お庭の「アイキャッチャー」に最適! 大型種から小型種まで、ユーパトリウムでつくるナチュラルガーデン
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夏から秋にかけて、霞のように可憐な花を咲かせる「ユーパトリウム」。強健で暑さ寒さに強く、放任してもよく育つため、ガーデニング初心者にも大人気の宿根草です。
この記事では、ユーパトリウムの基本情報や人気の種類、綺麗な花を咲かせる育て方のコツまで詳しく解説します。「品種が多くてどれを選べばいいか分からない」「増えすぎたらどうすればいい?」という疑問にも答えながら、水やり、切り戻し、冬越しについてもご紹介。栽培ポイントを押さえて、美しい花を庭に咲かせてみませんか?
目次
ユーパトリウムの基本情報

植物名:ユーパトリウム
学名:Eupatorium(※広義。現在は Ageratina、Eutrochium、Conoclinium 属などに再分類)
英名:Eupatorium、boneset、thoroughwort、snakerootなど
和名:ヒヨドリバナ(鵯花)
その他の名前:セイヨウフジバカマ、エウパトリウムなど
科名:キク科
属名:ヒヨドリバナ属(ユーパトリウム属)
原産地:北米、日本、中国、朝鮮半島
形態:宿根草(多年草)
ユーパトリウムの学名はEupatoriumで、そのまま流通名になっています。キク科ヒヨドリバナ属(ユーパトリウム属)の多年草の総称で、種類や園芸品種が多数出回っています。原産地は東アジア、北アメリカ。暑さや寒さに強く、一般地では周年戸外で管理できます。日当たりのよい場所を好みますが、種によっては半日陰の環境でも生育可能です。落葉性の多年草で、晩秋になると葉を落として地上部がなくなりますが、地下の根は生きていて、翌春の生育期になると再び芽吹き始めます。長生きする多年草の1つで、数年経つと株立ちになり、庭の骨格としても活躍してくれます。
ユーパトリウムの花にはピロリジジンアルカロイドという成分が含まれ、旅する蝶として知られるアサギマダラが好むことでも知られます。ruiruito/Shutterstock.com
ユーパトリウムの花や葉の特徴

園芸分類:草花
開花時期:7〜10月
草丈:0.4~3m
耐寒性:強い
耐暑性:強い
花色:紫、ピンク、白
ユーパトリウムの開花期は7〜10月で、花色は紫、ピンク、白。花茎を伸ばした先に小さな花が多数集まってドーム状に開花します。花が終わった後にそのまま残しておくと、晩秋にふんわりとした綿毛姿のシードヘッドを楽しむことも可能。よく枝分かれしてこんもりと茂ります。葉は基本的に先端が尖り、縁に粗い鋸歯があります。草丈は種によって異なり、40〜60cmほどの小型種から2m以上に達する大型種まで幅が広いので、購入する際はラベルなどで草丈を確認しておくとよいでしょう。
ユーパトリウムの名前の由来と花言葉

ユーパトリウムという名前は学名から。薬草としての効能を見つけたとされる小アジアのポントス王国の王ミトリダテス6世の姓「エウパトル(Eupator)」に由来します。ユーパトリウムは総称で、和名は種により異なりますが、代表的な種類であるヒヨドリバナやフジバカマの名がつけられていることが多いです。諸説ありますが、ヒヨドリバナはヒヨドリが山から下りてきて鳴く秋口に咲くことに、フジバカマは花が藤色で、花の形が袴に似ていることに由来するというのが定説です。
ユーパトリウムの花言葉は「思いやり」「ためらい」などです。
ユーパトリウムの種類

ユーパトリウムには種や園芸品種が多数ありますが、研究が進んでこれまでユーパトリウム属に分類されていたものが別の属に移されるなど、植物分類の見直しが行われています。ここでは、現在も慣例的にユーパトリウムとして国内で流通しているものを含めてご紹介します。
‘ピンクフロスト’

ユーパトリウム・フォーチュナイの園芸品種で、花色は淡いピンク。新葉は赤みがかかり、生育すると葉に不規則な斑が入るため、カラーリーフとしても楽しめます。草丈は100〜120cm。
‘チョコレート’

ユーパトリウム・ルゴサムの園芸品種とされていましたが、現在はアゲラティナ・アルティッシマの園芸品種に分類が変わっています。春から夏にかけてブロンズ色の葉で、カラーリーフとして重宝します。清楚な白い花も魅力です。
‘アイボリータワー’

ユーパトリウム・フィスツロサムの園芸品種。草丈が120〜200cmになる大型種で、茎がかたく丈夫で倒れにくいのが特徴です。比較的淡いグリーン葉と白い花のコンビが、庭に爽やかな雰囲気を演出してくれます。
コノクリニウム・コエレスティヌム

別名は西洋フジバカマ、または青色フジバカマ。ユーパトリウム・コエレスティヌムから、現在はコノクリニウム・コエレスティヌムに変更されました。一年草のアゲラタムによく似た青紫色や白の花を咲かせることから、宿根アゲラタムとも呼ばれます。アゲラタムの葉は丸みを帯びて茎に産毛があるのに対し、コノクリニウム・コエレスティヌムの葉は細長く先端が尖っているのが特徴です。草丈は50〜60cm。
‘グリーンフェザー’

ユーパトリウム・カピリリフォリウムの園芸品種。草丈が150〜200cmになる大型種で、羽根のように繊細な細い葉が密につくホウキのような株姿が特徴。その姿から、英名ではドッグフェンネルなどとも呼ばれます。涼しげなカラーリーフとして利用できるほか、秋に細かい白花を咲かせ、晩秋には紅葉します。
‘アトロプルプレウム’

ユーパトリウム・マクラツムの品種とされていましたが、現在は独立したユートロキウム・マクラツムの品種に分類されています。草丈150~200cmになる大型種で、葉が輪生する黒みのある茎をタワーのように立ち上げ、夏から秋に高い位置で紫ピンクの花を咲かせます。存在感がありますが、あまり横に広がらず扱いやすいのも魅力。開花後の花がらもグラス類などと相性がよいオーナメンタルな植物です。
フジバカマ

フジバカマは秋の七草にも数えられるほか、奈良時代に編纂された『万葉集』にも登場することから、古くから日本では身近に親しまれてきた植物であることが分かります。開花期は8〜9月で、花色は淡い紫、淡いピンク、白など。花径5mmほどの小さな花が多数集まって咲きます。草丈は60〜120cmで、葉は大きく3つに裂け、対生につくのが特徴です。園芸品種の中には葉がブロンズ色になるものもあります。アサギマダラの来る花としても知られています。

ヒヨドリバナ

ヒヨドリバナは日本全国、および朝鮮から中国に分布する日本の在来種。山道や野原などに見られ、古くから親しまれてきた多年草です。雌しべが飛び出した筒状花を、花茎の先にまとめて咲かせます。花色は通常白で、時に紫を帯びたものもあります。フジバカマと同様に、こちらもアサギマダラが訪花する植物として知られています。

さまざまな庭シーンに似合い初心者にもおすすめ

ユーパトリウムは暑さ寒さに強く、強健な性質で放任してもよく育つのでビギナーにもおすすめ。楚々とした花色・花姿はどんな草花とも調和しやすく、ナチュラルガーデンや和庭などに向いています。また、草丈が高くなる種類は年数を重ねると立派な株立ちになるため、庭のアイキャッチャーとして用いるのもよいでしょう。蝶が好む花なので、バタフライガーデンにも向きます。

ユーパトリウムの栽培12カ月カレンダー
開花時期:7〜10月
植え付け・植え替え:3~4月、10~12月
肥料:
ユーパトリウムの栽培環境

日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所を好みます。半日陰でも生育しますが、日照が不足すると花付きが悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が乱れたりするので注意しましょう。
【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。
【置き場所】土壌は選びませんが、根が浅く、生育中によく水を吸収するので、水切れに注意が必要です。
耐寒性・耐暑性
暑さや寒さに強く、放任してもよく育ちます。種類にもよりますが、耐寒温度はマイナス10~マイナス15℃で、多くの地域で特に防寒対策をしなくても冬越しします。
ユーパトリウムの育て方のポイント
用土

【地植え】
丈夫な性質で土壌を選びませんが、植え付ける1〜2週間前に、腐葉土や堆肥などの有機質資材、緩効性肥料を投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておきます。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根の生育がよくなります。
【鉢植え】
草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。
水やり

株が蒸れるのを防ぐために株全体にかけるのではなく、株元の土を狙って与えてください。
真夏は、気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がって株が弱ってしまうので、夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。
また、真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。
【地植え】
根づくまでは水やりしますが、その後はほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続いて乾燥し、茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、多湿にすると株が弱るので、水の与えすぎには注意。土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。成長期を迎えてぐんぐん茎葉を広げ出すと、水を欲しがるようになります。気候や株の状態に適した水やりを心がけましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。休眠後もカラカラに乾くことのないように、頻度を抑えて水やりを続けましょう。
肥料

【地植え】
植え付け時に元肥として緩効性肥料を施してあれば、追肥は不要です。ただし、株に勢いがないようであれば、液肥を与えて様子を見ましょう。
【鉢植え】
植え付け時に元肥として緩効性肥料を施します。生育期に株に勢いがないようであれば液肥を与えて様子を見ましょう。開花が終わった頃に、緩効性肥料を与えます。
注意する病害虫

【病気】
病気の心配はほとんどありませんが、うどんこ病を発症することがあります。
うどんこ病は、カビによる伝染性の病気で、葉やつぼみの表面が白く粉を吹いたような状態になります。放置するとどんどん広がって光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、かかりやすいので注意。病害部は摘み取って処分し、適用のある殺菌剤を散布して、蔓延するのを防ぎましょう。
【害虫】
発生しやすい害虫は、アブラムシです。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。
ユーパトリウムの詳しい育て方
苗の選び方
苗を購入する際は、節間が短くがっしりと締まって勢いがあるものを選びましょう。
植え付け・植え替え

ユーパトリウムの植え付けや植え替えの適期は3~4月、10〜12月です。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも1回り大きな穴を掘って植え付けます。苗が複数の場合は、サイズに合わせて十分に間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。
数年は植えたままにしてもかまいません。しかし大株に育って窮屈そうに見えたら、地上部を枯らして休眠した頃に掘り上げて株分けし、植え直すとよいでしょう。
【鉢植え】
7〜8号鉢を準備しましょう。
底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れます。苗を鉢に仮置きし、高さを決めてから植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。
成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、毎年植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して根鉢を軽くくずし、新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、前よりも大きな鉢を準備し、根鉢をくずさずに植え替えてください。
日常の管理

【花がら摘み】
終わった花はまめに取り除きましょう。花がらを除去し、株まわりを清潔に保つことが病害虫の抑制につながります。また、いつまでも花がらを残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして、長く咲き続けてくれます。
ただし、シードヘッドを楽しみたい場合は、花がらを切らずにそのまま残します。
剪定・切り戻し

ユーパトリウムが旺盛に生育する晩春から初夏にかけて、草姿が乱れてきたら切り戻します。草丈の1/2〜1/3を目安に切り詰めましょう。切り戻しをしなくても開花しますが、切り戻すことで草丈が抑えられ、分枝して花数が多くなるメリットもあります。ただし、切り戻しが遅れると開花に影響することがあります。
冬には地上部が枯れるため、根元付近で剪定して整理しましょう。
冬越し

ユーパトリウムは秋が深まると地上部を枯らして休眠するので、地際で刈り取っておきましょう。枯れた茎葉をそのまま残しておくと病害虫の越冬地となってしまうので、株まわりをきれいにしておきます。
寒さが厳しく冬に凍結する地域では、表土をバークチップなどでマルチングするとよいでしょう。鉢植えの場合は凍結しない場所に移動しておきます。
増やし方

ユーパトリウムは株分け、挿し芽で増やすことができます。
【株分け】
ユーパトリウムの株分け適期は、休眠期の3~4月10~12月です。株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りをはかります。株を掘り上げて数芽ずつ付けて根を切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、同じ姿の株が増えていくというわけです。
【挿し芽】
挿し芽とは、茎葉を切り取って土に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し芽ができないものもありますが、ユーパトリウムは挿し芽で増やすことができます。
挿し芽の適期は、5〜6月です。新しく伸びた茎葉を切り口が斜めになるように切り取ります。採取した茎葉(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を取ります。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。発根後は日当たり・風通しのよい場所に移動し、十分に育ったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。
ユーパトリウムが増えすぎたときはどうする?

ユーパトリウムは、地下茎で広がり、またこぼれ種でも増える強健な性質を持っています。「まさかこんなところから芽を出すなんて!?」と驚くことも。生命力が強く、庭のあちこちから芽を出して他の草花との調和を乱してしまうこともあります。あまりに増えすぎるようであれば、適宜間引いて調整しましょう。引き抜いて整理しやすいので、手に負えないほど広がる心配はあまりありません。地植えにする場合は、あらかじめ仕切りなどを埋め込んでおくのも一案です。
丈夫で可憐なユーパトリウムの栽培を楽しもう

耐寒性に優れ、夏の高温多湿にも耐えるうえに病害虫にも強いユーパトリウム。長生きする多年草で、年数を経て大株に育つと見応えがあります。晩秋にはふんわりとしたシードヘッドを楽しめるユーパトリウムを、ぜひ庭に取り入れてみてください。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中! 2026年10月5日発売の書籍第3弾『小さな空間を生かす立体ガーデニング 玄関から始める花のある暮らし』(発行/KADOKAWA)発売中!
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