日本のドングリは22種類あり食べられるものも! 特徴や見分け方をご紹介

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ドングリは公園や道端などさまざまな場所で見られる身近な木の実ですが、じつはたくさんの種類があります。この記事では、そんなドングリの特徴や見分け方のポイントに加えて、食べられる種類についてもご紹介します。
目次
ドングリとは

皆さんもきっと一度は目にしたことがあるドングリ。そもそもドングリとはどのようなものなのでしょうか。ここでは、ドングリの特徴について詳しく解説します。
概要と特徴

ドングリとは、ブナ科の植物になる果実の総称で、漢字では「団栗」と書きます。秋の味覚として名高い「栗」もドングリの一種。
ドングリは硬い実の部分と、それを覆う殻の部分で構成されています。
ドングリが属しているブナ科植物は「コナラ属」「マテバシイ属」「ブナ属」「クリ属」に分けられます。日本には、ドングリがなる樹木はクリを含めて22種類もの固有種があり、交雑種や変種、亜種を含めるとさらに多くのバリエーションがあります。これらのドングリには花が咲いた年に実をつける一年成と、花が咲いた翌年に実をつける二年成があります。
堅果(けんか)とは

堅果とは、ドングリのように堅く木化した果皮が種子を包む果実のことです。ドングリは楕円状に丸みを帯びているものが多いですが、種類によって形はさまざまです。
殻斗(かくと)とは

殻斗とは堅果を覆う帽子のような部分のことです。「ぼうし」や「はかま」などとも呼ばれています。殻斗は表面がうろこ状のものや、横縞模様のもの、トゲがついているものなど、種類によってさまざまな形状があります。
コナラ属のドングリ

コナラ属には、コナラやクヌギ、ミズナラ、アベマキ、カシワなど、たくさんの木が属しています。ここでは、代表的なドングリについて詳しくご紹介します。
コナラ

コナラはドングリの代名詞的な存在といわれるほど、非常にポピュラーな種類です。
実は一年成です。実の形はうろこ状の短い殻斗がスマートな形の堅果を覆っており、個体によって堅果の大きさはさまざまです。葉には外側に鋸歯があり、葉柄は長くなっています。秋には紅葉します。
コナラの木は、沖縄を除く日本全国に広く分布しています。
クヌギ

クヌギの実はダルマのような丸い大きな堅果を、うねうねしたイソギンチャクのような殻斗が覆っています。実は二年成です。葉は鋸歯状の細長い形で、外側に白いトゲが並んでいます。
コナラとともに里山の重要な構成樹です。
シラカシ

シラカシの実は堅果の半分ほどが殻斗に覆われており、殻斗にはっきりとした横縞模様が入ります。実は一年成です。葉はアラカシと比べて細く、小さな鋸歯があります。
アラカシ

アラカシの実は殻斗に横縞模様があり、堅果は丸みのある樽形で白い縦縞が入っています。実は一年成で、ドングリの中では最も実りの時期が遅く、12月頃でもよく落ちています。葉は上部分のみが鋸歯状で、はっきりとした葉脈を持っています。
マテバシイ属のドングリ

ここでは、マテバシイ属のドングリについて解説します。
スダジイ

スダジイの実は二年成です。
堅果は細長く先がとがった円錐形ですが、個体差が大きく球形のものもあります。殻斗が堅果全体を包み込んでいて、木から落ちると3つに裂けるように殻斗が割れます。
マテバシイ

マテバシイの実は、二年成です。
堅果は細い砲弾形。殻斗には白いロウ状の物質が付着しており、取れやすくすぐ脱げる特徴があります。葉は外側にギザギザはなく、なめらかな形です。
ブナ属のドングリ

ブナ属にはブナとイヌブナという種類があります。どちらも一年成の落葉広葉樹です。
ブナの実は円錐形でイソギンチャク状の殻斗が覆い、落下すると殻斗が4つに裂けて分かれます。堅果は2つ入っており、油脂分が多いため、動物の食料に好適です。
イヌブナの実はブナとよく似ていますが、大きさは2/3ほどと小さめなのが特徴です。殻斗はうろこ状で細長い柄が伸びているので判別しやすいです。
クリ属のドングリ

クリ属のクリもドングリの一種です。一年成の落葉広葉樹で、日本ではほぼ全国に自生しています。
実はイソギンチャク状の殻斗で覆われ、堅果は丸みのある形です。山野に自生するヤマグリやシバグリは、実が小さく甘みが強いのが特徴で、生食もできます。
ドングリを見分けるには

ここからは、たくさんの種類があるドングリを見分ける方法についてご紹介します。
殻斗の形状

殻斗は種類によって形が違うため、これで種類を見分けることもできます。
鱗片状の殻斗はコナラやミズナラ、マテバシイなど、横縞模様はアラカシやシラカシなどです。
殻斗が堅果を包むようになっているのは、スダジイやブナ、イヌブナなどです。
イソギンチャクのようなひげ(トゲ)状のものは、クヌギやカシワなどで、クリもこのタイプです。
堅果の形状や大きさ

堅果は一般的に細長い形のものが多いですが、丸みを帯びたクヌギやアベマキ、三角錐のブナやイヌブナなど、種類によってさまざまなので、種類を判別する手掛かりになります。
そのほかの見分けるポイント

殻斗や堅果以外では、木や葉の形で見分けることもできます。
ブナやイヌブナ、コナラ、ミズナラ、クヌギ、クリなどは落葉樹のため秋には葉が枯れます。葉の形状もそれぞれ異なり、長いものや縁がギザギザしているものなどさまざまです。
ブナやナラの仲間は東日本に多く、シイの仲間は西日本に多く見られます。
食べられるドングリの種類と食べ方

古くから食用とされてきたドングリ。現代ではほとんど口にする機会はありませんが、あく抜きをすれば食べられるものも多いです。ここでは食べられる種類や、あく抜きの方法について解説します。
食べられるドングリの種類

マテバシイ属のドングリはあくが少ないため、下処理があまり必要なく、じつは生でも食べることができます。ブナ属もあくが少なく食べられます。
コナラ属はあくが強く、下処理が必須です。あく抜きした後に粉末にしてクッキーなどにすると食べやすくなります。
クリ属は一般的な栗ですので、もちろん食べられます。
ドングリの栄養

文部科学省の「日本食品標準成分表」によると、ドングリの一種であるシイの実の100gあたりの主な栄養価は、エネルギー252kcal 、タンパク質3.2g、脂質0.8g、炭水化物57.6gとなっています。また、マンガンやマグネシウムなどのミネラルやビタミンCも豊富に含まれています。
あく抜きの方法

シイ・マテバシイ属以外のドングリは、あく抜きをする必要があります。シイ・マテバシイ属でも、苦みが気になる方はあく抜きをしたほうが美味しく食べられます。
あく抜きの手順は以下の通りです。
- ドングリを水に浸け、浮いたものは取り除きます
- 水に沈んだドングリを選んで取り出し、殻をむいて小さく砕きます
- 10分ほどゆでながら、出てきたあくをその都度取り除きます
- 湯から上げたらざるに入れて水洗いし、水気を切ります
- 渋みが残っているときは、3・4をくり返します
秋の山でドングリを探して楽しんでみては

日本固有種のドングリは22種類もあり、見かけたドングリは何の種類か調べてみても楽しいもの。可愛らしい姿はクラフト材料としても人気です。一般に食用としておすすめできる種類は多くありませんが、下処理をすれば食べられるドングリもあるので、味が気になる方はあく抜きして食べるのに挑戦してみてはいかがでしょうか。
Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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