【失敗しない完全版】ソラマメの育て方ガイド|種まき・冬越しから「旬の味」を楽しむ収穫まで
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ソラマメは、塩ゆでするとほんのり甘みを感じるほくほくとした食感が魅力の野菜です。タンパク質やビタミンCに加え、鉄分がダイズの約1.5倍も含まれる栄養豊富な食材ですが、「おいしいのは3日だけ」といわれるほど鮮度が落ちやすいのが特徴です。だからこそ、採れたての極上の味を堪能できるのは家庭菜園の醍醐味。この記事では、秋の種まきや冬越し、そして旬を迎える初夏の収穫(5月中旬〜6月中旬)までの全工程を網羅した、失敗しないソラマメ栽培の完全ガイドをご紹介します。
目次
ソラマメの基本情報

植物名:ソラマメ
学名:Vicia faba
英名:broad bean、fava bean、faba bean
和名:ソラマメ(空豆、蚕豆)
その他の名前:シガツマメ(四月豆)、テンマメ(天豆)、ナツマメ(夏豆)、ノラマメ(野良豆)など
科名:マメ科
属名:ソラマメ属
原産地:西南アジア~北アフリカ
形態:一年草
ソラマメはマメ科ソラマメ属の一年草です。学名はVicia faba(ビシア・ファバ)、原産地は北アフリカや西南〜中央アジアなどで、寒さに比較的強く、暑さにやや弱いのが特徴です。約4,000年前のエジプト遺跡、ピラミッドから見つかっており、古代から食されていたことが分かっています。現在でも未熟な若い豆や完熟豆が、世界中で食用にされています。ちなみに、麻婆豆腐などに欠かせない中華食材の豆板醬は、主にソラマメを原料として作られています。
大きな莢から取り出される若いソラマメ。Helen Fields Hotelfoxtrot/Shutterstock.com
夏バテ防止にもなる栄養豊富なマメ類

ソラマメはタンパク質、糖質、カロテン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCをバランスよく含む、栄養豊富な野菜の1つです。また、鉄分も多く、ダイズの約1.5倍も含まれています。
ソラマメの花や葉、実の特徴

園芸分類:野菜
開花時期:3〜5月
草丈:50〜120cm
耐寒性:やや強い
耐暑性:やや弱い
花色:白または淡紫(中央は濃紫)
ソラマメは茎が直立するように上に伸び、分枝して旺盛に茂ります。茎には4つの稜があり、茎の内部は中空です。春に咲く花はマメ科らしい蝶形花で、白や薄紫の花弁の中に濃紫色の斑が入ります。開花後につく莢は、若いうちは上に向き、熟すと水平もしくは下向きになるという特徴があります。

10cm以上にもなる大きな莢は、内部にフワフワとした白いワタがあります。このワタには若い豆を寒さや乾燥から守り、また栄養を一時的に蓄えておく役割があります。そのため、じつはこのワタ部分も甘みがあり、加熱すると食用可能なのだそう。豆のつめ部分の黒い線は「お歯黒」と呼ばれ、熟すにつれて濃くなるため、熟度の目安にもなっています。
ソラマメの名前の由来と花言葉

ソラマメは漢字で「空豆」と書き、莢が空に向かってつくことが由来になっています。また、見た目が繭に似ていることや、養蚕の時期に熟すことから「蚕豆」と書くこともあります。
ソラマメの花言葉は「憧れ」「永遠の楽しみ」です。
採れたてが最も美味しい野菜

ソラマメは「おいしいのは3日だけ」といわれるほど、鮮度が落ちやすいのが特徴です。時間が経つと風味が悪くなるので、収穫したらすぐに調理して味わうのがポイント。あらかじめ莢から出しておくとかたくなって風味も落ちるため、調理の直前に取り出して利用するとよいでしょう。
ソラマメは塩ゆでにすると素材のよさを味わえます。また煮ても揚げてもよく、ゆでた後に炒め物やサラダに加えても美味しくいただけます。莢ごと焼くのもおすすめです。

ソラマメの主な種類と品種

日本で多く栽培されているのは、「河内一寸」や「陵西一寸」などの一寸ソラマメ。1粒が大きく、一寸(約3.3cm)ほどもあるのが特徴です。また、「お多福豆」として甘納豆などに利用されるやや小粒の一寸ソラマメ「お多福」や、莢は緑で中の豆が赤い「初姫」、長い莢の中に5~6粒の豆が入るヨーロッパのソラマメ「ファーベ」などがあります。
ソラマメの栽培12カ月カレンダー

開花時期:3〜5月
植え付け:11月中旬〜12月上旬
肥料:3月頃
種まき:10~11月
収穫:5月中旬〜6月中旬
ソラマメは冷涼な気候を好み、生育適温は15〜20℃です。耐暑性はあまりなく、25℃以上になると生育が悪くなるため、秋に種子を播いて冬越しさせ、翌年の初夏に収穫する秋まきがおすすめ。ただし、寒さにすこぶる強いというわけではなく、本葉4〜5枚、草丈10〜20cmほどの幼苗期のみ寒さに耐える力を持っています。これより苗が大きくても小さくても、寒さに耐えられずに弱ってしまうので、早まき・遅まきを避け、種まきの適期を逃さないことがポイントです。育苗後、本葉が4〜5枚ついたら定植して、低温に耐える若い苗の状態で冬越しします。翌年の春から生育が盛んになり、開花後に莢をつけたのち、5月中旬〜6月中旬に収穫します。
ソラマメの栽培環境

【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所を好みます。
【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。
【置き場所】ソラマメは連作(同じ科の植物を同じ場所で栽培すること)を嫌うので、前作に同じマメ科のインゲンやエダマメ、エンドウなどを植えていた場所は避けましょう。4〜5年はマメ科の植物を育てていない場所を選ぶことが大切です。
腐食質に富むふかふかの土壌を好み、酸性土壌にやや弱いため、土づくりの際に苦土石灰を散布して適した土壌酸度5.5〜6.0に調整するとよいでしょう。
耐寒性・耐暑性
ソラマメはある程度耐寒性があり、マイナス5℃程度まで耐えますが、これは草丈10〜20cmほどの幼苗期のみなので、種まきの時期に注意が必要です。また、暑さにはあまり強くなく、生育適温は15〜20℃です。
ソラマメの育て方のポイント
種まき
ソラマメの発芽と芽吹きのタイムラプス。Nedelsky Oleksiy/Shutterstock.com
ソラマメはビギナーでも種まきから育てられます。種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境になじみやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなります。
ただし、ソラマメの苗は秋から花苗店やホームセンターに出回り始めるので、苗の植え付けからスタートしてもよいでしょう。「1〜2株あれば十分だから、苗の植え付けから始めたい」という方は、「土づくり」「植え付け」の項に進んでください。
【地植え・鉢植えともに】
ソラマメの発芽適温は15〜25℃で、種まきの適期は10〜11月です。マメ科の植物は移植を嫌うため、直まきしてもよいのですが、鳥害を避けるためには育苗して定植すると安心です。
育苗する場合は、3号ほどの黒ポットに野菜用にブレンドされた培養土を入れ、ジョウロで十分に湿らせておきます。1穴に2粒ずつ「お歯黒」を下にして種子を浅く埋めます。日当たり・風通しがよく、鳥の食害にあわない場所に置き、水やりは種子が腐るのを防ぐために乾いたら与える程度にしましょう。7〜10日ほどで発芽し、さらに本葉が2枚ほどついたら勢いがよいほうを残し、間引く苗はハサミで地際からカットします。これは、引き抜くと残す苗の根を傷めるためです。育苗して本葉が4〜5枚ついたら定植適期です。
用土

【地植え】
苗を植え付ける2〜3週間以上前に、畝を作る場所に苦土石灰を1㎡当たり100〜150g散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおきます。さらに植え付けの1〜2週間前に、畝幅約60cmと作りたい株数に応じた畝の長さを取り、目印として四隅に支柱を立てます。畝に1㎡当たり牛ふん堆肥2〜3L、熔成リン肥50g、有機配合肥料80gを均一に散布し、クワでよく耕して土に混ぜ合わせましょう。土づくりをしてからしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成します。
【鉢植え】
野菜用にブレンドされた市販の培養土を使うと便利です。それぞれの野菜に適した土壌酸度などは異なるので、製品の用途に「ソラマメ」の項目が入っているか、確認しておくとよいでしょう。
植え付け

ソラマメの苗の植え付け適期は11月中旬〜12月上旬。マメ科の植物は移植を好まないので、根鉢をくずさずに植え付けるのがポイントです。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、幅約60cm、高さ約10cmの畝を作り、表土を平らにならします。畝の中央に40〜50cmの間隔をとって、根鉢をくずさずに苗を植え付けましょう。植え付け後に、たっぷりと水やりをしておきます。
【鉢植え】
土が25〜30L入る、深さ30cm以上の大型のプランターを用意します。
底穴に鉢底ネットを敷き、底が見えなくなるくらいまで鉢底石を入れ、その上に野菜用にブレンドされた培養土を入れます。水やりの際にあふれ出さないように、ウォータースペースを鉢縁から2〜3cm残しておきましょう。20〜25cmの間隔を取って、根鉢をくずさずに苗を植え付けます。株元をしっかり押さえ、最後に鉢底から流れ出すまで、たっぷりと水やりをしましょう。植え付け後は、日当たり・風通しのよい場所に置いて管理します。
水やり

ソラマメは過湿を嫌うため、乾燥気味に管理します。また水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉には水をかけず、株元の土を狙って与えましょう。
【地植え】
下から水が上がってくるので、天候にまかせてもよく育ちます。ただし、過度に乾燥が続くようなら、適切に水やりをして補いましょう。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になるので、与えすぎに注意。土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。また、真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。
肥料

ソラマメの栽培では、肥料は控えめに与えることがポイントです。ソラマメは、地中のチッ素分を固定する根粒菌が根に共生します。根粒菌は根から栄養分をもらう代わりにチッ素分を供給する共生関係にあり、ソラマメはやせ地でも生育できるのです。肥料を与えすぎると、徒長して軟弱な株になったり、茎葉ばかり茂って実がつかない「つるぼけ」の状態になったりするので、施肥量には注意しましょう。ただし、鉢植えの場合は、株の状態を見て調整してください。
【地植え】
3月頃に、化成肥料を1株当たり20〜30gばらまき、畝の周囲の土を軽く耕して株元に寄せておきます。
【鉢植え】
つぼみが見え始めたら、1株あたり1つまみほどの化成肥料を施します。その後は草勢を見ながら、7〜10日おきに液肥を与えましょう。
支柱立て

【地植え・鉢植えともに】
冬は生育が緩慢になるのでほとんど変化はありませんが、春に生育期を迎えるとぐんぐん生育します。草丈が30cmほどに育ったら、園芸用支柱を畝またはプランターの四隅に立てて、麻ひもなどで囲い込んで株を中に入れ、倒伏しないようにします。成長とともに高さ20cm間隔で麻ひもの囲いを増やしていくとよいでしょう。
整枝

地際から多数出ている茎葉のうち、弱々しい茎葉を地際で切り取る作業です。充実している茎のみを残すことで、養分が分散されずに大きな莢を収穫できるようになるとともに、風通しがよくなるため病気の発生を防ぐ効果もあります。
【地植え】
草丈が40〜50cmになったら、10本以上出ている茎のうち、勢いのある6〜7本残し、ほかは地際で切り取ります。
【鉢植え】
草丈が30〜40cmになったら、6〜7本以上出ている茎のうち、勢いのある3〜4本残し、ほかは地際で切り取ります。
摘心

【地植え・鉢植えともに】
草丈が60〜70cmになったら、茎の先端を10cmほどカットして芯を止めましょう。茎葉がこれ以上伸びなくなり、その分花や実に養分が向かって充実した莢になります。
収穫

【地植え・鉢植えともに】
ソラマメの収穫適期は5月中旬〜6月中旬で、開花から40〜50日が収穫の目安です。空に向かって立っている実はまだ熟しておらず、下向きに垂れ下がってきたらそろそろ収穫のタイミング。莢の背にある筋が黒くなり、産毛がなくなって光沢が出始めたら、ハサミで切り取ります。
注意する病害虫

チッ素成分の多い肥料を過剰に与えると、株が徒長しやすく軟弱になって病害虫が発生しやすくなるので注意します。摘心・整枝を適切に行い、風通しのよい環境を保つことも大切です。
【病気】
モザイク病
モザイク病はウイルス性の病気で、アブラムシやアザミウマ、コナジラミなどの虫が媒介となります。したがって、発症しやすい時期はアブラムシなどが活動する春から秋にかけて。主に花や葉にモザイク模様が現れ、症状が進むとウイルスの種類によっては葉などが縮れてきたり、湾曲して変形したりし、株の生育が著しく悪くなります。治療効果のある薬剤はないので、病株を見つけたら抜き取って土ごと処分し、周囲に蔓延するのを防ぎましょう。害虫対策をしておくことが、発症を抑制することにつながります。
赤色斑点病
赤色斑点病は、4〜6月頃に発生しやすくなります。カビが原因で、主に葉に小さな赤褐色の斑点が現れ、茎や葉柄、莢にも病斑が広がり、進行すると落葉してしまいます。予防としては、風通しのよい環境を保ち、チッ素成分の多い肥料を過度に与えないようにしましょう。病斑を発見したら、早めに適用のある薬剤を散布し、周囲に蔓延するのを防ぎます。
さび病
さび病は、カビによる伝染性の病気です。葉にくすんだオレンジ色で楕円形の斑点が現れます。この斑点は、やや細長くイボ状に突起するのが特徴で、進行すると斑点が破れ、中から粉のように細かい胞子を飛ばします。株が弱り、枯死することもあるので注意。病葉は見つけ次第切り取って処分し、適用のある薬剤を散布して防除します。
【害虫】
アブラムシ
ソラマメにはアブラムシがつきやすく、茎葉にびっしりと群生することも珍しくありません。若い成長点や莢について吸汁し、株を弱らせます。また病気を媒介する原因にもなるので、早めに捕殺するか適用のある薬剤を散布して対処しましょう。
新鮮なソラマメを育てて美味しく健康に

塩ゆでにしても素揚げにしても、ほくほくとおいしいソラマメ。鮮度が落ちやすいので、採れたてのおいしさを味わえるのは家庭菜園でこその醍醐味です。菜園でもプランターでも栽培できるので、ぜひ栽培にチャレンジしてみてください。
参考文献/
『甘やかさない栽培法で野菜の力を引き出す 加藤流 絶品野菜づくり』発行/万来舎、発売/エイブル 2015年4月21日発行第1刷
『別冊やさい畑 野菜づくり名人 虎の巻』発行/家の光協会 2009年2月1日発行第1刷
『はじめての野菜づくり コンテナ菜園を楽しもう!』発行/日本放送出版協会 2007年5月5日
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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