ひと口に園芸店といっても、今やさまざまなスタイルのショップがあります。それぞれの個性が色濃く反映されたこだわりの空間は、ガーデニングのセンスを磨ける最高の場所。今回は、地域の人々の憩いの場「開花園」を訪ねました。

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お客さまを裏切らないための努力が
随所から伝わるショップ

福井市中心部から車で10分ほど走らせた、広々地した区画中エリアに位置する「開花園」。道路に面した横長のショップは、車中からでも色とりどりの風景が楽しめます。

福井「開花園」

開花園は、「特別な記念日やプレゼントだけでなく、日々の暮らしに気軽に花を取り入れてもらいたい」という思いからオープンしたショップ。2021年で40年ほど経ちますが、いまだオーナーの三国哲弘さんの当初からの思いを強く感じることができます。

福井「開花園」
ゲートをくぐると、木製やアイアンの花台で立体的にしつらえられた鉢植えコーナーが。南欧風のウォールにしっくりなじむよう、テラコッタが用いられているのがポイント。楽しいコーディネートに、この先への期待感がぐっと高まる。
福井「開花園」

奥行きのある花苗売り場には、花壇・寄せ植えにおすすめのたくさんのポット苗がずらり。「お客さまの信頼を裏切らないため、『品質・鮮度・産地』にこだわっています。植物にも人間同様に個性があるので、国内外問わず生産者の元まで訪れ、育てている環境や想いを聞き、学ぶようにしています」と三国さん。

福井「開花園」
選びやすいように設けられたひな壇状の棚に、ナチュラルな寄せ植えが並ぶ。

都会のショーウィンドウのような
飽きの来ないコーディネートも魅力

ショップの雰囲気作りも、随所にこだわりがたくさん。ショップ建物や什器は、三国さんがデザインしています。かつて石川県のフラワーデザイン・冠婚葬祭の装飾に携わっていただけに、ディスプレイはお手のもの。開店して約17年経ちますが、大掛かりなリニューアルを9回も重ねており、日々磨いている感性や知識をその都度反映させています。

福井「開花園」苗売り場

細長い敷地の奥のほうには多肉植物や低木などの売り場があります。頭上からタープで覆われつつグリーンが下がり、囲まれ感がたっぷり。心地よい気分でショッピングが楽しめます。

福井「開花園」多肉
左/リング型のコンテナを使った、多肉植物のリースの寄せ植え。
右/強い日差しと乾燥に弱いコケやシダ類は、日陰に置いたスタンドで瑞々しさをキープ。

建物内はインドアグリーンや雑貨、切り花の売り場。「開花園」ではインドアの普及に取り組んでおり、品数だけでなく珍しい植物も揃っています。

福井「開花園」

「日本やヨーロッパでは鬱になる人が多いですが、途上国などは貧しくても鬱になる人は少ないんですよ。それは、途上国との違いは自然が多いことと、過ごす空間が広いことから。冬も長くて空間が狭いイギリスでは、環境によるストレスを改善するために、国を挙げてガーデニングに力を入れたんですよ」と三国さん。

福井「開花園」
細い通路脇にはさまざまな観葉植物が生い茂る。そんな中から、お宝を見つけるような感覚で買い物ができる。

日照時間が少なく、降水量はトップ3に入る福井県。「だから観葉植物を部屋に置いて、心に潤いを与えることがとても大切」と考える三国さんは、インドアグリーンの普及に力を入れているのです。

福井「開花園」

開花園では、日々の生活に癒やしを取り入れるために、緑を置くことに併せて‘五感を刺激すること’を積極的に提案しています。水槽に注ぐ水が澄んだ音色を響かせています。

福井「開花園」
男性に人気のバルダリウムも充実。水槽内のそれぞれの風景は、眺めているだけでも癒やされる。
福井「開花園」

もう一つのモットーがワクワク感のある店づくり。ディズニーランドのような高揚感を演出したい! と、細長い店舗内を上手に区切って雰囲気を変え、次々に新鮮な空間を展開しています。

福井「開花園」の観葉植物
たくさん並ぶ尺鉢の観葉植物におすすめの大型コンテナも多数用意。さまざまなスタイルのコンテナが揃っている。

開花園の前身はお父様が始められたショッピングモール内の切り花店。実家を継いだ三国さんは数年で売り上げを大きく伸ばしました。大きな理由は、‘今まで以上に声掛けをすること’と‘分かりやすいポップをつけること’に力を入れたこと。ときどき都会に刺激をもらいに出かける三国さんは、都内・デパ地下での威勢のよい声掛けを目の当たりにしたり、八百屋のポップの数字の見やすさに感心したりすることが、自身の店の改善につながりました。日々、あらゆることに意識しながら過ごす向上心が、数字として表れたのです。

福井「開花園」
インテリアの参考になるディスプレイも見どころ。棚の使い方やグリーンの配し方が分かる。

店のディスプレイもこまめにチェンジ。1カ月後に訪れると違う風景が楽しめるそう。「店舗はいつも一緒じゃつまらないよね。表参道なんかのハイブランドなんて、数週間単位でウィンドウのディスプレイが変わるもん。いつ歩いても楽しいよね、表参道って」。

福井「開花園」
右/グリーンの中に下げられた、ミントグリーンの鳥カゴ。フランスのエッセンスが香るベトナムのような雰囲気漂うコーナー。
中/カフェのボードのようなおしゃれな黒いプレート。これがあると空間がぐっと引き締まる。
右/キャンピングカーの形をした、クールな収納ボックス足元の暗い場所を楽しく演出。

常にお客様目線でていねいに。
立ち寄りやすいショップを目指して

ショップ前のウォールもいつも花できれいに彩られています。用がなくても、また年配の方も入りやすいように、「身近感」を大切にしています。

福井「開花園」

ショッピングモールから今の場所へ移転し、何もない土地からスタートした「開花園」。おかれた時代に合わせて日々変化し、それに付随するものを提供するために店舗の敷地を拡張。あらゆる面で年々パワーアップを図っています。

福井「開花園」
左/つるバラの足元を彩る花壇の季節の草花。 右/入口付近に下げられた鳥カゴ風の大きなオーナメント。空間のアクセントになっている。
福井「開花園」
切り花の売り場では、華やかな花から大きな枝ものまで並ぶ豊富な品揃え。あらゆるシーンに応えてくれる。

開花園・三国哲弘さんイチオシはコレ!
開花園YouTubeチャンネル

福井「開花園」 福井「開花園」

おすすめの季節の植物とその簡単なポイントは店内の掲示板でお知らせしていますが(左)、もっと具体的なことは、インスタグラムやフェイスブックやYouTubeでご紹介しています。特におすすめなのは「開花園」のYouTubeチャンネル。三国さんが植物の育て方や魅力をていねいに紹介しています。旬を迎えた人気花のQRコードは、掲示板に紹介されています(右)。来店の際にぜひご活用下さい。

福井「開花園」
レジの上に吊るされた、たくさんのドライフラワーのディスプレイ。お会計を待っている間も眺めて楽しめる工夫が施されている。

「お客さんの反応や頂いた評価は店の現状。いつもお客さん目線で、‘豊富な品揃え、きれい、ていねいな接客’を心かけています」と三国さん。地域の人々に癒やしの場を提供するべく、品揃えだけでなく五感で楽しめる楽しい空間作りに力を入れています。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、北陸自動車道・福井北ICから車で約5分。

【GARDEN DATA】

開花園

福井県福井市高柳町1-808
TEL :0776-53-8739
営業時間:10:00~18:00
定休日:火曜日 https://kaikaen.com/

Credit

写真&文/井上園子
ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。

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