厳しい暑さもようやく落ち着く晩夏から初秋にかけては、秋冬野菜の栽培をスタートさせるのに絶好のシーズン。気温が下がるこれからの季節は害虫も発生しにくく、虫が苦手なガーデナーさんも家庭菜園に挑戦しやすい季節です。この記事では、栽培スタートの前に準備しておきたいことと、これから植え時や播き時を迎えるおすすめの秋冬野菜を10種ご紹介します。
目次
秋冬野菜の準備を始めよう!
8~9月頃は、いろいろな秋冬野菜が播き時や植え時を迎えるシーズン。鍋料理に欠かせないハクサイやダイコン、冬の寒さに当たってじっくりと甘くなるホウレンソウなど、これからの季節に栽培したい野菜はたくさんあります。気温が低い期間に栽培する秋冬野菜は、夏野菜に比べて虫が発生しにくく、虫が苦手なガーデナーさんにもおすすめ。秋冬野菜を育てて、日々の食卓で採れたてを味わってみましょう!
秋冬野菜栽培スタートのための準備
家庭菜園は、地植えの畑はもちろん、種類を選べばベランダガーデンなどプランター栽培でも楽しむことができます。秋冬野菜の栽培をスタートする際に準備しておきたいものをチェックしておきましょう。
鉢・プランター
プランター栽培なら、地植えのスペースがなくても家庭菜園を楽しむことができます。ベランダや玄関先での栽培も可能。条件に応じて移動できるのもメリットです。プランターを購入する場合は、育てたい野菜に応じた大きさや深さを考慮しましょう。例えばホウレンソウのような葉物野菜は根が浅く張るので比較的コンパクトなプランターで栽培が可能ですが、ダイコンのような根菜類は深さのあるプランターが必要です。ミニダイコンやミニハクサイなど、プランター栽培に向いたコンパクトな品種を選ぶのもよいでしょう。
土、鉢底石
菜園で野菜を栽培する場合、成功のカギを握るのが土作りです。土作りは植え付けの直前に行うよりも、2週間以上前に準備しておくのがベター。事前によく土を耕して、石や過去に栽培した野菜の葉や根、ごみなどを取り除いておきます。育てたい野菜に応じて、2週間以上前に堆肥や石灰などを散布して耕し、1週間前に肥料を投入しておくとよいでしょう。
プランター栽培では、一般的な野菜・草花用の培養土を選んで、プランターの底に鉢底石を数cm厚入れて使います。
備えて安心な病害虫対策グッズ
夏野菜に比べれば、シーズン的には害虫の被害が出にくい秋冬野菜。とはいえ、まったく発生しないという訳ではなく、アオムシやヨトウムシ、コナガなどのチョウ目害虫は、春だけでなく秋にも発生シーズンを迎えます。害虫が発生してしまった場合に備えて、野菜に使える殺虫剤を用意しておくと安心です。なかでも、収穫直前まで使え、必要な時にピンポイントで手軽に使えるスプレーできるものがあると重宝します。
肥料
美味しい野菜作りには、適切な肥料を与えることが大切。植物を健全に生育させ、収穫を楽しむためには肥料が欠かせません。肥料にもいろいろな種類がありますが、植物によって必要な栄養素が異なるので、野菜作りに合わせて配合されたものを選ぶとよいでしょう。
寒冷紗、支柱
冬の寒さ対策と害虫対策に、あると便利なのが寒冷紗。防虫ネットと遮光ネットの役割を併せ持つような布です。保温効果があるので、霜よけや寒さ対策として効果的。また、網目が細かいので害虫対策にも役立ちます。寒冷紗をトンネル状にセットするための支柱と合わせて活用してみましょう。果樹の場合は、樹木に巻き付けて防寒対策とすることもできます。
いまが始めどき! おすすめの秋冬野菜10選
秋冬に栽培をスタートする野菜はいろいろありますが、その中でも家庭菜園ビギナーにも育てやすく、鉢植えでも栽培できる野菜を10種ご紹介します。家庭菜園の場合、特に種まきから栽培すると、一度に大量の野菜が収穫できて食べきれないことも。少し時期をずらして種を播く「ずらしまき」などをして、収穫量を調整するのもおすすめです。
新鮮な間引き菜をお料理に活用できるのも家庭菜園の楽しみのひとつですね。
ハクサイ
アブラナ科の葉菜類で、冬の定番野菜の一つ。連作障害が発生しやすいので、2年間はアブラナ科の植物を植えていない場所で育てましょう。種まきの適期は8月下旬〜9月上旬で、間引きながら育成し、収穫は11〜1月です。苗から育てる場合は、9月下旬に植え付けましょう。かたく結球したら収穫時です。ベランダでも育てやすく、料理もしやすい手ごろなサイズのミニハクサイも人気。
ダイコン
アブラナ科の根菜類で、直根性で移植を嫌うため、種まきからスタートします。春まきもできますが、管理のしやすい秋まきがおすすめ。種まきの適期は8月下旬~9月上旬で、間引きながら育成し、収穫は10月下旬〜12月です。プランターで栽培する場合は、コンパクトに育つミニダイコンを選ぶとよいでしょう。菜園の場合は、土作りの際によく耕して土をやわらかくしておくことが理想の形をつくるポイントです。
カブ
アブラナ科の根菜類で、直根性で移植を嫌うため、種まきからスタートします。種まきの適期は8月下旬〜10月上旬で、間引きながら育成し、収穫は10〜12月です。連作障害が発生しやすいので、2年間はアブラナ科の植物を植えていない場所で育てましょう。春まきもできますが、管理のしやすい秋まきがおすすめ。小カブ種で直径5cm、大カブ種で直径10cmくらいに育ったら収穫します。プランターでも育てやすい野菜です。
ラディッシュ(ハツカダイコン)
アブラナ科の根菜類で、種まきから収穫までの期間が短く、プランターでも簡単に栽培できるので、家庭菜園初心者に特におすすめの野菜です。春まきと秋まきが一般的で、秋まきでは9月下旬~10月下旬に種まきをしますが、真夏と真冬を除けば通年栽培できます。間引きながら育成し、1カ月ほどで収穫ができます。収穫が遅くなるとスが入ることがあるので、収穫時を逃さないようにしましょう。
ホウレンソウ
ヒユ科の葉菜類で、栽培期間が短く、種まきから育てます。春まき・夏まき・秋まきができますが、管理のしやすい秋まきがおすすめ。種まきの適期は9〜10月で、間引きながら育成し、収穫は10〜12月。プランター栽培でも育てやすい野菜です。酸性土壌に弱いので、種まきの2〜3週間前に苦土石灰と堆肥を散布して土作りをしておきましょう。
コマツナ
アブラナ科の葉菜類で、育てやすい野菜の代表格。栽培できる期間も長く、3〜10月に種まきができますが、管理のしやすい春まきと秋まきがおすすめ。秋まきの場合は寒冷紗などを利用して防寒対策をするとよいでしょう。間引きながら育成し、草丈が25cm程度になったら収穫時です。
ミズナ
アブラナ科の葉菜類で、種まきからスタートします。小さな株で収穫するなら3~10月まで種まきできますが、じっくり育てて大株にするなら秋まきがおすすめ。秋まきの適期は9月上旬~10月中旬で、間引きながら育成し、草丈が25cm程度になったら収穫時。12~1月まで育てれば大株で収穫できます。
シュンギク
キク科の葉菜類で、種まきからスタートします。生育適温は15〜20℃と冷涼な気候を好み、春まきと秋まきができますが、管理のしやすい秋まきがおすすめ。種まきの適期は8月下旬〜10月上旬で、間引きながら育成し、収穫は10月中旬〜12月上旬です。酸性土壌に弱いので、苦土石灰などを用いて土作りをしておきましょう。株ごと抜き取って収穫もできますが、一般家庭では茎の途中で摘み取って収穫すれば、次々と脇芽が出て長い期間収穫できます。
ワケギ&アサツキ
いずれもネギ科の葉菜類で、球根を植え付けて栽培します。コンパクトなプランターでも簡単に育てられるので、ベランダガーデンにもぴったり。植え付けの適期は8月下旬〜9月下旬です。草丈が20cmほどに伸びたら収穫適期。3cmほど残して地際で刈り取ると、再び葉を伸ばして何度か収穫を繰り返すことができます。
イチゴ
バラ科の果菜類で、苗から栽培をスタートします。10月中旬〜11月中旬に親株を植え付けて冬越しさせ、収穫は翌年の4月下旬〜6月上旬です。イチゴの株元の膨らんだ部分を「クラウン」といい、成長点があるので、これを埋めないように浅植えにするのがポイント。花が咲いたら、筆などを使って人工授粉をしましょう。夏頃からランナー(ほふく茎)を伸ばして子株ができるので、2節目以降の子株をとって増やすこともできます。
秋冬野菜を栽培して、美味しい収穫を楽しもう!
この記事では、秋からスタートする家庭菜園の準備と、ビギナーでも育てやすいおすすめの野菜についてご紹介しました。熱中症の心配や害虫被害が少ない秋は、絶好のガーデニングシーズン。菜園デビューにもちょうどいい季節です。ぜひ秋冬野菜の栽培に向けた準備をスタートして、家庭菜園ならではの新鮮な野菜を味わってみませんか?
Credit
文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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