色彩美を表現する印象派庭園を一度は見ておきたい「浜名湖ガーデンパーク」
四季がはっきり変化する日本には、豊かな自然と幅広い植物群、そして花を美しく咲かせる技術力があり海外からも注目される花の名所がたくさんあります。その一つが静岡県の浜名湖ガーデンパーク。2024年には浜名湖花博20周年記念事業として、「浜名湖花博2024」が開催され、一部のガーデンがリニューアルされるなど、多くの人が花と緑を存分に楽しめる都市公園です。
目次
浜名湖ガーデンパークとは
2004年に開催された浜名湖花博の会場跡地を再整備し、2005年にオープンした「浜名湖ガーデンパーク」。20周年を記念し、2024年4月6日から6月2日の期間、「浜名湖花博2024」が開催されました。イベント期間中は、浜名湖ガーデンパークの水辺の景観を充実させるため、「心安らぐ水辺の風景」をテーマに、フラワーガーデンコンテストが開催されたほか、西側エリアにある「ユニバーサルガーデン」は「かたくり工房」によりリデザイン&施工されるなど、花と緑を楽しむ都市公園として進化しています。
浜名湖の景観を生かし、楽しいレクリエーションの場として古今東西の庭文化を表現することがこの公園のコンセプトで、入場無料なのも嬉しいところです。56万㎡にも及ぶ敷地は、「西側エリア」、「街のエリア」、「里のエリア」に区分され、特に花壇や美しい庭園を持つのが「里のエリア」内の「花の美術館」、「百華園」、「国際庭園」、「花木園」です。早春から冬まで四季を通してうまく草花や花木による開花リレーをつないでいるため、いつでも見ごたえがあり、年間130万人が訪れる人気のフラワースポットです。訪れた方々からは「素敵な花をたくさん見ることができて心が癒やされました」「散歩がとてもしやすかった、芝生がきれい」などの感想が寄せられています。園内は2時間くらいで周遊でき、お弁当や飲み物の持ち込み可。ペットの同伴もOKです。
一番の見せ場は「印象派庭園 花美の庭」
光り輝くような色彩美に優れた庭園
浜名湖花博でつくられた「花の美術館 モネの庭」を再整備し、2005年に披露されたのが「印象派庭園 花美の庭」。印象派の画家、モネが愛したフランス、ジベルニーの自邸の庭を模してつくられた庭を、15年かけて進化させた芸術的な庭園です。広い園内は、整形式フランス庭園の「花の庭」と回遊式日本庭園の「水の庭」で構成。写真はバラのアーチを連ねたシーンで、色彩豊かに空間を彩っています。「花の庭」では、約300品種、500株のバラが見られます。
「花の庭」の各花壇エリアでは、モネの時代に表現できなかった多彩な色彩の花々、優美なフォルムを持つ植物を用いて、現代的な印象派の庭園をつくりだしています。朝の透明感ある爽やかな光を表現する「朝陽の花壇」、太陽が沈んで茜色へと移りゆく色彩を表現した「夕陽の花壇」、すべての色が溶け合いグレーに変わってゆく「薄暮の花壇」など、「光」をテーマにした情感あふれる植栽が見どころです。
春はネモフィラ、夏はヒマワリ、秋はコスモス
群稙で魅せるフラワーカーペット
「浜名湖ガーデンパーク」内の「花ひろば」では、メインの花壇として季節によって草花を入れ替えて群植し、ダイナミックな景色をつくっています。春に彩るのはネモフィラで、4月頃が見頃。3,000㎡に約30万本が植栽され、青いカーペットのように一面を埋め尽くします。
「花ひろば」の夏を盛り上げるのは、なんといってもヒマワリ。‘サンマリノ’一品種のみが約4万本植栽されています。‘サンマリノ’は草丈160〜170㎝、ちょうど人の背丈くらいで咲く、写真映えのする品種です。大輪で華やかな表情のヒマワリを背景に、ぜひ記念写真を撮りましょう。
秋に「花ひろば」で華やぐのは、コスモス。品種は‘ドワーフセンセーション’で、濃いピンク〜淡いピンク、白の花色をミックスして、約40万本も群植しています。見頃は10月で、レジャーにぴったりの清々しい季節ですから、ぜひ足を運んでください。
12月中旬〜2月は、「里のエリア」にある百華園のシクラメンが見頃に。写真は「青いシクラメンの小径」で、青みが強い紫色のシックな品種‘アロマブルー’と‘ライラックフリル’を約1,000株植栽しています。花が少なくなる真冬に、これほどの花でいっぱいの景色が見られるのは嬉しいですね。
遊覧船クルーズ&展望塔も利用してみよう
「浜名湖ガーデンパーク」では、遊覧船クルーズが15〜20分間隔で運航しています。見頃の花や庭園のガイドがあり、10分かけて水路を進みます。料金は大人が片道600円(往復1,000円)、子ども(3歳〜小学生)が300円(往復500円)。公園中央を東西に水路をクルーズするため、園内からは見られない景色や花を楽しむことができます。車椅子やベビーカーの使用可、ペット同伴の乗船もOKです。
「浜名湖ガーデンパーク」のほぼ中央に、ガーデンパーク全景を一望できる高さ50mの展望塔があります。料金は1人1回のみで一般・高校生300円、小・中学生100円、高齢者(70歳以上)・障がい者200円。利用時間は9:00〜16:30(9〜5月)、9:00〜17:00(6〜9月)。
展望室の壁面はガラス張りになっており、公園内はもとより、美しい浜名湖まで見渡せます。展望台の一部には屋根のない場所があり、屋外の風を感じることもできます。東西南北、四方を一望できる見晴らしのよい景色を楽しみましょう。
2018年7月に、新しく食事処「のたね」がオープンしました。営業時間は10:00〜16:00、客席数は36席あります。オススメメニューは、通年食べられるうなぎ丼(1,600円)、春〜夏期間限定の鱧かば丼(1,200円)・釜揚げシラス丼800円、秋〜冬期間限定の牡蠣かば丼(1,200円)。ほかにコーヒー、生姜湯、梅ジュース(各200円)、生姜湯200円などのソフトドリンク、ソフトアイスクリーム350円、ジャム氷300円などもあります。
写真はうなぎ丼ミニ(1,000円)。地元の名物を良心的な値段で食べられます。
鱧かば丼ミニ(800円)。春から夏の旬の味を楽しめます。
Information
浜名湖ガーデンパーク
所在地:静岡県浜松市西区村櫛町5475-1
TEL:053-488-1500
http://hamanako-gardenpark.jp/
アクセス:車/東名高速浜松西I.C.から車で約25分、浜名バイパス坪井ICより約15分
バス/JR浜松駅よりバス約60分
オープン期間:通年
休園日:年末年始(12月29日~1月3日)
営業時間:8:30〜17:00
料金:無料
駐車場:1,800台 (無料)
Credit
取材&文 / 長田節子 - ライター/エディター -
おさだ・せつこ/ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。
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