見た目はスイカ!? オキナワスズメウリの栽培方法と注意点を解説

Wagner Campelo/Shutterstock.com
まるでミニチュアのスイカのようなストライプ柄の実をつける「オキナワスズメウリ」は、夏の庭やベランダを彩る人気のつる性植物です。秋に色づく鮮やかな赤い実はリースやインテリアにも大活躍! この記事では、オキナワスズメウリの特徴や育て方、注意点、種子の採り方まで分かりやすく解説します。初心者でも失敗しないポイントを押さえて、グリーンカーテンに取り入れてみませんか?
目次
オキナワスズメウリの基本情報

植物名:オキナワスズメウリ
学名:Diplocyclos palmatus
英名: lollypop climber、striped cucumber、palm leaf vine
和名:オキナワスズメウリ(沖縄雀瓜)
その他の名前:リュウキュウスズメウリ、リュウキュウオモチャウリ
科名:ウリ科
属名:オキナワスズメウリ属
原産地:沖縄、台湾、中国、東南アジア、アフリカなど熱帯地域
形態:宿根草(多年草)・一年草
オキナワスズメウリは赤い実が特徴的な、ウリ科オキナワスズメウリ属のつる性植物です。学名はDiplocyclos palmatus。漢字では「沖縄雀瓜」と書き、別名にリュウキュウスズメウリ、リュウキュウオモチャウリがあります。原産地は沖縄、台湾、中国、東南アジア、アフリカなど。暑さに強い一方で、寒さに弱い性質で、原産地では本来多年草ですが、日本の厳しい寒さに耐えられずに枯死してしまうため、沖縄を除いて一年草扱いされています。つるを伸ばす範囲は2m以上で、フェンスやオベリスク、支柱などつるを仕立てられる構造物が必要です。旺盛に生育するため、前もってスペースを確保しておきましょう。
オキナワスズメウリの花や葉、実の特徴

園芸分類:草花
開花時期:7〜10月
草丈・樹高:2〜数m
耐寒性:弱い
耐暑性:強い
花色:クリーム色
オキナワスズメウリの開花期は7〜10月で、花色は白〜クリーム色。花径は1㎝ほどの5弁花で、雌花と雄花がつきます。果実をつけるのは雌花のみです。花はあまり目立たず、観賞価値が高いのは果実のほうで、8〜10月に直径2cmほどの果実をつけます。楕円形のグリーンの果実には白くペイントしたようなストライプ模様が入って大変かわいらしく、熟すと赤くなるのが特徴です。果実が完熟したら種子を採取できるので、翌年の種まきに利用するとよいでしょう。深く切れ込みが入る葉も魅力です。地植えでも、鉢植えでも栽培できます。赤く熟した実は一見美味しそうですが、有毒なので口にしないよう注意しましょう。
グリーンカーテンやインテリアにぴったり

オキナワスズメウリはつるを伸ばし、巻きひげで絡みながら旺盛に生育するので、夏の日除けとしてのグリーンカーテンにピッタリ。暑さに強く終日太陽光が照りつける場所でも元気に育つので、リビングや個室の窓前にネットを張って、つるを窓前全体に仕立てるとよいでしょう。また、かわいらしい果実は、トレイやボウルに並べてインテリアに飾っても素敵。リースやスワッグにアクセントとしてあしらうのもおすすめです。ドライにしても色が褪せにくく、長く楽しむことができます。
オキナワスズメウリの名前の由来や花言葉

オキナワスズメウリは漢字では「沖縄雀瓜」と書き、沖縄のスズメウリという意味。スズメウリという名前は、カラスウリよりも小さいサイズであることに由来するとされています。
オキナワスズメウリの花言葉は、「イタズラ好き」です。
オキナワスズメウリとスズメウリの違い

オキナワスズメウリとよく似た名前の植物に、「スズメウリ」があります。スズメウリはウリ科スズメウリ属の一年草で、オキナワスズメウリ属のオキナワスズメウリとは種が異なります。本州〜九州の水辺の草むらなどに自生し、開花期は8〜9月で、5mmほどの白い五弁花が咲き、雄花と雌花があります。開花後につく丸い果実のサイズは1cm前後。果実の色はグリーンで、オキナワスズメウリのようなストライプ柄は入らず、熟すとやや白っぽくなる点が異なります。
オキナワスズメウリの栽培12カ月カレンダー
開花時期:7〜10月
植え付け:5~6月
肥料:6月下旬〜10月
種まき:5月中旬〜6月
オキナワスズメウリの栽培環境

日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】日当たり、風通しのよい場所を選びます。日当たりの悪い場所では、花や実つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が間のびしたりするので注意。
【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。
【置き場所】水はけのよい土壌を好むので、地植えする場合は植え付け前に有機質資材を投入してよく耕し、ふかふかの土づくりをしておくとよいでしょう。周囲よりも土を盛って水はけをよくしておくのも一案です。
耐寒性・耐暑性
オキナワスズメウリは耐暑性がある一方で耐寒性が弱く、沖縄以外では一年草として扱われます。
オキナワスズメウリの育て方のポイント
用土

【地植え】
丈夫な性質で土壌を選びませんが、植え付ける1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材を植え場所に投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておくとよいでしょう。土づくりは植え付け直前ではなく、数週間前に行っておくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
【鉢植え】
草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。
水やり

株が蒸れるのを防ぐために株全体にかけるのではなく、株元の表土を狙って与えてください。真夏は気温が高い昼間に水やりすると、水がすぐにぬるま湯になり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。
【地植え】
しっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。成長期を迎えてぐんぐん茎葉を広げるようになると、水を欲しがるようになります。気候や株の状態に適した水やりを心がけましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。
特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。
肥料

【地植え・鉢植えともに】
植え付けの際に元肥として緩効性肥料を施しておきます。6月下旬〜10月の生育期間は株の状態を見て勢いがないようであれば、緩効性化成肥料を少量、株の周囲にまきます。スコップなどで軽く耕し、土に馴染ませておきましょう。開花期間中は、緩効性化成肥料をやめて速効性タイプの肥料を与えるのも一案。開花を促すタイプの液体肥料を、10日に1度を目安に与えて株の勢いを保ちます。窒素成分の多い肥料を与えると、茎葉ばかりが茂って花や実つきが悪くなるので、与える際には注意してください。
注意する病害虫

【病気】
オキナワスズメウリに発生しやすい病気は、うどんこ病などです。
うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。茎葉やつぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放置するとどんどん広がって光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用する殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。
【害虫】
オキナワスズメウリに発生しやすい害虫は、アオムシやアブラムシなどです。
アオムシは、モンシロチョウの幼虫です。葉裏などに卵を産み、孵化した幼虫は旺盛に葉を食害します。葉に穴があいているのを見つけたら、葉を裏返すなどして幼虫がついていないか確認し、見つけ次第捕殺します。大きくなるとギョッとするほどのサイズになり、葉脈のみを残して食べ尽くすほどの害を与えるので、早めの対処が大切です。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。
オキナワスズメウリの詳しい育て方
苗の選び方
苗を購入する際は、節間が短く茎ががっしりと締まって丈夫なものを選びましょう。
植え付け

オキナワスズメウリの植え付けの適期は、購入苗が5〜6月、自身で種まきして育苗した苗は6月下旬〜7月中旬頃です。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に苗よりもひと回り大きな穴を掘り、苗をポットから出したら根鉢をややくずして植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、十分に間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。
【鉢植え】
鉢の大きさは、10号鉢以上を準備しましょう。
用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。オキナワスズメウリの苗を鉢に仮置きして高さを決め、苗をポットから出して根鉢をやや崩して植え付けます。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取ってください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。
植え替え

オキナワスズメウリは本州では夏秋咲きの一年草扱いで、寒くなると枯れてしまうので植え替える必要はありません。枯れて株まわりが汚くなる前に抜き取って処分します。
日常の手入れ

【誘引・整枝】
自由につるを伸ばして生育するため、伸ばしたい方向につるをフェンスや支柱などに誘引してビニタイなどでとめていきます。込み合いすぎて風通しが悪くなっている場所があれば、適宜整枝して風通しをよくしておきましょう。手入れの際に枯れた葉があれば、適宜取り除いて株まわりを清潔に保っておきます。
増やし方

オキナワスズメウリは、種まきをして増やします。ここでは種まきの仕方と、種子の採取と保存についてご紹介します。
【種まき】
種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなります。
オキナワスズメウリの発芽適温は20〜30℃で、種まき適期は十分に気温が上がる5月中旬〜6月です。黒ポットに十分に湿らせた市販の草花用培養土を入れて3〜4粒ずつ種子を播き、種子が隠れる程度に覆土してください。半日陰の場所に置いて乾燥しないように水の管理をして発芽を待ちます。
発芽したら日当たりがよく、風通しのよい場所で管理しましょう。本葉が2〜3枚出始めたら、間引いて1〜2本残します。ヒョロヒョロと伸びて弱々しい苗や葉が虫に食われている苗、葉が黄色くなっている苗などを選んで間引きましょう。本葉が4〜5枚ついてしっかりした株に育ったら、植えたい場所に定植しましょう。詳細は前述の「植え付け」の項目を参照してください。
【種子の取り方】
種子を採取したい場合は、赤い果実が熟して表面にしわやくぼみが現れたら採取します。果実の中から種子を取り出し、流水で十分に洗い流してから日陰で乾燥させください。紙袋などに入れて、湿気の少ない場所で種まきの適期まで保管しておきましょう。
オキナワスズメウリの栽培に関するQ&A

オキナワスズメウリを育てている際に困ったことや疑問に思ったことなど、寄せられたご意見をもとに項目をピックアップして回答します。
オキナワスズメウリを食べるとどうなる?
オキナワスズメウリの果実には、毒成分のククルビタシンが含まれているので、食べることはできません。食すと腹痛や嘔吐、下痢などを引き起こします。幼児やペットのいる家庭では、誤って口に入れることのないように管理しましょう。
オキナワスズメウリの実を赤くする方法は?
オキナワスズメウリの実は、グリーンから徐々に変色して鮮やかな赤になります。しかし、寒くなる前に果実がある程度大きくなっていないと、グリーンの実のままで熟さないことがあります。種まきや植え付けが遅くなると発生しやすくなるので、タイミングを逃さないようにしましょう。
オキナワスズメウリの発芽率は?
オキナワスズメウリの発芽率は低いほうなので、種まきする場合はやや多めに播いて、間引きながら育成するとよいでしょう。発芽適温が20〜30℃で、比較的高いことが理由として考えられるので、十分に気温が上がった時期に種まきすることがポイントです。
冬越しはできる?
オキナワスズメウリは冬の厳しい寒さを苦手とするため沖縄以外での冬越しは難しく、一年草として扱われています。果実が完熟したら種を採取して保存しておき、翌年の種まき適期に種まきして毎年楽しむとよいでしょう。
オキナワスズメウリを育ててみよう

オキナワスズメウリは、かわいらしいグリーン〜赤い実をつけるので、インテリアに飾ったりリースやスワッグにあしらったりしても素敵。つるを四方に伸ばすダイナミックな草姿も魅力的です。ぜひ庭やベランダに植栽してみてください。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。2026壁掛けカレンダー『ガーデンストーリー』 植物と暮らす12カ月の楽しみ 2026 Calendar (発行/KADOKAWA)好評発売中!
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