天気のいい日に楽しい愛犬との散歩。しかし、いつもの公園や芝生広場に、犬の肉球を脅かす「危険な植物」が潜んでいるのをご存じですか?
その名は「メリケントキンソウ」。一見ただの小さな雑草ですが、5〜6月になるとまるで画鋲のような鋭く硬いトゲをつけ、愛犬の足裏に突き刺さるという被害が発生しています。
今回は、ハーバルセラピストの資格を持ち、ペットのための自然療法を学ぶ海野美規さんが、メリケントキンソウの危険な時期や見分け方、愛犬がトゲを踏んでしまったときのサインを解説。さらに、お散歩後に愛犬の足を守る「手作り肉球クリーム」のレシピもご紹介します。大切な家族をケガから守るために、ぜひチェックしてください。
目次
春から初夏の“チクチク”「メリケントキンソウ」に要注意

「メリケントキンソウが群生しているから、あんちゃんも気をつけて!」
先日、朝の犬の散歩中、顔なじみの方が教えてくれました。
愛犬あんの散歩コースである駿府城公園の家康公像前。かつては美しい芝生が広がっていた場所ですが、最近では少しずつ雑草が増え、初夏からは手入れが追いつかないほど草木が伸びるエリアでもあります。
そこに潜んでいたのが、外来種「メリケントキンソウ」という小さな脅威。
この植物が厄介なのは、その鋭いトゲです。芝生に紛れてひっそりと広がっているため、散歩中に気づくのは至難の業。多くの犬たちが足を止める憩いの広場だからこそ、飼い主である私たちがしっかり知識を持って守ってあげなければなりません。
「小さな草だから大丈夫」と油断しがちですが、散歩中はいつも愛犬の足元に意識を向けて、慎重に歩くように心がけています。
と言っても、あんは私の心配をよそに、どんどん草むらに入ってしまうんですけれど……。
メリケントキンソウの危険性

メリケントキンソウは、南米原産のキク科の一年生雑草です。公園やグラウンドの芝生など、私たちが何気なく歩く場所にひっそりと根を張っています。
この植物の最大の特徴であり、注意すべき点は、4~6月に形成される「果実」です。4〜6mmの小さな種子には、驚くほど鋭いトゲが備わっています。5~7月にかけて枯れますが、その頃にもトゲは茶色く硬化して残ります。靴底やタイヤに付着して遠くまで運ばれるため、年々生息域を広げているそうです。

幸いにも植物自体に毒性はないのですが、足裏へのダメージは無視できません。
犬の柔らかい肉球は、まるで「画鋲」を直接踏んでいるような痛みを感じているはず。一度刺さると激しい痛みで足をかばうようになり、また傷口から細菌が入って炎症を引き起こすこともあります。犬だけでなく人間も、芝生に手をついたり、裸足で歩くことにより刺さる恐れがあるので、十分気を付けましょう。
愛犬からのSOSサイン
散歩中に愛犬のこんな様子が見られたら、足裏をすぐにチェックしてみましょう。
- 急に足を上げる、急に座り込む。
- 特定の場所を歩くのを極端に嫌がる。
- 足を執拗に舐める、気にしている。
ペットを守るためのチェック&ケア
「メリケントキンソウが散歩コースに生えていないかな?」と心配な方は、ぜひお住まいの自治体ホームページをご確認ください。メリケントキンソウの生息状況や、注意喚起が出ている場所を公開している地域も増えています。
そして散歩の後は、いつもより念入りに足裏、肉球、肉球の間、爪などをチェックしましょう。シニア犬は痛みにも少し鈍くなっていることがあります。トゲが刺さっていても、痛がらないこともあるかもしれません。散歩の後には、異常がないか飼い主が確認することが大切です。
手作り肉球クリームで毎日のケアを習慣に

日頃から肉球を健やかに保ち、小さな異変にすぐ気づくためには、毎日の「肉球ケア」を習慣にするのがおすすめ。散歩の後は、肉球クリームで整えながらチェックするとより安心です。
愛犬の足を守るために、肉球クリームを手作りしてみませんか?
手作りの肉球クリームには、「保湿(保護)」と「殺菌・治癒促進」の両面を考慮したハーブを活用するのもいいですね。オイルにハーブの成分を移した「インフューズドオイル」を活用して、肉球をザラつかせず滑らかに仕上げましょう。

<材料>

- キャリアオイル(今回はホホバオイル) 20ml
- カレンデュラ(ドライハーブ) 適量
- ラベンダー(ドライハーブ) 適量
- ミツロウ 2〜3g
<作り方>

1. まずはインフューズドオイルを作ります。
蓋の閉まる瓶に、キャリアオイルとドライハーブを入れて、1週間から10日ほどおきます。

2. オイルに抽出できたら、キッチンペーパーや茶こしなどでハーブを濾し、取り除きます。

3. 耐熱ビーカーにインフューズドオイルとミツロウを入れて、湯煎で溶かします。


4. 溶けたら容器に移し、冷えて固まるまで待ちます。

手作り肉球クリームの完成です。
※材料は、犬が舐めても安全な素材を使ってください。
※まずはパッチテストをして、最初はごく少量からお試しください。
すぐに使いたい場合やすぐに成分を移したい場合は、温浸法(湯煎で短時間で抽出)でインフューズドオイルを作る方法もあります。
【温浸法でのインフューズドオイルの作り方】
- 耐熱性のガラスボウル(または密閉瓶)にハーブとオイルを入れます。
- 鍋にお湯を張り、ボウルを入れて約60~80度の状態で30分~1時間ほど湯煎します。
- ときどき軽く混ぜ合わせながら、ハーブの成分をオイルに浸出させます(※温度が高すぎると成分が飛んでしまうため注意)。
- 火を止め、常温まで冷ましてからガーゼなどでこし、遮光瓶に移します。
お肌のガードマン・カレンデュラ

今回肉球クリームに使ったカレンデュラは、薬用として中世から使われてきたハーブ。皮膚の疾患やすり傷など、主に外用で用いられていたとのことで、今でも虫刺されや湿疹などの皮膚の炎症やちょっとした外傷を治すのに、浸剤や軟膏などが利用されることもあります。
カレンデュラはキク科の植物です。体質によっては、稀にアレルギー反応が出る場合があります。もし皮膚の赤みや腫れが見られる場合は、まずは獣医師に相談し、炎症が治まってからのケアとして取り入れましょう。
足元のスキンシップ

じつは先日、愛犬のあんの足裏に小さな赤い腫れを見つけました。「もしやメリケントキンソウ?」と焦りましたが、すぐに病院で診てもらい、大きなトラブルではないと分かり一安心。あらためて、日々の小さな変化に気付くことが大切だと実感しました。
そして、散歩後の肉球チェックや、手作りクリームでのケアは、単なるお手入れ以上の意味もあります。
それは、「あん、今日も元気に歩けたね」と伝えるコミュニケーション。「明日も元気にお散歩に行こうね」という準備の時間でもあります。

季節の小さな不安は、観察と丁寧なケアで乗り越えたいですね。みなさんもぜひ、愛犬との散歩の後には、肉球を優しく撫でてあげる時間を大切にしてください。
参照:「犬と猫のためのメディカルハーブガイド」金田俊介(著)
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / 海野美規 - フラワー&フォトスタイリスト -

うんの・みき/フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
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