置くだけで“一気に秋映え”。カボチャと小花でつくる大人のハロウィン庭
ハロウィンの主役は、植えるより「置く」ほうが簡単で映える——。パンプキンをどさっと集めた“フォーカルポイント”と、通路や花壇に点置きする“回遊デコ”を組み合わせれば、庭全体が一気に秋モードに。藁マットや黒い鉢、カラーリーフを効かせると大人っぽく仕上がります。大きな庭でも小さな庭でも真似できるハロウィンのアイデアを、鳥取県米子市のガーデニスト面谷ひとみさんの庭を実例にご紹介します。
目次
クリニックのハロウィンガーデン

ここは鳥取県米子市のとあるクリニックの庭。待合室から眺められるこの庭は、長い待ち時間を少しでも楽しく過ごしてもらえるように——という思いで、院長夫人の面谷ひとみさんとガーデナーの安酸友昭さんが丹精込めて手入れしています。季節のイベントに合わせた演出は、患者さんはもちろん、道行く人からも大人気。この記事では、その実例から学ぶ配置・色合わせ・小ワザをご紹介します。

“主役スポット”はカボチャの山×黒

ここは待合室から最もよく眺められる場所で、屋外の通路からも庭の様子が見えます。このような視線が集まる場所に「収穫の山」を作ると、一気に季節感が立ち上ります。
【手順】
- 下ごしらえ:落ち葉を掃き、藁や麻マットを敷いて“収穫感”のあるベースを作る。濡れや泥の付着も防ぎ、実のもちがよくなります。
- サイズ順で三角構図:大→中→小の順に、手前になるほど小さく。高さのある山が1つできると写真映え。
- 色と質感の足し算:オレンジのカボチャに対して、黒い鉢や黒葉(トウガラシなど)を植えた鉢を添え、コントラストで引き締め。
- “隣役”の寄せ植え:軽やかな小花の寄せ植えで、重さを中和します。鉢内にミニカボチャを飾っても◎。

【置き方のコツ】
- 大玉は地面にベタ置きせず、藁などを敷いて腐敗予防。
- 形や表情の違う実を7:3の量感でミックス(定番オレンジ7、斑入り・白・グリーン3)。
植木鉢で“高・中・低”のハロウィン舞台
庭の入り口など人が通るスペースは、縦空間を使ってカボチャを飾るのがおすすめ。植木鉢やレンガで簡単に立体舞台が作れます。

【手順】
- 下ごしらえ:大中小の植木鉢を並べ、大には藁を敷いてカボチャをたっぷり詰め込みます。残り2鉢には黒葉のトウガラシを植栽。もう1鉢にはカボチャを飾って。
- 素材のレイヤー:テラコッタ(マットな質感)×藁(ラフな質感)×カボチャ(すべっとした質感)で質感のレイヤーを。風景にリッチ感が生まれます。
- 小道具使い:魔女を連想させる、ほうきを立てかけて。縦のラインを作って、遠目でもサインに。
玄関はハロウィンカラーの寄せ植え×カボチャ

1日に何度も行き来する玄関前にもハロウィンの楽しい演出を。寄せ植えの花とカボチャを色で呼応させると印象的なコーナーに。ハロウィンカラーといえば、オレンジ×ブラック。ワインレッドもマジカルな雰囲気アップ。
寄せ植えに使った花材
◾️横長鉢の寄せ植え/八重咲きジニア‘プロフュージョン ダブルファイヤー’、ペンタス‘バイオレット’、セロシア・インテンツ‘ディープパープル’、アカバナセンニチコウ‘パープルナイト’
◾️六角形の鉢の寄せ植え/ソラナム・パンプキン、トウガラシ‘オニキス マジックオレンジ’、コプロスマ
通路は“点置き”で回遊演出:庭全体がフォトスポットに

庭の植栽帯の中や小径などにはカボチャを「点置き」。1.5〜2mのテンポで置くと、歩くたびに発見が生まれ、庭全体も楽しい雰囲気に。

花壇の隙間にそっと差し込むように置くと、植栽が一段とにぎわいます。S字を意識して視線導線を作るのがコツ。置きすぎて“面”になると、風景を遮るので注意。
カボチャ×「ちょい個性」が相性抜群!

カボチャは「形も色も主役級」のオーナメント。だからこそ、その存在感に釣り合う“ちょい個性”を合わせると、庭全体が締まり、写真に撮っても負けません。
Ⅰ|ワインレッド&オレンジの“ヴィヴィッド同盟”で熱量を足す

ねらい:カボチャのオレンジを“同系色で受ける→濃色で締める”。


- おすすめ:
- ワインレッド…ケイトウ(セロシア)、アマランサス、ジニア、コスモス、銅葉ベゴニア
- オレンジ…ジニア、マリーゴールド、ソラナム・パンプキン
Ⅱ|補色の“紫小花”でクールダウン&奥行きづくり

ねらい:オレンジの補色=紫で色温度を下げて大人顔に。小花のほうがカボチャを引き立て、上手に脇役をつとめます。

- おすすめ:サルビア、プレクトランサス、ベロニカ・グレース、ペンタス、アゲラタムなど。
- ワンポイント:縦細ラインの紫小花は丸いカボチャと引き立て合い、視線の上部誘導にもお役立ち。
Ⅲ|大判リーフ「ガーデンカラジウム」でメリハリ

ねらい:カボチャの丸みに対して、大きなハート形の面と血管のような葉脈を合わせ、造形美を対比で強調。ガーデンカラジウムは夏から活躍するカラーリーフ。夏から秋まで庭を彩る“季節ブリッジ”として活躍。

- 色合わせ:白地、ピンク脈 → コスモスやケイトウのピンクとつなぎ、甘辛ミックスに。
- 管理:夜温15℃以下で生育失速。乾き気味に管理し、霜前に塊茎を掘り上げて鉢植えで室内管理すれば来季も活躍。
すぐ真似できる小さく作るハロウィン演出
寄せ植え+ミニカボチャ

◾️材料/ビオラや秋色ペチュニア、センニチコウなど秋の花苗2〜3種、ミニカボチャ2〜3個。
◾️ひと工夫/彩度の高い色は1色だけ濃くすると寄せ植えが締まります。カボチャは鉢の縁へ配置し、脇にも1個置くと内外で呼応し印象的に。あれば石のオーナメントも一緒に飾ると雰囲気アップ!
ミニカボチャ+赤い木の実

◾️材料/ミニカボチャ10〜15個、藁(麻ひもでも代用可)、ピラカンサやナナカマド、バラなどの赤い実もの少量。
◾️ひと工夫/鉢やバードバスに藁を敷き、カボチャを置きます。鉢縁に赤い実を少量。夜はミニライトを当ててもかわいいです。
花壇に足元トリオで可愛げプラス

◾️材料/ミニカボチャ3個
◾️ひと工夫/花壇の主役株の足元に並べます。周囲にカボチャの補色カラー(紫系)のビオラなどを少量加えると、鮮やかさアップ。
ミニカボチャの段違い置き

◾️材料/ミニカボチャ4〜8個
◾️ひと工夫/ガーデンテーブルや壁の上にカボチャを並べます。小さい植木鉢やオーナメントを使って、ミニカボチャを並べる際に高低差をつけると写真映えもアップ。ゲルテープで軽く固定すると、風の強い日も落ちません。
長もちのコツ&後片づけ
もたせる基本
- カボチャの下に藁や麻ひも、麻袋などを敷くと、底の接着面の傷みが防げます。
- 高温多湿を避け、風通しを確保。
- 傷みの早い個体は差し替え前提で数個ストック。
傷みのサイン
- 表面の柔らかさ・黒ずみ・カビのにおい。1つ傷むと周りももらい腐れするので即撤去。
ハロウィン後の循環
- 食用種はスープやローストに。
- 観賞用はコンポストへ。
- 種取りして来年の育てる楽しみに。
まとめ

置くだけ、少し植える、そして回遊させる。たったこれだけで、庭は季節のステージに変わります。面谷さんのクリニックのガーデンは、「待つ時間を、眺める楽しみに変える」お手本。あなたの玄関先や小さな花壇でも、同じ仕掛けは十分可能です。今年のハロウィンは、パンプキンの“群れ”と小花の“ささやき”で、やさしく心がほどける秋を演出してみませんか。
Credit
アドバイス / 面谷ひとみ - ガーデニスト -
おもだに・ひとみ/鳥取県米子市で夫が院長を務める面谷内科・循環器内科クリニックの庭づくりを行う。一年中美しい風景を楽しんでもらうために、日々庭を丹精する。花を咲き継がせるテクニックが満載の『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(KADOKAWA)が好評発売中!
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撮影・取材・まとめ / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。2026壁掛けカレンダー『ガーデンストーリー』 植物と暮らす12カ月の楽しみ 2026 Calendar (発行/KADOKAWA)好評発売中!
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