素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪32 新潟「グリーンランド エデン」

ひと口に園芸店といっても、今やさまざまなスタイルのショップがあります。それぞれの個性が色濃く反映されたこだわりの空間は、ガーデニングのセンスを磨ける最高の場所。今回は、おしゃれな庭づくりを応援する「グリーンランド エデン」を訪ねました。
目次
園芸の裾野を広げるべく
安心して育てられる苗を販売
エクステリアや庭づくりの設計・施工を請ける「グリーンランド エデン」。大きな看板はないものの、瑞々しい植物が囲むモダンな事務所兼ショップが目印です。

「グリーンランド エデン」は、約8年前にこの地にオープンした総合園芸ショップです。以前は、北陸自動車道新潟亀田ICのすぐ横に35年間店を構えていましたが、付近の整備に伴い3kmほど南に移転しました。

店名は創始者で前社長の大橋保男さんの「皆が楽しく暮らせる理想郷・ユートピア・エデンの園をつくろう」という思いからつけられました。1968年当時、世界で一番の国・アメリカ合衆国を見たいという思いでカリフォルニア州に渡り、農業研修生として学んだことを注ぎ込みました。その名の通り、花いっぱいのおだやかな空間が広がっています。

広い敷地の一番奥に設けられたハウスは、色とりどりの花苗や鉢が並ぶ売り場。中央に設えた大きなトンネル状のアーチが空間に立体感とメリハリをもたらしています。ここにはロベリアやフクシア、シダなど枝垂れるタイプの植物が吊され、彩り豊かなアイストップとなっています。

花苗の新鮮さはもちろんですが、どれもしっかりとした株に育っていることも、このショップの大きなこだわり。「よいものを安く提供する」ためのひと手間を惜しまず、メーカーから仕入れた苗を、30年来提携している農家さんに大きく育ててもらってから、売り場に出しているのです。これならビギナーでも育てやすく、見栄えも抜群です。

ショップにはハンギングバスケットマスターなどが在籍、常に花に携わる仲間たちと園芸の裾野を広げることを強く意識し、イベントやワークショップなどの活動に積極的に参加しています。モダンな建物の中では、寄せ植えをはじめとした講座を月2回(1、2月は除く)開催、冷暖房完備の中で快適に学ぶことができます。寄せ植え講座は、材料を店側が用意するだけでなく、自身で選ぶことも可能。参加者のレベルに合わせて受講することができるので安心です。


ナチュラルな雰囲気の寄せ植えも多数並んでいます。売り場の奥には、近隣の企業やショップから依頼された寄せ植えがたくさん。もちろん、要望を伝えれば予算に合わせて作ってくれます。

中/企業のエントランスを飾るための寄せ植え。台車に載せられ、出荷準備万端。
右/ブリキのバケツに植えた多肉のアレンジも素敵。

庭づくりの専門家がおすすめの
リーフや実が楽しめる樹木がたくさん
庭の工事を請けているショップだけに、草花だけでなく樹木の品揃えが非常に豊富。大きく育つ黄金ニセアカシア‘フリーシア’を中心に、おしゃれで人気の樹種がずらりと並んでいます。樹木のプロも3人在籍しているので、大きさや育ち方、庭への取り入れ方など、分からない時はぜひ相談してみて。

ショップで今人気なのは、鉢で気軽に楽しめるオリーブやブルーベリー。そのほか、銅葉や斑入り葉、オーレア葉などの人気品種や、手に入りにくい希少種も揃えています。それぞれに大きな名札がついているので選びやすく、眺めているだけで勉強になります。
小さな農場のような売り場で見つけた
素敵な樹木をご紹介!

左/斑入りコナラ:ブナ科・落葉高木。人気が高い秋にドングリをつける雑木の斑入り種。
中/斑入りリョウブ:リョウブ科・落葉中高木。夏に細長い花穂に白花をたくさん咲かせ、秋に小さな実をつける。
右/ヤマボウシ‘ウルフアイ’:ミズキ科・落葉高木。葉焼けしにくい斑入り種で、比較的コンパクトな樹形におさまる。

左/クロハトベラ:トベラ科・常緑低木。さわやかな斑入り葉と黒い茎の対比が美しいピットスポルマム。
中/シマグミ:グミ科・常緑低木。銀色がかった葉が魅力の、まだ流通が少ないグミ。初夏に白花を咲かせる。
右/コプロスマ‘サンスプラッシュ’:アカネ科・常緑低木。繊細な枝ぶりで、黄覆輪の小さい葉が密集する。

アメリカハナズオウ:マメ科・落葉中木。春に開花する。写真の品種は下記の通り。
左/‘メルロー’:厚みと光沢のある紫色の葉と、赤紫色の花が美しい品種。‘フォレストパンシー’よりまとまりよく成長する。
中/‘ハートオブゴールド’:出葉時のライムグリーンの明るく美しい葉は、強光下でも葉焼けしにくい。花はピンク色。
右/‘シルバークラウド’ :淡ピンクから白い斑入りに移ろう美しい葉は、強光で葉焼けしやすい。花は淡ピンク色。

ヨーロッパナラ:ブナ科・落葉高木。カシワのような形の葉をつけ、秋にドングリがなる。写真の品種は下記の通り。
左/ ‘コンコルディア’: 春の鮮やかな黄色はじつに見事。黄色い葉は盛夏を過ぎる頃になると緑色に変わって、再び秋に黄葉する。
中/クリスタータ:品種名は丸まって展開する葉が「鶏のとさか」に似ていることから名付けられた。大きなドングリも魅力的。
右/‘アルゲンティオ マルギナータ’:やや青みがかる葉に白い斑が入る。ドングリにも斑が入り、緑と白のきれいな縦縞模様になる。

左/アロニア:バラ科・落葉低木。チョコレートベリーとも呼ばれ、春に薄紅色の小花を房状に咲かせ、秋には赤や黒の果実をつける。
中/ブルーベリー‘チャンドラー’:ツツジ科・落葉低木。ブルーベリーの中では最大サイズを誇り、成熟期初期は500円玉ほどの大きさの実をつける。
右/西洋ニンジンボク:シソ科・落葉低木。初夏に薄紫または白色の芳香のある花を咲かせる。葉は5~9枚の掌状になり、香りがある。

左/ヨーロッパブナ‘パープルファウンテン’: 枝垂れるブナで紫葉の人気品種。新葉は紫赤色で、夏にはやや緑がかり、秋は茶色になる。
中/レイランディ‘ネイラーズブルー’:ヒノキ科・常緑高木。広円錐形から円柱形に成長するコニファー。萌芽力が強いのでトピアリーにも。
右/アカシア‘ブルーブッシュ’ :マメ科・常緑中木。青灰色の葉と黄色い花が魅力のアカシア。生育が早く、樹形はブッシュ状になる。
お手頃なサイズと値段の
インテリア関連も充実
建物内はインドアグリーンと雑貨売り場。天井が高い店内には、大小さまざまな種類のグリーンがおしゃれな雑貨とひしめき合うほどに並べられており、選ぶ楽しさ満載です。お手入れにおすすめのガーデンツールも多様に揃っています。

コンテナや雑貨類と合わせたおしゃれなディスプレイも必見。棚やスタンドを巧みに使い、それほど大きくないグリーンも、空間につややかな潤いを与えています。


右/コンパクトなグリーンは、ウッドボックスを積んだ棚にディスプレイ。

インテリアで存在感を発揮する、大型の雑貨類もたくさん。鏡を用いることで部屋を広く見せつつ、大きめのガラスの花瓶とともに透明感のある輝きをもたらしています。

品質本位にこだわり、地域に根差すことを大切にしている園芸店「グリーンランド エデン」。たくさんの生産者がいる新潟・園芸産地としてガーデニングの活性化に力を注ぎ、園芸に携わる人の雇用アップにつなげる努力を続けています。また庭づくりのプロが「どこからどのように始めればいいの?」といった初心者さんの疑問にも丁寧に答えてくれます。ぜひ訪れてみてください。アクセスはJR信越本線亀田駅より徒歩約30分、北陸自動車道新潟亀田ICより車で約10分。
【GARDEN DATA】
グリーンランド エデン
新潟県新潟市江南区泉町5丁目1番3号
TEL 0120-1187-92
営業時間:9時30分~18時30分(1・2月は冬季営業10~18時)
定休日:正月三日間、1・2月のみ毎週水曜日
Credit
写真&文/井上園子
ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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