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【冬のおしゃれな庭づくり】地植え+鉢植え+花壇+ハンギングで実現! 立体感で魅了する美しい庭
コンテナ、花壇、ハンギング、リースの4重奏の立体ガーデン ここは公道に面したエリアで、道ゆく人の目を楽しませる武島邸のフロントガーデンです。春にはつるバラがフェンスや壁に咲き誇り華やかそのものですが、冬もバラが咲かなくとも彩り豊かで見応えたっぷり。奥行き2mほどの場所ながら、手前から「コンテナ」、「花壇」、「ハンギング」、扉にかけた「リース」というように、さまざまなガーデニング手法を組み合わせ、視線の先を下から上まで花と緑で彩り、冬も華やかなフロントガーデンを実現しています。 冬の庭の素材はパンジー&ビオラなど草丈の低いものが多いため、地植えだけでは視線が下に集中し、庭が平面的な印象になりがち。これらの素材で華やかさを演出するには、いかに「立体感」を出すかがポイントです。武島さんの「コンテナ」、「花壇」、「ハンギング」、「リース」で構成された4重奏の立体ガーデンを詳しく見ていきましょう。 ① 一番手前は石積みの花壇の手前に置いたコンテナ。透明感のある水色のビオラ‘ビビ ヘブンリーブルー’とミニサイズのハボタンを寄せ植えにした奥行き15cmほどの横長のコンテナがズラッと並びます。シンプルな寄せ植えを繰り返し並べることで、花壇の縁がトリムのように彩られ、おしゃれ度アップ。 ② 高さ50cm、奥行き30cmほどの石積みの花壇にはパンジーとシルバーリーフのダスティーミラー、ストックを植栽。ストックは冬の花材の中では草丈が30〜40cmと高く、立体感が出る貴重な植物。甘い香りがするのも魅力です。柔らかなペールトーンでまとめながらも、パンジーに濃い色をプラスしてアクセントに。 ③ ハンギングバスケットの一つは、コンテナの寄せ植えと揃えたビオラ‘ビビ ヘブンリーブルー’の単植。花壇にハンギングスティックを差して飾っています。草丈の低いビオラの花が、目線の高さで堪能できるのがハンギングバスケットの魅力。 もう一つのハンギングバスケットは、アイボリーのガーデンシクラメンやサーモンピンクのパンジー、イエローやシルバーのカラーリーフを用い、ペールトーンでまとめた一鉢。こちらはフェンスにS字フックで引っ掛けています。 ④ 一番目線が高くなる、扉にかけたリースは、ハボタンとワイヤープランツの寄せ植え。リース形の寄せ植えをこのように扉などにかけて垂直に飾る場合は、高低差があまり出ない素材を選んで、ギュッと詰めて植えるのがポイント。隙間があると土がこぼれ落ちてしまいます。 玄関扉の横にはスクエアのコンテナの寄せ植えを。ブルーのパンジー‘シエルブリエ’を囲むようにシルバーや斑入りのリーフをたっぷり使い、冬のイメージを表現した上品な一鉢。コンテナも鉢の高さやプランタースタンドを用いることで、目線を上にコントロールすることができます。 レンガを積んだプランタースタンドにピンクの豪華な寄せ植えを。庭の中のアーチの両側に対になるように設置している。 ガーデンチェアで作る冬の庭のハイライト 庭の中には数カ所にガーデンチェアが置かれており、その背もたれもハンギングバスケットやリースを飾る場所として活用しています。椅子の手前に寄せ植えを、背後にハンギングスティックを使ってハンギングバスケットを配置。ピンク系のパンジー&ビオラでコーディネートし、ここでも下から上まで目線の先を花が彩るように演出しています。 フリル咲きのパンジー、ハボタン、アイビーの3種を使ったリース。 白と黒のコントラストが美しいハンギングバスケットを飾ったチェア。手前に対のハボタンとドドナエアの寄せ植えを置いて。 ハンギングバスケットは地面のない場所でも飾れるのがメリットですが、引っ掛ける場所を必要とします。ガーデンチェアはテラスなどでも手軽にハンギングバスケットが飾れるツールとして活用でき、庭風景にもナチュラルになじむのでおすすめです。 コンテナ+ハンギングの花材を揃えて印象的に バラのアーチの正面は、視線が集まりやすいフォーカルポイントです。武島さんはガーデンシェッドの壁を利用しハンギングバスケットとコンテナをコーディネートし、華やかなシーンを作り出しています。メインの素材となるスキミアとパンジー、ハボタンは両者共通させ、脇役となるリーフ類はスキミアのつぼみの色に合わせつつ、それぞれの鉢の形に合う銅葉を選んでいます。壁を背にして半球状のハンギングバスケットを作る場合は、中央部を高く、コンテナは後方から前方へ草丈を低く作るのがきれいに見えるセオリーです。 コンテナの後方を彩るのはロフォミルタス‘マジックドラゴン’とドドナエア。ハンギングバスケットではヘーベとドドナエアを。 花瓶に飾ったパンジーにも、ハンギングバスケットとコンテナの間をつなぐ効果が。 連続ハンギングバスケット+地植えで作る花咲く小径 細い棒状のハンギングスティックを使い、ハンギングバスケットを連続させた庭の小径。ハンギングスティックは土に差すだけでどこでも手軽にハンギングバスケットが飾れる新しいツールで、細くて目立たず風景の邪魔にならないのも魅力です。ピンクのグラデーションがかわいい大輪のパンジー‘ピーチシェード’を植え、ハンギングも足元の花も揃えて小径を華やかに演出しました。 大輪で華やかなパンジー‘ピーチシェード’。 空中に浮かぶようなハンギングバスケットは、冬枯れの庭で存在感抜群。凝った花の組み合わせにしなくても、花付きのよい種類を選べば1種類でもかわいく仕上がるので、ハンギングバスケット初心者にもおすすめです。 室内から庭を眺める時間も長くなる冬だからこそ、武島さんのようにさまざまな手法を組み合わせて庭を立体的に演出し、冬も美しい庭景色を楽しみたいですね。新しいツールも活用し、まだまだ店頭にたくさん並ぶパンジー&ビオラで新しい冬の庭づくりにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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愛知県
【画期的!】庭中に浮かぶパンジー&ビオラ?!新ガーデンツールで変わる冬の庭景色
冬はハンギングバスケット作りにベストな季節 濃いパープルに覆輪が入るパンジー‘横浜セレクション フレアブルー’やハボタン、ネメシアなどを組み合わせたシックなハンギングを玄関前に。 「パンジー&ビオラは毎年、目が釘付けになるような魅惑的な花色が登場するので、創作意欲がかきたてられます」と話すのは、武島由美子さん。ハンギングバスケット協会の理事を務め、これまでたくさんの生徒を育成してきたハンギングバスケットの達人です。 クリスマスを演出した庭へ続くレンガの小径。ガーデンシェッドの壁にもハンギングバスケットを。 ハンギングバスケットとは、植物を立体的に楽しむガーデニング手法の1つで、球体や半円状の容器に植物を植え込み、チェーンやフックを使って吊して飾ります。地面を使わず、玄関先やベランダなど狭い空間も華やかに彩ることができるのが魅力。彩りが寂しくなりがちな冬でも、武島さんの庭ではそこここでパンジー&ビオラのハンギングバスケットが華やかです。 パンジー‘シエルブリエ’を使ったハンギングバスケット。雪をイメージさせるシルバーリーフやイベリスとともに。 「冬の花の代表、パンジー&ビオラはユニークで素敵な色合いが豊富ですが、草丈が低いので、庭植えにするとせっかくのかわいい花が目立たなくなってしまいます。でも、ハンギングバスケットなら目線の高さで花の美しさを強調することができるんです」(武島さん) スキミアやパンジー、ハボタンなどを組み合わせたコンテナとハンギングバスケットをコーディネート。 ハンギングバスケットは鉢植えと異なり、目線やそれ以上の高さに飾れるため、まるで絵画を眺めるように花を堪能できるのが魅力。ハンギングバスケットに加えて、寄せ植えのコンテナを組み合わせれば、さらに華やかな演出も楽しめます。ただし、ハンギングバスケットは引っ掛けるための頑丈な場所が必要になるため、これまでは飾れる場所が限られていました。 庭のどこにでもハンギングバスケットが飾れる「ハンギングスティック」 パンジー&ビオラのハンギングバスケットが連続し、バラのスタンダード仕立てのようなフォーマルな雰囲気も新鮮。 「でも、今年からはハンギングスティックという新たなツールの登場で、庭のどこでもハンギングが楽しめるようになりました。ハンギングスティックは支柱のような直径1.5cmほどの細い棒状で、目立たないのでハンギングの花がすごく映えるんです。シンプルな作りなのに、丈夫で重さのあるバスケットもしっかり支えてくれ、とても気に入っています」(武島さん) ハンギングスティックは二股になった下部30cmを土に差し、上部の丸い穴にフックでハンギングバスケットを吊り下げて飾ります。庭はもちろん、深さが30cm以上あるコンテナにも使用可能で、どこでも簡単にハンギングバスケットが楽しめる画期的なツールとして、2024JHBS(日本ハンギングバスケット協会)新器材・装飾アイデアコンテスト金賞を受賞しました。 高さ違いのハンギングスティックでリズミカルに小径を彩って。 まるで花が浮かぶように空中を彩るハンギングバスケット。さまざまな植物を組み合わせるハンギングバスケットは作るのにコツが必要ですが、パンジー&ビオラ1種だけに絞ってもこんなに華やか。ハンギングスティックを使えば複数のハンギング鉢を連続して飾ることもでき、これまでにはなかった見応えのある冬の庭景色が作れます。 「庭のような広い空間に連続して飾るときは、パンジーやビオラ1種類だけのほうが印象的かもしれません。昔からある品種ですが、透明感のあるブルーのビオラ‘ビビ ヘブンリーブルー’は、冬中花上がりが素晴らしくおすすめ。大輪の‘ピーチシェード’も庭のなかでよく目立ちます。どちらも手に入りやすい品種なのもいいですね」(武島さん)。 左/パンジー‘ピーチシェード’。右/ビオラ ‘ビビ ヘブンリーブルー’。 奥行き30cm程度の花壇でもハンギングスティックが活躍。 ハンギングバスケットは、空間を彩り豊かに演出し、季節感や創造性を楽しむガーデニングテクニックです。設置する場所や植物の選び方で個性を発揮でき、手入れをしながら植物の成長を見守る喜びも得られます。ハンギングスティックのような便利なツールも活用し、新しい冬のガーデンづくりを楽しんでみてはいかがでしょうか?
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静岡県
豪雨対策から冷却効果まで!ローメンテナンスな庭で暮らしが変わる5つの方法
激烈化する気候、都市部の住宅地にも迫る危険 2024年7月から9月初頭までの間に発令された「記録的短時間大雨情報」は計47回。そのうち43回が1時間に100mmを超す豪雨でした。1時間に100mmの雨とは、ほとんどの排水システムでは処理できない量で、大規模な冠水が発生する雨量です。実際、この夏には台風でないにもかかわらず、豪雨により東京都内のあちこちで道路が冠水し、車が水没する事態となりました。都市部の排水システムは通常、1時間あたり数十ミリの降雨量を想定して設計されているため、下水管がすぐさま満杯になり、マンホールから水が噴き出したり、トイレや台所の排水口から水が逆流するなどの被害も発生。こうした都市型洪水は排水システムの限界のほかに、都市の地面のほとんどが透水性の低いアスファルトやコンクリートで覆われていることも原因の1つです。そのため、地中への水の浸透が間に合わず、短時間で大量の雨水が地表に流れ、冠水や洪水の原因となっています。 グリーンインフラとして世界に増える街中の庭 高架の廃線跡地を約2.3kmの公園にしたニューヨークのハイライン。Pit Stock/Shutterstock.com こうした気候変動がもたらす課題への解決策として、「グリーンインフラ」の整備が進んでいます。「グリーンインフラ」とは、自然のプロセスを利用して雨水管理や都市の温暖化対策などを行う仕組みのことで、世界ではグリーンインフラとして街中や住宅地に庭を増やす取り組みが始まっています。 雨水吸収&水質ろ過装置として機能するレイン・ガーデン 例えば、ニューヨークの観光名所にもなっている全長2.3kmに渡る廃線跡を公園にした「ハイライン」では、土の層、下層土、排水マットを組み込んだ高度な排水システムが採用されており、最大80%の雨水流出を削減し、都市型洪水を防止する役目を果たしています。植物にすぐに吸収されなかった水は排水マットに蓄えられ、乾燥時に利用できるようになっており、補助的な灌漑の必要性を減らし、ハイラインをより持続可能なものにしています。 かつて治安悪化の要因となっていた廃線跡地は「ハイライン」として生まれ変わり、周辺の不動産投資も活性化した。MisterStock/Shutterstock.com また、同市ではハリケーンによる都市型洪水の対策として、街中に1万カ所以上のレイン・ガーデンをつくる「ミリオンダラー・レイン・ガーデン・プロジェクト」が進行中です。レイン・ガーデンとは、雨水を吸収させることを目的につくられた庭で、地中に張り巡らされた植物の根が雨水の通り道となり、地下へ水を誘導したり、植物が水を吸い上げることを利用したものです。ニューヨークでは庭1カ所あたり1万3千ℓ以上の雨水を吸収し、下水システムに流れ込む雨量の削減に成功しています。レイン・ガーデンを通した雨水は土に浸透する過程でろ過され、河川の水質の改善にもつながるため、日本でも善福寺川の水質向上を目的として、杉並区でレイン・ガーデンの取り組みが行われています。 庭によるヒートアイランド現象の緩和効果 緑によるヒートアイランド対策を観光にもつなげているシンガポールの繁華街。Sergey Peterman/Shutterstock.com 庭は雨水を吸収するだけでなく、都市部の熱帯化を緩和するクーリング装置としても着目されています。コンクリートで覆われた地面は、真夏の日射で表面温度が60℃近くまで上がることも珍しくありません。さらに熱せられた地面は赤外放射という熱を発し、頭上からの日射にこの赤外放射が加わると、外気温が30℃の場合、体感温度は40℃にも上がってしまいます。こうした都市部特有の熱帯化をヒートアイランド現象と呼び、熱中症対策として近年、街中にミストを設置しているところがありますが、まさにガーデンはそのミスト装置と同様の働きをします。植物は根から水分を吸い上げ、余分な水分を葉の裏から水蒸気として放出する「蒸散」を行っており、ガーデンは水道代や電気代のかからない天然のミスト装置ともいえるのです。 「ホテル・イン・ア・ガーデン」をコンセプトにしたラグジュアリーホテル「パークロイヤル・オン・ピッカリング」。RuslanKphoto/Shutterstock.com 緑による先進的な取り組みが進むシンガポールのホテル「パークロイヤル・オン・ピッカリング」では、植物の蒸散作用を利用したエネルギー削減に成功しています。このホテルでは敷地面積のほぼ2倍にあたる15,000㎡を超える緑を有し、建物表面に受ける熱を遮断するとともに、植物の蒸散作用によって建物外壁の全体的な温度を下げ、エアコンのようなエネルギーを大量に消費する冷却方法の必要性を減らしています。同ホテルの環境に配慮した設計は数々の賞を受賞しており、サステナブル建築が都市の居住空間を向上させながら、ヒートアイランドの影響をいかに軽減できるかを示す好例となっています。 ガーデンプランツの炭素固定能力にも集まる注目 根が深く炭素固定に効果的で、バイオエネルギーとしての利用研究も進むパニカム・ウィルガツム。Molly Shannon/Shutterstock.com 植物は光合成を通じて大気中のCO2を取り込み、炭素を有機物として蓄積します。特に成長が早く盛んに光合成を行い、なおかつ根が深く長寿命の植物は、多くの炭素を土壌深くに固定し、長期的に安定した炭素ストックを形成するため、気候変動の緩和に重要な役割を果たすとして注目されています。樹木で構成された森林は重要なCO2吸収源とされていますが、環境省の発表によると2020年の日本の森林等によるCO2の吸収量は4,450万トン、それに対し排出量は11億5千万トン。今ある森林の吸収量では到底追いつかないため、CO2の削減とともに吸収源を増やす対策の1つとしてグリーンインフラが急がれているのです。ガーデンを彩る草花の中にも炭素固定能力に優れたものはいくつもピックアップすることができ、特に長寿命の宿根草類や低木類は有力候補となります。 都市公園は緑の機能性を市民に共有する知的共有スペース 浜名湖ガーデンパークのユニバーサルガーデン。 このように、ガーデンは気候変動の影響を緩和し、持続可能な社会を構築するためのインフラとして重要な役割を果たすことが期待されています。 「都市公園はこうしたインフラ機能を街に提供する役割があり、さらにガーデンの有用な機能を市民に知識として共有する役目も担っています」と話すのは、造園家の阿部容子さん。ガーデンの持つさまざまな機能を分かりやすくデザインした浜名湖ガーデンパークの「ユニバーサルガーデン」の設計者です。阿部さんはガーデンのインフラ機能として、人々の心身の健康を向上させる面にも注目し、五感に積極的に働きかけるようユニバーサルガーデンを設計しました。 五感に合わせてエリア分けされており、小道状のガーデンを通り抜けると心身が健やかになることをコンセプトとしている。 「ガーデンがインフラとして浸透するには、ガーデン自体の持続可能性がポイントです。植物はメンテナンスをしなければ、その機能を十分果たせないばかりか、倒木や予期せぬ繁茂などのリスクを招く場合もあります。また、メンテナンスに労力がかかりすぎても維持が難しくなります。ですから、メンテナンスは必要ですが、ローメンテナンスな庭であることが重要なのです」。 阿部さんは庭のメンテナンスの中でも最も労力が高い雑草管理を大幅に削減する工法を用い、さらにローメンテナンスな植物を200種以上組み合わせてユニバーサルガーデンを設計施工。持続可能でグリーンインフラとしても有効なガーデン設計について解説していただきました。 雑草管理を大幅に減らす「ノンストレスガーデン工法」 ユニバーサルガーデンの施工中。植え穴には専用のリングをはめて、防草シートをしっかり土に留めつける。 「ユニバーサルガーデン」は基本的に雑草管理の必要がないように、ノンストレスガーデン工法で施工しています。ノンストレスガーデン工法とは、簡単にいうと植栽帯全面に防草シートを敷き、植栽計画に沿って適切な植え穴をあけて植栽することで、ガーデン全体に雑草を生えさせない工法です。植栽後、防草シートの上にはバークチップや土壌資材のバイオマイスターを施すので、施工直後から防草シートは見えずに自然な雰囲気です。 マルチングに使用しているバイオマイスター。 バイオマイスターは根を生育させるための肥料成分や土壌中の有害な菌の発生を抑え、植物の生育を助ける善玉菌を多く含んだ土壌資材です。防草シートの上からもそれらの有効成分を土壌に浸透させることができるので、仕上げのマルチング材に使用すると、より効率的に植物を育てることができます。マルチングは自然に減っていくので、上から追加してまき直すことで植物の健全な生育が維持できます。地表は防草シートとマルチング材で覆われており、乾きにくいので、基本的に植え付け初年度以外は自然の降雨に任せ、水やりの手間も必要ありません。 ノンストレスガーデン工法のポイントは、排水機能を整えた土壌整備と防草シートの敷き方・留め方、植物ごとの適切なサイズの植え穴です。ノンストレスガーデン工法の詳細はこちらで解説しています。 グリーンインフラとして有効な植物 マット状に広がるクラピアは地熱を抑える役目を果たす。 ガーデンを持続可能なものとするか否かは、植物選びも重要なポイントです。環境に合った植物を選ぶことでメンテナンスの労力は大幅に減らすことができます。特に近年は、夏の暑さや豪雨に耐えられるものであることが大事な条件になってきています。ローメンテナンスの観点から見れば「丈夫で長寿命」な低木や宿根草が挙げられますし、暑さに耐えられるものは根が深く張るもの。つまりこれらの条件が揃う植物は、グリーンインフラに最適な「グリーンインフラプランツ」といえます。 クラピアの白い小花にはミツバチが集まり、生物多様性にも寄与する。 例えば、ユニバーサルガーデンでグラウンドカバーとして使っている宿根草のクラピアは、地上部の草丈は最大20cm程度ですが、地中の根はなんと150cmまで深く伸びます。一般に深さ1m以上になると炭素固定に有効とされており、クラピアは雨水の貯水や炭素固定能力に効果的であると考えられます。また、クラピアは生育が早く地表近くにも細根が密集し、植栽後2カ月で1株が約0.25㎡を覆い、地温を下げるのにも有効なので、優秀な「グリーンインフラプランツ」といえます。 探そう!グリーンインフラガーデンプランツ こんもり茂った日本の自生種アシズリノジギク。 クラピアの原種は海岸沿いで生育する在来種イワダレソウです。こうした海浜植物は砂地に生育するため、深く広く根を張る性質があり、クラピアのほかにもユニバーサルガーデンに取り入れているアシズリノジギクも同様の能力が期待できます。ほかにもイトススキやフウチソウなどのイネ科のグラス類は、根が深く炭素固定能力が高い植物として注目されており、イネ科が多い日本の在来種には有効なものがまだまだあると私は考えています。光合成を盛んにするという観点からは葉が大きいギボウシや常緑のノシランなども候補になるでしょう。このようにグリーンインフラという観点で植物を見直すと、目に見える美しさに加え、植物のすごい能力に改めて気付き、魅力を再発見することができます。公園の植物やご自身の庭にも、地球温暖化の危機的状況を救う「グリーンインフラプランツ」がたくさん見つけられるかもしれません。 病害虫対策を大幅削減する生物多様性ガーデン ユニバーサルガーデンは200種以上の植物が入っており、基本的に防除や予防の散布といったメンテナンスはしていません。多品種を入れることで益虫と害虫のバランスが自然に保たれ、予防や防除の労力を大幅にカットできます。また、病害虫がよく発生するのは風通しの悪い場所なので、植物が混み合わないよう注意します。植栽計画を立てる際、植える植物の最終的な株サイズを把握し、隣り合う植物の葉が触れ合う程度の間隔を保って植栽位置を決めると、風が通り抜け病害虫が発生しにくくなります。 また、五感に働きかけることをテーマにしたユニバーサルガーデンの「音のエリア」には、鳥を呼ぶエゴノキやジューンベリーなどの樹木があります。実際、木にかけた巣箱では春に子育てをする姿が見られたので、小鳥たちも害虫防除に大いに活躍してくれていることと思います。病害虫対策の観点からだけでなく、たくさんの生き物がいるガーデンは、人にとっても心地よいものです。気候変動の緩和だけでなく、人の心身の健康を向上させるという観点からもガーデンは重要なインフラ機能として評価されています。 未来を変える庭の力 このように、ガーデンはさまざまな問題を解決する力があり、環境面や経済面、健康福祉の観点からも多大な価値を持つグリーンインフラとして社会に広がり始めています。もしあなたが庭を持っているなら、もちろんその庭は重要なグリーンインフラの1つです。庭は私たちが楽しみながら日常生活に取り入れられる持続可能な解決策であり、地球規模での環境保護に寄与する重要な一歩となるのです。
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愛知県
【秘密の花園】森を背に彩られるバラと宿根草とアジサイの庭
奥行き30cmにも満たないつるバラと草花の花壇 愛知県日進市の住宅街、遠くから見てもすぐにその家だということが分かるほど、通りに面して花々が美しく競演する武島邸。奥行き30cmもない石積みの花壇に、 ‘レイニー・ブルー’や‘コンテスト・ドゥ・セギュール’、‘たまかずら’など数種類のつるバラが植栽され、そのやさしい色合いのバラの間に、窓辺のアジサイが心地よいリズムで鮮やかな彩りを添えます。 (左)房咲きの花をたわわにつけるつるバラ‘たまかずら’や‘コンテスト・ドゥ・セギュール’。(右)ブルーのロベリア‘カリブウォーター’や優しいイエローのペチュニア‘ステファニー’、ガザニア‘ビーストシルバーフォックス’が筒バラの花色を引き立てつつ株元をふんわり覆う。 バラの株元と花壇の手前に置かれたコンテナには、ブルーとイエローの小花がふんわりと咲いています。花々があふれんばかりの華やかさながら、色を絞った色彩計画のもとにデザインされた壁際の花壇は、一幅の絵画を見るような美しさです。しかし、この表の庭は武島さんの庭のほんの一部に過ぎません。 淡い紫色のつるバラ‘レイニー・ブルー’にブルーとイエローの小花がよく似合う。 森を背に華やかに彩られるメルヘンチックなバラと宿根草の庭 知る人ぞ知る秘密の花園は、玄関脇の小道を進んだその奥、森の緑を背にして広がっています。広さ約200㎡の庭は、森に向かって少し高くなるように傾斜がつけられており、緩やかにカーブするレンガの小道は、その先の景色を見え隠れさせながら歩みを誘います。頭上から甘い香りが降り注ぐバラのアーチ、背丈を超えて林立する何百本ものジギタリスとデルフィニウム、白花がレースのように咲き集うホワイトガーデン。小道の先に開ける景色には常に新鮮な驚きがあり、ひと巡りする頃には感嘆のため息を使い果たしてしまいそうです。 竹の抜根から始まった苦労の庭づくり バラとジギタリスの群落が競演。 「ここは、もともと竹林だったんですよ」と話すのは、庭主の武島由美子さん。ガーデン設計施工の「アンズガーデン」のデザイナーとして活躍しながら、ハンギングバスケット協会の理事も務め、講師として全国を飛び回るかたわら庭の手入れをしています。 花々の優雅な競演を前に、にわかに想像し難い竹林の風景ですが、実際に今でも花の間から竹がひょっこり生えてくると言います。 「竹って地下茎でつながっていて、地中に縦横無尽に根が張り巡らされているんですよ。それを取り除かないと花が植えられないので、最初は竹との格闘の日々。それはもう庭づくりっていうか、『開拓』でしたね(笑)」 庭主で「アンズガーデン」の代表を務める武島由美子さん。ハンギングバスケット協会の講師として九州から北海道まで全国を回る忙しい日々を送りながら、庭の手入れを行っている。 草花の素朴なガーデンに新たに加わった初夏の女王、バラ そんな苦労をしてでも武島さんを庭づくりへと駆り立てたものは、花が好きというシンプルな思いです。文字どおり竹林を拓いて得た土地を耕し、道をつくってガーデンの骨格を整え、花を植え、庭づくりを続けてきました。 「最初の頃は、素朴な宿根草とか一年草だけの庭だったんですが、いつからかそういう素朴な草花にも似合うオールドローズとかイングリッシュローズが登場して一気に魅了され、バラも育て始めたんです」。しかし、なかなか上手に咲かすことができずに、往復500kmの距離もいとわずコマツガーデンの講座に通い、バラ栽培を勉強したといいます。 (左)茎が細く華奢な雰囲気で咲く‘フランソワ・ジュランヴィル’。ガーデンには草花との相性がよい小輪〜中輪のバラが選ばれている。(右)宿根リナリアやジギタリスと咲く淡いピンクのバラ。 「バラと宿根草では土壌づくりが違うんですよね。土壌を豊かにしようと思って堆肥を庭にまいたら、バラの枝がグングン伸びて葉っぱばかり茂ってしまったことがあって。堆肥はチッ素分が多いことが原因なんですが、バラにはバラに適した肥料があるということを学びました」 ガーデンシェッドやベンチなど、ガーデンファニチャーと植物がコーディネートされたフォトジェニックなコーナーが庭のそこここに。雑草対策として、見えないように草花の間には段ボールが敷かれている。 そうした失敗も経験しながら、草花中心だった庭にはだんだんバラが増え、手入れの仕方もバラ中心に変わっていきました。年が明けると、1月末までにバラの剪定と誘引を1週間かけて行い、バラの芽出しの頃とその2週間後には病害虫予防として2回ほど薬を散布。5月になると400本以上のバラが次々に咲き出し、開花を待って2週間に渡り開催されるオープンガーデンには、全国からたくさんのファンが来訪します。それが終わるとバラにお礼肥えをたっぷりやり、宿根草は切り戻してさっぱりさせます。 「この庭は草花が多いので、バラの株元がすっかり覆われてしまわないように、雑草の除去はもちろん、宿根草も結構短く切り戻しておきます。そうでないと、カミキリムシの被害サインのオガクズに気づきにくくなってしまいますからね」 バラと交代でシェードガーデンを彩るアジサイたち (左)日陰になりやすい部分には、ライムイエローのヒューケラやタイツリソウ‘ゴールドハート’などのカラーリーフを下草にして、空間を明るく演出。(右)ピンクの絞り咲きアジサイ‘衣純千織(イズミチオリ)’をヒューケラやペチュニアと寄せ植えにして花台へ。 バラと交代に庭を彩るのは、アジサイ。森に隣接したシェードエリアには、アジサイやギボウシ、ヒューケラ、アスチルベなど半日陰を好む植物がふんだんに植栽され、暗くなりがちなエリアが華やさを増してきます。ハンギングバスケット協会の理事も務める武島さんの庭では、地植えだけでなく鉢植えやハンギングバスケットでもアジサイが活躍。鬱々とした梅雨の時期に、鮮やかな花色で庭を彩ります。 (左)斑入りのギボウシやツワブキとともに日陰を彩るアジサイ‘ラグランジア’。(右)鉢植えにした銅葉のアジサイ‘ブラックダイヤモンド’がシェードエリアのフォーカルポイントに。 アジサイのハンギングをガーデンチェアの背に飾ったコーナー。 「7、8年ほど前からアジサイのハンギングを作っていますが、当初は植生の違いから、アジサイのハンギングは認められませんでしたが今ではコンテストにも並んでいます。アジサイはよく目立ちますし、ハンギングは目線より上に花を持ってくることができるので、庭づくりでも重宝しますよ」 秋の庭の楽しみと、もう1つの楽しみ 庭のバラは四季咲きが多く、秋にもまた見頃を迎えます。 「秋はバラの花数は少なくなりますが、フジバカマなどの宿根草がたくさん咲いて、春とはまた違った雰囲気になります。いつからかフジバカマに、渡りをする蝶として知られるアサギマダラが毎年くるようになって、その美しい蝶と再会するのも庭の楽しみの1つなんです」 そしてもう1つ、最近になってうれしい出来事があったと武島さん。 「昔、私が庭に置いた植木鉢が原因で、主人が大怪我をしてしまったことがあって、以来、花なんか見たくないというくらい花嫌いになっちゃったんです。だから、これまで庭に見向きもしなかったのに、ある日『うちのバラはきれいだなぁ』ってポツリと。それを聞いて本当にびっくり! 私的にはまだ会心の出来でバラを咲かせられたことはないのだけど、その一言に心の中でガッツポーズ(笑)」 今ではご主人のサポートもあり、庭にはご主人お気に入りのシーンもたくさんあります。それをiPad(アイパッド)で撮るのが会社へ行く前の日課になっているとか。そのiPadの中に、庭のアルバムのページが増えていくのが、武島さんの庭づくりの大きな楽しみに加わりました。
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静岡県
色彩美を表現する印象派庭園を一度は見ておきたい「浜名湖ガーデンパーク」
浜名湖ガーデンパークとは 「浜名湖花博2024」開催中の2024年5月中旬の様子。photo/3and garden 2004年に開催された浜名湖花博の会場跡地を再整備し、2005年にオープンした「浜名湖ガーデンパーク」。20周年を記念し、2024年4月6日から6月2日の期間、「浜名湖花博2024」が開催されました。イベント期間中は、浜名湖ガーデンパークの水辺の景観を充実させるため、「心安らぐ水辺の風景」をテーマに、フラワーガーデンコンテストが開催されたほか、西側エリアにある「ユニバーサルガーデン」は「かたくり工房」によりリデザイン&施工されるなど、花と緑を楽しむ都市公園として進化しています。 リニューアルした「ユニバーサルガーデン」2024年5月中旬の様子。 photo/3and garden 浜名湖の景観を生かし、楽しいレクリエーションの場として古今東西の庭文化を表現することがこの公園のコンセプトで、入場無料なのも嬉しいところです。56万㎡にも及ぶ敷地は、「西側エリア」、「街のエリア」、「里のエリア」に区分され、特に花壇や美しい庭園を持つのが「里のエリア」内の「花の美術館」、「百華園」、「国際庭園」、「花木園」です。早春から冬まで四季を通してうまく草花や花木による開花リレーをつないでいるため、いつでも見ごたえがあり、年間130万人が訪れる人気のフラワースポットです。訪れた方々からは「素敵な花をたくさん見ることができて心が癒やされました」「散歩がとてもしやすかった、芝生がきれい」などの感想が寄せられています。園内は2時間くらいで周遊でき、お弁当や飲み物の持ち込み可。ペットの同伴もOKです。 一番の見せ場は「印象派庭園 花美の庭」光り輝くような色彩美に優れた庭園 浜名湖花博でつくられた「花の美術館 モネの庭」を再整備し、2005年に披露されたのが「印象派庭園 花美の庭」。印象派の画家、モネが愛したフランス、ジベルニーの自邸の庭を模してつくられた庭を、15年かけて進化させた芸術的な庭園です。広い園内は、整形式フランス庭園の「花の庭」と回遊式日本庭園の「水の庭」で構成。写真はバラのアーチを連ねたシーンで、色彩豊かに空間を彩っています。「花の庭」では、約300品種、500株のバラが見られます。 「花の庭」の各花壇エリアでは、モネの時代に表現できなかった多彩な色彩の花々、優美なフォルムを持つ植物を用いて、現代的な印象派の庭園をつくりだしています。朝の透明感ある爽やかな光を表現する「朝陽の花壇」、太陽が沈んで茜色へと移りゆく色彩を表現した「夕陽の花壇」、すべての色が溶け合いグレーに変わってゆく「薄暮の花壇」など、「光」をテーマにした情感あふれる植栽が見どころです。 春はネモフィラ、夏はヒマワリ、秋はコスモス 群稙で魅せるフラワーカーペット 「浜名湖ガーデンパーク」内の「花ひろば」では、メインの花壇として季節によって草花を入れ替えて群植し、ダイナミックな景色をつくっています。春に彩るのはネモフィラで、4月頃が見頃。3,000㎡に約30万本が植栽され、青いカーペットのように一面を埋め尽くします。 「花ひろば」の夏を盛り上げるのは、なんといってもヒマワリ。‘サンマリノ’一品種のみが約4万本植栽されています。‘サンマリノ’は草丈160〜170㎝、ちょうど人の背丈くらいで咲く、写真映えのする品種です。大輪で華やかな表情のヒマワリを背景に、ぜひ記念写真を撮りましょう。 秋に「花ひろば」で華やぐのは、コスモス。品種は‘ドワーフセンセーション’で、濃いピンク〜淡いピンク、白の花色をミックスして、約40万本も群植しています。見頃は10月で、レジャーにぴったりの清々しい季節ですから、ぜひ足を運んでください。 12月中旬〜2月は、「里のエリア」にある百華園のシクラメンが見頃に。写真は「青いシクラメンの小径」で、青みが強い紫色のシックな品種‘アロマブルー’と‘ライラックフリル’を約1,000株植栽しています。花が少なくなる真冬に、これほどの花でいっぱいの景色が見られるのは嬉しいですね。 遊覧船クルーズ&展望塔も利用してみよう 「浜名湖ガーデンパーク」では、遊覧船クルーズが15〜20分間隔で運航しています。見頃の花や庭園のガイドがあり、10分かけて水路を進みます。料金は大人が片道600円(往復1,000円)、子ども(3歳〜小学生)が300円(往復500円)。公園中央を東西に水路をクルーズするため、園内からは見られない景色や花を楽しむことができます。車椅子やベビーカーの使用可、ペット同伴の乗船もOKです。 「浜名湖ガーデンパーク」のほぼ中央に、ガーデンパーク全景を一望できる高さ50mの展望塔があります。料金は1人1回のみで一般・高校生300円、小・中学生100円、高齢者(70歳以上)・障がい者200円。利用時間は9:00〜16:30(9〜5月)、9:00〜17:00(6〜9月)。 展望室の壁面はガラス張りになっており、公園内はもとより、美しい浜名湖まで見渡せます。展望台の一部には屋根のない場所があり、屋外の風を感じることもできます。東西南北、四方を一望できる見晴らしのよい景色を楽しみましょう。 2018年7月に、新しく食事処「のたね」がオープンしました。営業時間は10:00〜16:00、客席数は36席あります。オススメメニューは、通年食べられるうなぎ丼(1,600円)、春〜夏期間限定の鱧かば丼(1,200円)・釜揚げシラス丼800円、秋〜冬期間限定の牡蠣かば丼(1,200円)。ほかにコーヒー、生姜湯、梅ジュース(各200円)、生姜湯200円などのソフトドリンク、ソフトアイスクリーム350円、ジャム氷300円などもあります。 写真はうなぎ丼ミニ(1,000円)。地元の名物を良心的な値段で食べられます。 鱧かば丼ミニ(800円)。春から夏の旬の味を楽しめます。
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長野県
<近い!楽しい!夏の旅案内>山野草の宝庫・信州富士見町の旅/景色とお買い物、収穫体験など楽しみ満載!
150種類の山野草が咲き継ぐ富士見パノラマリゾート 夏の入笠山はまるで‘野の花ガーデン’ 澄んだ黄色の花を咲かせるユウスゲに、濃いピンクの花をふわふわと咲かせるシモツケ、丸い紅紫色の花が愛らしいノアザミ、渡りをする蝶として知られるアサギマダラを呼び寄せるヒヨドリバナ…。色とりどりの野の花が入り混じり、雄大な八ヶ岳を背景に野の花ガーデンのような美しい花景色を展開するこの場所は、標高1,955mの入笠山(にゅうかさやま)にある富士見パノラマリゾートです。 ゴンドラで10分! 高山植物や湿原植物に手軽に出会える 入笠山は南アルプスの一部ですが、他の山地に見られる険しい頂や深い渓谷といった厳しさはなく、ゴンドラで山頂付近へ約10分で行けるため登山初心者の入門編としても人気。ゴンドラ山頂駅付近は真夏の日盛りでも24℃程度と涼しく、下界のうだるような暑さを忘れさせてくれます。山野草が見られるスポットは主に3カ所ありますが、最も手軽なのは、ゴンドラ山頂駅すぐ隣の「入笠すずらん山野草公園」。春から秋まで、約150種類の山野草が咲き継ぐ花の宝庫です。 夏はシモツケやユウスゲ、コオニユリ、ヤマユリ、ヤマホタルブクロ、カワラナデシコ、ノハナショウブなどが咲き乱れます。白いふわふわとしたヒヨドリバナは、渡りをするアサギマダラや葉っぱに擬態するスジボソヤマキチョウなど、珍しい蝶たちを呼び寄せ、昆虫観察も楽しめます。 ペット同伴もOK! 愛犬と一緒に花散策を楽しもう 富士見パノラマリゾートはペット連れもOKなので、愛犬と一緒に散策を楽しむことができます。標高1,800mの場所にあるマナスル山荘は、愛犬との宿泊もできます。リードは着用し、トイレマナーを徹底して、貴重な草花の保護に飼い主さんも積極的に協力しましょう。服装は普段着で大丈夫ですが、高低差があるので滑りにくい運動靴やトレッキングシューズのほうが安心。山の上は気温が低く紫外線も強いので、帽子と長袖の上着は必携です。 花の群落が圧巻の入笠湿原と登山口の花畑 ゴンドラ山頂駅から約10分歩くと、標高1,734m、約1.85ヘクタールの入笠湿原が広がっています。ここは富士見町の人々によって湿原や草原の立ち入りを防止する柵の設置や木道が整備され、多くの草花を増やすことに成功し、エンビセンノウなどの希少種も生育しています。とりわけ春の日本スズランの大群落は圧巻。湿原へ降りていく斜面に約100万本の日本スズランが咲き、その甘く澄んだ香りが辺り一面漂い、香水瓶の中にでもいるような気分です。夏はチダケサシやツリフネソウ、クサレダマ、マツムシソウ、クガイソウ、サワギキョウの群落が湿原を豊かに彩ります。 湿原の先には入笠山山頂への登山口があり、その周辺にも花畑が広がっています。ここではチダケサシやワレモコウ、コオニユリ、ハクサンフウロ、キバナノヤマオダマキ、クガイソウなどが見られます。ここから入笠山山頂へは、片道30〜40分ほど。体力に余裕があれば、ぜひ。山頂からは、アルプスの山々が360度の大パノラマで広がる絶景が楽しめます。 散策後のうれしいお土産&楽しいお買い物 ゴンドラ山麓駅の売店では、入笠山に咲く山野草や富士見町特産物のルバーブ、富士見パノラマリゾート自社農場で栽培する夏イチゴなども期間限定で売られているので、お見逃しなく。 Information 富士見パノラマリゾート 住所:長野県諏訪郡富士見町富士見6666-703 TEL:0266-62-5666 グリーンシーズン営業期間:2022年4月23日(土)〜2022年11月13日(日) ゴンドラ営業時間: 4〜9月/8:30〜16:00(下り最終16:30) 10月〜/8:30〜15:30(下り最終16:00) ※5/21〜6/19、7/16〜8/15はAM8:00より運行 園芸ファンをワクワクさせる植物、おしゃれな雑貨が見つかるショップ「やつデポ!」 ガーデニング愛好家が厚い信頼をおくショップ 富士見町とその周辺の八ヶ岳エリアは、冷涼な気候と80%以上という高い晴天率のため、多くの種苗メーカーや生産農家が集まる花や野菜の大生産地。「やつデポ!(八ヶ岳ボタニカルラボ)」は、そんな地元の生産者の自慢の一品やクラフト品を集めたアンテナショップです。代表の吉野唯史さん自身もミニトマトとサツマイモの生産農家で、生産者同士の人脈を生かし、富士見町の山野草や一年草、宿根草、花木、多肉植物、野菜苗のほか、生産者が試作研究中のレア品種も入荷します。花色の発色がよい良苗が揃い、生産者直々に栽培のコツなども教えてもらえるとあって、遠くから訪れるガーデニング愛好家も少なくありません。そうしたお客様の中には、ガーデニングを目的に移住を考える人も。「やつデポ!」では、町外からの移住希望者の相談も受け付けています。 希少な高級果実フィンガーライムも品種多数 「やつデポ!」は、日本ではまだ珍しい高級果実フィンガーライムの正規販売店でもあり、さまざまな品種を扱っています。フィンガーライムはオーストラリア原産の柑橘類で、粒状のプチプチとした果肉の様子からキャビアライムとも呼ばれます。過去に、輸入時の苗の品種誤記による混乱があったことから、近年日本ではフィンガーライムの価値と品質を保護するための「フィンガーライムジャパン」が設立されました。同社ではオーストラリアの生産者から直輸入した苗を日本で育てて果実を収穫、品種の確定をしたうえで「やつデポ!」などの正規販売店を通して苗を販売しています。フィンガーライムのほかにも、「やつデポ!」では鉢植えで育てやすいマイヤーレモンなどユニークな柑橘を扱っており、園芸好きをワクワクさせてくれるさまざまな新しい植物と出会えます。 Information 「やつデポ!(八ヶ岳ボタニカルラボ)」 住所:長野県諏訪郡富士見町富士見3292 TEL:0551-45-6154 営業:平日10:00-15:00 土日祝10:00-17:00 (月曜・火曜定休日) https://yatsudepot.thebase.in/ 収穫体験や工場見学、本格イタリアンなど楽しみ満載の「カゴメ野菜生活ファーム富士見」 夏休みの自由研究にもおすすめの工場見学 「カゴメ野菜生活ファーム富士見」は、富士見町とカゴメの協働から誕生した野菜のテーマパーク。「カゴメ野菜生活100」の主力工場として稼働する「カゴメ富士見工場」の見学(要予約)や、旬の野菜の収穫体験などができます。2022年からはAR技術を活用し、広大な畑での収穫風景や生産ラインを間近に見られるほか、収穫から出荷まで関わる多くの社員がAR動画を通して現場の声を届けてくれます。身近な飲み物が畑から食卓へ届くまでの過程や苦労、工夫について現場のリアルな声を通して知ることができ、食育効果も絶大。夏休みの自由研究にも充実した資料を提供してくれそうです。 楽しい収穫体験と本格イタリアンを堪能 ファーム内の農場では、八ヶ岳山麓の冷涼な気候を活かして栽培された旬の野菜の収穫を体験することができます。8月からは完熟トマトや甘いトウモロコシなどが収穫でき、持ち帰りもOK! また、地元の旬の野菜・食材やイタリア産の食材を使用した本格イタリアンレストランも大人気。薪窯で焼いたナポリピッツアや「カゴメ野菜ただし®」を使用したヘルシーなメニューは、子どもから大人までおいしく楽しめます。 Information 「カゴメ野菜生活ファーム富士見」 住所:長野県諏訪郡富士見町富士見9275-1 TEL:0266-78-3935 営業: 10:30~16:00(火曜定休)※12月中旬~翌年3月下旬まで冬季休業(予定)※臨時休館日があるため、HPをご確認ください。 ※カゴメファクトリーツアー(工場見学)はHPより事前予約が必要です。 https://www.kagome.co.jp/ysfarm/ 東京からも近い!信州富士見町までのアクセス 富士見町までは、車で東京八王子から約90分。電車では、中央東線特急あずさで新宿駅から富士見駅まで135分。名古屋からは、車で約150分。電車では、中央東線で約160分。夏の小旅行にぴったりの距離感です。富士見駅から富士見パノラマリゾートまでは、10時に無料シャトルバスが運行しており、約10分で着きます。ご紹介したスポット間の距離は、以下をご参考に。東京や名古屋からのアクセスもよく、素敵な花との出会いや、さまざまな新鮮体験ができる富士見町。家族や友人、恋人との楽しい夏の思い出づくりにおすすめです。 富士見パノラマリゾート↔︎カゴメ野菜生活ファーム/車で3〜4分・徒歩20分前後 カゴメ野菜生活ファーム↔︎やつデポ!/車で3〜4分・徒歩20分前後 Credit 写真協力/富士見パノラマリゾート、カゴメ野菜生活ファーム 撮影・原稿/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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山梨県
音楽にまつわるバラ咲く庭 山梨「河口湖 音楽と森の美術館」を訪ねて
約720品種、1,200株ものバラが育つ6月の庭 関東のバラから少し時間をおいて、2022年6月に満開を迎える「河口湖 音楽と森の美術館」を訪ねてきました。 訪れたのは6月3日。まだ七分咲きの頃でしたが、すでに一番花が終わった自宅の庭を離れて、初々しいバラたちとの再会は、まるで時が戻ったような感動を味わうひとときとなりました。 1999年、「オルゴールの森美術館」として開館され、2003年から、オールドローズを中心としたローズガーデンがつくられました。そして、近年、返り咲き性や四季咲き性のモダンローズの植栽を増やし、一年を通してバラが楽しめる庭園となりました。 23,176㎡の敷地に、四季折々の花々と共に、約720品種、1,200株ものバラが植栽されています。コンセプトは、「王侯貴族が愛した庭園」、まるで海外の風景のような非日常の世界観、雄大で美しい庭園を、さっそくご案内いたしましょう。 有料エリア入場前から始まる庭 写真左のエントランスをくぐると、緑豊かな手入れの行き届いたガーデンが待っています。連なるバラのアーチ(写真右)を抜けると、左側にチケットオフィス、そして、アーチから直進した先には、オールドローズや野生種などのローズガーデンが続きます。 なんとこの3枚の写真に写っているオールドローズ中心のバラが咲くエリアまでは、無料で見学できるということに、まず驚かされます。有料エリアは、チケットオフィスから入場して、その奥に広がるガーデンです。 有料エリアから富士山を望む絶景 バラの先に、まるで外国に来たかのような立派な建物と湖、そして雄大な富士山…目の前に広がる絶景に魅了されました。 ドア周りの壁を這う鮮やかなサーモンアプリコット色の大輪のバラは、‘エマニエル’(CL)です。イングリッシュローズの‘エマニュエル’(S)とは別品種とのこと。 こちらの‘エマニエル’は、花弁がしっかりと厚く、花もちに優れた品種のようです。 壁面の角には、優し気な花色でガーデンに誘うバラ‘サリー・ホームズ’(HMsk)(1976年 英 R.Holmes作出)が美しく咲き誇っていました。 トトロなどのグッズが販売されている「どんぐりのいえ」では、壁面を覆う赤いつるバラが覆っていました。雄大な富士山とのコントラストがとても美しく、晴れた日には、テラス席でこの素晴らしい景色を眺めながら、美味しいお食事やティータイムを楽しめます。 また、このエリアでは、ピアノやフルートなどの楽器演奏によるランチタイムコンサートも楽しむことができます(要開催日時確認)。 音楽にまつわるバラが咲くエリア 「ミュージアムショップ」では、富士山をモチーフにしたくまのぬいぐるみのオルゴールをはじめ、さまざまなオルゴールや、地元の甲州ワイン、チョコレートなどのお菓子、アクセサリーも販売されています。 「ミュージアムショップ」の2Fには、貴重なストラディヴァリウスが展示されています。こちらでは、ヴァイオリンの販売ショップや工房もあります(現在はお休み中)。 ミュージアムショップから見て、ちょうど正面に立つ「どんぐりのいえ」では、入り口ドア横の壁面に‘ジャクリーヌ・デュ・プレ’(1988年 英 ハークネス作出)が、赤いしべを見せながら、美しく咲いていました。 このバラは、実存したイギリス人女性チェロ奏者ジャクリーヌ・デュ・プレ(1945/1/26~1987/10/19)に捧げられたものです。彼女は、その実力から、ストラディヴァリが制作したチェロの中でも指折りの名器といわれる1713年製ストラディヴァリウス “ダヴィドフ”を贈られ、その後の生涯を通してダヴィドフを用いて演奏を行いました。しかし、多発性硬化症の病で42歳の若さでこの世を去りました。 また、「どんぐりのいえ」と「オルガンホール」を繋ぐ小道には、音楽に関係する名前が付けられたバラが植栽されています。 オーストリアの音楽家モーツァルト(1756/1/27~1791/12/5)に捧げられたバラ‘モーツァルト’(HMsk)(1937年 独 ランバート作出)や、モーツァルトの妻コンスタンチェ・モーツァルト(1762/1/5~1842/3/6)に捧げられた‘コンスタンチェ・モーツァルト’(S)(2012年 独 コルデス作出)が咲いていました。 整った花形で鮮やかな真紅のバラは、20世紀を代表するオペラ歌手マリア・カラス(1923/12/2~1977/9/16)に捧げられた‘マリア・カラス’(HT)(1965年 仏 メイアン作出)。 パープルの半八重花は、アメリカの作曲家、ジョージ・ガーシュウィンが1924年に作曲し、ファーディ・グローフェが編曲したピアノ独奏と管弦楽のための音楽作品に因んで命名された‘ラプソディ・イン・ブルー’(S)(1999年 英 ワーナー発表)。 純白の花びらが重なり、優雅な姿のこのバラは、フランスの作曲家、モーリス・ラヴェルが1928年に作曲したバレエ曲に因んで命名された‘ボレロ’(FL)(2004年 仏 メイアン作出)。 音楽とバラと雄大な景色のすべてがアート空間 コンサートホールのオルゴールサロンには、世界的にも貴重な年代物のオルゴールや、自動演奏楽器が展示されています。 実際にオルゴールや自動演奏楽器の演奏を見せていただきました。特にオルガンホールでの全長20mもの巨大な楽器であるダンスオルガンのコンサートは必見です(要開催日時確認)。 また、1時間毎に1回、カリオン広場で行われるカラクリ人形の指揮者の動きに合わせた噴水ショーも目に涼しい演出です。 約2時間の滞在でしたが、音楽という芸術にも触れることができ、雄大な景色を背景に、どこにレンズを向けても、美しい写真を撮ることができる庭園。そこに咲く美しい花々、美味しい食事、すっかり心が満たされた滞在となりました。 ぜひ、「河口湖 音楽と森の美術館」を訪ねてみてはいかがでしょうか。 Information 河口湖 音楽と森の美術館 住所:〒401-0304山梨県南都留郡富士河口湖町河口3077-20 TEL: 0555-20-4111 https://kawaguchikomusicforest.jp/ 開館時間:午前10時~午後5時(最終入館午後4時) 休館日:火曜・水曜休館日あり(祝日除く)*季節によって変更あり。 駐車場:乗用車300台、大型バス20台 入館料: 一般料金大人1,800円、大高生1,300円、小中生1,000円 団体割引大人1,500円、大高生1,100円、小中生800円 年間パスポート:7,000円(1枚で2名様までご利用可能)購入特典は入館料無料(1年間有効)他。
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静岡県
伊豆・河津桜物語【松本路子の花旅便り】
早春の桜便り 毎年2月になると、静岡県東部にある伊豆から桜が咲き始めたという便りが届く。4月に開花する染井吉野ではなく、早咲きの河津桜だ。今では伊豆だけでなく、全国で植栽され、早春の桜として知られるようになった河津桜。その誕生物語は、奇跡とも思えるものだ。 わが家のバルコニーにも2本の木が育っていて、鉢植えながらけなげに花を咲かせる。まだ寒い季節に、これから訪れる春を予感させ、気持ちをほっこりと温めてくれる貴重な存在だ。 河津桜、そのルーツ 河津桜は静岡県の河津町で、1955年頃に川沿いの雑草の中で苗木が発見され、発見者の故・飯田勝美さんの家の庭先に移植された。10年目に開花し、大木となったその原木は、今も同地で花を付ける。 2月上旬から、淡い紅色の花が1カ月近く咲き続けることから注目を集め、60年代から有志の手によって増殖されるようになった。その後、調査で新種の桜であることが判明し、発見された地にちなんで、1974年に河津桜(かわづざくら)と命名された。 河津桜は伊豆半島に自生する野生の桜オオシマザクラと、他種の桜との自然交配の結果生まれたもので、一方の親はカンヒザクラと推測されている。オオシマザクラは伊豆大島に多く分布し、その名が付けられた。開花期は3月下旬頃だが、1月下旬に咲く「寒咲大島」もある。 一方のカンヒザクラも野生の桜で、主に沖縄に分布するが、江戸時代後期には関東地方でも栽培されていた。沖縄では1月下旬頃から開花する。オオシマザクラは白色で、カンヒザクラは緋色の花を付けるので、河津桜はその中間の花色といえるのかもしれない。いずれにしても2種類の桜がどのように出会って、交配に至ったか、自然界の不思議を感じさせる出来事だ。 河津川沿いの桜並木 1本の原木から増殖された苗木が、今や現地では8,000本を数えるほど植栽されている。中でも河津川両岸の桜並木は4kmにわたる見事なもので、河津駅近くの河口から上流に向かい約850本の桜が続き、花のトンネルを散策できる。 染井吉野の花が10日ほどで散るのにくらべて、河津桜はたくさんのつぼみが徐々に花開き、花もちもよいので、1カ月ほど花の見頃が続く。例年花の季節に「河津桜まつり」が開催され、2021年は中止となったが、2022年は一部のイベントを除いて開かれる。 わが家の河津桜 河津桜が初めてわが家のバルコニーにやってきたのは、20年ほど前のこと。伊豆から到来した苗木だったが、数年後に、成長しすぎて友人の広い庭に地植えしてもらった。当時は鉢植えの木の扱い方がよく分かっていなかったのだ。 十数年前に河津町の生花店で苗木を求め、再び栽培にチャレンジ。バラと同じように冬の休眠期に鉢の土替えをすると、2mの高さで安定して育つようになった。考えてみれば、桜もまたバラ科の植物なのだ。4階の東側のバルコニーは日当たりがよいので、年によっては1月下旬から開花する。 鉢植えの桜 鉢植えのよいところは、動かせること。普段はバルコニーの隅に置いてある鉢を、つぼみがほころび始めたところで、中央のテーブル近くに移動させる。暖かい日には桜花の下でティータイム、そしてリビングルームから花見ができる。夜はライトアップして、ささやかな夜桜見物も。 桜が咲くと、頻繁に訪れてくるのがメジロ。花の蜜が大好物のこの鳥が、窓辺の木の枝に止まり、夢中で蜜を吸う姿が見られる。食用には適さないが、サクランボも実り、小さな果実は見ているだけで楽しい。青い実が熟し、赤くなると、小鳥たちがやってきてそれをついばんでいる。 Information 第32回「河津桜まつり」 会期:2022年2月1日~28日 アクセス: 車 東名沼津ICから河津町まで、約1時間20分。東名厚木ICから河津町まで、約2時間30分 電車 JR東京駅から特急踊り子号で、伊豆急河津駅まで約2時間40分。新幹線熱海駅から伊豆急行で、伊豆急河津駅まで約1時間30分 開花情報:電話 0558-34-1560 事務局:河津町観光協会 www.kawazu-onsen.com info@kawazu-onsen.com
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新潟県
素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪32 新潟「グリーンランド エデン」
園芸の裾野を広げるべく 安心して育てられる苗を販売 エクステリアや庭づくりの設計・施工を請ける「グリーンランド エデン」。大きな看板はないものの、瑞々しい植物が囲むモダンな事務所兼ショップが目印です。 「グリーンランド エデン」は、約8年前にこの地にオープンした総合園芸ショップです。以前は、北陸自動車道新潟亀田ICのすぐ横に35年間店を構えていましたが、付近の整備に伴い3kmほど南に移転しました。 店名は創始者で前社長の大橋保男さんの「皆が楽しく暮らせる理想郷・ユートピア・エデンの園をつくろう」という思いからつけられました。1968年当時、世界で一番の国・アメリカ合衆国を見たいという思いでカリフォルニア州に渡り、農業研修生として学んだことを注ぎ込みました。その名の通り、花いっぱいのおだやかな空間が広がっています。 広い敷地の一番奥に設けられたハウスは、色とりどりの花苗や鉢が並ぶ売り場。中央に設えた大きなトンネル状のアーチが空間に立体感とメリハリをもたらしています。ここにはロベリアやフクシア、シダなど枝垂れるタイプの植物が吊され、彩り豊かなアイストップとなっています。 花苗の新鮮さはもちろんですが、どれもしっかりとした株に育っていることも、このショップの大きなこだわり。「よいものを安く提供する」ためのひと手間を惜しまず、メーカーから仕入れた苗を、30年来提携している農家さんに大きく育ててもらってから、売り場に出しているのです。これならビギナーでも育てやすく、見栄えも抜群です。 ショップにはハンギングバスケットマスターなどが在籍、常に花に携わる仲間たちと園芸の裾野を広げることを強く意識し、イベントやワークショップなどの活動に積極的に参加しています。モダンな建物の中では、寄せ植えをはじめとした講座を月2回(1、2月は除く)開催、冷暖房完備の中で快適に学ぶことができます。寄せ植え講座は、材料を店側が用意するだけでなく、自身で選ぶことも可能。参加者のレベルに合わせて受講することができるので安心です。 ナチュラルな雰囲気の寄せ植えも多数並んでいます。売り場の奥には、近隣の企業やショップから依頼された寄せ植えがたくさん。もちろん、要望を伝えれば予算に合わせて作ってくれます。 庭づくりの専門家がおすすめの リーフや実が楽しめる樹木がたくさん 庭の工事を請けているショップだけに、草花だけでなく樹木の品揃えが非常に豊富。大きく育つ黄金ニセアカシア‘フリーシア’を中心に、おしゃれで人気の樹種がずらりと並んでいます。樹木のプロも3人在籍しているので、大きさや育ち方、庭への取り入れ方など、分からない時はぜひ相談してみて。 ショップで今人気なのは、鉢で気軽に楽しめるオリーブやブルーベリー。そのほか、銅葉や斑入り葉、オーレア葉などの人気品種や、手に入りにくい希少種も揃えています。それぞれに大きな名札がついているので選びやすく、眺めているだけで勉強になります。 小さな農場のような売り場で見つけた 素敵な樹木をご紹介! 左/斑入りコナラ:ブナ科・落葉高木。人気が高い秋にドングリをつける雑木の斑入り種。 中/斑入りリョウブ:リョウブ科・落葉中高木。夏に細長い花穂に白花をたくさん咲かせ、秋に小さな実をつける。 右/ヤマボウシ‘ウルフアイ’:ミズキ科・落葉高木。葉焼けしにくい斑入り種で、比較的コンパクトな樹形におさまる。 左/クロハトベラ:トベラ科・常緑低木。さわやかな斑入り葉と黒い茎の対比が美しいピットスポルマム。 中/シマグミ:グミ科・常緑低木。銀色がかった葉が魅力の、まだ流通が少ないグミ。初夏に白花を咲かせる。 右/コプロスマ‘サンスプラッシュ’:アカネ科・常緑低木。繊細な枝ぶりで、黄覆輪の小さい葉が密集する。 アメリカハナズオウ:マメ科・落葉中木。春に開花する。写真の品種は下記の通り。 左/‘メルロー’:厚みと光沢のある紫色の葉と、赤紫色の花が美しい品種。‘フォレストパンシー’よりまとまりよく成長する。 中/‘ハートオブゴールド’:出葉時のライムグリーンの明るく美しい葉は、強光下でも葉焼けしにくい。花はピンク色。 右/‘シルバークラウド’ :淡ピンクから白い斑入りに移ろう美しい葉は、強光で葉焼けしやすい。花は淡ピンク色。 ヨーロッパナラ:ブナ科・落葉高木。カシワのような形の葉をつけ、秋にドングリがなる。写真の品種は下記の通り。 左/ ‘コンコルディア’: 春の鮮やかな黄色はじつに見事。黄色い葉は盛夏を過ぎる頃になると緑色に変わって、再び秋に黄葉する。 中/クリスタータ:品種名は丸まって展開する葉が「鶏のとさか」に似ていることから名付けられた。大きなドングリも魅力的。 右/‘アルゲンティオ マルギナータ’:やや青みがかる葉に白い斑が入る。ドングリにも斑が入り、緑と白のきれいな縦縞模様になる。 左/アロニア:バラ科・落葉低木。チョコレートベリーとも呼ばれ、春に薄紅色の小花を房状に咲かせ、秋には赤や黒の果実をつける。 中/ブルーベリー‘チャンドラー’:ツツジ科・落葉低木。ブルーベリーの中では最大サイズを誇り、成熟期初期は500円玉ほどの大きさの実をつける。 右/西洋ニンジンボク:シソ科・落葉低木。初夏に薄紫または白色の芳香のある花を咲かせる。葉は5~9枚の掌状になり、香りがある。 左/ヨーロッパブナ‘パープルファウンテン’: 枝垂れるブナで紫葉の人気品種。新葉は紫赤色で、夏にはやや緑がかり、秋は茶色になる。 中/レイランディ‘ネイラーズブルー’:ヒノキ科・常緑高木。広円錐形から円柱形に成長するコニファー。萌芽力が強いのでトピアリーにも。 右/アカシア‘ブルーブッシュ’ :マメ科・常緑中木。青灰色の葉と黄色い花が魅力のアカシア。生育が早く、樹形はブッシュ状になる。 お手頃なサイズと値段の インテリア関連も充実 建物内はインドアグリーンと雑貨売り場。天井が高い店内には、大小さまざまな種類のグリーンがおしゃれな雑貨とひしめき合うほどに並べられており、選ぶ楽しさ満載です。お手入れにおすすめのガーデンツールも多様に揃っています。 コンテナや雑貨類と合わせたおしゃれなディスプレイも必見。棚やスタンドを巧みに使い、それほど大きくないグリーンも、空間につややかな潤いを与えています。 インテリアで存在感を発揮する、大型の雑貨類もたくさん。鏡を用いることで部屋を広く見せつつ、大きめのガラスの花瓶とともに透明感のある輝きをもたらしています。 品質本位にこだわり、地域に根差すことを大切にしている園芸店「グリーンランド エデン」。たくさんの生産者がいる新潟・園芸産地としてガーデニングの活性化に力を注ぎ、園芸に携わる人の雇用アップにつなげる努力を続けています。また庭づくりのプロが「どこからどのように始めればいいの?」といった初心者さんの疑問にも丁寧に答えてくれます。ぜひ訪れてみてください。アクセスはJR信越本線亀田駅より徒歩約30分、北陸自動車道新潟亀田ICより車で約10分。 【GARDEN DATA】 グリーンランド エデン 新潟県新潟市江南区泉町5丁目1番3号 TEL 0120-1187-92 営業時間:9時30分~18時30分(1・2月は冬季営業10~18時) 定休日:正月三日間、1・2月のみ毎週水曜日 https://g-eden.co.jp/ Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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福井県
素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪31 福井「開花園」
お客さまを裏切らないための努力が 随所から伝わるショップ 福井市中心部から車を10分ほど走らせた、広々とした区画エリアに位置する「開花園」。道路に面した間口の広いショップは、車中からでも色とりどりの風景が楽しめます。 開花園は、「特別な記念日やプレゼントだけでなく、日々の暮らしに気軽に花を取り入れてもらいたい」という思いからオープンしたショップ。それから40年ほど経ちますが、いまだオーナーの三国哲弘さんの当初からの思いを強く感じることができます。 奥行きのある花苗売り場には、花壇・寄せ植えにおすすめのたくさんのポット苗がずらり。「お客さまの信頼に応えるため、『品質・鮮度・産地』にこだわっています。植物にも人間同様、一つひとつ個性があるので、国内外問わず生産者のもとを訪れ、育てている環境や想いを聞き、学ぶようにしています」と三国さん。 都会のショーウィンドウのような 飽きのこないコーディネートも魅力 ショップの雰囲気作りも、随所にこだわりがたくさん。建物や什器は、三国さん自身がデザインしています。かつて石川県のフラワーデザイン・冠婚葬祭の装飾に携わっていただけに、ディスプレイはお手のもの。現在の場所に開店して約17年経ちますが、大掛かりなリニューアルを9回も重ねており、日々磨いている感性や知識をその都度反映させています。 細長い敷地の奥には多肉植物や低木などの売り場があります。タープを広げた頭上にもたくさんのグリーンが下がり、囲まれ感がたっぷり。心地よい気分でショッピングが楽しめます。 建物内はインドアグリーンや雑貨、切り花の売り場。「開花園」ではインドアグリーンの普及に取り組んでおり、品数だけでなく珍しい植物も揃っています。 「日本やヨーロッパでは鬱になる人が多いですが、途上国などは鬱になる人は少ないんですよ。その理由は、途上国は自然が多いことと、過ごす空間が広いことから。冬も長くて空間が狭いイギリスでは、環境によるストレスを改善するために、国を挙げてガーデニングに力を入れたんですよ」と三国さん。 日照時間が少なく、降水量は全国でもトップ3に入る福井県。「だから観葉植物を部屋に置いて、心に潤いを与えることがとても大切」と三国さんは考えています。 開花園では、日々の生活に緑を取り入れることと、五感を刺激することを積極的に提案しています。店内では水槽に注ぐ水が澄んだ音色を響かせています。 もう一つのモットーが、ワクワク感のある店づくり。ディズニーランドのような高揚感を演出したい! と、細長い店舗内を上手に区切って雰囲気を変え、次々に新鮮な空間を展開しています。 開花園の前身は、父が始めたショッピングモール内の切り花店。実家を継いだ三国さんは、数年で売り上げを大きく伸ばしました。大きな理由は、積極的に声掛けをすることと、分かりやすいポップをつけること。ときどき都会に刺激をもらいに出かける三国さんは、都内・デパ地下での威勢のよい声掛けを目の当たりにしたり、八百屋のポップの数字の見やすさに感心したりすることが多く、それが自身の店の改善につながりました。日々、あらゆることにアンテナを張りながら過ごす向上心が、数字として表れたのです。 店のディスプレイもこまめにチェンジ。1カ月後に訪れると、また違う風景が楽しめるそう。「店の中がいつも同じじゃつまらないよね。表参道なんかのハイブランドなんて、数週間単位でウィンドウのディスプレイが変わるもん。いつ歩いても楽しいよね、表参道って」。 常にお客様目線でていねいに。 立ち寄りやすいショップを目指して ショップ前のウォールもいつも花できれいに彩られています。用がなくても、また年配の方も入りやすいように、「身近感」を大切にしています。 ショッピングモールから今の場所へ移転し、ゼロからスタートした「開花園」。時代に合わせて日々変化し、求められているものをいつでも提供できるよう店舗を拡張。あらゆる面でパワーアップを図っています。 開花園・三国哲弘さんイチオシはコレ! 開花園YouTubeチャンネル おすすめの季節の植物とその簡単なポイントは、店内の掲示板でお知らせしています(左)が、もっと具体的なことは、インスタグラムやフェイスブック、YouTubeでご紹介しています。特におすすめなのは「開花園」のYouTubeチャンネル。三国さんが植物の育て方や魅力をていねいに紹介しています。旬を迎えた人気花のQRコードは、掲示板に紹介されています(右)。来店の際にぜひご活用ください。 「お客様の反応や頂いた評価は店の現状。いつもお客様目線で、‘豊富な品揃え、きれい、ていねいな接客’を心がけています」と三国さん。地域の人々に癒やしの場を提供するべく、品揃えだけでなく五感で楽しめる空間づくりに力を入れています。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、北陸自動車道・福井北ICから車で約5分。 【GARDEN DATA】 開花園 福井県福井市高柳町1-808 TEL :0776-53-8739 営業時間:10:00~18:00 定休日:火曜日 https://kaikaen.com/ Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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新潟県
素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪26 新潟『「道の駅」庭園の郷 保内』
庭園・植木の文化の魅力を 発信する道の駅 新潟といえば日本有数の米どころ、三条といえば金物、そしてここ保内(ほない)は植木の産地として古くから発展してきました。そんな特徴を生かし、「見て、触れる」ことで、造園や植木、ガーデニングに親しみ、楽しむことができる道の駅として、地域の人々に愛されています。 『「道の駅」庭園の郷 保内』は、今から5年前の2016年にオープンし、翌年に道の駅として登録されました。地域の新鮮な特産物や野菜と並行して、植木や花苗、資材等を販売しています。 正面玄関を入って左側のエリアと屋外に設けられているのは、たくさんの植物と資材が並ぶ、園芸コーナー。明るい陽射しが入る建物内は、まるで温室のような雰囲気です。植物は地域の出荷業者が自信を持って納めたもので、こまめに苗をチェックしに来ていることもあり、常に生き生きと新鮮な状態で並んでいます。 大きなガラス張りのエリアの外は、季節の花や草木が並ぶ苗売り場。壁や屋根に使われた温かみのある木材や、やわらかな光のライトが、心地よい空間を演出しています。 大きくせり出した屋根の下は天候に左右されずに買い物ができ、ワークショップが定期的に開かれています。一番人気は寄せ植え講座で、用意された苗を植える初心者コースや、花を選ぶところから指導してくれるステップアップコースなど、お客様の要望に合わせて対応しています。 こだわりのガーデニングツールで 作業効率をアップさせよう ここ三条市は隣の燕市と併せて日本最大の金属製品の生産地です。それだけに、ガーデニングツールがホームセンター以上に揃う資材コーナーは必見。初心者から専門家、そして子ども用まで、多種多様な金物のツールがずらりと並んでいます。 ここでは、三条の工場で作られた金物を厳選して紹介しています。たくさんあるなかでも特にガーデニング向けのこだわりアイテムは、初心者ガーデナーが手に取りやすいようにテーブルの上に並べられています。 刃物や農具、鋳物などのガーデニング資材の多くが、三条で作られています。花首や長い茎を支える支柱や、プランターをハンギングするためのフックなど、ガーデニングのお役立ちアイテムがたくさん。造園用の根巻きや幹巻き用の資材も並んでいるので、眺めているだけで楽しく、勉強にもなります。 ガーデニングライフをサポートしてくれるアイテムも充実しています。なかでも好評なのが、首を覆う布がついた色とりどりの作業帽。お手頃な値段なので、洗い替えやその時の気分に合わせてかぶれるよう、いくつか揃えてみても。頭を覆う部分は、麦わらと布地があります。お好みで選んで。 隣の加茂市は日本有数のニットの産地。ここでは、ガーデニング時にあると便利なものを扱っています。人気商品は、ふんわりと足首をカバーしてくれる足首ウォーマー(左)と、引き締め効果が高くてゴムがずれにくく、5本指で血行を促進する丈夫な靴下(右)。 ここのイチオシが、ビニールヒモを編んで作ったベトナム製のバスケット。ガーデニンググッズや野菜の買い出しなど、さまざまなシーンで使えます。洗えるのも嬉しいポイント。カラフルで大きさも数種類あるので、選ぶのに迷ってしまいそう。 ガーデニングライフの必需品からおしゃれな雑貨類まで、ホームセンターをしのぐ品揃えを誇る、驚きの道の駅です。 道の駅ならではの おいしいものコーナー 天井が高く解放感にあふれる建物は、今年2021年初めに一部がリフォームされ、ますます買い物がしやすくなりました。ほかの道の駅同様、周辺の農家から出荷された旬の野菜をはじめ、ここでしか手に入らない地場農産物も並んでいます。 【ショップおすすめコーナー】 今年のリニューアルオープン時に設けられたのが、子どもたちを遊ばせながら、大人もくつろげるプレイスペース。子育て世代が楽しめるようにという配慮が、あちこちに盛り込まれています。 子どもたちに人気の、木箱を積んだジャングルジム。まわりの大きな植物は、プラントハンター・西畠清順氏が主宰する‘そら植物園’の提供で、異国情緒を漂わせながら展示販売されています。冬場は室内でも氷点下になることがある新潟ですが、ここでも丈夫に育つように、比較的耐寒性のある種類が、あらかじめ低温に慣らされて搬入されています。今後、西畠氏による海外の植木選びや演出法、現地の状況などについてのトークショーや講座などを催す予定もあります。 庭のことならなんでもお任せ! 頼もしい面子が勢ぞろい 建物の前には、広大な庭園と植物見本園が広がります。その広さは、なんと約30,000㎡。庭園には道の駅が提案する風景が広がり、見本園には保内の植木職人たちがすすめる植物や庭の提案がたっぷり盛り込まれています。 植木屋それぞれの持ちスペースでは、おすすめの植物を使いながら、独自の風景を作っています。ここに植えられているものは、根巻きやポット植えなので買うことができ、頼めば庭に植えてもらうことも可能。 上写真は、300年ほど前から大切に育てられてきた、‘保内五葉松’。葉が青白く光り、美しいグラデーションを見せることから、‘霜降り五葉松’とも呼ばれています。季節で微妙な葉色の移ろいが楽しめる‘保内五葉松’。一見の価値あり。 見本園の奥で、赤いパラソルが目を引くのは、道の駅自慢のイタリアンレストラン「パスタとピザの店・base(バーゼ)」。地元で採れた野菜をふんだんに使ったジャパニーズイタリアンレストランで、パスタ、ピザ、ラザニアなどのメニューがあります。 女性駅長とスタッフによる 庭の提案コーナーも注目 レストランのさらに奥に広がるのは、道の駅が提案するキッチンガーデンやキッズガーデン。「キッチンガーデンは、くまのプーさんに出てくるラビットの畑をイメージしているんです。キッズガーデンは、オランダのカラフルで楽しいガーデンを意識してつくっていますが、こちらは、まだこれから力を入れていく場所なんです」と、道の駅・駅長の加藤はと子さん。 加藤さんは、もともと三条市の産業振興のイベントを成功に導いたという、凄腕の女性駅長さん。パワフルでありながらも朗らかな人柄が魅力です。ガーデニングにも興味があり、オープン当初より就任している駅長職は、まさに適任。「対外的なことも多い仕事の合間に庭のことを考えています。庭づくりだけに専念したいぐらい、ガーデニングは気持ちがいいですね」と加藤さん。 ここは、「造園・植木の振興」だけでなく、「文化の交流の場・子育てを応援する場の提供」など、地域貢献を強く意識している注目度の高い道の駅。2019年、国土交通省により「地域活性化の拠点となり優れた役割を担う、‘重点道の駅’」に認定されました。 レストランの裏手にはレンタルスペース(和室)が。子ども連れの家族がここでゆっくりレストランの食事を楽しんだり、セミナーやワークショップを開催したり。さまざまな用途で利用できます。(1時間1部屋、500円〈税込〉、9~21時の間に利用可)。 「植物に親しみ、地元の食を味わう」をテーマに設立された『「道の駅」庭園の郷 保内』。幅広い年齢層がゆったりと楽しめる、ユニバーサルなスポットです。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、北陸自動車道・三条燕ICから約20分。JR信越本線「保内駅」から徒歩約20分。 【GARDEN DATA】 『「道の駅」庭園の郷 保内』 新潟県三条市下保内4035番地 TEL :0256-38-7276 営業時間:9:00~18:00 定休日:12月31日~1月2日(その他臨時休業あり) https://honai-gardens.com/ 写真協力(*)/庭園の郷 保内 Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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愛知県
宿根草が風に優しくそよぐ愛知・牧さんの庭
庭を会場にした写真講座を開催 僕がはじめて牧さんにお会いしたのは2012年12月、名古屋在住の友人の紹介で牧さんのお宅で写真講座をさせていただいた時になります。 その当時は、写真講座をよくやっていましたが、ほとんどの開催が東京中心。たまに大阪で開催したこともありましたが、名古屋周辺での写真講座は初めてでした。 名古屋周辺はコッツウォルドストーンやテラコッタなどガーデン資材を輸入してお庭をつくっている職人さんもたくさんいらっしゃるし、岐阜の「花フェスタ記念公園」も近隣にあるので、ガーデニング熱の高い地域だということは聞いていました。 写真講座の当日もガーデニング関係の仕事をされている方や、フェイスブックのお友達など多くの方が来てくださり、賑やかな写真講座となりました。開催日は12月でしたから、翌年のオープンガーデンに改めてお邪魔することを牧さんに約束し、その日は帰りました。 庭の最盛期に初訪問 翌年のオープンガーデンに伺って、バラ咲く牧さんの素晴らしい庭を拝見して以降、この地域周辺に来た際には必ずお邪魔させていただくようになりました。 そして、2016年の5月末、花フェスタ記念公園でいつものようにバラの撮影をしていて、日も暮れてきたから、そろそろホテルに帰ろうかと思っていた時のこと。偶然、産経メディックス『New Roses』編集長の玉置一裕さんと「花ごころ」の村田高広さんにお会いして、夕食に誘っていただきました。 可見市のイタリアンレストランでの食事中の話題は、もちろんバラです。最新のバラの話に盛り上がっているなかで、玉置さんに「今度『New Roses』でお庭の実例紹介のページはいかがですか?」と聞いてみたところ、それは面白いと気に入っていただき、翌年の春に撮影をして秋号で掲載という約束をいただきました。 撮影したいのは、ニューローズの咲く庭 『New Roses』での仕事は、これが初めてになりますから、気合を入れて取材に伺うお庭を考えてみるものの……。僕の得意なバラはオールドローズですから、オールドローズが咲く美しい庭ならすぐに頭に浮かぶのですが、玉置さんからの条件はただ一つ「ニューローズの咲くお庭でお願いします」だったのです。 『New Roses』を開きながら「これらのバラが咲いているお庭は?」と考えてみてもすぐには思いつきません。自分で考えても分からないなら誰かに聞くしかありません。ニューローズというと「バラの家」の木村卓功さんの「ロサオリエンティス」、「河本バラ園」、花ごころのフレンチローズの「デルバール」が咲くような庭を探せばいいかなと思い至って、早速フェイスブックで繋がっている友達に連絡をとってみることにしました。 予想通り「ロサオリエンティス」が咲く庭は千葉にあり、河本純子さんのバラが咲いているというのは以前Garden Storyにも登場していただいた内田美佐江さんの庭、そして「デルバール」のバラが咲くであろう庭は、名古屋で2軒がすぐ浮上し、そのうちの1軒が牧さんのお庭でした。 バラの最盛期に合わせて訪問 名古屋周辺のバラの撮影は、例年ですと5月20日前後です。この年も、2週間前から牧さんにバラの開花状況を確認しながら、2017年5月24日の午後3時にお庭に到着。天候は晴れ。以前は納屋だったという外壁が黒く塗られた可愛い小屋を一面に覆い咲く「小松バラ園」作出の‘芽衣’と「デルバール」の‘ビアンヴニュ’、そして、大小のピンクのバラが目に飛び込んできました。 小屋の手前にはグラスが風になびき、宿根草がさまざまに咲いていますから、僕はただこの絵になる小屋の真正面に立って、夕方の優しい光になるのを待てばよいだけでした。5時過ぎ、斜めからの優しい光が差し込んできてピンクのバラが輝き出したので、三脚にカメラをセットして撮影を開始。ゆっくり光の変化を確認しながら30分後には撮影を終了しました。その後、敷地の奥にある、以前は家族の畑だったというエリアをナチュラルな宿根草の庭に変える計画話をうかがって、その庭が完成したらまた撮影させてくださいねと約束して帰りました。 新エリアのナチュラルガーデンの成長 2019年5月17日には、約束の出来立てのナチュラルガーデンを撮影してGARDEN STORYにいち早く載せようと思ったものの、牧さんのお庭が何と同年に開催されたGARDEN STORYのバラのフォトコンテストで編集長賞を受賞したことから掲載時期の調整に続けてコロナ渦が重なったため、今年2021年の5月8日に改めて撮影に伺うことができました。 2019年の庭はまだ初々しい宿根草の庭でしたが、今年は、よりナチュラルな植栽に変わって、おしゃれ度も増した素敵なお庭になっていました。撮影時期が延期されましたが、改めて撮影に行くことができよかったと、つくづく思いました。 牧さんの庭のご紹介動画もぜひご覧ください。
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長野県
和の風情漂う草花と草もの盆栽。長野・松本『花屋 彦兵衛』 今日はてくてく、「花屋さん日和」Vol.9
トップ画面の写真を見て、気になった方が多そうですね。のれんをかけている花屋さんなんて、そうはないかもしれません。『花屋 彦兵衛』。時代小説にでも登場しそうなこのお店があるのは、城下町の名残と新しい文化が交差する長野・松本。江戸時代、米問屋が所有していた5つの蔵『和泉町伍蔵(いずみまちごくら)』の一角で、まさに“のれん”を掲げました。 オーナーは、東京・二子玉川で『メゾンフルーリ』を営む佐々木久満さんです。おしゃれな街、二子玉川で華やかな花々を扱う一方、和の花を扱う店をもちたいというのが長年の夢。そして、空間と、そこに置く花、コンセプトのすべてのピースが、「やっと、この松本の店でぴたっとはまった」と言います。 土間に並べた切り花のメインは、季節の草花。糸菊などの和の風情漂う花々のほか、葉や実の彩りに季節を映す枝もの。約30種そろえる花材には、シャクヤク、クレマチス、ダリア、リンドウなどの長野が誇る花々も、季節ごとに加わります。 ↓が糸菊。 ↓は上伊那の瀬戸さんが作るリンドウ。 そんな花を使ったアレンジにも特徴があり、オーダーすると「器」に挿して販売しています。花瓶か、民芸調のかごか好きなほうを選べるそう。考えてみると、花器を買う機会って、あまりありませんよね。ギフトにはもちろん、自宅用にもうれしい“器込みのアレンジ”です。 店先にはこんなふうに小さな寄せ植えが並んでいます。それらは、切り花と同じ比重で力を入れる「草もの盆栽」。日本の野山にありそうな草花を使った盆栽のことです。 ↓は、野紺菊の寄せ植え。細い葉は石菖(せきしょう)、赤い実は「酢実(ずみ)」。寄せ植えしてから4、5年は経ったものだそうです。 お店では、こうした月日の流れを愛でる経年もののほかに、身近な盆栽もオリジナルで作っています。染付の蕎麦猪口風の鉢に植えられているのは↓、シクラメンのコウムという品種。ハート形の葉がかわいらしく、花の季節には小指の先ほどのつぶらな花で楽しませてくれるそうです。素敵ですね! 訪ねると、気づくことがあるはず…。それは値札。木札風の値札に、旧字で表記! のれんといい、値札といい、粋な遊び心にグッときてしまいます。 ところで、店名がなぜ、『彦兵衛』なのでしょう? それは、明治のころ、東京・日本橋橘町に創業した呉服商「大黒屋彦兵衛」にあやかったもの。佐々木さんの母方のルーツをたどると登場する人で、友禅染めと日本刺しゅうを融合させ、新たに江戸友禅という技法を生み出した人といいます。「着物と花とではまったく異なりますが、この店を作った根底には、そこへ近づけたらという思いがあります」。信州松本の城下町で取り組むのは、“新しい和のスタイル”。フラワーアレンジメントのテクニックを使いながら、気軽に和の粋を楽しめる花を提案していくそうです。 松本へお出かけの折には、立ち寄ってみませんか? Shop Data:花屋 彦兵衛 フェイスブック/https://www.facebook.com/hanayahikobee/ 住所/長野県松本市旭1-1-20 和泉町伍蔵 電話/0263・31・6187 営業時間/12~18時 定休日/月・火曜 アクセス/松本駅より徒歩約25分、バスの場合は、松本駅より四賀線に乗車。和泉町バス停下車、徒歩約1分。車の場合は、松本ICより約25分。 Credit 記事協力 撮影・佐々木久満 構成と文・鈴木清子
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愛知県
素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪19 愛知「garage NAGOYA」
名古屋駅・南エリアの複合施設『グローバルゲート』内にあるガーデンショップ リニア中央新幹線開通に向けて開発が進む、名古屋駅・南エリアのささしまライブ地区。その中心部に2017年秋開業した複合施設『グローバルゲート』内に、「garage NAGOYA」が同時オープンしました。 人気店の第2号店として 新たな展開でオープン ガーデニングとインテリアを融合させた暮らしを提案し、感度の高い人たちの人気を博している愛知県・豊橋にある園芸店「garage」。「garage NAGOYA」は豊橋で得たノウハウを生かしつつ、さらに都会の人々のライフスタイルに進化させたショップです。 売り場は上下2フロアを使い、2つの異なるテーマで構成。「アーバンなhome」をテーマとした下の階では、植物のある暮らし周りに合わせたい雑貨や家具が揃い、「ラフなyard」がテーマの上階では、植物を求める人のためのインドアグリーンやガーデンツールなどが並んでいます。 つややかな空間で 植物の魅力をたっぷり感じて 植物好きな方は、まずはエスカレーターで「ラフなyard」のフロアに上がって。ここには、マンション暮らしにおすすめのコンパクトなものから、オフィスなどにも向く大型のものまで、多様な空間に対応する多彩な植物や鉢が揃い、さまざまな人々が癒やしを求めて訪れています。 ジャングルのように緑にあふれた店内は、「計算され尽くした、ラフ」な、さりげないディスプレイが施されています。これは、ガーデニングショウで人気のオーナーである二村昌彦さんと、彼のセンスに憧れて集まったインテリア&グリーンが好きなスタッフによるもの。そこかしこに「心地よいラフさ」を演出するための技が盛り込まれています。 実家が種苗会社だったことで、幼い頃から植物に親しんできたという二村さん。大学卒業後はホームセンターに勤め、店長やバイヤーとしてさまざまなことを学びました。けれど、そこでは「植物は育てるもの」という感覚がなく、モノとして扱われていることに違和感が募り、9年後に退社。以前からインリアなどにも興味があったことから、見聞を広めるために渡欧し、しばらくはオランダを拠点として精力的にあらゆるものを吸収していきました。 ホームセンターに勤務中から考えていた「植物を育てること」と「植物のある空間づくり」の併存を、すでに実践していたオランダの人々の生活。普段から花を飾り、古い家具や農具を大切に使いながら、シーンづくりにも生かしている……そんな、おしゃれでありながらつつましい暮らしがとても新鮮に感じられ、そんな刺激を受けているうちに、自身のやりたかったことが明確になり、帰国して提案型の店をオープンさせたのです。 センスアップの参考にしたい ディスプレイの連続 モダンでクールなアイテムと古びたアイテムを絶妙なバランスで組み合わせるコーディネートは、子どもの頃からインテリアに興味があったという二村さんならではのもの。店内には眺めているだけで楽しい丁寧なシーンづくりが、随所に施されています。 ジャングルのような緑滴る空間には、緑を引き立てながら味わいを添えている、渋いアイテムがたくさん。さりげないあしらいが参考になります。 おすすめのガーデンツールが並ぶコーナー。二村さんやスタッフの「良い!」というお墨付きのものばかり。 外から来たお客様がワクワクするように、ガラスにも遊び心を加えておしゃれに演出。どんな小さな場所も手を抜かず、見せ場をたくさん作っています。 植物と合わせたい暮らしまわりの アイテムが充実するフロア 下の階はナチュラルな雰囲気とインテリアの「home」がテーマ。上の階とはがらりと趣が変わり、ぬくもりあふれる空間です。ここでのメインは「植物」ではなく、「植物と合わせたい暮らしのアイテム」。植物を日常の暮らしに取り入れたい園芸初心者のためのきっかけづくりの場としての役割も担っています。 季節の切り花も扱っており、この日はたくさんのユーカリが入荷。すっとした香りがあたりに漂っていました。ドライフフラーとしても楽しめる花がメインで、「気軽に一輪からでも買うことができ、切り花で楽しんだ後はドライにして、より長く飾って楽しむことができます。さまざまな形で植物と親しんでもらいたいですね」と生花スタッフの渡邉亜希子さん。花束、リース、スワッグなどの注文も受けています。 「garage」と古くから縁のある遠州織物‘HUIS’の衣類も販売。デザインはもちろん、軽くて動きやすいのが特徴で、スタッフたちも愛用しているとか。 豊橋店から始まり、さらに広げたものが「ギャラリー」です。「garage」と感性の合う作家さんを招いて、植物とアートの空間を発信しています。 屋外スペースでは 苗ものも販売 庭づくり・店舗ディスプレイなどのデザイン・施工も受けている「garage」。ショップおすすめの個性的な植物を、外のデッキエリアで販売しています。ここ数年人気のオージープランツや、それに合わせやすい低木や草花がメイン。屋上庭園のような心地よい空間を作りながら、植物を販売しています。 「クラフトラボ」で受けられるDIYレッスン 「garage」ではDIYの技と楽しみ方を伝えようと、月に3回、木製のアイテムを作るワークショップを開催しています。「カフェのような心地よい空間・クラフトラボで、楽しいレッスンを受けられる」と評判を呼び、大人気。参加は予約制なので、スケジュールをホームページでチェックして。 garageのイチオシアイテム コンパクトで機能性・実用性に優れたワンランク上のホースリール。スタイリッシュなフォルムとカラーも魅力で、出しっぱなしでも絵になるアイテムです。 【コンパクトガーデンリール(garage特別カラーBlack)】 ・ホース10m(写真左):¥9,000+tax ・ホース30m(写真右):¥15,000+tax 植物と暮らしの関わり方を模索し、抜群のセンスと丁寧さが支持されている「garage」。庭づくりや店舗づくり、ウェディングディスプレイなども手掛け、さまざまな人との関わりで得られる新たな感覚を取り込みながら、店舗を進化させています。暮らし丸ごとセンスアップさせたい人が集まるショップ、「garage NAGOYA」。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、名古屋駅から徒歩で約15分。名古屋臨海高速鉄道・あおなみ線「ささしまライブ駅」下車・徒歩約3分。 【GARDEN DATA】 garage NAGOYA 名古屋市中村区平池4-60-12 グローバルゲート3F/4F TEL:052-485-7241 11:00~20:00 第三木曜日(3,4,5月は定休日なし) http://www.garage-garden.com/docs/nagoya.html *愛知県以外の初の店舗「garage YOKOHAMA」は、緊急事態宣言を受け、現在オープン時期を見送っております。正式なオープン日は、ホームページでご確認ください。 garage YOKOHAMA 神奈川県横浜市金沢区白帆5-2 三井アウトレットパーク横浜ベイサイドCブロック2F TEL:045-370-8793 10:00~20:00 年中無休 Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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静岡県
花の庭巡りならここ! 海を望む絶景ガーデン「ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデン」
ミュージアムもガーデンも眼福!年に何度も訪れたい観光スポット 1963年に開園した「伊豆海洋公園」は、もともとハワイ風の南国ムードにあふれるガーデンビーチとして人気のスポットでした。50年以上に及ぶ長い歴史の中で、階段式花壇のオープンや名称変更など、幾度かのリニューアルを変遷。2017年には「ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデン」として、新しい観光スポットとなりました。 「ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデン」の敷地は42,000㎡にも及び、ガーデンとミュージアムをゆっくり散策して40〜60分の規模。城ヶ崎海岸に佇む立地条件は素晴らしく、ダイナミックな断崖絶壁と紺碧の海を園内のどこからでも眺めることができます。四季を通して季節の花々で彩られる楽園さながらの景色に癒やされること間違いありません。 園内にある「ティファニーミュージアム」も見どころ。約120年前に制作されたアンティークティファニーのステンドグラスランプやウィンドウパネルなど約70点を展示。ランプシェードの内側やランプベースの縁、パネルに隠し絵のように入っている「TIFFANY STUDIOS NEW YORK」の刻印を確かめたり、貴重なティファニー作品を至近距離で鑑賞できます。 美しいガーデンとミュージアムが一体となった、新しい観光スポットは、早くも年間約5万人が訪れるほどの人気ぶり。来場者からは「外国みたい!」「絶景!」「世界に引けを取らない素晴らしい場所」との声が寄せられています。ガーデンはもちろん、なんとミュージアムでも撮影OK。アンティークドレスのレンタルも行っており、ロケーションを生かした写真撮影も大好評です。ショップやカフェなどの施設も充実しているので、ぜひ出かけてみてはいかがでしょう。 海を見渡せる眺望のよさに癒やされる!四季を通して爛漫と咲く圧巻の花景色も見どころ 3〜5月頃、青い海を背景にマーガレットが咲き誇る景色。クリサンセマム・パルドサム‘ノースポール’と合わせ、合計1,000株を植栽しています。摘心を繰り返して大株に育て、こんもりと茂った草姿を覆うように、花数たっぷりに見事に咲いています。 すらりと花穂を立ち上げて、ダイナミックに咲き誇るルピナスの群植も見応えがありますね。こちらは3〜4月が見頃。同じ時期にはリナリア、クリサンセマム・ムルチコーレなどが、敷地いっぱいに広がる花壇をカラフルな花色で彩ります。 園内の「あじさい苑」は特筆もので、見頃は6月初旬〜中旬頃。もともと城ヶ崎海岸付近はアジサイの改良種の交配親となった‘城ヶ崎’、‘伊豆の華’などのふるさとで、アジサイの変異が多いエリアです。地域性を生かし、「ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデン」ではアジサイの品種を200種以上コレクション。日本原種のヤマアジサイ、アナベルを中心としたアメリカアジサイ、華やかな改良品種などにエリア分けして植栽しており、バラエティー豊かなアジサイの表情を楽しめます。 こちらは7〜8月のポーチュラカが群生する景色。草丈が低く、這うように広がる性質を生かして、華やかな花の絨毯に仕立てています。写真は3,000株が植栽されたシーズンの様子ですが、2020年はヒマワリ「サンフィニティ」を追加する予定。夏らしい景色を楽しめそうです! 植栽の工夫により冬も見どころたっぷり!1月から桜やチューリップが満開に 1月上旬〜2月上旬には、‘寒桜’が見頃になります。寒緋桜と山桜の交配種で、1973年より植栽が始まり、現在では約100本が早春の城ヶ崎海岸をピンクに染め上げます。花色はソメイヨシノよりもややピンクの色味が濃く、より華やかなのが特徴。一足先に春の足音を感じられます。 1月初旬頃には、冬に開花するように調整され、開花期間が長いのが魅力のアイスチューリップが、見応えのある景色をつくります。エントランス付近の海を見渡せる花壇約1,000㎡に、2019-2020冬期シーズンは‘ダイナスティ’、‘ファーストクラス’、‘ハクウン’、‘リンファンダマーク’、‘オスカー’、‘イエローフライト’、‘ピンクツイスト’、‘フラッシュポイント’、‘ダブルプリンセス’などを植栽。約3,600球が華やかに咲き競います。 ミュージアム、ショップ、カフェが充実観光スポットとして大満足のラインナップ 「ティファニーミュージアム」に展示されているアンティークティファニーの作品群は、植物や昆虫などをモチーフにしたものが多いのが特徴です。シーズンにより、スイセン、チューリップ、モクレン、ナスタチウム、バラなど、展示品のモチーフとなっている植物をガーデンにも植栽するなどの工夫もしています。 館内には、「アンティーク&ショップ さくらさくら」があり、ショッピングも楽しめます。雑貨、アンティーク小物、菓子類、伊豆のお土産など豊富なラインナップで、特におすすめは、オリジナルトートバッグ1,410円、モザイクアロマランプ(コンセント型)2,180円。レンタルドレスコーナーもあるので、変身して撮影会を満喫するのもいいですね。 「ミュージアム別館」には、ステンドグラスランプやアンティーク家具が並ぶカフェがあり、客席数は41席。厳選した豆を使用したコーヒー、原料にこだわったオーガニック紅茶、エディブルフラワー(食べられる花)を使用した手づくりスイーツやプレッツェルのランチなどが楽しめます。 写真はランチメニューの「プレッツェル スモークサーモンとソーセージ〜甘酸っぱいバルサミコソースとともに」スープ、コーヒーまたは紅茶、プチデザートのセット1,680円(単品は1,080円)。他にもランチはプレッツェルとローストビーフとソーセージのセット、パスタセットなどがあり、アップルパイやチーズケーキ、デザート盛り合わせなど、スイーツも充実しています。 城ヶ崎海岸や伊豆大島を望む、オーシャンビューが楽しめるテラス席は、25席。こちらはペット同伴OKです。天候の悪い日以外は、年間を通してテラス席を開設しています。絶景を前に、ランチやデザートも一層おいしくなりそうですね。また、アンティークティファニーの作品を見ながらくつろげる室内席にも「ペット連れ優先席」があります。ペットキャリーやペットカート(カバーを閉めること)で利用可能です。 Information ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデン 所在地:静岡県伊東市富戸841-1TEL:0557-51-1128 ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデン アクセス:電車/熱海駅よりJR伊東線で伊東駅へ、伊東駅から伊豆急行線に乗り換え、伊豆高原駅にて下車 伊豆高原駅から東海バスで約9分、またはタクシーで約7分 伊豆海洋公園バス停すぐ前車/東名高速道路、厚木ICより小田原厚木道路・国道135号線経由で約85km オープン期間:通年 休園日:なし 営業時間: 9:00~17:00(3~10月)、9:00~16:00(11~2月)※最終入園は閉園30分前まで 料金:大人(中学生以上)1,200円、小学生600円、幼児無料 ※小学生以下のお子様は要保護者同伴※お得な年間パスポート発売中 有効期限:販売日より1年間 価格:3,600円(シニア割引、福祉割引あり) 駐車場/300台、入園者は無料、入園しない場合は普通車700円