カメラマンが訪ねた感動の花の庭。岐阜県「ぎふワールド・ローズガーデン(旧 花フェスタ記念公園)」

これまで長年、素敵な庭があると聞けばカメラを抱えて、北へ南へ出向いてきたカメラマンの今井秀治さん。カメラを向ける対象は、公共の庭から個人の庭、珍しい植物まで、全国各地でさまざまな感動の一瞬を捉えてきました。そんな今井カメラマンがお届けするガーデン訪問記。第19回は、カメラマンにとっても聖地という岐阜県可児市の「花フェスタ記念公園」です。美しいバラの写真などとともに、撮影秘話をご紹介します。
目次
何年にもわたり通い続ける「バラの聖地」

岐阜県可児市の「花フェスタ記念公園」といえば、バラの品種栽培数日本一で、僕のようなバラのカメラマンにとっては聖地ともいえるバラ園です。ここ数年は毎年伺って、大好きなオールドローズを中心に、さまざまなバラの写真を撮らせていただいています。
雑誌の取材をきっかけに念願の撮影へ

初めてこのバラ園に伺ったのは、多分20年くらい前のことだと思います。雑誌の取材でイングリッシュローズを撮りに行くのがテーマでした。当時はちょうどイングリッシュローズが流行りだした頃で、関東でも‘メアリー・ローズ’や‘グラハム・トーマス’のような初期の有名な品種は案外簡単に見ることができたのですが、もっと新しい花となると、例えば、東京・日本橋三越屋上の「チェルシーガーデン」へ行くとか、イングリッシュローズマニアの方が丹精するお庭に伺うなどしかなく、まだまだ今のように新しい花を簡単に見ることはできませんでした。

そんな時代から、このバラ園には多くのイングリッシュローズが植えられていましたから、岐阜の花フェスタに行けるというのは、バラ好きカメラマンの僕にとっては夢のような話でした。当時、雑誌などの撮影依頼というのは、「取材先近くに住むカメラマンが撮影に行く」のが当たり前の時代でしたから、行きたくても縁がなかった岐阜の花フェスタの取材は「夢が叶った!」と飛び上がるほど嬉しかったのを覚えています。
カタログで見ていたバラの本当の咲き姿に感動

現地に着いて、事務所で担当の方にご挨拶を済ませたら、すぐにバラ園の中へ。頭の中はもう、デビッド・オースチン・ロージズのカタログの写真でいっぱい。広いバラ園の中でも、真っ先にイングリッシュローズが植栽されている「世界のバラ園」に直行しました。

長い通路を抜けて、つるバラのトンネルの先に、目指した「世界のバラ園」はありました。円形の広いバラ園の右側約半分ほどがイングリッシュローズのエリアでした。‘キャンティ’など古い品種から始まって、カタログ写真だけで知っていた花が、1品種3株ずつ植えられ、大株になって、たわわに花をつけています。早速レンズを向けると、ファインダーの中で数輪の花が今を盛りと咲いていて、まさに憧れのデビッド・オースチンのカタログの世界でした。

芝生の園路に片膝をついて香りを嗅いでは、ため息。ファインダーを覗くとお手本のような花があって、幸せな時間のなか夕陽が沈むまで撮影を続けた、僕がイングリッシュローズの魅力に開眼した日でした。
広い園内で数々の品種を撮影

その後も何回かこのバラ園に伺いましたが、次に印象に残っているのが、NHK出版編集、上田善弘さん&河合伸志さん監修の『バラ大百科』のための撮影の時でした。この本の撮影は各地のバラ園に行ったのですが、特に品種数の多い「花フェスタ記念公園」の撮影は、2日ほどかけて行いました。オールドローズあり、ハイブリッドティー、フロリバンダありと、膨大なリストに記載されているバラを一つずつ探しながら、とにかく広い広いバラ園の中で、目的のバラを探し出してはシャッターを切る。隅から隅まで歩き回る過酷なもので本当に疲れましたが、この経験はとても勉強にもなった、僕にとって忘れられない撮影でした。

その後も、雑誌の企画や自分のストックフォトの撮影に度々伺い、その都度担当の方に早朝に門を開けていただいたり、夕方まで撮影させていただいたりと、お世話になっていました。
近年はオールドローズの撮影が楽しみに

4年前にはオールドローズ仲間からガーデナーの西依束さんを紹介していただいたのですが、彼はオールドローズにとても詳しくて、いろいろなことを教えてもらえるのもあり、ますますこのバラ園でのオールドローズの撮影が楽しくなりました。それからは、毎年5月20日前後は「花フェスタ記念公園」で撮影をすると決めているのです。

また、昨年2018年の秋には「バラの写真を美しく撮るための写真講座」も開催させていただきました。今年もまた5月に写真講座を担当させていただいた「花フェスタ記念公園」は、僕にとって本当にお世話になっているバラ園なのです。
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