愛知県Anne’s Garden主宰。一般社団法人日本ハンギングバスケット協会理事。日本フラワーデザイナー協会(NFD)1級フラワーデザイナー。個人邸や店舗、ショーガーデンなどのガーデンプランニングや植栽管理のほか、コンテナガーデンスクールや日本ハンギングバスケット協会認定試験スクール、フラワーアレンジメントスクールなど複数の教室を主催。地植えの庭からコンテナ、ハンギング、フラワーアレンジメントまで、屋内外あらゆるシーンを花で彩る美しい暮らしを提案。
武島由美子の記事
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寄せ植え・花壇

新年の入り口を、美しく。ハボタンの寄せ植えで玄関やベランダに静かな華やぎを
1月の入り口を、美しく整えるということ ハボタンやスキミアなどで彩られた華やかなハンギングバスケットが出迎えてくれる武島邸。 玄関とベランダは、家の中と外をつなぐ暮らしの境目。その場所に、造形の美しいハボタンを飾れば、暮らしの流れが美しく整えられます。冬の植物を飾るだけで、お正月後の時間も、少し前向きに感じられるはず。丸く重なるロゼット状のハボタンは、「円満」「調和」「重なり合う福」といった意味合いもあり、1月にぴったりです。 ハボタンの「量感」と彫刻のような「造形力」で華やかさを ブルーグレーのハボタンとパンジー‘横浜セレクション フレアブルー’、ネメシア、シルバーリーフを組み合わせ、同系色でまとめたシックなハンギング。 ハボタンは1株でしっかりボリュームの出る冬の素材。花弁のように重なり合い、中心へ向かって巻き込むバラのようなロゼット形のフォルムは、葉ものでありながら豪華なインパクトを与えることができます。 ハボタンは造形美とともに、繊細なカラーも大きな魅力。淡いピンクやクリーム色、シックな黒葉やブルーグレーなど多彩な色幅があるので、パンジーやビオラ、ネメシア、シクラメンなどさまざまな冬の花と組み合わせて楽しめます。もちろん、ハボタンだけでも素敵な1鉢が作れますよ。 初心者でも失敗しない「ハボタンリース」 クリーム色のハボタンをメインに、ワイヤープランツを添えたリース形の寄せ植え。 ハボタンの最大の特徴は、株のシルエットがほぼ円形のまま保たれること。ですからリース形の容器との相性は抜群です。 葉が横に広がりすぎない 茎が伸びて飛び出さない 色が面で効く これらのハボタンの特徴により、リースの輪郭を乱すことなく、美しい円形を保つことができます。花のように「点」で色が配置されるのではなく、しっかりとした「面」で色が効くため、ハボタンは他の植物よりも圧倒的に美しく仕上がります。だから、初めてリース形の寄せ植えに挑戦する際にも、ハボタンは最適。ギュッと隙間なく植え込んで、土の表面を水ゴケで覆えば、立てかけても土こぼれの心配はありません。 ハンギングは難しそう? じつは「吊るす場所」は自分で作れます スタンドを使えば、壁に穴を開けずにハンギングが飾れる。スリムで場所も取らないので玄関に最適。 玄関先やベランダなど、地面の庭がない場所では、吊るして飾るハンギングバスケットが活躍します。ハンギングバスケットと聞くと、「掛ける場所がない」「難しそう」と思われがちですが、吊るす場所がないという悩みも、スタンド1つでほとんど解消します。また、ガーデンチェアの背もたれも、ハンギングやリース植えを飾る場所として活躍してくれますよ。 ハンギングバスケットの一番の利点は、花の彩りを“目線の高さ”に持ってこられることです。鉢植えはどうしても足元に置くことになりますが、ハンギングなら、自然と視線の先に花が入ります。だから玄関のような場所に、とても向いているんです。玄関は家に入るときも、外に出るときも、必ず目線が前を向く場所。その高さに花があるだけで、空間の印象はぐっと明るくなり、「迎える」「送り出す」という玄関本来の役割も、やさしく引き立ててくれます。 ベランダにはガーデンチェアもおすすめ ガーデンチェアを使ってハンギングを飾って。足元にコンテナもプラスすると、よりフォーマルな雰囲気。 ガーデンチェアはベランダでも取り入れやすいアイテムです。背もたれはハンギングを掛けるのにちょうどいい高さで、室内からでも花の彩りがよく目に入ります。また、床に置くより日照が確保しやすく、風通しもいいので植物にとっても好環境です。 ハボタンとパンジー、アイビーの3種を組み合わせたリースの寄せ植えをガーデンチェアに。 ハンギングバスケットにハボタンを使うときのコツ ハンギングバスケットはハンギング専用のスリットのある鉢を用います。苗を横にして、5つのスリットにスライドさせるように植え込んでいき、最上部の3段目はスリットだけでなく奥にもやや直立させて2〜3株を植え込み、丸い半円形の形を目指します。美しい丸い形を作るには、円の中心部となる2〜3段目中央を意識して高くするのがポイント。円の中心部は最も目が留まる箇所なので、主役となる植物を配置します。 ハボタンを主役にする場合には、大きめのものや、茎が長く仕立てられたものを選ぶと立体感を出しやすくなります。ハボタンはサイズや仕立て方もさまざまなものがあり、ハンギングバスケットでも使い勝手がよい素材です。 茎が長く仕立てられたハボタンの苗。 季節の花で、暮らしを穏やかに整えよう 玄関やベランダは、毎日必ず通る場所。だからこそ、そこにある景色は、暮らしのリズムに静かに影響します。ハボタンの寄せ植えは、派手に主張するのではなく、造形と量感で空間を整えてくれる存在。新年の飾りを外したあとの、少し静かな1月にこそ、その美しさがいっそう引き立ちます。 特別な庭がなくても、暮らしの入り口を美しく整えることは意外と簡単で、楽しい仕事です。目線の高さに花の彩りを迎え入れ、新しい一年の始まりを、穏やかな気持ちで過ごしてみませんか。
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寄せ植え・花壇

育種家パンジー&ビオラの“にじむ色”を美しく見せる寄せ植え術―シルバーリーフという引き算
育種家パンジー&ビオラの色は、なぜ“にじんで見える”のか フリル咲き小輪パンジー‘ペルクレア’。花日和作出。 花の色、模様、咲き方、草姿までを意図して掛け合わせ、時間をかけて選び抜かれた育種家のパンジー&ビオラ。一輪ごとの色の重なりや光の当たり方で変わる表情など、その魅力は近くで見てこそ分かる繊細さにあります。 ビオラ‘万葉菫 おぼろ月’。桂風園作出。 色と色の境界がはっきり区切られていないため、視線を向けたときに「ぱっと目に飛び込んでくる」というより、じわっと染み込むように印象的。この繊細な色合いは、寄せ植えで他の色や質感を重ねすぎると、簡単に埋もれてしまいます。だからこそ、花そのものを“主役”として扱う構成が求められます。 シルバーリーフは花色を濁らせない“名脇役” ビオラ‘アイクルール’の透き通るような花色が際立つ小さな寄せ植え。オレアリア‘リトルスモーキー’、コクリュウを合わせて。 そんな育種家パンジー&ビオラに武島さんが合わせるのは、シルバーリーフ。そこには「おしゃれだから」というだけでなく、きちんとした理由があります。 シルバーリーフは 無彩色に近い 明度が高く、光をやわらかく反射する だからこそ繊細な花の色を濁らせず、静かに引き立ててくれるのです。白やグレーに近い葉が背景になることで、パンジー&ビオラのにじむような紫、ブルー、ピンク、イエローは、より澄んで見えます。 「シルバーリーフは主役にはなりませんが、工芸品のような繊細な花色を持つ主役の花を一段引き上げるために、寄せ植えには欠かせない名脇役です」(武島さん) 初心者でもすぐ真似できる2種の寄せ植え 育種家パンジー&ビオラの繊細な色を楽しむなら、植物はあえて2種類だけという選択も、とても有効です。この寄せ植えで組み合わせているのは、主役のビオラ‘パスフリ ブルー’と、引き立て役のオレアリア‘リトルスモーキー’のみ。 主役の花を手前中央に配置し、後方にも2株、鉢の中で三角形になるように配置します。その三角形の間を埋めるように、シルバーリーフを逆三角形に配置すると、ナチュラルに仕上がります。植物の数を増やさないことで、ビオラの紫や青みがより澄んで、育種家ビオラの魅惑の色合いが際立ちます。 4種のシルバーリーフがつくる、静かな奥行き この寄せ植えでは、シルバーリーフ4種類を組み合わせています。それでも雑多な印象にならず、むしろ静かで上品に見えるのは、それぞれのシルバーリーフが「色」ではなく「質感の違い」として使われているからです。 中心的な存在になっているのが、この冬、武島さんがお気に入りのシルバーリーフのカルーナ。葉の美しさとともに、ごく淡いピンクの八重咲きの花が連なる姿は、花木と草花の中間のような、落ち着いた佇まいを見せてくれます。 そこに合わせているほかのシルバーリーフは、 葉が細かいもの 線的に立ち上がるもの ふわっと広がるもの と、形や動きがそれぞれ異なります。4種使っているのに「多い」と感じさせないのは、色数を増やさず、質感だけで変化をつけているからです。 花をたくさん咲かせなくても、色を重ねなくても、静かに整えられた寄せ植えは、冬の光の中でこそ、その品格をあらわにします。 ビオラ、カルーナ、クッションブッシュの3種で作ったリース寄せ植え。 武島さんの寄せ植えに学ぶ「色を引き立てる配置」 育種家パンジー&ビオラを引き立たせるには、色だけでなく配置にもコツがあります。 パンジー‘シエルブリエ’を中心に据え、エレモフィラやシロタエギクなどのシルバーリーフで囲んだコンテナ。 パンジー&ビオラは、視線が集まる中央やや前方に シルバーリーフは、縁や背景、流れを作る位置に 立体感は、葉の高さや細さで表現する シルバーリーフは、こんもりまとめるのではなく、流す・揺らす・抜けをつくるように配置することで、主役の花が浮かび上がるように見えます。色数を抑えながらも、単調にならない理由は、葉の形と質感の違いにあります。 シルバーリーフ、何を選ぶ? オレアリア‘リトルスモーキー’。 今回の寄せ植えで選ばれているシルバーリーフには、いくつかの共通点があります。 葉が細かい、または線的である 白すぎず、ややグレーがかる 冬の低温でも傷みにくい 左/エレモフィラ‘ホイップクリーム’ 中/ディコンドラ‘シルバーサーファー’ 右/クッションブッシュ‘プラチーナ’ いずれも「色で主張しないけれど、存在感はある」植物です。大切なのは、花より前に出ないこと。あくまで背景、あくまで土台として選びます。 ご紹介したシルバーリーフはいずれも常緑性の低木・半低木で、次のシーズンの寄せ植えにも再利用することができます。ただし日本の夏の高温多湿は苦手なものも多いので、春以降は置き場所を見直すことで、状態よく育てやすくなります。 冬の寄せ植えは「色数を減らす」と美しくなる 育種家パンジー&ビオラを主役にするなら、寄せ植え全体の色数は思い切って減らすと成功しやすいでしょう。足し算をやめることで、繊細な花の一色一色がきちんと“見える”ようになります。 色を盛らない。飾りすぎない。シルバーリーフという静かな存在だけで、花はいっそう澄み、深く、心に残ります。 冬の光の下で、色を引き算した寄せ植えを、ぜひ楽しんでみてください。
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一年草

お正月を迎える“祝いの寄せ植え”。福を呼ぶハボタンを玄関や窓辺に
なぜハボタンは「縁起植物」と呼ばれるのか クリームホワイトの葉にパープルピンクのベインが美しいハボタン‘太鼓’。 ハボタンはキャベツの仲間。丸く重なるロゼット状の姿には、「円満」「調和」「重なり合う福」といった意味が重ねられてきました。 また、寒さにあたることで色づき、冬に最も美しくなるという性質も、新年の始まりと相性のよい理由のひとつです。花が少ない季節にあって、葉そのものの造形で存在感を放つ――その静かな強さが、ハボタンならではの魅力といえます。 左/ハボタン‘モカショコラ’。中/ハボタン‘パープルステン’。右/ハボタン‘萌花®︎ショコラ’。 さらに、ハボタンにはさまざまな品種があり、驚くほど多彩な表情があります。フリルのように波打つ葉。重なり合うロゼットのかたち。葉脈がくっきり浮かび上がるものもあれば、淡くにじむように色が変わるものも。また、苗の仕立て方もユニークで、コンパクトにロゼットを保つタイプもあれば、茎を立ち上げ、縦のラインを作る品種もあります。 茎を立ち上げ仕立てた苗。立体的に寄せ植えを形作ることができ、ハンギングバスケットなどでも重宝する。 この違いがあるからこそ、寄せ植えでは「主役」にも「リズム」にも、「背景」にもなることができます。ハボタンは、役割を選べる植物でもあるのです。 迎える場所に置く、正月のハボタン寄せ植え 玄関先や窓辺など、「人を迎える場所」に置かれたハボタンの寄せ植えは、正月飾りに代わる存在にもなります。しめ縄や門松のように期間限定で役目を終えるのではなく、冬から春へと季節をつなぎながら、長く楽しめるのも植物ならでは。 武島さんの寄せ植えは、あくまで自然体。祝う気持ちを込めながらも、主張しすぎず、暮らしの風景に溶け込むようにデザインされています。 寄せ植えで作る“ハレの日”の色合わせ ハボタンとイベリス、カルーナ、パンジーなどと合わせたリースの寄せ植え。 紫、白、淡い黄色――。今回の寄せ植えで印象的なのは、落ち着いた色の組み合わせです。紫は古くから高貴さや品格を象徴する色。白は清めや始まりを連想させ、淡い黄色は光や希望を感じさせます。 強いコントラストではなく、トーンを揃えた色合わせにすることで、「派手ではないけれど、きちんと祝っている」佇まいが生まれます。お正月の寄せ植えだからこそ、静かな華やかさが生きてきます。 花ではなく「葉」で魅せる、冬のデザイン 数種類のハボタンとハツユキカズラ、キンギョソウ、ビオラなどを合わせたリースの寄せ植え。 冬の庭は、光も色も限られがち。だからこそ、フリル状の葉、繊細な葉脈、重なりのリズムといった“葉の造形”が、デザインの主役になります。 ハボタンは、まるで彫刻のように形を変えながら、見る角度によって表情を変える植物。花に頼らずとも、美しさを成立させる力があります。 武島さんの寄せ植えからは、「咲かせること」よりも「佇まわせること」を大切にする冬ならではの庭づくりの視点が伝わってきます。 ハボタンを「花」として見せる構成 中心に据えられたハボタンは、まるで大輪の花のよう。葉の重なりや色のグラデーションを生かし、「葉物」であることを忘れさせるほどの存在感を放っています。そのまわりには、スキミアやパンジー、ストックなどを組み合わせ、ハボタンの造形美がより際立つ構成です。 この寄せ植えで、静かにお正月らしさを演出しているのが、ふわりと立ち上がるスキミアです。細かなツボミが、和の祝い事に通じる凛とした印象を添えています。 松や南天のような“定番の縁起木”を使わなくても、植物の形や線を生かすことで、十分に正月の空気感は作れる――そんなことを教えてくれる使い方です。 正月のあとも、庭に残るもの ハボタンの寄せ植えは、一日限りの飾りではありません。寒さの中で色を深め、春に向かって少しずつ姿を変えていく――その時間ごと、新しい年の始まりを見守ってくれます。 ハボタンと小型のストックの列植。 武島さんは鉢やバスケットだけでなく、通りに面した場所にもコンテナを並べ、ハボタンを列植しています。ある年はパンジーと、ある年はストックと組み合わせ、同じリズムで鉢を連ねることで、冬の通り道に、やわらかな連続性が生まれます。 春になると、ハボタンはとう立ちを始めます。中心からすっと茎が伸び、小さな黄色い花を咲かせる――多くの人が「役目を終えた」と感じるタイミングかもしれません。けれど武島さんは、そこで終わらせません。 「あの菜の花みたいな黄色の小さな花も、素朴で春らしくって、大好きなんです」と武島さん。そこでコンテナを裏表ひっくり返し、とう立ちしたハボタンを“背景”として生かします。 春先、コンテナをひっくり返して、とう立ちしたハボタンを背景に。ビオラ‘ビビ ヘブンリーブルー’とともに。 手前には春の草花、奥には伸びやかなハボタン。主役だった植物を、脇役として使い直すことで、同じ株がまったく違う表情を見せてくれます。 とう立ちした姿も、どこか可愛らしい――ハボタンは、最後まで「使い切れる」植物なのです。 ハボタンは、どう姿を変えていく植物なのか ハボタンの魅力は、時間とともに形を変えていくことにあります。 冬(12〜2月) ロゼット状に葉を重ねる 色づきが最も美しい時期 寄せ植え・正月の主役 早春(3月) 株が少しずつ横に広がる 葉が厚みを増し、存在感が増す 「太ってきた」と感じやすい時期 春(4〜5月) とう立ちが始まる 黄色い花が咲く フォルムは縦方向へ変化 この変化を「乱れ」と見るか、「成長」と見るかで、ハボタンとの付き合い方は大きく変わります。 手入れのまとめ(ミニQ&A風・記事末向け) Q. ハボタンは横に太ってきますか?→ はい。春に向かって葉が充実し、横に広がります。それも自然な姿です。 Q. 太ってきたら切ったほうがいい?→ 無理に切らなくてOK。配置や役割を変えて楽しみましょう。 Q. とう立ちは抜くべき?→ 抜かずに背景として使うのもおすすめ。花も楽しめます。 Q. いつまで楽しめる?→ 花が終わる初夏前まで。最後まで“表情の変化”が魅力です。 ハボタンの寄せ植えが教えてくれること ハボタンは、咲かずとも美しく、散らずに役割を変え、最後は春の素朴な風景の一部になっていく植物です。正月のためだけに使い切るのではなく、冬から春へ、時間ごと楽しめるのがハボタンの魅力。武島由美子さんの寄せ植えは、植物を「使い捨てない」庭の楽しみ方を、教えてくれます。
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寄せ植え・花壇

冬じゅう恋する玄関。クリスマス以降も瑞々しさ続く針葉樹の“根つきリース”の作り方
ロイヤルブルーに染まる玄関先、主役はまあるい“生きたクリスマスリース” 12月、武島由美子さんの家の玄関先は、小さな森の入り口のよう。レンガの門柱の前に置かれた針葉樹の寄せ植えには、ロイヤルブルーのリボンが風に揺れ、同じトーンのパンジーが門柱の上で咲きこぼれます。アーチには長くしなやかな針葉樹のガーランドが飾られ、コニファーの爽やかな香りが冷たい冬の空気にやわらかく混じって、「ようこそ」とささやきかけてくるよう。 そんな玄関先で一際目を引くのが、大きなクリスマスリース。一見すると切り枝のリースのようですが、じつはすべて根付きの針葉樹の苗を寄せ植えたリースです。針葉樹のシルバーグリーンが幾重にも重なった丸いシルエットは、まるで小さな森をぎゅっと輪に閉じ込めたよう。ブルーのリボンと実ものを控えめに飾っただけなのに、そこに流れる空気まで澄んで見えるのは、葉の一枚一枚が生きて、ゆっくり呼吸しているから。ドアチャイムを押す前から、もうこの家の冬の物語に招き入れられたような気持ちになる——そんな“生きたクリスマスリース”の秘密と作り方を、ここからひとつずつ紐解いていきましょう。 ヒムロスギの小さなポットとの出会いが生んだ、“根つきリース”というひらめき 愛知県の生産者「近藤園芸」さんが作っているヒムロスギの3号ポット苗。ラベルもかわいらしい。 クリスマスリースでお馴染みのヒムロスギといえば、普通は切り枝で扱う素材です。ところが今年、武島さんは花市場で3号ポットの「小さなヒムロスギの苗」を発見。それを見た瞬間、“根つきのクリスマスリース”のアイデアがパッと浮かびました。 「これまでにも針葉樹の小さなポットは流通していましたが、リースに定番のヒムロスギはなかったんです。ヒムロスギは他の針葉樹と比べ、細かい葉がふわふわとしていてボリュームがあり、針葉樹の中でもリースの土台として重要な役目を果たします。そのポット苗があるなら、今までにない“生きたクリスマスリース”が作れる! と胸が高鳴りました」 「まだ誰もやっていない形」「ありそうでなかったもの」をいつも探している武島さんにとって、ヒムロスギの小さなポットとの出会いは、まさに運命のような瞬間でした。 根つきだからこその、うれしいメリット こうして考案された“根つきクリスマスリース”には、これまでの切り枝のリースにはない良さがたくさんあります。 クリスマス以降もパリパリにならず、春まで瑞々しさが続く切り枝のリースは12月初旬に作ると、クリスマス頃には乾いて葉がポロポロ落ちてきてしまうことがありますが、根つきリースは年を越して春を迎えても瑞々しさが続きます。 針葉樹の香りが長く楽しめる枝ではなく「苗」として生きているので、玄関を出入りするたびに、森林浴をしているような爽やかな香りがふわり。 飾りつけ次第でお正月仕様にリースの「丸」はもともと “縁起物(円満・一陽来復)”のカタチなので、飾りを紅白や金色に変えるだけで、一気にお正月の玄関飾りとしても活躍します。 春になったらばらして養生し、翌シーズンも使えるリースを崩して一株ずつ鉢に植え替え、涼しい場所で夏越しさせれば、次の冬にもまた主役として活躍してくれます。 捨てずに育てていく、少し誇らしいサステナブルガーデン一度きりで終わる装飾ではなく、年ごとに表情を変えながら寄り添ってくれる相棒のような存在に。 針葉樹の“根付きクリスマスリース”の作り方 ここからは、武島さんの根つきクリスマスリースの作り方を詳しくご紹介します。 【材料】 ヒムロスギ(3号ポット)…ボリュームを出す土台 クプレッサス ‘ブルーアイス’ …シルバーリーフで色の変化をつける イトスギ ‘サルフレア’ …細かい葉が繊細なアクセントに 実もの(青い実など)、ドライフラワー(エリンジウムなどブルー系) リボン(今回はシックなブルー) ワイヤー製のリースネット(リング状の鉢) 麻布、ビニールシート、培養土 【器の準備】 今回使ったのは直径約50cmのワイヤーリース。直径30cm以上が作りやすいサイズ。 ワイヤーのリースネットの内側に麻布を敷き、その上にビニールシートを重ねます。 2. ビニールシートには数カ所、水抜け用の穴を開けておきます。 3. そこへ培養土を半分くらいの高さまで入れ、軽くならします。 【針葉樹を植え込む】 使う針葉樹は3種類。ヒムロスギをベースに、クプレッサス ‘ブルーアイス’ とサルフレアをプラスして、葉色や形の違いから生まれるグリーンのグラデーションを楽しみます。 1. ポットから苗を抜き、土を1/3ほど落としながら根をほぐします。2株ずつ同じ品種を横並びにして、やや横倒し気味に植え込んでいきます。 2. リースを時計回りに進めるなら、「ヒムロスギ → クプレッサス → サルフレア」の順を繰り返しながら、ずっと同じ方向へ植え進めていきます。 3. 外側と内側の2列にぎゅっと詰めて植えることで、厚みとボリュームのあるリースに仕上がります。器のサイズによって、1列にしてもOK。 【仕上げの飾り付け】 土台のグリーンが一周したら、形を整え、実ものやドライフラワー、リボンを留めて飾り付けます。リボンは枝に結びつけるより、フラワーアレンジメントで用いる地巻きワイヤー(紙テープが巻いてあるワイヤー)を用いてリースに差し込むようにすると、飾りつけやすいです。 今回はロイヤルブルーでまとめたシックなリースに仕上げました。飾り付けはお好みで自由にアレンジできます。 最後に、土全体がしっかり湿るまでたっぷりと水やりを。あとは表土が乾いたら水を与えながら、明るい屋外で管理すれば、ずっとフレッシュな状態を保てます。 小さなポットの針葉樹でつくるミニクリスマスコーナー ご紹介した大きなリースはもちろん見応え抜群ですが、鉢植えを置くだけでもクリスマスらしい演出ができます。最近は園芸店やホームセンターで、さまざまなコニファーの小さなポット苗もたくさん出回っているので、 好きな鉢に植え替えて玄関前に並べる テラコッタポットに数鉢まとめて寄せてみる 足元にLEDライトやオーナメントを添える これだけでも、ぐっとクリスマスらしいコーナーがつくれます。大きなクリスマスツリーを置くスペースがないお家でも、ミニサイズの針葉樹をいくつか組み合わせるだけで、玄関前が小さな森の入口のような雰囲気に。 庭がないマンションやアパートの方にも、ぜひ試してほしい楽しみ方です。 針葉樹の香りに迎えられる、冬の玄関時間を 玄関のドアを開けた瞬間にふわっと漂う、コニファーの爽やかな香り。青いリボンとビオラが冬の光を受けてきらりと揺れ、足元には小さな針葉樹の鉢が並ぶ──。 地植えスペースがなくても、「根付きのリース」と「鉢植えの針葉樹」さえあれば、玄関前もベランダも季節感たっぷりのクリスマスガーデンになります。 今年の冬、見る人の心まで澄んでいくような、ブルーグリーンのクリスマスガーデンを演出してみませんか。
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みんなの庭

花が空に舞う庭|紫陽花を吊す、新しい初夏のガーデンスタイル
アジサイを吊す——かつては“非常識”だった挑戦 アジサイは重たい。そして日陰の植物。だから、ハンギングには向かない。かつてハンギングバスケットのコンテストで、アジサイを用いるのは非常識とされていました。それでも武島由美子さんは、アジサイのハンギングを作りました。もう10年以上前のことです。その作品は、コンテストには入賞しませんでした。 アジサイやニコチアナ、ダイアンサス、アンゲロニアなど、白〜グリーンの花で組み合わせた繊細な表情のハンギング。 「でも、好きだから作り続けてきたんです。だって、すごく素敵だもの。それだけなんです」 軽やかに笑う武島さんは、全国で講師を務めるハンギングバスケットの達人です。好きだから作る。吊す。愛でる。 ガーデンチェアにアジサイのハンギングを飾って。 今では小さなポット苗が市場に出回るようになり、アジサイをハンギングに使うのは珍しくなくなりました。時代の変化が、静かに彼女の感性と重なり始めたようです。 ガーデンストーリーでは、そんな“アジサイハンギング”の先駆者による、珠玉の庭を訪ねました。 半円の魔法——アジサイで描く、ふわりと浮かぶ“丸” ピンクのつるバラとアジサイのハンギングの共演。 壁に浮かぶ淡いピンクのアジサイ。まるで空に浮かんだ花の雲のようです。この美しい丸みは、じつは簡単にできるものではありません。小ぶりなアジサイの苗の中から形とボリュームのバランスを見極め、ひと鉢ずつ慎重に選び、さらにバスケットの中で崩れないよう差し込む角度や配置を吟味し、形作っていきます。 「まん丸」がきれいに決まった瞬間は、まさにガーデナーの腕の見せどころ。まるでアレンジメントのように見えますが、ハンギングバスケットのアジサイは水切れにさえ注意すれば、季節とともに色が変わり、秋まで長く楽しめます。 「色変わりする種類も多く、秋になると、春とはまた違ったシックな表情を見せてくれるんです」。それもまた、武島さんがアジサイを愛し続ける理由です。 ブルー一色のみずみずしいアジサイのハンギング。丸く形作るのがキレイのコツ。 そして、誰も見たことのない景色へ——“アジサイのタワー” 華やかさ、緻密さ、スケール感――どれをとっても、新しい可能性を切り拓くアジサイのタワー。 庭の小道の先を曲がると、そこには見たこともない景色がありました。まるで滝のように咲きこぼれる、アジサイのタワー。淡いブルーやライムグリーン、ピンクの花々が、幾重にも重なりながら、縦に連なって空間を彩る姿は、まさに“誰も見たことのない”景色です。 脚立に乗って植え込む武島さん。 これは、園芸専門の吊り鉢「グリーンシャンデリア」を使い、複数のアジサイ苗をひとつの作品のように組み上げたもの。脚立の上で作業しながら、「うわぁ、ぜいたく~!」と笑顔がこぼれる武島さん。その表情は、まるで少女のように生き生きとしていて、目の前の花をひとつずつ並べながら、未来の景色を想像しているようでした。 このタワーは、庭を訪れるお客様へのサプライズ。でも何よりまず、自分が思い切り楽しむための景色です。ガーデニングは、手を動かして“今”をつくる作業でありながら、植物と共に生きていく“未来”を仕込む時間でもあります。 枝垂れるようなフォルムにしたくて、去年の秋からポットで育てていたユーフォルビアが名脇役として活躍。 「生きているものだから、思ったとおりにはならないこともあるけど、そこがいいんです。変化していくから、毎日ちょっとずつ違う楽しみがある。明日はどんなふうになってるかな」 このタワーには、 “今この瞬間”の美しさだけでなく、“これから”を楽しみにする心が宿っています。贅沢なのは、たくさんの花ではなくて、「楽しむ心」にこそあるのかもしれません。 品種の進化が、創作の翼を広げてくれる 「昔に比べて、アジサイでできることが格段に増えました」と武島さん。品種改良が進み、従来の大輪の西洋アジサイに加えて、色が繊細に変化する“色変わり種”や、しなやかに枝垂れる“ラグランジア”のような新しい系統も登場。さらに、素朴で愛らしい表情のヤマアジサイも多彩なバリエーションがあります。 淡いブルーからグリーン、ピンク、ベージュへと移ろう花の色は、時間さえもデザインの一部にしてくれるアート素材です。枝垂れるフォルムを活かせば、ハンギングに自然な流れが生まれ、風が通るたびに、庭に生きた動きが加わります。 「品種が進化したことで、“こうしたい”というイメージが、現実にできるようになってきたんです。だから、やりたいことがどんどん湧いてきます。アジサイって、可能性がある花だなって思います」 その言葉には、花と生きることを楽しむ人だけが持つ、静かな情熱が宿っていました。 咲き誇るバラと、アジサイが響き合う コンテナやハンギングに植えられたさまざまなアジサイが、庭の入り口を華やかに彩る。 この庭を訪れると、アジサイがただ吊されているだけではないことに気づきます。ふと目を向ければ、アーチにはつるバラが甘やかな香りとともに咲き誇り、足元には宿根草や一年草が風にそよぎ、自然なリズムを刻んでいます。 「バラが咲き終わっても、庭が寂しくならないように。アジサイがそのあとの主役を担ってくれるんです」 白花を集めたホワイトガーデンの奥、アジサイの吊り鉢を飾ったアーチの下には、緑陰が涼しげなベンチ。 その言葉どおり、アジサイは“バラの庭”の余韻をつなぎ、季節のバトンを受け取るように、次の景色を演出してくれます。たとえば、白いアジサイに寄り添うアスチルベ。紫のアジサイの足元を彩るみずみずしいギボウシ。それぞれの色が呼応しながら、庭という空間に繊細なハーモニーを奏でています。 “植物で絵を描く”ということ 公道に面した前庭。コンテナ、花壇、ハンギングと、さまざまな手法で奥行きの狭いエリアを立体的かつ華やかに演出。 この庭は、技術や知識だけでは辿りつけない場所にあります。植物を「並べる」のではなく、「描く」。光と風と時間を読みながら、“庭というキャンバス”に立体的な絵を重ねていく――。アーティスティックな感性が息づく世界です。 植物だけでなく雑貨も使いこなして絵になるシーンを。 「庭って、ひとつの空間でいろんな表情がつくれるんですよね。同じ植物でも、植え方や組み合わせで、まったく違う印象になる。だから、ハンギングだったり、コンテナだったり、地植えだったり、いろんな“景色”を作るのが楽しいんです」と武島さん。 アジサイを吊す、という発想の先に広がるのは、庭という表現のフィールドを自由に遊ぶ、大人の創作の時間です。 花のある人生の一歩を かつては“非常識”といわれていたアジサイのハンギング。でもそれを、“好きだから”作り続けた武島さん。その先に咲いたのが、誰も見たことのない、美しい風景です。 今では多くの品種が流通し、技術も広がり、アジサイは再び注目を集める花になりました。でも、ここにあるのは流行ではなく、長い時間と情熱によって育まれた“信念の庭”。 この景色を見ながら、「私も、花とともに生きる時間を楽しみたい」 そう思ったなら、それがもう、庭づくりの一歩目です。
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ガーデン

【冬のおしゃれな庭づくり】地植え+鉢植え+花壇+ハンギングで実現! 立体感で魅了する美しい庭
コンテナ、花壇、ハンギング、リースの4重奏の立体ガーデン ここは公道に面したエリアで、道ゆく人の目を楽しませる武島邸のフロントガーデンです。春にはつるバラがフェンスや壁に咲き誇り華やかそのものですが、バラが姿を消す冬も彩り豊かで見応えたっぷり。奥行き2mほどの場所ながら、手前から「コンテナ」「花壇」「ハンギング」、扉にかけた「リース」というように、さまざまなガーデニング手法を組み合わせ、視線の先を下から上まで花と緑で彩り、華やかなフロントガーデンを実現しています。 冬の庭の素材はパンジー&ビオラなど草丈の低いものが多いため、地植えだけでは視線が下に集中し、庭が平面的な印象になりがち。これらの素材で華やかさを演出するには、いかに「立体感」を出すかがポイントです。武島さんの「コンテナ」「花壇」「ハンギング」「リース」で構成された4重奏の立体ガーデンを詳しく見ていきましょう。 ① 一番手前は、石積みの花壇の下に置いたコンテナ。透明感のある水色のビオラ‘ビビ ヘブンリーブルー’とミニサイズのハボタンを寄せ植えにした奥行き15cmほどの横長のコンテナがズラッと並びます。シンプルな寄せ植えを繰り返し並べることで、花壇の縁がトリムのように彩られ、おしゃれ度アップ。 ② 高さ50cm、奥行き30cmほどの石積みの花壇には、パンジーとシルバーリーフのダスティーミラー、ストックを植栽。ストックは冬の花材の中では草丈が30〜40cmと高く、立体感が出る貴重な植物。甘い香りがするのも魅力です。柔らかなペールトーンでまとめながらも、パンジーに濃い色をプラスしてアクセントに。 ③ ハンギングバスケットの1つは、コンテナの寄せ植えと揃えたビオラ‘ビビ ヘブンリーブルー’の単植。花壇にハンギングスティックを挿して飾っています。草丈の低いビオラの花を目線の高さで堪能できるのが、ハンギングバスケットの魅力。 もう1つのハンギングバスケットは、アイボリーのガーデンシクラメンやサーモンピンクのパンジー、イエローやシルバーのカラーリーフを用い、ペールトーンでまとめたもの。こちらは、フェンスにS字フックで引っ掛けています。 ④ 一番目線が高くなる、扉にかけたリースは、ハボタンとワイヤープランツの寄せ植え。リース形の寄せ植えを、このように扉などに垂直に飾る場合は、高低差があまり出ない素材を選んで、ギュッと詰めて植えるのがポイント。隙間があると土がこぼれ落ちてしまいます。 玄関扉の横には、スクエアのコンテナの寄せ植えを。ブルーのパンジー‘シエルブリエ’を囲むようにシルバーや斑入りのリーフをたっぷり使い、冬のイメージを表現した上品な1鉢。コンテナも高さのあるものやプランタースタンドを用いることで、目線を上にコントロールすることができます。 レンガを積んだプランタースタンドにピンクの豪華な寄せ植えを。庭のアーチの両側に、対になるように設置している。 ガーデンチェアで作る冬の庭のハイライト 庭の中には数カ所にガーデンチェアが置かれており、その背もたれもハンギングバスケットやリースを飾る場所として活用しています。椅子の両脇に置いた寄せ植えとハンギングスティックに吊した背後のバスケットは、ピンク系のパンジー&ビオラでコーディネート。ここでも下から上まで目線の先を花が彩るように演出しています。 フリル咲きのパンジー、ハボタン、アイビーの3種を使ったリース。 白と黒のコントラストが美しいハンギングバスケットを飾ったチェア。手前に対のハボタンとドドナエアの寄せ植えを置いて。 ハンギングバスケットは地面のない場所でも飾れるのがメリットですが、引っ掛ける場所を必要とします。ガーデンチェアはテラスなどでも手軽にハンギングバスケットが飾れるツールとして活用でき、庭風景にもナチュラルになじむのでおすすめです。 コンテナ+ハンギングの花材を揃えて印象的に バラのアーチの正面は、視線が集まりやすいフォーカルポイントです。武島さんはガーデンシェッドの壁面を利用してハンギングバスケットとコンテナをコーディネートし、華やかなシーンを作り出しています。メインの素材となるスキミアとパンジー、ハボタンは両者共通させ、脇役となるリーフ類はスキミアのつぼみの色に合わせつつ、それぞれの鉢の形に合う銅葉を選んでいます。壁を背にして半球状のハンギングバスケットを作る場合は、中央部を高く、コンテナは後方から前方へ草丈を低く作るのがきれいに見えるセオリーです。 コンテナの後方を彩るのはロフォミルタス‘マジックドラゴン’とドドナエア。ハンギングバスケットではヘーベとドドナエアを。 花瓶に飾ったパンジーにも、ハンギングバスケットとコンテナの間をつなぐ効果が。 連続ハンギングバスケット+地植えで作る花咲く小径 細い棒状のハンギングスティックを使い、ハンギングバスケットを連続させた庭の小径。ハンギングスティックは土に差すだけで、どこでも手軽に花を吊して飾れる新しいツールで、細くて目立たず風景の邪魔にならないのも魅力です。ピンクのグラデーションがかわいい大輪のパンジー‘ピーチシェード’を植え、ハンギングも足元の花も揃えて小径を華やかに演出しました。 大輪で華やかなパンジー‘ピーチシェード’。 空中に浮かぶようなハンギングバスケットは、冬枯れの庭で存在感抜群。凝った花の組み合わせにしなくても、花付きのよい種類を選べば1種類でもかわいく仕上がるので、ハンギングバスケット初心者にもおすすめです。 室内から庭を眺める時間も長くなる冬だからこそ、武島さんのようにさまざまな手法を組み合わせて庭を立体的に演出し、美しい庭景色を楽しみたいですね。新しいツールも活用し、まだまだ店頭にたくさん並ぶパンジー&ビオラで新しい冬の庭づくりにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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【画期的!】庭中に浮かぶパンジー&ビオラ?!新ガーデンツールで変わる冬の庭景色
冬はハンギングバスケット作りにベストな季節 濃いパープルに覆輪が入るパンジー‘横浜セレクション フレアブルー’やハボタン、ネメシアなどを組み合わせたシックなハンギングを玄関前に。 「パンジー&ビオラは毎年、目が釘付けになるような魅惑的な花色が登場するので、創作意欲がかきたてられます」と話すのは、武島由美子さん。ハンギングバスケット協会の理事を務め、これまでたくさんの生徒を育成してきたハンギングバスケットの達人です。 クリスマスを演出した庭へ続くレンガの小径。ガーデンシェッドの壁にもハンギングバスケットを。 ハンギングバスケットとは、植物を立体的に楽しむガーデニング手法の1つで、球体や半球体の容器に植物を植え込み、チェーンやフックを使って吊して飾ります。地面を使わず、玄関先やベランダなど狭い空間を華やかに彩ることができるのが魅力。彩りが寂しくなりがちな冬でも、武島さんの庭ではそこここでパンジー&ビオラのハンギングバスケットが華やかです。 パンジー‘シエルブリエ’を使ったハンギングバスケット。雪をイメージさせるシルバーリーフやイベリスとともに。 「冬の花の代表、パンジー&ビオラはユニークで素敵な色合いが豊富ですが、草丈が低いので、庭植えにするとせっかくのかわいい花が目立たなくなってしまいます。でもハンギングバスケットなら、目線の高さで花の美しさを強調することができるんです」(武島さん) スキミアやパンジー、ハボタンなどを組み合わせたコンテナとハンギングバスケットをコーディネート。 ハンギングバスケットは鉢植えと異なり、目線やそれ以上の高さに飾れるため、まるで絵画を眺めるように花を堪能できるのが魅力。寄せ植えのコンテナを組み合わせれば、さらに華やかな演出も楽しめます。ただし、ハンギングバスケットは引っ掛けるための頑丈な場所が必要になるため、これまでは飾れる場所が限られていました。 庭のどこにでもハンギングバスケットが飾れる「ハンギングスティック」 パンジー&ビオラのハンギングバスケットが連続し、バラのスタンダード仕立てのようなフォーマルな雰囲気も新鮮。 「でも、今年からはハンギングスティックという新たなツールの登場で、庭のどこでもハンギングが楽しめるようになりました。ハンギングスティックは支柱のような直径1.5cmほどの細い棒状で、目立たないのでハンギングの花がすごく映えるんです。シンプルな作りなのに、丈夫で重さのあるバスケットもしっかり支えてくれ、とても気に入っています」(武島さん) ハンギングスティックは二股になった下部30cmを土に挿し、上部の丸い穴にフックでハンギングバスケットを吊り下げて飾ります。庭はもちろん、深さが30cm以上あるコンテナにも使用可能で、どこでも簡単にハンギングバスケットが楽しめる画期的なツールとして、2024JHBS(日本ハンギングバスケット協会)新器材・装飾アイデアコンテスト金賞を受賞しました。 高さ違いのハンギングスティックでリズミカルに小径を彩って。 まるで花が浮かぶように空中を彩るハンギングバスケット。さまざまな植物を組み合わせるハンギングバスケットは作るのにコツが必要ですが、パンジー&ビオラ1種だけに絞ってもこんなに華やか。ハンギングスティックを使えば複数のハンギング鉢を連続して飾ることもでき、これまでにはなかった見応えのある冬の庭景色が作れます。 「庭のような広い空間に連続して飾るときは、パンジーやビオラ1種類だけのほうが印象的かもしれません。昔からある品種ですが、透明感のあるブルーのビオラ‘ビビ ヘブンリーブルー’は、冬中花上がりが素晴らしくおすすめ。大輪の‘ピーチシェード’も庭の中でよく目立ちます。どちらも手に入りやすい品種なのもいいですね」(武島さん)。 左/パンジー‘ピーチシェード’。右/ビオラ ‘ビビ ヘブンリーブルー’。 奥行き30cm程度の花壇でもハンギングスティックが活躍。 ハンギングバスケットは、空間を彩り豊かに演出し、季節感や創造性を楽しむガーデニングテクニックです。設置する場所や植物の選び方で個性を発揮でき、手入れをしながら植物の成長を見守る喜びも得られます。ハンギングスティックのような便利なツールも活用し、新しい冬のガーデンづくりを楽しんでみてはいかがでしょうか?
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【秘密の花園】森を背に彩られるバラと宿根草とアジサイの庭
奥行き30cmにも満たないつるバラと草花の花壇 愛知県日進市の住宅街、遠くから見てもすぐにその家だということが分かるほど、通りに面して花々が美しく競演する武島邸。奥行き30cmもない石積みの花壇に、 ‘レイニー・ブルー’や‘コンテスト・ドゥ・セギュール’、‘たまかずら’など数種類のつるバラが植栽され、そのやさしい色合いのバラの間に、窓辺のアジサイが心地よいリズムで鮮やかな彩りを添えます。 (左)房咲きの花をたわわにつけるつるバラ‘たまかずら’や‘コンテスト・ドゥ・セギュール’。(右)ブルーのロベリア‘カリブウォーター’や優しいイエローのペチュニア‘ステファニー’、ガザニア‘ビーストシルバーフォックス’が筒バラの花色を引き立てつつ株元をふんわり覆う。 バラの株元と花壇の手前に置かれたコンテナには、ブルーとイエローの小花がふんわりと咲いています。花々があふれんばかりの華やかさながら、色を絞った色彩計画のもとにデザインされた壁際の花壇は、一幅の絵画を見るような美しさです。しかし、この表の庭は武島さんの庭のほんの一部に過ぎません。 淡い紫色のつるバラ‘レイニー・ブルー’にブルーとイエローの小花がよく似合う。 森を背に華やかに彩られるメルヘンチックなバラと宿根草の庭 知る人ぞ知る秘密の花園は、玄関脇の小道を進んだその奥、森の緑を背にして広がっています。広さ約200㎡の庭は、森に向かって少し高くなるように傾斜がつけられており、緩やかにカーブするレンガの小道は、その先の景色を見え隠れさせながら歩みを誘います。頭上から甘い香りが降り注ぐバラのアーチ、背丈を超えて林立する何百本ものジギタリスとデルフィニウム、白花がレースのように咲き集うホワイトガーデン。小道の先に開ける景色には常に新鮮な驚きがあり、ひと巡りする頃には感嘆のため息を使い果たしてしまいそうです。 竹の抜根から始まった苦労の庭づくり バラとジギタリスの群落が競演。 「ここは、もともと竹林だったんですよ」と話すのは、庭主の武島由美子さん。ガーデン設計施工の「アンズガーデン」のデザイナーとして活躍しながら、ハンギングバスケット協会の理事も務め、講師として全国を飛び回るかたわら庭の手入れをしています。 花々の優雅な競演を前に、にわかに想像し難い竹林の風景ですが、実際に今でも花の間から竹がひょっこり生えてくると言います。 「竹って地下茎でつながっていて、地中に縦横無尽に根が張り巡らされているんですよ。それを取り除かないと花が植えられないので、最初は竹との格闘の日々。それはもう庭づくりっていうか、『開拓』でしたね(笑)」 庭主で「アンズガーデン」の代表を務める武島由美子さん。ハンギングバスケット協会の講師として九州から北海道まで全国を回る忙しい日々を送りながら、庭の手入れを行っている。 草花の素朴なガーデンに新たに加わった初夏の女王、バラ そんな苦労をしてでも武島さんを庭づくりへと駆り立てたものは、花が好きというシンプルな思いです。文字どおり竹林を拓いて得た土地を耕し、道をつくってガーデンの骨格を整え、花を植え、庭づくりを続けてきました。 「最初の頃は、素朴な宿根草とか一年草だけの庭だったんですが、いつからかそういう素朴な草花にも似合うオールドローズとかイングリッシュローズが登場して一気に魅了され、バラも育て始めたんです」。しかし、なかなか上手に咲かすことができずに、往復500kmの距離もいとわずコマツガーデンの講座に通い、バラ栽培を勉強したといいます。 (左)茎が細く華奢な雰囲気で咲く‘フランソワ・ジュランヴィル’。ガーデンには草花との相性がよい小輪〜中輪のバラが選ばれている。(右)宿根リナリアやジギタリスと咲く淡いピンクのバラ。 「バラと宿根草では土壌づくりが違うんですよね。土壌を豊かにしようと思って堆肥を庭にまいたら、バラの枝がグングン伸びて葉っぱばかり茂ってしまったことがあって。堆肥はチッ素分が多いことが原因なんですが、バラにはバラに適した肥料があるということを学びました」 ガーデンシェッドやベンチなど、ガーデンファニチャーと植物がコーディネートされたフォトジェニックなコーナーが庭のそこここに。雑草対策として、見えないように草花の間には段ボールが敷かれている。 そうした失敗も経験しながら、草花中心だった庭にはだんだんバラが増え、手入れの仕方もバラ中心に変わっていきました。年が明けると、1月末までにバラの剪定と誘引を1週間かけて行い、バラの芽出しの頃とその2週間後には病害虫予防として2回ほど薬を散布。5月になると400本以上のバラが次々に咲き出し、開花を待って2週間に渡り開催されるオープンガーデンには、全国からたくさんのファンが来訪します。それが終わるとバラにお礼肥えをたっぷりやり、宿根草は切り戻してさっぱりさせます。 「この庭は草花が多いので、バラの株元がすっかり覆われてしまわないように、雑草の除去はもちろん、宿根草も結構短く切り戻しておきます。そうでないと、カミキリムシの被害サインのオガクズに気づきにくくなってしまいますからね」 バラと交代でシェードガーデンを彩るアジサイたち (左)日陰になりやすい部分には、ライムイエローのヒューケラやタイツリソウ‘ゴールドハート’などのカラーリーフを下草にして、空間を明るく演出。(右)ピンクの絞り咲きアジサイ‘衣純千織(イズミチオリ)’をヒューケラやペチュニアと寄せ植えにして花台へ。 バラと交代に庭を彩るのは、アジサイ。森に隣接したシェードエリアには、アジサイやギボウシ、ヒューケラ、アスチルベなど半日陰を好む植物がふんだんに植栽され、暗くなりがちなエリアが華やさを増してきます。ハンギングバスケット協会の理事も務める武島さんの庭では、地植えだけでなく鉢植えやハンギングバスケットでもアジサイが活躍。鬱々とした梅雨の時期に、鮮やかな花色で庭を彩ります。 (左)斑入りのギボウシやツワブキとともに日陰を彩るアジサイ‘ラグランジア’。(右)鉢植えにした銅葉のアジサイ‘ブラックダイヤモンド’がシェードエリアのフォーカルポイントに。 アジサイのハンギングをガーデンチェアの背に飾ったコーナー。 「7、8年ほど前からアジサイのハンギングを作っていますが、当初は植生の違いから、アジサイのハンギングは認められませんでしたが今ではコンテストにも並んでいます。アジサイはよく目立ちますし、ハンギングは目線より上に花を持ってくることができるので、庭づくりでも重宝しますよ」 秋の庭の楽しみと、もう1つの楽しみ 庭のバラは四季咲きが多く、秋にもまた見頃を迎えます。 「秋はバラの花数は少なくなりますが、フジバカマなどの宿根草がたくさん咲いて、春とはまた違った雰囲気になります。いつからかフジバカマに、渡りをする蝶として知られるアサギマダラが毎年くるようになって、その美しい蝶と再会するのも庭の楽しみの1つなんです」 そしてもう1つ、最近になってうれしい出来事があったと武島さん。 「昔、私が庭に置いた植木鉢が原因で、主人が大怪我をしてしまったことがあって、以来、花なんか見たくないというくらい花嫌いになっちゃったんです。だから、これまで庭に見向きもしなかったのに、ある日『うちのバラはきれいだなぁ』ってポツリと。それを聞いて本当にびっくり! 私的にはまだ会心の出来でバラを咲かせられたことはないのだけど、その一言に心の中でガッツポーズ(笑)」 今ではご主人のサポートもあり、庭にはご主人お気に入りのシーンもたくさんあります。それをiPad(アイパッド)で撮るのが会社へ行く前の日課になっているとか。そのiPadの中に、庭のアルバムのページが増えていくのが、武島さんの庭づくりの大きな楽しみに加わりました。





















