おぎはら・のりお/長野県上田市にある宿根草と山野草を扱う植物専門店「おぎはら植物園」の店長。1979年から植物の栽培と販売をスタートさせた「おぎはら植物園」では、現在、取り扱う宿根草と山野草は4千種を超える。全国に苗生産者のネットワークを持ち、海外からの新品種の導入なども積極的に行う。近著に『咲かせたい!四季の宿根草で庭づくり』『決定版 カラーリーフ図鑑』(ともに講談社)。
荻原範雄 -「おぎはら植物園」店長-
おぎはら・のりお/長野県上田市にある宿根草と山野草を扱う植物専門店「おぎはら植物園」の店長。1979年から植物の栽培と販売をスタートさせた「おぎはら植物園」では、現在、取り扱う宿根草と山野草は4千種を超える。全国に苗生産者のネットワークを持ち、海外からの新品種の導入なども積極的に行う。近著に『咲かせたい!四季の宿根草で庭づくり』『決定版 カラーリーフ図鑑』(ともに講談社)。
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宿根草・多年草
【注目!】宿根草ショップの店長が教える! 2023年度人気の宿根草5選
植えっぱなしで丈夫に育つ選ばれている人気の宿根草 2023年度5選に入ったレセダ・アルバとクナウティア、シノグロッサムなどが交ざり咲く宿根草のガーデン。 宿根草と山野草の販売で有名な「おぎはら植物園」。長野県上田市にある同園では、越年して毎年花を咲かせる「長生きする植物」の宿根草を中心に、幅広くガーデン植物を取り扱っています。全国のガーデニングを趣味にする人たちをはじめ、観光ガーデンや公共の庭などからも珍しい植物やお目当ての植物を求めて注文が入る「おぎはら植物園」で、2023年度に人気が急上昇した宿根草を5種ピックアップ。人気の理由と育て方、特徴を解説していただきます。 セレクト1シェードガーデンの下草に最適エゴポディウム ‘バリエガータ’ ライトグリーンにクリーム色の斑入り葉が、明るく爽やかな印象を与えるので、シェードガーデンの下草にも最適です。初夏にホワイトレースフラワーに似た繊細な白花を咲かせるのも魅力。極めて性質強健で、地下茎で広がるように増えます。 シェードガーデンで隣り合う植物を明るく繋ぐ役割としても。 シェードガーデンのカバー決定版ともいえるおすすめ品種です。とにかく丈夫で、放任してもよく広がり、目立った病害虫の心配もないので、手間がかかりません。ライトグリーンの葉色で日陰がパッと明るくなります。しかも花がとってもかわいいので、切り花にもできます。 シェードガーデンの縁取りで活躍。 夏場涼しい地域では日向、日陰問わず植えられますが、暑い地域では葉焼けの心配があるので、半日陰(かなり暗くても大丈夫)または、日向でも午後から陰るような場所に向いています。 バラの株元に軽やかな緑を添えるエゴポディウム ‘バリエガータ’。 日向の乾燥地では葉が小さく密になって生育が遅くなるので、コンパクトに楽しむことができます。日陰で水分が多い場所では葉が大きくなり、どんどん広がります。用途に合わせて場所を選定するとよいでしょう。 花が咲いていない時期も瑞々しい景色を保ってくれます。 このように優良な植物ですから、もっと普及してもよいと思いますが、タネによる大量栽培ができず、株分け生産になるため、流通量はかなり少ないです。見つけたらぜひ育ててみてください。 【Data】■ セリ科 宿根草(耐寒性多年草)冬季半常緑~落葉種■ 学 名 : Aegopodium podagraria 'Variegata'■ 別 名 : エゴポディウム(アエゴポディウム)ポダグラリア(学名) 斑入りイワミツバ 斑入りイワゼリ など■ 花 期 : 初夏■ 草 丈 : 20~30cm前後(生育後・花丈も含む)■ 株張り : 30cm以上(生育後・環境差がある)■ 耐寒性 : 強い(-15℃~-25℃ ※環境差がある)■ 耐暑性 : 強い■ 日 照 : やや半日陰■ 原産地 : ヨーロッパ(原種の主な自生地) セレクト2プロに選ばれている名脇役レセダ・アルバ 白い小花を長く穂状に咲かせ、上品な雰囲気を持つモクセイソウの一種です。花後に切り戻すと繰り返し咲き、花期も長いので、花壇や寄せ植えにプラスするのに向いています。一年草扱いとされる場合もありますが、夏に切り戻したり涼しい場所で管理できれば、越年することも可能です。 パープルやピンクの花を引き立てる名脇役として。 株姿がスッと直立するので、他の草花と合わせやすく、細やかな葉と白く透き通るような花が、花壇で爽やかに調和します。寄せ植えや花壇に使いやすい万能さがあり、また、珍しさもあって、毎年植えたくなる花です。 チドリソウやマツムシソウに似たクナウティア、ホリホックなどと混植した例。 春植えにすると、春の後半から初夏にかけてたくさんの花が咲きます。 夏までの一年草ともいわれますが、花後早めに切り戻すことで、体力を残し、葉が茂った状態で夏を越せます。 夏越しした株は、秋になるとわずかながら花を咲かせて楽しませてくれます。 すっと伸びて縦のラインが強調されるので、ガーデンのアクセントにも。 2022年時点ではほとんど流通していませんので、聞きなれない名前かもしれませんが、プロのガーデナーさんたちの間では名脇役として有名な花です。 耐寒性もあるので、ごく寒冷地を除けば常緑のまま越冬します。 こちら長野県でも越冬できましたので、耐寒性はかなり強いと思います。 【Data】■ モクセイソウ科 耐寒性多年草(冬期常緑~半常緑)■ 学 名 : Reseda alba■ 別 名 : ホワイトミニョネット、シノブモクセイソウ など■ 花 期 : 春~初夏■ 草 丈 : 30~60cm前後(生育後・花丈も含む)■ 株張り : 20~40cm前後(生育後・環境差がある)■ 耐寒性 : やや強い(-8℃~-12℃ ※環境差がある)■ 耐暑性 : 普通■ 日 照 : 日向■ 原産地 : ヨーロッパ(主な自生地) セレクト3緑に引き立つアプリコットカラーの魅惑花ゲウム ‘マイタイ’ アプリコット色で咲き進むとピンクを帯びる、魅力的な花色のダイコンソウで、コンパクトな株姿から多くの花を咲かせる「カクテルシリーズ」の品種です。パステル調の柔らかな色の移り変わりが美しく、何ともオシャレで、各色をコレクションしたくなる魅力をまとっています。 本種‘マイタイ’は、ベージュ、オレンジ、ピンクなどを混ぜたような絶妙な色が楽しめ、温度や咲き進み具合で花色を変化させます。丈夫で花上がりもよい小型のゲウムで、大株になると数十本の花芽が伸びて、一斉に咲く素晴らしい姿を見せてくれます。 パステル調の花色で、どこかクラシカルな雰囲気もあります。さまざまな草花と合わせやすく、調和の取りやすい色なので、ガーデンの花材として重宝します。比較的水上がりがよいので、切り花にも最適です。大株になると、たくさんの切り花が収穫できるので、室内に飾る楽しみもあります。 【Data】■ バラ科 多年草(耐寒性多年草)冬季常緑~半常緑種■ 学 名 : Geum 'Maitai'■ 別 名 : ダイコンソウ など■ 花 期 : 春~初夏■ 草 丈 : 30~40cm前後(生育後・花丈も含む)■ 株張り : 30~50cm前後(生育後・環境差がある)■ 耐寒性 : 強い(-15℃~-25℃ ※環境差がある)■ 耐暑性 : 強い■ 日 照 : 日向~やや半日陰 セレクト4強健で生育も早く豪華花が楽しめるエキナセア ‘アップルグリーン’ さまざまなエキナセアの中でも、丈夫さや花つきのよさのほか、開花タイミングが揃うなど優秀な特徴の多い「サンシーカーズ」シリーズの一種。オランダで作出され、世界的に評価されているシリーズです。 グリーン系のベストセラー‘グリーンジュエル’よりも白っぽい花色の ‘アップルグリーン’。 ボリュームのあるセミダブルの平咲きで、白〜淡くグリーンを帯びる爽やかな花色が周囲を明るくしてくれます。グリーンのエキナセアといえば、当店では‘グリーンジュエル’が長年のベストセラーですが、本種 ‘アップルグリーン’も、爽やかで美しい花色が魅力的です。‘グリーンジュエル’に比べると花色は「グリーン」よりも「白」に近く、丈夫な性質が特徴です。 当初は一重咲きのみだった同シリーズも、2018年に初めての「セミダブル咲き」'サンシーカーズ・サーモン’が登場し、プランタリウム展(オランダ国際展示会)で金賞を受賞したことから注目を集めました。本種 ‘アップルグリーン’も、続くセミダブル(半八重咲き)のシリーズとして登場しました。2022年より販売を開始しているニューフェイスです。 セミダブル咲きは、丈夫な一重咲きからの選抜・改良なので、八重咲き種に比べて強健で、生育も早いことが大きな魅力です。花形としても、一重咲きよりもボリューム感があるので、見栄えもします。丈夫な一重咲きの性質はそのままに、花の豪華さがアップした、というバランスのよいエキナセアで、庭植えにおすすめです。 【Data】■ キク科 宿根草(耐寒性多年草)冬季落葉種■ 学 名 : Echinacea purpurea 'Sunseekers Apple Green’■ 別 名 : エキナセア(エキナケア) パープレア(プルプレア)、 馬簾菊(バレンギク) など■ 花 期 : 初夏~盛夏 ■ 草 丈 : 30~50cm前後(生育後・花丈も含む)■ 株張り : 30~40cm前後(生育後・環境差がある)■ 耐寒性 : 強い(-15℃~-25℃ ※環境差がある) ■ 耐暑性 : 強い ■ 日 照 : 日向■ 原産地 : 北アメリカ(原種の主な自生地) セレクト5人気急上昇の赤いスモーク状の美しいグラスミューレンベルギア・カピラリス 夏から秋に出る赤みを帯びた穂が、スモーク状になる美しいグラスです。シルバーグリーンの葉は常緑で細く、硬さがあり、カラーリーフとしての観賞価値が高い点も魅力です。 サンジャクバーベナなど、秋の植物と美しいコラボを見せるミューレンベルギア・カピラリス。 大株になると美しい赤紫の穂がたくさん出て、遠目ではモヤモヤと赤い霧のような不思議な雰囲気に。陽光が当たると幻想的なシーンとなって目を奪われます。 冬の間、霜を纏って穂が白く浮かび上がることも。ウィンターガーデンに新しい景色を作ります。 穂の美しさもさることながら、細く硬めの葉が密生して、気温が低い時期はグレーに変化します。特に冬は常緑で葉色もよく、ウィンターガーデンの花材としてもおすすめです。 草丈が異なるグラスやシードヘッドとも相性がよい。 海外で特に人気の高いグラスで、学名で画像検索すると植栽例などがたくさん見られます。近年注目の‘ナチュラリスティック・プランツ’としても選ばれていて、人気急上昇です。 【Data】■ イネ科 宿根草(耐寒性多年草 常緑~落葉性)■ 学 名 : Muhlenbergia capillaris■ 別 名 : ムーレンベルギア など■ 花 期 : 晩夏~晩秋■ 草 丈 : 90cm前後(生育後の高さで花丈も含む)■ 耐寒性 : 約-12℃■ 耐暑性 : 強 ■ 日 照 : 日向■ 原産地 : アメリカ(原種の主な自生地) 2023年度に人気だった宿根草セレクト5選はいかがでしたか? 近年の気候変動にも順応し、丈夫に育つ種類が続々と登場している宿根草。まずは多くの人が育てている植物を植えることからガーデニングをスタートすることも一つの方法です。最初は小さな株でも、植えっぱなしで長く育てていると、大株で見事な景色になるのも宿根草栽培の醍醐味です。お気に入りの植物との出会いがたくさんありますように。2024年もガーデニングを楽しみましょう!
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宿根草・多年草
宿根草ショップの店長が教える! 2022年度人気の宿根草5選
植えっぱなしで丈夫に育ち選ばれている人気の宿根草 長野県上田市で宿根草と山野草を扱っている「おぎはら植物園」では、越年して毎年花を咲かせる「長生きする植物」の宿根草を中心に、幅広くガーデン植物を取り扱っています。全国のガーデニングを趣味にする人たちをはじめ、観光ガーデンや公共の庭などからも珍しい植物やお目当ての植物を求めて注文が入る「おぎはら植物園」で、2022年に人気が急上昇した宿根草を5種ピックアップ。人気の理由と育て方、特徴を解説していただきます。 ●2021年度版はこちら●2020年度版はこちら●2019年度版はこちら●2018年度版はこちら●2017年度版はこちら セレクト1八重の小花が株いっぱいに咲くシレネ ‘ファイヤーフライ’ 濃いピンクのシレネ、‘レッドキャンピオン’の八重咲き品種。花弁が多く、ミニバラを思わせる小さな可愛い花が株いっぱいに咲きます。 一重種の‘レッドキャンピオン’と同様に性質が強健で、放任でも育ちます。ガーデンの彩りのほか、花茎が長いので切り花にも重宝します。花と葉はハーブとして食用できるので、エディブルフラワーとしてスイーツのトッピングにもおすすめ。 珍しい八重咲きの‘ファイヤーフライ’は、一重種のようにこぼれ種でどんどん増えることはありませんが、耐寒・耐暑性に優れ、株がみるみる大きく育ちます。 大株になれば、数え切れないほどの花が咲き、この花だけで立派なブーケが作れるほど。ちょうどバラの最盛期に旺盛に咲くので、ローズガーデンにもおすすめです。 【人気の理由】 ・丈夫な性質・成長が早く、植えて翌年には庭で見事に咲くことからリピーターが多数 【Data】シレネ ‘ファイヤーフライ’■ ナデシコ科 多年草(耐寒性多年草)冬季常緑~半常緑種■ 学 名 : Silene dioica 'Firefly'■ 花 期 : 春~初夏■ 草 丈 : 40~ 60cm(生育後・花丈も含む)■ 株張り : 40~ 60cm(生育後・環境により差がある)■ 耐寒性 : 強い(-15~-25℃ ※環境により差がある)■ 耐暑性 : 強い■ 日 照 : 日向~やや半日陰 セレクト2コンパクトに茂るおしゃれな草姿宿根キンギョソウ ‘アールグレイ’ 這って広がるキンギョソウで、夏も冬も越す宿根タイプです。綿毛に覆われたシルバーの葉と白系の花の色合いが美しく、地植えはもちろん、寄せ植えにも重宝すると選ばれています。性質も丈夫で育てやすく、開花が春から秋まで長期間楽しめるのも魅力。柔らかい綿毛に覆われたシルバーリーフも観賞価値が高く、カラーリーフとしても十分に楽しめます。 ピレネー山脈中部~スペイン東部に自生するキンギョソウの原種である、センペルビレンスに由来する品種で、よりコンパクトで株姿がまとまりやすい性質からも、選抜種と思われます。詳しい来歴は不明ですが、海外では‘アールグレイ’という品種は存在しないため、国内での育種、命名ではないかと推測されます。 比較的寒さに強い多年草で、暑さにも耐えます。柔らかい葉を持つものの、蒸れにも耐え、丈夫な性質が特徴です。また、花期が長く春~夏によく咲き、秋にも返り咲きます。コンパクトで横に広がる這性タイプなので、庭植えで小さく茂らせたり、寄せ植えやハンギングにも使いやすいでしょう。 【人気の理由】・地植えや寄せ植えまで、マルチに使える・葉も花も両方楽しめる・見た目以上に丈夫で育てやすい 【Data】宿根キンギョソウ ‘アールグレイ’■オオバコ科 多年草(耐寒性多年草)冬季常緑~半常緑種■ 学 名 : Antirrhinum sempervirens 'Earl Grey'■ 花 期 : 春~秋■ 草 丈 : 10~20cm(生育後・花丈も含む)■ 株張り : 30~40cm(生育後・環境により差がある)■ 耐寒性 : やや強い(-8~-12℃ ※環境により差がある)■ 耐暑性 : 強い■ 日 照 : 日向 セレクト3花も葉も存在感がある人気の銅葉種ペンステモン ‘ダークタワーズ’ ペンステモンの中でも人気が高い‘ハスカーレッド’によく似ていますが、銅色の葉は濃くなり、花はピンクに色づく品種です。葉も花も美しく楽しめて、性質がとても強健なおすすめ品種。 ‘ハスカーレッド’よりも葉色が濃く、退色しにくいので、引き締まった株であれば真夏でも濃い銅葉が楽しめます。ピンクがより強く出る花が鮮やかな印象を与えます。 もちろん、性質も‘ハスカーレッド’と同様に強健で、よりコンパクトなうえ花立ちもよく、咲いている姿のまとまり感がとてもきれいです。 【人気の理由】 ・とにかく丈夫で日向ならどこでも育つ・花も楽しめるうえ葉色がよく、常緑で通年庭のアクセントに最適・夏も葉色が褪せない 【Data】ペンステモン ‘ダークタワーズ’■ オオバコ科 多年草(耐寒性多年草)冬季常緑~半常緑種■ 学 名 : Penstemon digitalis 'Dark Towers'■ 花 期 : 初夏■ 草 丈 : 60~80cm(生育後・花丈も含む)■ 株張り : 40~60cm(生育後・環境により差がある)■ 耐寒性 : 強い(-15~-25℃ ※環境により差がある)■ 耐暑性 : 強い■ 日 照 : 日向~やや半日陰 セレクト4コンパクトな株姿のニューフェイスキャットミント ‘キャッツパジャマ’ キャットミントの人気種‘ウォーカーズロウ’や‘ジュニアウォーカー’よりも、さらに小型の‘キャッツ・パジャマ’は、2021年に販売を開始した新しい品種です。草丈20~30cmとコンパクトなので、狭い場所や花壇の前方、エッジングにも使用できるなど、用途が広いのも注目のポイントです。 開花前の‘キャッツ・パジャマ’。 キャットミントの中でロングセラーとなっている‘ウォーカーズロウ’は花が大きく、花期の姿が美しいうえ、草姿がまとまりやすいという点も優れていることから、海外で数々の賞を獲得しています。2019年には、‘ウォーカーズロウ’よりも小型の‘ジュニアウォーカー’が登場したことに続き、さらに小型の本種‘キャッツパジャマ’が2021年に仲間に加わり、用途に合わせて品種を選べるようになりました。 ‘キャッツ・パジャマ’は、“ミニサイズの可愛いキャットミント”として、寄せ植えにもおすすめです。性質は‘ウォーカーズロウ’と同様に丈夫で、暑さ、寒さに耐えます。 唯一苦手なのは多湿です。水分が多く、肥沃な土地で育てた場合、葉や茎は伸びるものの花が咲きにくいという傾向があります。また、梅雨や夏の長雨で蒸れることがあるので、水はけ、風通し、日当たりのよい場所を選んで定植するとよいでしょう。 ある程度、痩せていて乾きやすい土地のほうが、花つきがよく、草姿もよりコンパクトになり、本来のパフォーマンスを見せてくれます。植え付け場所だけ慎重に決めれば、あとは放任で年々株も大きくなり、場所に馴染むことで花つきも格段によくなります。 初夏から咲き始めますが、満開を過ぎたら短く切り戻してください。花後は蒸れやすいので、この剪定は必須です。秋になると再び伸びて、花を咲かせてくれます。 【人気の理由】・草姿が乱れない・花色がとてもきれい・パステル調の色で合わせやすい(バラにも似合う) 【Data】キャットミント ‘キャッツパジャマ’■ シソ科 宿根草(耐寒性多年草)冬季半常緑~落葉種■ 学 名 : Nepeta x faassenii 'Cat's Pajamas'■ 花 期 : 初夏~秋■ 草 丈 : 20~30cm(生育後・花丈も含む)■ 株張り : 20~40cm(生育後・環境により差がある)■ 耐寒性 : 強い(-15~-25℃ ※環境により差がある)■ 耐暑性 : 強い■ 日 照 : 日向 セレクト5渋カッコイイ! 超個性派花宿根フロックス ‘ブラインドライオン’ 本来の花弁は小さくほとんど見えませんが、弁化したガクの部分が色付いて、まるで花のようになるユニークな姿のフロックスです。種子をつけない性質なので、変わった形の花を長く楽しめます。もともと切り花用に作出された品種なので、花茎がしっかり立ち上がり、草姿がよく、株姿が乱れにくい点も優秀です。 暑さ、寒さに強く、特に手がかからないローメンテナンスという点も魅力。派手さはありませんが、渋くてお洒落な変わり者なので、華やかな草花と合わせて対比を楽しんだり、色を抑えたシックなガーデンに加えても馴染みます。 【人気の理由】 ・花が終わってもガクが残り夏〜冬の4カ月間長く楽しめる・シックでお洒落な色合い・暑さ・寒さ、どちらにも強い 【Data】宿根フロックス ‘ブラインド・ライオン’■ ハナシノブ科 宿根草(耐寒性多年草)冬季半常緑~落葉種■ 学 名 : Phlox paniculata 'Blind Lion'■ 花 期 : 夏■ 草 丈 : 40~60cm(生育後・花丈も含む)■ 株張り : 30~50cm(生育後・環境により差がある)■ 耐寒性 : 強い(-15~-25℃ ※環境により差がある)■ 耐暑性 : 強い■ 日 照 : 日向 2022年に人気だった宿根草セレクト5選はいかがでしたか? まずは多くの人が育てている植物を植えることからガーデニングをスタートすることも一つの方法です。植物は、本当に種類が多くて、何を選んでいいか困ってしまうと聞きますが、何年もガーデニングを続けている人にとって、「まだ知らない植物に出合える」ことは喜びです。ぜひ、これから育ててみよう! と思えるお気に入りの植物との出会いがたくさんありますように。2023年もガーデニングを楽しみましょう!
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宿根草・多年草
宿根草ショップの店長が教える! 2021年度人気の宿根草5選
植えっぱなしで丈夫に育ち選ばれている人気の宿根草 長野県上田市で宿根草と山野草を扱っている「おぎはら植物園」では、越年して毎年花を咲かせる「長生きする植物」の宿根草を中心に、幅広くガーデン植物を取り扱っています。全国のガーデニングを趣味にする人たちをはじめ、観光ガーデンや公共の庭などからも珍しい植物や目当ての植物を求めて注文が入るという「おぎはら植物園」で、2021年に人気が急上昇した宿根草を5種ピックアップ。人気の理由と育て方、特徴を解説していただきます。 ●2020年度版はこちら●2019年度版はこちら●2018年度版はこちら●2017年度版はこちら セレクト1インパクト大で庭のフォーカルポイントに!アーティチョーク 地中海原産で、大株になると株張り・草丈ともに2mを超える特大サイズのアザミの仲間です。若いつぼみは高級食材として知られている野菜の一つでもあります。よく分枝して次々と開花する紫色の花は、直径15cmほど。遠くから見ても存在感を発揮する、他にはないキャラクター。本格派ガーデンを目指している人に、是非おすすめです。例えば、細やかな草花の背景に、アーティチョークの巨大な花があることで、おしゃれな雰囲気が演出できます。 食用にする場合、採りどきは5月下旬。花の時期は5〜6月なので、それよりも少し前のつぼみが膨らんできたときが食べ頃です。一度植えたら何年も育つので、広いスペースがある庭では、自家採取の楽しみに加え、シルバーリーフのダイナミックな姿も楽しめることでしょう。おしゃれなキッチンガーデンにはぜひ仲間に入れておきたい存在です。 アーティチョークの性質 暑さ、寒さに強く、とても丈夫です。日向であれば植え場所は選びません。風通しがよく、水はけのよい土壌で、少し乾き気味に育てるのがコツです。湿っぽい場所では、梅雨時期や夏に高温多湿になった場合に、徒長して倒れることもあるので避けたほうがよいでしょう。 アーティチョークの育て方 主に入手できる苗は小さいため、本格的な開花までに1年以上必要かかりますが、育てがいのある宿根草です。マイナス10℃前後の耐寒性があり、晩秋になると葉が枯れる落葉性です。 セレクト2ナチュラルガーデンに爽やかな色彩をプラスロシアンセージ 成長を始める春はシルバーリーフが特に美しく、スッと上に伸び上がる株姿で、花壇がまとまった印象になります。別名サマーラベンダーとも呼ばれ、夏から秋にかけて分枝した先に細かなブルーの花を咲かせます。70~100cmと丈高く伸びながら周囲の植物ともよく調和して、庭にナチュラルな雰囲気をプラス。花期以外もカラーリーフとして十分に楽しめます。 ロシアンセージの性質 暑さ、寒さともに強く、寒冷地でも暖地でも育つ、丈夫な多年草です。日向で風通しがよく、少し乾き気味の場所が栽培に適しています。日陰や湿り気のある場所では徒長して倒れやすくなるので、避けたほうが無難です。 また、肥沃な場所では伸びすぎるので、少しだけ痩せ気味場所に植えるとよいでしょう。 ロシアンセージの育て方 開花前の春に伸び始めた茎を半分以下にカットしておくと姿が整いやすく、夏からの花枝も増えます。 翌年に備えて花後の秋に短くカットし、株を充実させておくとよいです。 冬は落葉して、枯れた枝に芽が残って、春に芽吹きましょう。 冬の間も3~4節残る程度に短めにカットしておくと、翌年も姿よく開花します。 旺盛によく伸びるので、年3回程度の剪定をしてボリュームのある草姿に仕立ててください。 セレクト3暑さに強く花は香り豊か! クラフトにも重宝ラベンダー ‘グロッソ’ 多くの種類があるラベンダーのなかでも、暑さや寒さに強くて、丈夫で育てやすいラバンディン系です。また、花粒が大きくて見応えがあるので、地植えの庭におすすめ。 気候条件によっては、初夏から秋にかけて長い期間咲き続けることや、芳香が強いのでラベンダーバンドルやポプリなどに利用できることからも人気があります。 ラベンダー ‘グロッソ’の性質 成長スピードはゆっくりなものの大型になる種類で、株張りは1mほど。花茎が多数伸びるうえ、花数も多いので見栄えがよく、大株になると見事です。 冷涼な環境が好きなラベンダーですが、この ‘グロッソ’は温暖な地域でも栽培可能な数少ない種類です。 暑さには強いのですが、高温時の多湿で弱ることがあるため、風通しと水はけがよい場所で栽培しましょう。 ラベンダー ‘グロッソ’の育て方 左/花後に刈り込んでおくとこんもりした姿に。右/真冬でも葉が残ります。 高温多湿にならないよう、水が溜まりやすい場所や湿気が多い場所での栽培は避けてください。 乾燥に強い性質はありますが、極端に乾く場所ではうまく育ちません。ほどよく乾き、最低限の水分が保てるような適地ならよく育ちます。もし水分や湿気が多い場所ならば、水はけがよくなる軽石などを混ぜ込んだり、盛り土をして植える位置を少し高くしましょう。 一般的な用土で育ちますが、酸性土壌は嫌うので、他の植物の葉が黄色くなりやすいような酸性にかたよった場所は避けるとよいでしょう。 心配な場合は、石灰を混ぜてから植えれば安心です。 セレクト4ふんわり茂る軽やかな姿とシックな花色も魅力黒花フウロ(ゲラニウム・ファエウム) 多種あるゲラニウムのなかでも、紫褐色のシックな花色がおしゃれ。初夏にたくさんの花を咲かせるのが魅力で、宙に浮くように咲く花は、風に揺れてナチュラルな雰囲気です。和の庭にも、洋の庭にもどちらとも相性がよい宿根草です。 黒花フウロの性質 黒花フウロの系統(ファエウム種)は、特に丈夫なことで知られています。耐暑性があり、大株に育てやすい 強健なゲラニウムなので、フウロ草の栽培に挑戦したいという初心者さんにもおすすめです。乾燥にも比較的耐え、広がるように低く株が張るので、他の宿根草の株元や間をつなぐような役割にも重宝します。 暖地では暑さ対策として、やや半日陰に植えますが、夏場涼しい地域では日向でもよく育ちます。 黒花フウロの育て方 暑さには耐えますが多湿を嫌うので、夏に蒸れないようにするのが栽培のコツです。水はけがよい用土にすることで、多湿への対策に効果がありますが、栄養分が少なくなると生育に影響するので、時々追肥するとよいでしょう。また、夏に直射日光を避けることができる落葉樹の下を選んだり、茂りすぎた葉を間引いたり、伸びた茎をカットします。適した場所であれば、こぼれ種でも増えます。 セレクト5虹色に輝く穂に一目惚れする人続出ホルデューム・ジュバタム ガーデンのアクセントとして、人気急上昇のグラス類。そのなかでも人気の種類で、ピンクがかるクリームグリーンの穂は、やわらかで美しく「リスの尾」の愛称も。涼しい地域ならば夏越ししますが、温暖な地域では一年草扱いに。しかし、その美しさから毎年植え直すファンが多いグラスです。庭で刻々と姿を変えていく様子も楽しめますが、切り花やドライフラワーとしての楽しみもあります。 ホルデューム・ジュバタムの性質 美しいライムグリーンの穂が出始めた頃。 植えどきは、秋。根をしっかり張らせることで、春から初夏により多くの穂が上がってきます。寒さにはとても強く、霜が降りてもダメージになりません。 ホルデューム・ジュバタムの育て方 穂が満開を迎えると、白くなり幻想的。 肥沃な土地よりも、痩せ地で育てると株がしまってまとまりよく育ちます。手がかからない植物ですが、こぼれ種で増やしたくないときや場所を限定したい場合は、穂が白っぽく熟す前にカットしておくとよいでしょう。 2021年に人気だった宿根草は、 全体的にスタイリッシュなフォルムをもちながら、かつナチュラルガーデンにも似合うものでした。植物はとても種類が多く、何を選ぶとよいか、自分の庭に何を加えると素敵になるかなどの悩みも多いと聞きます。ご紹介した人気の植物にチャレンジして、新しいコラボレーションを楽しんでみませんか? お気に入りの植物との出会いが2022年もありますように!
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宿根草・多年草
宿根草ショップの店長が教える! 2020年度人気の宿根草5選
庭づくりをグレードアップしたい人必見!人気の宿根草 長野県上田市で宿根草と山野草を扱っている「おぎはら植物園」では、越年して毎年花を咲かせる「長生きする植物」の宿根草を中心に、幅広くガーデン植物を取り扱っています。全国のガーデニングを趣味にする人たちをはじめ、観光ガーデンや公共の庭などからも珍しい植物や目当ての植物を求めて注文が入るという「おぎはら植物園」で、2020年に人気が急上昇した宿根草を5種ピックアップ。人気の理由と育て方、特徴を解説していただきます。 ●2019年度版はこちら ●2018年度版はこちら ●2017年度版はこちら セレクト1とってもユニーク!枝垂れ咲きのサルビア!サルビア・ヌタンス ヨーロッパに自生する野生のサルビアで、他のサルビアでは見られない、うなだれるように咲く花が面白い品種です。まるでお辞儀をしているような可愛らしい花姿。花つきがとてもよいので、大株になると見栄えがします。あちこち植えたい! とリピートも多くあり、人気でした。 うなだれるように下向きに咲く様子がユニーク! 寒さだけでなく、暑さにも耐える丈夫な性質 このサルビア・ヌタンスは、中央~東ヨーロッパからシベリアにかけて自生する原種のサルビアです。冷涼な地域の原種ですから寒さには抜群に強いのですが、導入当初は耐暑性の有無を心配していました。ところが、暖地・猛暑地でも元気に夏越しをして大きく育っています。ユニークなフォルムだけではなく、丈夫さも兼ね備えている品種です。 花色の美しさも魅力です。 サルビア・ヌタンスの育て方 寒さに強く、寒冷地でも戸外で越冬でき、強い霜の降りない地域では常緑のまま越冬します。普段は低く葉が茂っており、初夏頃になると花茎が直立して、たくさんの花を咲かせます。サルビアの仲間には木立ちになり巨大化するものがありますが、この品種はいつも姿がよく、乱れにくい点も優秀です。 花は、初夏頃に60~100cmほどの高さで開花します。開花後に花茎を切り戻しておけば、秋遅くまで繰り返し咲いてくれます。 セレクト2花も葉も美しい! 珍しさが目を引くペンステモン・スーパーバス 小さなネオンカラーの花が綺麗に並ぶ、可愛らしいペンステモン。葉色もシルバー系で輝きがあり、花も葉も観賞価値の高い種類です。数多くのペンステモンの中でも一際目立つ、珍しいカラーリングが特徴で、とても人気がありました。 とても小さな花ですが、よく見ると丸くて愛らしいです。 近年流通が始まった世界的にも珍しい原種 北アメリカ・アリゾナ~ニューメキシコ州南西部にかけて自生する原種のペンステモンで、2010年頃にヨーロッパで種子の販売がスタートしたばかりです。 現地では乾いた道沿いや岩場に多く生えているそうです。そのため、葉は肉厚で青白く、コンパクトにまとまって育ちます。冬も含め、一年中常緑で、花期以外はこんもりとした姿を保ち、美しい葉だけでもカラーリーフとして観賞価値が高いです。 時期によっては青みも出る美しい葉も魅力。 ペンステモン・スーパーバスの育て方 丈夫な性質ですが多湿を嫌うので、長雨や日照不足に注意が必要です。逆に乾燥には強く、砂地でも生育します。日当たり、風通しのよい場所に植えましょう。寒さにも暑さにも耐えるので、適地であれば、ほぼ放任でかまいません。 晩春~初夏にかけて60~80cmほどの高さで花を咲かせます。花後は花茎を切り戻し、株を休ませます。 セレクト3シックな葉に鮮やかな花が映える新品種ヘリオプシス‘ブリーディング ハーツ’ ヘリオプシスは「宿根ヒマワリ」とも呼ばれる丈夫な宿根草。通常は緑色の葉ですが、本種はブロンズ色。ダークトーンの葉色に映える明るい花色が美しい品種です。 銅葉のヘリオプシスは数々の歴代品種があり、改良が重ねられてきました。中でも本種‘ブリーディング ハーツ’は新しい品種で、葉色の濃さ、花色の濃さが際立ちます。シックな美しさ、お洒落な雰囲気もあって人気でした。 咲き始めに赤い花は、咲き進むとオレンジ色に変化します。 暑さも寒さも平気! とても丈夫な性質 ヘリオプシスは、なかなか枯れることのない極めて丈夫な宿根草です。普通種は「何だかありがちな花」というイメージでしたが、2018年に登場した本種は、葉色、花色の観賞価値がグッと上がって、お洒落な印象になりました。もちろん丈夫な性質は変わりません。 宿根草は夏に咲く種類が少ない中、本種は日本の厳しい夏の暑さにも耐えて、花をたくさん咲かせてくれます。 明るい黄色系の葉と合わせると、葉色の美しさが引き立ちます。 ヘリオプシス‘ブリーディング ハーツ’の育て方 暑さにも寒さにも耐えるので、庭植えや鉢植えにした後は、ほとんど放任でかまいません。やせ地、荒れ地にも強い丈夫な花ですが、肥沃な土地に植えたり肥料を与えすぎると株が伸びすぎて倒れるので、注意が必要です。夏に咲くヒマワリの近縁種なので日陰は避け、十分に日の当たる場所で育てましょう。 開花期は長く、夏から秋まで咲き継ぎます。冬になると地上部がすべて枯れて越冬し、春になると再び芽吹きます。寒さに強いので、防寒対策は必要ありません。 セレクト4可愛らしいスイーツカラーの宿根草コレオプシス‘スイート マーマレード’ コレオプシスといえば、黄色い花のハルシャギクが一般的ですが、本種‘スイートマーマレード’は、その名のとおりアプリコット・オレンジの花。可愛らしく人気がありました。花色が珍しいだけでなく、寒さにも暑さにも耐える丈夫な性質も魅力です。 群生させて、たくさん咲かせると素敵な一角に。 花色の変化が楽しめる! この‘スイート マーマレード’は、咲き始めはレモンイエローですが、咲き進むと色が変わってきます。また、開花期の温度や環境によっても花色が変化。パステルカラーの色の移り変わりが美しく、一株でいろいろな表情を見せてくれます。 咲き始めのレモンイエローの花。 コレオプシス‘スイート マーマレード’の育て方 コレオプシスの中には一年草タイプもありますが、本種は宿根性で、寒さ、暑さに強く、植えっぱなしで毎年咲かせることができます。日当たりを好みますので、十分に日照がある場所で育てましょう。土質は選びませんが、肥沃な場所に植えたり肥料を与えすぎると徒長して姿が乱れるので注意します。花は夏に咲きますが、咲き終わった後に切り戻すと秋も開花し、長期間にわたり楽しむことができます。 セレクト5メドウガーデンの背景に! いい雰囲気を醸し出す名脇役ネペタ・ヌーダ 背高のっぽで、少し控えめな色合いのネペタ。強い主張はしませんが、庭の後方で風に揺れ、他の草花を引き立てる名脇役。その色の合わせやすさから人気が出ています。 自然味のある庭に、美しくマッチする! 草花と混植すると雰囲気が出ます。 近年人気の出ているメドウガーデンに最適な花です。「メドウ」とは牧草地を意味し、野生的な草花を使って野山や牧草地を再現するメドウガーデンは、ヨーロッパ、特にイギリスで人気があります。このネペタ・ヌーダは、そんな自然な雰囲気にぴったり。周囲にこぼれダネで広がる草花を植えて、ナチュラルな組み合わせを楽しんでみてはいかがでしょうか。 淡いライラック色の優しい雰囲気が魅力。 ネペタ・ヌーダの育て方 寒さ、暑さに耐え、放任でも毎年咲く丈夫な宿根草です。成長はあまり早くありませんが、年を追うごとに花茎が増え、着実に見事な大株に育っていきます。もともと痩せ地を好む花で、肥沃な場所に植えたり過度な肥料を与えると、伸びすぎて倒れることがあるので注意しましょう。日陰を嫌うので、しっかりと日が当たる場所で育てます。主な花期は初夏から真夏の間で、花後には切り戻して株を低く保ちます。 2020年に人気だった宿根草セレクト5はいかがでしたか? まずは多くの人が育てている植物を植えることからガーデニングをスタートすることも一つの方法です。植物は、本当に種類が多くて、何を選んでいいか困ってしまうと聞きますが、何年もガーデニングを続けている人にとって、「まだ知らない植物に出会える」ことは喜びです。ぜひ、これから育ててみよう!と思えるお気に入りの植物との出会いがたくさんありますように。2021年もガーデニングを楽しみましょう!
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宿根草・多年草
宿根草ショップの店長が提案! この秋、新着の宿根草5選【2020年秋版】
世界で発表される新しい宿根草が、国内ですぐ入手できる時代に 世界の最新品種をはじめ、数多くの宿根草が並ぶ「おぎはら植物園」。 数ある植物の中でも「宿根草(しゅっこんそう)」は、国内での流通がまだまだ少ないと感じますが、海外、特に欧米では、宿根草は園芸マーケットの中心にあり、ガーデニングには欠かせない植物として不動の人気があります。そんな園芸の先進国では、新しい宿根草が次々と発表されていて、魅力的な種類も多いのです。 「おぎはら植物園」が輸入を始めた90年当時はまだ輸入も難しく、日本向けの輸出は後手で、発表されてから3~4年後にようやく実際の株が入荷することが多かったのですが、近年では輸入ルートの確立により、全世界同時に販売されるものが増えてきました。 ただし、高温・多湿の日本の気候に合うのか? 性質は丈夫なのか? などを事前に確認する必要があるため、「おぎはら植物園」で半年~1年以上、育ててから販売をしています。 2020年秋の新品種5選 宿根草は一度庭に植えれば毎年楽しめる、いわば長生きする植物。長く育てているうちに大株になったり、思いがけない魅力を発見したりして、愛着も湧いてきます。そうしてたくさんの宿根草を植えていくうちに、せっかくなら新しい品種を庭に取り入れたいと思うようになった、そんなファンの方も多いのではないでしょうか。 2020秋に「おぎはら植物園」より発売された新商品の中から、「丈夫で育てやすい、優れた性質を持つ5種」をセレクトしました。 Select① 花色の変化がきれい!コレオプシス‘ブルームセイション カメレオン’ コレオプシスといえば、以前はキンケイギクや糸葉ハルシャギクなど、黄色の花を咲かせる宿根草が多かったのですが、最近はさまざまな花色の品種が登場しています。 性質も暑さに強く、花期も長いため、夏花壇に向く花として人気です。 本種‘ブルームセイション カメレオン’は、白からピンクに変化していく優しい色合いが絶品で、とてもコンパクトな性質。地下茎で広がりすぎることもないので、狭い場所や植栽の間、鉢植えや寄せ植えにも向きます。 四季咲き性があり、花後に刈り込んでおくと繰り返し咲きます。初夏から冬近くまで長期間にわたり花を咲かせてくれるので、花壇にも重宝します。 【基本データ】■ キク科 宿根草(耐寒性多年草)冬季落葉種■ 学 名 : Coreopsis rosea ‘Bloomsation Chameleon'■ 花 期 : 初夏~晩秋■ 草 丈 : 20~30cm前後(生育後・花丈も含む)■ 耐寒性 : 強い(-15~-25℃ ※環境差がある)■ 耐暑性 : 強い■ 日 照 : 日向~やや半日陰 Select② 小型で場所をとらない!西洋クガイソウ ‘キューピッド’ 北米産クガイソウの園芸品種で、日本のクガイソウに比べると段違いに丈夫。暑さにも強いので、安心して育てられます。一般に西洋クガイソウといえば、高さが2m近くなり株張りも大きいので、ガーデンの背景のように使われ、一般的な家庭の庭では場所が足りない……というイメージがありました。しかし、本種は高さが腰高ほどと株もコンパクトなので場所をとりません。しかも、花色も濃くハッキリとしています。暑さ、寒さに極めて強い優秀な性質はそのままです。 【基本データ】■ オオバコ科 宿根草(耐寒性多年草)冬季落葉種■ 学 名 : Veronicastrum virginicum ‘Cupid'■ 花 期 : 初夏~盛夏■ 草 丈 : 60~80cm前後(生育後・花丈も含む)■ 耐寒性 : 強い(-15~-25℃ ※環境差がある)■ 耐暑性 : 強い■ 日 照 : 日向~やや半日陰 Select③ 魅惑的なブルー系!アスチルベ ‘ブラック パール’ もちろん、完璧なブルーではなく、花色は紫ですが、従来種に比べるとずいぶん青に近づいたと、進化を感じる品種です。 咲き始めはピンクが強いものの、咲き進むと紫を帯び、光が当たると青っぽく見えます。咲き終わりに、くすんだ色合いに変わっていく様子もおしゃれ。この魅力的な色を生かして、個性的な植栽にしてみませんか? 【基本データ】■ ユキノシタ科 宿根草(耐寒性多年草)冬季落葉種■ 学 名 : Astilbe chinensis ‘Black Pearls'■ 花 期 : 初夏■ 草 丈 : 60~70cm前後(生育後・花丈も含む)■ 耐寒性 : 強い(-15~-25℃ ※環境差がある)■ 耐暑性 : 強い■ 日 照 : 日向~やや半日陰 Select④ 人気の花色に多花性タイプが登場!アガパンサス‘ファイヤーワークス’ 公園や公共の庭でも群生が見られるなど、丈夫な性質のアガパンサスに、ブルーと白のバイカラー咲きが登場! この珍しい色のアガパンサスは世界的に流行中で、近年、数種類が発表されました。 初期の品種は花上がりが少ないという欠点がありましたが、本種‘ファイヤーワークス’は従来種に比べて格段に花数が多い新品種。次々に上がってくる花は、品種名の直訳「花火」という名がぴったりです。小型で花付きがよく、姿がまとまる点も優秀です。 【基本データ】■ ヒガンバナ科/ユリ科/ムラサキクンシラン科 宿根草(耐寒性多年草) 冬季半常緑~落葉種■ 学 名 : Agapanthus ‘Fireworks'■ 花 期 : 初夏■ 草 丈 : 50~60cm前後(生育後・花丈も含む)■ 耐寒性 : やや強い(約-8~-12℃ ※環境差がある)■ 耐暑性 : 強い■ 日 照 : 日向 Select⑤ 丈夫でカラフルなグラスの新品種!スキザクリウム‘カメレオン’ フランスにて育種されたグラスで、2020年より国内では初めて販売の品種です。「スキザクリウム・スコパリウム」といえば、青みのある葉が直立するグラスで、秋のオレンジの紅葉と、ふわっとした種子が魅力。カッコいいグラスの代表的な種類ですが、本種は、その斑入りなので、さらに楽しみが倍増します。これだけ白く爽やかな葉は遠目にも美しく、花よりも目立つかもしれません。そして秋の紅葉はピンクとカラフルに変わって、一層美しくなります。 しかも性質は丈夫で暑さ、寒さにも耐えて、日本全国で育てることができます。 秋の紅葉も魅力。 【基本データ】■ イネ科 宿根草(耐寒性多年草 冬季落葉種)■ 学 名 : Schizachyrium scoparium 'Chameleon'■ 花 期 : 秋■ 草 丈 : 60~100cm前後(生育後・花丈も含む)■ 耐寒性 : 強い■ 耐暑性 : 強い■ 日 照 : 日向 今育てているお気に入りの宿根草にプラスαで育ててほしい、新品種セレクト、いかがでしたか? 日本の夏に耐える丈夫な植物を選ぶことも、近年必要になってきました。以前に比べてより改良され、誕生したニューフェイスをぜひ、育ててみてください。来年のガーデンで健やかに宿根草を育てるためにも、秋は植え時です。2021年のガーデニングのために、秋のガーデニング作業も楽しんでください。 その他の「おぎはら植物園」2020年秋の新商品はこちら
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宿根草・多年草
宿根草ショップの店長が提案! 暑さに強い宿根草でサマーガーデンを楽しもう
暑さに強い宿根草で夏も見どころを作ろう! 暑い時期は咲くものが少なかったり、暑さに負けてしまうなど、宿根草の庭では夏が悩みの種で、ガーデニングを諦めてしまう方も多いのではないでしょうか? 暑さが苦手なイメージのある宿根草ですが、実際は暑さに強くて猛暑の中でも咲く花はたくさんあります。それらを知っていれば、素敵なサマーガーデンは難しくありません。ぜひ、春だけでなく、夏にも見どころを作って庭づくりを楽しみましょう。 今回は、おぎはら植物園の男性スタッフ、Nさんの庭づくりを参考に、夏のガーデニングを解説します。Nさん曰く「男性らしいスタイリッシュさだけではなく、花々の躍動感、生命感を大切にした庭づくり」を心掛けているそうです。 春から夏へ。花のリレーを計算して植える 7月上旬、多くの花が咲き終わる頃から咲き始めるリアトリスやエキナセアなど。植物リスト:リアトリス‘ゴブリン’/エキナセア‘チェリーフラフ’/アンバーボア‘デザートスター’/アサギリソウ 植えてすぐに咲く一年草と違って、宿根草は開花までに時間が必要です。例えば、夏咲きの宿根草を夏に植えても、よく咲かない、暑さに負けるという場合があります。宿根草は、本来のパフォーマンスを発揮させるために花期の半年以上前に植え付けて、しっかりと根を張らせ、その場所に馴染んだ状態にしておくのが大切。植え付けは、前年の秋冬までに行って、庭で越冬させること。時間をかけることで根の張りが強くなり、暑さに対しても耐性がつきます。できるだけ早く植え付けて、夏に枯れにくい丈夫な株に育てましょう。 植え込む際には花期や草丈をある程度計算して、春から夏、秋へと花のリレーが楽しめるように配置します。春咲き、夏咲き、秋咲き、それぞれの種類が混ざるように植えておくとよいでしょう。花期ごとにまとめて植えるよりも、ある程度分散させたほうがうまくいきます。 サマーガーデンの基本は、暑さに強い植物+酷暑対策 いくら暑さに強い夏咲きの花でも、暑さ対策をしなければ、弱ったり、枯れてしまうこともあります。「以前、挑戦したけど、うまくいかなかった」そんな経験があったならば、土と環境に注目してみましょう。 周囲の雑草や生い茂る庭木の整理をして風通しを確保する。庭土に軽石や砂利を混ぜて水はけをよくする。植栽の場所を一段高くする。 これらの方法を試してみてください。そして、暑さに負けないための育て方のコツは、 植物を伸ばしすぎない(徒長させない)。余分な水分を与えず植物の強さを引き出す。 そうすることで、暑さに強い植物がさらに丈夫に育ち、元気に花を咲かせてくれます。 軽石や砂利を使った植栽例。養分や水分を抑えることで植物の耐性が高まり、暑さに強い引き締まった株に育つ。乾燥する季節は水やりで水分のコントロールを行う。ある程度、乾燥に耐える植物を使うのもコツ。 石を使って一段高くした植栽例。底には培養土を入れ、あとは軽石のみを使っている。水はけをよくすることで高温多湿による根腐れや徒長を防ぎ、泥はね防止や雑草対策にも効果的。 夏のガーデンにこそ花の彩りを 年々夏の暑さが厳しくなっていますが、暖地や猛暑地では、より暑さに強くて姿の変化が少ない、ローメンテナンスな植物が多く使われる傾向にあるようです。多肉質だったり、形の面白いユッカやアガベ、コルジリネなどがとりわけ人気が高いですが、シャープな印象でスタイリッシュな反面、成長がゆっくりなので姿の変化が少なく、風に揺れる風情や色彩が足りないなと感じませんか? そこでプラスαとして活躍するのが、花の咲く宿根草。これらを加えることで一気に雰囲気が明るくなり、季節感が出て、花の躍動感も楽しめます。日々のお手入れや植え替えなどのお世話が多少増えますが、メンテナンスもガーデニングの楽しみの一つ。ぜひ、挑戦してみてください。 花茎が伸び、花芽が膨らむ過程も美しい宿根草。 お洒落なサマーガーデンにおすすめ!暑さに強い宿根草・多年草8種 数ある夏咲き種の中から、暑さに強く丈夫な種類をご紹介します。「姿のお洒落さ」も加味してピックアップしました。スタイリッシュなサマーガーデンの演出にプラスしてみませんか? Select① エキナセア 夏の代表的な宿根草の一つ。年々新しい種類が登場してバラエティーが豊富です。 エキナセア ‘ピンクパッション’ エキナセア ‘チェリー フラフ’ エキナセア ‘ブラックベリー トリュフ’ Select② コレオプシス 寒さにも暑さにも強い宿根草。夏から秋によく咲きます。 コレオプシス ‘スター クラスター’ コレオプシス ‘ガーネット’ Select③ バーベナ・ボナリエンシス 背が高くなる宿根草のバーベナ。別名、三尺バーベナ。暑さに強く、初夏から秋まで咲きます。 こぼれ種で増えて群生し、紫の花が宙を舞っているよう。 バーベナの間に、グラスのペニセタム‘テールフェザーズ’が風に揺れ、ピンク花のセンニチコウ‘ファイヤーワークス’が紫花とコラボレーション。 Select④ クロコスミア 暑さに強く、丈夫で広がるように増えます。鮮やかな小花がサマーガーデンのポイントに。 クロコスミア‘ルシファー’ モントブレチア(クロコスミアの交雑種) Select⑤ アリウム‘ミレニアム’ 近年登場した夏咲きのアリウム。暑さや寒さにも強い。 アリウムといえば春から初夏に咲く球根植物ですが、暑さに強く真夏に咲く種類が登場して注目を集めています。 Select⑥ ルドベキア・マキシマ 暑さや乾燥にも強い北アメリカの原種。2m近い高さで咲き、インパクトがあります。 乾きやすい場所でもよく育ちます。 葉色も美しいので花期以外も楽しめます。 Select⑦ アーティチョーク つぼみを食用にするハーブとしても有名。大型で見応えがあるアザミの仲間。 大きな花がよく目立ち、インパクトがあっておしゃれな雰囲気。 大型で株姿も見事。花期以外も観賞できます。 Select⑧ ユッカ・ロストラータ 暑さに強いユッカの仲間。常緑で輝くような銀色の葉が一年中楽しめます。暑さだけでなく寒さにも耐えられます(おおよそ-10℃まで耐える)。 若いうちは草花との植栽にも。成長がとてもゆっくりです。 古い株になると幹が立ち、スタイリッシュな姿に。
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宿根草・多年草
宿根草ショップの店長が教える! 今人気のクリスマスローズ5タイプ
ガーデニングファン必見! 人気の宿根草 長野県上田市で宿根草を扱っている「おぎはら植物園」では、冬になると、たくさんの種類のクリスマスローズが店頭に並びます。通信販売でも全国に発送する中、特に人気を博している5系統をピックアップ。人気の理由を、最近の傾向、そして品種紹介を交えながらクリスマスローズの最新情報を交えながら解説していただきます。 人気のクリスマスローズ①オリエンタリス ハイブリッド クリスマスローズといえば、一般的に流通するものはオリエンタリスを基としたハイブリッドが定番。花形、花色が多様で、じつにバラエティ豊かです。耐寒性、耐暑性が強く全国で育てることができる手軽さも人気で、庭植えに、鉢植えに広く親しまれています。その中でも人気のある色や花形をご紹介します。 多弁花 定番の八重咲きの中でも、花弁が特に多い花はエレガントな雰囲気で人気があります。 左/ピンク色の多弁花。右/ホワイトピコティの多弁花。 左/アプリコット色の多弁花。右/イエローピコティの多弁花。 複色花 2色以上の花色が楽しめるタイプ。育種も盛んに行われています。 左/イエローにピコティ、弁先がグリーン。右/ホワイト&ピンク。 左/イエロー&紅色。右/グリーン&ホワイト。 ブロッチ 花の表に斑点が固まって入るもの。印象がはっきりとして広いブロッチが特に人気です。 左/ピンク&赤いブロッチ。右/グレー&ブラックのブロッチ。 スポット 花の表に斑点が入るものも、根強い人気があります。 左/ピンク&赤いスポット。右/グリーン&赤いスポット。 ピコティ 花の表に縁取りが入るもの。ピコティの幅が広いものは帯ピコティ、細いものは糸ピコティと呼ばれています。人気の衰えない覆輪花です。 左/ホワイト&紅帯ピコティ。右/イエロー&紅糸ピコティ。 リバース(リバーシブル) 花の表と裏の色が違い、リバーシブルになっているもの。表情の違いが楽しめる人気のタイプです 左/ホワイト&ピンクのリバーシブル。右/ピンク&レッドのリバーシブル。 ベイン 花に筋が入るものをベイン、網目状に脈が入るものをネットと呼びます。はっきりと入ったものは希少で人気があります。 左/ピンク&レッド・ベイン。右/イエロー&レッド・ベイン。 ユニークな花形 特に変わった花形の個性的なタイプ。従来の花形にないユーモラスな表情が愛らしく目を引きます。 左/超細弁のイエロー&レッド・ブロッチ。右/超剣弁のワインレッド。 人気のクリスマスローズ②ゴールド系(オーレア系) 定番人気のゴールド系シングル(一重)。 花心(蜜腺・ネクタリー)が黄色、金色のものをゴールド・ネクタリーと呼びます。 ゴールド系(オーレア系)のバリエーション 透き通るような明るい黄色、オレンジ色の交配親を使ったもので、黄金色をイメージした花色です。葉も黄色を帯びていて、秋冬は黄色が強く紅葉し、カラーリーフのように楽しめます。当初は一重咲きのみでしたが、八重咲きや、花に模様のあるものなどのバリエーションが増えて、人気が出ています。 左/ゴールドのスポット(斑点)入り。右/ゴールドの八重咲き。 赤みを帯びて縁取りや脈が入るものをネオン(左)やゴールドピコティと呼びます。左は、ネオン(ゴールドピコティ)の八重咲き。 ゴールド系(オーレア系)の交配種 ゴールドの系統も交配が進み、他のオリエンタリスハイブリッドや原種を掛け合わせて、さらにバラエティ豊富になっています。最近はピンクや赤い花なども登場し、葉色が黄色く変わらないタイプもあります。ゴールドの特徴を残しているので色合いが明るく、輝くようです。人気の系統なので、今後、さらにさまざまな花色が登場することでしょう。 左/ゴールドの交配種、ゴールド・ピーチ。右/レッドゴールド(ネオンパープル)。 左/ゴールドの交配、バイカラーの八重咲き。右/ゴールドの交配、ピコティ(縁取り)の八重咲き。 人気のクリスマスローズ③ニゲル系 早咲きの原種、ニゲル。 クリスマスローズという名前は、クリスマス頃から咲くこの原種の「ニゲル」を指しています。一般的に流通するオリエンタリスのハイブリッドは、本来は「クリスマスローズ」ではなく「レンテンローズ」と呼ばれていて、クリスマスの頃には咲かず、早春から開花します。現在は全体の総称として、広く「クリスマスローズ」という名前が使われています。 この本来のクリスマスローズであるニゲルは、低い位置でたくさんの花を一斉に咲かせて、大株になるとじつに見事です。早咲きのため、まだ庭が寂しい冬の時期から開花し、しかも横向きに多くの花が咲くので、庭でよく映えます。 ニゲルのバラエティ 花の大きい選抜種、八重咲き、葉に斑が入るものなどのバラエティがあり、どれも人気があります。 左/大輪のニゲル‘ジョナス’。右/半八重咲きの‘ダブル ファンタジー’。 左/八重のポンポン咲き‘ツイン スピリット’。右/斑入りの葉も楽しめる‘バリエガータ’。 ニゲルの交配種 古くから常に人気のあるニゲルですが、ヨーロッパ原産のため、冷涼な気候を好み、暑い夏が苦手という難点があります。それを克服するような他種との交配や、品種改良も行われており、さまざまな品種が登場し、人気を博しています。中でも、特に丈夫なオリエンタリス系との交配が最近のトレンド。色もピンクが登場して話題です。 ニゲルとオリエンタリス系の交配種‘パラデニア’。草丈が高く花が大きいので見応えがある。 ニゲルとフォエチダス(フェチダス)の交配種‘ウインターベル’。まるでニゲルが房咲きになったよう。 丈夫なオリエンタリスの亜種、‘マダム ラモニエ’。アブチャシクスとニゲルの交配種で、「幻のピンクニゲル」と呼ばれる人気種。 ニゲルとオリエンタリス系の交配種、‘シフラ’。最新の品種で、姿はよりニゲルに近く、花色は従来種より濃い。 人気のクリスマスローズ④有茎種のハイブリッド 有茎種とは茎がある種類のことで、クリスマスローズの原種には木立のように茎が伸びるタイプがあります(リビダス、アーグティフォリウス、フォエチダスなど)。その原種同士を交配することで、新しい品種(原種間交雑種)が生み出されてきました。近年は、そこにオリエンタリス系のような花色の鮮やかな種類をさらに掛け合わせることで、美しく個性的な品種が次々に登場しています。海外では有茎種の交配が一大ブームとなっており、ますます育種が進んでいます。日本国内でも目にする機会が増えて、年々人気が上がっています。 人気の有茎種ハイブリッド とても多くの種類がありますが、特に人気の高いものをご紹介します。 左/‘アイスブレーカー マキシー’。右/‘ピンクフロスト’。 左/‘アンナズ レッド’。右/‘シューティング スター’。 左/‘ドロシーズ ドーン’。右/氷の薔薇 ホワイト。 人気のクリスマスローズ⑤カラーリーフ 写真/松村園芸 クリスマスローズといえば、美しい花を中心に楽しむものでしたが、最近は葉の美しいカラーリーフの品種にも注目が集まっています。 クリスマスローズは一季咲きで、冬から早春に花が咲きますが、他のシーズンは葉のみ。そこで花の時期以外もカラフルな葉が楽しめれば一石二鳥です。しかも、冬も常緑なのでウインターガーデンの彩りや寄せ植えにも。楽しみ方が広がっています。 写真/松村園芸 カラーリーフのクリスマスローズ 明るい黄色だったり、スタイリッシュなシルバーだったり、さまざまな表情を持つ葉色の美しいクリスマスローズ。ついコレクションしたくなる魅力があります。年々人気が上がっていますが、多くの種類から特に個性の際立っているものをご紹介します。 カラーリーフ品種のバラエティ 左/アーグティフォリウス‘スノーフィーバー’。右/フォエチダス‘ゴールド ブリオン’。 左/オリエンタリス系 ブロンズリーフ。右/ステルニー‘ロッキーズ’。 左/ステルニー‘ネオ ゴールデンリーフ’。右/ステルニー‘ネオ カレイドスコープ’。 毎年、続々と登場する花形、花色の変化に加え、迫力のある株姿やカラーリーフとしての魅力など、多彩な表情が増えているクリスマスローズ。見所や魅力のポイントを参考に、お気に入りを寄せ植えや庭に迎えて、春待つ庭を賑やかに! ガーデニングを楽しみましょう!
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宿根草・多年草
宿根草ショップの店長が教える! 2019年度人気の宿根草5選
庭づくりをグレードアップしたい人必見! 人気の宿根草 長野県上田市で宿根草と山野草を扱っている「おぎはら植物園」では、越年して毎年花を咲かせる「長生きする植物」の宿根草を中心に、幅広くガーデン植物を取り扱っています。全国のガーデニングを趣味にする人たちをはじめ、観光ガーデンや公共の庭などからも珍しい植物や目当ての植物を求めて注文が入るという「おぎはら植物園」で、2019年に人気が急上昇した宿根草を5種ピックアップ。人気の理由と育て方、特徴を解説していただきます。 2018年度版はこちら 2017年度版はこちら セレクト1 葉も花もシックで庭のアクセントに素敵! ダイアンサス‘モンク・シルバーブラック’ ブロンズ色の葉、ダークブラウンの花が、ひときわ目を引く宿根のナデシコです。このような色合いのナデシコは、過去に数種知られていますが、本種‘シルバーブラック’が今のところ最も葉色が濃く、黒に近い品種です。特に秋冬になると色が濃くなり、光沢を帯びる様子は、まさに「シルバーブラック」の名にふさわしいと思います。 寒くなると葉の色が一段と濃くなります。 庭に植えたり、寄せ植えにしたり、使い方もいろいろ 一年中カラーリーフとして葉の彩りが楽しめて、花も咲く、観賞期間の長さが魅力です。寄せ植えにすると黒っぽい葉色が引き締め役としてコントラストを出してくれます。庭植えにしても、深い色がアクセントとして効果的です。 花が咲いていないときも葉の黒さが目立ち、店頭でも注目を集めて人気が高かった品種です。 花色も葉に似合うシックなトーンでおしゃれ。 ダイアンサス‘モンク・シルバーブラック’の育て方 寒さに強い花で、強い霜が降りない地域では、戸外でも常緑のまま越冬します。冬の花壇や寄せ植えにも向きます。寒冷地ではやや落葉しますが、春になると再び葉が吹き始めます。 花は春の後半から夏にかけて、30cmほどの高さで開花します。高くなりすぎない、ちょうどよい大きさで咲くので、庭植えにも寄せ植えにも使いやすいのも魅力。 性質は丈夫ですが、多湿を嫌うので、日当たり、風通しがよい場所に。株が古くなると葉が減るので、植え替えたり、株分けをしてリフレッシュすると勢いが戻ります。 セレクト2 だんだん良さが知れ渡ってきたナチュラルなフォルム スティパ‘エンジェルヘアー’ 一見すると、ただの草? のように見えてしまう宿根草ですが、ヨーロッパやアメリカでは、その良さが古くから知られてきたガーデン・グラスです。糸のような葉は触り心地も柔らかく、とてもきめ細やかで、天使の髪の毛に例えられるほど。 単体でその自然な姿を楽しむのもよいものですが、草花と一緒に植えることで、まるで霞がかったような、幻想的な雰囲気を出せる宿根草です。上手に組み合わせて、ワンランク上のハイレベルな植栽に挑戦してみてはいかがでしょうか? ふわっとした草姿が他の花を引き立てて、おしゃれな雰囲気に。 全国のガーデンで使用され、じわじわと人気に 正式な学名はスティパ・テヌイッシマ(Stipa tenuissima)。「エンジェルヘアー」や「ポニーテール」の名前で古くから存在する種類で、ガーデニング上級者には馴染みのある植物です。近年人気の自然な雰囲気の庭、ナチュラルガーデンにぴったりで、日本各地の有名なガーデンでも今年はたくさん使われていて、人気が再燃した印象です。 柔らかい葉が風に揺れて、庭を爽やかに演出してくれます。 スティパ‘エンジェルヘアー’の育て方 丈夫な性質ですが多湿を嫌うので、長雨や多湿、日照不足に注意してください。逆に乾燥には強く、砂地でも生育します。日当たり、風通しのよい場所に植えましょう。寒さにも暑さにも耐えるので、適地であれば、ほぼ放任でかまいません。 夏から秋に50cmほどの高さで穂をつけ、タネも飛んで毎年少しずつ増えます。お手入れはほとんど必要ありませんが、冬に葉が枯れた後はバッサリと短く切っておくことで枯れ葉が残らず、春の新しい葉のみきれいに茂ります。 セレクト3 暑さに強く、夏によく咲く新しい種類 アリウム‘ミレニアム’ アリウムといえば一般的に春や初夏に咲くものですが、この‘ミレニアム’は、最近流通が始まった、夏に咲くタイプです。暑さに強く、真夏でも花が咲き、秋近くまで繰り返し花を咲かせる優秀な品種です。しかも花つきがよく、たくさんの花を咲かせてくれます。一般種よりも花が丸みを帯び、球状のポンポン咲きになるので、とても可愛らしいです。 丸くて可愛らしい花を7月頃から咲かせます。 暑い日本の夏でも大丈夫! 宿根草は夏に咲く種類が少ない中、本種は日本の厳しい夏の暑さにも耐えて、花もたくさん咲かせてくれます。「猛暑地でもよく咲いた」と評判で、その後の秋にもリピートをたくさんいただきました。 暑さだけでなく寒さにも強いので、広い地域で育てることができるという点でも優れています。 8月後半。花色が淡くなりますが、まだまだつぼみも上がってきます。 アリウム‘ミレニアム’の育て方 小型の植物なので、庭植えの他、鉢植えでも育てることができます。丈夫な性質で、植えっぱなしの放任で構いません。庭植えの場合は、長雨や多湿、日照不足に注意して、水はけのよい場所で育ててください。夏の初め頃から30cmほどの高さで花を咲かせます。花後のタネをこまめに摘むことで、次の花が咲きやすくなり、より花期が長くなります。冬は地上部がすべて枯れて越冬し、春になると再び芽吹きます。寒さに強いので防寒は必要ありません。 セレクト4 人気急上昇! 育てやすさ、花つきのバランスGoodな品種 エキナセア‘チェリーフラフ’ エキナセアは暑い夏にも咲く丈夫な花で、宿根草を使ったガーデンには欠かせません。エキナセアといえば派手めの濃い花色が多いのですが、本種‘チェリーフラフ’はクリームピンクの淡い色で、ボリュームのある八重咲きの花が優しい雰囲気です。パステル調の花色はさまざまなガーデンで調和がとりやすく、庭の印象がパッと明るくなります。 1株でも、これだけの花を咲かせます。花茎が直立し、草姿もよい。 丈夫さと美しさを兼ね備えた優秀な品種! 今までも同系色のエキナセアは数種ありましたが、本種はまだ新しい品種。群を抜いて性質が丈夫で花つきがよく、太めの花茎がしっかりと立ち、草姿が乱れません。海外から導入して数年経ちますが、とても好評で、年々人気が上がっています。 花は10cm近くにもなる大輪で、花弁が細かく折り重なる八重咲きの花は見とれるほど。マーガレットやガーベラなど一般的なキク科の花に負けない存在感があります。 大きく、形も綺麗な花。切り花にも向きます。 エキナセア‘チェリーフラフ’の育て方 寒さ、暑さに強く、丈夫な性質で知られるエキナセア。育て方は至ってシンプルで、日当たりのよい場所に植えるだけ。とても簡単です。土質もこだわりませんが、あまり痩せすぎていると成長が遅く、草丈が伸びないので、少し肥沃な場所を選びます。ある程度の乾燥、湿気、どちらにも耐えますが、ちょうど中間的な水分量が理想的です。 初夏から真夏にかけて50cmほどの高さで花を咲かせます。冬になると地上部はすべて枯れて、根だけになって地中で越冬します。耐寒性が強く、-25℃近くでも耐えます。 セレクト5 従来のイメージを一新するシックな色! キンギョソウ‘ブラックプリンス’ キンギョソウといえば古くから栽培されている花で、赤や黄色などの鮮やかな色が一般的ですが、本種‘ブラックプリンス’は一風変わった見た目。黒みを帯びた葉や茎、深いダークレッドの花がシックでおしゃれな雰囲気です。従来種に比べて四季咲き性が強く、周年花が楽しめるうえ、耐暑性があるため夏も越します(従来の一般種は夏までの一年草扱い)。そのため、宿根キンギョソウとも呼ばれています。 マルチに活躍するので用途もいろいろ! 引き締まったシックな色合いは寄せ植えにも最適。 葉を観賞するもよし、花を楽しむもよしで、観賞期間が非常に長いこと(暖地では冬も常緑)、コンパクトで四季咲きなので鉢植え、寄せ植えにも向くこと、夏も冬も越すので花壇や庭植えに、と活躍できるシーンが広いことなどから、人気がありました。キンギョソウを以前から知るベテランの方から、おしゃれな色合いを気に入ってくださる若い方まで、広い層の方々にご好評をいただきました。 花つきのよい四季咲き。切り戻すと次々に花が咲きます。 キンギョソウ‘ブラックプリンス’の育て方 一般的なキンギョソウに比べると葉が厚く、茎もがっちりしている栄養系の品種です。そのため、特に気を使わずに育てることができます。しっかりと日が当たる戸外で、強い乾燥や多湿を避ければ、ほとんどの場所で栽培可能です。鉢植えや寄せ植えの場合は、花が咲き終わったら半分ほどの高さで切り、軽く肥料を与えると株の勢いが衰えず、1~2カ月程度で次の花が咲きます。庭植えの場合は放任でかまいません。夏の高温多湿に注意すれば、暑さにも耐え、冬の寒さも-12℃程度まで耐えることができます。 2019年に人気だった宿根草セレクト5選はいかがでしたか? まずは多くの人が育てている植物を植えることからガーデニングをスタートすることも一つの方法です。植物は、本当に種類が多くて、何を選んでいいか困ってしまうと聞きますが、何年もガーデニングを続けている人にとって、「まだ知らない植物に出合える」ことは喜びです。ぜひ、これから育ててみよう! と思えるお気に入りの植物との出合いがたくさんありますように。2020年もガーデニングを楽しみましょう!
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宿根草・多年草
宿根草ショップの店長が提案! 秋冬の寄せ植えにおすすめ 常緑性のカラーリーフ10選
多年生のカラーリーフを使って、寄せ植えを作ってみよう! 多年草や宿根草といえば、庭で地植えして楽しむもの。そんなイメージがあるかもしれませんが、寄せ植えにも、もちろん使えます。秋が深まって冬に近づく頃、お花屋さんでは冬の一年草がたくさん販売されています。さっそく寄せ植えを作って飾りたいものですが、そこにちょっと変わった宿根草や多年草を加えると、一気に選択肢が増えて、楽しみが広がります。珍しい植物を入れることで、寄せ植えのオリジナリティーも高まり、よりいっそう目を引くとともに、センスアップにもつながります。 寒い冬でも常緑を活用! 寄せ植えに向く多年草10選 冬でも長く楽しめる寄せ植えを作りたい! そんな時は、冬の草花とともに常緑性のカラーリーフも一緒に使ってみてください。冬でも元気に育つ、耐寒性の強い多年草は、寄せ植えはもちろん、地植えの庭にも活躍します。意外と常緑の多年草は数が多くありますが、その中から、おすすめの10種を、寄せ植えの実例とともにご紹介しましょう。 常緑性のカラーリーフ①ツボサンゴ(ヒューケラ)の仲間 一般的には半日陰の庭などに植栽されるツボサンゴの仲間は、冬でも葉が残る常緑性。丈夫で葉色が美しいうえ、色のバリエーションも豊富です。最近は、寄せ植えの花材としても人気が出ていて、ガーデニングファンには定番になりつつあります。ツボサンゴの仲間は日陰で育てるイメージが強いですが、冬の日差しであれば、日向で十分育てられるので、冬の草花との寄せ植えにも最適。寒冷地ではやや葉が少なくなりますが、強い霜の降りない地域では完全に常緑で、生き生きと葉を茂らせたまま越冬します。 ツボサンゴ(ヒューケラ)を使った秋冬の寄せ植え例 赤系のツボサンゴ、ビオラ、紅葉したロニセラを、軽やかに茂るコクリュウやメラレウカ、リベルティアの葉がリズミカルに囲む寄せ植え。 【使用花材】 ツボサンゴ‘フォーエバーレッド’コクリュウリベルティア‘ゴールドストライプメラレウカ‘レッドジェム’ロニセラ‘オーレア’ハボタン‘チタニウムシルバー’ビオラ シルバーがかるツボサンゴを中心に、落ち着いたダークトーンとチェッカーベリーがアクセントになる冬らしさをまとった寄せ植え。 【使用花材】 ツボサンゴ‘シナバーシルバー’チェッカーベリータナセタム‘シルバーレース’ビート‘ブルズブラッド’ 大小さまざまな葉の形や色、模様が楽しめる動きのある寄せ植え。 【使用花材】 ツボサンゴ‘ライムリッキー’ヘーベ‘ジュエル オブ ナイル’ツボサンゴ‘フォーエバーレッド’コクリュウビオラワイヤープランツ‘スポットライト’ 常緑性のカラーリーフ②アジュガ よくグラウンドカバーに使用されるアジュガも、冬は常緑で越冬します。ツヤツヤとした葉も魅力の一つで、大型、小型、斑入りなどバリエーションが豊富です。冬はあまり草丈が伸びず、コンパクトに育つため、寄せ植えにもぴったり。寒い時期は葉色がいっそう濃く、美しくなります。 アジュガを使った秋冬の寄せ植え例 ピンクやオレンジの花色を2種のアジュガが調和させる寄せ植え。 【使用花材】 アジュガ‘チョコレートチップ’アジュガ‘バーガンディグロー’ハボタンビオラスイートアリッサム 黒っぽいアジュガに対比して、ハボタンやヘーベ、ビオラの色が引き立つ寄せ植え。 【使用花材】 アジュガ‘ブラックスカロップ’ヘーベ‘レッドエンジェル’ハボタンビオラ 常緑性のカラーリーフ③ベロニカ‘オックスフォードブルー’ 早春に一面の花を咲かせるベロニカ‘オックスフォードブルー’は、庭植えにもとても人気のある宿根草です。強い霜の降りない地域では葉が残り、ブロンズ色の紅葉が楽しめますので、冬の草花との寄せ植えにも適しています。やや枝垂れる草姿なので、寄せ植えの前面に使うとおしゃれに仕上がります。 ベロニカ‘オックスフォードブルー’を使った秋冬の寄せ植え例 白花のスイートアリッサムとベロニカが対比し、黒葉のコクリュウが動きをプラスする大人シックな寄せ植え。 【使用花材】 ベロニカ‘オックスフォードブルー’ツボサンゴ‘キャラメル’ビオラコクリュウスイートアリッサム 常緑性のカラーリーフ④タンジー‘ゴールデンフリース’ ハーブとして有名なタンジーですが、本種‘ゴールデンフリース’は小型で、ドワーフタンジーと呼ばれる種類です。そのためコンパクトに育ち、寄せ植えや鉢植えにも向いています。明るい黄金色の葉が周年美しく、暖地では真冬でも葉が楽しめますので、寄せ植えにいかがでしょうか。あまり見かけない細やかな葉が珍しく、目を引きます。 タンジー‘ゴールデンフリース’を使った秋冬の寄せ植え例 クリーム色のシクラメンの花にオレンジと黄緑を合わせ、明るさを引き立てる寄せ植え。 【使用花材】 タンジー‘ゴールデンフリース’ビオラシクラメン‘マイクロゴールデンボーイ’コクリュウハボタンワイヤープランツ‘スポットライト’ 常緑性のカラーリーフ⑤ビオラ ラブラドリカ 紫色の葉が美しい宿根性のスミレです。秋から初夏頃まで長く花を咲かせるので庭植えにも人気がありますが、シックな葉色が秋冬の寄せ植えにもよく似合います。小型のスミレで、草丈も伸びないので、寄せ植えに使いやすく、冬も常緑で楽しめます。 ビオラ ラブラドリカを使った秋冬の寄せ植え例 ビオラ ラブラドリカのスミレ色の花を引き立てる葉のバリエーションが楽しめる寄せ植え。 【使用花材】 ビオラ ラブラドリカタナセタム‘シルバーレース’ビート‘ブルズブラッド’ハボタンペルシカリア‘レッド ドラゴン’ワイヤープランツ‘スポットライト’ 常緑性のカラーリーフ⑥セリ‘フラミンゴ’ 広がるように育つので、半日陰のグラウンドカバーに適したセリ‘フラミンゴ’は、名前のとおり、寒くなるとピンク色に紅葉して、秋冬に見頃になるカラーリーフです。寒さにとても強い宿根草で、寒冷地では落葉して越冬しますが、強い霜の降りない地域では紅葉したまま常緑で越冬します。日陰向きの植物ですが、冬の日差しであれば、日向で十分育てられるため、冬の草花との寄せ植えにもおすすめです。 セリ‘フラミンゴ’を使った秋冬の寄せ植え例 紅葉したセリ‘フラミンゴ’が枝垂れるように伸び、コクリュウの細葉やセントーレアのシルバーリーフ、ギザギザのハボタン フェザーがボリュームをプラスする寄せ植え。 【使用花材】 セリ‘フラミンゴ’ハボタン ‘フェザー’セントーレア ギムノカルパコクリュウ 常緑性のカラーリーフ⑦アステリア ニュージーランド原産の植物で、あまり出回っていませんが、光を反射するようなメタリック色で、不思議な魅力があります。厚みのある葉は寒さにも耐え、周年葉が落ちないので秋冬の寄せ植えに使うと、一風変わった個性的な雰囲気を出してくれます。寒くなると葉が赤みを帯びて紅葉するのもきれいです。 アステリアを使った秋冬の寄せ植え例 黒やモスグリーン、シルバーリーフなど、それぞれ違った葉色をアステリアが調和を取る寄せ植え。 【使用花材】 アステリア‘レッド デビル’ビオラハボタン‘フェザー’バーゼリアコロキア コトネアスターシロタエギク 常緑性のカラーリーフ⑧コクリュウ これまでご紹介してきた寄せ植えの実例にも多数登場していた黒く細い葉を伸ばすコクリュウ(黒竜)は、古くから下草として庭園用に使われてきた、日本原産のオオバジャノヒゲの品種です。仲間のリュウノヒゲと同様に、周年常緑で、寒さ、暑さに極めて強い丈夫な植物です。これほど真っ黒な葉は他にはなく、使い方によっては、とてもおしゃれな雰囲気に。日本だけでなく海外での人気も高い植物です。 コクリュウを使った秋冬の寄せ植え例 クリーム色のシクラメンや明るいオレンジ花のビオラをハボタンがシックに引き締める寄せ植え。 【使用花材】 コクリュウハボタンタンジー‘ゴールデンフリース’ビオラシクラメン ‘マイクロゴールデンボーイ’ 常緑性のカラーリーフ⑨セントーレア ギムノカルパ 周年常緑の白い葉が美しく、見た感じはシロタエギクに似ていますが別種で、セントーレア(宿根ヤグルマギク)の一種です。シロタエギクに比べて葉がより細かく切れ込み、ピンクの花も咲くので観賞価値が高い植物です。やや大型の多年草で庭植えにして放任すると1m近い高さになりますが、生育は早くないので、若いうちは寄せ植えにも適しています。ピンクの花、シロタエギクに似た葉なので「ピンクダスティミラー」の別名があります。 セントーレア ギムノカルパを使った秋冬の寄せ植え例 セントーレア ギムノカルパを中心に、ダーク系のさまざまな葉がコラボする寄せ植え。 【使用花材】 セントーレア ギムノカルパセリ‘フラミンゴ’ハボタン‘フェザー’メラレウカ‘レッドジェム’コロキア コトネアスターコクリュウ 常緑性のカラーリーフ⑩宿根キンギョソウ‘ブラックプリンス’ キンギョソウといえば一般的に一年草扱いですが、‘ブラックプリンス’は宿根タイプの品種で、冬も夏も越せる種類です。深いブロンズ色の葉、シックなえんじ色の花は、一目でおしゃれな雰囲気が伝わってくる、とても魅力的な色合いです。 花が繰り返し咲き、ほぼ一年中楽しめるうえ、咲いていない時期も葉が周年常緑でカラーリーフとして楽しませてくれます。庭植えはもちろん、寄せ植えにも最適で、シックな美しさに仕上がります。 宿根キンギョソウ‘ブラックプリンス’を使った秋冬の寄せ植え例 草丈が高い宿根キンギョソウ‘ブラックプリンス’とシクラメン、ハボタン、ビオラが脇役をかためる寄せ植え。 【使用花材】 宿根キンギョソウ‘ブラックプリンス’シクラメン‘マイクロゴールデンボーイ’ハボタン‘チタニウムシルバー’カレックス‘フロステッドカール’ビオラ 多年草を使って秋冬の寄せ植えに挑戦してみよう! この種類は冬でも楽しめるんだ!と、いままでのイメージが変わった植物もあったのではないでしょうか? 見慣れていた植物も、いつもと少し違う花を組み合わせるだけで、寄せ植えがグッと個性的になります。これからの季節、花や緑は少なくなりますが、周囲が寂しくなる分、ちょっと一鉢、寄せ植えや鉢植えを玄関先や庭のコーナーに飾るだけでも、雰囲気がパッと明るくなります。ご紹介の植物を使って、ウィンターシーズンでもバラエティに富んだガーデニングを楽しめると思います。ぜひ、挑戦してみてください!
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宿根草・多年草
宿根草ショップの店長が提案! 自宅で簡単に作れる! ドライフラワー向き宿根草5選
庭の花でドライフラワーを手作りしてみよう! 庭にいろんな種類の宿根草が植えてあると、季節ごとに花が咲き継ぎ、楽しみが多いもの。見ているだけでも癒やされますが、たっぷり咲いたら切り花にして部屋に飾ったり、ドライフラワーにしたりして、暮らしの中でも身近に活用してはいかがでしょうか。自宅の庭から収穫した花を自由に使うことは、育てているからこそできる贅沢な楽しみで、オリジナル感があり、しかもお得な気分になりますよ! ドライフラワーの作り方はというと……そう、乾きやすい部屋に干しておくだけ! とっても簡単です。 もちろん、ドライフラワーの色を維持するには、きちんとした工程もありますが、一般のご家庭では、「干しておくだけ」で十分にきれいなドライフラワーになります。ただし、日当たりが強い窓辺や、湿度の高いお部屋では上手くいかないこともありますから、室温が安定していて、乾燥気味の場所を探してみましょう。冬はちょうど空気が乾燥する時期ですから、チャレンジしてみませんか? 乾燥させる際は、吊るすように干しておけば、茎も真っ直ぐなドライフラワーができます。 誰でも簡単に作れる! ドライフラワーに向く宿根草5選 じつは、ほとんどの種類の草花はプロが作れば何でもドライフラワーになるのですが、一般のご家庭で作るには、まずドライフラワーになりやすい種類から挑戦してみましょう。 庭に植えて楽しめて、初心者でも簡単にドライフラワーが作れる、おすすめの5種をご紹介します。 ドライフラワー向き宿根草1オレガノ‘ケントビューティー’ 色づいた萼(がく)とピンクの小花の組み合わせが可愛らしい。 一般的に料理に使うオレガノとはちょっと違う、花オレガノと呼ばれる観賞用タイプです。グリーンの萼(がく)は咲き進むにつれ段々とピンクに色がつき、とてもきれいです。隙間からのぞく小さな花も可愛らしく、人気のオレガノです。 オレガノ‘ケントビューティー’の性質と育て方 耐寒性が強く、冬は落葉して越冬し、春になると再び芽吹く宿根草です。広がりのある草姿で、あまり立ち上がらないため鉢植えや寄せ植えにも向きます。少し乾きぎみに管理し、日向から明るい半日陰で育てましょう。庭植えの場合も水分が多い場所は避け、水はけのよい日向に植栽しましょう。 枝垂れるように咲くので、寄せ植えの前面に最適。 花オレガノには多くの種類があり、どの種類もドライフラワーに向いています。オレガノに限らず、萼を観賞する植物はドライフラワーが作りやすいので、他にも挑戦してみてはいかがでしょうか。 オレガノ‘ケントビューティー’のドライフラワー 色が濃くなったタイミングで収穫し、上手に乾燥させると色もきれいに残ります。 完成したらブリキの花器や花瓶に入れて、おしゃれに飾ってみましょう! ドライフラワー向き宿根草2クラスペディア・グロボーサ クラスペディア・グロボーサは植栽にリズムを生む、ピンポン玉のような可愛い花。 別名は「ドラムスティック」。もともと切り花やドライフラワーとしても有名なクラスペディア・グロボーサは、やはりドライフラワーに加工するのが簡単です。花もちがとてもよいので、切り花として飾ったあとに、ドライフラワーにすることもできます。 クラスペディア・グロボーサの性質と育て方 次々に咲いてくる花を、切って干すだけ。誰でも簡単にドライフラワーが作れます。 一般的に、一年草扱いともいわれていますが、工夫をすれば夏も冬も越して毎年楽しめ、四季咲きなので長期間、収穫ができます。寒さに強く、マイナス12℃程度まで耐えることができ、冬も常緑で越冬します。暑さにも強いのですが、夏の高温時に多湿にすると弱るので、乾きやすい場所に植えましょう。乾燥には相当強い性質です。 庭で活躍して、インテリアとしても飾れる──。お得感があって、楽しみどころの多い花です。 クラスペディア・グロボーサのドライフラワー ドライフラワーにして1年後。ほとんど退色しません。 鮮やかな黄色はドライフラワーの中では貴重です。ドライフラワーのアレンジメントなどに挿し色としても大活躍します。 ドライフラワー向き宿根草3チーゼル・フロナム ガーデン関連の洋書などでも度々登場する大型の植物です。草丈は約2mになり、ユニークな花をたくさん咲かせるので、ガーデンの後方などに植えると、渋い雰囲気を発揮する花です。 夏にたくさんの花を咲かせ、花後はカサカサと自然に乾いてくるので、ドライフラワーに最適です。また、秋冬の庭にあえてタネをつけた枯れ姿をそのまま残して、シードヘッドを楽しむのも昨今のガーデンデザインで流行しています。 チーゼル・フロナムの性質と育て方 チーゼル・フロナムの冬姿。渋さのあるよい雰囲気を醸します。 とても丈夫で育てやすい植物です。耐寒性のある二年草なので、秋~冬に植えて路地で越冬させ、翌年の夏に咲かせるのがおすすめです(春に植えても花が咲きますが、秋植えのほうが花数が多くなります)。 水はけのよい、少し乾きぎみの場所へ植えてください。こぼれダネでもよくふえます。 チーゼル・フロナムのドライフラワー タネになる少し前に収穫すると、色合いが少しグリーンになります。 ドライフラワー向き宿根草4センニチコウ‘ファイヤーワークス’ 野趣に富んだ姿が魅力のセンニチコウ‘ファイヤーワークス’。 一般的なセンニチコウと異なる、宿根タイプで、暖地などでは冬に枯れても春に再び芽吹きます。花期がとても長く、初夏から晩秋まで絶え間なく咲き続けます。咲き進むと姿が乱れてくるのですが、この野趣のある姿も魅力の一つです。 弾けたような花形が「ファイヤーワークス=花火」の名前に由来するそうで、一輪一輪きれいな花形をしています。 センニチコウ‘ファイヤーワークス’の性質と育て方 「花火」にたとえられる、美しい花です。 性質は強く、栽培にあまり気を使わない花です。寄せ植えや鉢植えでも栽培が可能ですが、どんどん伸びて暴れを伴いながら咲き続けるので、どちらかといえば花壇や庭に植えてワイルドな姿を楽しむのがおすすめ。湿気が多い場所は好まないので、風通しと日当たりのよい場所へ植えましょう。放任しても4~5カ月ほど花が咲き続けます。秋は色が濃くなり最も見頃になるので、秋咲きの宿根草と組み合わせてもマッチします。 切り花の様子。花色が褪せにくく、とても長持ち。 センニチコウ‘ファイヤーワークス’のドライフラワー この鮮やかな色は、切り花やドライフラワーにしても長期間残ります。花自体がカサカサと固いので、切り花にしても1カ月以上楽しめますし、その後はそのままドライフラワーにもなります。庭に植えてあると、長期間、次々に花が上がってくるので、たくさん収穫できるのも嬉しい花です。 上写真は、一年経過した様子ですが、まだ色が残っています。 雑貨と組み合わせて飾ってみてはいかがでしょうか。 ドライフラワー向き宿根草5ノリウツギ‘ライムライト’ ノリウツギは木本性(樹木)で、アジサイの仲間です。ピラミッドアジサイとも呼ばれています。 庭木にすると、放射状に花茎が立ち、一斉に開花する姿はボリュームがあり、とても魅力的。夏頃から咲き始め、秋になるとピンクに染まっていく様子も美しいものです。国内、海外でも人気が高く、数多くの品種がありますが、中でも、この‘ライムライト’は花弁に厚みがあるためドライフラワーに最適な品種です。 ノリウツギ‘ライムライト’の性質と育て方 秋、ピンクに染まり始めたノリウツギ‘ライムライト’。 アジサイの仲間なので日陰でも咲きますが、なるべく明るい日陰に植えると花つきがよくなります。一般的な西洋アジサイの性質は、前年の枝に花が咲く「旧枝咲き」なのに対し、ノリウツギは新しい枝の先に花が咲く「新枝咲き」なので、観賞期が終わる冬になったら全体を低い位置まで切り戻しておきます。そうすることで木の姿が徒長(間延び)せず、花も大きくボリュームが出ます。寒さ、暑さに強く日本全国で庭植えに推奨できます。 ノリウツギ‘ライムライト’のドライフラワー 花が満開になって、赤く色づく前に収穫してドライフラワーにしましょう。 房のまま飾っても、ボリュームが楽しめますし、花びらを一輪ずつ押し花に加工してもかわいい姿を楽しめます。 ドライフラワーをクラフトに活用 これからの季節、庭仕事も限られてきて、部屋で過ごす時間も多くなりますね。自ら育てた花を飾ってみたり、ドライフラワーに加工して、さらにリースやアロマワックスバーに使ったり。また、クリスマスや新年のご挨拶のプレゼントに添えたりなど、年末年始のイベントにも自家製ドライフラワーを活用してみませんか? 各苗の植え付けは、本格的な冬が来る前までならば、ちょうどよい時期です。育てながら、暮らしに活用できる魅力を持つご紹介の宿根草にもぜひ、注目を!