。
株を掘り上げ、数芽ずつ付けて根をハサミまたはナイフで切り分けます。ハサミやナイフは刃の部分を殺菌しておくとよいでしょう。切り分けた部分には殺菌剤を塗布して植え直します。それらの株が再び大きく成長し、株が増えていくというわけです。
【種まき】
種まきするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境になじみやすいことです。花後にできた種を採取して保管しておき、適期に播きます。
種まきの適期は、9月下旬〜11月上旬です。3号ほどの黒ポットに湿らせた市販の山野草用培養土を入れ、採取した種子を数粒ずつ播きます。1cmほど覆土し、たっぷりと水やりしましょう。水切れしないように管理し、発芽後は日当たりがよく、風通しのよい場所で管理してください。本葉が3〜4枚出たら、植えたい場所に定植します。種まきから開花までには2〜3年ほどかかるので、気長に待ちましょう。
日本人好みの可憐さを持つカラマツソウを育ててみよう

野趣感あふれる咲き姿で人気のカラマツソウ。日本に自生してきたため、比較的育てやすい山野草です。楚々とした花姿は風情があり、茶花としても愛されてきました。ぜひ身近な場所で育ててみてください。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中! 2026年10月5日発売の書籍第3弾『小さな空間を生かす立体ガーデニング 玄関から始める花のある暮らし』(発行/KADOKAWA)発売中!
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