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鉢植えでもOK! 珍しい果樹「ポポー」を自宅で収穫するための栽培テクニック

鉢植えでもOK! 珍しい果樹「ポポー」を自宅で収穫するための栽培テクニック

Gajus/Shutterstock.com

「森のカスタード」と呼ばれるポポーは、バナナとパイナップルをあわせたような濃厚な甘みが魅力のフルーツ。市場にはほとんど出回らないことから「幻の果実」とも呼ばれますが、じつは耐寒性が強く、日本の気候でも鉢植え・地植えで育てることができます。この記事では、ポポーの基本情報から、実をつけるための人工授粉のコツ、剪定方法まで分かりやすく解説します!

ポポーの基本情報

ポポー
makineko/Shutterstock.com

植物名:ポポー
学名:Asimina triloba
英名:pawpaw、paw paw、papawなど
和名:ポポー
その他の名前:ポーポー、パポー、アケビガキ、カスタードアップルなど
科名:バンレイシ科
属名:アシミナ属
原産地:北アメリカ
形態:落葉性中高木 

ポポーの学名はAsimina triloba(アシミナ・トリロバ)で、バンレイシ科アシミナ属の落葉性中高木です。原産地は北アメリカで寒さに耐え、日本の多くの地域で周年戸外で管理できます。目新しい果樹のような印象がありますが、明治時代頃には日本にもたらされ、昭和30年代からは種苗会社からよく苗木が流通するようになりました。「カスタードアップル」の別名をもつように濃厚な甘い香りを放つ果実を収穫できますが、青果店やスーパーマーケットにはあまり出回らず、希少性があるため家庭栽培におすすめです。

枝に実るまだ未熟なポポーの実。Pavel105/Shutterstock.com

樹高が10mになる樹も

ポポー
Clifton Ellis/Shutterstock.com

ポポーは2m以上に成長する中高木に分類されています。植え付けから2年ほどまではゆっくりと生育しますが、3年目以降になると生育スピードが早くなり、枝葉を大きく広げるようになります。放任するとどんどん大きくなり、樹高が3〜10mに達することもあるようです。毎年の剪定で樹高はコントロールできるので、休眠期に剪定をして2.5mくらいまでに抑えるとよいでしょう。

ポポーの花や葉、実の特徴

ポポーの花
Anna Krzywania/Shutterstock.com

園芸分類:果樹
開花時期:4〜5月
樹高:2m以上
耐寒性:強い
耐暑性:強い
花色:褐色

ポポーの開花期は4~5月で、グリーンのつぼみが開くとチョコレート色へと変化します。サイズは3~5cmで、釣り鐘形の愛らしい花です。花の中に雄しべと雌しべがある両性花ですが、同じ花の中でも雌しべのほうが先に成熟し、雄しべは後から熟すので、1個の花の中では受精できない性質があります。そのため、ポポーの栽培では人工授粉をすることが確実に果実をならせるポイント。開花から2〜3日ほど経って熟した雄しべを、開花直後の雌しべに擦りつけて人工授粉します。

ポポーの実
Daniel Sztork/Shutterstock.com

ポポーの果実は、9月下旬〜10月中旬の秋に収穫できます。品種によって異なりますが、果実は200〜400gで、熟すと自然に落下します。追熟したほうがおいしいので、室温で2〜3日おいてから食べましょう。ポポーの果実は生食でき、半分に切ってスプーンですくっていただきます。中には大きな種子が入っています。

ポポーの実
大きな種子があるポポーの実。Marco de Benedictis/Shutterstock.com

ポポーの名前の由来と花言葉

ポポーの花
Marinodenisenko/Shutterstock.com

ポポーという名前は英名の「pawpaw」から。諸説ありますが、スペイン語でパパイヤを意味する「papaya」に由来し、ヨーロッパ人がパパイヤと誤認したことからこの名が付いたという説が有力です。ほかに、爪のある動物の手足を意味する「paw」に由来するという説もあります。

ポポーの花言葉は「健康」「抜け落ちない情熱」などです。

ポポーの栄養価と保存方法

ポポー
EQRoy/Shutterstock.com

ポポーは栄養価が高く、ビタミンCを多く含むほか、マグネシウム、鉄、銅、カリウム、カルシウムなどのミネラルも豊富に含まれています。食べ頃の目安は独特の強い甘い香りが十分に出ていること。果実は保存性が悪く、十分に熟した実はラップに包むか袋に入れて冷蔵庫に入れ、なるべく早く食べましょう。また、果肉だけを冷凍して保存することもできます。

ポポーの代表的な品種

ポポー
EQRoy/Shutterstock.com

ポポーは自家受粉では結実しない自家不結実性のため、収穫を目的に栽培するなら、異なる2品種を1本ずつ並べて植栽する必要があります。ここでは、主に流通しているポポーの品種をご紹介します。

オーバーリース

ミシガン州の野生種から選抜されました。1果340gほどになる大実品種で、果肉は黄色〜オレンジ。風味がよく甘い品種です。

ウェールズ

インディアナ州で生まれた品種で、国内でポピュラーに流通しています。340〜400gの大実で実つきがよいのが特徴。耐寒性も強いほうです。

サンフラワー

カンザス州で作出された品種で、果肉は黄金色。植え付けから2〜3年で実がつくようになり、早生で実つきがよいタイプです。

マンゴー

ジョージア州で野生種から選抜された品種です。1果200〜300gになり、実なりがよく高品質で人気があります。

ポポーの栽培12カ月カレンダー

ポポー
Gajus/Shutterstock.com

開花時期:4〜5月
収穫:9月下旬〜10月中旬
植え付け・植え替え:12月〜翌年3月
肥料:3月頃、6月頃、10月頃
剪定:12月〜翌年2月

ポポーの植え付け適期は休眠期の12月〜翌年3月なので、この時期に苗木を入手して植え付け、栽培をスタートするのがベストです。一般的に流通している1〜2年生苗の場合、植え付けから収穫までの目安は、3〜5年ほどかかります。

気温が上がって生育期に入ると旺盛に枝葉を伸ばし、秋には落葉して冬は休眠します。剪定は休眠中の12月〜翌年2月に行います。

植え付けから数年が経ったら、4〜5月に開花した際に人工授粉をしておきます。果実が大きくなり始めた頃に1カ所に多数に実がついていたら摘果をして調整。9月下旬〜10月中旬には黄色く熟した果実を収穫できます。

ポポーの栽培環境

ポポー
thenaturelad/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】日当たりがよく、風通しのよい場所を選びます。日照不足になると葉色が冴えなくなったり、収穫量が少なくなったりするので注意してください。ただし、真夏に西日が強く当たる場所は避けた方が無難です。

【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。

【置き場所】水はけ・水もちのバランスがよい、ふかふかとして腐植質に富んだ土壌を好みます。

耐寒性・耐暑性

耐寒温度はマイナス20〜マイナス25℃で寒さに強いため、周年戸外で管理できます。耐暑性もあり、夏越し対策は特に必要ありませんが、夏は水切れしないように注意しましょう。

ポポーの育て方のポイント

用土

土
bluedog studio/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの2〜3週間前に、直径・深さともに50cm程度の穴を掘りましょう。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきます。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

果樹用にブレンドされた、培養土を利用すると手軽です。

水やり

水やり
topseller/Shutterstock.com

水やりの際は、根にしっかり水が行きわたるよう、株元の土を狙って与えてください。

真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がって木が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。

また、真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。

【地植え】

植え付け後にしっかり根づいて枝葉を伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後はほとんど不要です。ただし、晴天が続いてひどく乾燥している場合は水やりをして補いましょう。

【鉢植え】

日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、水やりを欠かさないように注意します。冬は休眠するうえ、表土が乾きにくくなるので控えめに与えるとよいでしょう。

肥料

肥料
sasimoto/Shutterstock.com

【地植え、鉢植えともに】

3月に有機質肥料、6月、10月に化成肥料を与え、土によくなじませましょう。

注意する病害虫

アブラムシ
nechaevkon/Shutterstock.com

【病気】

ポポーの栽培では、病気が発生する心配はほとんどありません。

【害虫】

ポポーの栽培で発生しやすい害虫は、アブラムシやカイガラムシなどです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。

カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mm。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。

ポポーの詳しい育て方

苗木の選び方

ポポーは基本的には自家不結実性(1本植えるだけでは実らない)のため、果実の収穫を楽しみたい場合は、近くに異なる品種を2品種以上植えることがポイントです。品種によっては自家受粉するタイプもありますが、確実に実をつけるには、別品種の授粉樹が必要だということを知っておきましょう。開花期が同じ時期の品種を選ぶことも大切です。

植え付け・植え替え

ガーデニング
Jurga Jot/Shutterstock.com

ポポーの植え付け適期は12月〜翌年3月です。

【地植え】

2株以上植え付ける場合は、苗木同士の間隔を1.5〜2mは開けるようにします。直径、深さともに50㎝程度の穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土や堆肥などを混ぜ込み、苗木を定植。最後にたっぷりと水を与えましょう。1年生苗の場合は、地際から30〜50cmのところを目安に苗木をカットしておきます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。

地植えの場合は、環境に合って順調に育っているようであれば、植え替えの必要はありません。

【鉢植え】

まず、8〜10号鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから果樹用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下の高さを目安にウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、棒などでつつきながら用土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。1年生苗の場合は、地際から30cm前後のところを目安に苗木をカットしておきます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。

鉢植えで楽しむ場合は、成長とともに根詰まりしてくるので、2~3年に1回は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出し、軽く根鉢をくずして新しい培養土を使って植え直しましょう。

剪定

ポポー
matze1977/Shutterstock.com

ポポーは毎年剪定をして風通しをよくし、樹高を2〜2.5mにコントロールすると扱いやすいでしょう。剪定の適期は12月〜翌年2月です。

樹高や横への広がりを抑えたい場合、だいたいのアウトラインを決めて、はみ出している枝を分岐部まで遡って切り取ります。

また、木の内側に向かって伸びている「逆さ枝」、垂直に立ち上がっている「立ち枝」、勢いよく伸びすぎている「徒長枝」、枝に絡んでいる「絡み枝」、枯れ込んでいる「枯れ枝」なども元から切り取ります。1カ所から何本も枝分かれしている枝があれば、3本以内に間引いて枝を透かしましょう。ポポーの花芽は前年枝の基部周辺につくので、先端の葉芽は切り詰めてもかまいません。花芽は丸くてふっくらしており、葉芽は小さくて細いので、見分けやすいのも特徴です。できるだけ花芽は残して剪定するようにしましょう。

仕立て方

ポポー
CMYK MAKER/Shutterstock.com

植え付け後、まだ木が幼い時期は頂芽を生かして主幹を真っ直ぐに伸ばす「主幹形」に仕立てます。樹高が2mくらいまでに達したら、それ以上大きくしたくないくらいの位置で主幹の先端を切り戻します。主幹から出ている複数の主枝や側枝を伸ばし、樹形を低く抑える「変則主幹形」にします。樹冠が広がりすぎないようにだいたいのアウトラインを決めておき、それよりはみ出している枝を選んで切り取り、樹形をキープしましょう。

ポポーを収穫するためのポイント

ポポーに充実した果実を実らせたい場合は、人工授粉と摘果を行うことがポイント。ここでは、おいしい果実を味わうためのひと手間について解説します。

人工授粉

ポポーの花
Anna Krzywania/Shutterstock.com

ポポーは、基本的には自家不結実性のため異なる品種を混植することが大前提。虫が媒介して授粉するのである程度は果実がつきますが、放任しておくよりは人工授粉をすると、より確実です。授粉は晴れた日の開花後まもない午前中に行うとよいでしょう。花粉が出ている花を選んで摘み取って花弁を取り、異なる品種の木の花の雌しべに、雄しべをこすりつけるようにします。同様の手順で、別の品種にも授粉しましょう。

摘果

ポポー
EQRoy/Shutterstock.com

摘果とは、果実を間引きする作業です。果実が多く実りすぎて一つひとつの果実が小ぶりになるのを防ぎます。6月頃が適期で、1カ所に1〜2個を残し、ほかはすべて切り取りましょう。

収穫

ポポー
Gajus/Shutterstock.com

ポポーの収穫適期は9月下旬〜10月中旬。緑色の果実が、黄色く色づいて触ってみると少しやわらかくなっている程度を目安とします。自然落下したものを拾って収穫してもよいでしょう。植えている場所が硬い地面の場合は、収穫のタイミングが近づいてきたら敷き藁などを敷いて、果実が傷むのを防いでおくのも一案です。

採れたての果実は、まだ硬くて糖度が低いので、おいしく食べるには、室温で3〜7日ほどおいて追熟しましょう。

ポポーの育て方を知り美味しい果実を味わおう

ポポー
LianeM/Shutterstock.com

「カスタードアップル」の別名をもつポポーは、濃厚な香りと甘くてクリーミーな味わいを楽しめるフルーツです。青果店などではなかなか出回らないので、家庭で栽培すれば希少な完熟果を楽しめ、育てる喜びを味わえることでしょう。ぜひ庭に植栽してみてください。

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