マンゴーを家庭で栽培! 鉢植えで甘い実を育てる方法と失敗しないポイント
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トロピカルフルーツの代表格・マンゴー。栽培は難しそうに思えますが、意外にも、ポイントを押さえれば鉢植えで育てて自宅で甘い果実を収穫することができる果樹です。この記事では、マンゴーの基本情報から、家庭でマンゴーを育てる方法、甘くて美味しい実を収穫するためのコツ、必要な環境や注意点まで分かりやすく解説します。
目次
マンゴーの基本情報

植物名:マンゴー
学名:Mangifera indica
英名:mango
和名:マンゴー(芒果、檬果)
その他の名前:菴羅(あんら)、菴摩羅(あんまら)
科名:ウルシ科
属名:マンゴー属
原産地:インド東部〜ミャンマー
形態:常緑性高木
マンゴーはウルシ科マンゴー属の植物で、常緑高木の果樹に分類されます。原産地はインドやミャンマーなどを含む南アジアです。
とろっとした柔らかい果肉に濃厚な風味、鮮やかなオレンジ色の果実は、トロピカルフルーツの代表格。国内に出回るマンゴーの多くが輸入品ですが、国産のマンゴーも販売されています。
樹高は原産地では40mにもなりますが、日本での一般的な栽培では1〜3mです。地植えだけでなく鉢植えでも実をつけさせることができ、自家栽培も可能です。耐寒性はやや弱く、耐暑性は強いです。
マンゴーの花や葉の特徴

園芸分類:果樹
開花時期:2〜4月
樹高:1〜3m(日本の一般的な栽培環境で)
耐寒性:弱い
耐暑性:強い
花色:淡黄色
開花時期は2〜4月で、淡黄色の小さな花がたくさん集まった花房になります。それぞれの花は一日花ですが、少しずつ時期をずらして咲くため、花房は咲き始めから終わりまで1カ月程度かかることもあります。花は発酵した果実のような強い匂いを放ち、クロバエなどを引き寄せて受粉します。受粉にほかの木の花粉を必要とせず、1本でも実がなる自家結実性を持つ品種もあり、品種を選べば1本でも収穫が楽しめます。ただし、別の品種の花粉で受粉させたほうが実付きがよくなることが多いので、確実に収穫したい場合は2品種以上を育てるとよいでしょう。葉は細長い楕円形で、互生します。
実の特徴と収穫のタイミング

マンゴーは香り高く甘い実をつけ、果肉はオレンジや黄色など目にも鮮やかです。果実にはビタミンCやβ-カロテンなどの栄養が豊富に含まれています。ただしウルシ科の果樹なので、ウルシにかぶれる方はマンゴーの実でも皮膚炎が起きる恐れがあります。注意しましょう。
果実は熟すと自然に落ちるので、栽培の際は落ちて傷まないように、あらかじめネットをかけて保護しておくとよいでしょう。
マンゴーの代表的な種類
‘アーウィン’

アップルマンゴーとも呼ばれ、日本国内で最も広く栽培されている品種。その名のとおり、実が赤く色づき、濃厚な甘みと適度な酸味があります。
‘カラバオ’

果実が黄色く、形がペリカンのくちばしに似ていることからペリカンマンゴーとも呼ばれます。主にフィリピンで栽培されている品種です。
‘ナムドクマイ’

タイから輸入される品種の代表格で、甘みが強く、‘カラバオ’よりも大きいのが特徴です。
‘アルフォンソ’

日本国内では生の果物として流通することはほとんどありませんが、世界最大のマンゴー生産国であるインドでは「マンゴーの王様」と称される高級品種です。
マンゴーの名前の由来と花言葉

マンゴーという名前の由来は諸説ありますが、タミール語で樹果を意味する「マンカイ(mangkay)」に由来するという説が有力です。ここからポルトガル語の「manga」、英名の「mango」となり、そのまま和名のマンゴーになったとされています。
マンゴーの花言葉は「甘いささやき」です。
マンゴーは原産地では聖なる樹

仏教では、マンゴーは聖なる木とされています。お釈迦様がマンゴーの木の下で休まれたという言い伝えがあることに由来しています。
一方、ヒンドゥー教では、万物の神プラジャーパティの化身とされています。プラジャーパティとは、ブラフマー神が生み出した10柱の創造神のことです。
マンゴーの栄養価と注意点

マンゴーにはビタミンCやビタミンE、カリウム、葉酸、食物繊維など、さまざまな栄養素が豊富に含まれています。カリウムはナトリウムの排出を促して血圧の上昇を抑える効果があり、葉酸は発育に欠かせない栄養素です。また、熟したマンゴーにはβ-カロテンが豊富に含まれています。β-カロテンは体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康維持に役立ちます。
一方で、マンゴーを食べる際には注意も必要です。マンゴーはウルシの仲間で、ウルシオールに似た刺激物質が含まれており、皮膚炎の原因になります。マンゴーにかぶれると、かゆみのほか、皮膚が赤くなったり、小さな水膨れのような腫れが出るなどの症状が現れます。しかし、どの症状も、通常は数日で回復します。
鮮やかなオレンジ色のマンゴーは南国ムード満点のトロピカルフルーツ。navigatorstudio/Shutterstock.com
マンゴーの栽培12カ月カレンダー
開花時期:2〜4月
植え付け・植え替え:4〜5月
肥料:3月、5月、8月
収穫:5~10月
種まき:6~7月
マンゴーの栽培環境

日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】日の当たる場所で育てます。日光が当たらないと生育が衰えてしまうので、日陰では育てられません。日当たりがよいと実の甘みも増します。
【日当たり/屋内】基本的に屋外で栽培しますが、寒さに弱いため、冬は日当たりのよい暖かい室内に取り込みましょう。
【置き場所】マンゴーは酸性寄りの土壌を好む傾向があります。湿度については多湿でも耐えられます。
耐寒性・耐暑性
マンゴーの生育温度は20〜30℃で、暑さには強いですが、寒さには弱い性質です。健全に生育させたい場合は、冬でも12℃以上を保ちましょう。
マンゴーの育て方のポイント

寒さに弱いマンゴーは、沖縄や奄美、小笠原などでは地植えもできますが、それ以外の地域では地植えは難しいため、鉢植えで育てるのが基本です。苗の根鉢よりも2回りほど大きな鉢を選びましょう。
用土

マンゴーは水はけのよい土で育てましょう。
赤玉土小粒と腐葉土を7:3で混ぜ合わせた土や、赤玉土小粒・鹿沼土・パーライトを等量ずつ混ぜ合わせた土がおすすめです。酸性の土壌を好むので、ブルーベリー用の土を使うのもよいでしょう。
水やり

マンゴーの生育期は3〜10月です。この時期には、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。
地植えの場合、基本的には自然の降雨のみで育ちます。雨が降らない日が続いて、地面が乾燥しきっているときのみ水やりをします。
生育期以外では、乾燥気味に管理します。土が乾いてから2〜3日後に水やりをしましょう。
肥料

生育期には緩効性化成肥料を与えます。油かすを株元に施してもよいでしょう。
肥料を与えるタイミングは、花芽が出てくる3月と摘果する5月、果実の収穫後の8月の、年3回が目安です。肥料が切れると花付きが悪くなるので注意しましょう。
注意する病害虫

【病気】
発生しやすい病気は、炭疽病です。
炭疽病はカビが原因で、葉に灰褐色や黒褐色の病斑が出ます。また、果実や枝にも病斑が出る可能性があります。発見したら病害部を取り除き、薬剤を散布して拡大を防ぎます。
【害虫】
特に注意したい害虫は、カイガラムシやハダニです。
カイガラムシは葉や枝が込み合い、蒸れると発生しやすくなります。見つけ次第すぐに駆除しましょう。幼虫は殺虫剤でも駆除できますが、成虫はブラシなどでこすり落とす必要があります。ハダニの場合も、見つけ次第すぐに駆除しましょう。
マンゴーの詳しい育て方
苗の選び方
苗を選ぶ際は、葉の色が濃く、病害虫の痕がないものを選びましょう。また、接木苗のほうが栽培しやすくおすすめです。
植え付け・植え替え

植え付けの適期は、4〜5月です。苗よりも1回り大きい鉢に鉢底石を入れ、根鉢が埋まる程度の土を入れて植え付けます。鉢植えの場合は、2年に1回を目安に大きい鉢に植え替える必要があります。
冬でも5℃以上を保つことができ、霜が降りない地域であれば地植えも可能です。地植えの場合は、苗の根鉢よりも2回り大きな穴を掘って植えます。株元に盛り土をして、横に支柱を立てると倒れにくくなります。
剪定・切り戻し

マンゴーは自然に枝分かれせず、主幹だけを伸ばしていきます。そのため、樹高が50cmほどになったら主幹を水平に切って、新しい枝が生えるようにしましょう。そこから発生した枝2〜3本を主枝として育て、主枝が30cmほど伸びたらまた切り戻します。
収穫後は、実のついていた枝を1〜2節切り戻します。実のつかない枝は切り戻し、弱い枝も間引きましょう。
マンゴーの樹液が肌につくとかぶれることがあるので、手袋を着用するなど注意して作業しましょう。
冬越し

マンゴーを元気に育てるためには、冬場の管理が大切です。
生育適温は20〜30℃で、寒いと弱り、霜にあたると枯れてしまいます。鉢植えの場合、冬は室内に取り込むようにしましょう。室温は最低でも7〜8℃、できれば12℃以上を保ちます。
11月〜翌年4月中旬までは日当たりのよい室内に置き、生育期よりも水やりの間隔をあけて、土をやや乾かし気味に管理するとよいでしょう。
増やし方
マンゴーは一般には接ぎ木で増やしますが、挿し木や種まきでも増やすことができます。
【挿し木】

マンゴーは挿し木で増やすことができます。挿し木の適期は、4〜9月です。
挿し木の方法は次の通りです。枝を5〜7cm切って挿し穂とし、葉は上の3枚ほどを残して取り除きます。植え付けの前には、1〜2時間水に浸けて吸水させます。その後、挿し木用の土に挿し、土もしっかりと吸水させておきます。挿し穂は明るい日陰に置き、土が乾ききらないように水を与えながら管理しましょう。しっかりと発根したら、鉢などに植え替えます。
挿し木の成功率はあまり高くないので、多めに挿しておくとよいでしょう。
【種まき】

マンゴーの果実からとれる種子を播いても増やすことができます。食べた後の種子も利用できますよ! ただし、種子から育てて実をつけるまでには6〜7年かかります。
種まきの適期は、6〜7月です。種子をそのまま植えると発芽しにくいため、殻の端を少し切って硬い皮を取り除き、中身を取り出してから播きましょう。
マンゴーの種子は種まき用の土に寝かせて植え付け、水やりをしながら管理します。およそ1〜2週間ほどで発芽します。
瓶に水を入れ、種子が半分ほど浸かるくらいの高さに固定して水耕栽培をしても発芽します。その場合は適宜水を補充して育て、ある程度育ったら土に植え付けましょう。
美味しい実を収穫するためのポイント

マンゴーの美味しい実を楽しむためには、いくつか注意するべきポイントがあります。
【受粉】
マンゴーの受粉は昆虫が行うため、鉢植えの場合も花が咲いたら屋外に置いておきます。実つきが悪い場合は、花がついた穂を清潔な筆で軽くなでたりゆすったりして受粉を促すとよいでしょう。
【摘果】
よい実を作るためには、実の数を減らす摘果が必要です。小さな実がついたら、果実1つあたり葉が50〜70枚になるように摘果して調整します。
マンゴーを育てて甘い果実を楽しもう

マンゴーは冬の寒さに気をつければ、家庭でも育てられるトロピカルフルーツ。自家栽培で育てた甘く美味しい実は格別です。
ぜひご自宅でマンゴーを育ててみてはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。2026壁掛けカレンダー『ガーデンストーリー』 植物と暮らす12カ月の楽しみ 2026 Calendar (発行/KADOKAWA)好評発売中!
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