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野菜づくりは土ですべてが決まる! 家庭菜園の土づくりを徹底解説!

野菜づくりは土ですべてが決まる! 家庭菜園の土づくりを徹底解説!

Bits And Splits/Shutterstock.com

自宅の庭で新鮮な野菜を収穫できる家庭菜園に憧れている方は、きっと多いのではないでしょうか。育てやすい野菜を選べば、決して難しいことではありません。そんな家庭菜園ですが、じつは野菜づくりは土づくりで結果が決まるといっても過言ではありません。この記事では、よい土とはどのようなものかという基本情報から、よい土づくりの実践的な方法まで詳しくご紹介していきます。

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野菜を育てるのによい土とは

野菜作り
Shebeko/Shutterstock.com

美味しい野菜を育てるための土づくりをするには、よい土の条件を知っておく必要があります。ここでは、まず野菜を育てるのによい土とはどのようなものなのか、その3つの条件に焦点をあてて解説します。

よい土の条件1
保水性・保肥性がよいこと

土
Deemerwha studio/Shutterstock.com

保水性(ほすいせい)とは水もちのよさのことで、保肥性(ほひせい)とは肥料のもちのよさのこと。野菜が育つためには、水と栄養素となる肥料の2つが欠かせません。

土づくりでは、物理性・化学性・生物性という土の性質の3つの要素を、よりよいバランスにする必要があります。保水性は3つの要素のうち「物理性」、保肥性は「化学性」に当てはまり、基本的には土と有機物の微細な粒子が豊富にあることで、保水性と保肥性が高くなります。

よい土の条件2
水はけ・通気性がよいこと

根
ER_09/Shutterstock.com

水はけと通気性は、先ほどご紹介した土作づくりの3つの要素のうち「物理性」に当たります。

野菜は、土の粒と粒の隙間にある酸素を根から取り込んで呼吸をしています。そのため土の通気性がよくないと酸素不足になり、野菜がうまく育たない原因になります。また、水はけが悪いと根腐れを起こす原因にもなります。

よい土の条件3
酸度が適切なこと

土壌酸度
rukawajung/Shutterstock.com

酸度とは土壌の酸性やアルカリ性の度合いのことで、pHという単位を用いて0〜14の数値で表され、pH7が中性、7より小さな数値になるほど酸性が強くなり、7より大きな数値になるほどアルカリ性が強くなります。

多くの野菜は酸性の土壌を嫌い、中性(pH7.0)から弱酸性(pH5.5~6.5)程度を好みます。雨の多い日本では土中のカルシウムやマグネシウムといったアルカリ分が流されやすいため、多くの土壌が酸性寄りになっています。

pHが低い酸性の土壌だと、アルカリ性寄りの土壌が多いヨーロッパ産の野菜やハーブなどは育ちにくくなるほか、酸度が高いと多くの植物にとって有害なアルミニウムが土壌中に多くなり、根の伸びが悪くなりがちです。

土づくりのためには何が必要? 土づくりに必要な6つの道具

ガーデン道具
Jovanovic Dejan/Shutterstock.com

土づくりにはさまざまな道具が必要です。ここでは、主な道具を6つご紹介します。

土づくりのための道具その1
シャベル

シャベル
Syda Productions/Shutterstock.com

土をすくう部分が大きく、足をかけて力を入れることができるシャベルは、土を深く掘り起こしたり、土と肥料を混ぜ合わせるのに欠かせない道具です。土の表面をならすのにも使えます。

柄の部分が木製のものは重さがあるため、柄がパイプ状になっているものを選ぶと扱いやすいでしょう。

土づくりのための道具その2
鍬(くわ)

クワ
Lunx/Shutterstock.com

鍬(くわ)は土を掘り起こしたり、耕したりする際に使う道具です。シャベルよりも耕す能力が高く、土の塊などを細かく砕く際に便利です。野菜を植えるための畝を立てるのにも使えます。

土づくりのための道具その3
アメリカンレーキ

レーキ
G_stocker/Shutterstock.com

アメリカンレーキは浅く耕すときや、土の表面を平らにする際に使う道具です。耕した後地面をならすほか、雑草や枯れ葉などをかき集める作業など、畑の手入れの際にも使えます。

土づくりのための道具その4
スコップ

スコップ
Daria Lixovetckay/Shutterstock.com

小型のスコップは苗を植える時や種まきのための穴を掘るのに使う道具です。畝立てや、土おこしをした際に出てきた土の塊を砕くのにも使えます。また、土の中に深く埋まった根菜などを収穫するのにも欠かせません。

土づくりのための道具その5
メジャー

メジャー
muhammad afzan bin awang/Shutterstock.com

メジャーは畑のサイズを測るのに使います。野菜などの栽培マニュアルでは、1㎡あたりどのくらいの肥料や石灰などを施すかが示されていることがあります。あらかじめ畑のサイズを把握しておくことで、土づくりの前に必要な堆肥などの量を計算できます。また、畝幅や畝間、種まきや植え付けの間隔などの距離を測るのにも使います。

土づくりのための道具その6
pH測定器(酸度計)

酸度計
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pH測定器は土の酸度を測定するのに欠かせない道具です。電池で動作するタイプや電池が必要ないタイプのほか、酸度測定液といった薬品を使っても測定できます。pH測定器、酸度測定液のどちらもホームセンターなどで手軽に購入できます。

土づくりに欠かせない堆肥と苦土石灰

土作り
Piyaset/Shutterstock.com

よい土を作るために欠かせないのが、堆肥(たいひ)と苦土石灰(くどせっかい)。ここでは堆肥と苦土石灰について、その役割を詳しくご紹介します。

元気な畑の源・堆肥

堆肥
kram-9/Shutterstock.com

堆肥と一口にいっても、じつは堆肥にはさまざまな種類があります。用途によって大きく分けると、よい土に改善していく「育土堆肥」と、主に肥料として使われる「養分堆肥」の2種類があります。

育土堆肥に分けられるものは、落ち葉堆肥、もみ殻堆肥、草質堆肥、バーク(木質)堆肥などで、植物質由来の堆肥がここに分類されます。育土堆肥は養分は少なめですが、水はけや通気性などの「物理性」を改善する効果があります。さらに土壌生物を増やし、生物性も高めてくれるため、土壌改良には欠かせません。

養分堆肥に分けられるものは、畜ふん堆肥(牛ふん、鶏ふん、豚ぷんなど)、生ごみ堆肥、土ボカシなどで、養分を比較的多く含むものがここに分類されます。養分堆肥は土の物理性や生物性を高める効果もありますが、基本的に野菜に養分を供給するための肥料としての使い方が重視されます。

育土堆肥と養分堆肥は役割が異なるため、それぞれ交互に使用したり、組み合わせて使うのがおすすめです。

畑の酸度を調整する苦土石灰

苦土石灰
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前述の「よい土の条件」でも解説したように、日本は雨が多く、土壌のミネラルが流されやすいため土が酸性に傾きやすい気候です。そのためアルカリ性の強い「苦土石灰」を土に混ぜ込んで、栽培する野菜に合った酸度(pH)に調整する必要があります。育てる野菜によって最適なpHが異なりますので、苦土石灰の投入前に必ず土壌のpHを測定してから調整しましょう。

家庭菜園での土づくりの手順

家庭菜園
Alexander Raths/Shutterstock.com

ここまでは土づくりの基礎知識についてご紹介しましたが、実際にはどのような手順で行えばよいのでしょうか。家庭菜園での土づくりの手順について詳しくご紹介します。

土づくりの手順1
土を耕し堆肥を投入する

土作り
Bits And Splits/Shutterstock.com

よい土づくりのためには、まず土をよく耕すことが大切です。深く耕すことで土が柔らかくなり、野菜が深く根を張ることができます。

耕す際は鍬やスコップなどを使って20〜30cmの深さまで土を掘り起こしましょう。この時に大きな石などが出てきたら取り除いておきます。

全体の土をほぐしたら、次に堆肥を投入して土にすき込みます。

水はけや水もちがよく、通気性のよいふかふかの土を作るためには、よく熟した繊維質の多い育土堆肥を使うとよいでしょう。堆肥の投入は作付けの3週間ほど前に行います。

土づくりの手順2
酸度(pH)を調整する

土作り
richsouthwales/Shutterstock.com

前述の通り、野菜には種類によって適切なpHがあります。そのため、野菜を植える前に土壌の酸度を調整する必要があります。基本的に酸度の調整には石灰材を用い、石灰材は苦土石灰を使うのが一般的です。

石灰の投入は、作付けの2週間ほど前に行いましょう。

苦土石灰などの石灰材は、窒素の多い堆肥や硫安のようなアンモニア系化学肥料と同時に施すと、窒素分がアンモニアガスとなって土壌から逃げてしまいます。堆肥、石灰、元肥と、施すタイミングを1週間ずつあけるようにしましょう。

土づくりの注意点

野菜作り
Alexander Raths/Shutterstock.com

よい土をつくるためには、いくつか注意するべきポイントがあります。

ここでは家庭菜園で、土づくりのために注意したいポイントを2つご紹介します。

注意点1
便利な化成肥料にはデメリットもある!

化成肥料
Criniger kolio/Shutterstock.com

化成肥料は便利な肥料ですが、使う際にはデメリットもあるので注意が必要です。

化成肥料は植物にとっては栄養となりますが、土壌生物にとっての養分にはなりません。そのため化学肥料だけを使い続けると、土壌生物の減少や単純化を引き起こす原因となります。

土壌生物が減ると病害虫が増えるリスクが増加してしまいます。病気や害虫を抑えるために農薬を使わざるを得なくなり、さらに土壌生物相の単純化に拍車がかかってしまうという悪循環に陥ってしまう可能性があります。

このような理由から、化成肥料を使う際は、バランスよく使うことが重要です。化成肥料だけに頼っていてはいけませんが、土づくりでしっかりと堆肥をすき込んであれば、もちろん化成肥料を使っても問題はありません。

注意点2
肥料は作物に合ったものを利用する!

土壌
DedovStock/Shutterstock.com

野菜が育つためには、窒素・リン酸・カリウムの三大要素のほかにも、カルシウムやマグネシウムなどさまざまな微量元素が必要です。

ただ大量に栄養素を供給すればよいというわけではなく、土壌酸度と同じように適切な肥料の種類は作物の種類によって変わります。

例として、サツマイモやトマト、豆類では、窒素分が多いと葉ばかりが繁茂して実つきが悪くなってしまいます。

他の作物でも、種類によって必要な栄養素が異なります。作物を育てる前にどのような栄養素が必要なのかを調べて、それに適した肥料を選ぶことが重要です。

よい土を作って美味しい野菜を収穫しよう!

野菜作り
sanddebeautheil/Shutterstock.com

この記事では、よい土の特徴から、土づくりの手順までご紹介しました。よい土を作ることは、おいしい野菜を育てるために必須の条件です。ぜひこの記事を参考に、家庭菜園でもよい土づくりを実践してみてはいかがでしょうか。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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