本格的な夏が到来!「第4回東京パークガーデンアワード夢の島公園」の『サステナブル審査』を迎えた5人の庭と審査の様子をご紹介
今年の初夏は、ここ数年のなかで最も梅雨らしくて涼しく、人にも植物にとっても過ごしやすい日が続きました。しかし、7月中旬を過ぎると30℃を超える真夏日が続いています。そんななか、東京・江東区にある都立夢の島公園では「第4回東京パークガーデンアワード」の5人の入賞者によるコンテストガーデンが公開されています。夏の強い日差しを浴びながらも、健気に花を咲かせる植物たちのたくましい姿は、見る人たちに元気をくれる、すがすがしい風景です。そのガーデンの耐久性などを見る『サステナブル審査』が行われました。審査の様子を当日のガーデンと併せてご紹介します。
目次
年3回審査を行うガーデンコンテスト
海風を感じる夢の島公園「東京パークガーデンアワード」

このコンテストは、最終結果を決めるまでに4月・7月・11月の合計3回、審査が行われ、‘グランプリ’、‘準グランプリ’、‘審査員特別賞’の受賞が決定します。今回行われたのは、施工から約8カ月経過したガーデンが、梅雨を経て猛暑に向けた植栽と耐久性を審査する『サステナブル審査』です。
審査期間:2026年7月8日~15日


【コンテスト審査基準】
公園の景観と調和していること/公園利用者の関心を得られる工夫があること/公園利用者が心地よく感じられること/植物が会場の環境に適応していること/造園技術が高いこと/四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること/「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること /メンテナンスがしやすいこと/テーマに即しており、デザイナー独自の提案ができていること/総合評価 ※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。
※今回行われた審査結果の公表はありません。
7月のショーアップ審査を迎えた5名のガーデンをご紹介!
コンテストガーデンA
花の巡り、風と大地の詩

【7月中旬(審査当日)の様子】

審査時の見どころ
地面はフラットですが植物で高低差をつけることで、ボリュームと見応えが出ています。多種多様な花の彩りが、モザイクのように美しく広がり、花畑の中を歩いているような気分にさせてくれます。年々植物の生育が充実し、3年後に本領を発揮するのではと想像できます。

【開花を迎えていた植物】
ユーコミス‘ビッグボーイ’、コレオプシス‘ルビーフロスト’、ルドベキア‘ゴールドスターム’、リアトリス・スカリオサ、エキナセア‘サンシーカーズレインボー’、エキナセア‘JSスティレッド’、アキレア‘ヘラ・グラショフ’、サルビア・ネモローサ‘カラドンナ’、セダム‘サンダーヘッド’、ガウラ‘ペインズフェアリー’、カラミンサ、アークトチス、エキナセア・テネシエンシス、バーベナ、フロックス‘ブトニク’、エキナセア‘パープルレディ’、フロックス‘デイビッド’、バーバスカム‘ウエディングキャンドルズ’、サルビア‘バイオレットクィーン’ ほか
コンテストガーデンB
潮風に揺れるプレイフルガーデン
-Playful Garden Swaying in the Coastal Breeze-

【7月中旬(審査当日)の様子】

審査時の見どころ
大型のオージープランツ(樹木)がどっしりとした安定感をもたらしながら強いインパクトを放ち、迫力と没入感を生み出しています。背後のユーカリの林とも一体感があり、このエリアの植物に囲まれているだけで、暑さがやわらぐ感覚があります。

【開花を迎えていた植物】
モナルダ・フィスツローサ、エキナセア‘ミニベル’、アガパンサス‘ファイアーワークス’、ポテンティラ‘ロンマクベス’、リモニウム・ラティフォリウム(スターチス)、エキナセア・パリダ、ブルネラ(ウツボグサ)、グレビレア‘ドーンパープル’ ほか
コンテストガーデンC
Stewardship Garden:The Way

【7月中旬(審査当日)の様子】

審査時の見どころ
カラマグロスティスなどの植物が“風”を視覚的に感じさせ、暑さを忘れさせてくれる植栽です。バランスよく高低差をつけて盛り土した花壇に、絶妙なリズムを生む7・5・3の株数でマスプランティングが施され、波形の花壇にマッチした植栽デザインとなっています。

【開花を迎えていた植物】
ユーパトリウム‘ベービージョー’、トリトマ‘オレンジバニラホプシクル’、エキナセア’フェイタルアトラクション’、アガパンサス(白)、セダム・マトロナ、ベロニカ’フェアリーテール’、アキレア‘テラコッタ’ ほか
コンテストガーデンD
SurFIVE Garden

【7月中旬(審査当日)の様子】

審査時の見どころ
エネルギッシュでホットな花色と人の背丈を超えるボリューム感が強烈で、人をひきつけるインパクトのあるガーデンです。にぎやかで楽しいリゾート感があり、この公園の雰囲気によく似合っています。

【開花を迎えていた植物】
バーベナ・ボナリエンシス、カンナ‘ベンガルタイガー’、カンナ‘ロシアンレッド’、クニフォフィア‘ルーペリ’、ルドベキア‘ゴールドストラム’、アキレア‘ウォルターフンク’、ルドベキア‘タカオ’、ロシアンセージ‘デニムレース’、セダム‘オータムジョイ’、ヘレニウム‘モーハイムビューティ’、ヘレニウム‘マルディグラ(マーティグラス)’、ヘリオプシス‘ブリーディングハーツ’、アマランサス‘ベルベットカーテン’、ヒオウギ、アガスターシェ‘アパッチサンセット’、ペルシカリア‘ロゼア’、サルビア・ネモローサ‘カラドンナ’、エキノプス‘プラチナムブルー’、キンギョソウ‘ブラックプリンス’、ミソハギ、リクニス・コロナリア ほか
コンテストガーデンE
「東京サバンナ・バイ・ザ・ベイ」 〜地の記憶と環境を翻訳する庭

【7月中旬(審査当日)の様子】

審査時の見どころ
サバンナをテーマに計画されたガーデンで、丈高く成長したグラス類の揺らぎの中に、自立性の高い小型宿根草が小花を咲かせています。普段見慣れない珍しい植物が入り混じって、印象的なシーンを描いています。ほぼメンテナンスフリーで美しい風景が維持されています。

【開花を迎えていた植物】
アガスターシェ‘タンゴ’、アスター‘クリスティナ’、エキナセア‘ファタルアトラクション’、エキナセア‘グリーンジュエル’、スタキス‘ウッキー’、ネペタ‘キャッツパジャマ’、ガウラ‘ペインズフェアリー’、ルドベキア‘リトルゴールドスター’、カラミンサ‘マーベレットホワイト’、ゴニオリモン・コリナム、クナウティア‘マースミジェット’、コレオプシス‘ムーンビーム’、ヘレニウム‘ソンブレロ’ ほか
メンテナンスで出た発生材などは
CO2を出さずに園内で循環させるために
「コンポスト」にイン!

植物をメンテナンスする際に出る、花がらや剪定枝などの発生材。ゴミとして捨てれば焼却場で燃やされて二酸化炭素が発生してしまいます。このコンテストでは、焼却による二酸化炭素を出さないために、微生物の力を借りながら発生材を堆肥化させて、植物の肥料や土壌改良材として園内で活用していく予定です。

そのためにコンテストガーデンと同じエリアに設けられたのが、木製「コンポスト」。設置された2月下旬以降、メンテナンス時の発生材をガーデン内の落葉と一緒にこのコンポストに入れています。花壇からの発生材を資源として花壇等に還元する、これからのガーデニングのスタンダードにしていくための試みです。

第3回のコンテストまではそれぞれのガーデン内に設けた入賞者自作のバイオネストなどで、各自発生材を処理していました。今回はガーデンが小さいことなどから、共用のコンポストをガーデンの傍らに設置。ユーカリの林を背景に静かに佇んでいます。

コンポスト内には早く堆肥化をさせるために、米ぬかなどの発酵促進剤や、土壌改良材として注目されているコーヒーかす(夢の島熱帯植物館のカフェで出たもの)を定期的に投入。ときどき、前の板を外して天地返しも行っています。これにより、硬い葉も速やかな発酵が進みます。堆肥化するまで約1年はかかりますが、ここで作られた堆肥は園内で活用される予定です。

コンポストについて説明した木の看板を、通路側の壁面に取り付けました。ガーデンを愛でて楽しむだけでなく、庭づくりをすることで発生する問題にも焦点を当てて、SDGsについても考えることができます。
コンテストガーデンを見に行こう! Information

都立夢の島公園「グリーンパーク」内
所在地: 東京都江東区夢の島2-1
電話: 03-3522-0281
https://www.yumenoshima.jp/park
開園時間:常時開園
※サービスセンター及び各施設は、年末年始は休業。営業時間等はサービスセンターへお問い合わせ下さい。
入園料:無料(一部有料施設あり)
アクセス:東京メトロ有楽町線(Y24)・JR京葉線・りんかい線「新木場」下車、徒歩7分。東京メトロ東西線「東陽町」(T14)から都バス(東陽町-新木場、東陽町-若洲海浜公園)「夢の島」下車。高速湾岸線「新木場インター」より5分
駐車場:有料
Credit
写真&文 / 井上園子 - ライター/エディター -
いのうえ・そのこ/ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。ガーデニング以外の他分野のPR等にも携わる。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
撮影 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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