大根は煮物、汁物、サラダ、大根おろしなど、さまざまな料理に用いられ、古くから親しまれてきた野菜の一つです。8月下旬〜9月上旬に種をまき、10月末〜12月中旬に収穫する、冬に旬を迎える大根を、秋から家庭菜園で育ててその美味しさを存分に味わってみませんか? この記事では、大根の基本情報から特徴、菜園やプランターなどでの詳しい育て方まで、幅広くご紹介していきます。

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大根ってどんな植物なの?

スーパーや青果店では年中見かける、大根。身近な存在ではあるけれど、そのプロフィールや植物としての性質は? と聞かれるとピンとこない人もいるかもしれません。ここでは、大根の基本情報や特徴についてご案内します。

基本情報

ダイコン

大根は、アブラナ科ダイコン属の根菜類で、根を収穫する野菜です。根菜類に属す野菜は、移植による根の変形を防ぐために、必ず種まきから栽培をスタートすることになります。

大根の原産地は、中国、地中海沿岸、中央アジア。生育適温は17〜21℃で、最低5℃、最高32℃で生育します。日本には縄文〜弥生時代に伝わったとされており、古くから親しまれてきた野菜です。地方品種も多く、練馬大根、三浦大根などが有名ですね。品種改良も進んで家庭菜園向けに栽培しやすい品種も多く登場しており、プランター栽培に向くミニ大根も出回っているので、ベランダなどでの栽培も可能です。

特徴

ダイコン

大根は、種類によって漬物に向く品種や、シャキシャキとした食感がいい品種、辛味が強くて薬味に向いている品種など、さまざま。そんな大根には、デンプンやグリコーゲンを分解する消化酵素のジアスターゼが多く含まれ、昔から胃もたれにいいとされてきました。大根に感じる辛み成分はグルコシノレートで、独特の刺激はミロシナーゼという加水分解酵素の作用で生じるイソチオシアネートです。スーパーや青果店では、葉をカットした状態で販売されていることも多いのですが、じつは葉のほうが栄養価が高く、カロテン、ビタミンC、カルシウムなどを多く含んでいます。家庭菜園で育てるなら、ぜひ茎葉も味わいたいものですね。

大根の育て方

ここまで、大根の基本情報や特徴などについてご紹介してきました。では、ここからは、家庭菜園の実践編として、詳しい育て方について解説していきます。

栽培環境

ダイコン

大根の生育適温は17〜21℃で、涼しい気候を好み、日当たり、風通しのよい環境が適地。適した土壌酸度はpH5.5〜6.0の弱酸性なので、土作りの際には苦土石灰などを散布して酸度調整をしておくとよいでしょう。水はけ、水もちのよい土壌を好むので、合わせて堆肥などを散布してよく耕し、ふかふかとした土作りを心がけてください。特に大根は、土中に根を長く伸ばすので、深く耕せば耕すほどよいとされています。根が分かれる「また根」になるのを防ぐためにも、土中に小石や根などの異物がある場合は取り除いておくことが大切です。

栽培時期

ダイコン

大根は、根菜類で移植を嫌う性質があるため、栽培は種まきからスタートするのが鉄則です。大根の栽培では春に種をまく「春まき」と、秋に種をまく「秋まき」とができ、年に2回の栽培が可能です。一般地を基準にすると、「春まき」は4月頃に種をまき、6月頃に収穫。「秋まき」は8月下旬〜9月上旬に種をまき、10月末〜12月中旬に収穫します。「春まき」は、まだ気温が低いことに反応して花芽をつけやすく、その後の気温の上昇によってとう立ち・開花して根が太らなくなることがあるので注意。とう立ちしにくい品種を選ぶ必要があります。「秋まき」の方がとう立ちしにくいので家庭菜園向きで、秋から冬にかけての旬の時期に収穫するのが最も栽培しやすく、味もよくなります。したがって、ビギナーの場合は「秋まき」からスタートするのがおすすめです。

年に2回の栽培が可能な大根ですが、連作(同じ場所で同じ種類〔科〕の植物を育て続けること。土壌バランスが崩れて生育障害が起きやすくなる)を嫌う性質を持っています。そのため、大根が属するアブラナ科の植物を1〜2年は育てていない場所を選びましょう。

土作り

土作り

【菜園】

種まきの2〜3週間以上前に、苦土石灰を1㎡当たり約100〜150g散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおきます。さらに植え付けの1〜2週間前に、1㎡当たり堆肥約1ℓ、化成肥料(N-P-K=8-8-8)約100〜150gを全面に散布し、よく耕しましょう。できるだけ深くまで耕して、土中に小石や異物などがあれば取り除いておきます。最後に平らにならしておきましょう。土作りは植え付け直前ではなく、数週間前に行っておくことで、分解が進んで土が熟成し、植物の生育がよくなります。

【プランター栽培】

野菜の栽培用にブレンドされた市販の培養土を利用すると便利です。

種まき

ダイコンの種

大根の種まき適期は、「春まき」は4月頃、「秋まき」は8月下旬〜9月上旬頃です。

【菜園】

土作りをしておいた場所に、幅約60cm、高さ約10cmの畝をつくります。畝の長さは作りたい量や広さに応じて自由に決めてかまいません。この畝の中央に、直径5〜6cm、深さ1cmの穴を、30cmほどの間隔を取ってあけていきます。小さな缶詰の底などを使って穴をあけると手際よく作業できますよ! 次に大根の種を5〜6粒ずつ、種同士が重ならないように間隔を取ってまいていきます。軽く土をかぶせて手のひらで抑えて鎮圧しておいてください。最後に、はす口をつけたジョウロを使い、高めの位置からやわらかな水流で鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと水やりしましょう。

【プランター栽培】

ミニ大根(根の長さが20cm前後)の品種を選べば、プランターでも栽培することができますよ!

標準サイズのプランターを準備。底穴に鉢底網を敷き、底が見えなくなるくらいまで鉢底石を入れ、その上に野菜用にブレンドされた培養土を入れます。水やりの際にあふれ出さないように、ウォータースペースを鉢縁から2〜3cm残しておきましょう。約15cmの間隔を取って深さ1〜2cmほどのくぼみをつくります。そのくぼみに大根の種を4〜5粒ずつまき、軽く土をかぶせて手のひらで押さえて鎮圧してください。最後に、はす口をつけたジョウロを使い、高めの位置からやわらかな水流で鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと水やりしましょう。発芽までは乾燥させずに管理することがポイントです。

間引き・追肥と土寄せ

ダイコン

【菜園】

間引きを3回に分けて行い、最終的に1本残します。間引いた苗は、みそ汁の具などに利用できますよ!

1回目の間引きは、本葉が1〜2枚出た頃を目安に行います。勢いのある苗を3本残し、弱々しい苗や葉が傷んでいる苗などを選んで抜き取りましょう。株元を軽く手で押さえて、残す苗を傷めないように行ってください。

2回目の間引きは、本葉が3〜4枚出た頃が目安。勢いのある苗を2本残します。同時に緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)を1㎡当たり30gほど株まわりに均一にばらまき、十分土になじませて、株元に土を盛り上げる「土寄せ」の作業をしておきましょう。葉に肥料がかかると、肥料焼けするので注意します。

3回目の間引きは、本葉が5〜6枚展開した頃が適期で、元気のいい苗を1本のみ残してください。同時に緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)を1㎡当たり30gほど株まわりに均一にばらまき、土寄せしておきます。青首大根のように根が地上部からせり上がってくるような品種を除いて、根が緑化しないように根元までしっかりと土を盛ってください。この後の管理も、雨などによって土が流れ出しているようであれば、土を株元に寄せる作業を繰り返します。

【プランター栽培】

菜園と同様に、間引きを3回に分けて行います。

1回目の間引きは、種まきから1〜2週間後の本葉が出始めた頃に行います。弱々しい苗を間引いて、勢いのある苗を3本残します。根が浮かないように、根元に土を軽く盛って押さえてください。

2回目の間引きは、本葉が3〜4枚ついた頃が目安。3本残した苗のうち、弱々しい苗を1本抜いて、2本残しましょう。この時、約10gの緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)を均一にばらまいて追肥しておきます。

3回目の間引きは、本葉が5〜6枚ついた頃に。勢いのあるほうの1本を残して、もう1本は抜き取ります。約10gの緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)を均一にばらまいて周囲の土になじませ、株元に軽く土を盛る「土寄せ」の作業をしてください。

3回目の間引きから1〜2週間後に、同量の追肥と土寄せをしておきます。

水やり

水やり

【菜園】

発芽後は、地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、晴天が続いて乾燥が続く場合は水やりをして補いましょう。

【プランター栽培】

日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

注意したい病害虫

ダイコン

【病気】

大根の栽培でかかりやすい病気は、軟腐病などです。

軟腐病はジメジメとした環境で発生しやすい、細菌性の病気です。葉や茎などの傷口から侵入して発症します。病気が進行すると腐敗して悪臭が漂い、ほかの株にも蔓延してしまうので、発見次第抜き取って土ごと処分しましょう。水はけのよい環境づくりをし、風通しよく管理することが大切です。

【害虫】

大根に発生しやすい害虫は、アブラムシ、アオムシ、キスジノミハムシなどです。

アブラムシは、3〜10月頃に発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目も悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。

アオムシは、モンシロチョウの幼虫です。葉裏などに卵を産み、孵化した幼虫は旺盛に葉を食害します。葉に穴があいているのを見つけたら、葉を裏返すなどして幼虫がついていないか確認し、見つけ次第捕殺します。大きくなるとギョッとするほどのサイズになり、葉脈のみを残して食べ尽くすほどの害を与えるので、早めの対処が大切です。

キスジノミハムシは、体長3mmほどの甲虫の仲間です。成虫は葉を、幼虫は根を食い荒らします。食害された根は、網目状の跡が残って、見た目にも悪くなってしまいます。

アブラナ科に属する大根は、大変虫がつきやすい野菜です。でも、せっかく家庭で栽培するのだから、できるだけ無農薬で管理したいですよね。そんな時は、園芸用資材を上手に利用する方法があります。用意するのは、不織布と防虫ネット、園芸用支柱です。

不織布は、種をまいた直後に、畝にべたがけにして四方に土を盛って固定しておくと、幼苗を虫から守ることができます。ある程度苗が育ってきたら、不織布をはずして防虫ネットの設置に切り替えましょう。園芸用支柱を畝の両端と中央あたりにアーチ状にして深く差し込み、防虫ネットを被せます。畝の両端で防虫ネットを結んで固定し、四方の裾に土を盛ってしっかりと固定。これで物理的に虫の侵入を抑えられるというわけです。プランター栽培でも同様に管理できます。虫が苦手な方は、園芸用資材を上手に使って防除するのがおすすめです。大根の株がしっかり育って、トンネルの天井につかえて邪魔になるほど大きくなったらはずします。

収穫

ダイコンの収穫

株元を持って引き抜きますが、途中で折れることのないように丁寧に扱ってください。引き上げてみると根が分かれている「また根」になっていることもありますが、病気というわけではなく、食べても問題はありません。葉をつけたままにしていると、葉から水分が蒸散されて根がしなびてくるので、すぐに葉を切り取るとよいでしょう。

【菜園】

根の直径が7cmくらいになった頃を収穫の目安にしてください。地際の茎葉を両手でつかんで、丁寧に抜き取ります。

【プランター栽培】

最後の間引きから約3週間を目安に収穫します。葉の付け根を持って抜き取ります。

保存期間

切り干し大根

冷蔵する場合は、湿らせた新聞紙などに包み、野菜室で保存します。保存期間は1〜2週間くらいです。

冷凍する場合は、イチョウ切り、短冊切り、輪切りなどにし、使う分だけ小分けにして冷凍しておくと、加熱調理などにそのまま使えます。大根おろしにして小分けにして冷凍してもOK。冷凍での保存期間は約1カ月です。

千切りにして天日に4〜5日干して乾燥させれば、切り干し大根を作ることもできます。

大根の栽培で注意したいことは?

ダイコン

【根が変形している!】

土の中に小石や木切れなどの異物が入っていたり、未熟な堆肥が混じっていたりすると、それらに根がぶつかって曲がったり、根が分かれたりすることがあります。根を収穫する大根の栽培は、「大根十耕」という言葉があるように、深くよく耕すことが基本です。土作りの際に、異物などがあれば、除いておきましょう。

また、間引く際に残す苗の根を傷つけたり、植え直したりすると、根が傷んでまた根になることがあります。

【スが入っていて美味しくない!】

「秋まき」で育て、秋冬に収穫を目指す場合は、根の生育が遅く、スが入りづらいのでそれほど心配はないのですが、「春まき」して育てている場合は、成長が著しいためスが入りやすいので注意が必要です。収穫が遅れるとスが入ってしまうので、タイミングを逃さずに収穫しましょう。

【根が太らなかった!】

十分な株間を取っていなかったことが原因として考えられます。大根を栽培する場合は、適した株間を守ってください。また、間引くのを忘れたことによって太らないことがあります。1本のみ残さなければならないところを、2本そのまま残っていた場合は、適した株間を取れていないので、根が太らなくなります。

初心者が挑戦しやすい大根から家庭菜園を楽しもう

ダイコン

大根は、家庭菜園の初心者でも比較的簡単に育てられる野菜です。たくさんの品種が揃っているので、食べ比べを楽しむのもいいですね。特に秋冬は大根が美味しくなる季節。ぜひ大根の種まきから始めて、旬の味わいを楽しんでみませんか?

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

Photo/ 1) Hosomin 2) na-b 3) Torsak Thammachote 4) Dineshahir 5) pilialoha 6) Sleepyhobbit 7) Peter Hermes Furian 8) tamu1500 9) Zoom Team 10) THETAE 11) pote-poteco 12) kariphoto 13) NayaDadara 14) Petite usagi /Shutterstock.com

参考文献/
『やさしい家庭菜園』 監修者/藤田智、加藤義松 発行/家の光協会 2006年3月1日第1刷
『別冊やさい畑 野菜づくり名人 虎の巻』発行/家の光協会 2009年2月1日発行
『これで失敗しない 家庭菜園Q& A』監修/藤田智 発行/家の光協会
『はじめての野菜づくり コンテナ菜園を楽しもう』著者/藤田智 発行/日本放送出版協会 2007年5月25日発行

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