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バラ園を10倍楽しむ方法を専門家が伝授 多彩な魅力をもつバラを見に行こう!

バラ園を10倍楽しむ方法を専門家が伝授 多彩な魅力をもつバラを見に行こう!

写真/桜野良充

全国各地でバラが咲き始めました。日本には地域ごとにバラをコレクションした多くのガーデンや公園があります。ぜひ実際に訪れてみていただきたい理由は、バラには一つずつ異なる香りがあるからです。フルーツのような香りや甘いスイーツのような香り、ときには苦い薬のような香りも! 香りのほかにも実際のガーデンでは、写真だけでは分からない花びらの質感や独特な色、仕立て方の秘密などを発見することができます。バラの観賞ポイントをバラ専門家、河合伸志さんに教えていただきます。

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バラがもっとおもしろくなる観賞ポイント①

バラの花

まずは花色。じつは、バラは植物の中でも最も多彩なカラーを持つ植物の一つ。赤、ピンク、オレンジ、黄、白、紫、緑、黒といった単色はもちろん、いくつかの色が合わさったもの、咲き進むにつれ色が変化するものなど、まさしく「多彩」なのがバラの花色です。とりわけ、複数の野生種がまざり合ってできあがったバラの園芸品種は、本来野生のバラにはない色を持っています。この多彩さの秘密は、黄色のバラがカギを握っています。黄色のバラの登場により、バラはこれまでにないスピードで多彩なカラーを獲得。オレンジや薄紫、茶色、蛍光を発するような赤やピンク、バイカラー(2色)など魅惑的な色が誕生しました。

横浜イングリッシュガーデン
色とりどりのバラと草花が共演する5月の「横浜イングリッシュガーデン」。

また、バラの花言葉は色によって異なるのも面白い点です。ほとんどの色が「愛」や「美」に関連する言葉ですから、バラ園ほど愛の告白やプロポーズにふさわしい場所はありません。ただし、一つだけ注意していただきたいのは、黄色のバラの前。黄色のバラには平和や友情といったポジティブな花言葉の一方で、嫉妬、薄らぐ愛などという意味があります。

<バラの色別花言葉>

横浜イングリッシュガーデン
さまざまな赤いバラがコレクションされた「横浜イングリッシュガーデン」のローズ&クレマチスガーデン。

赤いバラ/「情熱」「恋」「美」「あなたを愛しています」「強烈な恋」など、熱い胸の内を表すのにぴったりの色です。

ピンクのバラ/「可愛い人」「上品」「美しい少女」「しとやか」「幸福」など、どれも可憐な花から連想されるキーワードです。

横浜イングリッシュガーデンのホワイトガーデン
白バラを中心に白色の草花を組み合わせた「横浜イングリッシュガーデン」のローズ&ペレニアルガーデン。

白いバラ/「純潔」「清純」「心からの尊敬」「相思相愛」「私はあなたにふさわしい」など、ウエディングブーケとしてもよく使われる白バラにふさわしいワードが並びます。

‘つる ゴールデン・ボーダー’
‘つる ゴールデン・ボーダー’。

黄色のバラ/「友情」「献身」「平和」などポジティブなワードと、「嫉妬」「薄らぐ愛」など少し気をつけたいワードがあります。

‘紫の園’とオルラヤ・グランディフローラ
‘紫の園’とオルラヤ・グランディフローラ。

紫色のバラ/「誇り」「尊敬」「気品」。紫色のバラは青いバラを作ろうとする過程で生み出されたものも数多く、「ブルー」という名前を冠したものが少なくありません。

バラがもっとおもしろくなる観賞ポイント②
花形

剣弁高芯咲きの‘カーディナル’
剣弁高芯咲きの‘カーディナル’。

野生のバラは一重咲きの小輪ですが、改良されたバラの花型で注目すべきなのが剣弁高芯咲き。これは花弁の縁がツンと尖って、花の中央部分が高くなっている花型で、某有名デパートのモチーフにもなっています。じつはこの咲き方は、植物の中でもバラだけに存在する形といわれています。

‘ザ・ピルグリム’
ロゼット咲きの‘ザ・ピルグリム’。

一方、ロゼット咲きは花の中央部分が高くならず、比較的平たく花弁が放射状に並びます。オールドローズに多く、このようなオールドローズを彷彿とさせる花型をクラシック調と呼びます。ほかにもコロンとしたカップ咲き、また一重咲きや半八重咲きでも野生種にはないフリルがあったり花が大きかったりと、園芸品種は花形も変化に富んでいます。

‘つる マチルダ’
‘つる マチルダ’(中央)。

バラがもっとおもしろくなる観賞ポイント③
香り

ピエール・ドゥ・ロンサール

意外かもしれませんが、花屋さんに並んでいる切り花と庭植えにされているバラでは品種が異なり、前者には香りがないものが多いのです。ですから、バラの香りはバラ園でしか堪能できません。そのうえ、香りも色や花形と同様、品種によって質や強さがじつにさまざま。香りのよい植物はラベンダーやクチナシ、キンモクセイなど多々ありますが、バラほど香りのバリエーションが豊かな植物は、ほかにはありません。

‘コティオン’、‘エンチャンテッド・イヴニング’
‘コティオン’(左)、‘エンチャンテッド・イヴニング’(中央奥)。

フルーツのような香りやハチミツのような甘い香り、中にはドクダミのような香りなど、ちょっと癖のある香りもあります。一般に多くのバラの香りは、拡散性(空間に広がる性質)が低いので、満開前の七分咲きくらいの花に顔を近づけてかいでみてください。最初に吸い込んだ時の印象、その次に来る香り、そして息を吐いた後に残る残香。私はバラの香りをこのようにしていつも味わっています。

バラがもっとおもしろくなる観賞ポイント④
名前

 ‘ジャスト・ジョーイ’
‘ジャスト・ジョーイ’。写真/河合伸志

品種にはそれぞれ誕生の秘話や、命名の由来などがあります。それらを知って一輪の花を眺めると、同じ花がまた違った印象になります。例えば‘ジャスト・ジョーイ’。作出者が奥さんの名前を付けようと思っていたら、「ジョーイ・ポウジー」は発音しにくいからということで、「ただの“ジョーイ”」にしましょうとなり、結果バラの名前は“ただのジョーイ”、つまり‘ジャスト・ジョーイ’になったそうです。“ただのジョーイ”は、その華やかでゴージャスな花姿が各国で人気となり、やがて世界バラ会連合選出の「栄誉の殿堂」入りを果たします。こんなことを知ると、ただ美しいという印象しかなかった‘ジャスト・ジョーイ’が、ちょっとファニーに見えてはきませんか? バラ園では品種名が掲示されているので、ぜひ花の名前をチェックし、気になるものがあったら由来を調べてみてはいかがでしょうか。

お気に入りの一輪を探してみてください

横浜イングリッシュガーデン
数十種のバラが頭上を覆う「横浜イングリッシュガーデン」のバラのトンネル。

こんなふうに、バラを観賞するポイントはいくつもあります。「バラの魅力は?」と聞かれた時に、答えは人それぞれのようですが、私は大きく分けて2つあると思っています。1つめは外面の魅力。花の色や形、香りなど、見て嗅いで分かる楽しみです。この外面の魅力に関して、ご紹介したようにバラはじつに多様なものを持っています。それは他の園芸植物には見られないほどの幅の広さで、それ故に千差万別の人の好みに対応できるのです。つまり、必ずあなた好みのバラに出会うことができるということです。このことは、バラを「人気の花ナンバー1」にしている大きな要因だと私は思っています。そしてもう1つの魅力は、名前や品種の背景にあるストーリーです。バラと人との関わりは古く、さまざまな伝説や逸話、人の物語もバラの魅力です。バラ園を歩けば、きっとお気に入りの一輪に出会うことができますよ。

多彩なバラが咲き競う横浜イングリッシュガーデンは今が盛り

横浜イングリッシュガーデン
バラが最盛期を迎えている「横浜イングリッシュガーデン」。

バラの観賞のポイントを教えてくださったバラの専門家、河合伸志さんがスーパーバイザーを務める神奈川県横浜市の「横浜イングリッシュガーデン」には、約2,200品種 2,800株のバラがコレクションされ、5月上旬から、見頃を迎えています。

早咲き種は、4月中旬から開花がスタートし、次々と花開くバラがロマンチックな景色を作っています。現在、次々咲くバラの中から、見頃を迎え、ストーリーがある品種についてインスタグラムをはじめとしたSNSにて品種解説を添えた投稿も実施中。これらの花の品種解説も併せてチェックしながら、本物のバラが咲くガーデンへ出かけてみませんか?

●2024年5月26日(日)まで「ローズ・フェスティバル2024」を開催中の横浜イングリッシュガーデンの見どころをご紹介する記事も併せてご覧ください。

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