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植えっぱなしで丈夫に育つ植物のグループ、宿根草(しゅっこんそう)の植え時は、スイセンなどの春咲く球根植物を植える秋がベストシーズンです。球根植物と一緒に植えるとお互いが引き立つ宿根草を「おぎはら植物園」店長の荻原範雄さんに8種ピックアップしていただきます。

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宿根草の植え込みは、春より秋がおすすめ!
球根と一緒に宿根草を植えよう!

花を植える季節といえば、春を思い浮かべる方も多いと思いますが、宿根草はじつは秋に植え付けるのが最適です。庭植えで越冬できる宿根草は、庭で冬越しさせることで場所に馴染み、根がしっかりと張ります。そうすると、翌年に開花するボリューム感が断然アップし、見事に咲くのです。また、寒さはもちろん、暑さにも耐性がつくので、苦手とする夏越しも春植えに比べて成功しやすくなります。

秋は球根を植え付ける時期です。球根植物は庭で寒さに当たることが開花の条件でもありますが、宿根草も同様です。庭での寒さを経験することで、翌年、より多くの花を咲かせることができます。是非、球根植物と宿根草を一緒に植えてみてください。

球根と一緒に植えられる宿根草の中で、同じ時期に咲いて競演が楽しめたり、花後の球根の枯れゆく葉を隠してくれたり、一緒に植えるとメリットがある宿根草を中心にご紹介しましょう。

花の競演が楽しめる!
秋植えの球根植物と同時期に咲く宿根草

冬が終わり、春が始まる頃には、チューリップやスイセンなど、球根の花がたくさん咲き始めます。一般的にはパンジーやビオラ、シバザクラなどが球根の花と一緒に楽しめるのですが、もっと他の種類も咲かせたい! という花愛好家さんからのご要望も多く寄せられています。この早い時期から咲く宿根草は、数は限られていますが、ぜひ活用してほしい種類をピックアップしてご紹介します。これらの宿根草を、秋に球根と同時期に植えておくことで、早春の庭がよりバラエティー豊かに楽しめますよ。

秋植え球根とのコンビが人気!
クリスマスローズ

春のスイセンやチューリップとの組み合わせは、ガーデニングの本場ヨーロッパでは定番です。花が咲く時期が近いため、同時に咲かせて楽しんだり、花後に葉が大きくなり、枯れてくる球根植物の葉を目隠ししてくれる効果もあります。クリスマスローズは、植えっぱなしで株が増えて管理がしやすく、丈夫で育てやすい宿根草としても人気です。

クリスマスローズ
ニゲル

クリスマスローズ
オリエンタリス・ハイブリッド

クリスマスローズ
ニューハイブリッド(アイスブレーカーマキシー)

可憐な小花が球根花の足元を飾る!
早咲きフロックス

シバザクラに代表される早咲きのフロックスは多くの品種があり、球根植物とともに咲かせることができる宿根草です。スイセンやチューリップと植えると、まるでライトアップしたように足元を明るくしてくれます。

フロックス
ストロニフェラ(ツルハナシノブ)

フロックス
‘ムーディ・ブルー’

黄色のスイセンとの組み合わせに最適
這性ベロニカ

ベロニカといえば、初夏に咲く長い穂の花が一般的ですが、カーペット状に広がるタイプもあります。この種類はベロニカの中でも早咲きの「オオイヌノフグリ」の仲間で、早春から紫や青い花を咲かせて、球根の花とともに楽しめます。

這性ベロニカ
‘ウォーターペリーブルー’

這性ベロニカ
‘オックスフォードブルー’

春の球根と相性抜群!
プリムラ

雪解けとともに春を告げるプリムラの中でも、ブルガリスやベリスといった代表的な早咲き品種は秋植え球根と同時期に咲きます。色の異なる種類を組み合わせて、コントラストを楽しんでみてはいかがでしょうか。

プリムラ
ブルガリス(プリムローズ)

プリムラ
ベリス(カウスリップ)

プリムラ
ダブルプリムローズ(ブルガリス系)

花壇の手前に咲かせよう!春に咲く原種
シクラメン・コウム

シクラメンといえば冬の花のイメージがありますが、原種のシクラメン・コウムは早春に咲き、極寒冷地を除いて庭で越冬できる、ガーデン向きの種類です。球根の花と一緒に咲かせることができますが、姿が小さいので球根植物で隠れないように、花壇の手前や球根から少し離して植えるのがコツ。また、小型のシラーやチオノドクサ、スノードロップなどの小球根と合わせて咲かせても可憐でよいものです。

花後の球根の目隠しに!
だんだんと葉が大きく茂る宿根草たち

球根の花がたくさん咲いた後、スイセンやチューリップの葉は休眠に向けて徐々に枯れていきます。あまり見た目がよくないので、切ってしまいたいところですが、実はこの時期、まだ生育を続けており、球根を大きく太らせていますから、葉はなるべく残しておかなくてはいけません。このときに宿根草の葉が大きく茂ってくると、枯れた球根の葉を隠してくれるので、景観をきれいに保てます。秋に球根の近くに、一緒に植えてみてはいかがでしょうか?

大きく茂るリーフが魅力!
ギボウシ(ホスタ)

古くから日本に自生するギボウシは耐寒性、耐暑性に優れ、一度植えれば毎年楽しめます。落葉性で、球根の花が満開の頃から芽が出始めて、球根の葉が枯れる頃に大きく茂ってきます。植えつけるオススメの場所は落葉樹の下。早春は日向で球根がよく咲き、夏には木陰になるのでギボウシの葉がきれいに保てます。ユリやフリージア、アリウムなどが咲くころも、背景や株元に瑞々しい緑が茂って彩りになります。

球根の花とギボウシの芽吹きの頃。

花も葉も楽しめる!
ブルネラ・マクロフィラ

ブルネラ・マクロフィラ‘ルッキング・グラス’。

春に咲くブルネラは、球根の花が終わる頃から入れ替わりで開花して、その後に葉が大きく茂ります。そこまで背が高くならないので、あまり大きな葉は目隠しできませんが、小型の球根植物などと一緒に植えておくとよいでしょう。

ブルネラ・マクロフィラ
‘ジャックフロスト’

ブルネラ・マクロフィラ
‘ダイアンズ ゴールド’

シックな葉色がおしゃれ!
リグラリア・デンタータ

日本にも自生するマルバタケブキというフキの園芸種です。大きな丸い葉がシックでおしゃれな印象のガーデンプランツです。落葉性で早春は球根の邪魔をせず、春の後半から葉が大きく茂り目隠しになります。

リグラリア・デンタータ
‘ブリットマリー クロウフォード’

リグラリア・デンタータ
‘ガーデン コンフェッティ’

秋は来年の春以降の庭をつくるための大切なガーデニングシーズンです。どんな景色になるだろう? と想像を膨らませて、植え込みをぜひ楽しんでください。ここでご紹介したように、球根の花が咲き終わる頃、宿根草の葉が展開し、徐々に育っていく様子を実際目の前で見続けたら、きっとガーデニングの楽しさの秘密を理解できるはず。宿根草を植えて、暮らしに季節を感じるコーナーをつくってみませんか?

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