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観葉植物好きなら、ミニ盆栽もきっと好きになる|初心者向けの始め方・育て方

観葉植物好きなら、ミニ盆栽もきっと好きになる|初心者向けの始め方・育て方

観葉植物好きにこそ知ってほしい、小さな盆栽「ミニ盆栽」の魅力。その楽しみ方や初心者向けの育て方、おすすめ樹種を、東京・南青山「小池盆栽店」の小池誠宏さんへのインタビューを交えながらご紹介します。観葉植物感覚で楽しめるミニ盆栽。新しい植物趣味の入り口をのぞいてみませんか。

観葉植物好きなら、盆栽もきっと好きになる

楓

盆栽は現代の暮らしにもよく似合う

「盆栽」と聞くと、和室の床の間に飾られた松の木や、年配の愛好家がじっくり育てる趣味を思い浮かべる人も多いかもしれません。
しかし現在、そんなイメージは少しずつ変わりつつあります。
近年では、カフェやセレクトショップ、アパレルショップなどでも、小ぶりの盆栽(以下ミニ盆栽)がディスプレイされているのを目にする機会が増え、自宅でもかわいいミニ盆栽を飾ろうと、幅広い世代から注目を浴びています。

自宅に盆栽

ミニ盆栽は、和の空間だけでなく、シンプルなインテリアやモダンな住まいにも自然と溶け込み、その姿は、観葉植物や塊根植物、多肉植物を楽しむ感覚ともどこか共通しています。
樹形を眺め、季節ごとの変化を楽しむ。
その時間そのものが、盆栽の大きな魅力です。

「盆栽は難しそう」「自分には敷居が高い」と感じていた方も、まずは手のひらに乗るようなミニ盆栽から、その世界をのぞいてみませんか?
観葉植物が好きな人なら、盆栽の魅力にもきっと惹かれるはずです。

てのひら

そもそも「盆栽」とは?

盆栽が表現する「侘び寂び」

盆栽は、木を小さく育てるもの。
そんなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、盆栽の本質は、そんなに単純なものではありません。

盆栽とは、自然の風景や樹木の美しさを1鉢の中に表現する文化です。
山の尾根で風雪に耐えてきた1本の木。崖のうえで枝を大きく広げる木。渓流沿いを鮮やかな紅葉で彩る木。昇仙峡

自然の中にある木々の姿を観察し、その情景を鉢の中に映し出していく。
そして樹木が持つ生命力や年月を感じさせる佇まいを、針金や剪定といった技術を用いながら、限られた空間の中でどう表現するか・・・それが盆栽の醍醐味です。
そこには、日本人が古くから大切にしてきた「侘び寂び」の美意識が息づいています。

黒松

盆栽は、千年以上受け継がれてきた園芸文化

盆栽のルーツは、中国で生まれた「盆景(ぼんけい)」にあるといわれています。
盆景は、浅い器に樹木や石、苔、水の流れなどを配置し、縮小して再現した自然の山水風景を鑑賞する文化で、それが平安時代に日本へ伝わり、独自の美意識や自然観と結び付くことで、現在の盆栽文化へと発展していきました。

盆景
米国の資産家が保有する盆景。主木(しゅぼく)の樹齢は約80年という。
Photo courtesy of Jamie Kobayashi(Robertson Mikado Trade Inc. San Francisco)

室町時代には武士や僧侶の間で親しまれ、江戸時代になると園芸文化の広がりとともに庶民にも普及。
明治時代以降は海外でも高く評価されるようになり、今では「BONSAI」という言葉が世界共通語として通じるほど、多くの人に親しまれています。

だから今、海外でも“BONSAI”として人気がある

日本で育まれた盆栽文化は、今や国境を越え、世界中で親しまれています。
「BONSAI」は、日本の伝統文化としてだけでなく、インテリアグリーンやライフスタイルのひとつとして楽しまれています。

実際にヨーロッパの園芸店やフラワーショップでは、盆栽が観葉植物と並んで販売されている光景も珍しくありません。

Avalon Plants

上の写真は、アムステルダム(オランダ)の園芸店「Avalon Plants」で販売されている盆栽の様子。
そこに並ぶ姿からも、盆栽が特別なものではなく、日々の暮らしを彩る植物として親しまれていることが伝わってきます。
Avalon Plantsでは月例盆栽ワークショップも行われているそうで、毎回大賑わいとのこと。

また、近年は若い世代からの支持も広がっています。
その背景にあるのが、InstagramをはじめとするSNSの存在です。
Instagramで「#bonsai」を検索すると、投稿数は約474万件!
世界中の愛好家が、自慢の1鉢の映え写真や、育成の様子などを日々発信しています。

ハッシュタグ

こうした発信をきっかけに、盆栽は「仰々しい」「難しそう」という従来のイメージは変わりつつあります。
今では世界中の植物好きが、「育てながら景観を楽しむ植物」としてBONSAIの魅力に触れているのです。

観葉植物のように楽しむという、新しい入口

盆栽が世界的にブームということは分かりましたが、さて、私たち観葉植物愛好家たちが、盆栽を楽しむにはどうすればよいでしょうか?
そこで今回は、東京・南青山で「小池盆栽店」を営む小池誠宏さんにお話をうかがいました。
実は小池さんも、もともとは観葉植物を趣味としていた1人。
観葉植物の魅力を知っているからこそ見えてきた、盆栽ならではの面白さや楽しみ方について語っていただきました。

小池さん
小池盆栽店代表取締役の小池誠宏さん

そもそも、観葉植物と盆栽は、何が違う?

観葉植物と盆栽は、どちらも植物を育てて楽しむという点では共通しています。
しかし、その楽しみ方には大きな違いがあります。
観葉植物は、美しい葉や個性的な樹形を楽しむことが中心です。
一方、盆栽は葉だけでなく、幹の太さや曲がり方、枝の伸び方、さらには土の上に現れた根までもが鑑賞の対象になります。

根も、幹も、枝も作品になる

根張り

盆栽の世界では、幹元から四方へ美しく広がる根の姿を「根張り(ねばり)」と呼びます。
大地にしっかりと根を下ろした大木を思わせる根張りは、樹齢を重ねた風格や生命力を表現する、盆栽に欠かせない見どころのひとつです。
幹の太さや曲がり方、枝の伸び方、葉の付き方まで、そのすべてが1鉢の表情をつくる大切な要素です。

ワイヤーがけ

さらに盆栽では、剪定によって枝数を調整するなどして理想の樹形へと少しずつ育てていきます。
このように葉だけではなく、根、幹、枝、それらが織りなす完成度の高い樹形を楽しめることが、観葉植物とはまた違う盆栽ならではの魅力です。

成長を楽しむ観葉植物、作り込んでいく盆栽

園芸店で販売されている観葉植物は、インテリアとして楽しめるよう、美しく仕立てられた状態で店頭に並んでいることがほとんどです。
そして購入後は、育てながらその成長を楽しみますが、年間を通して劇的な変化を見せるものではありません。

一方で盆栽は、春の芽吹きや秋の紅葉、そして冬の落葉(落葉樹の場合)と、季節ごとの変化を楽しみながら、その中で手を加え、少しずつ自分だけのオリジナルな1鉢へと育てていくものです。

同じ樹種でも、一年後、三年後、十年後、育てる人によってその姿は大きく変わります。
そして、育てた時間そのものが1鉢の価値となり、その木だけのSTORYになっていくのです。

小池さん

まずは「好きな1鉢」を迎えればいい

こうして述べると、けっこうハードル高くない? 観葉植物を育ててきた自分には無理じゃない? と思うかもしれません。
確かに、盆栽は樹木。基本的に屋外で育てる植物なので、観葉植物とは栽培の考え方が違う部分もあります。
しかし、観賞という観点では、扱いやすいミニ盆栽であれば、1〜2週間ほど室内に飾って楽しみ、その後しばらく屋外で管理するというように、暮らしの中で移動させながら楽しむこともできます。

入れ替え

大きな盆栽では、外↔︎部屋の出し入れだけでも大変ですし、何よりも移動のたびに枝折れなどの心配も伴いますからね。
ミニ盆栽のそんな取り回しのよさこそが、観葉植物を楽しんできた方におすすめしたい最大のポイントなのです。

もちろん、管理にはいくつかのポイントがあります。
詳しい育て方は後ほど紹介しますが、基本的には難しく考えすぎなくても大丈夫!

まずは「好きな1鉢」を迎えればいい。

かがやき

観葉植物を選ぶとき、「育てやすいから」という理由だけではなく、「この植物、かっこいい」「この樹形が好き」と、直感で手に取った経験がある方も多いのではないでしょうか。
盆栽も、それでいいのです。
最初は余計なことを考えず、自分のインスピレーションで『好きな1鉢』を選んでください。

知識や技術は、その1鉢と過ごす時間の中で少しずつ身についていきます。
まずは心惹かれる盆栽を迎えること。
それが、盆栽の世界へのいちばん自然な入り口なのです。

最初の1鉢は、どんな盆栽がおすすめ?

小池さんおすすめの初めて迎えたいミニ盆栽8選

小池盆栽店の盆栽はすべて創業150年を誇る老舗盆栽園「深谷根岸園」によるもの。
直営店なればこそ、最高品質の盆栽をお手頃価格で購入できます。
※販売は南青山の実店舗のみとなります。

⚠️取材当時(2026年6月)の樹勢及び価格です。在庫は直接店舗にDMでお問い合わせください。

苔玉紅しだん:樹齢約8年

苔玉紅しだん
樹高(受け皿含む):19cm 最大広がり幅:14cm 価格:4,950円(税込)

コロンとした丸い苔玉に、樹齢約8年を数える紅紫檀(ベニシタン)の月日がぎゅっと詰まった「苔玉紅しだん」。足元の白い玉石が爽やかさを添え、昨今の暑い季節に一服の清涼感を与えてくれます。モダンなインテリアにもしっくり馴染み、コンパクトながらも確かな見ごたえがあります。

苔玉紅しだん
苔玉紅しだん

紅葉(モミジ) :樹齢約8年

紅葉(モミジ) 
樹高(鉢含む):25cm 最大広がり幅:25cm 価格:6,160円(税込)

小さな森林を思わせる、すっと伸びた幹立ちが印象的な「紅葉(モミジ)」。鮮やかな青い鉢と瑞々しい青葉のコントラストが洗練された空間を演出し、洋室・和室を問わず心地よく馴染みます。樹齢約8年が醸し出す自然の情景が、日々の暮らしに爽やかな風と季節の移ろいを運んでくれます。

紅葉
紅葉
秋は燃えるような紅葉を眺めながら一献🍶。

紫杜松(ムラサキトショウ):樹齢約12年

紫杜松(ムラサキトショウ)
樹高(鉢含む):26cm 最大広がり幅:14cm 価格:9,350円(税込)

樹齢約12年が育んだ力強い幹のくびれと、密度高く仕上がった葉姿が圧巻の「紫杜松」。温かみのある焼き物の鉢と調和し、どこかほっとする素朴さと格調高さを兼ね備えています。日常の空間にひとつ置くだけで、本格的な盆栽の奥深い魅力をじんわりと感じさせてくれる1鉢です。

紫杜松(ムラサキトショウ)
裏側から。
紫杜松(ムラサキトショウ)

欅(ケヤキ):樹齢約25年

欅(ケヤキ)
樹高(鉢含む):22cm 最大広がり幅:19.5cm 価格:11,000円(税込)

樹齢約25年という歳月が生み出す、圧倒的な葉の密度と美しい樹形が魅力の「欅」。伝統的な柄が描かれた染付の鉢が、青々とした葉の美しさをさらに引き立て、品格のある佇まいを演出します。小さな鉢の中に豊かな大樹の面影が広がります。

欅(ケヤキ)
欅(ケヤキ)

岩シデ:樹齢約18年

岩シデ
樹高(鉢含む):38cm 最大広がり幅:40cm 価格:11,000円(税込)

樹齢約18年という歳月が刻まれた、味わい深い幹の質感が目を引く「岩シデ」。川の流れのように湾曲した白い幹肌と、しなやかに広がる枝ぶりが織りなす姿は、まるで絵画のような美しさです。コンパクトなサイズ感ながら、本格的な盆栽の風格を楽しませてくれます。

岩シデ
岩シデ

真柏(シンパク):樹齢約18年

真柏(シンパク)
樹高(鉢含む):30cm 最大広がり幅:24cm 価格:16,500円(税込)

樹齢約18年が創り出す、古色蒼然とした幹の質感と、緻密に茂る葉姿が圧巻の「真柏」。自然の厳しい環境を生き抜いた歴史を感じさせる力強い佇まいは、洋室・和室を問わず、空間に格調高い和の深みをもたらします。コンパクトなサイズながら確かな存在感を放つ1鉢です。

真柏(シンパク)
真柏(シンパク)

この株の最大の見どころは、幹にある「舎利(シャリ)」と呼ばれる傷です(写真上)。これは、樹木が厳しい自然環境に耐える中で、幹や枝の1部が枯れ、樹皮が剥がれて白骨化した姿を人の手で再現したもの。何年も先を見据えて意図的に施すこの技は、まさに職人芸の極致です。

真柏(シンパク):樹齢約20年

真柏(シンパク)
樹高(受け皿含む):20cm 最大広がり幅:20cm 価格:18,700円(税込)

樹齢約20年の歳月を、わずか20cmの樹姿に凝縮した「真柏」。風格ある幹と緻密に茂る葉が織りなす姿には、侘び寂びの美が息づいています。小さな1鉢でありながら、その存在感は格別。飾るだけで、空間に深い情緒と安らぎを添えてくれます。

真柏(シンパク)
真柏(シンパク)

五葉松(ゴヨウマツ)ハート:樹齢約15年

五葉松(ゴヨウマツ)ハート
樹高(鉢含む):18cm 最大広がり幅:14.5cm 価格:17,600円(税込)

コロンとした黒い丸鉢から伸びる幹が、愛らしいハートを描く「五葉松(ゴヨウマツ)ハート」。樹齢約15年をかけ、職人が遊び心を込めて仕立てた1鉢です。伝統ある五葉松の気品と、ハート型の可愛らしさが絶妙に調和し、空間に和やかな彩りを添えてくれます。大切な人への贈り物や、自分へのご褒美にもおすすめです。

五葉松(ゴヨウマツ)ハート
五葉松(ゴヨウマツ)ハート
hatena

実用編|初めてのミニ盆栽。初心者は何から始めればいい?

まずは購入。ミニ盆栽はどこで買える?

ミニ盆栽は、小池盆栽店のような専門店をはじめ、大手園芸店やホームセンターの園芸コーナー、街の園芸店などでも購入できます。お手頃価格で販売されていますが、樹種は少ない印象です。

その点、盆栽専門店は樹種の種類が豊富で、専門店ならではの確かな品質の高さを感じられます。
価格はホームセンターほどリーズナブルではありませんが、5,000円台、6,000円台と、1万円を切る商品も豊富で、初心者でも予算に合わせて選びやすいのが魅力です。

小池盆栽店

近くに盆栽専門店があるか分からない場合は、「盆栽 販売 東京」「盆栽 販売 大阪」など、お住まいの地域名を入れて検索してみましょう。
意外と身近な場所に盆栽園などの専門店が見つかるかもしれません。
おすすめは、実際にお店へ足を運び、自分の目で樹形や幹の表情、全体の雰囲気を見ながら選ぶこと。
同じ樹種でも、1鉢ごとに個性が異なるのが盆栽の魅力だからです。目視

もちろん、ネット通販でも購入できます。
現在はフリマアプリでも気軽に盆栽を購入できますが、オンラインで選ぶ場合は、盆栽園や盆栽専門店が運営するECショップが個人的にはおすすめです。
樹種ごとの特徴や管理方法について相談できる場合も多く、購入後の安心感にもつながります。

まず知っておきたい、盆栽の基本

置き場所と日当たり

sunshine

盆栽は、基本的に屋外で育てる植物です。風や雨、太陽の光といった自然環境の中で管理することで、健康に育ちます。
一方で、ミニ盆栽であれば、若木は基本的に順応性も高いので、数日から1〜2週間ほど室内に飾って楽しむこともできます。
室内では、日中明るく風通しのよい場所で管理しましょう。
さらに、植物育成LEDライトやサーキュレーターを併用して、少しでも屋外の環境に近づけてあげることで、より健全に育ちやすくなります。

室内盆栽
植物育成LEDライトをディスプレイ照明代わりにすれば、鑑賞・育成補助の一石二鳥を担うことができるのでおすすめ。また、空いたフレームなどを背後に据えると、盆栽が立体的な絵画のように映える!
写真のライトは、Brimの「FLORA」
黒松
松の盆栽は、屋外から窓越しに見ると、なにやらただならぬ気品を感じさせる。

こうして、リビングや玄関、書斎などで季節の表情を楽しんだあとは、再び屋外へ戻し、しっかりと日光や風に当ててあげましょう。

1週間屋内で過ごしたらその後2週間は屋外で、2週間屋内で過ごしたら3週間は屋外で、という感じで、屋外での比率を多くしてあげてください。

屋外では、日当たり風通しのよい場所が基本です。
ただ、昨今の夏は「酷暑日🥵」という新たな基準が設けられるほど猛烈な暑さが続くことも多いため、樹種によって耐暑性が異なるミニ盆栽は、鉢内の過度な温度上昇と葉焼けを避けるためにも、7〜8月は遮光ネットなどを利用して、強烈な日差しを和らげてあげると安心です。
遮光ネット特にモミジなどの落葉樹は、葉焼を起こすと綺麗な紅葉が出ない場合があります。

ミニ盆栽は、購入時に育て方を確認し、それぞれの性質に合った環境で管理するようにしましょう。

水やり

水やり

盆栽の管理で最も大切なのが、水やりです。
鉢が小さいミニ盆栽は土の量が限られているため、一般的な鉢植えよりも乾きやすいという特徴があります。
そのため、土の状態を見ながら必要なタイミングで与えるとよいでしょう。

目安は、用土表面が常にびしゃびしゃなのはNGですが、常にうっすらと湿っている状態が理想的。
用土表面が苔に覆われている場合も同様です。

💦ウエット→セミドライ→💦ウエット→セミドライというサイクルを守るのがコツです。

水やりをするときは、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと与えましょう。
1度に少量だけ与えるのではなく、葉、枝、幹も潤し、そして鉢全体にしっかりと水をいき渡らせることが大切です。

日中は仕事などで家を空ける方も多いと思いますが、そんな場合は朝にしっかりと水を与え、帰宅後に土の乾き具合を確認する習慣を付けると安心です。
特に夏の猛暑日に屋外管理を行う場合は、夜間の涼しい時間帯にもう1度水やりが必要になることもあります。

用土の湿度を確認

水やりの頻度は、樹種や季節、天候によって大きく変わります。
春や秋は1日1回程度が目安になることもありますが、冬は数日に1回で十分な場合もあります。

「毎日水をあげる」のではなく、「毎日、土の状態を観察する」。
この意識を持つことが、盆栽を元気に育てる秘訣です。

「水やりは控えめに」という管理を当たり前のように行ってきた観葉植物愛好家にとってはここが最も戸惑うところ。
最初は「毎日様子を見るなんて大変そう」と感じるかもしれません。
しかし実際には、土の乾きを見極めながらたっぷりと水を与える、このひと手間が思いのほか楽しく感じられるものです。

楽しくなれば、水やりは「作業」ではなく、樹木と向き合う大切なコミュニケーションの時間になっていきます。😊

肥料

施肥

盆栽も、ほかの植物と同じように成長期には肥料を必要とします。
健康な葉や枝を育て、美しい樹形を維持するためにも、適切なタイミングで養分を補ってあげましょう。

一般的には、新芽が動き始める春から、生育が落ち着く秋頃までが施肥の目安です。
ただし、鉢内が高温になる真夏や、生育が停滞する冬は、根の負担を軽減するため基本的に肥料を控えます。

本格的な盆栽では、昔から「玉肥(たまごえ)」と呼ばれる有機肥料がよく使われています。
一方で、有機肥料は虫やニオイが気になることもあるため、室内でミニ盆栽を楽しむということを前提に考えると、扱いやすい緩効性のタブレット型化成肥料から始めるのもおすすめです。

エードボールCa
盆栽にも使える「エードボールCa」はおすすめ。
肥料ケース

タブレット肥料はそのまま鉢の縁付近に置いて使用しますが、上の写真のようにAmazonなどで販売している肥料ケースに入れて使う方法もおすすめ。
水やりの際に肥料が鉢の外へ流れ出るのを防ぎ、適切な位置に留まってゆっくりと溶け出すため、肥料が効果を発揮しやすくなります。

肥料は、多く与えればよいというものではありません。
盆栽は大きく育てることが目的ではなく、美しい樹形を維持しながら長く育てていくものです。
製品に記載されている使用量や頻度を守り、与え過ぎには注意しましょう。

なお、樹種によって肥料を与える時期や量は異なります。
購入時に育て方を確認し、それぞれの性質に合った管理を心掛けることが大切です。

冬の管理

ミニ盆栽は小さな鉢で育てるため、「寒そうだから室内へ」と思いがちです。
しかし、松やモミジ、ケヤキ、真柏など、日本の気候で育つ盆栽は基本的に屋外で冬を過ごします。 むしろ冬の寒さを経験することで休眠し、春の芽吹きへと備える樹木がほとんどです。 
ただし、強い寒波や雪、乾いた寒風が続く地域では、軒下など風を避けられる場所へ移動すると安心です。

一方で、熱帯性の樹種(ガジュマルなど)だけは寒さに弱いため、冬は室内の明るい場所で管理しましょう。

その他のお世話

剪定

剪定

盆栽の剪定は、植物を健康に育てるためだけの作業ではありません。
混み合った枝を整理して風通しや日当たりをよくすることはもちろん、どの枝を伸ばし、どの枝を切るかを考えながら、自分の理想とする樹形へ育てていく大切な作業です。

観葉植物の剪定が「健康に育てる」ことを目的とするなら、盆栽の剪定は「健康に育てながら、美しい樹形をつくる」ための作業ともいえるでしょう。
下記で写真付きで、筆者が実際に行った剪定作業を紹介しています。

植え替え

植え替え

ミニ盆栽は、鉢が小さいぶん、根が鉢いっぱいに広がりやすいため、定期的な植え替えが欠かせません。
樹種や生育状況にもよりますが、目安として2〜3年おきに植え替えを行うとよいでしょう。

植え替えでは、新しい用土に入れ替えるだけでなく、適宜剪定を行い、伸びた根を整理する「根切り」も行います。
根の健康を保ちながら、限られた鉢の中で美しい樹形を維持していくための大切な作業です。
ちなみに、植え替える鉢は、樹木を大きくしたい場合は一回り大きな鉢に、現状の大きさを維持したい場合は、根だけ整理して元の鉢に戻します。

樹種によって植え替えの時期や方法は異なるため、最初は難しく感じるかもしれません。
詳しい植え替えの手順やポイントは、筆者が実際に行ってみたので、参考にしてみてください。

🟢小池盆栽店でご購入された盆栽については、植え替え代行も行っています。(有料にてお預かり)

初心者が失敗しやすいポイント

水切れ

水切れ

観葉植物を育ててきた方が盆栽を見て驚くことのひとつに、鉢の小ささがあります。
盆栽は、大きく育てるのを目的とはしていないため、鉢を小さくして根の成長も抑制しながら樹形を保っていきます。
鉢が小さいということは土の量も少なく、特に春から夏にかけては想像以上のスピードで乾いていきます。特にミニ盆栽はそれが顕著です。
土が完全に乾いてしまうと、木に大きなダメージを与えてしまうこともあります。このため、前述の水やりのHow toを実践し、とにかく水切れだけは避けましょう。

室内管理だけで育てる

ミニ盆栽は室内に飾って楽しむこともできますが、基本的に盆栽というものは、サイズの大小にかかわらず、屋外で育てるものです。
長期間室内だけで管理すると、日照不足や風通しの悪さから徐々に樹勢が落ちてしまいます。死にそう観葉植物と異なり、植物育成LEDライトを導入したとしても、屋外管理の代わりにはなりません。
育成ライトは植物の生育を補助するうえで非常に有効ですが、盆栽は光だけでなく、風や雨、季節の寒暖差など、自然環境の中で育つことを前提とした植物。
そのため、室内で育成ライトだけに頼った管理を続けると、徐々に樹勢が衰えてしまうことがあります。
「置き場所と日当たり」の項で前述したように、室内鑑賞と屋外管理を上手に繰り返すことが、ミニ盆栽を長く楽しむコツです。

なお、玄関は日照不足になりやすく、風も滞りがちな環境です。
明るく見えても植物にとっては光量が不足していることが多いため、長期間の管理場所としてはおすすめできません。

過保護にしすぎる

植物を大切に思うあまり、必要以上に手を掛けてしまうのも初心者によくある失敗です。
土が十分に湿っているのに何度も水を与えたり、肥料を多く与えすぎると、かえって樹木に負担をかけてしまいます。
トゥーマッチ

ミニ盆栽は、毎日少しずつ様子を観察しながら、必要なタイミングで手を掛けるくらいの距離感がちょうどいい。大事なのは、「今日も元気?」と眺める時間を大切にすることです。

盆栽で、遊んでみない?

盆栽は、最初から完璧を目指す必要はありません。
肩肘を張って「盆栽を始める」と考える必要はなく、まずは観葉植物とは少し違う植物の楽しみ方として、こう考えてみてはいかがでしょう?カモンそのくらいの気持ちがちょうどよいのではないかと思います。

小池さんは語る、盆栽は「人生をともにできる趣味」

四季を感じる植物

ご主人

「盆栽は管理する植物ではなく、自然と付き合う植物なんです」

そう話す小池さん。
春には芽吹き、夏には葉を茂らせ、秋には紅葉し、冬には葉を落として休眠する。
1鉢の中で四季が巡る姿を眺めていると、忙しい毎日の中でも季節の移ろいを身近に感じられるといいます。
実際に奥様も朝の水やりを行う際に、盆栽を見てはその癒しの中に、季節の移ろいを感じているそうです。

奥さんの水やり

歴史を紡ぐ植物

また、小池さんは、盆栽の魅力をひと言で「時間」だといいます。
今日明日で完成するものではなく、数年後の姿を思い描きながら少しずつ手を掛けていく。
その時間そのものが、1鉢の価値になっていくのです。

ミニ盆栽でも樹齢10〜20年のものは珍しくなく、大きな盆栽になれば樹齢50年、100年を超えるものもあります。

樹齢100年

しかし、そんな風格ある盆栽も、最初は誰かが育て始めた小さな1鉢、つまりミニ盆栽でした。
今、自分が手を掛けているミニ盆栽も、何十年という歳月を経て、子へ、孫へと受け継がれていくかもしれません。
もしかしたら、孫が今の自分と同じ年齢になった頃にも、変わらず美しい樹姿(じゅし)を見せているかもしれない。

「盆栽は歴史を紡ぐ植物」

そんな小池さんの言葉がとても印象的でした。

【COLUMN】南青山で、カフェが盆栽店を始めた理由

ここまで、盆栽の魅力についてお話を伺ってきた小池さん。
実は「小池盆栽店」は、東京・南青山にある、小池さんが営むカフェlittle pool coffeeの軒先にあります。
コーヒーを片手に盆栽を眺める☕️😌。そんな少し不思議で心地よい空間には、小池さんならではの植物との向き合い方や人生観が詰まっていました。

では、なぜカフェの店主が盆栽店を始めたのでしょうか。
その背景には、一人の植物好きが歩んできた、少し意外なストーリーがありました。

小池誠宏さんと奥様の優子さん
小池誠宏さんと奥様の優子さん

little pool coffee誕生秘話

カフェの店主が盆栽店を、とはいいますが、実は小池さんの本業は美容師!
同じ場所でヘアサロン「CHERISH」を営み、20年という長き時間をお客様と向き合ってきました。CHERISH現在もサロンは盆栽店の奥で営業していますが、紹介制のみで営業を続けています。
当時、美容院とカフェの間には壁がなく、ワンフロアすべてがヘアサロンでした。
しかし、スタッフが独立して巣立っていったことをきっかけに、今から10年前に、ふと思い立った小池さんは「壁で仕切ってさ、空いたフロアでカフェでもやってみようか?」と、奥様に相談したといいます。
専業主婦だった奥様は驚きながらも、子育てでひとつの区切りがあったことから、その提案を受け入れ、little pool coffeeが誕生しました。

当初はコーヒーを中心としたカフェとして営業していましたが、その2年後に提供を始めた『ふわとろ”飲める”オムライス』が大きな話題に。
現在では全国各地から多くのお客様が訪れるオムライス屋さんとして知られています。LPCmenuその後、趣味として始めた盆栽に小池さんが夢中になり、その魅力をもっと多くの人に伝えたいという想いから、カフェの軒先で盆栽を販売するようになります。LPC現在は、小池さんが盆栽店を、奥様が little pool coffee を中心に切り盛りしながら、それぞれの「好き」を形にした空間をつくり続けています。

コーヒーの香りに包まれながら盆栽を眺める・・・。
そんな little pool coffee ならではの心地よい時間は、ご夫婦が歩んできた自然な人生の流れの中から生まれたものなのです。

盆栽への覚醒と、盆栽家との交流

God hands

意外なことに、実は小池さん自身もまだ盆栽の道を歩み始めたばかり。
しかしその興味は突然生まれたわけではありません。
little pool coffeeの目の前には、以前、園芸店がありました。
その店をきっかけに植物へ興味を持った小池さんは、当時はビカクシダをはじめとするビザールプランツに夢中だったといいます。

「珍しい形の植物が好きなんですよ」

そんな好奇心は、やがて自然と盆栽へ向かいました。
「理由はないんですけど、気づいてみたら盆栽が欲しくてたまらなくなって(笑)」
そうして上野まで足を運び、最初の1鉢となる黒松(下の写真)を購入。黒松しかし、自宅へ持ち帰ると、「これ、どうすりゃいいんだ!?」と笑いながら眺める日が続いたそうです。
ところが、育て方を調べ、実際に手を動かしていくうちに、「盆栽は保守的で難しいもの」という、それまで抱いていた固定観念が少しずつ覆されていきます。
持ち前の行動力で盆栽園へ足を運ぶようになり、現在の仕入れ先である深谷根岸園をはじめ、多くの盆栽家や職人たちと交流する機会も増えました。

「皆さん、本当に穏やかな人ばかりなんです」

年齢や立場に関係なく、植物について語り合い、技術を惜しみなく教えてくれる。その温かな人柄に触れるたび、小池さんは盆栽という文化の奥深さを実感しているといいます。
「若い職人さんたちの情熱には、いつも刺激をもらっています」
1鉢の盆栽との出会いは、植物だけでなく、新しい人との出会いも運んできたのでした。

奥様に聞きました

なぜカフェの軒先で盆栽を売るのか

小池盆栽店看板

「どうしてカフェの軒先で盆栽を売ろうと思ったんですか?」
そう尋ねると、小池さんは笑いながら答えました。

「やりたいと思ったから始めた。それだけなんです」

美容師として働き、カフェを始め、植物に出会い、そして盆栽に夢中になる。
そのひとつひとつが、壮大な事業計画に基づいたものではなく、ただ、そのときどきの好奇心に素直に従ってきた結果、今の little pool coffee と小池盆栽店が生まれました。
この場所に流れる心地よい空気も、きっと小池さんのそんな生き方から生まれたものなのでしょう。

小池さんが描く、盆栽カフェという未来

「面白くないことは、最初からやろうと思わないんです」

美容室からカフェへ。そして、盆栽へ。
その根底にあるのはいつも、「面白そう」という好奇心でした。
カフェの運営が軌道に乗った今、小池さんが思い描いているのは、盆栽という日本が誇る園芸文化をもっと身近なものにし、その魅力を広く伝えていくことです。

現在、盆栽は店先を中心に販売していますが、将来的にはカフェの店内にも展示・販売スペースを設け、コーヒーと盆栽がより自然に溶け合う空間をつくりたいといいます。
「盆栽カフェ」という形になるのか、それともまったく新しいスタイルになるのか。
その答えは、まだ小池さん自身にも分かりません。

「流れと、自分のアンテナが向く方向へ」小池夫妻そう笑う小池さんと奥様なら、きっとこれからも私たちの想像を超える「面白いこと」を始めてくれるのでしょう。

小池ご夫妻より、GARDEN STORY読者の皆様へのメッセージ

まとめ|観葉植物のその先に、盆栽という世界がある

観葉植物好きが盆栽を始めるのは、決して趣味を方向転換するからではありません。
植物が好きだから、その延長線上で自然と盆栽に出会う。
小池さん自身もそうだったように、「面白そう」という好奇心が、新しい世界への入口になるのです。
盆栽は、葉だけでなく、幹や枝、根までも育てながら、季節の移ろいや年月が生み出す美しさを楽しむ植物です。

難しそうに見えても、最初は「好きな1鉢」を迎えることから始めれば十分。
ミニ盆栽なら、観葉植物のように暮らしへ取り入れながら、その奥深い魅力に触れることができます。
そして、その1鉢の向こうには、日本人が古くから大切にしてきた「自然を愛でる文化」が広がっています。

観葉植物が好きなら、盆栽もきっと好きになる。
まずは気負わず、1鉢と遊ぶところから始めてみてはいかがでしょうか。

季節のおすすめアイテム

ホースガイド ジョウロ  -GARDEN STORY Series-

ホースガイド ジョウロ -GARDEN STORY Series-

庭にホースを伸ばして水まきをする際、ホースが大切な植物をなぎ倒してしまうのを防ぎます。地面にスッと差し込むだけで、花壇の縁やアプローチ横など、ホースが通るルートに手軽に設置できます。ジョウロのモチーフが庭の風景によくマッチ!

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