夏の寄せ植えにオススメの一年草と綺麗に咲かせる5つのポイント
夏の間中、可愛い花が長く咲き続けて、きれいな彩りが楽しめる一年草の寄せ植え。玄関先や庭のアクセントにもなるセンスがよい寄せ植えを作るには、暑さに強く花がよく咲く一年草を組み合わせることと植え方にポイントがあります。エレガントな庭作りで人気の鳥取県のガーデンデザイナー、安酸友昭さんに上手におしゃれに仕上げる5つのポイントを教わります。
目次
Point1 アンティークカラーの花には差し色をプラス
クリーム色系統の大小のペチュニアをメインフラワーとして使った、15号ほどの大鉢の寄せ植えです。近年はアンティークカラーなど、日本人好みの渋めの色合いのペチュニアが増えており、とても魅力的です。しかし、それだけでまとめようとすると、寄せ植え自体の存在感が薄くなってしまうことがあります。渋めの色を使うときは、発色が鮮烈な花を「差し色」として少量加えると、渋めの色の花の美しさもかえって際立って見えます。ここではペンステモン‘エレクトリックブルー’が差し色として効果を発揮しています。
【使った花】
ペチュニア・プレミアムシリーズの大小2種、イソトマ、バーベナ、ペンステモン‘エレクトリックブルー’
Point2 中鉢以下では小花の「つなぎ」が活躍
こちらも渋めの色合いのペチュニア3種を用いた寄せ植えです。この鉢は先ほどの大鉢に比べて容量が小さいため、差し色を入れると目立ちすぎてバランスが崩れる可能性があります。そこで、白い小花を入れて色の沈みを解消しました。チラチラと咲き広がる小花は、他の花の「つなぎ」としても活躍し、全体を調和させる役目も担っています。ここではドリクニウム・ジャーマニカムという小花を使っていますが、ユーフォルビア‘ダイアモンドフロスト’や小花タイプのペラルゴニウムなども同様に活躍してくれます。中鉢以下で寄せ植えをする際は、こうした「つなぎ」の花を入れると、ナチュラルにまとまりやすくなります。
【使った花】
ペチュニア3種、ドリクニウム・ジャーマニカム、ハロラギンス・メタルブロンズ、ブロンズフェンネル(フェンネルは夏に向けて背が高くなるので、伸びてきたら剪定して仕立て直しながら育てます)
ユーフォルビア‘ダイアモンドフロスト’を全体に散らした鉢。紫の花はサルビア。庭の周りの植栽と引き立て合うように色を選びました。
ピンクのペラルゴニウムと白のクレオメを「つなぎ」として使った寄せ植え。ペチュニアの白とチョコレートコスモスの黒というコントラスト、草丈の高低差を調和してくれます。
Point3 周りの色とコーディネートしよう
周りの植栽に合わせて、ライムと紫の寄せ植えをつくりました。寄せ植えを置くときは、周囲の色合いもよく観察して花を選ぶと、美しい一角をつくることができます。鉢花は玄関先やベランダなど地面のないところだけでなく、庭の中でもフォーカルポイント的に活躍してくれます。地植えより目線が上がったところに花色を持ってこられるので、風景に変化をつけるのに効果的です。紫の濃淡のペチュニアはスーパーチュニアという品種で、通常のペチュニアより暑さに強く、夏中ずっと咲いてくれるコストパフォーマンスのよい花です。いずれ、中央にあるニュアンスカラーのペチュニアが暑さで枯れても、スーパーチュニアがもりもりと咲いてカバーしてくれる予定です。
【使った花】
スーパーチュニア2種、ペチュニア・プレミアムシリーズ、ラミウム、タイム(鉢下の茂みはライム色のヒペリカム)
Point4 派手色にチャレンジしてみよう!
英国には見事なハンギングバスケットフラワーで彩られた「チャーチル」という名物パブがあります。風にはためく、いくつもの英国国旗に負けないような派手な花色が使われているのですが、とても美しくまとめられていて圧巻です。この寄せ植えは、そんな英国のパブをイメージしてつくりました。鮮明な色合いの花を使うときは淡い色を混ぜず、鮮明な花だけにした方がうまくまとまります。また、黒いスッキリとしたデザインの鉢も派手色の花をスマートにまとめるポイントです。テラコッタの鉢だと、少し暑苦しい印象になってしまうかもしれません。寄せ植えがワンパターン化している人は、たまにはこんな色合いにチャレンジしてみると新鮮ですよ。
【使った花】
ゼラニウム・カリエンテ、ペチュニア、マリーゴールド‘ストロベリーブロンズ(色が温度によって変わるユニークな花です)’、ロベリア、ユーフォルビア‘ダイヤモンドフロスト’
Point5 花は太陽に向かって育つことをイメージして
先ほどと同じ横長の黒の鉢を用い、シックな花色でまとめたバージョンです。寄せ植えをグレードアップさせるには、植物を選ぶときに一つひとつの花苗の「株姿」を吟味することと、「花の向き」を見て植えるのがコツです。しばしば「よい花苗の選び方」として「茎がしっかりしていて間延びしていないもの」というアドバイスがなされますが、寄せ植えでは間延びしているもののほうが最初から馴染んだ感じを演出するのに重宝することもあります。鉢に植え込む際は、太陽に向かって伸びるイメージで花の向きを考慮しながら植えます。向きを意識したものと、何も考えずに植え込んだものとでは、全く同じ花を同じ数使っても、完成時の見た目に大きな差が出るものです。
【使った花】
手前の鉢/ペチュニア、ルブス、ワイヤープランツ、ヒューケラ
上の写真奥の鉢・下の写真/スーパーチュニア、オステオスペルマムのダブル、ブロンズフェンネル
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Credit
寄せ植え作成&アドバイス/安酸友昭 Lovely Garden(ラブリーガーデン)
住所:鳥取県米子市両三柳839
電話:0859-24-1500
http://www.lovely-garden.jp/shop.html
写真&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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