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バラが開かない! 鉢から抜いて分かった原因と秋バラに向けて見直したいこと

バラが開かない! 鉢から抜いて分かった原因と秋バラに向けて見直したいこと

春にたくさんのつぼみをつけたのに、なぜか花がきれいに開かない。水やりも肥料も欠かしていないのに、いったい何がいけなかったのか――。
5月に一番花を迎えた鉢植えのバラに起きた開花不良。ところが一番花の後、鉢から株を抜いてみると、地上部からは見えなかった異変が。バラの花の調子が悪いとき、つい枝葉や肥料、病害虫に目が向きがちですが、原因は「鉢の中」に隠れていることも多くあります。実際の経過を追いながら、秋バラを迎える前に見直しておきたい鉢植えバラの管理について考えてみます。

つぼみはたくさんついたのに……一番花が開かない!

バラの鉢植え

5月、春の開花シーズンを迎えた鉢植えのバラ‘シラノ・ドゥ・ベルジュラック’。枝先にはたくさんのつぼみが上がり、一見すると順調そのものでした。

ところが、待っても待ってもなかなかつぼみが開きません。ようやく開き始めた花も、本来の大きさにはならず、花弁は黒ずんでチリチリと縮れたような状態。最後まできれいに開ききれない花がいくつもありました。

小さく咲いたバラ
本来は6〜8cmの中輪の花を咲かせるはずが、およそ半分ほどの小さな花に…。

バラのつぼみが開かない原因には、長雨や高湿度、窒素過多などによる「ボーリング」という症状、灰色かび病、アザミウマなどの害虫、肥料や水分の問題など、さまざまなものがあります。

この株も花だけを見れば原因を一つに絞ることはできません。しかし、栽培中に一つ気になっていたことがありました。水を与えても、鉢土になかなか染み込まずに、鉢縁からすぐに水があふれ出てしまうような状態だったのです。

鉢から抜いてみると、根鉢の中心がカチカチ

バラの植え替え

振り返ってみると、このバラは購入後、10号鉢に植え付けてから約3年間、一度も植え替えていませんでした。「10号鉢だから、まだ大丈夫だろう」と思っていましたが、一番花後に鉢から株を抜いてみると、想像していた以上に根鉢の状態が変わっていました。

バラの根鉢

鉢から抜いた根鉢を見ると、外側には白っぽい細根がたくさん確認できました。根鉢の表面近くまで細かな根が広がり、限られた鉢の中を根がかなり使っていることが分かります。そして、さらに気になったのが土の硬さです。根鉢の内部に棒を差し込もうとしてみると、土が硬く締まっていて簡単には入りません。水をかけてみても、中心部にはなかなか染み込んでいかず、外側へ流れてしまいます。

つまり、毎日きちんと水やりをしているつもりでも、根鉢全体に均一に水が行き渡っていなかった可能性があったのです。

つぼみを膨らませ、多くの花弁を展開させる開花期は、バラが多くの水分を必要とする時期でもあります。一番花の開花不良が根鉢の状態だけによるものだったとは断定できませんが、3年間植え替えていない鉢の中で根が広がり、古い用土が硬く締まり、水が浸透しにくくなっていたことは確かでした。そこで、一番花が終わったタイミングで植え替えることにしました。

カチカチになった根鉢。移植ゴテでは崩しにくい

浅野木工所の「真鍮 根カキ棒」

植え替えでは、古い土を少しずつ落としながら根鉢をほぐしていきます。ところが、3年間植え替えていなかった根鉢は想像以上に硬く、移植ゴテのような幅のある道具を差し込もうとしても、なかなか入りません。力任せに差し込めば、根をまとめて傷つけてしまいそうです。

そこで使ってみたのが、浅野木工所の「真鍮 根カキ棒」。細身の棒を根の間から差し込み、固まった土に穴をあけるようにして少しずつほぐします。

実際に使ってみて便利だったのは、狙った場所へ細い棒を入れられること。根の位置を見ながら差す場所を変え、硬くなった部分を少しずつ崩していくことができました。

一見すると、とてもシンプルな1本の棒ですが、今回のような硬い根鉢を前にすると、移植ゴテとはまったく違う仕事をしてくれる道具だと実感しました。

古い土を落とし、新しい用土と大きな鉢へ

浅野木工所の「真鍮 根カキ棒」

根をできるだけ傷めないよう注意しながら根鉢をほぐし、古い土を落としました。そして新しい用土を使い、10号鉢から12号鉢へサイズアップして植え替えました。鉢のサイズを上げることで、これから伸びる根のスペースが確保できるだけでなく、鉢土の容量も増えます。土の量が増えれば、暑い日の急激な乾燥も以前より起こりにくくなります。

植え付ける際には、根の間に大きな空洞を残さないよう、新しい土を行き渡らせることも大切です。ここでも根カキ棒を使い、根の隙間を軽くつつきながら土を入れていきました。最後に鉢底から流れ出るまでたっぷり水を与えます。今度は水が一部だけを流れるのではなく、新しく入れた土へすっと染み込んでいきました。

そして6月。二番花はまるで別のバラのように

鉢植えのバラ‘シラノ・ドゥ・ベルジュラック’

植え替え後、株は再びつぼみを上げ、そして6月に二番花が開花しました。5月には小さく縮れ、最後まで開ききれなかった花が、今度は大きく開花。幾重にも重なる花弁がしっかり展開し、このバラ本来の豪華な花姿を見せてくれました。

バラ‘シラノ・ドゥ・ベルジュラック’

二番花では、房状についたすべてのつぼみを咲かせず、つぼみを整理して咲かせたことも、花径が大きくなった一因と考えられます。また、5月と6月では気温や湿度などの環境条件も異なります。

それでも、植え替え前には水が染み込みにくかった鉢が、新しい用土への植え替え後にはスムーズに吸水するようになり、その後の花が正常に開いたことは、鉢の中の環境を見直す大切さを実感させる出来事でした。

鉢植えのバラ、植え替えの頻度は?

オールドローズの‘ジャック・アミオ’
オールドローズの‘ジャック・アミオ’。

鉢植えのバラは、一度植えれば何年もそのままでよいわけではありません。根は毎年成長し、鉢という限られた空間に広がっていきます。一方、用土も長く使い続けることで状態が変化します。ですから基本的には、1〜2年に1回、植え替えを行う必要があります。

上の写真のバラは7号鉢程度で育てて1年目の、返り咲き性のつるバラ‘ジャック・アミオ’。鉢から抜くと、わずか1年でも鉢底から側面まで白い根がびっしりと回っていました。バラの根の張り方は、品種や樹勢、鉢の大きさ、栽培環境によっても異なります。「まだ1年だから大丈夫」と年数だけで判断せず、水の染み込み方や乾き方、株の生育とともに鉢の状態を確認し、状態や鉢の大きさに応じて定期的な植え替えをする必要があります。

1年目のバラの根鉢
7号鉢で育てて1年。根が早くもびっしりに。

バラの根を整理し、古い土を落として新しい用土に植え直す本格的な植え替えは、一般にバラが休眠に向かう晩秋から冬が適期です。鉢をこれ以上大きくしたくない場合には、この時期に古い土や根の一部を整理して同じ鉢へ戻す方法もあります。

一方、生育期に株が大きくなり、どうしても鉢が小さくなった場合には、根鉢を大きく崩さずに一回り大きな鉢へ移す「鉢増し」という方法があります。

秋バラ前の鉢増しでも、根カキ棒が使える

浅野木工所の「真鍮 根カキ棒」

鉢増しでは、根鉢をそのまま新しい鉢へ入れ、周囲に新しい用土を足します。ここでも問題になるのが、根鉢と鉢との間にできる細い隙間です。根鉢を崩したくないからこそ、移植ゴテを強く差し込むこともできません。

そこで根カキ棒を隙間へ差し、新しい用土を少しずつ下へ送り込みます。用土を入れ、棒で軽くなじませ、また用土を足すことを繰り返します。

本格的に古い土を落とし、根を整理する植え替えは、バラが休眠に向かう晩秋から冬に行います。秋バラを前にした今は、まず鉢の状態を確認し、必要なら株への負担が少ない鉢増しで対応。そして冬になったら、根と土の状態を改めて確認するのが安心です。

秋バラの前に「最後に植え替えたのはいつ?」を思い出そう

秋バラに向けた管理というと、夏剪定や追肥に意識が向きがちです。でも、鉢植えで育てているなら、もう一つ確認しておきたいことがあります。

「このバラ、最後に植え替えたのはいつだっただろう?」と思い返してみて、水やりの際には、与える量だけでなく、水がどのように土へ入っていくかも観察してみましょう。

水がなかなか染み込まない。土の表面にしばらく水が溜まる。一部を通ってすぐ鉢底へ流れてしまう。以前より鉢が乾きやすくなった。株の大きさに対して鉢が明らかに小さい——。

そんな気づきがあれば、鉢の中の環境が変わってきているサインかもしれません。ただし、秋バラをきれいに咲かせたいからといって、暑さの残る時期に鉢から株を抜き、根鉢を大きく崩す必要はありません。今はまず、鉢と株の状態を観察し、鉢増しだけにとどめ、冬の植え替えを忘れないよう予定しておくだけでも違います。

今回使った道具 浅野木工所「真鍮 根カキ棒」

浅野木工所の「真鍮 根カキ棒」

今回、硬くなった根鉢をほぐす際に使用したのが、浅野木工所の「真鍮 根カキ棒」です。

植え替え時に根をほぐすためにつくられた真鍮製の園芸道具で、直径9.5mm、全長250mm。細身で長さがあるため、根鉢の奥にも差し込みやすい形状です。

今回の作業では、硬く締まった根鉢を少しずつほぐすほか、植え付け時に根の隙間へ新しい用土を行き渡らせる際にも使用しました。

移植ゴテのように土を大きく掘ったりすくったりする道具ではありませんが、根の間を探りながら細かな作業をしたいときに使いやすい一本です。 

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