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【花壇実例5】この秋そろえて春に満開! チューリップ×一年草の色合わせレシピ

【花壇実例5】この秋そろえて春に満開! チューリップ×一年草の色合わせレシピ

春の景色は秋に仕込む! チューリップの球根と冬〜春の一年草を同時設計すれば、写真のような色合わせが誰でも再現できます。毎年、新たな色合わせでチューリップの庭づくりにチャレンジしている鳥取県米子市のガーデニスト面谷ひとみさんの庭を実例に、5つのレシピを解説。植え付けから開花後までのチューリップガーデンのお手入れカレンダー付きでガイドします。

30秒で分かる! 春のチューリップガーデンの基本の考え方

◾️主役はチューリップ。チューリップは、この季節の草花の中では草丈が高いので、花壇の中〜後景を担います。花壇の縁取りやチューリップの足元を隠す前景として、草丈の低い一年草と合わせるのがベスト。

◾️色合わせのコツはブルー。チューリップに合わせる一年草は同系色、補色、白は間違いなく調和します。さらに、ブルーがポイント。ブルーはチューリップにはない色で、後退色(視覚的に奥に引っ込む)なので、主役を引き立てつつ全体を整える最強の助演。また暖色系の花色が多い春の庭で、ひと息冷まして品よくまとめる効果があります。

◾️チューリップの球根は今買う。チューリップの球根は9〜10月が最も店頭在庫が豊富。ただし、植えどきは15℃が下回る日が続く11月〜12月以降です。植えどきにはチューリップの在庫が少なくなっているので、球根は今、買って植えどきまで保管しておきます。組み合わせるパンジー、ビオラなどの一年草も11〜12月に魅力的な品種が出揃ってきます。

【実例解説1】間違いなしの同系色パンジーとの組み合わせ

チューリップ‘リミニ’とパンジー

白とワインカラーのチューリップ‘リミニ’の株元に同色のパンジーを配植。主役のチューリップを10〜15球、株元にパンジーを2〜3株。同色でまとめると、一画でも印象的なコーナーが作れます。10号ほどの鉢植えでも再現可能。パンジー、ビオラは11〜12月に魅力的な品種が出揃ってきます。パレットのごとく色合いが豊富なので、先にチューリップの色を決めておけば、必ずぴったりの色合いが見つけられます。チューリップとパンジーの素材が手元に揃ったら、紅葉の頃を目安に植え込みます。先にパンジーを植えてから球根を植えると、球根を傷つける心配がありません。

チューリップ‘レモンシフォン’とパンジー
4月中旬以降に咲いてくる遅咲きのチューリップ‘レモンシフォン’とイエロー&ブラウンのパンジーの組み合わせ。

【実例解説2】赤チューリップを主役、白を「肩」に、少量のブルーで締める小道

チューリップの小道

◾️主役/チューリップ‘ラスティングラブ’。小道に沿って、左右にチューリップを配置。整然と一列に並んで咲くと不自然なので、球根を前後左右半歩ずらしつつ、ところどころ2球一緒に植えるなどしてナチュラルを目指します。

◾️脇役の白花/アリッサム、パンジー、アリウム・コワニー、フランネルフラワー。アリッサムやパンジーは小道の縁取りに。アリウム・コワニーとフランネルフラワーはチューリップの「肩」に配置することで、主役をくっきり際立たせます。

◾️アクセントのブルー/ネモフィラ、パンジー、ルピナス‘ピクシーデライト’。少量点在させることで赤の熱量がクールダウンされ、奥行き感もプラスに。

◾️低・中・高の三層構造/主役のチューリップを真ん中に、地際レベル(低)ではブルーや白の花が彩り、高レベルは次シーズンの宿根草の緑の葉が展開し、主役の背景を務めるという三層構造がスッキリ見えるポイント。

【実例解説3】ワイン×白のチューリップ+空色小花の帯状植栽

チューリップの庭づくり

◾️主役/チューリップ‘リミニ’。ワイン×白のチューリップを前後左右半歩ずらしつつ、ところどころ2球一緒に植えるなどしてリズム感を出しながら帯状に植栽。

◾️中景ブルー/デルフィニウム ‘チアライトブルー’。ワインカラーをクールダウンしながら、奥行き感をプラス。デルフィニウムは春先に店頭に並ぶポット苗をチューリップの隙間に植栽していきます。春先の苗はまだ線が細く、その他の宿根草もまだ小さいので間に入れ込むことができます。

◾️低・中・高の三層構造/高さレベルはここでも基本3層構造。主役のチューリップを真ん中に、地際レベル(低)ではパンジーが彩り、高レベルは次シーズンの主役となるバラの葉が主役の背景を務めます。

チューリップの庭デザイン
帯状のチューリップ植栽が奥のガーデンルームへ向かって視線を一直線に導きます。左はブルーの花が、右は白の花がチューリップの脇役に。

【実例解説4】コーラルのチューリップ+濃淡ブルーの春色レーン

チューリップ‘アプリコットインプレッション’の庭デザイン

◾️主役/チューリップ‘アプリコットインプレッション’。コーラルのチューリップを前後左右半歩ずらしながら帯状に植栽。

◾️前景に淡ブルー/ネモフィラ。前景にネモフィラの淡いブルーを面で置き、主役色をふんわりやさしく冷まします。

◾️中景に濃ブルー/デルフィニウム‘チアブルー’、ルピナス‘ピクシーデライト’。チューリップの間に濃いブルーの花を点で少量配置。画をキリッと引き締める効果が。

◾️ブルーの2層使い/手前に淡いブルーを「面」で、ところどころに濃いブルーを「点」で植栽。役割を分けて用いることで、青が多くても寒々しくなりません。

【植栽実例5】白チューリップの鉢植えで庭のフォーカルポイントづくり

鉢植えのチューリップ

◾️主役/白色のチューリップ。明度の高い白色のチューリップは遠目から見ても視線が止まりますが、鉢植えにして高さを上げることでより止め色としての効果をアップし、庭の入り口のフォーカルポイントに。7〜9球を鉢の中心部にまとめて植栽しています。

◾️株元の彩り/アンティークトーンのパンジー。白色のチューリップだけだと鉢と上部がくっきり分かれてしまいますが、鉢縁にパンジーを入れることで一体感が生まれます。テラコッタの鉢に合わせて、アンティークカラーのパンジーをチョイスし色温度を整えて。

◾️季節の持ちアップ/4月の2〜3週間を彩るチューリップにパンジーを加えることで、鉢植えの見頃を2〜5月初旬まで長持ちさせます。

チューリップとの組み合わせにおすすめの一年草

【パンジー・ビオラ】

パンジー&ビオラ

小輪からフリルの大輪までさまざまな花形があり、色も単色からグラデーション、覆輪など多種多様。10〜2月頃まで苗が出回ります。草丈は10〜20cm。咲き終わった花を摘むことで(花がら摘み)、開花期間を5月頃まで伸ばすことができます。春以降は定期的に液肥を与えると花色も鮮やかで、花の上がりもよいです。

【デルフィニウム‘チア’シリーズ】

デルフィニウム‘チア’シリーズ

春先から花を咲かせる小型のデルフィニウムで、色はブルーの濃淡や白があります。春先の草丈は50cm程度で、チューリップの花と上手に共演し、バラが咲く頃も残ってくれます。苗は早春に出回ります。

【ルビナス‘ピクシーデライト’】

ルビナス‘ピクシーデライト’

草丈30cm程度のコンパクトなルピナス。下から咲き上がってくる穂状花がチューリップの株元を愛らしく彩ります。色はブルーやピンク、白などがあります。苗は早春に出回ります。タネでも入手可能。

【ネモフィラ】

ネモフィラ

やわらかなブルーの花びらが特徴で、春になると空のように澄んだ花が一面に咲き広がります。草丈は10〜30cmほどとコンパクトで、花壇の前景にぴったりです。苗は早春に出回ります。タネでも入手可能。

【ワスレナグサ】

ワスレナグサ

5mmほどの小さな花を3〜5月にかけて咲かせます。草丈10〜40cmで暖かくなるにつれ草丈も株幅も大きくなります。花色はブルーが一般的ですが白やピンクもあります。苗は早春に出回ります。タネでも入手可能。

【オンファロデス・リニフォリア】

オンファロデス・リニフォリア

草丈10〜40cmで華奢な茎に花径1cmほどの小さな白い花を咲かせます。カスミソウに似た繊細な草姿で、レースをかけたようなエレガントな雰囲気を庭に演出してくれます。苗は早春に出回ります。タネでも入手可能。

チューリップガーデンのお手入れカレンダー

植える前(秋)

  • 用土づくり:球根が腐らないように排水最を優先させ、庭植えの場合は既存の土に完熟堆肥1~2割+パーライト1割を混ぜておく。鉢は培養土6:赤玉小粒3:パーライト1を目安に。
  • 元肥:控えめにして、球根に触れない位置に混ぜます。
  • 植え付け:紅葉を目安に、最低気温15℃以下の日が1週間程度続いたら植栽してOK。深さは球根の高さの2~3倍。球根同士の最低間隔は球根1個分。
  • 水やり:植え付け直後にたっぷり1回。以降は過湿NG。

冬~芽出し(12–2月)

  • 水やり:庭は降雨任せ。鉢は表土が乾いて2~3日してから。受け皿には水を溜めない。
  • マルチング:霜柱が降りる場合はバーク・ワラを薄いて対策。
  • 追肥①:芽が動いたら薄い液肥(500~1000倍)を2~3週間おきに与える。窒素過多は徒長の元なので気をつける。

春の見頃直前(3–4月)

  • 支え:背の高い品種や風当たりの強い所は細い支柱で茎元を軽く留める。
  • 病害虫:灰色かび病は水はけ×通風で予防。発症株は速やかに撤去。アブラムシは見つけ次第、除去して広げないように。

開花期(4–5月)

  • 花がら摘み:咲き終わった花は花首のすぐ下で切り、タネを作らせないようにする。
  • 潅水と追肥②:鉢は乾きやすいので朝1回たっぷりと。液肥は花後2週間まで継続。

花後~初夏(5–6月)

  • 園芸品種の多くは夏越ししても翌年、同じ花が咲くとは限らないので、抜き取って次のシーズンの花に切り替えます。掘り上げて球根を翌年も再利用したい場合は次の手順です。
  • 掘り上げ手順:葉が7~8割黄変した頃に球根を掘り、根と土を落として陰干し3~7日→ネット袋で風通しの良い冷暗所保管(20℃以下目安)。
  • 球根選別:固く重いものだけ残す。小さすぎる分球は養成用に別管理。

春のチューリップガーデンづくりを開始しよう!

チューリップの庭づくり

チューリップの品種は6,000種以上あると言われていますので、その中からお気に入りを探すのもガーデニングの大きな楽しみの一つです。お気に入りが見つかったら、それに合わせて草花も選びましょう。迷ったら主役をチューリップにし、白で輪郭を立て、ブルーで温度を整える——この三本柱だけでも、春の景色は見違えます。小さな“点のブルー”と“肩の白”を置けば、どの庭でも上品に締まりますよ。さあ、さっそく春のチューリップガーデンづくりを始めましょう。

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