日本で唯一「山野草」専門の花市場があるほど、美しい野の花にあふれる長野県諏訪郡富士見町。長野県と山梨県の県境に位置し、冷涼な気候を生かして数多くの種苗メーカーや農家がこの地で花や野菜を生産しています。150種を越える野の花が見られる富士見パノラマリゾートなど、知る人ぞ知る花の宝庫を堪能するこの夏おすすめの花旅をご案内。

Print Friendly, PDF & Email

150種類の山野草が咲き継ぐ富士見パノラマリゾート

夏の入笠山はまるで‘野の花ガーデン’

富士見パノラマリゾート

澄んだ黄色の花を咲かせるユウスゲに、濃いピンクの花をふわふわと咲かせるシモツケ、丸い紅紫色の花が愛らしいノアザミ、渡りをする蝶として知られるアサギマダラを呼び寄せるヒヨドリバナ…。色とりどりの野の花が入り混じり、雄大な八ヶ岳を背景に野の花ガーデンのような美しい花景色を展開するこの場所は、標高1,955mの入笠山(にゅうかさやま)にある富士見パノラマリゾートです。

ゴンドラで10分! 高山植物や湿原植物に手軽に出会える

富士見パノラマリゾート

入笠山は南アルプスの一部ですが、他の山地に見られる険しい頂や深い渓谷といった厳しさはなく、ゴンドラで山頂付近へ約10分で行けるため登山初心者の入門編としても人気。ゴンドラ山頂駅付近は真夏の日盛りでも24℃程度と涼しく、下界のうだるような暑さを忘れさせてくれます。山野草が見られるスポットは主に3カ所ありますが、最も手軽なのはゴンドラ山頂駅すぐ隣の「入笠すずらん山野草公園」。春から秋まで約150種類の山野草が咲き継ぐ花の宝庫です。

アサギマダラ

夏はシモツケやユウスゲ、コオニユリ、ヤマユリ、ヤマホタルブクロ、カワラナデシコ、ノハナショウブなどが咲き乱れます。白いふわふわとしたヒヨドリバナは、渡りをするアサギマダラや葉っぱに擬態するスジボソヤマキチョウなど、珍しい蝶たちを呼び寄せ、昆虫観察も楽しめます。

ヒヨドリバナ
左はヒヨドリバナの蜜を吸うスジボソヤマキチョウ。右上はフシグロセンノウ、右下はコオニユリやシモツケ。

ペット同伴もOK! 愛犬と一緒に花散策を楽しもう

富士見パノラマリゾート

富士見パノラマリゾートはペット連れもOKなので、愛犬と一緒に散策を楽しむことができます。標高1,800mの場所にあるマナスル山荘は愛犬との宿泊もできます。リードは着用し、トイレマナーを徹底して貴重な草花の保護に飼い主さんも積極的に協力しましょう。服装は普段着で大丈夫ですが、高低差があるので滑りにくい運動靴やトレッキングシューズが安心。山の上は気温が低く、紫外線も強いので帽子と長袖の上着は必携です。

花の群落が圧巻の入笠湿原と登山口の花畑

サワギキョウの群落
サワギキョウの群落。

ゴンドラ山頂駅から約10分歩くと、標高1,734m、約1.85ヘクタールの入笠湿原が広がっています。ここは富士見町の人々によって湿原や草原の立ち入りを防止する柵の設置や木道が整備され、多くの草花を増やすことに成功し、エンビセンノウなどの希少種も生育しています。とりわけ春の日本スズランの大群落は圧巻。湿原へ降りていく斜面に約100万本の日本スズランが咲き、その甘く澄んだ香りが辺り一面漂い、香水瓶の中にでもいるような気分です。夏はチダケサシやツリフネソウ、クサレダマ、マツムシソウ、クガイソウ、サワギキョウの群落が湿原を豊かに彩ります。

クサレダマ
マメ科のレダマという花色に似ていることからその名がついたクサレダマ。
富士見パノラマリゾート
湿原の出入り口付近にある食堂「山彦荘」。歩き疲れた身体に甘酒がおいしい。ここで登山証明がもらえるので、ぜひ記念に。
群生するマツムシソウとワレモコウ
群生するマツムシソウとワレモコウ。
チダケサシとワレモコウ
チダケサシとワレモコウの花畑。

湿原の先には入笠山山頂への登山口があり、その周辺にも花畑が広がっています。ここではチダケサシやワレモコウ、コオニユリ、ハクサンフウロ、キバナノヤマオダマキ、クガイソウなどが見られます。ここから入笠山山頂へは片道30〜40分ほど。体力に余裕があればぜひ。山頂からはアルプスの山々が360度の大パノラマで広がる絶景が楽しめます。

入笠山登山口
入笠山登山口に広がる花畑。

散策後のうれしいお土産&楽しいお買い物

富士見パノラマリゾート
売店の山野草コーナー。山で咲く山野草を販売している。

ゴンドラ山麓駅の売店では、入笠山に咲く山野草や富士見町特産物のルバーブ、富士見パノラマリゾート自社農場で栽培する夏イチゴなども期間限定で売られているので、お見逃しなく。

富士見町特産の赤いルバーブ
富士見町特産の赤いルバーブ。ルバーブソフトは山頂カフェで。

Information

富士見パノラマリゾート

住所:長野県諏訪郡富士見町富士見6666-703

TEL:0266-62-5666

グリーンシーズン営業期間:2022年4月23日(土)〜2022年11月13日(日)

ゴンドラ営業時間:
4〜9月/8:30〜16:00(下り最終16:30)
10月〜/8:30〜15:30(下り最終16:00)
※5/21〜6/19、7/16〜8/15はAM8:00より運行

園芸ファンをワクワクさせる植物、おしゃれな雑貨が見つかるショップ「やつデポ!」

ガーデニング愛好家が厚い信頼をおくショップ

やつデポ
アストランティアやペンステモンなど人気のガーデンフラワーが揃う。

富士見町とその周辺の八ヶ岳エリアは、冷涼な気候と80%以上という高い晴天率のため、多くの種苗メーカーや生産農家が集まる花や野菜の大生産地。「やつデポ!(八ヶ岳ボタニカルラボ)」はそんな地元の生産者の自慢の一品やクラフト品を集めたアンテナショップです。代表の吉野唯史さん自身もミニトマトとサツマイモの生産農家で、生産者同士の人脈を生かし、富士見町の山野草や一年草、宿根草、花木、多肉植物、野菜苗のほか、生産者が試作研究中のレア品種も入荷します。花色の発色がよい良苗が揃い、生産者直々の栽培のコツなども教えてもらえるとあり、地域外から訪れるガーデニング愛好家も少なくありません。そうしたお客様の中にはガーデニングを目的に移住を考える人もおり、「やつデポ!」では町外からの移住希望者の相談も受付けています。

希少な高級果実フィンガーライムも品種多数

やつデポ!
左は鉢植えで育てやすいマイヤーレモン。右は高級果実のフィンガーライム。

「やつデポ!」は、日本ではまだ珍しい高級果実フィンガーライムの正規販売店でもあり、さまざまな品種を扱っています。フィンガーライムはオーストラリア原産の柑橘類で、粒状のプチプチとした果肉の様子からキャビアライムとも呼ばれます。過去に、輸入時の苗の品種誤記による混乱があったことから、近年日本ではフィンガーライムの価値と品質を保護するための「フィンガーライムジャパン」が設立され、同社ではオーストラリアの生産者から直輸入した苗を日本で果実を収穫、品種の確定をしたうえで「やつデポ!」などの正規販売店を通して苗を販売しています。フィンガーライムの他にも、「やつデポ!」では鉢植えで育てやすいマイヤーレモンなどユニークな柑橘を扱っており、園芸好きをワクワクさせてくれるさまざまな新しい植物と出会えます。

フレグランス
入笠湿原の100万本のスズランをイメージしたフレグランス「Fujimi Flower Fragranceミュゲ」など、スズランをモチーフにしたクラフトも多く揃います。
やつデポ!

Information

「やつデポ!(八ヶ岳ボタニカルラボ)」

住所:長野県諏訪郡富士見町富士見3292

TEL:0551-45-6154

営業:平日10:00-15:00 土日祝10:00-17:00
(月曜・火曜定休日)

https://yatsudepot.thebase.in/

 

収穫体験や工場見学、本格イタリアンなど楽しみ満載の「カゴメ野菜生活ファーム富士見」

夏休みの自由研究にもおすすめの工場見学

「カゴメ野菜生活ファーム富士見」は富士見町とカゴメの協働から誕生した野菜のテーマパーク。「カゴメ野菜生活100」の主力工場として稼働する「カゴメ富士見工場」の工場見学(要予約)や旬の野菜の収穫体験などができます。2022年からはAR技術を活用し、広大な畑での収穫風景や生産ラインを間近に見られるほか、収穫から出荷まで関わる多くの社員がAR動画を通して現場の声を届けてくれます。身近な飲み物が畑から食卓へ届くまでの過程や苦労、工夫について現場のリアルな声を通して知ることができ、食育効果も絶大。夏休みの自由研究にも充実した資料を提供してくれそうです。

楽しい収穫体験と本格イタリアンを堪能

ファーム内の農場では、八ヶ岳山麓の冷涼な気候を活かして栽培された旬の野菜の収穫を体験することができます。8月からは完熟トマトや甘いトウモロコシなどが収穫でき、持ち帰りもOK! また、地元の旬の野菜・食材やイタリア産の食材を使用した本格イタリアンレストランも大人気。薪窯で焼いたナポリピッツアや「カゴメ野菜ただし®」を使用したヘルシーなメニューは、子どもから大人までおいしく楽しめます。

Information

「カゴメ野菜生活ファーム富士見」

住所:長野県諏訪郡富士見町富士見9275-1

TEL:0266-78-3935

営業: 10:30~16:00(火曜定休)※12月中旬~翌年3月下旬まで冬季休業(予定)※臨時休館日があるため、HPをご確認ください。

※カゴメファクトリーツアー(工場見学)はHPより事前予約が必要です。

https://www.kagome.co.jp/ysfarm/

 

東京からも近い!信州富士見町までのアクセス

富士見町までは車で東京八王子から約90分。電車では中央東線特急あずさで新宿駅から富士見駅まで135分。名古屋からは車で約150分。電車では中央東線で約160分。夏の小旅行にぴったりの距離感です。富士見駅から富士見パノラマリゾートまでは10時に無料シャトルバスが運行しており、約10分でつきます。ご紹介したスポット間の距離は以下をご参考に。東京や名古屋からのアクセスもよく、素敵な花との出会いやさまざまな新鮮体験ができる富士見町。家族や友人、恋人との楽しい夏の思い出づくりにおすすめです。

  • 富士見パノラマリゾート↔︎カゴメ野菜生活ファーム/車で3〜4分・徒歩20分前後
  • カゴメ野菜生活ファーム↔︎やつデポ!/車で3〜4分・徒歩20分前後

Credit

写真協力/富士見パノラマリゾート、カゴメ野菜生活ファーム

撮影・原稿/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

Print Friendly, PDF & Email