おもだに・ひとみ/鳥取県米子市で夫が院長を務める面谷内科・循環器内科クリニックの庭づくりを行う。一年中美しい風景を楽しんでもらうために、日々庭を丹精する。花を咲き継がせるテクニックが満載の『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(KADOKAWA)が好評発売中!
面谷ひとみ -ガーデニスト-
おもだに・ひとみ/鳥取県米子市で夫が院長を務める面谷内科・循環器内科クリニックの庭づくりを行う。一年中美しい風景を楽しんでもらうために、日々庭を丹精する。花を咲き継がせるテクニックが満載の『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(KADOKAWA)が好評発売中!
面谷ひとみ -ガーデニスト-の記事
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ガーデンデザイン

まだ咲いているのに抜くの? 春の庭で迷う“切りどき・抜きどき”の見極め方
春の庭は、「植える」だけでなく「抜く」「切る」季節でもある パンジー、ビオラ、クリスマスローズがメインの3月末の庭。まだ茶色の地面が見える。 春の庭は、毎日見ていても飽きることがありません。昨日まで固かったつぼみがふくらみ、今朝には咲いている。葉がぐんと伸び、花が思いがけない場所で光を受けている。たった2週間で地面の茶色は緑に覆い隠され、庭に出るたびに景色が変わっていきます。 4月半ばの庭。ラナンキュラス・ラックスやチューリップが満開に。バラや宿根草の葉も繁り、緑の量感が急激に増えていく。 この季節は植えどきの植物も多く、気持ちはどうしても“足す”ほうに向かいがちです。でもじつは、それと同じくらい、「切りどき」「抜きどき」を見極めることが大事な季節。 満開のパンジーの間からチューリップの球根が育ち始めている3月末。 たとえば、パンジーやビオラ。春になると本当によく咲いて、毎日花がらを摘んでも、また翌日にはたっぷり花がらが出ます。株はどんどん上にも横にも広がって、寄せ植えの鉢は少しずつ形が崩れ、気づけばぎゅうぎゅうになっていることも少なくありません。咲いている姿はかわいいだけに、手を入れるべきか迷ってしまいます。 約2週間後の上と同じ鉢。主役をチューリップに交代し、パンジーはやや草姿が乱れ始めた。 でも、それは花が元気な証拠でもあるので、咲いているのを見ると、なかなか手を入れられません。まだこんなに咲いているのに、もう抜くのはもったいないんじゃないか。そう思ってつい残してしまいたくなります。 パンジー、ビオラ、クリスマスローズ…惜しい頃が作業の適期 4月半ばはこれから育っていくバラや宿根草を優先に、花を交代させていく。 けれど、そのパンジーやビオラが、これから咲くバラや初夏からの宿根草のそばでいつまでも勢いを伸ばしていると、風通しが悪くなったり、光を遮ってしまったりして、ほかの植物の生育に影響することがあります。だから、株姿が乱れてきたな、広がりすぎてきたなと思ったら、まだ咲いていても、この後の季節を彩る植物を優先させて、思い切って抜きます。春の庭を次の季節へつなぐためには、それが必要な仕事なのです。 バラや宿根草、アリウムなどが大きくなってきたので、パンジー、ビオラなどの一年草は抜いて整理。 抜いてみても、晩秋に植えたアリウムの球根やデルフィニウム、ジギタリスなどの宿根草、ポピーがグングン大きくなってきているので、それほど寂しい印象にはなりません。むしろ、混み合っていた場所に空気が通り、庭の奥行きが戻って、次に咲く花の居場所がきちんと現れてきます。花はただ長く咲いていればいいというものではなくて、その時々の庭全体の流れの中で、引き際もまた大切なのだと感じます。 初夏の庭を彩るフロックス‘チェリーキャラメル’とリシマキア・アトロプルプレア‘ボジョレー’。 一旦そうやって冬から咲いていた花を整理し、花壇の手前に隙間があいていれば、初夏を彩るフロックスなどの一年草や、細身で他の花を邪魔しないリシマキア・アトロプルプレア‘ボジョレー’などを植え足します。この季節には園芸店にこれから最盛期を迎える花がたくさん出ているので、庭が寂しくなるという心配はありません。 色が褪せ始めたクリスマスローズ。花と呼んでいる部分は本来、萼なので散らずに残り続ける。 特にクリスマスローズは、まだ見られる、もう少し庭においておきたい、そう思える時期でも、花色が褪せ切る前に花茎を切らないと、休眠前に株は種子を作ることに体力を使ってしまいます。そうすると夏越しにも影響が出やすくなるので、遅くともこの頃には切る必要があります。庭を始めたばかりの頃は、咲いているものを切るなんてかわいそう、と思っていましたが、今は来年の花のために必要なことなのだと分かるようになりました。 まだ見ていたい花を、もう一度楽しむガーデンブーケ 花茎切りを兼ねて作ったクリスマスローズのブーケ。 それでもやはり、「まだ見ていたいな」と思う花を切ったり抜いたりするのは、毎年悩ましいものです。庭をやっている人なら、きっとこの気持ちは分かっていただけるのではないでしょうか。せっかく咲いているのに、と思うと忍びない。けれど、そのままにしておくことが必ずしも庭のためにはならない。春の庭仕事には、そんな小さな葛藤がいつもあります。 悩める私の気持ちをやわらかく受け止めてくれるのが、庭の花で作るガーデンブーケです。 辛口だけど、いつも的確なアドバイスをくれる庭の師匠、安酸さんと。 以前、この庭を一緒に作ってくれているガーデンデザイナーの安酸友昭さんが、私が生けた花を見て、「面谷さん、ちゃんとプロのところへブーケを習いに行ったほうがいいがん。そしたらもうちょっと素敵に生けられるんじゃない?」とアドバイスをくれたことがありました。そのまったく正直なアドバイスをきっかけに、私は5〜6年前から東京・神楽坂の「ジャルダン・ノスタルジック」さんにブーケづくりのレッスンに通っています。まるで庭の花を摘んできたような自然な雰囲気と、優しく丁寧な青江先生のご指導が大好きなお花屋さんです。 野の花を摘んだような「ジャルダン・ノスタルジック」さんの花かごのアレンジ。 庭の花を美しく束ねるための「スパイラル」という技術 ジャルダン・ノスタルジックさんの花で作った豪華なスパイラルブーケ。 そこで教わったのが、スパイラルという束ね方です。花を一本ずつ、同じ方向に斜めに重ねながら束ねていくと、茎がきれいにらせんを描きます。この形ができていると、ガラスの花瓶に入れたときに、花の部分だけでなく、水の中に見える茎先まで含めて全体が美しく見えるのです。花だけきれいでも、ガラスの中で茎がばらばらに絡んでいると、どこか落ち着きません。ブーケは花だけでなく、茎まで含めて完成された姿なのだと知りました。 バラにクリスマスローズの萼やオルラヤ、ニゲラなどを組み合わせた庭摘みの花のブーケ。 庭の花は、お花屋さんの切り花のように、長さも太さもきれいに揃っているわけではありません。枝も曲がっていたり、細かったり。一つひとつが自由で、その不揃いさこそが庭の花の魅力です。だから大きく豪華なブーケにはならなくても、庭摘みのブーケには、どこか素朴で、庭の空気ごと束ねたような愛らしさがあります。 5月、雨で散ってしまう前に、花茎が短いつるバラをオアシスにアレンジ。 庭では合わせない色が、ブーケだと映える 植え込みからはみ出して咲くアークトチス(ピンクの花)。ナチュラルな咲き姿も魅力的だが、花が終わったら株分け。その前に切ってブーケに。 何よりうれしいのは、さっきまで「抜きどきかな」「切りどきかな」と思っていた花が、ほかの花や葉ものと合わせてブーケにすると、また新しい魅力を見せてくれることです。庭植えや寄せ植えでは合わせないような色も、ブーケにすると驚くほど似合うことがあります。庭の中では脇役の花が、手の中に集めると急にきらきらと輝いて見える。そんな瞬間に、花の意外な表情を発見します。 庭から摘んだ花を種類ごとに並べて、下葉を取ってからブーケにしていく。 庭はもともと、自分の好きな色合わせや雰囲気で植えているので、適当に摘んできてもなんだか可愛いブーケになるものです。上の写真も庭の手入れをしながら集めた花々。左からラベンダー、ニゲラの葉、ラナンキュラス・ラックス、パンジー、ビオラ、イベリス、ティアレア、ガーベラ、アネモネ、アークトチス。庭でもそうであるように、リーフはブーケづくりでも欠かせない名脇役です。ニゲラのふわふわの葉はグラつく花を抑えたり、オリーブの葉は額縁のようにブーケを整えてくれたり。一回りすれば簡単に花材が集まる庭は、大きな宝箱のようでもあります。 支点をずらさないように抑えながら、一定方向に回しながら花を足していく。しっかり組まれていれば、崩れることなく形が安定する。 とはいえ、私は一番きれいに咲いている花を切ることができないのです。最高の状態の花を切れば、それはそれは見事なブーケが作れるでしょう。それがわかっていても、ここを切ったら、この庭の風景が変わってしまう、と思うと、なかなかハサミを入れられません。一番いい花を切ったことがあるのは、二人の娘の結婚式のときだけ。一度はバラを、もう一度はクリスマスローズを庭から切って、ブーケにしました。あのときは惜しいというより、その日のために庭の花を手渡せることが、ただただうれしかった。 春の雨に打たれてしなだれたチューリップ。 普段はそこまで思い切れなくても、よく咲いてくれるパンジーやビオラ、ラナンキュラス・ラックスを少しずつ摘むだけで、十分に可愛いブーケができます。雨でしなだれてしまったチューリップも、花束にして飾ればいいと思うと、残念な出来事だけで終わりません。そうして束ねた花を、家の中やクリニックに飾ると、みんなとても喜んでくれます。「きれいね」と言ってもらえるのは、庭づくりをしている者にとって本当にうれしいことです。 咲くときから終わるときまで、花を楽しみ尽くしたい 秋、庭を整理しながら集めたリーフや宿根草で作ったブーケ。 私にとって庭づくりの醍醐味は、花が咲くその瞬間だけにあるのではありません。芽吹き、育ち、咲いて、やがて終わりへ向かう、そのすべての時間を味わえること。そして、庭で役目を終えようとする花を、ブーケとしてもう一度楽しめること。咲く時から終わる時まで、花をたっぷり楽しみ尽くす。それが、庭づくりの喜びであり、花の命への感謝なのだと思っています。 春の終わりのガーデンブーケ。
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ガーデンデザイン

春の庭がぐっと美しくなる理由 白い花木と草花をつなぐ木漏れ日の力
庭に春を知らせる白い花の花木たち 光の色が変わったことで、私は春の到来を感じます。米子の冬は、晴れの日が本当に少なく、曇りか雨のことがほとんど。ときには雷まで鳴って、空全体が重たく低く垂れこめるような日も珍しくありません。庭に出ても、土も枝も空気もどこか湿り気を帯びていて、色彩まで眠っているように見えます。だからこそ、長い冬のあとにようやく青空がのぞく日が来ると、それだけで胸がふっと軽くなります。 刷毛のようなウワミズザクラの花。樹高は10m以上になるので、庭木としては定期的な剪定が必須。 その青空を背景にして、庭の花木に白い花が咲き始めると、春が目に見える形で立ち上がってきます。たとえばウワミズザクラ。枝先にふわりと立ち上がる白い花穂は、桜のような華やかな塊ではなく、細かな花が集まって、光を含んだ刷毛のよう。若葉のやわらかな緑のあいだから、こぼれるように咲いている姿には、どこか野の木らしい素朴さがあります。でも、その素朴さが春の空にはとてもよく似合うのです。 10年近く庭を彩ってくれたプルヌス・バージニアナ‘ベイリーズセレクト’。近年、虫の被害によりやむなく別の樹木に変更した。自然樹形で樹高7m前後。 今はもうこの庭にはなくなってしまったプルヌス・バージニアナ‘ベイリーズセレクト’の花もまた、この季節ならではの美しさがあります。銅葉の印象が強い木ですが、春の若葉はやわらかな緑色で、白い花との対比はとても印象的です。 そうした花木の株元には、小さな春の草花たちが咲いています。原種のチューリップやスイセン、アネモネ、フリチラリア、ムスカリ、クロッカスなどの球根類、そしてビオラやイオノプシジウム、イングリッシュデージーなどの小さな花々。ことさらに主張するわけではないのに、木の下のやわらかな光の中で、それらが入り混じって咲く様子は、小花柄のリバティプリントを広げたかのようです。 赤いしべが愛らしいアロニア。2m前後で樹高が止まる低木。 木の形ではなく、木の下に落ちる光まで考える 時間の流れとともに模様を変えていく木漏れ日の小道。 春の庭が美しいのは、ただ色々な花が咲くからだけではありません。小道の土の上に葉の影が揺れ、草花のあいだに光の粒がこぼれ、風が通るたびにその模様が静かに動いていく。その様子を見ていると、庭の美しさは花の色だけではできていないのだと、改めて感じます。 ブ〜ンという羽音も庭の楽しいBGM。 この庭をつくってくださったガーデンデザイナーの安酸友昭さんは、庭の魅力や心地よさを作っているのは、植物の色や形だけではなく、光や影、草花が風に揺れる風情、香り、そこに訪れる虫たちの気配まで含めたものだとおっしゃいます。植物を人の手で植え、整えることはできても、その瞬間の木漏れ日や、風にそよぐ枝葉の動きまでは留めておけません。でも、留めておけないからこそ、心に残る景色になるのだと思います。 樹木の剪定はすべて安酸さんにお願いしていますが、その剪定は単なる管理作業ではなく、庭の体験そのものを形づくる大切なデザインなのだと思います。枝をどう残し、どこを透かし、どこに抜けをつくるか。その判断一つひとつが、春の光のやわらかさにも、夏の涼しさにも、冬の日だまりにもつながっていくのです。 木の姿は見上げれば分かりますが、その木が本当に庭にもたらしている価値は、見上げた姿だけでは測れません。木の下に立ったときにどんな光が落ちるのか。そこにどんな空気が流れるのか。安酸さんは、その木が庭全体に生み出す気配も含めて剪定してくれているのではないかと思うのです。 樹木は景色であると同時に、草花のための環境でもある 庭の入り口に咲くジューンベリーの花。自然樹形で5m前後で、剪定で樹高をコントロール。 この庭の樹木の多くは落葉樹で、春に花を咲かせてくれるのはプルヌス・バージニアナ‘ベイリーズセレクト’、ウワミズザクラ、ジューンベリー、アロニア。すべて白い花が咲きます。落葉樹のよさは、季節ごとにその役割を変えてくれるところにあります。春、まだ葉が出そろう前には、枝のあいだからやわらかな日差しがたっぷりと差し込みます。その光を受けて、木の下では原種の球根類や原種シクラメン、クリスマスローズ、ビオラたちが、いちばんよいタイミングで花を見せてくれます。 ジューンベリーの株元に咲く原種チューリップ。 夏になると葉が茂り、今度は強い日差しを遮って、地面の乾きすぎも防いでくれます。秋になり落葉してくると、地面に日が当たるようになると、原種シクラメンが咲いてきます。冬には落葉して、ふたたび低い日差しを地表に届けてくれる。樹木は、季節を通して庭の環境を調整してくれている大切な役目を果たしています。 ウワミズザクラの株元に咲く、へスペランサ・ククラータやクリスマスローズ。どちらも夏は休眠するので落葉樹の下が適地。 私は、庭の植物が無理なく育っている景色が好きです。がんばって咲かせている、という感じではなく、その場所に合った植物が、その場所に合った姿で自然に咲いている庭に心惹かれます。こうした景色は、花だけを選んでいても生まれないのだと思います。どこに木を置くか、その木が何年か後にどのくらい枝を広げるか、葉を落としたときに冬の光がどう入るか、春の木漏れ日が足元にどう届くか。そういう時間の流れまで含めて考えられているからこそ、草花が心地よさそうに見える環境ができるのだと思います。 春の球根花、クロッカスと一年草のイオノプシジウム。一年草ですが、この木漏れ日の環境が合っているようでこぼれ種で増える。 安酸さんは、花を飾るように並べるのではなく、植物どうしが支え合う関係をつくっておられるのだと思います。樹木は上の層で光を整え、その下で草花が季節を受けとめる。さらにその足元には、虫たちが訪れ、風が通り、影が落ちる。庭は平面的な花壇ではなく、上から下まで、時間も含めて重なり合う空間なのだと感じます。 樹木は、花を引き立て、庭の外をやわらかく隠す この庭の木々を見ていると、樹木には本当にいくつもの役割があるのだと感じます。春に白い花を咲かせ、足元の草花が育つ環境を整え、木漏れ日をつくってくれますが、それだけではありません。私にとって木々は、ほかの植物を美しく見せる背景でもあり、庭の外にある現実の風景をやわらかく受け止めてくれる存在でもあります。 ウワミズザクラの爽やかな緑を背景に、淡いピンクのつるバラがよく映える。 私は淡いピンクのつるバラが好きなのですが、その色合いは繊細なぶん、背景によって印象が大きく変わると感じています。やさしく、夢のある色ですが、一歩間違えると輪郭があいまいになったり、甘く見えすぎたりもします。そんなときに、樹木の葉や枝の存在が本当に大きいのです。 プルヌス・バージニアナ‘ベイリーズセレクト’の銅葉が、つるバラの‘ポールズ・ヒマラヤン・ムスク’の桜のように淡い色を浮き立たせてくれる。 特に、プルヌス・バージニアナ‘ベイリーズセレクト’の銅葉は、この庭の中でとても大切な役割を果たしてくれていました。銅色を帯びた葉は、深く落ち着いた色を持ちながら、春の光の中では重く沈みすぎず、むしろ景色にほどよい奥行きを与えてくれます。その前に淡いピンクのバラが咲くと、花色がふわっと浮かび上がるように見えるのです。主役として前に出すのではなく、そっと支えるような背景。その控えめな力が、私はとても好きです。 庭づくりをしていると、つい花そのものの美しさに目が向きますが、じつは花をどう見せるかは、その後ろに何があるかで大きく変わるのだと思います。花色、葉色、枝の線、光の当たり方。そうしたものが重なって、はじめて風景の印象が決まる。この庭の樹木は、ただそこに立っているのではなく、ほかの植物の美しさまで計算に入れたうえで、景色の後ろ側を支えてくれているのだと感じます。 そしてもうひとつ、私がこの庭でありがたいと思っているのは、木々が庭の外の景色をやわらかく隠してくれることです。ここは両側を道路に挟まれた場所で、一方は車通りが多く、もう一方は民家が並ぶ生活道路です。小道の先には駐車場もあり、少し視線が抜けるだけで、どうしても日常の生活感が目に入ってきます。けれど安酸さんは、その“見えてしまう先”をとても丁寧に扱ってくださいました。 アーチ仕立てのつるバラとウワミズザクラの枝葉が庭の向こうの道路を隠してくれる。 庭の端に立つ木々や植栽は、目隠しのようにただ遮るのではなく、視線を自然に受け止めてくれます。向こう側にあるものを完全に断ち切るのではなく、木の幹や枝葉の重なりによって少しずつ遠ざけ、庭の空気の中に溶かしていくような感じです。コンビニの看板や行き交う車がまったく見えなくなるわけではないのに、庭の中に立つと不思議と気にならない。その感覚は、単に植物が多いからではなく、どこに何を置けば景色が落ち着くのかを、安酸さんがよく見極めておられるからだと思います。 ウワミズザクラが光を受けて輝く午後。ベンチも木陰に置くと絵になる風景に。 私はこの働きを、庭の“フレーム”のようなものだと感じています。絵でも額縁があることで視線が定まり、ひとつの世界として見えてくるように、庭もまた、どこまでを景色として感じさせるかがとても大事なのだと思います。細長いこの庭が、実際の広さ以上に奥行きを持って感じられるのも、木々が空間の輪郭を整えてくれているからです。見せたい方向は開き、見せたくない方向はそっとやわらげる。その加減が絶妙で、だからこそ庭に入ると、周囲の現実から少し離れたような気持ちになれます。 こうして考えると、樹木は本当に多層的な存在です。花を咲かせて春を知らせ、木漏れ日をつくり、足元の草花を育て、バラを引き立て、外の景色を整える。そのどれかひとつだけでも庭にとって大切ですが、それらが同時に働いているからこそ、この場所には奥行きが生まれているのだと思います。 寄せ植えでも木漏れ日を感じさせる安酸さんの寄せ植え。 私がこの庭で心地よいと感じる理由も、きっとそこにあります。花がきれい、木が美しい、というだけではなく、それぞれが支え合いながら景色をつくっている。その重なりがあるから、庭がひとつの完成された風景として感じられるのだと思うのです。 庭を美しくするのは留めておけないもの 光を受けて輝くラナンキュラス・ラックス。 こうして振り返ると、この庭には本当にたくさんの工夫が重ねられているのだと感じます。けれど、その一方で、庭の美しさは人の手でつくった部分だけでは完成しないのだという安酸さんの言葉にとても共感します。どれほど植栽を考え、光の入り方を整え、景色を構成したとしても、最後にその場を生きた風景にしてくれるのは、やはり人には留めておけないものだからです。 光が若葉を通って小道に落ちるときのやわらかな明るさ。風が吹いて枝先がそよぎ、そのたびに地面の影がほどけたり重なったりする様子。花のまわりを虫がふっと横切り、気づけばどこかへ飛んでいく、その一瞬。そうしたものは、待っていても同じ形では二度と現れません。きれいだなと思う瞬間の多くが、じつはそういう“決めきれないもの”の中にあることに気づかされます。花がたくさん咲いていること自体もうれしいのですが、それだけではなく、偶然のような一瞬が重なって、庭はただ整った空間ではなく、心がほどける場所になるのだと思います。庭は、人の手ですべてを支配する場所ではなく、自然の働きがきちんと生きるように整える場所なのかもしれません。春の花木が咲くたびに、そのことをまた新しく感じている今日この頃。そんな庭を、私はとても愛おしく思っています。
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ガーデニング

春の庭、いま見逃すと危ない害虫3つ。アリウムの芽もバラのつぼみも守るためにやるべきこと
春に気をつけたい3大害虫!ナメクジ、アブラムシ、バラゾウムシ 春の始まりには、石畳のまわりに草花がやわらかく広がり、手をかけながら季節を迎える庭の静かな気配があります。でも、春の庭はただ花を愛でるだけの季節ではありません。植物たちが勢いよく動き始めるこの時期は、害虫たちもまた、静かに活動を始める季節。みずみずしい新芽や花芽、ふくらみかけたつぼみは、虫たちにとっても格好の標的です。被害が広がってから慌てるより、まだ数が少ないうちに気づき、先回りして守ること。そのひと手間が、この先の庭の景色を大きく左右します。 花がら摘みをしながら害虫チェックも。 この時期、特に気をつけたいのが、ナメクジ、アブラムシ、バラゾウムシの3つ。どれも珍しい害虫ではありませんが、放っておくと「せっかく楽しみにしていた花が見られない」「あと少しで咲くはずだったつぼみがダメになる」といった、大きながっかりにつながります。 私がこの時期行っている害虫対策をご紹介します。 パンジーより痛い⁉︎ アリウムの花芽を死守したい!ナメクジ対策 左のビオラはナメクジに盛大に食べられて、右の株と比較し株が極端に小さい。でも、ナメクジ対策をすれば、まだ復活は可能。 春の庭でナメクジというと、まず思い浮かぶのはパンジーやビオラの花びらかもしれません。たしかに、やわらかな花弁がかじられてしまう被害はよくあります。けれど、実際にはそれ以上に深刻に感じることがあるのが、アリウムの芽や花芽への食害です。 パンジーやビオラは、傷んだ花を摘んでも次々に新しい花が上がってきます。多少食べられても、株全体の楽しみが失われてしまうことは少ないでしょう。 一方でアリウムは、基本的に1球に1花。春になってようやく土の中から芽を上げ、すっと茎をのばし、その先に丸い花を咲かせるまでには長い時間がかかります。その大切な花芽をこの時期ナメクジに食べられてしまったら、その年の花はもう望めません。 5月のバラとアリウムの競演。 しかもアリウムは、秋に球根を植え付けてから開花まで半年近く待つ植物です。球根も決して安価ではなく、庭の中での見せ場として植え込んでいることも多いもの。だからこそ、春になって芽が上がってきたところで傷まされると、被害以上に喪失感が大きくなります。花が咲きそろった最盛期の庭で、バラの間からアリウムがのぞく風景は本当に美しいからこそ、その一輪一輪の重みもまた大きいのです。 夜間に現れ花やつぼみを食べるナメクジ。 ナメクジは、少しずつ気温が上がるこの時期から活動を再開します。しかも、日中は落ち葉の下や鉢の下などにいて、夜間に活動するので、見つけるのが困難。まだ活動が本格化する前に忌避材を使い、株元や芽の周囲をよく見るといった先回りが大切です。特にアリウムのように、その一輪を失うと一年待ちになる植物がある庭では、春先の予防が大事な意味を持ちます。 5匹でも油断禁物。アブラムシは“今”止める! バラの柔らかな新芽に集まるアブラムシ。 春の庭で、気づけばいつの間にか増えている代表格がアブラムシです。まだ本格的な大発生には至らないこの時期でも、新芽の先やつぼみの周囲をよく見ると、5〜6匹ほどの小さな集まりができていることがあります。ほんの少しの数だと「このくらいなら」と見過ごしてしまいがちですが、ここが最初の分かれ道です。 アブラムシを食べてくれるテントウムシは庭の益虫。 5〜6匹くらいならたいしたことがないように見えても、アブラムシは驚くほど増殖の早い害虫です。メスだけで子を産み、条件がよければ1匹の成虫が1週間で最大80匹前後を増やすこともあるとされるため、5〜6匹を放っておくと1週間後に400匹になることもあり得るのです。 アブラムシの被害によって、ところどころ葉がねじれてくっついたバラ。 その有様はあまり想像したくないですが、見た目の不快感だけにとどまらず、アブラムシは植物の汁を吸うため新芽の伸びが悪くなる、葉が縮れる・巻く、黄化する、全体の生育が鈍るといった症状が出ます。さらに厄介なのは、アブラムシが出す甘い排泄物である「甘露(かんろ)」です。これによってすす病が出たり、種類によっては植物ウイルスを媒介したりするため、数が増える前の対処が大切です。 4月上旬につぼみが上がってきている早咲きのバラ。 特に見たいのは、新芽の先端、つぼみの付け根、葉裏。 勢いよくのびているところ、やわらかくてみずみずしい部分ほど要注意です。まだ少数のうちなら、見つけて取り除いたり、必要に応じて対策資材(後述)を使うことで、増殖を抑えやすくなります。 そのつぼみのしおれ、水切れではなくバラゾウムシかも! 花数が限られた鉢植えのバラは、バラゾウムシ対策が特に大事。 春のバラを育てるなら、ぜひ知っておきたいのがバラゾウムシです。 体長は2mmほどと小さく、黒っぽく目立たないため、知らないと見逃しやすい虫ですが、新芽やつぼみに与えるダメージは決して小さくありません。 柔らかなバラの新芽に集まるバラゾウムシやアブラムシ。 バラゾウムシは、新芽やつぼみの下に穴をあけて加害し、その先をしおれさせます。すると、順調に育っていたはずのつぼみが、ある日急にうなだれたり、新芽の先だけがくたっと力を失ったりします。ぱっと見では水切れや風の影響のようにも見えるため、原因に気づかず「なんとなく調子が悪い」で済ませてしまいやすいのが厄介なところです。 一部がしおれているのは水切れではなく、バラゾウムシによる被害。 でも、春のバラで「一部だけが不自然にしおれる」「つぼみの下に違和感がある」ときは、バラゾウムシを疑ってみる価値があります。特に被害がこたえるのは、買ったばかりの若い株や、まだ花数の少ない株です。つるバラのようにたくさん咲く品種なら多少の被害は目立ちにくいかもしれませんが、これから育てていきたい株の限られたつぼみが傷むと、その痛手はとても大きいものです。 全体的につぼみや先端がグッタリするのは水切れ。早急にたっぷりの水やりを。 バラゾウムシ対策で何より大切なのは、まずよく見ること。新芽やつぼみをこまめに観察し、しおれた部分があれば付け根まで確認する。本体や被害箇所を早めに見つけられれば、被害の広がりを抑えやすくなります。 バラは手をかけた分だけ応えてくれる花。だからこそ、春は水やりや施肥だけでなく、 “虫がいないかを見る習慣”もセットで行いたい季節です。 害虫対策は「資材+手で捕獲」の組み合わせが確実 防除は、被害が広がる前の初期対応が肝心です。私は、アブラムシやバラゾウムシ対策として、発生初期にどちらにも適応がある園芸用殺虫剤のベニカXシリーズも活用しています。 気絶? 死んだふり? 油断大敵、程なく起き上がって逃げます。 一方で、庭ではそれだけに頼らず、見つけた虫をその場で取り除くことも大切にしています。特にバラゾウムシは、人の気配を感じるとぽろっと下に落ちて逃げるため、取ろうとする手とは別に、もう一方の手を下に添えて受けるのがコツ。落ちた瞬間はおとなしく見えても、しばらくすると起き上がって逃げるので、確実に捕殺するまで気が抜けません。 発生初期に薬剤で抑えつつ、日々の観察と手取りを組み合わせる――それが、春の庭をきれいに保ついちばん現実的な防除です。 きれいな庭を守るのは、日々の小さな確認 日々の害虫対策なくしては望めない5月の花々の競演。 今回取り上げたナメクジ、アブラムシ、バラゾウムシは、それぞれ性質も被害の出方も異なります。けれど共通しているのは、早く気づけば、防ぎやすいということです。 ナメクジは、本格的に動き出す前の予防が効きやすい。 アブラムシは、少数の段階なら抑え込みやすい。 バラゾウムシは、こまめな観察が最大の対策になる。 5月も水やりをしながら一つひとつの花を観察。 つまり、春の害虫対策は「何か特別なことを一度すれば安心」というものではなく、日々の庭の見方を少し変えることが本質です。花を見るだけでなく、新芽の先、芽の付け根、株元といった“これからの景色をつくる場所”に目を向けること。その小さな意識の差が、数週間後の満開の景色を守ります。 春の庭で見ておきたい3つのチェックポイント ✅アリウムの芽や花芽に食害はない?✅新芽の先にアブラムシの小さなコロニーはできていない?✅バラのつぼみや新芽が一部だけしおれていない? 発生初期の薬剤散布と手での捕獲を組み合わせながら、毎日少しずつ確認していくこと。そんな地道なひと手間こそが、5月のバラとアリウムが競演する、あの美しい景色につながっていくのだと思います。
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樹木

クリスマス&お正月にぴったり! 日陰に福をためる、スキミアの寄せ植えと花壇
スキミアが“福をためる”理由とは? スキミアが縁起のよい植物として親しまれる理由は、植物としての生育特徴にあります。 1 冬に赤いつぼみを宿すこと スキミアは、秋から冬にかけて赤いつぼみ(または実)をつけ、そのまま寒い季節を越します。赤は日本の暮らしの中で、厄を遠ざけ、生命力を象徴する色。ナンテン(南天)やセンリョウ(千両)などと同じく、冬に赤を宿す植物は、古くから縁起木として親しまれてきました。 2 すぐに咲かず、春まで力をためること スキミアのつぼみは、冬の間に一気に開花することはありません。寒さの中でじっと力を蓄え、春になってから、ようやく小さな花房となって開花します。この「待つ時間」こそが、「福をためる」「運気が熟す」と重ねられてきた理由です。 赤いつぼみは春に白い花となってふんわり咲く。Victoria Sharratt/Shutterstock.com 3 常緑で、姿を大きく変えないこと 一年を通して葉を落とさず、急激に成長しないスキミアは、庭の中で常に安定した存在。家運安定や、変わらぬ日常を象徴する植物としても、縁起を彷彿とさせるのです。 スキミアの基本情報と園芸的なメリット スキミアは、見た目の可憐さに反して、とても実用的な低木です。 分類:ミカン科スキミア属 樹形:常緑低木 樹高:30〜80cm(品種・環境による) 生育スピード:年間5〜10cmと非常にゆっくり 日照:半日陰〜明るい日陰を好む 耐寒性:強い(寒冷地でも冬越ししやすい) 管理:剪定ほぼ不要、病害虫も少なめ ゆっくり育って、ローメンテナンス スキミアは生育が非常に緩やかな低木で、年間5〜10cm程度しか大きくなりません。つまり、植えた姿がほぼそのまま、何年も維持され、剪定は基本的に必要ありません。「気づいたら大きくなりすぎていた」という失敗が起こりにくく、忙しい方や、手が届きにくい花壇の奥には理想的です。 日陰の花壇「後方」を支える優秀な背景植物 花壇の後方は、日照が少なく、手入れに入りにくいため、空間が間延びしがちという難点があります。スキミアは日陰適性が高く、常緑で大きくなりすぎないので、「動かない緑の背景」として最適。前景の草花が入れ替わっても、奥の景色は崩れません。 寄せ植え → 地面へ。ずっと使えるサステナブルな庭づくり 日陰になりがちな庭のエリアにスキミアの彩りを。 スキミアの大きな魅力は、寄せ植えで楽しんだあと、地面に下ろして“庭の一部”としても使い続けられること。 冬:寄せ植えで季節演出 春以降:花後に花壇へ定植 翌年以降:常緑低木として背景づくりに活躍 というように、ワンシーズンで終わらず買い替え不要なので、コスパがよく、サステナブル。“消費する寄せ植え”ではなく、「育て続ける庭づくり」に自然につながります。 病害虫の心配いらず スキミアの葉は厚くて硬めで、香り成分を含むミカン科植物なので、虫にとっては「おいしくない」植物。また、生育が遅く柔らかい新芽も少ないので、他の昆虫もつきにくいのです。極端な過湿や蒸れがない限り、病気になることもほとんどなく、薬剤に頼らず育てられます。 冬の庭に福を招く。スキミアの寄せ植え&花壇 実例5選 冬の庭やアプローチは、どうしても緑の量感が少なく寂しくなりがちです。そんな中で常緑低木のスキミアは、艶やかな緑の葉と赤いつぼみで景色と気持ちの両方を明るくしてくれる存在です。ここでは鉢植え・寄せ植え・花壇での具体的な使い方を実例で紹介します。 実例1|赤を主役にしたクリスマスの寄せ植え スキミアを深みのある赤いパンジーやシクラメン、チェッカーベリーと組み合わせた、華やかな冬の寄せ植え。どの植物も春まで長もちするため、クリスマスシーズンはもちろん、お正月を越しても安定感があります。春になるとスキミアが花を開き、やさしいピンク色の花房が寄せ植えの間をふわふわと埋めてくれます。 冬の装飾として完成度が高い 赤=厄除けの意味合いを演出 花が少ない時期でも「間」が持つ 実例2|落ち着いた色合わせで和洋どちらにも馴染む寄せ植え スキミアの魅力は主張しすぎない端正さ。肉厚でツヤのある葉と、小さく密なつぼみの姿は、和にも洋にも馴染んでくれます。ですから、組み合わせる植物次第で和洋どちらの表情でも引き出せるのもスキミアならでは。この寄せ植えではパープル系のビオラやマツと合わせることで、洋風の中にもほのかな和の空気を添えています。クリスマスから、そのまま迎春用のしつらえとしても重宝する寄せ植えです。 正月飾りを添えても違和感なし 行事が終わっても、そのまま育て続けられる 実例3|白花と合わせて日陰を明るく 左は冬の赤いつぼみ。右は春の開花姿。 日陰に強いスキミアは、庭の北側や壁際を彩るのに最適。暗くなりがちな箇所なので、イベリスやパンジーなど白い花を合わせると空間が明るくなり、さらにスキミアとの紅白コントラストでパッと華やかに。庭の隅々まで福を運んでくれそうです。 日陰でも色が沈まない 冬でも清潔感のある印象 春の開花期へと自然につながる構成 実例4|スキミアを背景にした1マス花壇 小さな植栽スペースでも、生育がゆっくりなスキミアは心強い存在です。常緑のスキミアを後方に配し、つぼみと同系色の宿根草のヒューケラと組み合わせて、庭の骨格を構成。その間に季節の一年草で彩りを添えることで、四季を通して表情の変化を楽しめます。壁や構造物を背景にした門袖前など、日陰になりやすく、メンテナンスに入りにくい場所にもおすすめの植栽例です。 小スペースで背景骨格として活躍 前景に一年草で季節感 実例5|寄せ植えから花壇へ。サステナブルな使い方 冬の寄せ植えで楽しんだスキミアは、春以降に花壇や庭の地植えでも再利用できます。一度きりで終わらず、庭の重要な構成要素として定住させられるのも大きな魅力。日陰になりがちでなかなか植物が育たない箇所や、手入れのしにくい花壇の後方でスキミアは大活躍。常緑でゆっくり育ってくれるので、ほとんど手入れの必要がありません。 庭の北側でもスキミアが活躍。クリスマスローズとも相性抜群。 毎年買い替えない=コスパがよい 植え替えの失敗が少ない 環境にもやさしい庭づくりにつながる スキミアを長く楽しむためのQ&A Debu55y/Shutterstock.com Q1|水やりはどのくらい必要ですか? A|乾きすぎないように、でも与えすぎないほうに気をつけて。 鉢植えの場合は、表土が乾いたらたっぷりが基本。冬は生育がゆっくりなので、水やりの頻度も自然と少なめになります。地植えでは、根づいてしまえば特別な水やりは基本的に不要。極端に雨が少ない時期だけ、様子を見て補います。生育が非常にゆっくりで、日陰がちな場所に植えられているため、乾きよりも湿った状態が長く続くことのほうが不調につながりやすいです。常に湿った状態にならないよう、水のやりすぎには注意しましょう。 Q2|日当たりはどこが適していますか? A|半日陰〜明るい日陰が最適です。 直射日光が強すぎる場所では、葉焼けや乾燥の原因になることがあります。 建物の北側 門袖前 落葉樹の下 など、夏は日陰、冬はやわらかい光が入る場所が理想的です。 Q3|花が終わったあとは、どうすればいい? A|基本的に切らなくてOK。気になる場合だけ花がらを整理します。 春に咲いた花が終わったあと、そのままにしていても生育には大きな問題はありません。見た目が気になる場合は、花房の付け根から軽く切り取る程度で十分です。枝元から切るような強剪定は不要で、むしろ切りすぎないほうが自然な樹形を保てます。 Q4|肥料は必要ですか? A|与えすぎないことが大切。控えめで十分です。 スキミアはもともと生育がゆっくりな植物。肥料を多く与えると、かえってバランスを崩すことがあります。 鉢植え:春に緩効性肥料を少量 地植え:基本的に不要(生育が悪い場合のみ少量) 「育てようとしすぎない」のが、上手に育てるコツです。 Q|ミカン科ですが、アゲハの幼虫はつきませんか? A|ほとんど心配はいりません。 スキミアはミカン科の植物ですが、アゲハチョウが好んで産卵するミカン属(レモンやユズ、キンカンなど)とは異なるスキミア属です。また、葉が厚く硬く、香り成分も強いため、アゲハの幼虫にとっては食べにくい植物です。 そのため、園芸の現場ではスキミアにアゲハの幼虫がついたという例は非常に少なく、基本的には特別な対策をする必要はありません。虫が苦手な方でも、安心して庭や鉢植えに取り入れられる植物といえるでしょう。
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宿根草・多年草

【12月の花】植えっぱなしで毎年咲く「原種シクラメン」の育て方とおすすめ品種ガイド
原種シクラメンとは? 魅力と園芸品種との違い 私はガーデニングをするとき、シクラメンを「室内用シクラメン」「鉢植え用ガーデンシクラメン」「庭植え用原種シクラメン」というように3つに分類して用途ごとに使い分けています。 室内用シクラメン 古くから贈答用の鉢花として親しまれている園芸品種のシクラメンです。5〜6号鉢(直径15〜18cm)に植わった状態で販売されていることが多く、豪華に仕立てられています。寒さには弱いので、室内の窓辺に飾って楽しむのに最適。夏にしっかり休ませて秋からまた育てれば、翌年も咲きます。ただし、外で夏越しできる環境が必要です。 鉢植え用ガーデンシクラメン 園芸品種のシクラメンの中から、比較的寒さに強い小型種を育成した品種群をガーデンシクラメンと呼びます。庭植えにできますが、霜や雪に当たると花が傷んで復活が難しいので、軒下など屋根がある場所で鉢植えや寄せ植えにするのに向きます。一般的に一年草扱いです。 庭植え用原種シクラメン 原種シクラメンは地中海沿岸の野山に自生する小型種です。霜にも強く、庭に植えっぱなしで毎年花を咲かせます。場所さえ合えば、球根がどんどん太って花数が増えていきます。もちろん、鉢植えでも育てることができます。その魅力は、 小さく素朴な花が愛らしい 葉の模様が美しい 夏に休眠する省エネ植物 手間をかけずに毎年咲く など。 特に、落葉樹の下で他の草花が休んでいる季節に主役になれるのが大きな魅力。庭の冬景色に“静かなドラマ”を生み出してくれます。 鉢植えで複数の原種シクラメンを寄せ植え。 原種シクラメンの育て方のキホン 丈夫でよく増える冬咲きの原種シクラメン・コウム。Alex Manders/Shutterstock.com 原種シクラメンは丈夫で栽培しやすい球根植物ですが、生育サイクルが他の多くの植物と異なるので、まずは生育サイクルを知ることから始めましょう。 【原種シクラメンの生育サイクル】 原種シクラメンは種類によって開花期が異なりますが、夏に休眠して秋に芽吹き、冬〜春に葉で球根を太らせるというサイクルは共通です。 秋に丸い球根の中央からつぼみが出始めた原種シクラメン・ヘデリフォリウム。 【原種シクラメンの季節ごとのお手入れ】 原種シクラメンは「少ない資源で生き延びる」性質が強いため、地植えは基本肥料不要。鉢植えは秋に少量の置き肥だけで十分。肥料のやりすぎは球根のトラブルにつながります。 ■鉢植えのコツ(初心者におすすめ) 水やり:秋〜冬は控えめに、鉢土の表面が乾いたら 置き場所:明るい日陰(北向きの玄関先など) 肥料:緩効性の置き肥を秋に少量 鉢:やや浅いタイプが理想(球根が蒸れにくい) 10年以上鉢植えで育っている原種シクラメンの巨大な球根。 浅い鉢で新しい用土に植え替え。 ■庭植えのコツ 場所:落葉樹の株元(夏は木陰、冬は光が入る理想環境) 土:水はけのよい土。腐葉土をたっぷり混ぜる 植え込み時期:秋(根が動き出すタイミング) 夏は:周りの落葉で自然に覆われ、放任でOK 肥料:基本不要。痩せ地を好み、肥料が多いと葉ばかり茂って花をつけにくい。養分過多は球根腐りのリスク 秋の初めには新芽やつぼみに光が当たるよう、雑草や落ち葉を整理して開花を促す。 【押さえたい3原則】 失敗しないためのポイント理由夏は断水して休ませる休眠期は水が多いと球根腐りの原因に水はけ・風通しのよい半日陰蒸れと直射日光を避けて健全に育つ浅植えにする球根は地表近くで光を感じて成長する 水はけと風通しをよくするために、庭では小高く土を盛った落葉樹の下に植えています。ガーデニングの最中に足を踏み入れると、土が踏み固められて、いつの間にか水はけが悪くなってきてしまうので、ところどころ石を置いてロックガーデン風にし、あまり足を踏み入れないようにも工夫しています。 おすすめ品種5選 葉の模様の美しさ、丈夫さ、冬の庭での活躍度から厳選しました。 1|コウム(Cyclamen coum) 強健で初心者向き。 丸い葉×ピンクや白の花が愛らしい 真冬〜早春に開花 2|ヘデリフォリウム(C. hederifolium) 強健で成長旺盛・群生しやすい 花後に展開する葉模様が美しい 秋に開花 3|グラエカム(C. graecum) Michalis Koulieris/Shutterstock.com 花後に展開する葉模様が芸術的 暑さ・乾燥に強いタイプ 主に秋に開花しヘデリフォリウムよりやや遅い 4|プルプラセンス(C. purpurascens) 17Aleksandr Naumenko/Shutterstock.com 夏も葉が残りやすく、日陰に強い 花色が濃く、特に香りがよい 夏から秋に開花 5|ペルシカム(C. persicum) Plamen Peev/Shutterstock.com 強権で生育が早い 乾燥に強い 真冬から春に開花 原種シクラメンのよくある失敗と対処法 ❌ 夏に水をやる → 球根腐り→ 地上部が枯れたら、完全断水で休眠。 ❌ 深植え → 花つき悪化→ 球根は地表から上部が見えるくらいに浅植え。 ❌ 風通し不足 → 病気→ 周りの植物が混み合いすぎないように。また盛り土で高めに。 ❌ 冬に室内へ取り込む→ 室内は暖かすぎて徒長の原因。寒さには強いので基本屋外で。 原種シクラメンが映える庭デザイン例 秋冬に空くスペースをおしゃれに埋めるという発想で取り入れると、庭が一段と美しくなります。落葉樹の株元にシクラメン・ヘデリフォリウムをかたまりで植えます。開花期は地面から湧き上がるような躍動感が庭に演出できます。 落葉期は光が差し込み、春〜夏は木陰ができるため、夏の休眠を守り、冬に見どころを作る理想の植栽位置です。冬の庭が「沈黙」ではなく「静かな賑わい」を感じられるエリアに。 八重咲きクリスマスローズの株元に、かわいいピンクの原種シクラメン・コウムを寄り添うように配置。冬の主役、クリスマスローズと、地面を彩るシクラメン、それぞれが役割をこなし立体的な景観を生み出しています。“背の高い植物の足元にポイントカラーを置くこと”で、冬〜早春の地際の寂しさをなくすテクニック。 テラコッタ鉢に植えた原種シクラメンを、地植えの庭に置いてなじませるスタイル。鉢の縁に近い位置で花を咲かせる性質と相性がよく、庭のどの角度からでも存在感があります。鉢なら季節に合わせて移動ができるので、日照条件の調整もしやすく初心者向き。また、花期を迎える場所に“旬の色”を連れて来られるのも利点です。 原種シクラメン栽培まとめ & チェックリスト 夏は断水で休眠させる 風通しのよい半日陰 浅植えで球根を呼吸させる 庭植えは落葉樹の下が理想 原種シクラメンは、放任でも毎年かわいい花を咲かせてくれる、頼もしい存在です。ぜひ冬の庭に迎えてみませんか?
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寄せ植え・花壇

ベランダでも玄関先でもOK! 鉢植えだけで作る大人かわいいクリスマスガーデン実例5選
庭がなくても楽しめる「鉢植えクリスマスガーデン」のすすめ 鉢やコンテナだけで作るクリスマスガーデンのいちばんの魅力は、場所を選ばないこと。地面を掘ったり大きな樹木を植えたりしなくても、玄関前の一角やベランダ、駐車場のコーナーなど、わずかなスペースがあれば始められます。 また、鉢植えならレイアウトを自由に変えられるのもポイント。ツリーの足元に鉢を集めてにぎやかに見せたり、玄関ドア横にお気に入りの寄せ植えを並べて“ウェルカムコーナー”を作ったりと、気分やイベントに合わせて簡単に模様替えができます。 今回は、そんな鉢植えならではの柔軟さを生かしたクリスマスガーデンのアイデアを、実際の写真とともにご紹介します。 アイデア1 鉢植えツリーを主役にする もみの木(コニファー)+大鉢で「庭のクリスマスツリー」 まずは、写真のように大鉢に植えたツリーを主役に据えるアイデアから。鉢に植えたモミやコニファーを、庭の一角やアプローチ脇に置くだけで、そこが一気に“クリスマスのステージ”になります。 ポイントは、ツリーと鉢のボリュームをしっかり出すこと。樹高は人の目線よりやや低め~同じくらい、高さ1.2〜1.5mほどあると存在感が出ます。鉢は写真のように、どっしりとしたテラコッタや大型コンテナなど、安定感のあるものを選びましょう。 ツリーの根元には、白いビオラやガーデンシクラメンをぎゅっと植え込んで“雪が積もったような雰囲気”に。白い花はガラスオーナメントのきらめきを引き立ててくれるので、夜の明かりが少ない場所でも明るく見えます。 ガラスオーナメントは「種類を絞って、たっぷり飾る」 ツリーの飾りには、写真のようなガラス製オーナメントがおすすめ。透明〜シルバー系で色をそろえると、日差しを受けてやわらかく輝き、昼間の庭でも上品に映えます。 コツは、形や色のバリエーションを増やしすぎないこと。丸いボールと、アクセントにハートや星を少し加える程度にして、同じものを数多く吊すと、統一感が出て“プロっぽい”印象に仕上がります。 風の強い場所では、麻ひもやリボンを短めにしてしっかり結び、枝とオーナメントの接点に細いワイヤーを巻いておくと安心です。 そばにもう1鉢、ツリーの株元に植えた白の花とリンクさせた鉢植えを置くと、相乗効果で一角が華やかになります。 アイデア2 ツリーの足元に鉢を集めて「クリスマス広場」を作る ツリーを主役にしたら、次は足元の演出。写真では、大鉢のまわりにさまざまなサイズのテラコッタ鉢を円を描くように並べ、ビオラや葉ボタン、ガーデンシクラメンの寄せ植えをぎゅっと集めています。 ここでのポイントは、 鉢の高さや形をバラバラにすること 色合いをある程度そろえること オーナメントを加えてアクセントに の3つ。背の高い鉢→中くらい→低い鉢と、奥から手前にかけて高さのグラデーションをつけると、どこから見ても写真映えする“小さな広場”ができます。 花色は、ツリーのオーナメントとリンクさせると、まとまりがよくなります。ガラスボールがシルバー&透明なら、足元は白〜淡いピンク系中心に。赤いボールが多いツリーなら、ワインレッドのビオラやシクラメンで深みを出すのも素敵です。 オーナメントも鉢と並べると雰囲気アップ。 アイデア3 玄関やテラスは「ワンセットの鉢」でドラマを演出 写真のように、玄関脇やテラスのコーナーには、テーブル+椅子+鉢植えのワンセットを置くと、そこだけで物語性のあるシーンが生まれます。 秋色アジサイとモミの葉のリースを壁に。 高めのポットにふんわりとシクラメンをあふれさせ、サイドテーブルの上と椅子の座面にも小さな鉢をプラス。壁にはリース、足元にはランタンやバスケットを置けば、まるで海外のクリスマスカードのような雰囲気に。 シックなピンク〜赤系で花を統一。 ここでは「色を統一する」のがポイント。花の色に共通性を持たせるか、もしくは鉢の素材や色を揃えると、素敵にまとまります。 アイデア4 テーマカラー別・寄せ植え実例 赤〜ワインレッドで“クラシックなクリスマス” チェイランサスやビオラ、カルーナ、アリッサムなど、赤〜ワインレッドの花に濃い葉色のリーフを合わせた寄せ植えは、王道のクリスマスカラー。写真のように、縦長のプランターにぎゅっと植え込めば、玄関前の主役になります。 赤ばかりだと重くなりがちなので、クリーム色や淡いピンクの小花をクッションに入れて抜け感を。ハツユキカズラなどの斑入りのリーフを混ぜると、ぐっと奥行きが出ます。 アイデア5 クリスマス後も春まで楽しむ苗選び&お手入れ せっかく作ったクリスマスガーデンは、できれば長く楽しみたいもの。写真で使われている植物は、いずれも冬から早春まで見頃が続くものばかりです。 ビオラ&パンジー ガーデンシクラメン 葉ボタン スキミア(赤いつぼみがついた低木) ヒイラギやコニファー類 などは、寒さに強く、鉢植えでも扱いやすい定番メンバー。 左は赤いつぼみの状態のスキミア。右は春に赤いつぼみから淡いピンクの花が咲いたところ。 水やりは、土の表面が乾いたら午前中の暖かい時間帯に。液体肥料は冬の間は控えめにし、春先にもう一度追肥すると、5月頃まで花を楽しめます。 じつは、この鉢植えにはチューリップの球根が仕込んであり、春になるとスキミアやパンジーの間から白いチューリップが開きます。苗を植え込んだときに球根も一緒に植えておくと、こんなふうにシーズンを楽しくバトンタッチできます。チューリップやスイセンなどの春咲き球根は、まだまだ今からでも植えられるので、ぜひ楽しい春を迎えるための準備を。 まとめ 鉢植えだけで作るクリスマスガーデンは、庭の広さに関係なく、だれでも気軽にチャレンジできるのが魅力です。ツリーの大鉢を1つ用意してもいいし、まずはお気に入りの寄せ植えを玄関前に1鉢置くだけでも、日常の風景が少し特別に見えてきます。 今年のクリスマスは、写真の実例をヒントに、ベランダや玄関先に自分だけの“小さなクリスマス広場”を作ってみませんか? きらめくオーナメントと冬の花々が、寒い季節の外時間をやさしく彩ってくれるはずです。
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一年草

【今が買い時】晩秋から初夏まで咲きつなぐ! キンギョソウが主役の庭計画
キンギョソウはなぜ晩秋〜冬の主役になれるのか? ピンクのキンギョソウを主役にした秋の寄せ植え。彩りの少なくなってきた晩秋の庭に華やぎをもたらす。 晩秋から冬は、草丈のある庭の素材が少なくなります。そのため、花壇も寄せ植えも何かと「平たく」見えがち。その平坦な風景に立体感を出すのに最適なのがキンギョソウです。直立する花穂で縦のラインを作り、パンジーやビオラ、アリッサムなど地際で低く咲く花々に対し、高さやボリュームを補ってくれます。厳冬期には花が一旦止まっても、葉が花壇や鉢植えで立体感の核に。特に葉色がダークパープルの品種は、カラーリーフとしても活躍します。 【キンギョソウの基本情報】 晩秋から翌年初夏までレンガの壁際を彩るキンギョソウ。 キンギョソウ:ゴマノハグサ科・一年草扱い(本来は多年性ですが日本では夏越しが困難) 草丈:矮性20〜30cm、中性40〜60cm、高性70〜100cm 花期:晩秋〜初夏(厳冬期は小休止)。切り戻しで再開花しやすい。 色・形:白・黄・ピンク・紫・赤・複色、一重から八重など花形も豊富。ほんのり香る品種もあり。 使い方:地植え、鉢植え、寄せ植え、切り花。 キンギョソウは管理がシンプルで初心者も育てやすい花 光:4時間以上の日照があれば、徒長することなくきれいな株姿に。 剪定:咲き切った花穂を半分ほどでカット(切り戻し)すると、脇芽が出て春に開花の再ラッシュ到来。切り戻した後には肥料をやると元気になります。 肥料:厳冬期は控えめに。春から液肥を定期的に与えると花もちアップ。 トラブル:密植すると病気が発生するので、透かし剪定をして風通しよく維持。草丈が高くなり、温度が上がってくると倒れやすくなるので、必要に応じて竹ひご支柱で目立たないように支えてあげましょう。 キンギョソウを使った季節横断寄せ植えレシピ 晩秋から冬を越え、翌年のバラが咲く頃まで、主役と脇役を演じながら季節をつなぐキンギョソウの寄せ植えをご紹介します。鉢の中の植物を総入れ替えするのではなく、使えるものは残して、少しずつ植物を入れ替えていくのがポイント。 晩秋はコスモスと、冬はカラーリーフとして、初夏は主役に 直径70×高さ50cmの大鉢。玄関脇の目立つところに置いて季節感を演出。 秋は高性のコスモスを鉢の中心に。赤い花のキンギョソウ‘ブラックプリンス’はコスモスの周囲に、サブメインとして彩りを添える存在です。ほかに秋らしい素材として、ダリア、ソラナム・パンプキン、観賞用トウガラシとともに。鉢縁の周りを紫の小花のブラキカムでぐるりと囲んで整えます。 真冬の厳冬期にはキンギョソウは小休止。一旦、茎を切り戻して黒い葉をカラーリーフとして活かします。中央にはピンクの花が咲く低木のピメレア‘フォーシーズンズ’や紫の花のベロニカ‘グレース’で高さを補って。新たにパンジーやビオラ、スキミア、チェッカーベリーで彩りをプラス。花は少ないものの、鉢縁のブラキカムは残しておきます。冬の間はどの植物もあまり生育しないため、やや多めに詰め込んでおいたほうが見栄えはGood。この季節は寒いので、蒸れや害虫の心配はありません。 翌年の春、鉢の中央部からはキンギョソウが丈高く伸びてきました。周囲のパンジー、ビオラ、ブラキカムもふんわり咲いて鉢から溢れんばかり。春になり暖かくなると、一年草は一気にボリュームを増してきます。こうなってきたら、いくつかの植物を抜いて、別の場所で再利用します。 初夏のバラの咲く頃、赤い花穂のキンギョソウが大鉢を華やかに彩ります。この頃の花は草丈が高く、茎先にボリュームたっぷりに咲くため倒れやすくなります。この鉢では円形のプランツサポートを用い、株の周囲を囲って株全体を支えています。パンジー、ビオラの代わりにペチュニアとヒューケラでパープルを。ブラキカムも再び鉢からこぼれ咲いて個性あふれる姿に。 パンジー&ビオラと主役をバトンタッチ 直径60×高さ48cmの大鉢。左は冬、右は翌年の春。 白いキンギョソウを鉢の中央に。茎が直立するネメシアやギョリュウバイで中景を作り、草丈の低いパンジーやアリッサムでこんもりさせ、斑入りアイビーやハツユキカズラを垂れさせてバランスを整えました。冬は草丈の高いキンギョソウが主役。春先は2倍ほどのボリュームに育ったパンジー、ビオラへ主役を交代。キンギョソウは、花が終わったら一旦切り戻しておきます。 バラの頃には再びキンギョソウが満開に。中景をフロックス、デージーでつなぎ、パンジーの代わりに初夏はペチュニアでこんもりさせます。アリッサムはどんどん垂れてくるので、間引くように剪定すると形を保つことができます。 冬は“赤の面”で暖かく、初夏は“縦ライン”でバラの伴走者に 左は冬の花壇、右は同じ場所の初夏の風景。 日照が少なく色が沈みがちな冬は、赤色の花で面を作ると一気に華やぎます。クリスマスからお正月にもぴったりの色です。つるバラ ‘スノーグース’の赤い実が絡む柱の足元を、パンジーやチェッカーベリー、キンギョソウ、ストックで赤色の花壇に。 初夏は草丈高く育ったキンギョソウの赤い花が‘スノーグース’の真っ白な花と共演します。足元はサルビアやデルフィニウム、ロベリアなどの寒色でコントラストを。同じキンギョソウでも季節と組み合わせが変わるだけで、役割がスムーズにバトンタッチ。 キンギョソウのお手入れカレンダー(関東平野部目安) キンギョソウで季節をつなぐには、適期に最適の作業をすることがポイントです。季節ごとのお手入れをご紹介します。 晩秋(10月下旬〜11月下旬) 開花している苗の販売時期です。苗を入手しましょう。 場所は霜の降りにくい日なた。昼間の日照を受けて温度が保たれやすい壁際などもおすすめ。 厳冬(12月〜翌年2月) 伸びた花穂は低めにカットし、株元に光を入れましょう。 乾きにくいので水やりは午前中に、表土が完全に乾いてから。 春(3〜4月) 施肥をします。緩効性肥料をひとつまみ。また、液肥を1週間〜10日に1回定期的に。 一番花が咲き終わったら花穂を1/2に切り戻し、脇芽のつぼみを育てます。 初夏(5〜6月) キンギョソウは二番花、三番花を楽しみ、梅雨入りに抜き取ると無理なくきれいに楽しめます。 管理のコツは3つの「S(Shear・Sun・Supply)」 1. 切る/Shear 花穂の下から花が茶色く枯れてきて、花がついていない隙間が増えたり、花穂全体が前かがみに傾いてきたら、花穂をカット。カットするときは草丈の1/2を目安に。 2. 光/Sun 日照不足は徒長や病気の原因になるので、冬でも4時間以上の直射が確保できる場所に植えましょう。 3. 養分・水/Supply 冬は肥料をあまり吸い上げないので、控えめに。春から肥料を再開します。水やりは朝、鉢底から流れ出るまで。厳冬の場合は回数を減らしましょう。 Q&Aよくある失敗と対処 Q1. 穂がだらっと倒れます。 A. 徒長や風当たりが原因です。1/2で切り戻し+斜め支柱で補強。日照4時間以上を確保します。 Q2. 花数が少ない/花が小さいです。 A. 肥料不足か根詰まりが原因です。緩効性肥料を追肥し、春は液肥を定期的に。根が回っていたら1回り大きい鉢に植え替えを。 Q3. すぐ見栄えが悪くなります。 A. 花がらを放置するとタネを作り、株が衰えます。花穂の下から枯れ上がってきたらカットして花がら摘みをしましょう。 Q4. ヒョロ長く徒長します。 A. 光不足か窒素過多が原因です。より明るい場所に置き、液肥は回数を控えめに。風通しを確保。 Q5. 雨のあと花がネチャッとします。 A. 低温多湿が原因です。汚れた花穂を深めに切り取ります。雨の当たり具合を減らし、花がらをためないように。 Q6. つぼみが歪む/葉が食われます。 A. 春になるとアブラムシ・ヨトウムシの被害が出ることがあります。初期は手で除去、多発時は薬剤。ヨトウムシは昼間は活動していないので、表土を浅く掘ってチェック。 Q7. 下葉が黄ばみ、株元がグラつきます。 A. 過湿・排水不良が原因の根腐れです。傷んだ根を整理し、水はけのよい土へ。軽石小粒を1〜2割混ぜ、受け皿の水を残さないように。 Q8. 二番花がなかなか咲きません。 切り戻しが浅いか、肥料切れです。思い切って1/2まで切り戻し、液肥を週1+しっかり日光を当てましょう。 キンギョソウは“切って、光を当て、少し足す”だけで季節をまたぐ 晩秋に仕込んだ1鉢を基点に、冬は色を絞って凛と、春は脇芽のラッシュで華やかに、初夏は再び華やかに。無理なく少しずつ差し替えるだけで、庭の入り口やテラス前が半年以上続く見どころになります。次の週末は、主役の苗を手に入れて“季節をリレーする寄せ植え”を始めましょう。
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ガーデンデザイン

晩秋の庭に色の灯りを|夏植えて、秋にいちばんきれいになるカラーリーフの使い方
秋は“色で灯す”庭づくり 夕暮れに映える暖色の理由 燃えるような赤いコリウスが秋の庭のメリハリに。 私の好みの花色は、淡いピンクや、やさしいペールトーン。ですから、春の庭はバラやポピー、バーバスカムなどでふんわりと彩られていますが、秋は一旦自分の好みを脇に置いて植物のセレクトをします。日が傾き、影が長くなる秋は、淡い色の植物は輪郭がぼやけやすく目立ちにくくなるため、赤やオレンジ、深い紫のような強めのカラーで組み合わせをします。遠目や室内からでも目に入る色を少し増やすだけで、庭全体にメリハリが生まれ、夕暮れの光に呼応するようにやわらかく輝きます。 花が少ない季節はカラーリーフで面をつくる 赤いコリウスとピンクの穂のミューレンベルギアの共演。夕方の光に色が冴え渡る。 春のように花の数が多くない秋は、葉の美しい植物が活躍します。葉色の面(コリウスやアルテルナンテラ)+穂の揺れ(グラス類)で、色のボリューム感が増します。そこに花を点で少し加えるだけで、見応えは十分。 夏に仕込み、秋に輝く主役たち 秋に美しく庭を彩る植物は、梅雨前後に植えます。ですから、夏越しできることがセレクトの条件。鳥取県米子市の夏は非常に暑く、7〜8月の約半分は35℃以上になるため、耐暑性に優れている植物を選ぶ必要があります。過酷な夏を乗り越え、私の庭で活躍する秋の庭の主役たちをご紹介します。 「色の面」をつくってくれるコリウスとアルテルナンテラ コリウスとは:シソ科の非耐寒性多年草。和名ではキンランジソ、ニシキジソと呼ばれるとおり、初夏から晩秋まで鮮やかな葉色で庭を彩ってくれます。葉色、葉模様のバリエーションだけでなく、葉の大きさも大小さまざまなものがあります。 使い方:30〜40cm間隔で、複数苗を塊で植えておくと、秋に「色の面」になってくれます。植栽の縁には小葉の品種を、後ろには大葉の品種を植えておくと立体感が生まれます。 夏の雑草対策にも:夏はそれほど大きく生育しませんが、コリウスを植えておくと土の露出が減るので雑草対策にもなり助かります。 管理:秋になるまで花は咲かないため、花がら摘みの必要がなく、夏の庭をローメンテナンスで維持するのにもおすすめ。秋になり気温が下がってくると、急にグッと株が大きくなって存在感が増し、庭の主役として活躍してくれます。11月は花が咲いてきます。花もきれいなので開花を楽しみたいのですが、咲かせすぎると株の見頃が終わりに近づくので、少し切ってもいいでしょう。多年草ですが寒さには弱いので、葉が傷んできたら抜き取ります。 左/アルテルナンテラ‘赤穂’。右/アルテルナンテラ‘ファニードレス’。 アルテルナンテラとは:アルテルナンテラはヒユ科の非耐寒性多年草。鮮やかなワインレッドやマーブルカラー、まるで花のように見えるフォルムのものなど、葉色も葉姿も草丈も、豊かな個性を持つカラーリーフです。高温多湿に強く、ほとんどの場所で問題なく育ちます。 使い方:コンテナや花壇の縁取りなどに活躍します。夏の間、寄せ植えに使ったものを秋に地植えして、2度楽しむこともあります。地植えする場合は、株間20〜30cmで。 管理:地植えでは基本的に水やりも肥料も必要としませんが、極端に乾く場合は朝に水やりします。気温の低下とともに生育が緩慢になり、霜や凍結にあうと枯れるので抜き取ります。 アルテルナンテラ‘ピンクシェード’。季節によって葉色が変化し、夏は緑にピンクの斑入り(左)、秋は鮮やかなワインレッド(右)になる。 切り戻しで見頃を長くするサルビア サルビア‘インディゴ・スパイア’やサルビア・ガラニチカなど、青や紫の花色が秋の空気によく冴える。 サルビアとは:サルビアはシソ科の耐寒性多年草と一年草があります。ここでは多年草のほうをご紹介します。暑さにも寒さにもとても強く、年々株が大きくなります。草丈・株張りが80〜100cmになるものも多く、庭の骨格となる植物です。開花期は品種によってさまざまですが、秋は多くの品種が美しく咲き揃います。 使い方:サルビアの紫やブルーは、赤やオレンジの強い色を受け止め、色調をクールダウンさせるのに活躍してくれます。草丈や花穂の長さの異なる品種を混ぜると、同色でも庭の表情が豊かになります。 管理:開花期の長いタイプのものは、高温期を避けて置き肥を定期的に施すと花がよく咲きます。酷暑の後に株のボリューム調整として、透くように切り戻し剪定をすると、秋に美しい株姿で咲きます。11月になって花穂の色が褪せてきたら、花穂の基部でカットすると脇芽が出て鮮やかな色に更新します。 左/サルビア‘ロックン ディープパープル’。ガクや軸が黒くシックな雰囲気。晩春から初冬まで花期が長い。右/サルビア‘アズレア’は秋の開花期までに切り戻しを2〜3回繰り返すと、脇芽が増えて花がたくさん咲く。 ポンポンかわいいセンニチコウ センニチコウとプレクトランサス、マム、セロシア、ジュズサンゴ‘絣’を組み合わせた花壇。 センニチコウとは:センニチコウはヒユ科の一年草。丸いカラフルなポンポンは花そのものではなく苞(葉の一種)なので、観賞期間が初夏から晩秋までと長いのが魅力。 使い方:複数株をまとめて植えると愛らしさが際立ちます。株間は20〜25cm。花壇の手前や鉢植え、寄せ植えなどで活躍します。切っても苞は鮮やかな色を保ちやすく、鮮やかなうちにカットするとドライフラワーとしても楽しめます。 管理:茶色く変色してきたものが目立つようになってきたり、伸びすぎて株姿が乱れてきたら、切り戻して形を整えます。バッサリ短くするのではなく、透くように切り戻すと脇芽が出て晩秋まできれいな株姿で咲きます。11月は咲き進む前の花をカットして、束ねて逆さ吊りにすればきれいなドライに。 配置の魔法で奥行きを 家の中からも庭を眺める時間が長い季節なので、室内からの視点を意識して奥に強い色を配置。目が留まるポイントがS字になるようにするとより奥行きが感じられ、庭を歩いても、窓からの眺めも楽しくなります。鮮やかな植物のほかにも、オブジェや寄せ植えした鉢を庭の中に置いても、フォーカルポイントになります。 左/バードバスは庭になじむオブジェ。右/トウガラシのラウンドブーケを庭の奥のガーデンシェッドに飾って。赤色が遠目からもポイントに。 庭の中ほどには大鉢を置き、季節に合わせて寄せ植えを作ります。秋はキクを主役にした暖かな色合いの寄せ植えに。地植えにすると草丈が低く目立たない植物も、高さのある鉢に植えると庭の色彩構成の1つとして活躍します。 花材:クリサンセマム‘ア・ラ・モード アプリコット’、アルテルナンテラ‘須磨’・‘赤穂’、ジュズサンゴ‘絣’ 来年のための仕込みメモ 植え付けは梅雨前後、盛夏はマルチ、初秋にボリューム仕上げ 4〜6月:苗の確保と定植。色の面を意識して、株間をとりつつ複数苗をまとめて植える。 7〜8月:地植えでは、根付いた後は基本的に自然の降雨でOK。猛暑で渇水するときは株元を刈り、草やバークでマルチング。水やりは朝に。センニチコウを花がら摘みを兼ねて透かし剪定。 9月:風通しを確保するためにサルビアは透かし剪定を。 10〜11月:マムやプレクトランサス、コスモスなどを差し色として投入。 秋になってからコスモスやプレクトランサスを加えると、より季節感がアップ。 夏に植えて秋に本領発揮する植物の共通点は、シソ科とヒユ科のもの。耐暑性に優れ、植えておけば地面を覆って夏の間の雑草対策としても活躍します。コリウスやアルテルナンテラなどのカラーリーフ類を主役にすることで、花がら摘みの手間も必要なし。花が少ない季節こそ、カラーリーフを上手に使えば、晩秋の庭はもっと輝きます。
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置くだけで“一気に秋映え”。カボチャと小花でつくる大人のハロウィン庭
クリニックのハロウィンガーデン ここは鳥取県米子市のとあるクリニックの庭。待合室から眺められるこの庭は、長い待ち時間を少しでも楽しく過ごしてもらえるように——という思いで、院長夫人の面谷ひとみさんとガーデナーの安酸友昭さんが丹精込めて手入れしています。季節のイベントに合わせた演出は、患者さんはもちろん、道行く人からも大人気。この記事では、その実例から学ぶ配置・色合わせ・小ワザをご紹介します。 庭を丹精する面谷ひとみさんと安酸友昭さん。巨大カボチャを持ち上げて「重いんです〜」と面谷さん。 “主役スポット”はカボチャの山×黒 ここは待合室から最もよく眺められる場所で、屋外の通路からも庭の様子が見えます。このような視線が集まる場所に「収穫の山」を作ると、一気に季節感が立ち上ります。 【手順】 下ごしらえ:落ち葉を掃き、藁や麻マットを敷いて“収穫感”のあるベースを作る。濡れや泥の付着も防ぎ、実のもちがよくなります。 サイズ順で三角構図:大→中→小の順に、手前になるほど小さく。高さのある山が1つできると写真映え。 色と質感の足し算:オレンジのカボチャに対して、黒い鉢や黒葉(トウガラシなど)を植えた鉢を添え、コントラストで引き締め。 “隣役”の寄せ植え:軽やかな小花の寄せ植えで、重さを中和します。鉢内にミニカボチャを飾っても◎。 黒い大きな鉢は、じつは元はテラコッタ。黒と金で塗装し、表情一新。 【置き方のコツ】 大玉は地面にベタ置きせず、藁などを敷いて腐敗予防。 形や表情の違う実を7:3の量感でミックス(定番オレンジ7、斑入り・白・グリーン3)。 植木鉢で“高・中・低”のハロウィン舞台 庭の入り口など人が通るスペースは、縦空間を使ってカボチャを飾るのがおすすめ。植木鉢やレンガで簡単に立体舞台が作れます。 【手順】 下ごしらえ:大中小の植木鉢を並べ、大には藁を敷いてカボチャをたっぷり詰め込みます。残り2鉢には黒葉のトウガラシを植栽。もう1鉢にはカボチャを飾って。 素材のレイヤー:テラコッタ(マットな質感)×藁(ラフな質感)×カボチャ(すべっとした質感)で質感のレイヤーを。風景にリッチ感が生まれます。 小道具使い:魔女を連想させる、ほうきを立てかけて。縦のラインを作って、遠目でもサインに。 玄関はハロウィンカラーの寄せ植え×カボチャ 1日に何度も行き来する玄関前にもハロウィンの楽しい演出を。寄せ植えの花とカボチャを色で呼応させると印象的なコーナーに。ハロウィンカラーといえば、オレンジ×ブラック。ワインレッドもマジカルな雰囲気アップ。 寄せ植えに使った花材 ◾️横長鉢の寄せ植え/八重咲きジニア‘プロフュージョン ダブルファイヤー’、ペンタス‘バイオレット’、セロシア・インテンツ‘ディープパープル’、アカバナセンニチコウ‘パープルナイト’ ◾️六角形の鉢の寄せ植え/ソラナム・パンプキン、トウガラシ‘オニキス マジックオレンジ’、コプロスマ 通路は“点置き”で回遊演出:庭全体がフォトスポットに 庭の植栽帯の中や小径などにはカボチャを「点置き」。1.5〜2mのテンポで置くと、歩くたびに発見が生まれ、庭全体も楽しい雰囲気に。 花壇の隙間にそっと差し込むように置くと、植栽が一段とにぎわいます。S字を意識して視線導線を作るのがコツ。置きすぎて“面”になると、風景を遮るので注意。 カボチャ×「ちょい個性」が相性抜群! カボチャは「形も色も主役級」のオーナメント。だからこそ、その存在感に釣り合う“ちょい個性”を合わせると、庭全体が締まり、写真に撮っても負けません。 Ⅰ|ワインレッド&オレンジの“ヴィヴィッド同盟”で熱量を足す ねらい:カボチャのオレンジを“同系色で受ける→濃色で締める”。 左/ケイトウとジニアの寄せ植え。右/ワインレッドの穂が美しいアマランサス。 左/ジニアとコスモスの花壇にカボチャを忍ばせて。右/ソラナム・パンプキンとジニア、セロシアの寄せ植え。 おすすめ: ワインレッド…ケイトウ(セロシア)、アマランサス、ジニア、コスモス、銅葉ベゴニア オレンジ…ジニア、マリーゴールド、ソラナム・パンプキン Ⅱ|補色の“紫小花”でクールダウン&奥行きづくり ねらい:オレンジの補色=紫で色温度を下げて大人顔に。小花のほうがカボチャを引き立て、上手に脇役をつとめます。 左/プレクトランサスとコスモス、カボチャの共演。右/ベロニカ・グレースでカボチャを囲んで。 おすすめ:サルビア、プレクトランサス、ベロニカ・グレース、ペンタス、アゲラタムなど。 ワンポイント:縦細ラインの紫小花は丸いカボチャと引き立て合い、視線の上部誘導にもお役立ち。 Ⅲ|大判リーフ「ガーデンカラジウム」でメリハリ ねらい:カボチャの丸みに対して、大きなハート形の面と血管のような葉脈を合わせ、造形美を対比で強調。ガーデンカラジウムは夏から活躍するカラーリーフ。夏から秋まで庭を彩る“季節ブリッジ”として活躍。 色合わせ:白地、ピンク脈 → コスモスやケイトウのピンクとつなぎ、甘辛ミックスに。 管理:夜温15℃以下で生育失速。乾き気味に管理し、霜前に塊茎を掘り上げて鉢植えで室内管理すれば来季も活躍。 すぐ真似できる小さく作るハロウィン演出 寄せ植え+ミニカボチャ ◾️材料/ビオラや秋色ペチュニア、センニチコウなど秋の花苗2〜3種、ミニカボチャ2〜3個。 ◾️ひと工夫/彩度の高い色は1色だけ濃くすると寄せ植えが締まります。カボチャは鉢の縁へ配置し、脇にも1個置くと内外で呼応し印象的に。あれば石のオーナメントも一緒に飾ると雰囲気アップ! ミニカボチャ+赤い木の実 ◾️材料/ミニカボチャ10〜15個、藁(麻ひもでも代用可)、ピラカンサやナナカマド、バラなどの赤い実もの少量。 ◾️ひと工夫/鉢やバードバスに藁を敷き、カボチャを置きます。鉢縁に赤い実を少量。夜はミニライトを当ててもかわいいです。 花壇に足元トリオで可愛げプラス ◾️材料/ミニカボチャ3個 ◾️ひと工夫/花壇の主役株の足元に並べます。周囲にカボチャの補色カラー(紫系)のビオラなどを少量加えると、鮮やかさアップ。 ミニカボチャの段違い置き ◾️材料/ミニカボチャ4〜8個 ◾️ひと工夫/ガーデンテーブルや壁の上にカボチャを並べます。小さい植木鉢やオーナメントを使って、ミニカボチャを並べる際に高低差をつけると写真映えもアップ。ゲルテープで軽く固定すると、風の強い日も落ちません。 長もちのコツ&後片づけ もたせる基本 カボチャの下に藁や麻ひも、麻袋などを敷くと、底の接着面の傷みが防げます。 高温多湿を避け、風通しを確保。 傷みの早い個体は差し替え前提で数個ストック。 傷みのサイン 表面の柔らかさ・黒ずみ・カビのにおい。1つ傷むと周りももらい腐れするので即撤去。 ハロウィン後の循環 食用種はスープやローストに。 観賞用はコンポストへ。 種取りして来年の育てる楽しみに。 まとめ 置くだけ、少し植える、そして回遊させる。たったこれだけで、庭は季節のステージに変わります。面谷さんのクリニックのガーデンは、「待つ時間を、眺める楽しみに変える」お手本。あなたの玄関先や小さな花壇でも、同じ仕掛けは十分可能です。今年のハロウィンは、パンプキンの“群れ”と小花の“ささやき”で、やさしく心がほどける秋を演出してみませんか。
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【花壇実例5】この秋そろえて春に満開! チューリップ×一年草の色合わせレシピ
30秒で分かる! 春のチューリップガーデンの基本の考え方 ◾️主役はチューリップ。チューリップは、この季節の草花の中では草丈が高いので、花壇の中〜後景を担います。花壇の縁取りやチューリップの足元を隠す前景として、草丈の低い一年草と合わせるのがベスト。 ◾️色合わせのコツはブルー。チューリップに合わせる一年草は、同系色、補色、白なら間違いなく調和します。さらに、ブルーがポイント。ブルーはチューリップにはない色で、後退色(視覚的に奥に引っ込む)なので、主役を引き立てつつ全体を整える最強の助演色。また暖色系の花が多い春の庭で、ひと息冷まして品よくまとめる効果があります。 ◾️チューリップの球根は今買う。チューリップの球根は、9〜10月が最も店頭在庫が豊富。ただし、植えどきは15℃を下回る日が続く11〜12月以降です。植えどきにはチューリップの在庫が少なくなっているので、球根は今買って植えどきまで保管しておきます。組み合わせるパンジー、ビオラなどの一年草も11〜12月に魅力的な品種が出揃ってきます。 【実例解説1】間違いなしの同系色パンジーとの組み合わせ 白とワインカラーのチューリップ‘リミニ’の株元に同色のパンジーを配植。主役のチューリップを10〜15球、株元にパンジーを2〜3株。同色でまとめると、印象的なコーナーが作れます。10号ほどの鉢植えでも再現可能。パンジー・ビオラは11〜12月に魅力的な品種が出揃ってきます。パレットのごとく色合いが豊富なので、先にチューリップの色を決めておけば、必ずぴったり合うものが見つかります。チューリップとパンジーの素材が手元に揃ったら、紅葉の頃を目安に植え込みます。先にパンジーを植えてから球根を植えると、球根を傷つける心配がありません。 4月中旬以降に咲いてくる遅咲きのチューリップ‘レモンシフォン’とイエロー&ブラウンのパンジーの組み合わせ。 【実例解説2】赤チューリップを主役、白を「肩」に、少量のブルーで締める小道 ◾️主役/チューリップ‘ラスティングラブ’。小道に沿って、左右にチューリップを配置。整然と1列に並んで咲くと不自然なので、球根を前後左右に半歩ずらしつつ、ところどころ2球一緒に植えるなどしてナチュラルさを目指します。 ◾️脇役の白花/アリッサム、パンジー、アリウム・コワニー、フランネルフラワー。アリッサムやパンジーは小道の縁取りに。アリウム・コワニーとフランネルフラワーはチューリップの「肩」に配置することで、主役をくっきり際立たせます。 ◾️アクセントのブルー/ネモフィラ、パンジー、ルピナス‘ピクシーデライト’。少量点在させることで赤の熱量がクールダウンされ、奥行き感もプラスに。 ◾️低・中・高の三層構造/主役のチューリップを真ん中に、地際レベル(低)ではブルーや白の花が彩り、高レベルは次シーズンの宿根草の緑の葉が展開し、主役の背景を務めるという三層構造がスッキリ見えるポイント。 【実例解説3】ワイン×白のチューリップ+空色小花の帯状植栽 ◾️主役/チューリップ‘リミニ’。ワイン×白のチューリップを前後左右に半歩ずらしつつ、ところどころ2球一緒に植えるなどしてリズム感を出しながら帯状に植栽。 ◾️中景ブルー/デルフィニウム ‘チアライトブルー’。ワインカラーをクールダウンしながら、奥行き感をプラス。デルフィニウムは春先に店頭に並ぶポット苗を、チューリップの隙間に植栽していきます。春先の苗はまだ線が細く、その他の宿根草もまだ小さいので間に入れ込むことができます。 ◾️低・中・高の三層構造/高さレベルはここでも基本三層構造。主役のチューリップを真ん中に、地際レベル(低)ではパンジーが彩り、高レベルは次シーズンの主役となるバラの葉が背景を務めます。 帯状のチューリップ植栽が奥のガーデンルームへ向かって視線を一直線に導きます。左はブルーの花が、右は白の花がチューリップの脇役に。 【実例解説4】コーラルのチューリップ+濃淡ブルーの春色レーン ◾️主役/チューリップ‘アプリコットインプレッション’。コーラルのチューリップを前後左右に半歩ずらしながら帯状に植栽。 ◾️前景に淡ブルー/ネモフィラ。前景にネモフィラの淡いブルーを面で置き、主役色をふんわりやさしく冷まします。 ◾️中景に濃ブルー/デルフィニウム‘チアブルー’、ルピナス‘ピクシーデライト’。チューリップの間に濃いブルーの花を点で少量配置。画をキリッと引き締める効果が。 ◾️ブルーの二層使い/手前に淡いブルーを「面」で、ところどころに濃いブルーを「点」で植栽。役割を分けて用いることで、青が多くても寒々しくなりません。 【実例解説5】白いチューリップの鉢植えで庭のフォーカルポイントづくり ◾️主役/白色のチューリップ。明度の高い白色のチューリップは遠目でも視線が留まりますが、鉢植えにして高さを上げることでより留め色としての効果をアップし、庭の入り口のフォーカルポイントに。7〜9球を鉢の中心部にまとめて植栽しています。 ◾️株元の彩り/アンティークトーンのパンジー。白色のチューリップだけだと鉢と上部がくっきり分かれてしまいますが、鉢縁にパンジーを入れることで一体感が生まれます。テラコッタの鉢に合わせて、アンティークカラーのパンジーをチョイスし色温度を整えて。 ◾️見頃のもちアップ/4月の2〜3週間を彩るチューリップにパンジーを加えることで、鉢植えの見頃を2〜5月初旬まで長もちさせます。 チューリップとの組み合わせにおすすめの一年草 【パンジー・ビオラ】 小輪からフリルの大輪までさまざまな花形があり、色も単色からグラデーション、覆輪など多種多様。10月〜翌年2月まで苗が出回ります。草丈は10〜20cm。咲き終わった花を摘むこと(花がら摘み)で、開花期間を5月頃まで伸ばすことができます。春以降は定期的に液肥を与えると花色も鮮やかで、花の上がりもよくなります。 【デルフィニウム‘チア’シリーズ】 春先から花を咲かせる小型のデルフィニウムで、色はブルーの濃淡や白があります。春先の草丈は50cm程度で、チューリップの花と上手に共演し、バラが咲く頃も残ってくれます。苗は早春に出回ります。 【ルピナス‘ピクシーデライト’】 草丈30cm程度のコンパクトなルピナス。下から咲き上がってくる穂状花がチューリップの株元を愛らしく彩ります。色はブルーやピンク、白などがあり、苗は早春に出回ります。タネでも入手可能。 【ネモフィラ】 やわらかなブルーの花びらが特徴で、春になると空のように澄んだ花が一面に咲き広がります。草丈は10〜30cmとコンパクトで、花壇の前景にぴったりです。苗は早春に出回ります。タネでも入手可能。 【ワスレナグサ】 径5mmほどの小さな花を3〜5月にかけて咲かせます。草丈10〜40cmで暖かくなるにつれ草丈も株幅も大きくなります。花色はブルーが一般的ですが、白やピンクもあります。苗は早春に出回ります。タネでも入手可能。 【オンファロデス・リニフォリア】 草丈10〜40cmで華奢な茎に花径1cmほどの小さな白い花を咲かせます。カスミソウに似た繊細な草姿で、レースをかけたようなエレガントな雰囲気を庭に演出してくれます。苗は早春に出回ります。タネでも入手可能。 チューリップガーデンのお手入れカレンダー 植える前(秋) 用土づくり:球根が腐らないように排水性を優先させ、庭植えの場合は既存の土に完熟堆肥1~2割+パーライト1割を混ぜる。鉢は培養土6:赤玉小粒3:パーライト1を目安に。 元肥:控えめにして、球根に触れない位置に混ぜます。 植え付け:紅葉を目安に、最低気温15℃以下の日が1週間程度続いたら植栽してOK。深さは球根の高さの2~3倍。球根同士の最低間隔は球根1個分。 水やり:植え付け直後にたっぷり1回。以降は過湿NG。 冬~芽出し(12月~翌年2月) 水やり:庭は降雨任せ。鉢は表土が乾いて2~3日してから。受け皿には水を溜めない。 マルチング:霜が降りる場合はバークやワラなどで対策。 追肥①:芽が動いたら薄い液肥(500~1,000倍)を2~3週間おきに与える。窒素過多は徒長の元なので気をつける。 春の見頃直前(3~4月) 支え:背の高い品種や風当たりの強い所は細い支柱で茎元を軽く留める。 病害虫:灰色かび病は水はけ×通風で予防。発症株は速やかに撤去。アブラムシは見つけ次第、除去して広げないように。 開花期(4~5月) 花がら摘み:咲き終わった花は花首のすぐ下で切り、タネを作らせないようにする。 灌水と追肥②:鉢は乾きやすいので、朝1回たっぷりと。液肥は花後2週間まで継続。 花後~初夏(5~6月) 園芸品種の多くは、夏越ししても翌年に同じ花が咲くとは限らないので、抜き取って次のシーズンの花に切り替える。掘り上げて球根を翌年も再利用したい場合は、次の手順で。 掘り上げ手順:葉が7~8割黄変した頃に球根を掘り、根と土を落として陰干し3~7日→ネット袋で風通しのよい冷暗所保管(20℃以下目安)。 球根選別:固く重いものだけ残す。小さすぎる分球は養成用に別管理。 春のチューリップガーデンづくりを開始しよう! チューリップの品種は6,000種以上あるといわれていますので、その中からお気に入りを探すのもガーデニングの大きな楽しみの1つです。お気に入りが見つかったら、それに合わせて草花も選びましょう。迷ったら主役をチューリップにし、白で輪郭を立て、ブルーで温度を整える——この三本柱だけでも、春の景色は見違えます。小さな“点のブルー”と“肩の白”を置けば、どの庭でも上品に締まりますよ。さあ、さっそく春のチューリップガーデンづくりを始めましょう。





















