家に帰ったとき、いちばん最初に目に入る玄関先。広い庭がなくても、ほんの数㎡のスペースがあれば、季節の植物を飾って一年を通して変化のある景色をつくることができます。春はバラと草花があふれ、初夏にはアジサイが涼やかに彩り、秋には深みのある紫や赤へ。そして冬にはパンジーやビオラ、ハボタンが玄関を華やかに。これらはすべて、ハンギングバスケット講師として30年以上活動する武島由美子さんの自宅。驚くのは、同じ玄関が季節によってまるで違う場所のように変化すること。その変化と工夫を、四季の玄関を追いながら見てみましょう。
目次
春|花壇とハンギングを「同じ色」でつなぐ

春、パンジーやビオラが満開の武島さんの玄関前。花壇に連なる花のラインの中から、まん丸いハンギングバスケットが浮かび上がるような景色が目を引きます。
ここで注目したいのは、単にたくさんの花が咲いていることではありません。同じ花色を、花壇や寄せ植え、ハンギングバスケットに繰り返し登場させることで、玄関全体を一つの景色としているのがポイント。
「ハンギングはハンギング」「花壇は花壇」と別々に考えるのではなく、同じ色や同じ花を異なるスタイルの植栽に繰り返して使うことで、離れている植物同士に関係が生まれ、一枚の景色としてまとまりと奥行きを出しています。
夏|アジサイもハンギングにして、景色の一部に

夏はバラと宿根草が咲き誇り、甘やかな香りが辺りに漂います。春と同じように、やはり同じ色を手前から奥まで繰り返し使うことで、自然に視線が誘導され、奥行きのない場所でも見応えのある景色を作っています。バラが終わればアジサイが主役を引き継ぎ、季節をつないでいきます。地植えや鉢植えでは見慣れているアジサイですが、ハンギングにすることで新鮮な花姿に。

床に鉢を並べるだけでは、花で彩ることのできる面積には限界がありますが、武島さんのようにハンギングバスケットを取り入れ「縦の空間」を使えば、花を飾れる場所は意外とあるもの。フェンスや壁だけでなく、椅子の背もハンギングバスケットを飾ることのできる身近なガーデンツール。目線の高さに花が上がるだけで、パッと目を引く風景が作れるのもハンギングバスケットの魅力です。
花が少ない時期こそ、リーフを主役に

暑さが厳しくなる夏や、季節と季節の変わり目には、使える花の種類が少なくなることもあります。そんなときに武島さんが活用しているのが、葉色や模様を楽しむカラーリーフです。

白とグリーンなら涼やかに。ピンクを加えれば花がなくても華やかに。花がなくても葉の色、模様、形を組み合わせれば、リーフだけでも十分に見応えのあるハンギングバスケットになります。花の端境期に、次の季節の花が揃うまで、リーフを中心としたハンギングに差し替えれば、玄関の景色を途切れさせずに済みます。
ハンギングは「今きれいな花」だけで選ばない

ハンギングバスケットを作るときは、基本的に3〜4カ月楽しむことを前提に植物を選びます。作ったときの完成形だけを考えるのではなく、その先の季節まで元気に育つか、どのくらいの期間見頃を保てるかも大事。だからこそ、一つのハンギングを長く楽しむことができ、次の季節へと無理なくバトンタッチできます。
「今、園芸店できれいに咲いているから」という理由だけで植物を選ばず、この先どう育つかまで考えて選ぶのが、一年中玄関を美しく保つための、大切なポイントです。
秋|花数が減っても「色」で季節をつくる

秋は夏の明るいピンクやブルーから、紫やボルドーなど少し深みのある色へ。夏から咲いているペチュニアなどは、切り戻せば秋にも再び見頃を迎えます。全部を植え替えず、秋らしい植物をハンギングバスケットでフォーカルポイントにすると、秋らしい雰囲気に。植物は違っても、「色を繰り返して景色をつなぐ」という考え方は同じです。
冬|花の少ない季節こそ「立体」が効く

植物が休む冬は、庭が最も寂しくなりやすい季節。でも、武島さんの玄関には色があります。パンジーやビオラ、ハボタンなど冬に強い植物を使いながら、ハンギングバスケットを壁面に配置。足元の花壇にも花を植えることで、上下に花のある景色を作っています。

さらにクリスマスシーズンには、常緑樹の枝やリースなどを取り入れれば、花が少なくても季節感のある玄関に。冬は「花をたくさん咲かせる」ことだけを目標にしなくてもいいのです。常緑の葉、枝、実、リース、鉢など、植物以外の要素も含めて景色をつくれば、冬ならではのガーデニングを楽しめます。
一年中きれいな玄関をつくる5つのコツ

四季を通して見てみると、武島さんの玄関づくりには、いくつか共通するルールがあります。
- ハンギングは3〜4カ月先まで考えて植物を選ぶ
- 花が少ない時期はカラーリーフを活用する
- 玄関全体で同じ色を繰り返す
- 同じ植物を花壇・鉢・ハンギングに使って景色をつなぐ
- 床だけでなく壁面まで使い、立体的に飾る
大切なのは、1つひとつの鉢を独立した作品として考えるのではなく、「玄関から見えるもの全部で、ひとつの景色を作る」。
この考え方なら、広い庭がなくても応用できます。玄関脇に1つの鉢を置くところからでもいいし、小さな花壇とハンギングの花色を揃えるところからでもOK。使える面積が小さいからこそ、工夫の効果がはっきり現れます。
30年以上、小さな空間に花を飾り続けて

こうした玄関の景色を作っているのが、ハンギングバスケットの講師として30年以上活動してきた武島由美子さんです。武島さんの庭を見ていると、「庭が広くなければガーデニングは楽しめない」という考えが、少し違って見えてきます。壁があれば、花を飾れる。鉢1つを置ける場所があれば、季節を迎えられる。そして花壇、寄せ植え、ハンギングをつなげれば、数㎡の玄関先にも奥行きのある庭の景色を作ることができます。

長年の実践から生まれたその工夫を、ハンギングバスケットだけでなく、寄せ植え、奥行きのない花壇、つる植物、季節の演出までまとめたのが、武島さんの著書『玄関から始める 花のある暮らし』です。
小さな場所から始める、花のある暮らし

本書で紹介しているのは、完成した美しい庭だけではありません。
「どんな植物を選べばいい?」「どう組み合わせればまとまって見える?」「狭い場所をどう使えばいい?」「季節が変わったらどうすればいい?」
そんな、実際に植物を育て始めると出てくる疑問に、武島さんが長年の経験から答えます。ハンギングバスケット、寄せ植え、つる植物、花壇。それぞれの技法を学びながら、目指すのは1つひとつの作品を上手につくることだけではありません。
目標は玄関から始まる、小さな庭の景色を作ること。
広い庭がなくても大丈夫。まずは玄関先の1鉢から。季節の花を1つ迎えることから、「花のある暮らし」を始めてみませんか。
購入者限定の動画レッスン付き!初めてでも迷わず作れる『ハンギング&寄せ植え』バイブルが予約開始
『小さな空間を生かす立体ガーデニング 玄関から始める花のある暮らし』
著者:ガーデンストーリー
定価:2,200円(本体2,000円+税)
発売:2026年10月5日
半径:B5判 ページ数:160ページ
発行:KADOKAWA
ISBN-10:4049027313
ISBN-13:978-4049027310
Amazon特典「ハンギング設計シート」
作る前に花苗の種類や色、植える位置を整理できる「ハンギング設計シート」。バスケットの図に花の配置を書き込みながら、完成イメージを組み立てられます。必要な苗や資材を記入できる買い物リスト付きで、園芸店での苗選びから植え込みまでをサポート。自分だけのハンギング作りに役立つ、実用的な購入者限定特典です。
Rakuten特典「初めてでも作れるハンギング動画」
購入者限定の動画レッスンでは、ハンギングバスケットづくりのポイントを実演します。花苗を選ぶときの見方や植え込む順番、全体を丸く美しく仕上げるコツなど、本の写真だけでは伝わりにくい手の動きや苗の扱い方を分かりやすく解説。難しそうに見えるハンギングバスケットを、初めての方にも気軽に楽しんでいただける特別レッスンです。
『小さな空間を生かす立体ガーデニング 玄関から始める花のある暮らし』もくじ

Chapter1
「小さな空間を華やかに彩るハンギング」
地面がなくても、花を咲かせられる「ハンギング」基礎知識
ハンギングの魅魅力 ①〜⑤
壁に、フェンスに、椅子の背に。飾り方いろいろ
ハンギングバスケットの基本の作り方
数種類を組み合わせて作るハンギング〈動画つき〉
ハンギング作りに役立つツール
Chapter2
「ハンギングと寄せ植えを重ねて景色を作る」
地面がなくても、花景色を作れる「寄せ植え」
武島さんの寄せ植えセオリー
寄せ植えの作り方
初心者でもうまくいくリースの寄せ植え
Chapter3
「小さな花壇を生かして景色をより立体的に」
奥行きのない花壇を立体的に見せる5つの工夫
つるバラの誘引と剪定
春夏秋冬の玄関の花風景
Chapter4
「小さなコーナーも見違える季節のしつらえ」
春 小さな芽吹きを集めて
夏 涼やかな花のコーナー
秋 ハロウィンの演出
冬 小さなクリスマスのしつらえ
Chapter5
「小さな工夫を重ねて広がる庭景色」
広い庭景色を作る6つの視点
アーチと小径 / 小径と花壇 / 色や植栽で場面を分ける
くつろぐ居場所を作る / 小径の先へ視線を導く
日陰にも見せ場を作る / 端境期を彩る
STORY いつも花のあるほうへ心を戻して
STYLE 動きやすくて、気分が上がるガーデンファッション
TOOLS 機能的でおしゃれなガーデンツール
Chapter6
「覚えておきたい植物の基本の手入れ」
様子を見る / 掃除 / 花がら摘み / 水やり / 切り戻し / 植えどき・抜きどき
ハンギング・寄せ植えにおすすめの花図鑑91種
WORKS 花のある暮らしを育てる場所 武島由美子さんと Anne’s Garden
Credit
記事協力 / 武島由美子

愛知県Anne’s Garden主宰。一般社団法人日本ハンギングバスケット協会理事。日本フラワーデザイナー協会(NFD)1級フラワーデザイナー。個人邸や店舗、ショーガーデンなどのガーデンプランニングや植栽管理のほか、コンテナガーデンスクールや日本ハンギングバスケット協会認定試験スクール、フラワーアレンジメントスクールなど複数の教室を主催。地植えの庭からコンテナ、ハンギング、フラワーアレンジメントまで、屋内外あらゆるシーンを花で彩る美しい暮らしを提案。新刊『小さな空間を生かす立体ガーデニング 玄関から始める花のある暮らし』(発行:KADOKAWA)は、2026年10月5日発売(予約受付中)。
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写真&文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。 2026年10月5日発売の書籍第3弾『小さな空間を生かす立体ガーデニング 玄関から始める花のある暮らし』(発行/KADOKAWA)予約受付中!
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