かわい・たかし/千葉大学大学院園芸学研究科修了後、大手種苗会社の研究員などの経歴を経たのち、フリーとして活躍の場を広げる。現在は横浜イングリッシュガーデンを拠点に、育種や全国各地での講演や講座、バラ園のアドバイスやガーデンデザインを行う。著書に『美しく育てやすい バラ銘花図鑑』(日本文芸社)、『バラ講座 剪定と手入れの12か月(NHK趣味の園芸)』(NHK出版)監修など。
河合伸志 -植物専門家・バラ育種家-
かわい・たかし/千葉大学大学院園芸学研究科修了後、大手種苗会社の研究員などの経歴を経たのち、フリーとして活躍の場を広げる。現在は横浜イングリッシュガーデンを拠点に、育種や全国各地での講演や講座、バラ園のアドバイスやガーデンデザインを行う。著書に『美しく育てやすい バラ銘花図鑑』(日本文芸社)、『バラ講座 剪定と手入れの12か月(NHK趣味の園芸)』(NHK出版)監修など。
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【プロが厳選】秋バラが「春より美しく」咲く! 病気に負けないおすすめ品種10選と栽培のコツ
春に咲く「一番花」と「秋バラ」の違いとは 10月下旬~11月下旬まで秋バラが見頃の神奈川県綾瀬市にある「あやせローズガーデン」。オーストラリアやニュージーランド産の植物を背景に紫やピンクのバラがコラボする「オセアニア・ガーデン」の秋。健全に生育したバラは、秋にもたくさんの花を咲かせる。 多くのバラは春(初夏)の一番花の開花後も、断続的に花を咲かせます。関東地方以西の平地では6月後半~7月にかけて二番花が咲き、その後も盛夏にかけて開花しますが、これらの花は春の花に比べるとおおよそ1/4程度のサイズにまで小さくなってしまいます(品種によって小さくなる度合いは異なります)。また、高温期の花は色も浅く、花弁数も減り、花もちが悪く、正直に述べて魅力度が劣ってしまうものです。 左は春、右は秋に開花した ‘ル・デパール・ド・アヤセ’。花色はさほど違いがないが、秋の花は花形がふっくらと抱えるような印象になる。 一方、秋になって気温が下がってくると、バラの魅力度は急上昇。この時期の花を一般に「秋バラ」と呼んでいますが、再び大きく色鮮やかな美しい花が咲くようになります。地域やバラ園の管理方針によって変わりますが、一般に秋バラの見頃は10~11月です。関東地方以西の平地では以前は10月に入ると美しい秋バラが楽しめましたが、昨今の地球温暖化により残暑が厳しくなったため、美しい秋バラが見頃を迎える期間は10月末~11月にかけてとなっています。 秋に美しく咲かせる栽培条件と秋バラの特徴 ダリアやセロシアなどと咲く秋バラ。品種は‘チェリー・スプラッシュ’。 バラには、初夏のみに開花する「一季咲き性」と、春以降も不規則に繰り返し開花する「返り咲き性」や規則的に開花する「四季咲き性」があります。秋にも再び多くの花を咲かせるのは、主に「四季咲き性」の品種が中心です。気温が下がった時期に、整った株姿で、ある程度揃えて秋バラを咲かせるために、一般に夏剪定を実施します。剪定のタイミングは、その年の気候や株の生育状態、株が植えられている場所の微気象の違いから判断して決定するため、ある意味では高度なテクニックを要します。 春の「トロピカル・ガーデン」で株全体を覆うほど花を咲かせる‘シャルール’。株元の紫の葉は、トラディスカンチア・パリダ‘パープル・ハート’(通称「紫御殿」で流通)。 ‘シャルール’の秋バラ。春と花数がほとんど変わらない優れた品種。色は春よりも濃く鮮やかな分だけ、魅力度はアップしている。株元を彩るのはコリウスの小型品種‘ブロンド・ガール’。 一般に春に比べると、秋は花数が少なくなる品種もありますが、中には上写真の‘シャルール’のように、秋も春もさほど花数が変化しない品種もあります。ただし、このような品種であっても、適切な栽培管理をしないと、本来の能力を発揮できないことがあります。たとえ花数では春に負けたとしても、秋バラは一輪そのものの魅力で春に勝る部分があります。まずは、日毎に気温が下がっていくことで花がゆっくりと開くので、春よりも観賞期間が長くなります。 左は春、右は秋に開花した ‘マイローズ’。花形はさほど違いがないが、秋の花は赤の色合いが深みを増す。 また、秋になると昼夜の気温差があるため、多くの品種は春の花よりも、色が濃く咲きます。そして、開花するまでに多くの時間を要する分、花弁が十分に伸長し、カップ咲きなどではより深いカップになって、全体がふっくらした印象になるのも秋バラの特徴です。 春秋どちらの花が好きかは、好みにもよりますが、多くの方は趣深い秋の花を好ましく思うようです。 秋バラを咲かせるための品種選びのポイント エリゲロン・カルビンスキアヌスやガウラ‘イノセント・フェアリー’が株元を覆い、サルビア‘ビッグ・ブルー’、セロシア‘シルフィード’、ジニア‘ジャイアント・ライム’がピンク系のバラと調和するウォーター・ガーデンの入り口。 秋バラを咲かせるために最も重要なことは、耐病性の強い品種を選ぶこと。しばしば起こりうることですが、梅雨時期に病害虫により葉を落としてしまうと、バラは光合成ができなくなるため株の力がなくなり、秋バラが順調に咲かなくなってしまいます。 梅雨に限らず、秋雨、台風の襲来と生育期に雨が多く、病害(特に黒星病)が発生しやすい日本では、最高の秋バラを咲かせることは、じつはプロにとっても決して容易ではありません。見事な秋バラを咲かせているバラ園は、数多くのバラ園の中でもほんの一握りといっていいかもしれません。 2025年5月に一般公開がスタートした「あやせローズガーデン」(入場無料)。秋も赤いバラ‘フェアリー・クイーン’が鮮やかに開花してお客様を出迎える。 バラを育てたいと思う初心者には、なおさら秋バラを咲かせることは難しいようにも思えますが、近年は病害に悩まされにくい耐病性の強い品種が次々と登場しているので、以前に比べると秋バラを咲かせるハードルはだいぶ下がっています。秋バラを咲かせるためには、耐病性の強い品種を選ぶことが一番大切です。 あやせローズガーデンでよく咲くバラ10選 写真では印象が異なることがあるので、秋に咲いている姿を各地のバラ園で確認し、実際の花を見て選ぶのがおすすめです。以下からは、神奈川県綾瀬市の「あやせローズガーデン」の庭で、秋によく咲く注目の10品種をご紹介します。 Select 1ディープ・ボルドー 四季咲き性/木立性/中輪/2014年/作出者 コルデス やや落ち着いたトーンのチェリー・レッドのロゼット咲きで、花色は気温によってやや濃淡が変化する。春の花は、時に花心がクウォーター・ロゼット咲きのように複数に割れる。花にはラズベリーのような中程度の心地よい香りがある。 秋のウェルカム・ガーデンに咲く‘ディープ・ボルドー’。秋の花は色が濃くなり、ややカップ状の花形になる。 数輪の房で開花し、花付きがよい。コルデス社の品種は春以降の返り咲き性が劣る品種が多いが、本品種は例外的に繰り返しよく開花し、秋の花数も多い。枝はやや細くすらりと直立に伸長し、中程度の株に生育する。耐病性が強く、樹勢も強く、育てやすい。 Select 2ベン・ウェザースタッフ * 四季咲き/木立性/中輪/2020年/作出者 木村卓功 春の花は、アプリコット色の花弁に切れ込みが入る。中輪としてはやや大きめのロゼット咲きの花。数輪の房で開花し、花付きはややよい。早咲きで、心地よいティー系の中程度の香りがある。春以降も開花するが、スムーズに咲かせるためにはやや多めに肥培したほうがよい。枝はしっかりと硬く、直立性のがっしりとした中程度の株に生育する。耐病性が強く、樹勢も強く、育てやすい。 Select 3グラシアール * 四季咲き/木立性/中輪/2022年/作出者 木村卓功 くすみや濁りのない美しい純白の整った丸弁平咲き。花にはダマスクからフルーティーの心地よい中程度の香りがある。数輪の房で咲き、花付きがとてもよい。春以降もよく返り咲き、秋の花付きもとてもよい。 春のホワイト・ガーデンに咲く‘グラシアール’。濁りのない美しい純白の花は光に輝いて、白花で統一したエリアの主役になる。* 枝はやや細くしなやかさがあり、すらりと直立に伸び、中型から大型の株に生育する。耐病性が強く、樹勢もとても強く、極めて生育旺盛で育てやすい。往年の名花‘アイスバーグ’を全ての点で超えている品種。 Select 4ニューサ 四季咲き/木立性/小輪/2014年/作出者 木村卓功 つぼみの時は淡いピンク色で、開くと白になる。一重咲きの花にはスパイシーな中程度の香りがあり、ポリネーター(花粉媒介者)が集まりやすい。円錐形の大房で咲き、花付きがとてもよい。花がらをそのまま残せば、秋には多数のローズ・ヒップが実る。 春のメドウ・ガーデンに咲く‘ニューサ’。素朴な花は、宿根草などナチュラルな景観を作る植物との相性がよい。 枝は細くしなやかで、半横張りのふわりとしたややコンパクトな株に生育し、鉢栽培にも向く。耐病性が強く、樹勢もやや強く、育てやすい。シンプルな花と繊細な株姿は、ナチュラル嗜好の人にも受け入れられる。 Select 5サマルカンド 四季咲き/木立性/中輪/2022年/作出者 木村卓功 ラベンダー色の花弁がやや波を打った丸弁平咲きで、数輪の房になって開花し、花付きがとてもよい。ティー系の微香。春以降も繰り返しよく咲き、特に秋の花付きが優れ、3シーズン花数が変化しない。 秋のオセアニア・ガーデンに咲く‘サマルカンド’。秋でもこの数の花を咲かせるのは驚異的。 花弁質が優れ、雨などで傷みにくい。枝は中程度の太さで、ややしなやかさもある。半横張り性のコンパクトな株で、ほどよくまとまり、鉢栽培にも向く。耐病性が強く、樹勢もやや強く、育てやすい。 Select 6こうぞめ 四季咲き/木立性/中輪/未発表/作出者 河合伸志 花弁が時に波打つ黄土色の、丸弁平咲き。ティー系の微香。早咲きで、数輪の房になって開花し、花付きがとてもよい。春以降も繰り返しよく咲き、3シーズン花数が変化しない。花弁質が優れ、雨などで傷みにくい。 秋のフラワー・ヒルに咲く‘こうぞめ’。写真左はミューレンベルギア・カピラリス。線が細く、重くないブラウン系の花はグラス類との相性がよい。 枝はやや細く繊細な印象で、半横張りにやや自由な感じで広がるように生育する。耐病性が強く、樹勢は中程度だが育てやすい。重すぎない花と繊細な枝葉は、グラス類など他の植物との相性がよい。また結実しやすくローズ・ヒップが美しいので、あえて二番花以降を咲かせずに秋にヒップを楽しむのもよい。‘くるみ’の姉妹品種で、特性がよく似る。 春のフラワー・ヒルに咲く‘こうぞめ’。スティパ・テヌイッシマとコラボする軽やかで美しい景色。* Select 7くるみ * 四季咲き/木立性/中輪/未発表/作出者 河合伸志 花弁が時に波打つ桃茶色の、丸弁平咲き。ティー系の微香。早咲きで、数輪の房になって開花し、花付きがとてもよい。春以降も繰り返しよく咲き、3シーズン花数が変化しない。花弁質が優れ、雨などで傷みにくい。枝はやや細く繊細な印象で、半横張りにやや自由な感じで広がるように生育する。耐病性が強く、樹勢は中程度だが育てやすい。 春のフラワー・ヒルに咲く‘くるみ’。麦の穂と草丈も合って引き立て合うナチュラルな風景。* 重すぎない花と繊細な枝葉は、グラス類など他の植物との相性がよい。また結実しやすくローズ・ヒップが美しいので、あえて二番花以降を咲かせずに秋にヒップを楽しむのもよい。‘こうぞめ’の姉妹品種で、特性がよく似る。 Select 8ステラ・ルーチェ * 四季咲き/木立~半つる性/中輪/2025年/作出者 入谷伸一郎 丸弁平咲きで、白い花弁の中心に赤いブロッチが入る。ティー系の微香。早咲きで、数輪の房になって開花し、花付きがとてもよい。春の株姿はカチッとコンパクトにまとまるが、秋はシュラブ状に枝が直立にやや伸びる。鉢栽培にも向く。耐病性が強く、樹勢は強く、育てやすい。 Select 9紫陽(シヨウ) 四季咲き/木立性/小輪/2000年/作出者 上山洋 紫がかった淡い桃色のポンポン咲きで、大房で開花し花付きがとてもよい。花には中程度のスパイシーな香りがある。可憐な花は和の雰囲気にもよくマッチする。 秋の古都の庭に咲く‘紫陽’。嫌味のない小ぶりな花は和の空間にも相性がよい。 春以降も繰り返しよく咲き、秋の花付きもよい。やや横張りのコンパクトな株で、鉢栽培に向く。樹勢は中程度で、耐病性が強く、育てやすい。 春の古都の庭に咲く‘紫陽’。株全体を覆い尽くすほどの圧倒的な花数が楽しめる。* Select 10タイガー・アイズ 四季咲き/木立性/中輪/2006年/作出者 クリス・ワーナー やや山吹色を帯びた黄色の花弁に、大きな赤いブロッチが入る一重咲き。大きめの房で開花し、花付きがよい。ティー系の微香。早咲きで、綾瀬市ではゴールデン・ウィーク後半に見頃を迎える。 春のトロピカル・ガーデンに咲く‘タイガー・アイズ’。黄色の花弁にくっきりとした大きな赤いブロッチはやや個性が強く使いにくさを感じるが、刺激的なトロピカル・ガーデンにはよくなじむ。 株は半横張りの中型で、春の株姿はまとまりがよいが、秋はややシュラブ状に広がるように伸びる。樹勢は強く、耐病性が強く、育てやすい。結実しやすい品種のため、二番花以降を咲かせるためには花がら切りは必須。
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神奈川「あやせローズガーデン」の秋バラがすごい! プロが選ぶ「丈夫でよく咲くバラ」10選
世界を旅するように巡れる、話題の「あやせローズガーデン」とは 「あやせローズガーデン」の中央エリア、ピースフル・ガーデンで無数の花を咲かせる‘ル・デパール・ド・アヤセ’。 神奈川県綾瀬市の市民公園「光陵公園」内に誕生した「あやせローズガーデン」は、2025年5月1日に入園無料のバラ園として一般公開がスタートした、いま話題の新スポットです。“バラとのつながりで輝くまちあやせ”をスローガンに、GREEN×EXPO2027(2027国際園芸博覧会)が開催される横浜市瀬谷区に隣接する立地を生かし、誰もが気軽に本格的なバラの風景を楽しめる庭として整備されています。 園内にはデザインの異なる11のエリアがあり、それぞれのコンセプトに合わせて約150種・680本のバラが植栽され、一季咲きのつるバラを除く約9割が今まさにこの秋にも開花しています。バラの足元には宿根草や一年草、花木など多彩な植物が植え込まれ、他のガーデンではあまり見かけない珍しい植物もバラと調和して季節の表情をつくっています。エリアごとに雰囲気ががらりと変わるので、園内を1周するだけで、まるで世界の庭を旅しているような散策が楽しめます。 猛暑と病気に強い“厳選バラ”だけが植えられたガーデン ジニア・エレガンス‘クィニー・ミックス’と競い合うように咲く‘ル・デパール・ド・アヤセ’。 バラは生育期に雨が多い日本の高温多湿な気候では病気が出やすく、通常は週に1回程度の薬剤散布が必要とされるなど、やや栽培難易度の高い植物です。「あやせローズガーデン」では、綾瀬市の気候条件(=関東地方以西の平地の気候)や昨今の猛暑にも耐え、月1回程度の薬剤散布で健全な状態を保てるような、強健な品種を厳選*し植栽しています。そのため過酷な夏のダメージが少なく、秋まで葉も花も美しい状態を維持できています。さらに、もともと秋でも花付きがよい品種を多く選んでいるため、他ではなかなか見られないような秋バラと他の植物がコラボする特上の秋の風景が生まれています。 今回ご紹介する10品種も、こうした条件を満たし、秋でも花付きよく楽しめるよう選び抜かれたおすすめのバラたちです。 *デザイン上替えがきかない一部の品種を除く 小高い丘の斜面に、グラス類やコスモス、ジニア、セロシアなどと一緒に秋バラも彩りを添えるフラワー・ヒル。写真右のよく目立つ大型の宿根草はサルビア・マドレンシス‘イエロー・マジェスティ’。 あやせローズガーデンで注目の秋バラ10選 他所では見られないオリジナル品種や最新品種も数多く植えられ、季節とともに次々と表情を変える風景の散策が楽しめる「あやせローズガーデン」。“この庭自体がバラ栽培の参考書になるように”。そんな思いで植栽設計を手がけた総合監修者の河合さんが、「秋もよく咲き、耐病性に優れ、初心者でも育てやすい」という視点で厳選し、この庭の魅力を象徴する存在として選んだ注目の秋バラ10種を、実際のガーデン風景とともにご紹介します。 セレクト1ル・デパール・ド・アヤセ 四季咲き/木立性/中輪/2025年/作出者 河合伸志 ピンクが混ざった独特の色調のオレンジ色で、人目を引きつける。一見して派手な色ではあるが、花の雰囲気が重すぎないこともあり、グラス類など他の植物とよくなじむ。花弁がやや波打った丸弁平咲きで、軽いティーの香りがある。 秋のフラワー・ヒルに咲く‘ル・デパール・ド・アヤセ’。株元に咲くダリアは自然実生で生えてきたもの。 極早生品種で、綾瀬市ではゴールデン・ウィーク過ぎには満開になる。春以降も繰り返しよく開花する。数輪の房で咲き、花付きがとてもよい。株は半直立性で、枝はやや細くしなやかさがあり、中型の株に生育する。耐病性に優れ、樹勢が強く、育てやすい。綾瀬市のシンボル・ローズで「綾瀬の門出」を意味する。 セレクト2マイ・ローズ 四季咲き/木立性/中小輪/2019年/作出者 木村卓功 チェリー・レッドの色彩は、気温が低い時のほうが、赤が美しく発色する。中輪としてはやや小ぶりの整ったロゼット咲きで、ティー系の微香。花首がややうつむくように咲き、花もちがとてもよい。 秋のウェルカム・ガーデンに咲く‘マイ・ローズ’。左の宿根草はサルビア・エレガンス(パイナップル・セージ)‘ゴールデン・デリシャス’。まばゆい黄金葉は赤い花を引き立ててくれる。 数輪の房で咲き、花付きがとてもよい。花もちがとてもよく、花弁質が優れ、雨でも傷みにくい。株は半直立性で、コンパクトでカチッとまとまり、鉢栽培にも向く。耐病性が強く、樹勢はやや強く、育てやすい。 セレクト3ベルスーズ 四季咲き/木立性/中小輪/2019年/作出者 木村卓功 ピンクの浅いカップ状の丸弁平咲きで、花径4~5cm程度の小ぶりの花。ティー系の微香がある。大房で開花し、花付きが極めてよい。春以降もほぼ連続的に開花し、3シーズン花付きがよく、ガーデンにはもってこいの品種。 秋のウォーター・ガーデンに咲く‘ベルスーズ’。秋のガーデンで最も多くの花を咲かせてくれる品種の1つ。 枝は細くしなやかさがあり、ほどよくふわりと広がり、優雅さを感じさせる。株は半直立性で、比較的コンパクトに生育し、まとまりもよく、鉢栽培にも向く。耐病性が強く、樹勢が強く、育てやすい。 セレクト4クー・ド・クール 四季咲き/木立性/中輪/2020年/作出者 入谷伸一郎 グレーや茶の陰影を感じる独特の色調で、季節によって変化しやすい。花の中心にペルシカ系特有の淡いブロッチが入る。ティー系の微香がある。極早生品種で、綾瀬市ではゴールデン・ウィーク過ぎには満開になる。弁先が尖った形状の半八重咲きで、数輪の房で咲き、花付きがとてもよい。春以降も繰り返しよく咲き、3シーズン花付きがよい。 秋のドライ・ガーデンに咲く‘クー・ド・クール’。左はセロシア‘セルウェイ・テラコッタ’。このバラの微妙な色彩は、アンティークな色合いともよく調和する。 枝はやや細くしなやかさがある。半横張りのコンパクトな株に生育し、まとまりがよく、鉢栽培にも向く。耐病性が強く、樹勢がやや強く、育てやすい。節数が少なく、大房で花が咲くので、花後の剪定は浅くしないと二番花が咲きにくくなる。 セレクト5シャルール 四季咲き/木立性/中輪/2021年/作出者 木村卓功 オレンジ、黄、赤が混ざる複雑な色合いで、人目をよく引き付ける。開花後に花色が変化し、花全体が赤みを帯びてくる。ロゼット咲きの花には、フルーティーな心地よい中程度の香りがある。早咲きで、花もちがよい。 秋のトロピカル・ガーデンに咲く‘シャルール’。賑やかな色合いは、極彩色のトロピカル・ガーデンによく似合う。 数輪の房で咲き、花付きがとてもよく、春以降も繰り返しよく咲き、3シーズン花数が変化しない。枝は中程度の太さで、ややしなやかさがありつつもがっしりとした姿で、枝葉がよく茂る。半直立性の中型の株。耐病性が強く、樹勢が強く、育てやすい。 セレクト6ヴィル・ナタール 四季咲き/木立性/小輪/2022年/作出者 河本麻記子 赤紫色のポンポン咲きで、円錐状の大房で咲き、花付きがとてもよい。ティー系の微香がある。小花としては珍しく早咲きの品種で、気温が高くなる前に咲くので、パープル系の品種としては発色がよい。花もちもよく、春以降も繰り返しよく咲く。 秋のメドウ・ガーデンに咲く‘ヴィル・ナタール’。一緒に咲くコスモスは、‘カップ・ケーキ・ブラッシュ’。 枝は細く、直立性の株はコンパクトでまとまりよく生育し、鉢栽培にも向く。耐病性がやや強く、樹勢は中程度で育てやすい。節数が少なく、大房で花が咲くので、花後の剪定は浅くしないと二番花が咲きにくくなる。 セレクト7雨ニモマケズ・リバーシブル・ピンク 四季咲き/木立性/大輪/2020年/作出者 吉池貞蔵 ピンク色に花弁裏が白色になるバイカラー。ふっくらとした丸弁の抱え咲きで、花にはアニスとティーの混ざった中程度の香りがある。数輪の房で咲き、花付きがよい。花もちもよく、春以降もよく咲く。株は中型で、まとまりよく生育し、鉢栽培にも向く。耐病性が強く、樹勢はやや強く、育てやすい。 秋のフラワー・ヒルに咲く‘雨ニモマケズ・リバーシブル・ピンク’。一緒に咲く宿根草はサルビア‘ビッグ・ブルー’。初夏から長期間咲き続ける。 株はややコンパクトでまとまりよく生育し、鉢栽培にも向き、がっちりとした半直立性の株に生育する。耐病性が強く、樹勢はやや強く、育てやすい。極端な多肥では、花が素直に開かないことがある。節数が少ない割に房で花が咲くので、花後の剪定は浅くしないと二番花が咲きにくくなる。 セレクト8アイズ・フォー・ユー 四季咲き/木立性/中輪/2009年/作出者 ピーター・J・ジェームズ 紫がかったピンクに、中心に大きく赤紫色のブロッチが入る。花色は気温で変化しやすく、低温期は濃く発色し、高温期はほぼ白色になる。早咲きで、花にはスパイシーな中程度の香りがある。数輪から大房で開花し、花付きがとてもよい。春以降もよく咲く。 秋のオセアニア・ガーデンに咲く‘アイズ・フォー・ユー’。秋は色彩が色濃く咲き、より一層魅力的になる。 半直立性のコンパクトな株で、カチッとまとまり鉢栽培にも向く。耐病性が強く、樹勢はやや強く、育てやすい。節数が少なく、大房で花が咲くので、花後の剪定は浅くしないと二番花が咲きにくくなる。 セレクト9楼蘭(ロウラン) 四季咲き/木立性/中輪/2022年/作出者 木村卓功 やや紫を含むピンクの整った浅いカップ咲きで、花にはクラシック・ローズのようなダマスク香とティーの混ざったやや強い香りがある。数輪の房で開花し、花付きがとてもよい。春以降も繰り返し良く咲き、3シーズン花数が変化しない。 秋のオセアニア・ガーデンに咲く‘楼蘭’。後方の樹木はメラレウカ‘レッド・ジェム’。‘楼蘭’は総合監修者の河合さん、ガーデナーの入谷さんと石原さんの3人が揃っておすすめする、とても優秀な品種。 枝は細くしなやかで、ふわりとやや広がるように半横張りに伸長し、クラシック・ローズの美しさを感じさせる。株は中型からややコンパクトで、鉢栽培にも向く。耐病性が強く、樹勢も強く、育てやすい。 セレクト10キャメル 四季咲き/木立性/中輪/2025年/作出者 河合伸志 淡い茶色や桃、紫が混ざった複雑な色調で、不規則に所々に外弁に赤みがさす。ティー系の微香。整ったカップ咲きで、早咲きで、春以降も繰り返しよく咲く。数輪の房で咲き、花付きがよいが、秋は一輪咲きになりやすい。枝はやや太く、がっしりとした半直立性の中大型の株に生育する。耐病性が強く、樹勢がとても強く、育てやすい。 春のドライ・ガーデンに咲く‘キャメル’。ドライ・ガーデンにはラクダ(camel)がピッタリ。
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【見頃到来】バラとアジサイの共演! 横浜イングリッシュガーデンで出会う初夏の限定絶景
首都圏屈指の300品種のアジサイが主役になる季節 遅咲きのバラと早咲きのアジサイが一緒に楽しめる2024年5月下旬の横浜イングリッシュガーデン。 2,200品種、2,800株ものバラが4月下旬から咲き継ぎ、2025年も多くの人を魅了してきた横浜イングリッシュガーデン。5月下旬からは、主役が遅咲きのバラから早咲きのアジサイへとバトンタッチして、景色が日々変わっています。 左/ホルトノキに10株のつるバラ‘ローゼンホルム’を絡め、所々にクレマチスやホタルブクロも競演するバラのシーズンのフィナーレを飾る演出。右/8mのオウシュウナラに赤バラ‘ゾマーアーベント’ が咲くダイナミックな風景。5月下旬。 ‘ローゼンホルム’や‘ゾマーアーベント’など最晩生のバラが咲く頃になると、庭のあちこちで存在感が出てくるのがアジサイです。空のように爽やかなブルーや燃えるような真紅、チャーミングなピンク花など、個性溢れる300もの品種が日毎に色づいています。 5月下旬は、遅咲きのバラと咲き始めのアジサイが同時に楽しめる貴重なタイミング。 一度訪れたことがある方は、「あんなにバラが咲いていた、同じガーデンとは思えない!」と驚くほど。日ごとに存在感を増すアジサイは、6月中旬に最盛期を迎えます。 オレンジ色の‘ラ・ドルチェ・ヴィータ’の二番花とクレマチス‘アフロディーテ’がアジサイとコラボする景色(左)や、ライラック・ピンクの‘シスター・エリザベス’の二番花とアジサイがコラボする景色(右)が美しい6月下旬。。 その頃になると、再び花を咲かせるのはバラの二番花です。ひたすらゴージャスだった一番花に比べると少し控えめながら、ガーデンに彩りを添えています。バラからアジサイに主役が移り変わる5月下旬〜6月上旬と、バラの二番花が咲き始める6月中~下旬は、バラとアジサイが一緒に楽しめる贅沢なとき。多くの植物が生き生きと育つ横浜イングリッシュガーデンならではの景色に出会えます。 花の名にも注目したい個性あふれるアジサイの競演 ローズ・トンネルの下に植るアジサイの一つ、‘恋物語’は、白に赤の覆輪が美しい八重手鞠咲き。早咲きで、花付きがよく、育てやすい。完成度の高い品種。 花弁の縁をくっきりと紅に染めるのは‘恋物語’。 花の中に青い十字が浮かび上がる‘水凪鳥(みずなぎどり)’、そして名前のとおり! と言いたくなる花姿の‘ポップコーン’など、どのアジサイも美しく、花名も魅力的。歩を進めるたびに出会う個性あるアジサイの数々をじっくり楽しんでください。 左/花弁(萼片)の縁が丸くカールする‘ポップコーン’。右/花(萼)の中心に青い十字が浮かび上がる‘水凪鳥(みずなぎどり)’。 横浜イングリッシュガーデンに咲くアジサイたち。左上から時計回りに/‘モナリザ’、‘泉鳥’、‘ギャラクシー’、‘てまりてまり’、‘小町’、‘星花火’、‘レッド・エース’、‘メルティ・ラブ’。 夏のガーデンフラワーと咲き競う最高品質のアジサイ 全国各地のアジサイの名所とはひと味違う花景色が評判の横浜イングリッシュガーデン。その理由は、「庭園」という空間でアジサイが咲いているからです。アジサイだけが咲く名所も圧巻ですが、ここでは例えば、6月中旬からデイ・リリー(ヘメロカリス)、ユリ、アカンサスなど、さまざまな花とアジサイの奏でるカラーハーモニーを楽しむことができます。 庭園の権威ある世界大会で優秀庭園賞を受賞している横浜イングリッシュガーデンのガーデナーたちは、アジサイの栽培技術に長け、独自の技術で花を咲かせています。 そのため、ほかでは見られないようなビッグサイズのアジサイが、園内を進むごとに出現。その大きさとともに、圧倒的な花の数にも驚かされます。 映えスポットが出現! 期間限定のアジサイ・ディスプレイ 「アジサイ・フェスティバル」期間中は、毎年“映えフォトスポット”として人気の高いディスプレイがローズトンネルに出現。今年は、虹のようなグラデーションが映えるアンブレラが頭上を彩り、色とりどりのアジサイが園路を飾ります。雨にも色が冴えるアジサイの花風景を、ぜひ園内でご覧ください。 庭散策の後は、冷たい花モチーフのスイーツでクールダウン! 花々の美しさで癒やされたら、併設するカフェ「YEG Original CAFE」でクールダウンがおすすめ。アイスコーヒーやサンドイッチなどのカフェメニューのほか、特に人気なのが、見た目も可愛い「フラワーソフト」。バラとバニラのミックスソフトに、エディブルフラワーをカラフルにトッピングした、ここでしか味わえない美味しさです。パラソルの陰で花々の香りに包まれながら、ガーデン散策の余韻に浸るティータイムを過ごせます。 日が傾く夕方も庭散策におすすめの時間帯です。日陰のベンチに腰掛けて花々に囲まれる贅沢な時間をお過ごしください。左上に雲のようにふわふわの花穂をつけるのは、花木のスモークツリー。 本格的な夏に向けて、アジサイに混じってスモークツリーやヘメロカリス、ユリ、アカンサスが咲き継ぎ、訪れるたびに発見のある名園「横浜イングリッシュガーデン」。庭づくりの参考に、花知識を深めるために、また、大切な人と過ごす癒やしのデートスポットとして、ぜひお出かけください。
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神奈川の新名所「あやせローズガーデン」150種680本のバラが咲く“世界を旅する”バラ園の見どころ完全ガイド
150種680本のバラが咲く最新のバラ園が神奈川県綾瀬市に誕生 神奈川県のほぼ中央に位置し、都心から40km圏にある綾瀬市は、GREEN×EXPO 2027(2027国際園芸博覧会)が開催される横浜市瀬谷区に隣接し、「ばらとのつながりで輝くまちあやせ」をスローガンに掲げています。このまちで40年以上、市のシンボル公園として愛されてきた「光綾公園」が構想から4年を経て、2025年5月1日にリニューアルオープンしました。 綾瀬市のオリジナルのバラ「ル・デパール・ド・アヤセ」の解説をする河合伸志さん。 約7,700㎡の敷地に広がる「あやせローズガーデン」の総合監修は、植物専門家でバラ育種家として活躍する河合伸志さん。同県内にある横浜イングリッシュガーデンのスーパーバイザーも務める河合さんが、全国各地のバラ園のデザインやアドバイスなどに関わってきた経験を生かして手がけた最新のバラ園が「あやせローズガーデン」です。 このガーデンは11のエリアに分かれており、1つずつ巡ると、まるで世界を旅しているように風景が次々と変わります。それぞれのエリアのコンセプトに合わせてバラが選ばれているほか、宿根草や一年草、花木などさまざまな植物もたくさん植栽されています。これは、バラの花期がおおむね3週間程度と短いため、ほかの時期にも花が楽しめるよう、脇役の植物が庭全体を彩るように設計されているからで、一年を通して彩りがある公園となるように工夫が凝らされています。 あやせローズガーデンに選ばれたのは丈夫で育てやすいバラ 5月1日に満開を迎えた「フラワー・ヒル」に咲く‘リージャン・ロード・クライマー’。 世界旅行をイメージした11のエリアには、約150品種、680本のバラが植わっています。「あやせローズガーデン」は、幅広い年代の方々が花咲く風景を楽しめる場所ですが、単に花の美しさや彩りを追求しているだけではありません。 背景のハナビシソウとコラボする一重のバラは、デンマークの人が1966年に発表した黄色の中輪のバラ‘Aïcha(アイシャ)’。「フラワー・ヒル」にて。 バラは日本の高温多湿な環境では病気になりやすく、通常は週に1回程度の薬剤散布が必要とされるほど栽培が難しい植物です。ここでは、綾瀬市の気候条件や昨今の猛暑に耐え、月1回の薬剤散布で健全な状態を維持できるような、比較的強健な品種が厳選されています。このように、さまざまな条件が考慮されて植物が選ばれている点も注目すべきポイントです。 暑さで傷みやすいものは入れない方針ですが、デザイン上の理由から、強健ではない品種も若干含まれています。写真は、強健な品種の1つ‘つる ノックアウト’。「ウェルカム・ガーデン」にて。 「フラワー・ヒル」に咲く‘ピンクノイバラ’。 比較的強健なバラを厳選していることには、もう1つの理由があります。それは、この場所を訪れて、気に入ったバラを自宅で育ててみたいと思った方が、うまく育てられるようにという河合さんの配慮です。庭の散策を楽しむだけでなく、この庭自体がバラ栽培の参考書になるような設計を目指しています。 バラ園とともにデビューした最新品種「ル・デパール・ド・アヤセ」 5月1日のお披露目の時、園内の中央に位置する「ピースフル・ガーデン」で数輪すでに咲き始めていたのが、綾瀬市のオリジナルのバラである「ル・デパール・ド・アヤセ」。河合さんが作出した最新品種で、門出を祝うという意味が込められています。 * オレンジがかるピンクの半八重花は花径10cmほどの大輪で、バラの季節に先駆けて花開く早咲きの品種です。また非常に強健で、綾瀬市の名を冠したこのバラを育ててみたいと思った人が栽培に失敗しないようにと選ばれました。 「ル・デパール・ド・アヤセ」は、バラの香りの中でも比較的拡散性が高い「スパイシーな香り」の系統で、蜂にも好まれるバラです。多数の株が植わる「ピースフル・ガーデン」で、実際の香りをぜひ確かめて。 世界を旅するように風景が変わる11のエリア 多くの人がバラの花色としてイメージする赤花が訪問者を最初に迎える「ウェルカム・ガーデン」。この場所からは、他のガーデンは見えない仕掛けに。 「あやせローズガーデン」のエントランスを入ると、まず目に飛び込んでくるのは、印象的な赤い花が集められた「ウェルカム・ガーデン」です。11の庭はそれぞれ区切られていて、先に進むとまた違った色合いや景色が待っているという、奥に向かって期待が膨らむガーデンデザイン。では、11の庭を順に辿っていきましょう。 「ウェルカム・ガーデン」から進むと現れるのは、園内の中央に位置する「ピースフル・ガーデン」です。 ここは、綾瀬市が基地と共存する町であることから、平和の象徴であるオリーブが中央に配置された庭です。水盤のような池を備えたパーゴラがあり、バラが咲くとその水鏡も彩られます。パーゴラは額縁のような役割を果たし、インスタ映えも意識したフォトスポットです。園内で一番眺望が開けており、ベンチに腰掛けて、隣り合う宿根草とともに咲く綾瀬市のオリジナル品種「ル・デパール・ド・アヤセ」 をじっくり眺めていたくなる場所です。 平和の象徴としてオリーブの大木が育つ「ピースフル・ガーデン」。 バラが絡むガゼボが2カ所あり、座って記念写真を撮りたくなる「シークレット・ガーデン」は、パステルカラーのバラで構成。 その隣には、イギリスのバラの庭をイメージしつつ、「秘密の花園」の登場人物に由来する名前のバラを取り入れた「シークレット・ガーデン」があります。ここにはガゼボが設けられており、やがてバラが絡まれば、花々に囲まれた写真撮影も楽しめるでしょう。その隣は、白い花のみで構成された「ホワイト・ガーデン」。さらにその先は、目が覚めるような赤、黄、オレンジ、ショッキングピンクなどの原色のバラを中心に、エネルギッシュな熱帯風を演出した「トロピカル・ガーデン」へと、次々と景色が変わります。 左/「ホワイト・ガーデン」では、白バラが絡むベンチのあるガゼボや、ドイツトウヒに絡めた白バラの開花期には、まるで雪が積もったような針葉樹の森の風景が見られます。右/原色のバラが彩る「トロピカル・ガーデン」では、耐寒性があり、この地域でも問題なく育つバナナの仲間であるバショウ(ジャパニーズバナナ)やヤシがバラとコラボ。 「メドウ・ガーデン」と「トロピカル・ガーデン」をつなぐトンネル。季節にはピンクのバラが絡んで日陰をつくる心地よい空間に。 ラグラスやアグロステンマ、ジャーマン・カモミールなどが咲く5月1日の「メドウ・ガーデン」。 バラのトンネルを抜けると、優しい色合いの植物が選ばれている「メドウ・ガーデン」です。流木を使った柵にもバラが絡み、安らぎ感のある風景が広がる、河合さんもお気に入りのエリア。 左/木道を渡りながら水面の輝きも楽しめる「ウォーター・ガーデン」。右/素朴なバラが丘を覆うように咲く「フラワー・ヒル」。 敷地の一番奥には、スイレンや水の景色も楽しめる「ウォーター・ガーデン」です。手前は華やかな景色、奥は自然な緑と紅葉する樹木で構成されています。木道を渡ると丘のふもとのような場所に到着。見上げると斜面を流れ落ちるようにつるバラが覆い尽くし、その香りが風に運ばれてきます。 「フラワー・ヒル」は、小ぶりなバラや、他の植物に馴染みやすいバラを選んで穏やかな景色に。斜面に沿って植えられたバラがまるで流れ落ちるように咲く様子もお見逃しなく。左下/ワイルドローズとムギ、フロックスが咲く斜面。* 右下/スピノシッシマ・サブスピノーサとハナビシソウが寄り添い咲く。* 「ここに来るまで7つのエリアを見てきましたが、さまざまな色合いのバラを見て、少しお腹いっぱいになっていませんか? このあたりで休憩できるような、ホッとする景色としてデザインしたのがフラワー・ヒルです」と河合さん。 「フラワー・ヒル」は、頂上にベンチと日時計があり、周囲のガーデンが一望できる場所。その先には、また一風変わった「オセアニア・ガーデン」「ドライ・ガーデン」と続き、日本ではあまり見かけない姿の植物とバラのコラボがユニークです。 左/‘アイズ・フォー・ユー’とアリウムがコラボする「オセアニア・ガーデン」。* 右/‘スターリー・ヘブンズ’の背景に、ユッカ・ロストラータや赤花ウチワサボテンの組み合わせが楽しめる「ドライ・ガーデン」。* 11のエリアの最後にご紹介するのは、 日本庭園のイメージでつくられた「古都の庭」です。白い塗り壁に引き立つように余白を生かして植物が配置され、花札に出てくる日本の植物が多数コレクションされています。藤棚を思わせる中央の棚には赤いバラが誘引されていて、見頃の頃には枝垂れ咲く雅な景色が楽しめます。 11のエリアでお気に入りのバラとインスタ映えの景色を見つけよう! バラを主役にしたさまざまな風景を楽しんだり、バラを背景に写真撮影ができる映えスポットもたくさん用意されている「あやせローズガーデン」。市民の憩いと安らぎの場として、また市外から訪れる多くの方にも愛される公園となるようにと願いを込めて誕生しました。150種680本の色鮮やかなバラが次々と咲く華やかな季節はもうすぐ。見頃は5月中旬です。 デザインから植物選び、植栽など総合監修をする河合伸志さん(中央)、日々植物の手入れを担当する「あやせローズガーデン」のヘッドガーデナー、入谷伸一郎さんと石原久美子さん。
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育て方

冬の手入れができなかった人へ。春先でも間に合う鉢植えバラの手入れ方法
冬に作業できなかった人のためにこれだけはやっておきたい春先の鉢植えバラの手入れ 剪定や植え替えなど、バラは花の咲かない冬の時期にやっておくべき作業がいくつかあります。それらの作業は本来なら冬の間に行うのがベストですが、初めてのバラ栽培でタイミングを逃したり、忙しかったりと、冬のバラの手入れができなかった人もいるはず。そんな人たちのために、春先に葉を展開した後からでも間に合う、バラのお手入れ方法をご紹介します。冬の間に剪定や植え替えといった必要な作業を完了させた人は、これらの手入れは必要ありません。 春先の手入れでは、まず必要以上にバラをいじらないことが大切なので、最低限の世話にとどめます。枯れ枝や勢いのない枝を軽く剪定し、育てている鉢が小さくなっている場合は、一回り大きな鉢へと植え替える鉢増しを行いましょう。暖かくなり、すでに樹液が動き出している状態では強い剪定はかえってダメージになってしまいますが、剪定をすることで少しでも樹高を下げ、株のバランスをよくすることができるので、様子を見ながら行います。 春先の剪定方法 剪定前。既に葉が大きく展開している。 剪定は、本来であれば芽が動き始める前に行います。剪定適期は、関東以西の平地でバラが休眠している12月下旬から2月末頃。適期に行う剪定方法は『バラの専門家が教える! 鉢植えで育てるバラの剪定方法』の記事をご覧ください。 春先になり、すでに新芽を吹いている場合、剪定は枯れた枝や弱った枝、弱小枝などを取り除き、樹高を下げるように少し枝を剪定します。すでに樹液が動いているため、強い剪定を行うと株へのダメージが大きく、かえってマイナスに。樹高を少しでも下げて株のバランスをよくするイメージで軽い剪定を行うにとどめ、強く切り詰めることは避けましょう。 葉を展開するだけでなく、すでに小さなつぼみを付けていることも。 剪定の手順 1.茶色い枯れ枝を付け根から切ります。 2.枯れ枝と同様に、勢いがなく、今後枯れてしまいそうな枝も付け根から切ります。 3.花を付けない細く弱々しい枝(弱小枝)を切ります。 4.枝の途中から勢いのある枝が伸びている場合、その枝を残して上部の勢いのない枝を切り、樹高を下げます。本来であれば切り戻しをして樹高を下げたいところですが、この時期にはすでに樹液が動いているため、切り詰めてしまうとバラへのダメージが大きいため、このような剪定にとどめます。 枝の途中からつぼみが付いた勢いのよい枝が伸びているので、つぼみの付いた枝を残し、それより上の部分を分岐点から切る。 剪定後。軽い剪定にとどめたため、大きな変化は見られません。不要な枝を除いて風通しをよくし、勢いのない枝を切ったことによって、樹高をやや抑えてバランスよく育てることができます。 鉢が小さい場合は、続いて一回り大きな鉢へ植え替える鉢増しの作業を行います。 大きな鉢へ植え替えることで、春から初夏にかけての成長期に根詰まりや水切れを起こす確率を下げることができます。植え替え作業の時も、あまり根をいじらないように注意しましょう。 鉢増し作業のやり方 準備 一回り大きなサイズの鉢鉢底石培養土肥料 鉢増しの手順 1.植え替え用の鉢に鉢底石を底が見えない程度に敷き、その上に培養土を入れます。培養土を入れる際には、根鉢の大きさを考えて、鉢土の表面が鉢の縁の数cm下になるようにします。 2.バラを元の鉢から抜きます。根鉢を崩す必要はありませんが、大苗の植え替えではそれほど根が回っていないため、自然に少し崩れることもあります。また、表面の土を軽く落とし、雑草のタネなどを払い落としておきます。 3.鉢の中心にバラを据え、株と土の間に隙間ができないようにしっかりと土を入れます。軽くゆするとうまく土を詰めることができます。土が入ったら、鉢底から流れ出るまでしっかりと水やりをし、肥料が切れているようであれば、必要に応じて肥料を与えます。肥料の分量は種類により異なるため、袋に記載されている量に従ってください。 春先に行う駆け込み作業はこれで終了。 もちろん冬の適期に作業をするのがベストですが、冬の間に必要な作業をすることができなかった人も、ここで紹介した作業だけでもやっておくと、初夏の開花だけでなく翌年以降の生育にもつながります。気が付いた時に、ぜひ作業を終わらせておきましょう。
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育て方

バラの専門家がズバリ答える! 下枝がなくなってきたつるバラの剪定&誘引のテクニック
年数が経過し、株元からのシュートが出にくくなってきたバラの対策 つるバラはフェンスやアーチ、オベリスクなどさまざまな構造物に誘引することで、立体的な演出ができる魅力的なバラです。苗を植え付けての数年間は、概ね教科書通りに誘引でき、コツさえ覚えればさほど迷うことがないのですが、年数の経過と共に品種によっては新しいシュートの発生が少なくなり、気がつけば“株元付近は枝がスカスカ!”なんて状態になってしまうことがあります。そこで今回は、株元付近の枝が少なくなってきた場合の剪定&誘引のテクニックをご紹介しましょう。 なお、典型的なつるバラの剪定と誘引に関しては『バラの専門家がズバリ答える! 冬の大切な作業「つるバラの剪定」』と『バラの専門家がズバリ答える! 美しく咲かせるための作業「つるバラの誘引」』を参照してください。 シュートが出にくいつるバラの剪定&誘引テクニック 品種は、‘ZENtulavende’。‘まほろば’の姉妹個体で、試作中の品種。紫色のセミダブルの花を大房で咲かせます。 植えつけ5年後の株。年数の経過と共に株元からのシュートの発生が減少し、近い将来、株の下方がスカスカになってもおかしくない状況。この先がとっても不安です。 【対策その1】株元からの貴重なシュートは、下方にとどめおく 株元から出た貴重なシュートは、どんなに長く伸びていても上方まで誘引せずに、下方で留めるためにバッサリ短く切ります。写真は、下方、左側のアップです。丸印の場所が思い切って剪定した場所です。こうしておくことで、下枝がなくなりにくくなります。 【対策その2】上方で元気よく茂っている古い枝を思い切って短く切り詰め、下枝を発生させる 写真は、下方、右側のアップです。こちらも丸印が剪定した先端です。古い枝でも上部が元気よく茂っている枝はそれなりに力を蓄えているので、思い切って短く切り詰めると、新しい枝が下の方に発生します。 ここで注意したいのが、古い枝を短く切る場合、元気のよい枝であることが必須です。元気がない古い枝を短く切っても、そもそも力を蓄えていないので、切ったことをきっかけにその枝が枯れてしまうことが多いです。 株元から新しいシュートが発生しなくなったつるバラ Case1 品種は、‘まほろば’。茶色と紫色が絶妙に混ざった複雑な色彩。極早咲きのカップ咲きの品種で、花つきがよいです。 植えつけ後5年の株。数年前より株元からのシュートはまったく発生していません。時々、古い枝の途中より中程度の発生は見られますが、ほとんどは古い開花枝。それでも毎年多数の花を咲かせています。 【対策】後生大事に古い枝を残す 写真は‘まほろば’の株元付近(剪定後)。あるのは過去数年間花を咲かせ続けてきた古い開花枝のみで、新しいシュートがまったく発生していないのがわかります。上方の枝に比べると、下方の枝は細く元気がないようにも思えますが、大切にし、剪定の際はこの古い開花枝を2~3節残して切ります。剪定後の姿は枝がゴツゴツした印象になりますが、成育期になればまったく気にならず、また花も問題なく咲きます。 株元から新しいシュートが発生しなくなったつるバラ Case2 品種は、‘マニントン・マウブ・ランブラー’。ライラック色のポンポン咲きの可憐なランブラー。スパイシーな香りも心地よい品種。しなやかな枝が長く伸びます。 年数が経過しても、比較的シュートが発生しやすい品種ですが、今回の株は株元からのシュートの発生はなく、下枝も少ないです。ただし途中よりサイド・シュートが発生しています。 【対策】枝のしなやかさを活かして、サイド・シュートを思い切って反転させ下方に誘引する 古い枝の途中(ピンクの矢印)から長いサイド・シュートが発生したので、上部で反転させて(ピンクの丸印)下方へつるを下ろしています(緑の矢印の方向)。‘マニントン・マウブ・ランブラー’のような小輪系のランブラーローズなら、このようにシュートを下げても春には花を咲かせます。しかし、多くの場合下げた枝は開花後に弱っていき、反転させた付近(ピンクの丸印)より新しくサイド・シュートが発生します。したがって、下げた枝に花が咲くのは概ね1年限りのことが多いです。 株元から新しいシュートが発生しなくなったつるバラ Case3 品種は、‘つるエンジェル・フェイス’。強い香りを放ち、波状弁の美しい品種。早咲きで花つきがよく魅力的ですが、つる性の性質が不安定で、ブッシュローズに戻りやすいです。 この場所に植えて5年が経過した株。古い枝の途中から発生したサイド・シュートはありますが、株元からのシュートはなく、年々下方が寂しくなってきています。 【対策】他人の力を借りる 左隣に植えてあるつるバラ‘スーパー・フェアリー’のシュート(ブルーの楕円印)をこの株の下方に誘引しました。この助っ人は別にバラである必要性はなく、クレマチスなどバラと相性のよい植物を選んでもよいですし、少し背丈の高い植物を株元付近に植栽すれば、空きスペースは十分に隠せます。 ここの剪定と誘引の事例は、すべて神奈川・横浜にある観光ガーデン「横浜イングリッシュガーデン」にて行われました。これらの株がどんな風に花を咲かせるのか、ぜひバラの最盛期が到来する5月に見に行ってみてはいかがでしょうか。
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育て方

バラの専門家がズバリ答える! 美しく咲かせるための作業「つるバラの誘引」
つるバラの誘引 つるバラは「つる」とは付きますが、アサガオのように自分で勝手にアーチやオベリスクなどの構造物に巻き付いていくことはありません。そこで人がつるバラの枝を構造物に沿わせるように曲げながら、紐などで固定していく必要があり、この作業を誘引といいます。つるバラを栽培するということは、この作業が必ず伴います。誘引をしなくてはならないと考えると面倒にも思えますが、つるバラは庭を立体的にすることができ、一度に多数の花を咲かせる姿は圧巻です。 誘引の基本的な考え方は、立ち上がった枝を水平に寝かせることで、頂芽優勢(ちょうがゆうせい)の性質を崩すことにあります。頂芽優勢とは、株の中でも高い位置に養分が集まりやすい性質のこと。この性質があることにより、植物はより上へと伸びることができ、多くの日光を浴びて光合成をして、競争相手に勝つことができるのです。バラも例外ではなくこの頂芽優勢の性質を保有しているため、上方に伸びた枝をそのままにしておくと、株の上部では花が咲くけれど株元には花が咲かないということになってしまいます。 つるバラの誘引は、剪定後に行います。まず剪定を済ませて余分な枝を整理することで、誘引がとてもやりやすくなります。剪定のやり方は『バラの専門家がズバリ答える! つるバラの剪定』をご覧ください。 つるバラの誘引実例 それでは、実際に剪定を終えたつるバラを誘引していきましょう。 誘引するバラ:‘伽羅奢(がらしゃ)’誘引する場所:高さ1.9×幅2mのフェンス 今回の株は、株元からシュートが上がっていて良好な状態なので、思い切って、古い枝と新しい枝を入れ替えていきましょう。 年数を経たバラの場合、どうしても株元からシュートが上がりにくくなります。そのようなバラの誘引方法は、『バラの専門家がズバリ答える! 下枝がなくなってきたつるバラの剪定&誘引のテクニック』をご覧ください。 誘引の手順 剪定が終わって、だいぶ見た目がすっきりしました。株姿をコントロールして美しく花を咲かせるためにも、誘引をしていきましょう。 誘引の基本は、上方に向かって伸びている枝を、水平になるように曲げること。このような板塀の場合、ビスやワイヤーなどでバラの枝をとめつける場所を用意し、無理なく水平になるように枝を曲げたら、麻紐などの誘引紐で固定していきます。つるバラの誘引を行う時には、つるを押さえる人と誘引紐をとめつける人に分かれて2人1組で作業すると、格段に作業性がアップします。 誘引紐を結ぶ場所は、ワイヤーやフックだけでなく、枝同士で固定してもOK。 誘引のときに長すぎる枝があれば、収めるように必要な長さに切り詰めます。 フェンス全体をまんべんなく覆うように、バランスよく枝を配置して誘引しました。 剪定・誘引が終わったら、株元を掃除して落とした枝や落ち葉などを取り除き、作業は終了です。
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育て方

鉢植えのつるバラを春に向けて再生!冬の植え替え&剪定誘引
普段手入れをしていないつるバラの株の現状をチェック! 【現状】春から育て始めた四季咲き性のシュラブローズ‘ブリーズ・パルファン’を1日2回自動灌水で水やりをしながら、特に植え替えをせず育ててきた鉢。写真右は、5月の開花の頃。葉が青々と茂り、次々と半八重の淡いピンク花を咲かせていました。左は、この作業当日の12月中旬の様子。ほとんどの葉が落ちています。 バラの専門家、河合伸志さんのつるバラ生育診断 ‘ブリーズ・パルファン’はシュートがよく発生するバラですが、この株はシュートの発生はなく、一番花以降の花も咲いた形跡がほとんどなく、全般に順調とはいえない状況。その要因は、数年間鉢替えをしていないために根詰まりしていること、肥料切れしていること、またさらには、黒星病(黒点病)が原因で落葉していることなどが考えられます。残っている葉を見てみましょう。 河合:ほら、枝先に残っている葉に黒いシミのような点がありますね。これは黒星病です。これが原因で葉が落ちてしまったのでしょう。それに、表土を見てください。コケの隙間に根がびっしり張っている様子があり、これは根詰まりしていると考えられます。このバラの状態ですが、枝数や株の様子から想像すると2〜3年は植え替えをしていないのではないでしょうか。ですから、鉢増しをしながら病葉を摘み取るのが今日の主な作業内容になります。 つるバラの鉢増しの作業プロセス 【用意するもの】現状より2回り大きい鉢(鉢底にしっかり穴があるもの)、鉢底石(鉢底のサイズに合わせて量を調整。ここでは軽石をネットに入れたものを5つ使用)、用土(堆肥入りバラ専用用土)、元肥、剪定鋏、シャベル、熊手。 まずは、鉢から根鉢を抜き出す 底の方は根の塊しかないほど、びっしりと根が回っています。これくらいまでになると、順調に水や肥料が届きにくくなり、生育に影響が出始めます。今回は鉢増し(現状より大きな鉢に植え替える)なので、たくさんの根を崩す必要はありませんが、熊手で根をかき取るように表土とサイド、鉢底をほぐします。このように根がガチガチに固まっていると、新しい根が伸びにくいので、全体的に軽くほぐしましょう。 植え込み前の準備 鉢底穴が隠れるように鉢底石を入れます(軽石やパーライト、硬質赤玉土<大粒>など)。あらかじめ培養土に元肥を混ぜておいた用土を鉢底石の上に根鉢の大きさに合わせて適量入れます。 今回は植え込み後に枝をアーチに誘引するため、根鉢を鉢の端に寄せて植え付けます。用土をまんべんなく入れていきます。掘り上げた際、根鉢をあまり崩していないのと、根鉢と新しい鉢の大きさの差が十分なので、棒などでつつかなくても隙間にしっかりと用土が入ります。 あいたスペースに草花を植えるアイデア 鉢の端にバラを寄せたことで、片側に少しスペースがあきました。今後、そのスペースに草花を植え込む際、作業がラクにできるように、あらかじめ空のビニールポットを置いてから隙間に用土を入れます。ウォーター・スペース(灌水の際に水が溜まる部分)を残すため鉢の縁から3〜5cm程下まで用土を入れ、水をやったら植え込み完了です。 つるバラをアーチに沿わせる前の4つの作業 今回の株は順調に生育していないので、あまり切り詰めないようにし、枝を多く残します。まずは、残った病葉を全部摘み取り、次に茶色く枯れた枝を切り取ります。冬に葉(特に病葉)を取り除くのは、病気を次のシーズンに持ち越さないための大切な作業です。 楊枝ほどの弱小枝(じゃくしょうえだ/細く弱々しい枝)は、今後の開花が見込めない枝です(小輪の品種の場合)。また、弱小枝が株に多く残っていると蒸れて病虫害が発生しやすくなるので、根元から丁寧に切り落とします。不要な枝(枯れた枝や弱小枝)を切り終わったら、花枝(開花する、もしくは開花した枝)を1〜2節残して切り落とします。 写真上は、剪定前。下は不要な枝を切り落とし、開花する花枝を残した剪定後です。切った枝の量は少ないですが、見た目にもスッキリしました。 写真左は、植え込み直後の剪定前。右は、株全体の不要な枝を切り落とした剪定後の姿。 剪定後、つるバラをアーチに誘引する アーチに誘引するほどたくさんの枝がないので、アーチの幅に合わせてまんべんなく一番太い枝を配置して、麻紐でとめつけました。これで誘引は完了です。枝数が少ないなら支柱を添えるだけでもよいでしょう。 オベリスクへ誘引するつるバラの冬作業の記事はこちら。 トレリスや塀、壁などへ誘引するつるバラの冬作業の記事はこちら。 後日、ビオラやアリッサムなどのポット苗を用意し、あらかじめ空けておいたスペースに植え込みました。自動灌水の水量は、休眠期に合わせて2日に1度、2ℓ程度に調整。1~2月に寒肥を与え、これで春を待ちます。つるバラは前年度に伸びた枝に花を咲かせるので、前年度の生育が順調でないこの株に多数の花は望めませんが、来年度の成育の改善が見込まれ、結果さらに翌年の開花もよくなることが期待できます。
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園芸用品

バラを育てる植木鉢の素材は何がベスト?専門家が解説!
ライフスタイルで選ぶバラ栽培用の鉢の素材 バラの栽培には、プラスチック鉢やテラコッタなどの素焼き鉢が一般的に用いられますが、それぞれメリットとデメリットがあるので、自分のライフスタイルなどに合わせて鉢の種類を選択します。 バラ栽培で素焼き鉢がよい点、悪い点 Photo/joloei/Shutterstock.com 素焼き鉢は鉢の側面からも水が抜けるため、通気性がよく根にとっては適した環境ですが、この利点は乾きやすいという欠点でもあり、外出が多い方などは水切れによって株を傷めてしまうことがあります。また割れやすかったり、重いなどで、鉢が大きくなると植え替えの際に扱いにくいというデメリットがありますが、デザイン性に優れ、演出効果が高い点ではプラスチック鉢よりはるかに優れています。 バラ栽培でプラスチック鉢がよい点、悪い点 一方、プラスチック鉢は水もちがよく、外出しがちの方でも水切れの心配が少ない反面、過湿には注意が必要です。重量が軽いため持ち運びにも便利ですが、風などで鉢が転倒しやすく、時に割れることもあります。また、デザイン性では素焼き鉢よりも劣ります。プラスチック鉢の中でもスリット鉢と呼ばれる側面に切れ込みが入ったものは、通常の仕様よりも排水性に優れますが、そこから土がこぼれやすいので要注意です。 バラを育てるために適した鉢の大きさとは Photo/stanga/Shutterstock.com 四季咲き中輪もしくは大輪のバラでは、鉢サイズは最低でも6号、できれば7〜8号鉢が理想的です。6号鉢で栽培をスタートした場合、半年後には7号以上に鉢増しをしないと順調に生育しません。鉢の号数は1号3㎝が基本で、6号ならば直径18㎝前後となりますが、メーカーによって多少の差があります。 バラを育てる素焼き鉢の水もちを改善するアイデア 素焼き鉢を使いたいものの水切れは困るという場合は、あらかじめシート状に切断したビニールを鉢の内側に入れると、見た目は素焼き鉢のままプラスチック鉢の水もちを確保できます。写真のように使用済みの用土の袋などを利用するのも一案です。 大きな穴には鉢底網を入れる 底面に大きな穴がある場合は、穴からの用土流出を防ぐために鉢底網を入れます。右写真の上のような銅製の鉢底網を使用すると、ナメクジ避けに効果があります。なお、多数の小さな穴があいているプラスチック鉢やスリット鉢では鉢底網は必要ありません。
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育て方

晩秋から初冬はバラの鉢替えシーズン!専門家が解説する5つの手順
バラの鉢替えとは 鉢植えのバラは、そのままの用土で何年も栽培し続けると、さまざまな要因で成育が悪くなります。特に化成肥料を多用している場合などは、有機肥料単独の場合と比べて用土の劣化が早く、バラが順調に生育しなくなります。この成育不良を解消するために、根鉢を崩して新しい用土で植え付ける作業を「鉢替え」といいます。 鉢替えの間隔は8号鉢以上の大鉢では2~3年に1回でも構いませんすが、それ以下の鉢の場合は可能な限り1年に1回行います。鉢替えの際には根が切断されますが、春の成育開始時期までに十分に根が再生するためにも、作業時期は年内が理想的です(関東以西の平地の場合)。 鉢替えは雑草と縁を切るチャンス! 植え付け後1年間を経過したバラの鉢植えの表土を見ると、雑草が生えていることもあります。カタバミやカラスノエンドウ、セイタカアワダチソウなどの雑草は鉢植えのままでは抜き取りにくく、また表土には雑草の種子も落ちていることがあります。鉢替えの際に丁寧に表土を崩すことで、これらを除去することが可能です。 植え替えに用意するものは7つ 鉢替えをする苗(品種:北斗)と用土、元肥、鉢底石、バケツ、熊手、土入れ、鋏を用意したら、植え替えスタート! 1 咲いている花や新芽がある場合は切り取る 鉢替えを行うと、必ず根が切断され一時的に植物の吸水能力が低下します。そのため水を多く必要とする新芽や花などが株に残っていると、脱水症状を起こす危険性があります。これらの部分はあらかじめ切り落としておくと、安全に作業を行えます。枝に残っている堅く成熟した葉は脱水症状を起こす可能性が低く、むしろ根の再生を助けるので、今回のような部分的に根鉢を崩す鉢替えの場合は、そのまま作業を行うことが多いです(根鉢をすべて崩すなど根を大きく切断する場合は、成熟した葉も落としたほうが安全です)。 2 固まった根をほぐす 鉢から抜いた根鉢は、鉢底まで根がしっかり回っています。固まった根をほぐし、同じ鉢に再び植え込むために、古い土を落として新しい用土が入るスペースを確保します。 まずは熊手などで表層をよく崩して、カタバミなどの抜きにくい雑草や雑草の種子などを用土ごと取り除きます。次に株をぐるぐる回しながら、サイドや底の根の塊を崩すようにかきとっていきます。この時、根が切れますが、構わずに進めましょう。写真右くらいの状態まで根が崩れたら終了です。鉢替え前の根鉢の3~5割程度崩しても問題はありません。 3 新しい用土の準備 バラ専用用土に元肥を混ぜて植え込み用土を準備します。今回は、天然素材をブレンドし、有効菌も豊富な培養土『バイオゴールドの土』に、天然有機肥料の『クラシック元肥』をブレンドしました(両資材ともに販売元:タクト)。 4 鉢底石を敷いてから用土を入れる 元々植えていた鉢に再び植えるので、バラの株を取り出したら一度鉢を水洗いします。見た目もきれいになり、雑草の種子なども洗い流されます。 排水性を高めるために底が見えなくなる程度、鉢底石(軽石やパーライト、大粒の硬質赤玉土など)を入れ、先に準備した用土を根鉢の大きさに合わせて入れます。 枝の広がりのバランスがよいように鉢の中央に苗をすえたら、株を押さえながら周囲に用土を入れていきます。ある程度土が入ったら、根と根の間に土が入るように、割り箸や棒などで軽く用土をつつきます。同じ鉢に植え込む場合は、根の間に土が入りにくいので、しっかりと行います。ウォーター・スペース(灌水の際に水が溜められる)を残すため、鉢の縁から3〜5cmほど下まで土を入れたら完了です。 5 水をたっぷりやって完了! 活力剤を入れた水をたっぷり与えます(鉢底から水が流れ出るまで)。鉢替えなどで根を傷めた場合、活力剤『バイオゴールドバイタル』(販売元:タクト)などを薄めて与えると、その後の回復がスムーズに進みます。 株の状況にもよりますが、一連の写真の作業は約10分程度で終わります。ぜひ、鉢替えの時期を逃さずに、バラを健やかに育てましょう。


















