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宿根草ショップの店長が提案! 秋のナチュラルガーデンを演出する“こだわり”の宿根草
植えっぱなしで何年も育ち、庭に彩りを与える植物、宿根草(しゅっこんそう)。多種ある中でも、自然風で落ち着いた雰囲気を秋に発揮する、育てやすくて美しい5種をご紹介します。セレクトは、宿根草を数多く扱いガーデニング愛好家に支持されるショップ「おぎはら植物園」店長の荻原範雄さん。こだわりの庭づくりをする自宅ガーデナーさんにぜひ植えてほしい5種と、それぞれの魅力や特徴を解説していただきます。
目次
渋さの中に美しさを見いだす「秋の宿根草ガーデン」
暑い夏にも鮮やかに咲いていた宿根草も、秋風が吹く頃になると、だんだん落ち着きを見せて、次第に渋みを増していきます。色が寂しくなる秋以降の庭に、シックでおしゃれな季節の風情を演出してくれるのも宿根草の魅力です。
秋の光を受ける草花たちの静かな色合いは、くつろぎと癒しを与えてくれます。そんな穏やかな庭をゆっくりと観賞しながら、読書をしたり、ティータイムを楽しんだり……。
ナチュラルな雰囲気が楽しめる宿根草を取り入れた庭にすると、秋も見どころが多く、ハイレベルなガーデンへとステップアップできます。
『宿根草ショップの店長が教える! 秋を知らせるオススメの宿根草』では、定番の秋の宿根草をご紹介しましたが、ここでは、こだわりのある自宅ガーデナーさんにぜひとも植えていただきたい、秋の庭を美しく演出する宿根草を5種ピックアップしてご紹介します。
秋に似合う、柔らかな黄色の花
ソリダゴ
ソリダゴといえば、日本中に生える外来雑草の「セイタカアワダチソウ」があまりにも有名なため、この仲間は嫌われているかもしれません。ですが、ソリダゴは世界中に膨大な種類があり、ヨーロッパ、アメリカなどガーデニングの盛んな国ではソリダゴに対する嫌悪感はもちろんなく、古くから親しまれています。秋の花壇には欠かせないソリダゴは、切り花としても流通量が多く、とてもポピュラーな花です。
もちろん園芸種は、外来雑草のように、種子が飛んで広範囲に広がったりすることは、ほぼありませんのでご心配なく。なんといっても、ソリダゴのボリュームある黄色の花は、渋い秋色の庭で一段と輝いて活躍してくれることでしょう。周囲の落ち着いた枯れ色と、鮮やかな黄色がダイナミックにコントラストを見せて、何ともおしゃれです。
右にイトススキの茂みが丈高く、左に低く群れ咲くのがソリダゴ・ルゴサです。初夏頃に切り戻しておくと写真のように低く咲かせることもできます
秋の庭の隠れた主役
ガーデン・グラス(秋咲き種)
ガーデン・グラスはプロのガーデナーさんを中心に、そのナチュラルな美しさに人気が出ています。もともと日本にはススキをはじめ、多くのグラスが自生しています。あまりに見慣れているためか、ありがたみがない気もしますが、海外、特にアメリカ、ヨーロッパでは定番的な人気があり、最近ではアジア圏でも人気が高まっています。
海外からいらっしゃるお客様は、野原に生える「日本のグラス」を美しいと言われるぐらいです。グラスの意味は「草」、これらをただの草と見るか、ハイセンスなオーナメンタルプランツと見るかは、その人次第なのかもしれません。
アメリカなどで見られるグラスだけで構成されるガーデン、これを日本で作れば雑草畑と勘違いされてしまうかも? なんて敬遠するのはもったいない。まずは、美しさが分かりやすい種類から、花ものと組み合わせて植えてみてはいかがでしょうか? きっとその美しさを再認識できることでしょう。
雄大な姿に自然の美を感じる
サラシナショウマ
日本の野山にも自生するサラシナショウマ。夏の終わり頃から秋にかけて、白い花穂をたくさん咲かせます。淡い香りを漂わせる美しい花は蝶も好み、盛んに訪れます。
背が高くなって咲き誇る雄大な草姿は、自然味があり、秋の景色に映えて、実に美しいものです。海外での人気も高く、多くの品種が作出されています。
サラシナショウマは半日陰で、少し湿った場所でよく育ちます。暑さを嫌うので、夏に風通しのよい場所で育てるとよいでしょう。例えば、ギボウシなど半日陰向きの植物と一緒に植栽すると、しっとりとした日陰の風情が楽しめます。
秋の庭の名脇役
バーベナ
バーベナといえば、一般的な這性種が寄せ植えや花壇に利用されていますが、野趣に富んだ原種系のバーベナ・ボナリエンシスやバーベナ‘バンプトン’も、また違ったよさがあり、秋の庭の演出に役立ってくれます。
ここでご紹介する種類は、越冬して毎年楽しめるだけでなく、種子が自然に飛んで、あちこちから顔を出してくれるタイプです。春の後半から夏がメインの花ではありますが、花期が長くて秋も咲き続け、季節が進むと次第に色が濃くなって、春夏とは違った表情を見せてくれます。また、他の草花の隙間からも咲いてきてナチュラルに調和し、秋の庭を彩ってくれます。
バーベナ・ボナリエンシスを中心に、宿根センニチコウ‘ファイヤーワークス’が濃いピンクの花を咲かせて明るいアクセントとなっています。ペニセタム‘テールフェザーズ’などが風に揺れる秋花壇を背景に。
左手前にちらちらと紫の小花が群れ咲くバーベナ‘バンプトン’、奥には赤い穂を立ち上げるペルシカリア‘ファット・ドミノ’がアクセントに。右には、ススキ‘パープルフォール’、奥にはシックな紫の葉を伸ばすスモークツリー‘ベルベットクローク’など、秋のガーデンも写真のようにカラーコーディネイトが楽しめます。
秋が深まるほど花色も冴える
アキチョウジ
まだ暑さの残る初秋から開花するアキチョウジは、秋の深まりとともに色を鮮やかに変えます。青い花色は、日中と朝晩の寒暖差が大きくなるほど色が濃くなりますが、このアキチョウジはまさに、暑い時期から肌寒い時期まで咲くので、その変化が分かりやすい花でもあります。だんだん変わる季節の巡りを楽しんでみてはいかがでしょうか。
晩秋、花色が最も濃くなる頃、半日陰で咲くこの花は、まるで蛍光色のように鮮やかに目に映り、実に美しいものです。
その名は、秋に咲く花が「丁」の字に似ていることに由来するそうです。園芸用として流通しているものは、野山の原種より色が濃く、花つきもよい品種です。青花の他に紫やピンク、白花もあり、近縁種のヒキオコシには赤や黒花もあります。
ご紹介のように、秋だからこそ美しく見応えがある宿根草が、きっとあなたの庭の景色を変えてくれるでしょう。これまで知らなかった新しい植物を1種、2種と取り入れて、個性的なガーデンづくりにぜひ役立ててください。
撮影協力:軽井沢レイクガーデン(*)
Credit
写真&文 / 荻原範雄 - 「おぎはら植物園」店長 -
おぎはら・のりお/長野県上田市にある宿根草と山野草を扱う植物専門店「おぎはら植物園」の店長。1979年から植物の栽培と販売をスタートさせた「おぎはら植物園」では、現在、取り扱う宿根草と山野草は4千種を超える。全国に苗生産者のネットワークを持ち、海外からの新品種の導入なども積極的に行う。近著に『咲かせたい!四季の宿根草で庭づくり』『決定版 カラーリーフ図鑑』(ともに講談社)。
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