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失敗しない秋の植え替え「8つの鉄則」 もう花苗をダメにしない! 完全ガイド

失敗しない秋の植え替え「8つの鉄則」 もう花苗をダメにしない! 完全ガイド

園芸店や花店で心惹かれて購入した花苗や鉢花。家に帰ってちゃんと植え替えたのに、なぜか元気がなくなってしまった…。そんな経験はありませんか? じつはその原因、植え替えかも? 植え替え成功の鍵は、鉢の中にあります。植物の種類や季節に合わせた正しい処理をすれば、買ってきた花を春まで長く楽しむことができます。この記事では、初心者でも失敗しない植え替えの「8つの鉄則」を園芸研究家の三橋理恵子さんに教わります。文末の新刊書籍プレゼントのご案内もお見逃しなく。

なぜ、買ってきた花苗や鉢花は、植え替えが必要なのか

Lapa Smile/shutterstock.com

園芸店で販売されている鉢花は、価格も手頃でガーデニングを手軽に始めやすいのが魅力です。しかし、購入した鉢をよく見てみると、鉢底の穴から根がびっしりと見えていることはありませんか?

これは、根が鉢の中でいっぱいに広がり、それ以上伸びるスペースがなくなった根詰まりの状態です。お店に並んでいる鉢花は、根が鉢いっぱいに回っているものがほとんどです。このままでは根が新しい水を吸うことができず、植物は元気に育ちません。そのため、買ってきた鉢花は、より大きな鉢へ植え替えることが元気に育てるための第一歩となるのです。

鉢花は、たいていプラスチック鉢に植えられています。植え替えの際は、草花の色などに合った素敵な鉢に衣替えしてあげましょう。

また、お店で売られているのは、見栄えのする鉢花だけではありません。ポリポットに入った花つきの苗も、植え替えが必要です。ぐんぐん生育する品種なら、植え替えてからすぐにひと回りもふた回りも大きくなり、大型の鉢花に負けないほどたくさんの花を咲かせてくれます。大きな鉢に植えてボリューム感を出したい場合は、数株を一緒に植えてもいいでしょう。

成功の鍵は植物の根! 植え替え前に知っておきたい根鉢のこと

鉢植えの草花は、土から上の目に見える「株」の部分と、鉢の中の土に隠れた「根鉢(ねばち)」の部分に分かれます。

根鉢の処理の仕方は人それぞれで、軽く根を崩す人もいれば、まったく崩さない人もいます。しかし、この処理を間違えたために、植物がうまく育たないケースは意外と多いのです。多年草であれば、やがて根が回復することも期待できますが、生育期間が短い一年草の場合、根の処理の失敗は致命的になることもあります。

DDiana/shutterstock.com

根鉢の正しい処理法は、根の張り方や太さ、そして植え付ける季節によって変わってきます。

特に注意したいのが、ゴボウやニンジンのように、太い根がまっすぐ伸びる「直根(ちょっこん)タイプ」の植物です。草花では主根が細く、直根タイプかどうか見分けにくいのですが、セリ科の草花などによく見られます。植えつけの際にこの根を切ってしまうと、その後の生育が極端に悪くなります。

逆に、パンジー&ビオラのように細い「ひげ根」がたくさん張るタイプは、根の先端を少し切ることで、新しい根の発達を促すことができます。ただし、根を切ってよいかは季節によっても変わるため、その都度の判断が必要です。

これだけは押さえて! 植え替えを成功に導く「8つの鉄則」

ここからは、植え替え作業を失敗なく行うための具体的な8つの鉄則を紹介します。一つひとつの手順を丁寧に行うことで、植物は新しい環境にスムーズに適応し、ぐんぐん元気に育ち始めます。

1.秋に植えるなら花期の長い花を選ぶ

まず大切なのが、植物選びです。

鉢花には多年草(宿根草)の草花が多くあります。花後にちょっとした手入れをすれば、次の花期にも花を咲かせます。一方で花期が短く、株を育てる期間のほうが長いものでは楽しみも半減。鉢花を買うなら、長く花を楽しめるものを選ぶのが賢明です。

秋に買って長く楽しめる花の代表的なものは、マーガレット、ユリオプスデージー、ゼラニウム、ブルーデージー。咲き終わった花(花がら)をこまめに摘み取ることで、長く花を咲かせ続けてくれます。

2.植え替え前は乾かし気味が基本

植え替え作業の前には、水やりを控えて土を乾き気味にしておきましょう。土が乾いているほうが、鉢から株を抜きやすく、根鉢を扱いやすくなります。ただし、植物がしおれるくらい弱っているときに植え替えると、株がショックを受けて枯れることもあります。

3.根鉢は崩さず、根詰まりは見逃さない

買ってきたポット苗や鉢花を植え替える場合、大切なのは健康な根鉢を崩さずにそのまま植え付けることです。これは、根から雑菌が入る心配を減らし、植物が新しい環境に順応しやすくなるためです。

ポットの底穴から、白くて勢いのある根が少し見えているくらいなら、根が元気に成長している証拠。このような健康な苗は、根鉢を崩さずにそのまま植え付けて問題ありません。

① ポットの底から、勢いのよい白根が少し飛び出しています。このような状態ならそのまま植え付けできます。
② 根鉢を崩さずにそのまま植えます。

ただし、ポットの中で根がぐるぐると回り、固まってしまったルートバンド状態になっていたら、少し手を加える必要があります。多少根をカットして、下向きに伸ばせる根を作りましょう。この作業をせずに植えると、根がまったく伸びていかないことがあります。

根が鉢の底で固まっている(根詰まりしている)場合はハサミで、底の部分を5~10mmほどカットします。こうすることで、新しい根が下向きに伸びやすくなります。

4.植え替え3ステップをマスターする

根の状態を確認したら、いよいよ植え替え作業に入ります。この基本の3ステップをしっかり覚えましょう。

根を鉢から抜く

根を傷つけないよう、ポットを軽く押しながら、そっと株を抜き取ります。

根鉢の状態を確認する

鉄則3に従って、根鉢を確認。根詰まりしている場合は、根の先端をカットします。

新しい鉢に植え替え

元の株よりひと回り大きな鉢を用意し、Ⓐの部分に用土を入れます。その上に株を置き、Ⓑの部分に用土を詰めます。植え替えが終わったら、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと水を与えます。

植え替えすると、根の張るスペースを得て、株はさらに大きく育ちます。根が底から飛び出すくらい育てば、さらにもう一度ひと回り大きな鉢に植え替えます。

5.季節に合わせた根鉢の処理を知る

根鉢の処理は、季節によって変わります。特に秋は植物の生育期なので、多少根を整理しても元気に回復します。

春と秋の植え替え(生育期)

根が固まっている場合、鉢底の1cmほどの根を軽くほぐしながらカットします。根の先端部を少しカットすることで、新しい根の成長が促されます。ただし、根を切りすぎると、種類によってはその後の生育に影響するので、ほどほどに。

春や秋の生育期なら、鉢底1cmほどの根を軽くほぐしながらカット。

冬の植え替え(休眠期)

冬は生育が非常に緩やかになるため、根を切ると回復に時間がかかります。根が完全に回っている場合でも、底の部分をハサミで軽くカットして、新しい根が下に向かって伸びるのを助ける程度にとどめましょう。

根鉢の底の外側を中心に細い根を軽くハサミでカットして、下向きに伸ばせる根を作ります。

夏の植え替え

真夏の暑さで株が弱っているときに根を切ると、吸水がうまくいきません。なるべく根を切らないようにしましょう。また、切った根の部分から雑菌が入り、枯れることもあります。この季節は成長も旺盛なので、根が回っていない、株の老化の進んでいないポット苗を買うことが大切です。

6.植物の根のタイプを見極める

より効果的な植え替えをするには、植物の根の張り方を知ることが重要です。根のタイプは、大きく分けて4種類あります。

太い根が粗く張るタイプ

根が太いので、たくさん切ると吸水が追いつかなくなり、一時的にしおれることもあります。根を切りすぎないことがポイント。サクラソウなど丈夫な草花が多いので、吸水さえ追いつけば、やがて回復します。

直根(ゴボウ根)タイプ

ポピーやセリ科の植物などは、中心の太い根(直根)を切ってしまうと、生育不良になります。一年草タイプでは植え替えも禁物。

ごく細い根が浅く張るタイプ

ベゴニアなどごく細い根の草花は、根を切られることを嫌います。根の張りも浅いので、根詰まりしているときも、土を軽くほぐす程度に。

ひげ根がたくさん張るタイプ

パンジーなど多くの草花がこのタイプです。根が多少切れても、そこから根が分枝して伸びます。

7.根を切ってはいけない植物を覚える

根のタイプのなかでも特に注意が必要なのが直根タイプや、根が細いタイプの植物です。ヒユ科、ケシ科、セリ科の植物などの直根タイプに加え、アスター、アリッサム、アルケミラ・モリス、イベリス、ブルースター、クレオメ、ケイトウ、ハツユキソウ、コスモス、サンビタリア、スカビオサ、ニチニチソウ、ハゲイトウ、ハボタンなどは、植え替えの際に根を切られると生育不良になりやすいので特に注意しましょう。

8.鉢は、大きすぎないサイズを選ぶ

草花を鉢植えにするときは、根のサイズに合った鉢を選ぶのが基本です。根の量に対して、大きすぎる鉢に植えるのは避けましょう。大きめの鉢に植えると、土が深く、土に保持される水分量も多くなり、なかなか乾きません。土が常に湿った状態だと、根が水を求めて伸びる必要がなくなるので生育が緩慢になったり、土の中の酸素が不足して根腐れの原因になったりすることがあります。

一方、根のサイズに合った鉢では、土の水分量も限られるため、根は水を求めてどんどん伸びていきます。土が乾湿を繰り返し、水分のメリハリがつくと生育によいといわれるのもこうした事情によります。

寄せ植えのために、根鉢をサイズダウンさせるには

ハンギングバスケットや寄せ植えを作るとき、買ってきた苗の根鉢が大きすぎてスペースに入らないことがあります。 その場合は、根鉢をサイズダウンさせる必要があります。

作業の際は、まず土を乾き気味にしておき、根をなるべく傷めないようにやさしく土をほぐします。 必要であれば、根を切り落とします。

ただし、根の伸びるスペースが少なければ、苗の寿命もそれだけ短くなることは避けられません。 あくまで一時的に楽しむためのテクニックと心得ておきましょう。

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