今が買い時! 初夏の庭を彩る“魔法の花”アリウム|プロが教える植え付け方と品種選び
紫や白の大きな花玉がすっと立ち上がるアリウムは、初夏の庭を華やかな舞台に変えてくれる“魔法の花”。その球根が手に入るのは今の時期。植え付けは11月からですが、人気の品種は早々に売り切れてしまうこともあります。早めに確保して、来春の庭を彩る準備を始めませんか。毎年アリウムを庭に咲かせている面谷ひとみさんとガーデンデザイナーの安酸友昭さんに、アリウムの植え付けや管理のコツを伺いました。
目次
初夏の庭を彩る、魔法のような花
アリウムの魅力

初夏の庭に突如現れる、大きな球状の花。紫や白の花玉がすっと立ち上がる姿は、まるで舞台にスポットライトを当てたかのように、庭全体をドラマチックに変えてくれます。その花の名は「アリウム」。ネギやニンニクの仲間でありながら、華やかな観賞用植物として世界の名園では必ずといってよいほど取り入れられています。
庭を立体的に演出するアリウム

「アリウムの魅力は、なんといってもオーナメントのような丸いフォルムと高さです。すっと伸びた細い茎の上に、ちょうど目線の高さで花が咲くので、狭い場所にたくさん植えても圧迫感がなく、スッキリとした印象を与えてくれます」と話すのは、庭のオーナーの面谷ひとみさん。
ここはクリニックの患者さんや職員の癒やしのための庭で、待合室からもよく花姿が眺められるアリウムは、庭に欠かせない存在と話します。

「開花時期が少しずつ異なる早咲き種から遅咲き種までを揃えることで、5〜6月の庭をリレーのように彩ることができるのも魅力。ギガンチウムのように120cmくらいになるものもあれば、40〜50cmで咲くクリストフィーなどバリエーションがあるので、さまざまな演出が楽しめます」
花色は紫が代表的ですが、白や淡いピンクもあり、組み合わせる植物によっても庭の雰囲気をぐっと変えてくれます。

アリウムの植え付け方|プロに聞くコツ
ところどころ2球1組にしてリズムを

この庭では、アリウムを自然な景観をイメージして不規則に配置。球根の植栽は、面谷さんと一緒に庭づくりをするガーデンデザイナーの安酸友昭さんが担当します。
「球根を植え付ける際は、開花姿を想像しながら自然に見えるよう不規則に配置します。ところどころ、2球を1組にして植え付けると、心地よい変化がつきますよ」(安酸さん)
直線的に並ばないように、前後左右で少しずつ配置をずらしながら、1球または2球を植え付けることでリズムが生まれ、庭の手前から奥まで視線を誘導します。
球根の大きさの3倍の深さで植え付ける

球根の植え方にも工夫があります。普段は球根を傷つけないように、宿根草を植えた後に球根を加えることが多いそうですが、アリウムの場合は逆。というのも、アリウムは球根が大きく、深植えするからです。例えば、アリウム・ギガンチウムや‘ホワイトジャイアント’などの球根の直径は7〜10cm。植え付けの深さはその約3倍が基本ルールなので、深さ20〜30cmが理想です。
「ですから、アリウムの球根を先に植え付けてから、その後に宿根草を植え付けます。4寸ポット(直径約12cm)程度の宿根草苗なら、アリウムの真上に植え付けても、根鉢が届くのは10〜15cm程度なので、球根を傷つける心配はありません」

30cmの植え穴というと、バラ苗を植え付けるときと同等の深さになり、掘るのはそれなりに骨が折れる庭仕事です。
「でも、周りにはふかふかの土がたくさん出るので、その土を使えば後から植え付ける宿根草はとても植えやすく、結局は効率的なんですよ」と安酸さん。一見、大変そうに見える作業も、次の植栽を助ける準備になっているというわけです。
球根の買い時と植え時には時差あり!
アリウムの球根は店頭に並ぶのが9月頃ですが、植え付け適期は11月以降。いざ植えようと思ったときには売り切れてしまうことも多いので、気に入った品種は早めに確保しておきましょう。
ただし、保管には注意が必要です。庭主の面谷さんは「一度、買った球根を密閉容器に入れてしまい、全部腐らせてしまうという大失敗をしました」と振り返ります。球根は休眠中でも呼吸しているため、密閉すると湿気と熱がこもり、カビが発生しやすいのです。特にアリウムは大球根なので、蒸れやすく腐敗リスクが高め。
早めに手に入れた球根は、紙袋やネット袋に入れて、涼しく風通しのよい場所で保管するのが安全です。
アリウムの球根の正しい保管方法

- 風通しのよい涼しい場所に置く(北向きの玄関や納戸など)。
- 紙袋やネット袋に入れて通気性を確保。
- 直射日光や湿気を避け、20℃以下を目安に。
- 絶対に「密閉容器」に入れたり「ビニール袋の口を閉じたまま」にしないこと。
暖冬を考慮して適切な時期に植え付けを

一般にアリウムの球根は11月に植え付けるとされていますが、近年の暖冬傾向では11月も最高気温が20℃を超える日が月の1/3以上を占めることも珍しくありません。気温が高い時期に植えると土中で蒸れやすく、球根が腐るリスクがあるため、地温が10℃を下回ってから植えるのが安心です。
そこで、面谷さんは「しっかり寒さが定着してから植えたほうが安全」と考え、1〜2月に植え付けることも多いそうです。アリウムの強健さゆえ、遅植えでも十分に開花してくれると言います。
早咲きから遅咲きまで品種の選び方
アリウムには品種によって5月下旬から咲き始めるものや、7月まで彩ってくれるものなど、開花期に1カ月半近くの差があります。この開花期の差を意識して入れることで、長期間にわたり、庭にオーナメンタルなアリウムの彩りをもたらすことができます。

「この庭では、紫花のクリストフィーや‘パープルレイン’から始まり、ギガンチウム、白花の‘マウントエベレスト’、さらに‘ホワイトジャイアント’と続き、最後は2m近くに育つ‘サマードラマー’が6月下旬から咲き誇ります」(面谷さん)
また、球根が植えっぱなしでよいものと、植えっぱなしだと土中で腐ってしまうものなど、品種による特性に違いもあるといいます。
「山陰は一年を通して雨が多く夏も暑いせいか、多くは植えっぱなしにしておくと、土中で球根が腐ってしまい、翌年咲くことはありません。しかし、‘レッドモヒカン’と‘サマードラマー’は、この庭では植えっぱなしのまま数年間は花を楽しませてくれていますね」(面谷さん)。
【主な開花順(早咲き → 遅咲き)】
アリウム・クリストフィー(Allium christophii)

5月下旬〜6月初旬
草丈約50cm
花径20〜30cmの星形の花が球状に集まる。比較的早め。
植えっぱなし不可
アリウム‘パープルレイン’(Allium ‘Purple Rain’)

5月下旬〜6月初旬
草丈80〜100cm
‘クリストフィー’と同じ頃〜やや後。濃紫色で花数が多く、切り花にも向く。
植えっぱなし不可
アリウム・ギガンチウム(Allium giganteum)

6月初旬
草丈約120cm
典型的な大玉アリウム。
植えっぱなし不可
アリウム‘マウントエベレスト’(Allium ‘Mount Everest’)

6月初旬〜中旬
草丈約120cm
白花品種。ギガンチウムよりわずかに遅れることが多い。
植えっぱなし不可
アリウム‘ホワイトジャイアント’(Allium ‘White Giant’)

6月中旬
草丈約150cm
大型の白花種。‘マウントエベレスト’より草丈が高く、開花も少し後。
植えっぱなし不可
アリウム‘レッドモヒカン’(Allium ‘Red Mohican’)

6月中旬
草丈80〜100cm
濃い赤紫で丸い花球の上部に、白い突起が房のように伸びる独特の花姿。
植えっぱなしで数年OK
アリウム‘サマードラマー’(Allium ‘Summer Drummer’)

6月下旬〜7月
草丈180〜200cm
最後に咲く超大型品種。
植えっぱなしで数年OK
アリウムの手入れのポイント
アリウムは球根に栄養をたっぷり蓄えているため、基本的に丈夫で適期に植え込めばすくすく育ちます。ただし、芽吹いてから草丈10〜20cmになる春の頃には、ナメクジなどが先端をかじって食害をもたらすことがあります。そのため、面谷さんはベニカXガードやオルトランなどで対処していると言います。「また、見つけたときはビニール手袋をして手で取り除いていますね。20cmより高くなってしまえば、病害虫の被害にあうこともなく、丈夫に育ちます。草丈が高くなっても風に倒れることなく、支柱を立てる必要がないのも楽ですよ」(面谷さん)

花の色が褪せてきてもその後のフォルムが彫刻的で面白いので、そのまま庭に残して楽しめるのもアリウムの魅力。特にクリストフィーは星形のシルエットがユニークで、庭のよいアクセントに。「その後、植えっぱなしでOKの‘レッドモヒカン’と‘サマードラマー’以外は、下葉が枯れてきたら抜き取ります。茎を持って引っ張るとスルッと抜けるので、植える時より断然楽ですよ」(面谷さん)
アリウムの球根は夏に葉が完全に枯れてから掘り上げ、涼しく風通しのよい場所で保管すれば翌年も植えることができます。ただし、ギガンチウムなどの大型品種は年々花が小さくなったり咲かなかったりすることも多いため、確実に楽しみたい場合は新しい球根を補充するのがおすすめです。小型のアリウムは比較的自然分球しやすく、毎年花を見せてくれます。
花合わせで広がる楽しみ
アリウムは球根がやや高価なので、効果的に使いたいもの。植える場所を絞って集中的に植栽し、見せ場をつくると、コストを抑えながら印象的に。大玉品種を主役に据え、小型種や下草を添えることで、高低差のある景観になります。また、バラや宿根草と組み合わせることで、ロマンチックにもシックにも表現できるのが魅力です。
「アリウムって、ほかのどんな花にも似ていない個性があるので、どの花と合わせても似合うところも好きなんです。組み合わせる花を変えることで、毎年違う表情を楽しんでいます」と面谷さん。面谷クリニックでのアリウムの花合わせを見てみましょう。
アリウム・クリストフィー×バラ‘スーブニール・ドゥ・ドクトル・ジャメイン’ ×シノグロッサム

アリウム・クリストフィー×ダイアンサス‘グランズフェイバリット’

アリウム‘マウントエベレスト’ ×デルフィニウム‘チアブルー’

アリウム‘パープルレイン’ ×バラ‘プリュム’

アリウム‘ホワイトジャイアント’ ×バラ‘ウインチェスターキャシードラル’ ×バラ‘ヴァネッサ・ベル’

憧れのアリウムの庭、あなたも挑戦してみませんか

アリウムは庭に高さと動きを与える“魔法の花”。植え付けの工夫や品種の組み合わせ次第で、初夏の庭をオーナメントのように彩ります。丈夫で手間もかからず、それでいて印象的な景観を生み出してくれるのが魅力です。
今の時期に球根を確保して、秋に植え付ければ、来春には憧れのアリウムの庭が広がります。ぜひ挑戦してみてください。
アドバイス/安酸友昭
Credit
アドバイス / 面谷ひとみ - ガーデニスト -
おもだに・ひとみ/鳥取県米子市で夫が院長を務める面谷内科・循環器内科クリニックの庭づくりを行う。一年中美しい風景を楽しんでもらうために、日々庭を丹精する。花を咲き継がせるテクニックが満載の『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(KADOKAWA)が好評発売中!
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写真&文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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