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秋の風情を感じる優雅さ! シュウメイギクの特徴、花言葉、育て方

秋の風情を感じる優雅さ! シュウメイギクの特徴、花言葉、育て方

sasimoto/Shutterstock.com

秋に見頃を迎える、シュウメイギクという花をご存じでしょうか。ピンクや白など優雅な姿で次々と咲き、秋の風情を演出する花です。楚々としたたたずまいから、秋の茶花としても人気があります。古くから日本で野生化してきた多年草で、初心者でも育てやすいのも長所。この記事では、シュウメイギクの特性や品種、花言葉から詳しい育て方まで、幅広くご紹介していきます。

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シュウメイギクとは

シュウメイギク
Edita Medeina/Shutterstock.com

シュウメイギクはキンポウゲ科イチリンソウ属の多年草で、原産地は中国、台湾。古い時代に日本に伝えられ、京都の貴船地方で自生するようになったとされています。人の手を借りずとも、自身の生命力で現代まで生き残っているワイルド派ですから、日本の気候に馴染んで旺盛に生育するということが分かりますね。それゆえ、初心者でも簡単に育てられる植物なんです!

シュウメイギクは、八重咲き種の咲き姿がキクに似ていることから、名前の一部に「菊」がつけられたようですが、実際はキンポウゲ科に属する植物です。アネモネの仲間で、英語では「ジャパニーズアネモネ(Japanese anemone)」と呼ばれています。別名として「キブネギク」「キフネギク」がありますが、これは、前述のように京都の貴船で多く自生していたことにちなんでいます。

花名の由来

シュウメイギク
Tunatura/Shutterstock.com

シュウメイギクは、漢字で「秋明菊」と書きます。「秋に咲いて明るく彩る菊の花」という意味で名付けられたとされています。一方、中国では「秋冥菊」と書き、これは「秋に咲くこの世のものとは思えないほどに美しい菊の花」という意味で名付けられました。当初はその名前の通りに日本に伝えられたようですが、日本で「冥」の字は冥土、つまり死をイメージされがちで、縁起が悪いように捉えられたのか、「明」の字が当てられたとされています。別名の「貴船菊」は、前項でもご紹介したように、京都の貴船で野生化して増えたことから与えられた名前です。

じつは花びらじゃない?

シュウメイギク
IanRedding/Shutterstock.com

シュウメイギクは、花びらに見える部分はじつはガクで、5〜20枚以上と品種によって枚数は異なります。白花種はガクの数が少なく、一重でふっくらとした花姿が楚々とした印象で、秋の茶花として人気です。

シュウメイギクはキンポウゲ科に属していますが、このキンポウゲ科に属する植物の多くは花びらを持っていません。花びらは退化していて、中心には淡いグリーンの雌しべがあり、それを囲むように多数の黄色い雄しべがつきます。ガクの色としべとのコントラストが美しいのも、シュウメイギクの魅力といえるでしょう。

シュウメイギクの見頃は?

シュウメイギク
starryvoyage/Shutterstock.com

シュウメイギクは、半常緑性の多年草です。一度植え付ければ毎年開花して長く楽しめる、コストパフォーマンスの高い植物です。生育期は3月頃からで、開花期は8月中旬〜11月。環境や品種によって、冬に葉を落として地上部を枯らすこともあれば、葉を残したまま越冬することもあります。

開花期が長いのは、品種によって早くから咲くものもあれば、遅めに咲くものもあるからで、最盛期は9月下旬〜10月頃です。開花する時期の差を利用して、早咲きと遅咲きを組み合わせて数種類の品種を植えると、長く開花を楽しめます。寒さに強いため、暖地では12月まで咲くこともあるようです。

また、開花を長く楽しむには、まめに終わった花がらを摘み取ることもポイント。開花後に放任すると、タネをつけるほうにエネルギーが取られて株が消耗し、開花する力を失ってしまいます。タネをつけさせないことで、シュウメイギクが種の保存の危機を感じて次から次へと花を咲かせようとするのです。

シュウメイギクの花言葉

シュウメイギク
lorenza62/Shutterstock.com

シュウメイギクの花言葉は、「薄れゆく愛情」「淡い思い」「あせていく愛」「多感な時」「忍耐」など。シュウメイギクの薄い花びらが持つ楚々としてはかなげなイメージから、このような愛にまつわる切ない言葉が多くなったようです。シュウメイギクが「ジャパニーズ・アネモネ」という別名を持つことから、アネモネにまつわる悲しい神話に由来する花言葉に影響されているのかもしれません。

シュウメイギクの品種

シュウメイギク
Iva Villi/Shutterstock.com

シユウメイギクの花色は、白、濃いピンク、淡いピンクなど。草丈は、20〜40cmに低く改良された矮性種から、スタンダードな50〜80cm、100〜150cmにも達するダイナミックサイズの高性種まで、品種によってさまざまです。また、花姿も5弁のガクからなる一重咲きや、ガクが多数重なる半八重咲き、八重咲き、広いガクが重なってボタンのような咲き姿を見せるボタン咲きなどがあります。

園芸品種でポピュラーな‘ダイアナ’は、より濃いピンクの一重咲き。‘プリマドンナ’は、草丈30〜40cmのコンパクトサイズで、ガクにはピンクの濃淡を映し出し、一花一花にニュアンスのある表情が特徴です。

花が終わっても楽しめる!

シュウメイギクのタネ
Ian Grainger/Shutterstock.com

シュウメイギクが初冬に花を散らせる頃、花がら摘みをせずにその後の様子を見守ってみましょう。ガクが散った後には、中心の雌しべだけが残ります。しばらくして雌しべが熟すと、割れて小さなタネを抱えた綿毛が現れます。このふわふわとした真っ白な綿毛の姿を観賞するのもおすすめです。綿毛が飛んでタネが落ちると、着地したところで発芽して増えていきます。

シュウメイギクの育て方

シュウメイギクは古くから自生してきた植物なので、手をかけなくても元気に育ちます。ここでは、植え付けから日頃の管理、増やし方、気をつけたい病害虫など、詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

栽培環境

シュウメイギクの育て方
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日なた〜明るい半日陰の環境が適地です。真夏に直射日光を浴びると、葉が焼けて枯れ込んできます。鉢植えの場合は、半日陰に移動して管理するとよいでしょう。庭植えの場合は、あまり日当たりが悪すぎても花つきが悪くなるので、午前中のみ日が差す東側か落葉樹の下など、チラチラと明るい半日陰の場所を選びましょう。真夏のみ鉢植えにして半日陰の場所に移動して養生させ、涼しくなったら日当たりのよい場所に植え戻すのも一案です。

水はけが悪い場所では病気が発生しやすくなるので、植え付け前に腐葉土や堆肥を投入してよく混ぜ込み、土壌改良しておきます。

暑さにも寒さにも強く、国内ならどこでも生育しますが、どちらかというと夏の暑さをしのげる高冷地などのほうが旺盛に育つ傾向です。シュウメイギクの根は暑さや乾燥を嫌うため、株元をバークチップなどで覆って対策するとよいでしょう。

土づくり

土作り
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【庭植え】

水はけ、水もちのよい土壌を好みます。植え場所に直径、深さともに30cm程度の穴を掘りましょう。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきます。

【鉢植え】

赤玉土(小粒)4、鹿沼土3、腐葉土3の割合でブレンドし、水はけと水もちのよい土を利用するとよいでしょう。あらかじめ草花の栽培用に配合された培養土を利用してもOK。初心者なら市販の培養土を使うほうが手軽です。

植え付け

植え付け
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シュウメイギクの植え付け適期は、新芽が動き始める前の3〜4月です。9〜10月に花苗店などに出回る開花株を買い求めた場合は、植えたい場所へ早めに定植します。

【庭植え】

土づくりをしておいた場所に、入手した苗の根鉢より1~2回り大きな穴を掘って、植え付けましょう。最後にたっぷりと水やりをしておきます。

庭植えでは3〜5年はそのまま育ててかまいませんが、旺盛に生育して株が込み合っているようなら、3月か9月に掘り上げて株分けし、植え直すとよいでしょう。

【鉢植え】

鉢の大きさは、6〜7号鉢に1株を目安にするとよいでしょう。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。シュウメイギクの苗をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら用土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

シュウメイギクは生育旺盛なため、根詰まりを起こすことがあります。1年に1度は植え替えましょう。植え替えの適期は3〜4月。植え替えの前に、水やりを控えて鉢内の土を乾燥させておきましょう。鉢から株を取り出し、根鉢を少しずつ崩していきます。不要な根を切り取り、1/3くらいまでを目安に根鉢を小さくしましょう。これ以上大きくしたくない場合は同じ鉢に、もう少し大きくしたい場合は2回りくらい大きな鉢に植え替えます。

水やり

水やり
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【庭植え】

植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、真夏に晴天が続いて乾燥しすぎる場合は水やりをして補いましょう。真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。

【鉢植え】

日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、直射日光が当たらない半日陰の場所で管理し、朝夕2回の水やりを欠かさないようにします。真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝夕の涼しい時間帯に行うことが大切です。

追肥

肥料
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【庭植え】

毎年3月頃に緩効性化成肥料を株周りに施して、その後の生育を促します。

【鉢植え】

3〜5月と10〜11月に、月に1回を目安に緩効性化成肥料を施し、株の勢いを保ちます。10日に1度を目安に、液体肥料を水やり代わりに与えてもかまいません。

やや苦手とする真夏に肥料を与えると根が傷むので、この時期は肥料を与えないことがポイントです。

病害虫

アブラムシ
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うどんこ病が発生しやすいので、茎葉が茂りすぎて込み合っているようなら、茎を数本、根元から切り取って風通しよく管理しましょう。大株に成長したら、株分けをして小さくし、風通しをよくします。また、地際に白絹病が発生する場合も。適応する殺菌剤を散布して対処しましょう。

害虫は、アブラムシが新芽やつぼみに発生します。植え付け時に適応する粒剤を土壌にまいておくと発生を防ぐことが可能です。また、真夏に乾燥が続くとハダニが発生することがあります。水に弱いので、涼しい時間帯に葉裏などに勢いよく水をかけて対処しましょう。

増やし方

ガーデニング
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シュウメイギクは、株分けして増やすことができます。大株に育ったら、株を掘り上げて土を落とし、2〜3芽つけて根を切り分ければ、その分株の数も増えるというわけです。株分けは3〜4月か、9〜10月。大株に育つと、存在感が大きくなりすぎて持て余してしまうこともあります。株を小分けにすると株が若返り、再び勢いよく生育するメリットもあります。

また、シュウメイギクは地下茎で増えていく性質を持っており、子苗を採取して増やすことも可能です。適期は3〜4月か、9〜10月。新芽に根をつけて採取し、黒ポットに植え替えて育苗。株が大きくなったら、植えたい場所に定植します。地下茎で増やすメリットは、採取した株のクローンになることです。

シュウメイギクを育てて秋を楽しもう

シュウメイギク
High Mountain/Shutterstock.com

ここまで、シュウメイギクの特性から育て方まで、詳しく解説してきました。シュウメイギクについて、親近感を増していただけたでしょうか? その名の通り、秋に見頃を迎える美しい花が魅力ですが、清楚な見た目とは裏腹に生命力旺盛で、初心者でも育てやすい植物です。ぜひ庭やベランダなどで咲かせて、秋の風情を感じてみてください。

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