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真夏が買い時! オーナメンタルに春庭を彩る秋植え球根アリウム〜乙庭注目品種 増補版!

植えっぱなしで毎年楽しめるアリウムは、宙に浮いたように花玉が咲いて庭のアクセントとなる人気の球根植物です。分類の垣根を取り去った植物セレクトで話題のボタニカルショップのオーナーで園芸家の太田敦雄さんがお届けする連載「ACID NATURE 乙庭 Style」。今回は、予約・購入時期が迫る秋植え球根のアリウムの中から、レア種・新品種を10品種ピックアップ! その魅力と性質をご紹介します。
目次
秋植え球根植物「アリウム」注目の品種
オーナメンタルで多彩な球状の花序が春~初夏の庭の見どころとなるアリウムの仲間。本連載 「ACID NATURE 乙庭 Style」では、これまでも数回、植栽に映えるアリウムの魅惑種をご紹介しています。今回は、まだあまり知られていないレア種・新品種なども含め、注目しているアリウムをいち早くご紹介します。

園芸のネットショップでは、夏から秋植え球根の予約受付が始まります。私の店「ACID NATURE 乙庭」でも、毎年6月末から秋植え球根の予約を受け付けています。
近年は、ロシア上空航路を飛行できないという複雑な世界情勢や燃料価格の高騰などなど、秋の球根輸入をめぐる環境は厳しい状態が続いていますが、今季も積極的にアリウムの面白い品種を新導入しています。

今回は、その中から特に乙庭が注目している品種を厳選してご紹介します。
従来品種では飽き足らない進取の気性を持った園芸家のみなさんの参考や刺激になれば幸いです。
アリウム関連の「ACID NATURE 乙庭 Style」過去記事も併せてお読みください。


●2020秋「ACID NATURE 乙庭」注目の秋植え球根 10選
アリウム球根の買い時は真夏ですよ!
これまでの秋植え球根に関する記事でも力説してきましたが、ちょっと珍しい秋植え球根の買い時は、ズバリ真夏です! 7〜8月から予約販売を開始するネットショップの早期予約をするのが確実です。早期予約セールを行っているショップもあるので、賢く利用するとよいでしょう。

実際に園芸店の店頭に球根が入荷してくるのは10月なのですが、秋の植え付け時になってからいざ秋植え球根を購入しようとすると、素敵な品種の多くがすでに予約完売していて、手に入らないことがとても多いのです。欲しい品種を確実にゲットするためには、ネットショップで7〜8月に始まる早期予約をぜひ活用してくださいね。
特に、アリウムの比較的珍しい種などは流通量が少なく、人気品種は秋を待たずに予約完売していることが多いです。一年の一時期しか流通しない季節アイテム、買い逃して1年間おあずけとなってしまうのは避けたいですよね。

では、ACID NATURE 乙庭が注目しているアリウムの魅惑品種を厳選セレクトでご紹介します。日本国内での流通量がとても少ない品種もありますので、どうぞお買い逃しなきよう。先手先手の早期予約をおすすめいたします!
セレクト1
アリウム ‘マウントエベレスト’
紫花の代表的オーナメンタル種ギガンテウムの白花版ともいえる、晩春咲きの大型品種です。

1.2m程度の直立した花茎を立ち上げ、その頂部に直径15cmにもなる白色の球状の花序を燦然と咲かせます。海外の有名庭園でもしばしば春の植栽のメインキャストとして誇らしげに植栽されることの多い名品種です。
【DATA】
アリウム ‘マウントエベレスト’ Allium ‘Mount Everest’
■ ネギ科
■ 主な花期:晩春
■ 草 丈:1.2m程度
■ 耐寒性:強い
■ 耐暑性:やや弱い
■ 日 照:日向
セレクト2
アリウム ‘グラディエーター’
草丈1.2m程度、花序の直径15cm程度と、大輪の有名種ギガンテウムによく似たシルエットながら、ギガンテウムよりも少しだけ早いタイミングで咲き、ギガンテウムよりも少し青みが強い紫の花色が特徴的な品種です。

比較的以前からある品種ですが、日本へは毎年コンスタントに輸入されてくるわけではなく、市場でまったく見かけない年もあったりします。

1種類のアリウムの開花期間は比較的短いのですが、本種‘グラディエーター’とギガンテウムのように、似て非なる複数品種を植えることによって、多様なアリウムの花を長い期間に渡って楽しめるような計画をすると、“園芸上級者”な植栽になりますね。
【DATA】
アリウム ‘グラディエーター’ Allium ‘Gladiator’
■ ネギ科
■ 主な花期:春~晩春
■ 草 丈 :1.2m程度
■ 耐寒性:強い
■ 耐暑性:やや弱い
■ 日 照:日向
セレクト3
アリウム・オブリクウム
初夏~夏の庭で、青緑みの細長い茎の先に少しだけ緑みがかった淡黄色の小さい球状の花房を咲かせ、ナチュラルにもオーナメンタルにも使える、利用範囲の広い魅惑的なアリウムです。

日本の園芸界をリードするガーデンデザイナー吉谷桂子さんによる北海道の「銀河庭園」でも誇らしく植えられているのを見て、お探しの方も多いのではないでしょうか。
本種アリウム・オブリクウムは、ルーマニアからモンゴルにいたるユーラシア大陸の比較的冷涼で乾燥ぎみの内陸部に自生が見られます。

ネギの仲間らしいワックスがかった青緑色の葉茎と少し緑みがかった淡黄色の花との対比がとても美しく、主張しすぎることなく、植栽の中でナチュラルながらもほどよいオーナメンタルな存在感を発揮してくれます。
初夏、色とりどりな花が開花する宿根草植栽に織り交ぜると、とてもお洒落ナチュラルな植栽効果を発揮してくれるでしょう。
日本国内ではほとんど流通のないレア種でしたが、2022年は少しだけ入ってくるようになりました。
【DATA】
アリウム・オブリクウム Allium obliquum
■ ネギ科
■ 主な花期:初夏
■ 草 丈:1m程度
■ 耐寒性:強い
■ 耐暑性:やや弱い
■ 日 照:日向
セレクト4
アリウム ‘フォーロック’
初夏の庭で細長い茎の先に臙脂褐色の直径6〜7cm程度の球状の花序をつけ、花序頂部の花がちょこんと上に飛び出す風変わりな咲き方をする、オーナメンタルかつひょうきんな魅力のあるアリウムのレア品種です。

北海道の名園、「上野ガーデン」で象徴的に植えられているのを見て、球根をお探しの方も多いのではないでしょうか。
本種‘フォーロック’のように花序頂部の花だけが上に飛び出した咲き方をする、雰囲気がよく似た品種に、下写真のアリウム ‘レッドモヒカン’がありますが、本種‘フォーロック’のほうが、花色がよりこっくりとした暗紫褐色みが強く、花茎・花もより大きく頑丈な感じで、全体に‘レッドモヒカン’よりもぼってりした存在感があります。

他にはないとても変わった個性と雰囲気がありながら他の植物ともよく協調し、フワフワした雰囲気の花が多くなりがちな宿根草植栽に織り込むと絶好のフォーカルポイントになります。
【DATA】
アリウム ‘フォーロック’ Allium ‘Forelock’
■ ネギ科
■ 主な花期:初夏
■ 草 丈 :90cm程度
■ 耐寒性:強い
■ 耐暑性:やや弱い
■ 日 照:日向
セレクト5
アリウム‘サマードラマー’
本種‘サマードラマー’は、品種名が示すように、通常の春咲きのアリウムよりも開花期が遅く、初夏~夏のはじめの頃に咲く品種です。

初夏に、1.3〜1.5mにもなる灰紫褐色がかった花茎を立ち上げ、その頂部に、ちょっと渋いグレイッシュな紫色の打楽器ティンパニのバチを連想させるような球状の花序を咲かせます。

直線的な花茎と球状の花序が植栽の中で奇妙な幾何学性をアピールする、なんとも不思議でレアな雰囲気を漂わせるアリウムの大型種。日本国内でも高感度なガーデナーの方々の間で密かに人気の高い、通好みな品種です。
【DATA】
アリウム ‘サマードラマー’ Allium ‘Summer Drummer’
■ ネギ科
■ 主な花期:初夏~夏
■ 草 丈:1.3~1.5m
■ 耐寒性:強い
■ 耐暑性:普通
■ 日 照:日向
セレクト6
アリウム・スコロドプラスム ‘アート’
草丈70~80cmくらい。細い花茎の頂部にアリウムの中でも他に類を見ない、不規則によじれてまばらに咲き上がる、燕脂色みのとても珍妙不思議な造形の花がアーティスティックで面白い品種です。

2022年の時点では、日本国内ではごく少量が輸入され始めた程度で、見た目も流通量の面でもとても珍しい、時代を先取りする品種です。
花は大きくはありませんが、他の追随を許さない不思議な個性があるため、ボーダーガーデンの中前列あたりで、とてもアイキャッチーな植栽効果を発揮してくれるでしょう。
最新の品種なので、現段階では日本での栽培情報が少ないのですが、本種‘アート’はヨーロッパから朝鮮半島にいたるユーラシア大陸の広範に自生が見られるアリウム・スコロドプラスムの系統であるため、日本の気候環境にも合い、アリウムの品種の中でも比較的日本で育てやすいものと思われます。

普通のアリウムに飽きたらないアート志向の園芸家の方々に、ぜひ創作的にチャレンジしていただきたい面白品種です。
【DATA】
アリウム・スコロドプラスム ‘アート’ Allium scorodoprasum ‘Art’
■ ネギ科
■ 主な花期:晩春~初夏
■ 草 丈:70〜80cm
■ 耐寒性:強い
■ 耐暑性:普通
■ 日 照:日向
セレクト7
アリウム ‘メタリックシャイン’
草丈40cmくらい。関東平野部では5月後半の頃、メタリックパープルの大型球状の花序を咲かせる人気種クリストフィの系統で、より花序が大きく花のメタリック光沢も増した、オーナメンタルで魅惑的すぎる最新品種です。

基本種のアリウム・クリストフィは、40cm程度の草丈に対して直径15cm程度という、とても比率的に大きな花序と星形の花が球状に集合する造形の美しさがあります。そしてメタリックな花の光沢や質感、オーナメンタルに乾燥していく花後の種姿など、多様な観賞価値と、唯一無二ともいえる個性・存在感を持った魅惑種。

本種‘メタリックシャイン’は、草丈40cmくらいで直径20cm以上にもなる巨大な花序や輝きを増したメタリック質感など、基本種 クリストフィの魅力をさらに強化したような決定版ともいえる最新品種です。
【DATA】
アリウム ‘メタリックシャイン’ Allium ‘Metallic Shine’
■ ネギ科
■ 主な花期:晩春~初夏
■ 草 丈 :40cm程度
■ 耐寒性:強い
■ 耐暑性:やや弱い
■ 日 照:日向
セレクト8
アリウム ‘パープルレイン’
草丈60cmくらい。アリウムの中では早咲きの美麗品種 ‘パープルセンセーション’ と 大きな花序が美しい原種クリストフィとの交配により生まれた品種です。‘パープルセンセーション’の早咲き性と鮮やかな紫の花色、クリストフィの大きな花序を兼ね備えた、大変魅惑的なアリウムの最新品種です。

関東平野部では、‘パープルセンセーション’ と同じ4月末~5月初旬に開花します。
花色は‘パープルセンセーション’ゆずりのアリウムらしい鮮やかな紫色。そして一つひとつの花の星形のオーナメンタルな造形や大きな花序はクリストフィゆずりと、両親の長所を素晴らしいバランスで受け継いだ品種です。
【DATA】
アリウム ‘パープルレイン’ Allium ‘Purple Rain’
■ ネギ科
■ 主な花期:春
■ 草 丈:60cm程度
■ 耐寒性:強い
■ 耐暑性:やや弱い
■ 日 照:日向
セレクト9
アリウム・カエルレウム
比較的古くから日本でも普通に流通している南ヨーロッパ原産種ですが、ルリタマアザミ(エキノプス)の花色を彷彿させるような爽やかな明青紫色の花がとてもオーナメンタルで美しく、乙庭でもより積極的に活用したいなと再評価しているアリウムの原種です。

赤紫~ピンクの花が多いアリウム属にあって、この鮮やかな明青色はたいへん珍しいですよね。このような青色で球状の花には他にルリタマアザミが挙げられますが、それに似たオーナメンタルな花材といえるでしょう。

本種カエルレウムは、スッと細身で真っ直ぐの花茎を立ち上げて開花するので、場所もあまりとらず、この美しい花は切り花で使用してもアレンジメント映えがとてもよく重宝します。
また、比較的降水量が少なく、カラッとした気候の南ヨーロッパ原産種なので、例えばフロミスやエリンジウム、スティパの仲間など、やや乾燥地を感じさせる宿根草と合わせたり、または季節変化が出にくいアガベなどを主体にしたドライガーデンに季節感を演出する素材として織り込んでも面白いでしょう。
【DATA】
アリウム・カエルレウム Allium caeruleum
■ ネギ科
■ 主な花期:晩春~初夏
■ 草 丈 :50cm程度
■ 耐寒性:強い
■ 耐暑性:やや弱い
■ 日 照:日向
セレクト10
アリウム・カラタビエンセ‘レッドジャイアントスター’
ニュアンス満点の灰青緑となる美しい葉色を、早春の芽吹きからリーフプランツとしても楽しめ、関東平野部では5月に草丈25cmくらいの地面にへばりつくような低い位置で咲きます。そのひょうきんオーナメンタルで渋美しいネギ坊主的な花が魅惑の原種カラタビエンセの、とてもレアな赤紫花の大輪品種です。

2022年時点では、日本でもごく少ない量の輸入が始まったばかりの、とても先駆的な最新品種です。

基本種のカラタビエンセはニュアンスのある白ピンク花ですが、本種‘レッドジャイアントスター’は、そのカラタビエンセ種をよりぼってり大きくしたような草姿と赤紫色の花が特徴です。

カラタビエンセ種はカラーリーフプランツとしてもとても美しく、3月後半の芽吹きの瞬間から、マットでちょっとパウダリーな質感のとても深い青緑色の葉で、観る者を釘付けにします。
本種‘レッドジャイアントスター’は、カラタビエンセ特有の美しい葉もあり、一層ダイナミックに楽しめる一方で、基本種とは全く違う花色を兼ね備えた新感覚品種です。
【DATA】
アリウム・カラタビエンセ ‘レッドジャイアントスター’ Allium Karataviense ‘Red Giant Star’
■ ネギ科
■ 主な花期:春
■ 草 丈:25cm程度
■ 耐寒性:強い
■ 耐暑性:やや弱い
■ 日 照:日向

「変わることがなければ成長することもない。
成長することがなければ真に生きていない」 (ビル・ゲイツ 実業家 1955 – )
Photo/ 1) Alex Manders 3) Chris Lawrence Travel 5) Gardens by Design 7) InfoFlowersPlants 8) E. O. 9) Joe Kuis 10) Joe Kuis 11・12) InfoFlowersPlants 13) Alex Manders 14) Katniss studio 15) Alex Manders 16)Sergey V Kalyakin 17)Tom Meaker 18)Frank Kuschmierz 19)avoferten 20)Sergey V Kalyakin 21)CoinUp 22) Tatyana Mut 23) weha 24) tatianaput /Shutterstock.com
Credit
写真&文 / 太田敦雄 - 「ACID NATURE 乙庭」代表 -

おおた・あつお/園芸研究家、植栽デザイナー。立教大学経済学科、および前橋工科大学建築学科卒。趣味で楽しんでいた自庭の植栽や、現代建築とコラボレートした植栽デザインなどが注目され、2011年にWEBデザイナー松島哲雄と「ACID NATURE 乙庭」を設立。著書『刺激的・ガーデンプランツブック』(エフジー武蔵)ほか、掲載・執筆書多数。
「6つの小さな離れの家」(建築設計:武田清明建築設計事務所)の建築・植栽計画が評価され、日本ガーデンセラピー協会 「第1回ガーデンセラピーコンテスト・プロ部門」大賞受賞(2020)。
NHK『趣味の園芸』講師。(一社)ジャパンガーデンデザイナーズ協会(JAG)正会員デザイナー。ガーデンセラピーコーディネーター1級取得者。(公社) 日本アロマ環境協会 アロマテラピーインストラクター、アロマブレンドデザイナー。日本メディカルハーブ協会 シニアハーバルセラピスト。
庭や植物から始まる、自分らしく心身ともに健康で充実したライフスタイルの提案にも活動の幅を広げている。レア植物や新発見のある植物紹介で定評あるオンラインショップも人気。
「太田敦雄」公式ブログ https://note.com/acid_nature_0220
プロフィール写真/田中雅也
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