秋といえば、日本人に親しまれている風習の一つがお月見。夜空にぽっかりと丸く輝く、大きな月を見上げて、秋を感じる人も多いはず。ススキの穂と月見団子を用意して今年もお月見を楽しみましょう。ここでは日本人に親しまれてきた「十五夜」と、お供え物の種類や意味についてご紹介します。
目次
2024年の中秋の名月は9月17日
秋の夜長に、美しく夜空に輝く月。日本では、太陰太陽暦の8月15日の夜に見える月を、十五夜や中秋の名月と呼んで愛でる風習があります。この風習は平安時代頃に中国から伝わったものとされ、古来より日本人は秋の満月を楽しみにしてきました。2024年は9月17日(火)が中秋の名月に当たります。
この中秋の名月は、暦に基づいて決められているため、実際の満月とは日付がずれることがしばしばあります。例えば2020年は、中秋の名月の翌日が実際の満月となりました。また、十五夜の次に巡ってくる満月を十三夜と呼び、十五夜の夜と合わせて両方の月見をしないことを「片見月」「片月見」などと呼んで、縁起が悪いこととされていました。あまり知られていませんが、十五夜、十三夜の次に訪れる旧暦10月10日の月を「十日夜の月」と呼ぶ風習も伝わっています。
月見団子とススキ
中秋の名月は「芋名月」とも呼ばれ、この頃に収穫されるサトイモをお供えしていたことに由来するとされます。一方の十三夜は「豆名月」や「栗名月」などと呼ばれます。そして十日夜には稲の収穫祭などが多く行われます。このように、お月見は農耕文化に根付いた行事でもあり、収穫に感謝するという意味合いを持っています。そのため、その時期に収穫したものをお供えしたのです。さて、現在の秋のお月見のお供え物といえば、月見団子とススキが有名。十五夜に供える月見団子は、これから収穫を迎える穀物の実りに感謝し、保存がきく米粉を満月に見立てた丸いお団子にしたもの。関西では、イモに見立てた形のものもよくお供えされます。お団子の数は、十五夜に合わせて15個、または一年の始まりからの満月の数を数えて12個または13個が一般的です。一方のススキは、これから収穫を迎える稲穂に見立てて供えられたもの。また魔除けの意味合いも持つとされています。このほか、イモやマメ、クリなどもよくお供え物として飾られています。
「餅をつくウサギ」と世界の国々
日本では、きれいに輝く満月を見ていると、「ウサギが餅つきをしている」なんていいますよね。これは、月に見える模様を、餅をついているウサギに見立てたもの。インドの神話に由来するといわれています。日本ではウサギですが、世界でも月の模様をさまざまなものになぞらえています。例えば、南ヨーロッパでは大きなハサミのカニ、北ヨーロッパでは本を読むおばあさん、アメリカでは女性の横顔、アラビアでは吠えるライオンなど。
月の表面の模様は、向きや角度は違っても、世界中どこから見ても同じ模様が見えています。というのも、月は地球に同じ面を向けて公転しているので、月の裏側は地球からはほとんど観測できないため。月の裏側には海がほとんどなく、クレーターによる凸凹が目立ち、表側とは全く違う表情だそう。同じ模様を見ながら、世界中でたくさんの異なる解釈が生まれているのも面白いですね。今年はそんなお話にも思いを馳せながら、美しい秋の月を見上げてみてはいかがでしょうか?
Credit
文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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