調子の悪いバラは要チェック! 土の中にコガネムシが潜んでいませんか?

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順調に生育していた鉢バラの葉が、急にしおれてしまった……。そんな症状が現れたら、それはコガネムシの被害に遭っているのかもしれません。バラにとって厄介な害虫、コガネムシによる症状や対策について解説します。
バラの害虫・コガネムシ

きらきら光る体でぶんぶんと飛び回るコガネムシは、子どもたちに人気の高い昆虫です。ですが、コガネムシはバラにとってはとても厄介な害虫。成虫も葉や花を食害することがありますが、特に深刻な被害をもたらすのは地中に潜む幼虫です。コガネムシの幼虫は、植物の根を食害して株を著しく弱めてしまい、被害が進めば枯死につながることもあります。特に、夏から秋にかけてはコガネムシの幼虫による被害が発生しやすい季節になります。
コガネムシの幼虫の食害に遭っていても、幼虫は地面に潜っているため、土の上からでは見つけることはできません。そこで、バラの様子をよく観察して、コガネムシの被害に遭っていないかを見極めることが大切です。
コガネムシによる被害の特徴

コガネムシ被害に対処するためには、早期の発見が必要です。そのためには、バラをよく観察することが重要。コガネムシの幼虫の被害に遭ったバラは、以下のような症状を呈します。
- 今まで元気だったのに、急に調子を落とし、葉がしおれるようになった
- 他の鉢バラと同じように水やりをしても、なかなか土が乾かず、常に鉢土が湿った状態になっている
- 土がヘドロ状になっている

このような症状が出たら、コガネムシの被害に遭っている恐れがあります。鉢の中を確認してみましょう。コガネムシの幼虫は、植物の根を食害し、被害が進むと株が枯死してしまうこともあるので、早急な対処が必要です。コガネムシの幼虫は、カブトムシの幼虫などによく似た見た目をしています。鉢の中に幼虫がいた場合は、見つけ次第捕殺しましょう。
コガネムシ被害への対処法

コガネムシの被害が出てしまったバラは、早急に対処することが必要です。ここでは、‘ミセス・PS・デュポン’の鉢植えを例に解説します。
対処の手順
まず、バラを鉢から抜き出し、根の状態を確認します。
ここで、白い根が残っているようであれば①初期症状のコガネムシ被害への対処を行います。ほとんど根が確認できないようであれば、②被害が進んだ場合のコガネムシへの対処へ。

鉢から抜き出して土を落とした状態。細く白い根が残っているのが確認できます。この程度の根があれば、①初期症状のコガネムシ被害への対処で間に合います。
①初期症状のコガネムシ被害への対処
バラの根を確認した際、白い根が残っているようであれば、コガネムシに有効な薬剤の散布で対処できます。鉢土の上から規定量の薬剤を散布し、様子を見ましょう。
②被害が進んだ場合のコガネムシへの対処
コガネムシによる根の食害が深刻化し、白い根がほとんど残っていないようなバラの場合は、植え替えが必要です。
準備するもの
- 今まで植わっていたものより1~2回り小さな鉢
- 挿し木用など、肥料分の少ない用土
- 鉢底石
手順
- 鉢から根を抜き出し、土を落とす
コガネムシの被害に遭っているバラを鉢から抜き出し、鉢土を振るい落とします。今回対処をした‘ミセス・PS・デュポン’は、まだ白い根が残っている状態でしたが、ここでは植え替えを行いました。鉢から根を抜き出し、土を軽く落とした状態。 古い鉢土の中を確認すると、コガネムシの幼虫を発見。一鉢の中に、7匹ほどが潜んでいました。 - 根を洗う
傷んだ部分などを取り除くため、土を落とした根を水で洗い流します。 - 植え替えをする
用意した鉢に鉢底石を敷き、バラの根がちょうど鉢に収まるように、根の大きさに応じた量の用土を入れて、鉢の中心に根を洗ったバラを置きます。バラを据えたら、株と土の間に隙間ができないように用土を入れましょう。鉢を揺するとうまく土を詰めることができます。 - 傷んだ葉や枝を取り除く
枯れ枝や、黒点病の症状が出ている葉などがあれば取り除きます。 - 水やりして終了
鉢底から流れ出るまでたっぷりと水やりをします。

これでコガネムシ対策は終了。被害に遭った年の秋バラの開花には間に合わないかもしれませんが、ここでしっかり対処しておくことで、翌年の春の開花が期待できます。
秋は長雨や台風により、コガネムシ以外にも病害虫が発生しやすい季節です。バラの状態をこまめに確認し、早めに対策をすることが、被害を深刻化させないために重要です。
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写真&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。