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広島県

花の庭巡りならここ! 樹齢400年のバオバブを見に行こう「広島市植物公園」
熱帯植物が息づく大充実の温室は必見!屋外庭園も四季折々に見どころ満載 1976年にオープンした、歴史のある「広島市植物公園」。市民の憩いの場を目的に、都市公園として整備されました。敷地は18.3ヘクタールに及び、大人の足でゆっくり歩いて3時間はかかる規模。園内では約1万種類、約20万本の植物を観賞することができます。 冬の時期、特に注目したいのが充実した温室で、「大温室」をはじめ、「サボテン温室」「展示温室」「熱帯スイレン温室」「ベゴニア温室」「フクシア温室」「栽培温室」があり、延べ3,923㎡もの面積。大温室内だけでも約700種類、約5,000株が息づき、生態・生育環境によって4つのコーナーに分けて展示されています。 特筆すべきは、大温室で見られる日本最大のオーストラリアバオバブです。幹の最大直径は約2mに及び、推定樹齢はなんと約400年。2019年8~9月には、導入後初、国内では2例目の開花が見られ、以降毎年8~9月に開花しています。 一方、屋外には「大花壇」「カスケード」「芝生広場」「花の進化園」「日本庭園「樹林観察園」などがあり、エリアごとに見応えのあるシーンをつくっています。春はウメ、サクラ、ツツジ、シャクナゲ、バラ、フジ、夏はハナショウブ、アジサイ、秋はコスモス、秋バラ、菊、落葉樹の紅葉などが見どころに。四季を通して世界の植物を観賞でき、いつ訪れても癒やしのひとときを過ごすことができます。 また、「広島市植物公園」では、園内の植物ガイドや植物の育て方の講習会、クラフトのワークショップなどのイベントを定期的に行っています。2020年2月22日~3月1日は「クリスマスローズ展」と「春の特別ラン展」(大温室他)を開催予定です。 これだけの広い敷地ですから、休憩所のチェックもしておきましょう。園内には「森のcafe」と「森のレストラン」の2店舗がありますよ。「森のcafe」はログハウス風の外観が目印で、メニューはコーヒー、紅茶が310円、ケーキセット510円、香味野菜のカレーライス530円、ボロネーゼ、カルボナーラ各720円など。 「森のレストラン」は、うどん定食700円、和風定食、トンカツ定食各800円など。(「森のレストラン」は2019年12月~2020年2月まで土・日・祝祭日のみ営業)。飲食物の持ち込みもOKなので、ピクニック気分で訪れてもよさそうです。たっぷり時間をかけてレジャーを楽しめる「広島市植物公園」に、ぜひ出かけてみましょう! 真冬も温室では植物が元気いっぱい!カラフルな熱帯植物の花々に癒やされよう 「広島市植物公園」の温室が充実していることは前述の通りですが、写真のベゴニア温室では、約680種類2,000株のベゴニアを展示。大輪で豪華な花が美しい「球根ベゴニア」はアンデス山脈に自生する野生種をもとに作り出されました。世界で一番美しい花と呼ばれています。 15~25℃の温度と、長日(光の当たる時間が長い)条件を好むため、ベゴニア温室では夏は冷房、冬は暖房を行うとともに、夜間照明をつけるなど、開花調節を行って、球根ベゴニアを一年中楽しめるようにしています。 写真は「サボテン温室」の様子で、約320種類500株を植栽。この温室で一番大きいサボテンは、60年以上生きていると推定されます。 見どころは、たった2枚の葉で一生を過ごす植物のキソウテンガイ(奇想天外)。 コンブのような葉をズルズルと伸ばし続けます。自生地アフリカには、大きなものでは樹齢千年以上といわれるものもあります。 プセウドボンバックスは落葉性ながら幹に葉緑素があり、葉がない時も光合成をしています。そしてモクキリン(杢キリン)は一見、ブーゲンビレアのようですが、本当はサボテンの仲間。コノハサボテンと呼ばれ、10~11月にきれいな花を咲かせます。 屋外庭園では、季節が巡るごとに見どころのエリアがリレーする 「広島市植物公園」には「梅園」だけでなく「日本庭園」にも梅が多数植えられており、見頃は2~3月。約50品種、約170株の梅が咲く梅園には、一足早く春の訪れを感じることができます。写真は日本庭園の枝垂れ梅。立派な枝ぶりで迫力がありますね! 写真は正門を入ってすぐのところにある、大花壇の4月頃の様子です。この時期はチューリップやベゴニア、ポピーなどが満開に。このエリアは一年草を中心とした花壇で、年に5、6回植え替えを行っており、季節ごとに異なるシーンを楽しめます。毎年春にはコンサートやクラフトのワークショップが行われるほか、特設屋台が登場して食べ歩きができる「さくらまつり」を開催。夜間開園の日もあるので、お花見に出かけてみましょう! 「広島市植物公園」のバラ園の見頃は、5月中旬~6月中旬と10月中旬~11月上旬。約700品種、約1,000株のバラが植栽されています。 特に歴史的に重要な古品種やオールドローズなど、貴重品種の収集に力を入れており、後世に残したい優れた品種を多数展示しています。ほかにも、広島で生まれた品種、世界の各都市から平和メッセージとして寄贈を受けた株など、国際平和文化都市広島にちなむ品種や、世界中から集めた野生種などを展示しています。 また、5月には、「ローズフェスティバル」を開催。栽培講習会やバラに関するミニ講座、クラフトコーナー、バラ園のガイドツアーなどを催しています。 園内にある「ハナショウブ園」の見頃は6月です。100品種、1,000株のハナショウブが華やかに咲き競う姿が見られます。 ハナショウブが見頃になる6月は、アジサイも満開に。約140品種、約1,900株が植栽されています。この時期は、「ハナショウブ&アジサイまつり」を開催。ハナショウブやアジサイの育て方の実演会、園内の植物ガイド、お茶会など、楽しい企画が目白押しです。 11月初旬~下旬は、紅葉の季節。カエデ園や日本庭園では、モミジの仲間を中心とした紅葉が楽しめます。また、樹林観察園では西南日本の低地にある常緑広葉樹林を構成する樹種と、高地で落葉広葉樹林を構成する樹種の紅葉の両方を一度に観賞できるのが特徴です。このほかにも、世界三大紅葉樹(ニシキギ、スズランノキ、ニッサ)、ドウダンツツジなどの生け垣、イチョウをはじめとする高木の紅葉も見応えがあります。 園内で雪つりが見られるのは11月頃から。雪つりは日本庭園の冬景色の大きな要素となっています。また、ツバキやサザンカなど、冬に咲く花の雪化粧も魅力的です。この時期は「花と光のページェント」(夜間開園)を開催しており、キャンドルとイルミネーションが織りなす幻想的な景色を楽しめます。 季節の花苗が揃うフラワーショップ&オリジナルグッズも扱う土産物店 園内には、フラワーショップもありますよ! 草花コーナー、山野草コーナーがメインで、寄せ植えの販売も。園内の展示に合わせて植物を入れ替えており、季節によって品揃えが変わるので、たびたび訪れたいですね。 「広島市植物公園」では、お土産コーナーも充実しています。押し花商品、草木染め商品、メダル、陶器類、木製品、ポストカード、菓子類が揃います。特に人気が高いのは、カープコラボTシャツ2,500円、草木染めハンカチ500円、オリジナルポストカード400円、木製キーホルダー800~1,000円です。 Information 広島市植物公園 所在地:広島県広島市佐伯区倉重三丁目495TEL:082-922-3600 http://www.hiroshima-bot.jp/ アクセス: バス/広電バス 植物公園経由薬師が丘団地行広島バスセンターから(2番のりば)約40分、JR、広電五日市駅北口から(1番のりば)約20分車/広島市内中心部から約30分、山陽自動車道五日市IC又は廿日市ICから約15分(約7㎞) オープン期間:通年 休園日:金曜、12月29日~1月3日 営業時間: 9:00~16:30(※入園は16:00まで) 料金:18歳~64歳510円、65 歳~170円、高校生・高校生相当年齢170円、中学生以下無料※18歳に達する日以降の最初の3月31日までは『高校生・高校生相当年齢』になります。※「65歳~」の入園料は、年齢が確認できる公的証明書(健康保険証・運転免許証など)の提示が必要です。※身体障害者手帳・療育手帳などを提示されると入園料は免除になります。※団体割引(30名以上)、年間パスポートもあります。 駐車場/532台、軽・普通車450円
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神奈川県

カメラマンが訪ねた感動の花の庭。神奈川・愛甲郡「服部牧場」
SNSの投稿で知った美しい庭 前回は、北海道のグラスが素晴らしい「大森ガーデン」を2回に渡ってご紹介しましたが、2020年最初のストーリーも、またまたグラスと草花のガーデンです。 ここは、グラスが大好きなガーデナー、平栗智子さんが丹精込めてつくり上げた「服部牧場」。 僕がこのガーデンを初めて知ったのは、知人のガーデナー、Sさんの「いざ 服部牧場へ」と書かれたフェイスブックの投稿でした。2019年11月8日の彼女の投稿写真には、大小さまざまなグラスがピンクや白の穂を出し、株元には青や紫の草花が咲き乱れる美しいボーダーが写っていました。それを見て、今すぐにでも飛んで行って撮影したい! くらいの気持ちになるほど、それは美しいものでした。 昨年くらいから僕の一番の撮影のテーマは「美しいグラスガーデン」でしたので、いつも頭の片隅には「何処かで秋のステキなグラスガーデンが撮れないものか」という思いがありました。ですから、車ですぐに行けるほどの距離に、こんな素晴らしいグラスガーデンがあったとは! Sさんには教えていただき本当に感謝しています。幸いにも数日は天気も安定しているようです。投稿を見た2日後はスケジュールも空いていたので、11月10日に撮影に伺うことにしました。 晩秋の庭へ初の訪問 撮影当日は爽やかに晴れ渡り、気温は暑いくらいの秋の終わりとは思えないほどの行楽日和でしたから、高速道路も結構混んでいました。高速を降りて「服部牧場」が近づいてくると、のどかな風景の中、道路脇の木々の紅葉も黄色く輝いていました。その風景もすぐに車を停めて撮影したくなるほどでしたが、寄り道などしている心の余裕はありません。まだ撮影にベストな時間には早すぎるとは分かっていても、アクセルは緩めず、まっすぐに「服部牧場」へ向かいました。 牧場の駐車場に着いたのは2時半くらいでしたが、天気もいいし家族連れで駐車場は満車。子どもたちが元気に走り回っています。秋から冬の撮影は、午後4時頃の光がきれいですので、まだ大分早く着いてしまったのです。でも、車の中にいても仕方ないので、ロケハンを兼ねて、カメラも持たずにぶらっとガーデンに向かいました。 ガーデン入り口の看板を見ながら石の階段を上ると、お目当てのガーデンが現れました。牧場というのだし、きっと広いガーデンなんだろうと勝手に思っていたので、意外と小さいガーデンにちょっと驚きました。しかし、その小さなガーデンにはびっしりといろいろな植物が植えられていて本当にきれいでした。Sさんの写真で見た、赤い穂のミューゲンベルギアも風に揺れていました。 いやー、きれいだなぁと歩き回っていると、ガーデンの西側には高い針葉樹があってその木々の影が、だんだんガーデンに迫ってきていることに気がつきました。優雅に4時まで待っていると、ガーデンは完全に影になってしまう。これは大変! と走って車に戻り、カメラと三脚を担いで、再びガーデンに戻りました。その間5分ほどですが、先ほどまでは誰もいなかったガーデンの隅で黙々と作業をしている女性を発見。Sさんのフェイスブックのコメントにあった「植物を愛してやまないガーデナー」さんだろうと思い、ご挨拶と撮影の許可をいただくため近づいていきました。 ガーデナーさんも僕に気がついて軽い会釈をしてくれました。早速撮影の許可をもらおうと話しかけると、子どもが走り回るので三脚は遠慮してほしいとのことでした。でもガーデンの撮影には三脚は必需品なので、何とかお願いしなくては思っていると、彼女の表情が突然一変して「もしかして今井さんですか?」と。以前千葉の貝殻亭というレストランで写真講座をしたことがあったのですが、その時に参加してくれたようで、一件落着。僕も子どもがそばを通ったら気をつけますと約束して撮影を開始しました。 グラスが美しく輝く瞬間を狙う 前回ご紹介した北海道の「大森ガーデン」さんのように、近くに背の高いものが何もないガーデンの場合は、夕陽が地平線に沈む瞬間くらいの光がきれいなのですが、このガーデンは西側に背の高い木々があって、割と早い時間から影がガーデンを覆ってくるので、撮影のタイミングは、撮りたい植物が影に入った瞬間を狙います。 ガーデンの東側はまだ強い日差しが差し込んでいて、ギラギラしています。でも、影に入ったばかりの一番西側のボーダー花壇は、明るい日陰でどの植物もきれいに見えています。カメラを三脚にセットして、じっくりとファインダーを覗いてみると、何種類ものグラスが入ったボーダー花壇は、グラスの穂の柔らかい線や直線的な茎の線、アスターのブルーや枯れた草の黄色や茶色と、いろいろな要素が混じり合っていました。春の宿根草のボーダーとは全然違う、とてもきれいな表情を見せてくれています。 あとは、逆光になるように西にレンズを向けて狙ったり、サイド光になるように南や北の方向にレンズを向けたり、ガーデンの中を歩き回って同じグラスを撮ったり…。こうして光と影をチェックしながら、少しずつ東側のボーダーまで撮影して、4時過ぎに撮影は終了しました。 撮影中は、僕の邪魔にならないようにとガーデンの隅のほうにいてくれたガーデナーさんがコーヒーを入れてくださるというので、お言葉に甘えてガーデナールームへ。行ってみると、そこも天井からドライになった昨年のグラスがズラリと飾ってあり、彼女のグラス愛がハンパじゃないことを感じました。僕が「大森ガーデン」さんに行った時の話をすると、彼女も随分前から大森さんにグラスの苗を送ってもらっては、あちこちの庭に植えて経過を観察しているそうです。あたりがすっかり暗くなるまでグラス談義は続き、この日撮影した写真は「Garden Story」に載せますと約束をして、美しい月を見ながら帰路につきました。 凍った庭への期待 この日の写真は大満足。何もいうことはない仕上がりでしたが、もう一つ、冬のガーデン写真といえば「凍った庭」があります。以前はよく群馬県太田市の「アンディ&ウィリアムス・ボタニックガーデン」に行き、日が昇る前の暗いうちから撮らせていただいた経験がありますが、久しぶりにグラスガーデンが凍って、真っ白になった「服部牧場」の写真が撮りたくなりました。「凍った庭」になる条件には、「今シーズン一番の寒波」というような、放射冷却のよく晴れた寒い朝であることが必要ですが、11月29日がちょうどそんな気圧配置だったので「凍った庭」を撮影するために午前3時に出発して、6時前、まだ暗い駐車場に着きました。でも、何だか寒くない。痛いくらい寒くてスキー用の帽子に手袋でガタガタ震えるくらいの朝のはずが、それほど寒くなく……。 残念ながら今日はダメだった、と思いながらもガーデンに行ってみましたが、案の定全く凍っていませんでした。でも、以前の撮影から2週間が経ち、さらに枯れた庭が朝日の中でとても美しく輝いていました。凍った庭の撮影は、またこの年末年始にでも行ってみようと思っています。
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イギリス

イングリッシュガーデン旅案内【英国】ウィリアム・モリスが愛したケルムスコット・マナー
「モダンデザインの父」ウィリアム・モリス ツグミがイチゴをついばむ「イチゴ泥棒(Strawberry Thief)」や、2匹のウサギが描かれた「ブラザーラビット(Brother Rabbit)」。壁紙やテキスタイルに描かれるモリスのデザインは、それらが生まれてから100年以上経った今も、人々を、とりわけ、植物好きやガーデニング好きの人々を惹きつけます。 ウィリアム・モリス(1834-1896)は、アートデザインを手掛けたほか、詩や小説を書いたり、思想家としても活動したりと、多岐にわたる活躍を見せた人でした。彼の生きたヴィクトリア朝のイギリスは、産業革命によって経済が発展し、人々の暮らしが大きく変化した時代でした。工場での大量生産が主流となっていく中で、モリスは、画家のエドワード・バーン=ジョーンズや建築家のフィリップ・ウェッブらと共に、中世の美しい手仕事に再度光を当てる、アーツ・アンド・クラフツ運動を推進しました。モリスのパターンデザインや思想は後世にも大きく影響を与え、それゆえ、モリスは「モダンデザインの父」と称されています。 モリスの「地上の楽園」 ケルムスコット・マナーは、忙しく活動するモリスがロンドンの喧騒を離れて過ごした、田舎の別荘でした。1871年、モリスはオックスフォードに程近い、コッツウォルズ地方のケルムスコット村を初めて訪れ、マナーハウスとガーデンを見て喜びます。特に、高い塀に囲まれ、生け垣で仕切られた庭は、モリスが理想としていた「囲われて外界から隔てられた」庭、そのものでした。 モリスはケルムスコットを「地上の楽園」と呼んで、すぐに、ビジネスパートナーだったダンテ・ガブリエル・ロセッティと共に地所の賃貸借契約を結びます。そして、その後の四半世紀を、ロンドンに行き来しながら、この別荘で過ごしました。コッツウォルズ地方の美しい田園風景や、古くから建つ石造りの建物、近くを流れるテムズ川上流での釣り遊び、緑の木々や、庭に咲く素朴な花々。モリスはこの地の暮らしから、創作のインスピレーションをたくさん得たのでした。 さて、モリスのデザインが大好きな私にとって、彼が過ごしたこの場所を訪れることは、聖地巡礼のような期待感がありました。優れた作品が生み出された、モリスが愛したという環境はどんなものだったのか。彼は何を見て、どんな風に季節を感じていたのか。そのエッセンスを追体験できたら……。そんな想いを胸に、まずは屋敷を囲む庭を見ていくことにしました。 昔の姿を保つフロントガーデン 屋敷の東側には、フロントガーデンが広がります。建物の入り口に向かう小道の両脇には、スタンダード仕立てのバラが左右対称、等間隔に植えられ、小道を優雅に彩っています。訪れた6月中旬は、ちょうど‘エグランティーヌ’や‘コテージローズ’、‘ガートルード・ジーキル’といった、パウダーピンクやローズピンクのバラが咲き始めていました。花に近づいてみると、素晴らしい香り! 1892年にモリスがケルムスコット・プレスから出版した、自身の小説『ユートピアだより(原題:“News from Nowhere”)』の口絵には、このフロントガーデンの庭景色が描かれています。現在の庭は、こういった資料をもとに修復されたもので、バラなどは植え替えられているそうですが、口絵に描かれた100年前と変わらない庭景色が目の前に広がっていることに、驚きを感じます。 屋敷の前に立って、小道の反対側から庭の全景を見ると、奥の隅のほうにガゼボが見えます。その左手、大きなセイヨウイチイの生け垣の上には、なにやら大蛇のようなフォルムの刈り込みが。これは、ファフナーと呼ばれる、北欧神話に出てくるドラゴンを表したもので、モリスがアイスランドへの旅の中で詠んだ詩に登場する、空想上の生き物です。モリスはこのドラゴンを自ら刈り込んでいたというので、きっと、お気に入りのトピアリーだったのでしょう。トピアリーは一度、崩れてしまいましたが、ナショナル・トラストの専門家の力を借りて、再構築されました。 ガゼボの古びた屋根の様子に、長い時の流れを感じます。ちょっと歪んだラティスにも、ささやかながらバラが絡み、ガゼボ右手の茂みの地際には、紫花のゲラニウムが咲いています。植物の数を絞った、シンプルで広々とした庭は、一人の時間を心静かに楽しめる場所でした。 一度、庭の外へ出て、左手のティールーム前の芝生エリアを素通りし、その先の、モリスの時代の屋外トイレ(Three-Seater Earth Closet)に向かいます。芝生エリアの奥に見えるグッズショップに、後で必ず立ち寄らなくては! と誓いつつ、庭の見学を続けます。 カーブを描く小道の先には、三角屋根の小さな建物が。なぜか、3つの便座が横1列に並んでいる、かつての屋外トイレです。 トイレの建物の中には入れませんが、便座に座ったと仮定する位置から正面を見ると、目の前の緑が、向こうの景色を隠してくれるようになっています。なるほど、と思う、トイレ前の植栽。野イチゴが、小道を縁取るように低く茂っていて、その上に、緑や赤のスグリが実っていました。 モリス好みの草花が咲くマルベリーガーデン 屋敷の西側、旧屋外トイレの隣のエリアには、マルベリーガーデンがあります。中央に立つのは、印象的なマルベリーの古木。ごつごつとした幹は苔むしていて、風格が感じられます。マルベリーを挟んで左右に小道が2本、屋敷に向かって平行に伸びていて、歩きながら花壇の草花を眺められるようになっています。この庭も、手入れの行き届いた芝生の緑が清々しい、シンプルさの際立つデザインです。 小道の脇、低いツゲの縁取りに沿って続く花壇では、カンパニュラやゲラニウム、ポピーが、ちらほらと咲いています。モリスが好んだという、コテージガーデン風の植栽です。 モリスの娘メイ(メイは呼び名で、本名はメアリー)は、「父がペルシャのチューリップと呼んで、デザインのモチーフに何度も用いた美しい野生種のチューリップが、花壇いっぱいに咲き乱れている」と書き残しています。今も花壇にはたくさんのチューリップが植えられていて、春になると、モリスの時代さながらに咲き乱れるそうです。4月には、スネークヘッド・フリチラリアも花を咲かせ、目を引く特別な存在となります。 左側の小道では、自然なフォルムを生かして作られた木柵が、向こう側のメドウと庭とを区切っていました。これは、1921年に撮影された写真にあった木柵を再現したもの。地元で採れたセイヨウトネリコやハシバミの木が使われています。モリスは1896年に「中世の庭のように見えるよう、ジャイルズがラズベリーの枝をうまく誘引してくれた」と書き残しているため、その頃には既にこのような木柵があったと考えられています。今、ラズベリーの代わりに絡まっているのはピンクのバラ。少しいびつな木柵が、とても自然な、リラックスできる景色を生み出しています。 モリスの手紙には、バラ、タチアオイ、スカビオサ、ポピーといった、コテージガーデンでおなじみの草花や、クロッカスやスノードロップ、ビオラ、プリムローズ、チューリップといった春の花々が登場し、当時の庭にたくさんの花々があったことがうかがえます。 また、モリスの壁紙やテキスタイルのパターンデザインでは、じつに多くの植物がモチーフに使われています。バラ、チューリップ、ハニーサックル、ヒエンソウ、ラッパズイセン、アネモネ、ムギセンノウ、ギンバイカ、アイリス、ジャスミン、ポピー、オークツリー、ヤナギ、アカンサス、フリチラリア、マリゴールド、リンゴ、ブドウ、ザクロ、レモン、キク、デイジー、クロイチゴ。描かれたそれらの植物の多くは、きっとこの庭で見られるものだったのでしょう。 現在の花壇には、これらの、モリスがデザインモチーフとして用いた植物を選んで、植えてあります。また、その植栽は、深い切れ込みの入った葉の植物を使ったり、大きな花々の間を小さな花々で埋めたり、柵に灌木の枝を絡ませたりと、モリスデザインの特徴を感じさせるものになっています。 パーゴラのあるローンガーデン 屋敷の北東側にあるローンガーデン(芝生の庭)は、もともとはキッチンガーデンでしたが、今はシダやグラス類、アーティチョークの仲間やハーブ類が植えられています。素朴な印象のパーゴラは、クリの間伐材で作られたもの。パーゴラは、ブドウの木を支える伝統的な手法の一つでした。 パーゴラを覆うブドウの葉が涼しい木陰をつくり、ここにもバラが絡んでいます。あら、あんな所、こんな所にもバラが……と、いろんな場所でその姿を見つけました。モリスはバラのデザインパターンを何種類も描いていますが、彼もきっとバラを好んでいたのでしょうね。 その隣のエリアに行くと、葉を茂らせた、どっしりとした大木の周りを、ナチュラルな花々が優しく彩っています。 暮らしに寄り添う、優しい色合いの花々。100年前にも、このような花々が静かに季節を告げる、穏やかな暮らしがあったのだろうと、想像が膨らみます。 「庭を大いに楽しんでいる。ぶらぶらと、どれだけ歩いても、目障りな物は何ひとつない。すべてが美しいのだ」 モリスは、このような言葉を残しています。 屋敷内の全フロアを見学 さて、今度は屋敷の中を見ていきましょう。 この屋敷には、モリスの友人で建築家のフィリップ・ウェッブによって、特別にデザインされたしつらえがあります。また、モリスのロンドンの家にあったものも移されて、コレクションされているそうです。 屋敷はすべてのフロアを隅々まで見学することができて、そのことに感動しました。どの部屋にもモリス柄のテキスタイルが使われていて、上品なデザインの調度品が並んでいます。暮らしと芸術を一致させる、アーツ・アンド・クラフツ運動を実践するような、丁寧な暮らしをしていたのだろうなと思いました。 シノワズリの雰囲気があるノース・ホールでは、セトルと呼ばれる、背部が高く立ち上がった長椅子が目を引きます。これは、かつてモリスが暮らしたレッド・ハウス用に作られたものでしたが、ここに移されました。脇の扉には、モリスが愛用したコートが掛かっています。 長椅子の右手には、手刺繍と思われるカーテンが。この柄は、モリスの作品の中でも最も愛されている「デイジー(Daisy)」ではないかしら! モリスの妻ジェーンと娘のメイは刺繍の名手で、屋敷には彼らの手による美しい刺繍や布小物の数々が残されています。このカーテンの刺繍も彼らが施したものなのかもしれません。 こちらは、1883年作の「ケネット(Kennet)」という柄のテキスタイル。2種類の花がデザインされています。傍には、おそらく実際に使われたと思われる版木が飾ってあります。 「ケネット」のテキスタイルが美しいグリーンルーム。ケネットとは、テムズ川の支流の名前だそう。モリスはしばしば、テムズ川で釣りをして遊びましたが、その際にもきっと創作のインスピレーションを得たのでしょう。他にも、テムズ川の支流の名前を冠したデザインがあるそうです。 グリーンルームは一家の居間として使われていました。暖炉を囲んで、ゆったりと座れるパーソナルチェアが並びます。家族でくつろぐ時間には、どんな会話が交わされたのでしょうね。 脇の小部屋には、ブルー&ホワイトの絵皿コレクションがずらりと並びます。 ここに飾られているのは、ダンテ・ガブリエル・ロセッティの描いた、モリスの妻、ジェーンの絵。彼女はロセッティやラファエル前派のモデルを務めた人物で、モリスと、その仲間たちのミューズでした。 屋敷内には、モリスの友人、サー・エドワード・バーン=ジョーンズの絵画も飾られています。また、アルブレヒト・デューラーやブリューゲルといった、価値の高い美術品のコレクションも見られます。 ジェーンの寝室だったという部屋。壁紙には1887年作の「ウィロー・バウ(Willow Bough、柳の枝)」が選ばれていて、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。 重厚なタペストリーが飾られている、タペストリールームです。この部屋は数年の間、ロセッティが寝起きし、創作を行うアトリエとして使われていました。じつは、ロセッティとジェーンは一時、特別な関係を持ち、モリスを交えた複雑な三角関係があったといわれています。ミューズを巡る、芸術家ならではの人間模様があったのでしょうか。 屋根裏部屋を探検 最上階へ続く階段は、右左の足の置き場が段違いになった、見慣れないつくりになっていました。 広々とした屋根裏部屋です。古い梁が、古風な趣を醸し出す場所だと、モリスも気に入っていました。ここは、モリスの2人の娘が過ごすための空間でしたが、その昔は、屋敷で働く農夫や羊飼いが寝起きしていたそうです。 さらに小さな階段を上がってみると… 絵に描いたような三角屋根の真下には、シンプルさを極めた部屋がありました。娘たちの寝室です。細長い空間には、幅が極端に狭いベッドが2台並べられて、モリス柄のベッドカバーがかかっています。質素で清潔感のある、ミニマリズムの暮らしのお手本のような部屋ですね。 最上階からは、敷地の外に広がるメドウや森を眺めることができます。モリスの娘たちは、朝、目覚めたら、まずこの窓から外を眺めて、野鳥の声を聴きながら、新しい一日をスタートしたのかしら、と想像しました。 ショップはモリスグッズも充実 ショップには、モリス柄を使ったオリジナルグッズがたくさん! 日本ではお目にかかれないような、可愛いデザインばかりです。中央は、モリス柄のテラコッタタイル、上は「イチゴ泥棒」をモチーフにした布製オーナメントで、ちょっとユーモラスなツグミがイチゴをくわえています。 左は、モリス柄をテラコッタにプリントしたミニバッジ。右に並ぶ、モリスやアーツ・アンド・クラフツ関連の書籍も充実しています。 モリスの死後、ケルムスコット・マナーの地所は妻ジェーンによって買い取られ、娘のメイは1939年に亡くなるまでここで暮らしました。メイは地所をオックスフォード大学に遺贈しますが、1962年、地所は大学からロンドン古物研究協会(ソサエティ・オブ・アンティクワリーズ・オブ・ロンドン)に譲られることになります。その後、協会はケルムスコット・マナーの修復作業に着手し、地所は徐々に一般公開されるようになりました。 モリスの眠る教会へ 少し足を伸ばして、モリスやジェーンが眠るセント・ジョージ教会も訪ねました。ケルムスコット・マナーから歩いて10分ほどの場所にあります。入り口に立つ樹木が、12世紀に建てられた古い教会を隠すほどに大きく育っています。 モリスとジェーンの墓は、教会を正面に見て右奥にひっそりとありました。友人のフィリップ・ウェッブがデザインしたという墓碑に、その名が刻まれています。時の流れの中で彫文字はかすれ、かろうじて読めるものになっていました。 教会の祭壇付近には、モリスのデザインした、「バード(Bird)」の柄のテキスタイルがありました。モリスが今もこの土地を守ってくれているのだろうと感じながら、祈りを捧げてきました。
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大阪府

素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪16 大阪「GARDENERʼS TENNOUJI てんしばイーナ店」
ギフトプランナーが提案する 365日笑顔になる店 あべのハルカス、通天閣が隣接する街中に位置する天王寺公園。動物園や美術館、庭園もある都会のオアシスです。その公園内の芝生エリアに、2019年11月、レストランを中心とする新しい憩いのスポット‘てんしばi:na’がグランドオープン。芝生エリアの突き当たりにある動物園の入り口脇に、「GARDENERʼS TENNOUJI」がオープンしました。 ガーデニングを楽しむスペースがなく、日常的に花に触れる習慣がない街中の人たちに「植物に触れるきっかけを提供しよう」という思いでスタートした「GARDENERʼS TENNOUJI」。ここはガーデニング・エクステリアの資材を提供する、ライフスタイルカンパニー「タカショー」が運営する園芸店の一つで、全国3店舗あるうちの一番新しいショップです。 ショップのテーマは、‘大切な方へのプレゼントや頑張った自分へのご褒美のプレゼントが買える店’。「誰かにギフトしたいと思ったときに、365日、いつでも一番最初に思い浮かぶ店を目指しています」と店長の中野誠介さん。植物のある暮らしの提案に加えて、ギフトが見つかる店として力を注いでいます。 ガラス張りの開放感あふれる店内は、植物や雑貨などシーズナルなギフト商品でいっぱい。トーンを落とした温かみのある照明とインドアグリーンのつややかな潤い、そしてブラックで統一した什器で構成された空間は、落ち着いた雰囲気が漂っており、ゆったりとした気分で買い物ができます。 ギフトにぴったりのコンパクトなインドアグリーンが充実。スタッフに頼めば、植え替えもしてくれます。 動物園帰りの子どもたちも多く来店するので、動物アイテムが充実。店内のあちこちで、ぬいぐるみの動物が出迎えてくれます。 日当たりの悪い部屋が多い都会の住居でもグリーンの潤いを楽しめるよう、フェイクグリーンも用意。シックな色味のものも揃い、おしゃれなインテリアづくりに重宝します。 ギフトに最適な、ボックス入りのドライフラワーのアレンジなどもあります。バリエーションが豊富なのでお好みのものを選んで。 植物だけでなく、香りのアイテムや食器などの雑貨類も充実。園芸とは直接的には関係のないものですが、植物に興味のなかった都会の人たちが、ガーデニングに興味をもってくれるきっかけになれば嬉しい、との思いで取り扱っています。「雑貨を用いて、グリーンライフの楽しさを知っていただくきっかけづくりをしています。それには興味を持っていただけるような、ストーリーのあるディスプレイが大切です」と雑貨担当の山中梢さん。 ぬいぐるみだけでなく、動物をモチーフにしたユニークなアイテムがたくさん。写真左は、コウノトリやワニの形をしたカトラリー。右は、コアラやブタ、カメなど、リアルなつくりが人気の貯金箱。 おしゃれなステーショナリーも充実しています。「まずは身のまわりの雑貨類などからこだわって、空間づくりの楽しさに気づいていただきたいですね」と山中さん。 店舗外には、ガーデニングの参考になる コーナーがいっぱい ショップ前に広がるウッド×樹脂製のデッキまわりも見どころが満載です。店舗すぐ前にはガーデニング用品や苗、そしてギフトに最適な寄せ植えなどが並んでおり、ギフトにもなるアイテムが充実。その奥の植栽コーナーでは、ライトのきらめきと共に、中野さんこだわりのロマンティックな風景が広がっています 細長いデッキの手前側の植栽帯には、季節の草花とリスやウサギのオーナメントを合わせたユニークな提案が。三世代が楽しめる、ストーリー性を持たせた演出。 動物たちの生き生きとした姿を表現したのは山中さん。「季節ごとに植え替える花に合わせて、動物たちの置き方も変える予定です。ぜひ四季を通して見に来てくださいね」。 ボリュームを持たせたオージープランツの植栽エリアには、アルパカや家などのピックの飾りをプラス。植物に詳しくない人たちも楽しめるような配慮が施されています。 植栽とライティングによる美しい演出で ガーデンライフの楽しさを提案 動物のオーナメントやオージープランツの奥は、店長の中野さんがセレクトしたというこだわりの樹木による、リーフ合わせの妙を観賞するコーナー。美しい色や形の葉を持つ低~高木がふんだんに盛り込まれています。 併設するガラス張りのカフェにも光が差し込むように、サラサラとした小さい葉の樹木類が用いられています。夕刻ともなると樹木の幹や白い球形のオーナメントにライトが灯り、ロマンティックな風景にチェンジ。 最奥に広がるステップフロアコーナーは、カフェのお客様が緑に囲まれて飲食できるようにと設けられた場所。常緑樹と落葉樹をバランスよく配し、緑の潤いを通年感じられるように設計されています。ここは、カフェだけでなく、庭づくりの相談の場としても活用されています。 ファニチャーはタカショーオリジナルのアイテム。樹脂製のメッシュのソファは、雨が降っても水が抜けやすく乾きやすい優れもの。クッションを置いても◎。 中野店長による、おしゃれな庭づくりにおすすめの樹木ベスト4 左/シャボチカバ:常緑樹なので隠したい場所にぴったり。葉が小さく、重い印象になりません。 右/ツツジ:山採りのツツジなのでヒョロリと丈が高く野趣がありますが、モダンな雰囲気も漂わせています。 左/ストローブマツ:ゴヨウマツをやさしい雰囲気にしたようなマツ。枝垂れるさまが植栽に動きをもたらしてくれます。 右/暖地サクランボ:枝が横に平たく広がるエスパリエ仕立ての、暖地向きのサクランボ。初夏に赤い実が付きます。 エントランスのデッキのアクセントになっている2×2mほどの植栽桝には、カツラをシンボリックに植栽。株元には葉色が美しいヒューケラやコプロスマ、マートルなどを添え、冬の寂しい時期でも葉色を楽しめるようにデザインされています。 冬の庭で存在感を放つ植物たち 左/斑入りギンバイカ(マートル):こんもりと葉をつける斑入りのギンバイカ。フトモモ科ギンバイカ属の常緑低木で、とてもよい香りを放ち、春にはやさしい白花が咲きます。斑入り葉なので、庭のアクセントにぴったり。 右/ヘレボラス・スノーフィーバー:白い散り斑が入る原種の有茎種。茎ににじむ赤色が、ニュアンスを生んでいます。 左/グレヴィレア‘ピーチ&クリーム’:線の細い葉や茎の先に、やさしい色の花を次々に付けます。寒さにも強い品種です。 右/バンクシア・スピヌロサ(ヘアピンバンクシア):いかにもオージーらしいユニークな花を咲かせます。花穂は長さ20cm以上にもなり、インパクト大。 左/アカシア‘ブルーブッシュ’:ボリュームのあるシルバーリーフが植栽の間を涼やかに埋めてくれます。 右/ライスフラワー:米粒のような小花を咲かせます。つぼみから開花までの観賞期間が長く、花もちもよいのが魅力。 併設するカフェで 緑を眺めながらのんびり過ごして 「すべての方が笑顔になれるカフェ」を目指し、彩りの美しいイタリアの野菜などを使ったメニューが好評。明るい自然光が入るガラス張りの空間は、開放感がたっぷり。気分転換にぴったりの場所です。 彩り豊かな洋食ランチのあとはおしゃれなデザートを、そして夜は、美味しいディナーをお酒とともに楽しんで。おすすめのメニューを一部ご紹介しましょう。 「ぺこのハッシュソースハンバーグ」 ¥1,280 6種類のキノコを使った自慢の濃厚ハッシュソースで、富士の麓で育った氷見牛ハンバーグの甘さをお楽しみください。 「ぺこといただきますプレート」 ¥980 ぺこの旗つきチキンライスと、氷見牛ハンバーグのお子様プレート。デザートに季節のフルーツもついています。 「ぺこのチョコシフォンケーキ」 ¥800 しっとりと焼き上げたオリジナルのチョコシフォンケーキにミックスベリーとピスタチオを添えました。甘さ控えめのクリームと一緒にどうぞ。 「ぺこのスフレパンケーキ」 ¥1,000 宮城県のブランド“竹鶏たまご”を使用したオリジナルパンケーキ。一つひとつ、ふんわり丁寧に焼き上げました。 「GARDENERʼS TENNOUJI」中野店長のイチオシをご紹介! 「ギフト」を最大のテーマとして掲げているショップだけに、ラッピングに力を入れています。まず購入者が喜んでくれるようにと、どんな価格の商品でも無料でラッピングをしてくれる嬉しいサービスも活用しましょう。 大きな花束のようなラッピングの、ポインセチア‘プリンチア・ローザ’のギフト。どんな小さい鉢花でもより見映えがアップするよう、包み紙やリボンを惜しみなく使い、最高の状態でお届けしています。 ショップの思いを表現した楽しい壁。「下に描かれた動物をお客様に見立て、浮かんでいるのは幸せのギフト。‘ここに来られたお客様のもとに、たくさんの幸せが降ってきますように’という願いを込めているんですよ」と山中さん。 「うるおいのある暮らし」を届けるショップ 「お客様を笑顔に」という思いを込めて、徹底的にギフトに力を入れている「GARDENERʼS TENNOUJI」。ガーデニングのプロの視点で「うるおいのある暮らし」を提案する、多様性に富んだショップです。初心者だけでなく、玄人ガーデナーにもきっと新たな発見があるはず。「これから植物の種類や数、ワークショップなど、さまざまなもの・ことを盛り込んでいきますよ」と中野さん。‘期待度大’の、誕生したばかりのショップです。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、地下鉄御堂筋線・谷町線、JR「天王寺」駅、近鉄「大阪阿部野橋駅」、阪堺上町線「天王寺駅前駅」、各駅から徒歩約6分。 【GARDEN DATA】 GARDENERʼS TENNOUJI てんしばイーナ店 大阪府大阪市天王寺区茶臼山5番55号 TEL:06-6796-8010 https://gardeners-japan.jp/tennoji/ 営業時間:11:00 〜20:00/カフェ 11:00-22:00 休日:無休(年始を除く) Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。 写真協力:GARDENERʼS TENNOUJI てんしばイーナ店
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宮城県

素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪15 宮城「スワローテイルガーデン」
閑静な住宅街の中で 牧歌的な風を感じさせるショップ 仙台市郊外の閑静な住宅地の中にあるスワローテイルガーデン。店先の小さな庭に設けられたはちみつ色の石積みが、異国情緒を放っています。この石積みは、オーナーである小野雄大さんがイギリスの石を英国式の工法で積んだ壁、ドライウォール。ほんの数メートルの壁ですが、コッツウォルズの風景を感じさせています。 石積み+ナチュラルな草花の 素朴な演出にほっこり 石積みには、野に生えているような楚々とした草花が寄り添い、牧歌的な風景が演出されています。この本場さながらの石積みは、セメントを使わずに石を載せるだけという英国式工法で、熟練の技術と勘が必要。国内で最初に英国に渡って資格を取得した神谷造園(愛知県岡崎市)の神谷さんに学びながら、さらに本場でも研鑽を積み、技術を習得しました。現在国内でたった3人しか認定されていない難易度「レベル3」を保持しており、常に次なる高みを目指して技術を磨いています。 ふんわりとした姿の草花を合わせて、石積みの重い印象を軽減。 庭の雰囲気を盛り上げる 数々のオーナメントも必見 小さなガーデンの雰囲気を盛り立てているのは、イギリスから仕入れた、重厚感のあるオーナメントやコンテナ類。大小さまざまのアイテムが見事に石積みと響き合いながら、軽やかな植物とバランスよく調和しています。 植栽の中にひっそりと配したバードバスとカエルのオーナメント。全形を見せないのが自然な庭を造るポイント。自然体な庭づくりからは、小野さんの人柄や植物との向き合い方が感じられます。 子どもの頃から親しんだ風景が 現在つくり出す風景につながる 子どもの頃、庭に咲いた花を部屋に飾るのが大好きだったという小野さん。母方の実家は田畑に囲まれた茅葺きの古民家で、そんな風景に親しみながら育ちました。その頃の記憶が、現在抱く心の原風景になっていると言います。 「園芸というより植物全般やそれを取り巻く環境に興味がありましたね」。子どもの頃から抱いていた「植物や園芸のことをもっと知りたい」という思いに押され、高校卒業後は、タイやマレーシアの農場を一年ほどかけて見て回り、帰国後は園芸の学校に入学。園芸学校では室内装飾・インドアグリーンを専攻していました。けれど、それだけでは飽き足らず、専攻以外にも面白そうなことは何でも参加し、学校が長期休みに入ると、校内の圃場やハウスで栽培の管理を自主的に行ったり、造園の講習にも頻繁に出席。さらに、都内のインテリアショップやアンティークショップも、時間をつくっては見に行くという生活で、あらゆる感性に磨きをかけていきました。 園芸の学校を卒業した後は、通訳をしていた祖父の影響もあってニュージーランドに渡航した小野さん。ニュージーランドでは、古いモノや拾ってきたモノをさりげなく取り込んだり、自然な植栽を楽しんでいる人が多く、日本のガーデニングとは異なる‘無作為な庭づくり’に感動を受けました。毎日新たな刺激を受けるにつれ、「日本の庭園についてもきちんと学ぶ必要があるのでは?」と感じ始め、帰国後すぐに、鎌倉の造園会社に入社しました。 何世代にもわたって受け継いだものを大事にしながら、自身の趣味を反映させている家が多い鎌倉。土地柄、借景を生かした庭も多かったため、自然に見せる手法や剪定の技術を学びました。学校だけでなく、ニュージーランドや鎌倉で、あらゆることを吸収していったのです。 英国の香りが満ちあふれる 居心地のよい建物内 東日本大震災をきっかけに、奥様の明日香さんと仙台に戻り、以前から考えていた園芸店を自宅でスタートさせた小野さん。住まい兼を兼ねたショップは、イギリスにあるような小さな家がコンセプトです。壁はコッツウォルズのハニーストーンに似た色を選び、屋根の傾斜は現地の角度を参考に。緑の木のドアを開けると、イギリスの香りがさらに強く味わえる世界へ突入です。 室内はイギリスで買い付けてきたというツールや雑貨でいっぱい。暖炉のあるリビングのような空間は、誰かの住まいを訪れたような落ち着いた時間が流れています。 小野さんはイギリスに行くたびに、あちこちのディスプレイをチェック。特に、コッツウォルズのテットベリーという小さな村にある何軒かのアンティークショップがお気に入り。「ショップ巡りはとても刺激になりますよ。この村はリッチなエリアなので、置いてあるものがみんな素敵なんです」。 父方も母方も、祖父が通訳だったことから、幼い頃から海外の人や物に親しんでいた小野さん。「イギリスのトラッドなファッションが昔から好きですね。あまり時代に流されずに、カッチリしたところが好きなんです」。そんな伝統を重んじるイギリス人は、おとぎ話や愛らしい動物が大好き。このショップでは、そんな文化も感じることができるアイテムがいっぱいです。 スワローテイルガーデンの ディスプレイあれこれ 季節ごとにチェンジするスワローテイルガーデンのディスプレイ。イギリスのウインドーディスプレイの雰囲気を意識して飾り付けをしています。その素敵の秘密をご紹介。ぜひ、ベランダのコーナーやもてなしのシーンづくりの参考にしてください。 【ガーデンアイテムは、明るく清潔感が漂うように】 ガーデンツールや雑貨も泥臭い印象にならないように、清潔感を大切に一般的な雑貨と同じ感覚で飾ります。春や夏など開放的な気分になる季節は、明るいカラーにまとめて楽し気に演出しましょう。 【チェアも什器に活用】 テーブルセットの一つであるチェアも立派な什器に。何を置いてもしっくりなじみ、ぬくもりのあるシーンが演出できます。居心地のよい空間づくりにぴったり。 【ドライフラワーもマストアイテム】 なんだか物足りない──そんな場所にはドライフラワーを添えてみましょう。ニュアンスのある色味のものを選べば、落ち着いたシーンを描けます。ほんの少し添えるだけで、絵になるシーンに。 【冬ごもりの時季は、あたたかみを添えて】 寒い時期は外の風景を取り入れながら、心もあたたまるシーンを演出します。野山に行けばいくらでもある枯れ枝は、ディスプレイで活躍する重要アイテムです。花瓶などに数本挿して、動物のオーナメントを添えれば、ォーカルポイントに。この年のクリスマスは、あたたかみのある上品なブラウンでまとめました。「冬の時期のピーターシャムナーセリのようなキラキラ感を取り入れています」。 キッチンツールで アットホームな楽しさを おたまや木べら、キャニスターなどのキッチンツールは、空間に安心感やぬくもりを感じさせるのにぴったりのアイテム。クロスやお菓子などを合わせて、楽しく演出しましょう。 テーブルコーディネートは つややかさと透明感が肝要 大切な人をおもてなしする日は、テーブルセッティングに特に力を入れたいもの。上品にまとめるためには、次の3つが大切です。①色を揃えて少なくとどめること。②ガラスも使って透明感を出すこと。④植物をほどよい分量でさりげなく添えること。 こだわりのスイーツ&ティーも並ぶ 夢のような空間 ショップ内には、「秘密の庭の小さな焼き菓子店」と名付けられた小さなスイーツ&紅茶コーナーがあります。スイーツは、近所で小野さんの母が営むレストラン、「Salon de Cafe MANNE (サロンド カフェ マンナ)」のもの。こだわりの材料で作られたタルトやシフォンケーキ、クッキーが並びます。そして10種類以上ある紅茶は、ドイツのロンネフェルト社のもの。香り高く深い味わいが、優雅なティータイムを演出してくれます。 小野さんのイチオシアイテム 「コッツウォルドストーン」 イギリスのカントリーサイドでよく見られる石積み。庭や牧場の仕切りとしてだけでなく、橋や川岸、建物の塀にも用いられています。イギリスでは景観条例が厳しいので、自然に溶け込むこの石積みが最適なのです。 小野さんは庭の施工も手掛けているので、現在日本各地で石積みをしています。地場産の石を使うこともありますが、雰囲気を出したいエントランスなどには、やはりコッツウォルドストーンがおすすめです。 イギリス人がこよなく愛する草花、お菓子、紅茶、おとぎの世界。それらすべてを取り込んで、トータルでガーデンライフを提案しているスワローテイルガーデン。イギリスのエッセンスがぎっしりと詰まった空間は、しばしの間旅行気分にさせてくれる本格的な演出です。ぜひ訪れてください。アクセスは、仙台市地下鉄南北線泉中央駅よりバスで約15分。 【GARDEN DATA】 スワローテイル ガーデン 宮城県仙台市泉区将監12-11-9-2 TEL: 022-725-6998 https://www.facebook.com/Swallowtail-garden-1426701067608819/ 営業時間:11:00~18:00(冬季は17:00ごろ閉店) 休日:日曜日、月曜日
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東京都

花の庭巡りならここ! 熱帯雨林のジャングルを散歩「板橋区立熱帯環境植物館」
東南アジアの熱帯雨林から高山までをコンパクトにまとめた植物園 「板橋区立熱帯環境植物館」は、1974年に高島平温水プールが開設された際、1階部分に区民の憩いの場として「熱帯植物園」を整備。清掃工場の余熱利用により、当時からバナナやヤシ、スイレンなどが植栽されていました。 その後1994年に、現在の「板橋区立熱帯環境植物館」にリニューアル。世界三大熱帯雨林の中から、日本と関係の深い東南アジアの熱帯雨林に特化して再現しています。海底に見立てた水族館から始まり、標高2,000mの高山(キナバル山)まで順次ジャングルを登っていくような展示内容で、「潮間帯ゾーン」「熱帯低地林ゾーン」「集落景観ゾーン」「雲霧林ゾーン」の4つに分かれています。 植栽面積は約1,000㎡で、ゆっくり観賞しながら回ると大人の足で1時間くらいかかります。水族館の魚は約150種、植物園の植物は約700種をコレクション。特に花が美しい熱帯植物はプルメリアやビワモドキ、ヒスイカズラ、メディニラ・マグニフィカ、バニラ、ラン、果実はミズレンブ、ビワモドキ、バナナ、パラミツ、ビヨウタコノキなどです。友好提携マレーシアのペナン植物園から寄贈されたものも多く、足元や壁際などまで視線を巡らせると、珍しい植物が見つかる楽しみがあります。 日曜・祝日はガイドツアーが行われ、13:00から約1時間かけてスタッフによる解説を受けられます。水族館では餌やり体験も実施、参加費は無料。企画展の内容や季節、咲いている花などによって毎回解説内容が変わるので、何度参加しても楽しめます。企画展やイベントが一年を通して開催されているため、リピーターも大変多く、年間約12万人が訪れる人気の植物園です。 海底を再現した水族館からスタート!海水、汽水、淡水に棲む魚たちを観察 「板橋区立熱帯環境植物館」に入場すると、まずはミニ水族館に出迎えられます。チンアナゴやカクレミノなどカラフルな熱帯魚が泳ぐ海水、淡水と海水が入り混じる河口域に棲むテッポウウオやハゼの仲間がいる汽水、アジアアロワナ、ボルネオカワガメが生息する淡水へとエリアごとに展示。海底から河口、川へと上がっていくイメージです。 こちらは世界最大の淡水エイ、ヒマンチュラチャオプラヤが優雅に遊泳する淡水エリア。上部には熱帯の河口域に根を下ろす植物が見え、水中から上を眺めているような気分になれる展示です。緩やかなスロープを上がって、次はいよいよ植物が息づくエリアに向かいます。 標高の低い熱帯低地から高冷地まで上るにつれて、植生も変わっていく 水族館を後にして現れるのは、潮の満ち引きによって、露出と水没を繰り返す「潮間帯ゾーン」。地表に呼吸根を出す姿が特徴的なマングローブや、ヤシ類などが茂るほか、水辺を好む植物が垣間見えます。 次に進むと、「熱帯低地林ゾーン」が広がります。ラワン材としても知られるフタバガキの仲間など多様な熱帯植物が見られ、ジャングルに分け入った気分に。アコウやガジュマルなど、他のものに絡まるように育つ「しめ殺し植物」も見られ、実際に宿主が枯れて乗っ取られた姿も展示されています。 写真は「集落景観ゾーン」に設けられたマレーハウス。中のベンチで一休みしながら園内を一望できるビュースポットです。この周辺には、低地林より少し高い台地で、人々が集落を作る環境を想定し、生活に利用される植物を植栽。バナナやパパイヤなどのフルーツや、キャッサバ、イモ類などの食用植物、薬や香料に用いられる植物、観賞に向く美しい植物など、人が持ち込んだとされるさまざまな植物が見られます。 順路を進むと、「雲霧林ゾーン」が現れ、ひんやりとした空気を感じて「わあ、涼しい!」という声も聞こえてきます。それもそのはず、このゾーンは標高約1,400m以上の、雨や霧の多い熱帯の高山地を再現しているため。苔や背丈の低いツツジ科の植物、ランなどの着生植物が多く見られます。 企画展やスタンプラリー、体験会など興味深いイベントが目白押し! 撮影/板橋区立熱帯環境植物館 「板橋区立熱帯環境植物館」では、環境や生き物にまつわる企画展を年に11回(合間の小規模展示は8回)行っています。夏休みの「昆虫展」、1月の「ラン展」、春休みの「体感水族館」が、毎年恒例の人気企画。写真は、食べると味覚が変わる「ミラクルフルーツ体験コーナー」で、園内で育った果実を試食するイベントです。 毎回テーマを変えて、年10回以上のオリジナルスタンプラリーを行うほか、フラワーアレンジメントやリース作り、植物画、聞香体験などの講習会も開催しています。 館内には、貸し衣装コーナーもありますよ! トロピカル気分を味わえるアロハシャツやレイなどを纏って、撮影スポットで記念写真を撮るのもいいですね。 土・日、祝祭日は東南アジア料理に舌鼓をミュージアムショップも多彩な品揃え 「板橋区立熱帯環境植物館」では、土日・祝祭日のみ、「喫茶室クレア」がオープンします。営業時間は11:00~17:00(ラストオーダー16:30)で、客席は25席。温室側はガラス張りになっており、ナイスビューが広がります。営業のない平日は飲食物を持ち込んでの休憩もOKです。 撮影/板橋区立熱帯環境植物館 「喫茶室クレア」のメニューは、東南アジアをイメージさせるラインナップ。マレーシアカレー&ライスまたはナン&ミニサラダ、ナシゴレン、ガパオライスが各800円、野菜のキッシュ、ピザフリッタ各400円、お子様セット550円など。飲み物はソフトドリンク、タピオカ、アルコール350円~。写真は大人気のパンケーキ500円。 ※値段は税込 館内にはミュージアムショップもあるので、ぜひ立ち寄りを。オリジナルの缶バッジやポストカード、スタンプ、オリジナルコーヒー、ドライフルーツ、雑貨などが揃います。企画展や季節によって取り扱い製品のラインナップも変わり、毎年1月のラン展の際はランの苗も販売しています。2020年のラン展は最終日が1月13日で、展示品が安く販売されるので、ぜひお出かけください! Information 板橋区立熱帯環境植物館 所在地:東京都板橋区高島平8-29-2TEL:03-5920-1131 板橋区立 熱帯環境植物館 アクセス:電車/都営三田線「高島平」駅下車、東口より徒歩7分バス/国際興業バス「高島第一中学校」下車、徒歩1分※土・日曜、祝祭日、板橋区立小学校の夏休み期間は無料送迎バスあり。時刻表はHP参照(https://www.seibu-la.co.jp/nettaikan/files/timetable2.pdf) 休館日:月曜(祝祭日の時はその直後の平日)、12月28日~1月1日 営業時間: 10:00~18:00(※入館は17:30まで) 料金:大人260円、小・中学生130円、未就学児無料※土・日曜、区立小学校の夏休みは小・中学生無料※団体は20名以上で1名50円引き※障がい者手帳、愛の手帳などをお持ちの方は、大人130円、小・中学生と65歳以上60円、付き添い1名無料
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シンガポール

シンガポールの最新花みどり旅案内〜植物園編〜
シンガポールの日常を感じる朝 シンガポールの私の朝は、毎日決まったこのメニューで始まりました。 「カヤトースト」は薄く切ってこんがり焼いたトーストに、ココナッツミルクを煮詰めて作ったカヤジャムと呼ばれるジャムを塗ったもので、これに半熟玉子をつけて、「コピ」というコンデンスミルク入りのコーヒーをお供にいただく、シンガポールのソウルフードです。毎朝違うお店を選び、通勤途中のサラリーマンの列に並んでみたり、英語ではない現地の言葉での対応に戸惑ったり、今でももう一度食べてみたいと思える懐かしい味になりました。 この日、カヤトーストの朝食を済ませ、地下鉄で向かったのは「シンガポール植物園」。 Singapore Botanic Garden 駅から歩いてもすぐの便利な立地です。 さあ、シンガポール植物園へGo! 「シンガポール植物園」は1859年に開設され、2015年にシンガポール初の世界遺産に認定されています。敷地は東京ドーム13個分にもなる64ヘクタールで、なんと早朝午前5時から深夜の12時まで無休で営業されている、園内の国立洋蘭園以外は無料の施設です。 しかし、この広さを全て見て回るのはとても無理(笑) 写真は、熱帯や亜熱帯地方の代表的な植物であるブーゲンビリア。斑入り葉や八重のものなど多様です。 ブーゲンビリアだけで、こんな景色を作れるガーデンはシンガポールならではかも。 9月末のことですので、最低気温が25℃、最高気温も30℃ほどで、最近の日本の夏の最高気温と数値だけを比べれば、大したことはなさそうだと思うのですが、じつは大敵なのは気温よりも湿度です。年間の平均湿度が84%、9月だと最高湿度が96%、晴れた日の日中でやっと60%程度まで下がります。 早朝からの蒸し暑さで、屋外の植物園は歩くのも嫌になるくらいでした。 背中にTシャツがへばりつくような汗をかきかき歩いて、次は農作物のコーナーへ。 タピオカの原料に遭遇 今人気のタピオカ。じつはこのキャッサバ(Manihot esculenta)の木の塊根のデンプンを加工したものです。 「Ipomoea batatas」Sweet Potato とのことですが、日本では「イポメア‘テラスライム’」として流通している品種と同じかと思います。ここは食用として、栽培が簡単で早く収穫できる植物のコーナーですから、「イポメア‘テラスライム’」も食べてみれば美味しいのかもしれません。味はともかく、食用だということは確かですね。 こちらも同じ場所のイポメアの違うタイプ。花が咲いていました。 園内には所々に休憩所があり、ここで暑さをしのいだり、ストームから避難したり、風景を楽しんだりできる場所になっています。 そこからすぐのヒーリングガーデンの中にある薬用植物ガーデンには、薬用になる植物が植えられていて、昔から、乾燥させた植物を医療に使っていた様子を示す壁画がありました。 名札が付いていなかったので、植え替えの作業をしていた男性に聞いたら 「オイスタープランツだよ、花がオイスターみたいでしょう?」 葉の付け根の辺りが、花を包む紫の牡蠣のように見えなくもありません。西洋おもとでしょうか? これも薬用植物の一つの「Dragon's Tongue」。肺によい植物なのだとか。 他にもいろいろ名前が分からない植物があって、先の男性に聞いていたのですが、ここで私の足元から小さい蟻が上がってきてチクチクと攻撃されてしまいました。それが痛いのなんのって。 「いま植え替えしてるから、蟻がたくさん出て来てるんだよ。違う場所に移動したほうがいいよ!」と男性。 もしかして、私、お仕事のお邪魔だったかもですね(笑) このまま植栽の参考にしたいほど素敵だけど、名前の分からない植物をカメラに収めながら、次の場所に向かっているうちに、風が吹き、雨が降り始めました。 突然の雨と落とし物(?)発見 用意していた傘をさしたけれど、どんどん強まる雨脚に、傘は全く役に立たず、靴どころかパンツまでずぶ濡れに。 これがスコールというものだったのかと、スコール対策の読みの甘さを反省しました。シンガポールの人たちがサンダルで歩いてる理由もうなずけます。長靴でも履かない限り、通常の靴だと間違いなく中まで濡れてしまうからです。 さっきの薬草園の男性が、私が歩き始めようとした時に、室内に入って来た理由も分かりました、変な風が吹いていたのは、スコールの前兆だったのですね。何か私に言いたそうな様子でしたもの。 ずぶ濡れになりながら、オーキッドガーデンまで歩き、そこで雨をしのぎました。かなり長い時間だった気がしますが、ほんの30分ほどだったようです。 雨が上がり、付近を歩いていると、地面に落ちていたのはイチジクのような小さな実でした。 どこかにイチジクの木があるのかしら? と見上げると…… 「ジャボチカバ?」と思えるくらい、幹にみっしり小さな果実がついているじゃないですか! 私の知っているイチジクとは全く違うけれど、これは「Common Red-Stem Fig」と呼ばれる、イチジクの仲間だそうです。 イチジクは漢字では「無花果」と書きますが、この小さい実の中にびっしりと花を咲かせていると説明に書かれていました。美味しくはないけれど食べられるとも書いてあったので、中を割って、味見してみればよかったなぁと後悔。 レポーターとしては、もっと突っ込んだ行動が必要でしたね(笑) ここでオーキッドガーデンに入場したのですが、過去にレポートされているのでそこは省略して、ジンジャーガーデン方面へ進みます。 滝のエリアからスワンレイクに育つ植物をチェック ジンジャー系の植物を集めたガーデンを過ぎ、滝のそばにはこんな素敵な植栽が。滝の飛沫の湿り気と大きな木の陰のちょうどよい環境にピッタリな、ベゴニア類やシダのハーモニー。何枚も写真を撮ってしまいました。 どなたかが寄贈されたという、18mにもなる石の彫刻は、熱帯雨林に育つ200種類の植物を刻んだ素晴らしいものでした。 ウソのように雨が上がり、日差しも出て暑いけれど、どんどん歩きます。 しゃれたレストランもあるのですが、なにしろお高い。そこで、売店のアイスとポテチとジュースで空腹をごまかしつつ、白鳥がいるスワンレイクに着きました。 水面に白鳥が泳ぎ、涼しげに見えますが、やはりここも暑く、そろそろかなりの疲労感が(笑) 朝からずっと暑い中を歩き続けていますから、しばし木陰にあるベンチで休憩し、再び足を進めます。 これは、大砲の木(キャノンボールツリー)です。 遠くからでも目に飛び込んでくる独特の樹形と、赤い花びらにまるでつけまつげをしたかのような雄しべ。これは虫を呼び寄せるためのダミーの雄しべで、本物の雄しべはその奥にあるのだとか。 このモジャモジャしている枝のようなものは、幹から直接出ている花芽で、右下に茶色のものがぶら下がっていますが、これが果実です。キャノンボールとは大砲のことで、ここまで大きくなるのには1~2年かかるそうです。 そして、この実も食べられるそうですが……熟すとたいへん臭いを放つそうです。 さすがにそれを試すのは勇気が必要です。 ここには「ヘリテージツリー」という天然記念物が11本植わっていて、それらをたどるのも面白いのですが、その中の一つが「カポック」の木です。 1933年にここに植えられたもので、高さ43m、幹周り6.2mというサイズ感。パンヤといわれる綿毛が、布団や枕などの詰め物に利用されることから、コットンツリーとも呼ばれます。 ほぼ一日を過ごしたガーデンですが、まだまだ見残したところがたくさん! 次回はまず、完璧なスコール対策をして、もっと効率よく回りたいと思っています。
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カモミールを育てて、カモミール染めをしてみよう!
小花が可愛いジャーマンカモミール カモミールの代表的な品種には、一年草のジャーマンカモミールと、宿根草のローマンカモミールがありますが、今回はジャーマンカモミールをご紹介します。草丈30~60cmの一年草で、1円玉サイズの小さな花を春から初夏にかけて咲かせ、こぼれ種で再び生えてきます。香るのは花の部分。中央の黄色い部分が次第に山形に盛り上がり、白い花びらは反り返ってくるのが、ジャーマンカモミールの特徴です。 ジャーマンカモミールは、カモミールティーとして広く飲まれています。ドイツなど欧州では民間薬として古くから用いられており、リラックスしたい時や、食べすぎなどでおなかの調子を整えたい時にぴったりのお茶です。 お庭から旬の花を摘んでポットに入れ、熱湯を注いで、少し蒸らす。それだけで、フレッシュなカモミールティーを楽しめます。収穫後よく乾燥させれば、ドライハーブとしても保存できます。 ジャーマンカモミールの種まきと苗の植え付けは、春と秋のタイミングになります。早く収穫を楽しみたい方は、苗を購入して育てるのがよいでしょう。栽培は日当たりがよくて、水はけのよい場所が適当ですが、乾燥しすぎるのはよくありません。肥えた土を好むので、野菜栽培用の培養土などが向いています。「ハーブランドシーズン」の永嶋さんも、「野菜の感覚で育てるとよいでしょう。用土に堆肥を混ぜたほうが、しっかりした花になって、よいお茶になります」と、おっしゃいます。 (注意)キク科植物やブタクサのアレルギーのある方は、カモミールの栽培や利用に注意が必要です。 ●カモミールの育て方は、こちら カモミール染めのストール 作り方 さあ、ジャーマンカモミールを煮出して使う染め物を、「ハーブランドシーズン」で教えていただきましょう。 カモミール染めは、発色を促す媒染剤に何を選ぶかによって、染め上がりの色が変わってきます。上写真右の黄色はミョウバンを使った場合。カモミールの花そのままをイメージできる、明るい黄色です。一方、左は木酢酸鉄(もくさくさんてつ)を使った場合。カーキ色のような、渋めの色に仕上がります。今回は、ミョウバンを使ってストールを染めてみます。 【材料】 ジャーマンカモミール 旬の摘みたてカモミールを大鍋にいっぱい(ドライハーブでも染められますし、庭がなくて育てられないという方は、市販のカモミールティーでも染められます) ストール 媒染剤として、ミョウバン(もしくは、木酢酸鉄) 染める前のストール。「絹が一番よく染まりますが、このような軽やかな印象の、化繊の混じったストールも使いやすいですよ」と、永嶋さん(今回使ったストールは、綿、絹、ナイロン、レーヨンの混紡です)。 ストールのカモミール染めの手順 たらいに水を張って、染める前のストールを漬けておきます。 コンロの上にセットした大鍋で湯を沸かし、たくさんのジャーマンカモミールを投入。 くつくつと80℃以上で20分ほど煮出します。 このくらいの色になればOK。 ボウル(もしくは別の鍋)の上に目の細かいザルを置き、まず、カモミールの花や茎、葉を取り出します。 煮出した液をザルに空けて、濾します。 濾した液の中に、絞って水を切ったストールを漬けていきます。 ストールの入ったボウル(もしくは鍋)を再びコンロにかけ、加熱しながら、80℃から100℃の間で15分ほど、箸でかき混ぜながら煮ます(布が傷むため100℃を超えないよう注意)。この時、長く煮ると布の色が濃くなっていきます。だいたいこの色かなと思ったところで、取り出してください。 ストールを取り出して、水の中でゆすぎます。 次に、流水でよくもみ洗いします。もみ洗いして絞ったら、媒染剤の工程へ。 水2Lに対し、ミョウバンの量は小さじ1。まず、カップの水100mlほどで小さじ1のミョウバンを溶いてから、ボウルに張った2Lの水に流し入れて、ミョウバン液を作ります(カーキ色の仕上がりにする場合は、ミョウバンの代わりに、小さじ1/2の木酢酸鉄を使います)。 ミョウバン液にストールを浸し、箸で時々ゆらゆらと布を動かしながら、5~7分漬け込みます。だんだん発色していくので、色を見ながら、引き上げのタイミングはお好みで。 ミョウバン液からストールを取り出して、流水でもみ洗いします。 もっと濃い黄色に仕上げたい場合は、⑥~⑫の工程をもう1度繰り返して、2度染めします。 2度染めして水洗いしたストール。黄色の色が濃く出ています。 よく水洗いしたら、絞って、自然乾燥させてでき上がりです。 ナチュラルな風合いの黄色に、ストールが染め上がりました。中央の永嶋さんが持っている淡い黄色のストールは1度染め、両脇の深い黄色のストールは2度染めしたものです。同じカモミール染めでも、かなり異なる印象の仕上がりになりますね。身にまとってみると、カモミールの香りがふんわりと漂って、いい気持ち。自然の恵みをいただいた、素敵な染め物です。 *「ハーブランドシーズン」では、カモミールの他にも、ラベンダーや蘇芳(すおう)、くるみなど、植物を使った染め物講座を行っています。「ハーブランドシーズン」についての記事はこちらでもご紹介しています。 Information ハーブランドシーズン 〒950-2261 新潟県新潟市西区赤塚5073番地 TEL/FAX: 025-239-3288 開園時間: 9:00~18:00 (冬期は17:00) 定休日:毎週水曜日 Credit 取材&文/ 萩尾昌美 (Masami Hagio) 早稲田大学第一文学部英文学専修卒業。ガーデン及びガーデニングを専門分野に、英日翻訳と執筆に携わる。世界の庭情報をお届けすべく、日々勉強中。20代の頃、ロンドンで働き、暮らすうちに、英国の田舎と庭めぐり、お茶の時間をこよなく愛するように。神奈川生まれ、2児の母。 写真/3and garden
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兵庫県

花の庭巡りならここ! 大小2つの温室で植物の息吹を感じる「手柄山温室植物園」
熱帯植物や砂漠植物が息づく大小2つの温室が充実する植物園 1980年にオープンした、歴史のある「手柄山(てがらやま)温室植物園」。敷地面積は11,334㎡で、ゆっくり散策して30〜40分ほどかかる規模です。植物を通して市民が交流できる憩いの場として、また植物の知識を普及する場として手柄山中央公園内に整備された植物園で、年間約3万もの人々が訪れます。 特筆すべきは、大小2つの温室。サボテン、洋ラン、ベゴニア、食虫植物を中心とした熱帯、亜熱帯、砂漠に生きる植物を120科1,500種、2万5,000株を展示しています。温室内にも四季があり、カエンボク→ブーゲンビレア→マンゴー→ラッセレア→グアバ→バナナ→アリストロキア・ギガンティア→オドントネマ→カリアンドラへと開花リレーが繋がり、見どころは季節とともに移ろいます。 温室以外にも、一年草など季節を彩る草花が植栽される大きな花壇、主にオーストラリア産の植物で構成されるロックガーデン、ラベンダーやセージ、タイムなど多様なハーブが植栽されたハーブ園などがあります。春は芝桜、パンジー、バラ、初夏はラベンダー、アジサイ、夏はペチュニア、ベゴニア、ヒマワリと、四季を通してさまざまな花木や草花で彩られ、いつ訪れても華やかです。 また、定期的に多様なイベントが開催され、リピーターが多いのも特徴。夏は子どもたちを対象にした「ジャコウアゲハとウマノスズクサ観察会」、「食虫植物観察会」、「市花さぎ草観察会」、秋は「手柄山散策ツアー」、3月には市花であるサギソウの球根を植え付け、育て方を学ぶ「さぎ草ふれあい教室」があります。 その他、エントランス展示室・レンガ広場展示室では、四季折々に旬の植物に注目し、年に十数回の展示入れ替えを実施。いつ訪れても楽しい企画展が開催され、「毎回の展示会が楽しみ」という声が寄せられています。園内では花苗の販売も行っており、企画展の内容に合わせて品種を豊富に揃えた花苗を目当てに訪れる人も多いとか。売店では土産物や雑貨も販売しているので、お買い物を楽しむのもいいですね、ぜひお出かけを! 日差しが燦々と降り注ぐ温室内で熱帯や砂漠の植物が旺盛に育つ 写真は大温室の様子。約660㎡のドーム空間では、オオギバショウ(タビビトノキ)、マンゴー、ガジュマルがシンボリックな存在。数々のトロピカルプランツが元気いっぱいに枝葉を広げ、冬でも植物の強い生命力が感じられます。写真に写っているのは、タコノキ、ラン類、食虫植物など。途中、階段の上には滝の噴出口があり、大温室内を巡る水のせせらぎにも癒やされます。 こちらの写真は小温室の様子。サボテンを中心に砂漠で生息する多肉植物を、原産地別に展示しています。写真に見えるのはブリンチュウ(武倫柱)、リュウジンボク(竜神木)、キンシャチ(金鯱)など。大きく立派に育った姿には、歳月を重ねたからこそ得られる迫力が備わっています。 ロックガーデン、ハーブ園も見どころ四季の企画展も多様に展開 写真は、園内のロックガーデンの4月の様子で、約1,000株の芝桜が見頃を迎えています。岩の合間を縫うように這い広がり、密に花をつけてピンクの濃淡に染め上げる様子は一見の価値あり。季節が進むと、このロックガーデンではグレビレア、バンクシア、ゼフィランサス、カリステモン、プロテア、メラレウカ、ルリマツリなどの植物が開花します。 また、ハーブ園には、約100種類のハーブが植栽されています。ミント、タイムなどの香りを楽しむものや、ラベンダー、ローズマリー、セージなど花の美しい種類も多くあります。 色や形が「白鷺」にそっくりなことから名づけられたサギソウ。姫路市は、市のシンボルである姫路城(別名白鷺城)にちなみ、昭和41年8月に姫路市の市花に定めました。手柄山温室植物園では、約1,000株が栽培されており、8月が見頃です。また季節に関係なく観賞できるよう専用の栽培温室を設け、周年咲くように開花調整しています。夏には「市花さぎ草展」を開催。 毎年12月にはシクラメン展を開催。約50種、200株のシクラメンがクリスマスツリーやリース、スワッグなどとともに展示され、クリスマスカラーで華やかに彩られます。展示会期間中は、シクラメンの奥深い世界を解説する展示ガイドが行われるほか、クリスマスにちなんだアロマ小物づくり、カラーベル演奏会なども開かれますよ! レストハウス「花の家」で一休み花苗や土産物のショッピングも楽しもう! 「手柄山温室植物園」には、レストランや喫茶店はありません。飲み物やアイスクリームなどは自動販売機で、また休憩コーナーのあるレストハウス「花の家」では、コーヒー、紅茶、パンなどの販売をしています。お弁当や飲み物、おやつなどの持ち込みもOK。園内には写真のように姫路市の南部地域を一望できるデッキテラスが設けられているので、風を感じながらランチやおやつタイムを楽しむのもいいですね。 園内のレストハウス「花の家」では、季節の草花や園芸資材のほか、各種展示会に応じた植物を販売しています。写真はシクラメン展期間中の様子で、多品種が揃っています。オリジナルブレンドの培養土も人気商品の一つです。 また、手柄山温室植物園オリジナルのポストカードほか、さぎ草グッズ、ハーブグッズ、雑貨、「姫路モノレールグッズ」のレアアイテムを扱う売店もあり、お買い物も楽しめますよ! Information 姫路市立手柄山温室植物園 所在地:兵庫県姫路市手柄93(手柄山中央公園内)TEL:079-296-4300 手柄山温室植物園 姫路 手柄山 温室 植物園 (公式)(@tegara_shokubutsuen) アクセス:電車/山陽電車、「手柄駅」下車、のち西へ徒歩約10分バス/神姫バス、(JR姫路駅北口発)94系統「手柄山中央公園口」下車、のち西へ徒歩約5分(※土日祝日・夏休みには、園真下の停留所に留まる便利な『手柄山ループバス』が運行。神姫バス、(JR姫路駅南口発)97系統「武道館植物公園前」下車すぐ。詳しくは神姫バスHP「手柄山ループバス」参照)車/姫路バイパス「中地ランプ」から約10分 休園日:金曜日(祝祭日の時はその前日が休園日)、12月29日~1月1日 営業時間:9:00~17:00(※入園は16:30まで) 料金:大人210円、小人(6歳から中学生)100円※団体(30人以上)の場合、大人170円、小人50円 駐車場:普通車/手柄山中央公園内駐車場(温室植物園前駐車場 または手柄山中央公園内駐車場 徒歩約5分) 1日1回200円大型バス/山上まで上がれないので、ふもと近くで乗客下車後、車両だけ野球場西駐車場 または文化センター南駐車場へ停車を。1日1回800円。
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東京都

日常が豊かになる、飾る花、育てる花。『西荻百貨店』東京・西荻窪 今日はてくてく、「花屋さん日和」Vol…
入っているお店は4つ。花屋さんと、カフェ、山野草のお店。そして地下では内装と家具のショップが開店準備中です。オープンしたのは5年前の2013年。『草と花 一草(isso)』の砂森聡さんが、発起人となって生まれた場所です。 ペパーミントグリーンのドアを開けて、最初にあるのは、そう、前回ご紹介した花屋さん『イッカ』。季節の草花をメインに少量多品種で揃えています。 オーナーの西野純子さんの花選びの基準は、ニュアンスのある色合いで、きれいなラインをもつ花。たとえば、取材時に店内にあった、この写真の花、エンシクリアがそう。カラフェやコップにさりげなくいけても、様になりますよね。日常の花でも、ちょっとだけおしゃれに決まります。 壁沿いに並んだ花器や多肉植物に似合う鉢を見ながら奥へと進むと、右手に、大小のテーブル席が4つ並ぶ部屋が現れます。ここがカフェの『くろもじ珈琲』。 引き戸の向こうのテラスは『草と花 一草(isso)』のスペースです。山野草のなかでも、楚々として、身近なものを選んで、ここに迎えているそう。 取材時に見つけた、この白い花は台湾梅花カラマツ。細いワイヤーのような茎咲きに可憐な花を次々と咲かせます。ほかに、テラスにあるのは落葉樹と実がなる木。色づき、実が膨らむたびに、季節の移ろいを知らせてくれる植物たちです。 カフェの『くろもじ珈琲』に戻って、ちょっと座ってみましょう。取材のときには、窓の向こうにはハンカチの木の青葉が広がっていました。窓辺や棚で、いつも山野草をいけている一輪挿しは、砂森さんと以前、ともに働いていた『カタチ製作所』の器です。 ほら、見ていて、ゆったりとした気持ちになってきませんか? 外の景色を眺めて過ごす時間が好きで、ひとりで訪れる人も多いよう。これから訪れる雨の季節にも、潤う花と緑で楽しませてくれる西荻窪の小さな隠れ家です。いける花と育てる花。ふたつの楽しみを探しにお出かけしてみませんか? 最後に、カフェメニューも少しだけ紹介しておきますね。サイフォンで煎れるコーヒーは、埼玉のコーヒー専門店で特別にブレンドしてもらった豆を使用。 最近、始めたカヌレはひとつ250円。 そして、これが、訪ねる日の朝からわくわくしてしまうキーマカレーです。スパイスのバランスがよく、トマトの酸味もさりげなく効いています。ポーチドエッグを割って、召し上がれ。サラダつきで870円。 おなかをすかしてお訪ねを! Shop Data:西荻百貨店 ホームページ/http://isso-1999.com、http://icca-flower.com 住所/東京都杉並区西荻北4-35-10 西荻百貨店内 電話/03・3395・3122(西荻百貨店代表) 営業時間/11~18時 定休日/木・日曜(臨時休業、夏季休業あり) アクセス/JR中央線・総武線 西荻窪駅北口より徒歩10分 Credit 記事協力 構成と撮影と文・鈴木清子
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大阪府

花の庭巡りならここ! 体験型イベントが盛りだくさんの温室植物園「咲くやこの花館」
地球上のさまざまな気候帯に根づく多様な植物をコレクション 1990年にオープンした「咲くやこの花館」は、建築面積約4,750㎡、延床面積約6,890㎡で、じっくり展示を眺めて歩くと1時間以上かかる広さ。大阪市で開催された「国際花と緑の博覧会」のメインパビリオンとして建設された植物園です。園内には、5,500種、1万5,000株がコレクションされ、そのうち常に300〜400種が開花するように栽培されています。 館内は「熱帯雨林植物室」「熱帯花木室」「乾燥地植物室」「高山植物室」にゾーニングされ、地球上のさまざまな気候帯に生息する植物を見学することができます。ヒマラヤの青いケシ(メコノプシス)、フニーバオバブなど、数々の珍しい植物が揃う点も見どころです。バックヤードで温度調整、開花調整を行って、一年を通じてさまざまな花が見られる工夫がなされ、なんと夜に咲く月下美人を日中に開花させる技術も披露しています。 また、屋外に外部庭園も整備されているので、こちらにも足を運んでみたいもの。熱帯の水辺を模したロータスガーデン、熱帯植物の中でも耐寒性のあるものを集めたトロピカルガーデン、ジャカランダがシンボルツリーのブロッサムガーデン、地中海式気候で息づく植物を集めたメディタレニアンガーデン、英国様式の見本庭園プチイングリッシュガーデン、乾燥地気候に根差す植物を集めたデザートガーデン、山野草の栽培に好適な、岩を組み合わせて作ったロックガーデンなど、多様な庭園スタイルを見学できます。 「咲くやこの花館」では、一年を通してさまざまな企画展やイベントを行っているのも魅力の一つです。「咲くや塾」と題し、植物など生物に関する大切な話や、企画展のテーマに合わせた話をしたり、他にも寄せ植えやドライフラワー、プリザーブドフラワー制作の講習会、収穫体験会、クラフト体験会など幅広く展開しています。 館内にはレストランがあるので、ランチを楽しむのもいいですね。営業時間は11:00〜15:30(ラストオーダー15:00)、定休日は月曜です。メニューはお弁当、カレー、麺類など軽食がメイン。また、吹き抜けのフラワーホールではカフェ(不定期)もオープンしています。館内への飲食物の持ち込みも可能で、限られたエリア内で飲食できます。 また、ミュージアムショップも大人気。植物に関する雑貨や「咲くやこの花館」ならではのオリジナルグッズ、書籍、食品、植物、花苗などが多様に揃い、お土産や記念品などのショッピングも満喫できます。年間約23万人が訪れるという「咲くやこの花館」は、一度は観ておきたい、充実の植物園です。 ガラス張りを通して燦々と光が差す温室では自生地で見るような自然な姿に植栽 「熱帯花木室」では、熱帯の果樹類やヤシ類、美しい花の咲く熱帯性の花木などをメインに植栽しています。トロピカルフルーツは、スターフルーツ、バナナ、マンゴー、パパイヤ、ライチ、レンブ、ジャボチカバ、ドラゴンフルーツ、アセロラ、パイナップルなど多彩。日本では自生するのが難しいものばかりなので、どんな樹姿で、どのように実をつけるかを子どもと一緒に観察すると、食育の場にもなりそうです。 「熱帯雨林植物室」では、熱帯雨林のジャングルをイメージして植栽されています。ジャングルに自生する植物に着生して育つ多種多様なラン類も自然に近い姿で再現。また、沖縄や東南アジアに自生する植物として有名なサガリバナや、世界一横に大きな葉で有名なオオオニバス、色とりどりの熱帯スイレンなども見られます。基本的に、同じ仲間の植物を近い場所に配置しており、同属内での形や色の変化などを視覚的に分かりやすくした展示も特徴的です。 「咲くやこの花館」では、毎日フラワーツアーを開催しています。個人での参加の場合は当日受け付けOK(団体の場合は要予約)。参加費は無料で、約30分かけて館内の植物の見どころやイベントの紹介などのガイドを受けられます。館内案内所で申し込みができます。詳しくはお問い合わせください。 季節を通してさまざまな企画展を開催体験型のワークショップにもぜひ参加を 「咲くやこの花館」では、季節に合わせてさまざまな企画展を行っており、これがリピーターが多い理由の一つです。毎年3月頃に開催されるのは、約200品種が展示される春の洋蘭展。1階フラワーホール中央のステージを中心に、「大阪愛蘭会」の会員のみなさんが手塩にかけて育てた、数々の洋蘭が見られます。この企画に合わせ、育て方の講習会や展示解説が行われるほか、約2,000株の洋蘭が販売されます。 ゴールデンウィークに合わせて開催されるのは「熱帯フルーツ展」です。約20種の熱帯フルーツや、実際に木になっている様子を展示。写真のように色とりどりのタイの傘を吊してステージショーを開催するなど、会場全体が熱帯地域の雰囲気で包まれます。 7〜9月頃に開催されるのは、食虫植物を約50品種集めて展示する「虫を食べる植物展」。特に子どもに人気の高い企画展で、毎年テーマが変わります。食虫植物が虫を食べる様子を、実演を交えつつ行うライブ解説や、食虫植物の育て方講習会、食虫植物グッズを作るワークショップなど、多彩なイベントを実施しています。 クリスマスを盛り上げる飾り付けが素敵!毎年開催する音楽コンサートも大人気 クリスマスのシーズンには、毎年テーマを変えた飾り付けが行われます。世界各地のツリーの展示のほか、色とりどりのポインセチアやクリスマスツリー、リース、イルミネーションなど、華やかなディスプレイが見どころ。フォトスポットも登場するので、訪れた記念に、ぜひSNS映えする写真を撮りましょう! 大温室では地元の中・高校吹奏楽部によるクリスマスコンサートも開催、定番のクリスマスソングや世代を超えて楽しめる音楽が披露されます。2019年のスケジュールは以下の通りです。 日程と出演:12月15日(日)大阪信愛学院中・高等学校12月21日(土)大阪国際滝井高等学校12月22日(日)大阪府立四條畷高等学校 演奏時間:15:00〜16:15 会場:1Fフラワーホール 参加費:無料(別途入館料) ※イベント内容・展示は変更となる場合があります。 年明けからもイベント目白押し冬の「咲くやこの花館」を満喫しよう! 1月5日(日)~26(日)は、「POPなきのこ展」を開催。前回の初開催では、14日間で1万3,000人を超える来場者があり、大反響でした。きのこの標本に、虫から出てくるきのこ「冬虫夏草」標本。そして、きのことコケの融合「きのこリウム」の展示は、おそらく日本初⁉︎ SNSで話題になった、きのこリウムの世界に入ったようなフォトスポットも再び登場します。きのこにまつわるさまざまなワークショップが行われ、ここでしか手に入らないきのこグッズも販売。ポルチーニアイスの試食も予定(土・日曜・祝祭日限定)。1月25日(土)には、きのこ博士の講座に、さまざまなきのこ分野で活躍する方々のトークショーを開催。最終日に予定されている、きのこお洒落が集うきのこのファッションショー「きのこコレクション2020」も大注目です。 2月1日(土)~3月1日(日)は、若い世代に大人気の「カカオとコーヒー展」を開催。実際に実がついているカカオやコーヒーノキを目の前で観察できます。 そして、「カカオとコーヒーのなるほど!ライブ解説」(1日3回無料)では、人とカカオやコーヒーの歴史、関わりを紹介。チョコレートの原料となるカカオニブスの試食も体験できます。 行列ができる人気ロースターやバリスタチャンピオンによるセミナー、グルメに関するワークショップが実施されるほか、3月1日にはミニ・ライブも開催。ワールドトラベルカフェ(期間中毎日開店)では、世界13カ国のアレンジコーヒーやカカオティーを楽しめます。 冬の「咲くやこの花館」は、「おいしい、あったか、いい香り」。 植物が生い茂る温室で、ほっこりしませんか? ※イベント内容・展示は変更となる場合があります。 Information 咲くやこの花館 所在地:大阪府大阪市鶴見区緑地公園2-163TEL:06-6912-0055 大阪の植物園-咲くやこの花館 アクセス:Osaka Metro長堀鶴見緑地線「鶴見緑地」駅より徒歩約10分 オープン期間:1月5日~12月27日 休園日:月曜(祝祭日の場合は翌平日) 営業時間:10:00~17:00(入館は16:30まで) 料金:大人500円※中学生以下、障がい者手帳等をお持ちの方(介護者1名を含む)、大阪市内在住の65歳以上の方は無料【要証明(生徒手帳、健康手帳、敬老優待乗車証等の原本)】※団体割引あり 駐車場:有(中央第2駐車場 大型車8台 普通車200台)
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北海道

カメラマンが訪ねた感動の花の庭。北海道「大森ガーデン」の植栽術
グラスが存在感を発揮するシーズン 前回は、「大森ガーデン」の庭づくり物語をご紹介しましたが、ここからは、2019年10月に今井カメラマンが撮影した写真に写る、各コーナーを詳しくご紹介します。ガーデンづくりにお役に立てればと思います。 まず、ご紹介するのは逆光に浮かび上がるグラスが美しいコーナーです。直立型のグラス類、パニカム‘ノースウィンドウ’は、台風でも倒れない性質をうまく利用して、スクリーンの役目を果たすように植栽しました。このスクリーンとしての植栽は、こちらからは向こう側が見えないのと同様、向こうからもこちら側が見えないというように、植物の造形をうまく使って、構造物に頼らずにガーデンの見え方を変える方法として有効です。すらりと立ち上がるパニカム‘ノースウィンドウ’の株元が寂しくならないように、白からピンク、そして秋には赤へと色変わりするつぼみを持つセダム‘オータムジョイ’を植栽。‘ノースウィンドウ’は、その草姿の美しさとともに、ブルーグレーグリーンから次第にゴールドに近くなっていく葉色の変化も楽しむことができます。 芝生の小道を挟み、右側は、数品種のグラス類と宿根草をモザイク状に植栽したエリアです。この時期最高のパフォーマンスとなるのが、カラマグロスティス ブラキトライカ。株元で濃い赤ワインがかったローズ色の花、アスター‘ロイヤルルビー’が白い穂と美しく共鳴します。その傍で長い茎をくねくねとさせているのは、リアトリス ピクノスタキア。花後も造形的なその草姿は、ガーデンパフォーマンスに優れているので、冬までカットせずに楽しみます。左手前はバプティシア オストラリス‘アルバ’(センダイハギの白花種)。ブルーグレーがかった葉とまっすぐに立ち上がった草姿で、秋の倒れこむような姿になっても魅力は損なわれません。左手の遠くに見える白く細い花は、ペッシカリア アンプレクシコウリス‘アルバ’。 画面左手一番奥のグラスは、ミスカンサス‘ゼブリナス’。約150〜200cmと丈高く生い茂るので、広い景観の中でその存在感をアピールできます。その手前は、グラス類のカラマグロスティス ブラキトライカ。花穂は9月後半からどんどん太く密になり、最終的には写真のように白っぽくなって、一際その美しさを放ちます。その手前はグラス、デシャンプシャ セスピトーサ‘ノーザンライツ’で、寒い時期になると、緑とクリームの斑入りの葉がローズ色を帯びて美しい品種です。このデシャンプシャ セスピトーサの特徴は、葉はあまり立ち上がらず地面近くで茂って、茎だけが伸びて花穂をつけるところ。グラス同士の組み合わせも、グラスと宿根草、または宿根草同士の組み合わせと同じく、草姿、花穂の形や垂れ具合、そしてその散らばり方、色など、さまざまな特徴が季節を追って変化するという造形の全貌を頭に入れて行っています。 見事に直立しているグレーグリーンの葉は、グラス、パニカム‘ノースウィンドウ’です。過去の歴代台風の雨風にも耐えて倒れません。穂は、パニカムの特徴であるビーズのような小さな粒々の集まりですが、他のパニカムほどは広がりません。その背景に見えるのは、グラス、デシャンプシャ‘ゴールドタウ’の花穂です。パニカム‘ノースウィンドウ’の背景として、霧のようにフワ~ッと広がり、その隙間を埋めるように直立する‘ノースウィンドウ’の草姿を和らげる役割を果たしています。これらのグラスの手前には、高性種のセダム‘フロスティーモーン’、セダム‘オータムジョイ’をメインに、季節ごとに変わる景色を楽しめるようにと開花時期が異なる宿根草を数品種植えています。この時期は、ちょうどアスター‘リトルカーロウ’のブルー系の鮮やかな花色が、落ち着いた中にも華やかさを添えてくれています。 明るい葉色のグラス、ミスカンサス‘コスモポリタン’(ススキの仲間)は、人の背丈ほどの高さになります。広がりは100㎝ほど。葉は白と緑の縦縞ですが、斑入り葉が主張することはなく、全体的に白っぽく見えるため、周囲が明るくなります。また、穂が大きく広がったり倒れこむこともないので、大型ではありますが、ある程度の庭の広さがあればおすすめのグラスです。この一株でも十分フォーカルポイントとして成り立ちます。 直立型のグラス、カラマグロスティス‘オーバーダム’。夏は緑に細い白の縦縞が入る葉ですが、斑入りであることにはあまり気付かず、むしろそのために緑葉のカラマグロスティス‘カールフォースター’よりも白っぽく見えて優しい印象です。その草姿の特徴から、私はスクリーン仕立てに植栽することが多いです。カラマグロスティス‘オーバーダム’の花穂がつくり出す「透かし効果」によって、その向こう側に植えられているものが、より柔らかい印象になるのです。夏の紫がかった花穂は成長するにしたがって色がどんどん変わり、秋は白っぽいベージュに。風に揺れるその様に癒されます。 こちらは、グラスをスクリーン仕立てにした植栽例です。ここでは、カラマグロスティス‘オーバーダム’を使いました。白っぽいベージュの花穂が横一列に並んでいるのがそれです。左にちらりと高い位置に見えるルビー色の花はアスター‘セプテンバールビー’。カラマグロスティス‘オーバーダム’の花穂が、ルビー色の花を優しく包むような「透かし効果」を発揮しています。手前のアスチルベは、あえて花後の穂を切らずに造形として残しています。茶色になってもそれを一つの色として、また造形の一つとして役割を十分果たしてくれるので、花後のカットはしません。もちろん、こぼれ種で増えて困ることのない品種ですから。 細い白っぽい葉のグラスは、アンドロポゴン‘プレーリーブルーズ’です。シルバーグレーグリーンの葉は、寒い時期には赤ワイン色を帯びます。手前のエキナセアのシードヘッドが、白く輝くアンドロポゴン‘プレーリーブルーズ’の葉色をバックに浮き上がって見えますが、日中または夕方の光を浴びて‘プレーリーブルーズ’が赤ワインがかった色合いに見えるときも、その互いの美しさは変わりません。長い茎がくねくねとしているのはリアトリス ピクノスタキア。手前の赤ワイン色がかった濃いローズの花はアスター‘ロイヤルルビー’。アンドロポゴン‘プレーリーブルーズ’の葉が赤ワインがかる頃に、同じように赤ワイン色がかった花を咲かせるので、その色の繋がりを意識して植栽しています。このように、それぞれの品種が季節によって変化していく過程においても、できる限り双方の色や形の組み合わせが魅力的に見えるようにデザインしています。 右手前から、アスター‘プロフェサーアントンキッペンバーグ’は、明るい水色に近いブルーの花を咲かせて、低くマット状になっています。ルドベキア‘ゴールドスターム’は黒い球状のシードヘッドをつけ、赤ワインのようなローズ色の花をアスター‘ロイヤルルビー’が咲かせ、背が高いグラス類のミスカンサス‘ゼブリナス’が茂みとなっています。 左手前からは、茶色の立ち上がるシードヘッドをつけたアスチルベ‘ビジョンズインレッド’、シルバーグリーンのこんもりとした株は、アキレア‘コロネーションゴールド’、その後ろはフロックス パニキュラータ(緑の草丈ある塊)。そして細い直立するベージュの花穂、カラマグロスティス‘オーバーダム’。さらには、ブルーのアスター‘プロフェサーアントンキッペンバーグ’、その後ろには、ホスタ。 高さのあるグラスを左右前後に植栽し、その間を抜けて奥は何があるのかと好奇心を抱かせる小道にしています。アーチなどの構造物を設けないで、植物の造形だけで奥行きを感じさせたり、人の興味を引き期待感を高める植栽法です。 手前には、グラス、デシャンプシャ‘ノースウィンドウ’(白っぽい花穂を立ち上げている)、その左手のグラスは、パニカム‘ヘビーメタル’(ビーズ状の粒々が散るような花穂がとても美しい)。フロックス パニキュラータ‘デービットラベンダー’(うすピンクの花)が、手前に植えた「エアリー感」のあるグラスの花穂によって、その向こうで軽やかに跳んでいるように見えます。 ラウンドするように群植したグラス、デシャンプシャ‘ゴールドタウ’のゴールドの花穂が霧のようになって、圧倒的な効果を発揮してくれることを期待してデザインしたエリアです。まさに、十分に応えてくれて、秋が進むとよりいっそうゴールドの海となりました。所々に直立するグラス、パニカム‘ノースウィンドウ’を植えて変化をつけ、その向こう側や手前株元には、差し色として季節を追ってリレーして咲くように宿根草を品種を変えて所々に植栽しています。今、手前の株元に咲いているのは、濃い赤ワインがかったローズ色の花、アスター‘ロイヤルルビー’。向こう側に咲いているのは、アスター‘リトルカーロウ’やフロックス パニキュラータ‘デービットラベンダー’、そして‘ブルーパラダイス’。透かし効果で、グラスの花穂の向こう側に草花がちらちらと見える様子が心地よさを感じさせてくれます。 秋は青〜紫〜ルビー色のアスターが彩りに グラス類のカラマグロスティス ブラキトライカのダイナミックな秋の花穂とアスター‘リトルカーロウ’の明るい紫の花が優雅に咲き誇る秋。 カラマグロスティス ブラキトライカの花穂が垂れ下がるまで、その株元が寂しくならないように、ペッシカリア アンプレクシコウリス‘ブラックフィールド’を植えています。ペッシカリア‘ブラックフィールド’は、ペッシカリア アンプレクシコウリスの中でも草丈が低く、このような場所でちょうどよいバランスが保てます。アスター‘リトルカーロウ’の花々が開花する前には、その株元に植えたルビー色の花が咲くアスター‘ハーブストグラスフォンブレッサーホフ’(草丈約40cm)が色を補ってくれます。‘リトルカーロウ’の花後には、濃い青紫の花が咲き、草丈が低いアスター‘パープルドーム’が鮮やかなポイントカラーの役目を果たします。 写真内、左手に見える空に向かって高く花穂が揺れているのは、グラス、モリニア‘トランスペアレント’。中央の白く狐のしっぽのように見える花穂はグラス、カラマグロスティス ブラキトライカ。手前で溢れるように咲いている水色に近い青紫の花は、アスター‘リトルカーロウ’。その株元に咲く、低く直立している濃いめの青紫の花はアスター‘パープルドーム’。細く赤いキャンドルのような花を咲かせているのはペッシカリア‘JSカリエント’です。 名脇役が勢揃いする晩秋の宿根草 派手な花が咲く時期ではないけれど、それぞれの持つ造形を生かした植栽です。高性種のセダム‘フロスティーモーン’とセダム‘オータムジョイ’のカリフラワーのような花がつくり出す景色は、全体としては平面的な植栽ですが、そこにルドベキア‘ゴールドスターム’によるひとつまみのショッキングカラーが差し入れられています。同系色を集めたグラデーションが美しい庭も素敵ですが、差し色になる黄色、赤、などを上手に使うのもおすすめです。 ここから眺める景色は、奥へと広がるいくつかのエリアが見渡せる場所。まるで宿根草の海のようなイメージです。各エリアの重なり合う色合いと造形が、宿根草の主役と脇役の交代とともに季節によって変わっていきます。 季節によってその品種の観賞部位が変わったり、主役から脇役になったりすることをふまえて、重なり合う色合いがいつでも美しく見えるようにと品種を選んで植栽しています。画面手前から順に、花後のネペタ‘シックスヒルズジャイアント’(シルバーグレーグリーン)、アスター‘パープルドーム’(濃い紫)、花後のリアトリス スピカータ(中央、焦げ茶の長いブラシ状のシードヘッド)。さらに、その奥には、アスター‘プロフェサーアントンキッペンバーグ’(水色っぽい青紫)、ペッシカリア‘オレンジフィールド’(細いキャンドルのように見える赤花)、アスター‘ロイヤルルビー’(ワイン色がかった濃いローズ)、花後のリアトリス ピクノスタキア(右手少し後方、薄緑の立ち上がった棒状のシードヘッド)。カラマグロスティス ブラキトライカ(左手、グラス。白っぽい狐のしっぽのような花穂が群生している)。ミスカンサス‘ゼブリナス’(右手後方、緑の背が高いグラス)。 観光ガーデンを持ちながら、1,200~1,300もの品種の宿根草を生産し取り扱っているナーセリーの「大森ガーデン」。2020年はガーデンをつくり始めて12年を迎え、これまでも挑戦してきた “持続可能なガーデン(サステイナブルなガーデン)づくり”と“ローメンテナンスなガーデン作業の確立”を実現する場所へと、成長中です。 Credit 文/大森ガーデン 大森敬子 http://omorigarden.com 写真/今井秀治 バラ写真家。開花に合わせて全国各地を飛び回り、バラが最も美しい姿に咲くときを素直にとらえて表現。庭園撮影、クレマチス、クリスマスローズ撮影など園芸雑誌を中心に活躍。主婦の友社から毎年発売する『ガーデンローズカレンダー』も好評。
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新潟県

「私の庭・私の暮らし」 佐潟の自然の中でハーブの魅力を伝える 新潟〈ハーブランドシーズン〉
水辺を見下ろす素晴らしいロケーション ハーブランドシーズンの建物は、佐潟(さかた)の水辺を見下ろす傾斜地に建っています。高低差があるおかげで、テラスからの見晴らしは最高。電線などの一切ない、開放感あふれる景色を一望することができます。 佐潟は国内最大の砂丘湖。砂丘と砂丘に挟まれたくぼ地に湧き水が溜まってできたという、国内でも珍しい成り立ちの淡水湖です。佐潟は昔から、人々の生活と共にある水辺として活用されてきました。今では希少な植物も残るこの一帯を守るため、地域の人々は環境保全に努めています。この湿地は、水鳥の生息地を守る「ラムサール条約」に登録され、野鳥の宝庫として知られます。200種を超える野鳥を観察することができ、コハクチョウやマガモといった、渡り鳥の越冬地としても有名です。 ハーブランドシーズンは、その佐潟を一周する遊歩道に面した、ナチュラルな雰囲気のハーブ園で、2002年にオープンしました。広々とした敷地には、ハーブ、草花、野菜、果樹、樹木など、100種を超えるさまざまな植物が健やかに茂り、鳥のさえずりが絶えません。 5月末のカモミール、7月のラベンダー、盛夏のハス、晩夏のレモングラスと、園内の景色は変わり続け、季節ごとの楽しみをもたらします。 無農薬ハーブを使った充実の講座 佐潟の近くで育った永嶋さんは、結婚を機に農業に携わり、その後、ハーブの道に進むようになりました。園内を足取り軽く歩き回って、「この植物はね、こうなのよ」と次々に教えてくれる様は、まるでハーブを知り尽くしたチャーミングな魔法使いのよう。採れたてのハーブをたっぷり使った体験講座で、ハーブのあれこれをとことん学ばせてくれます。 園内のハーブや植物は、すべて無農薬で栽培するというのが、永嶋さんのポリシー。その安心なハーブを使って、ハーブティー体験や花摘み、ハーブのコスメ作りといった体験講座を提供しています。また、ハーブを使った料理や薬膳、つるカゴなどのクラフト制作、植物を使った染め物など、いろいろな角度から植物について深く学ぶ講座も、多々行っています。 さまざまな植物がおおらかに育つ園内 建物の前に広がる斜面は、色とりどりの草花が植わり、お花畑のような雰囲気です。訪れた6月上旬は、カモミールの刈り取りがほぼ終わったところで、赤いポピーの野原となっていました。この後、夏に向けてセンニチコウが生えてきます。カモミールは、こぼれ種でまた来年生えるそう。 佐潟のほとりはスイカの産地として知られる砂丘で、園内はどこもさらさらとした砂地です。佐潟から吹く風が通り抜ける、日当たりのよい乾燥した砂地の斜面に、ハーブを中心としたたくさんの草花が元気に育ちます。 草花は時に、意図していない場所にこぼれ種で生えてくることがあります。土地が広いこともありますが、永嶋さんはそんな時でもあまり気にしません。植物に「君がここにいる意味があるかな?」と問いかけ、どうしても違うと感じた時は、移動してもらいます。 クワ(マルベリー)やジューンベリーなどの果樹も、ところどころに植えられています。クワの中でも、昔からある、葉を蚕に与える品種は小粒の実をつけますが、最近の人気は大粒の実をつける品種です。クワの実はケーキに添えるなどして使いますが、収穫が追い付かず落下することもしばしば。地面に落ちた実は染め物に使っています。 昔からのクワ(右)は葉が大きく、実は小粒。近年流行のマルベリー(左)は、葉は小さいけれど実が大粒です。園内にはアンズなどの果樹もありますが、鳥が食べるのが先か、人が食べるのが先かという競争になるそう。野鳥の宝庫ならではの悩みです。 敷地を縁取る木々 佐潟に面する側にはいろいろな樹木が茂っています。これは大きなクルミの木。実と葉、枝を染め物に使います。 鳥がクルミの実を運んで、思わぬところに芽を出してしまうこともあります。クルミは強い樹木で、そうなると困ったことになるので、気を付けています。 これは杜仲(とちゅう)の木。20年前に植えたのですが、ご本人は近年まですっかり忘れてしまっていて、知人によって発見されたのだとか。杜仲の葉は、割くと粘り気のある糸を引きます。煎って、杜仲茶にしていただきます。 ここに並ぶのはヤマザクラ。4月の終わりの花盛りには、ここで一服。素晴らしい時間を楽しめます。 健やかに茂る和洋のハーブ 日陰の一角には、ミョウガと、鳥が実を運んできたというサンショウの木があります。 これはハマボウフウ(浜防風)という珍しいもので、海岸の砂地に生えるセリ科の植物です。新芽をおひたしにして食べますが、香りはセリとイタリアンパセリをミックスしたよう。ハマボウフウの根は漢方薬としても使われています。 ハウスの中には、挿し木したラベンダーや、種まきしたバジルなど、おなじみのハーブがありました。ボランティアの方々に手伝ってもらって挿し木したラベンダーの数は、なんと2,000本。それらは病院など、必要とされる場所に、無償で提供しているそうです。 「私の次の夢は蒸留小屋を建てること」と言う永嶋さん。そのためにも、もっとラベンダーの苗を増やして準備していきたいと考えています。 永嶋さんは、カモミール、ローズ、ラベンダーなどを蒸留して作ったハーブウォーターを、化粧水として使っています。季節ごとに変わるフレッシュな化粧水を使うのは、本当の贅沢といえるでしょう。 バジル畑には、よく見ると日除けがしてあります。バジルは太陽を浴びると、酵素の働きで苦味が強くなってしまいます。バジルペースト用に育てるには、間隔を詰めて植え、遮光します。すると、葉が柔らかくなって美味しくなるそう。 これはルバーブのタネ。植物はできるだけ、自家採種して育てるようにしています。生徒さんにも、花の後、タネになるまでを学んでもらいます。「タネにエネルギーを感じる」と、永嶋さん。いろいろなタネだけを合わせた、タネのブーケを作るのも好きです。 ハウスの中にはレモンの木もあって、300個ほどの実が付きます。新潟産レモンをつくるのも、永嶋さんの夢の一つ。ここにはライムとベルガモットの木もありますが、それらの花(ネロリ)の蒸留にも挑戦したいと思っています。 建物の裏手には、立派なローズマリーの畑があります。永嶋さんはいつも、大きな枝を5本ほど、車のダッシュボードの上に置いています。効果抜群の、天然の消臭剤です。車の中に入れておくと、夏場はあっという間に乾燥してドライハーブになるそうで、一石二鳥です。 四角い枠の小さな畑は、年間の講座を受講する生徒さんに一枠ずつ貸し出しているものです。バジル、エキナセア、レモングラス、ローズゼラニウム、ラベンダー、スイスチャード、コモンマロウ、コモンセージといったハーブ類から、好きな植物を選んで、育ててもらいます。 ヒラタケ菌で土の改良 ハーブ園の一角には、ヒラタケを栽培する農家さんから譲ってもらった、使用後のヒラタケの菌床が積まれています。農学博士にお墨付きをもらったよい菌ということで、もみ殻と合わせてから、堆肥に混ぜて使っています。英国のガーデニングでいうところの、マッシュルーム・コンポスト(マッシュルームの菌床)と似た仕組みの土壌改良です。園内はどこも砂地で、チッソ系の栄養素をどれだけ入れてもすぐに流れてしまうので、堆肥を入れすぎるという心配はないそうです。 冬になると、この山には自然とヒラタケが生えてきます。すると、生徒さんたちは「本物の『きのこの山』だ!」と喜び、きのこ狩りに勤しみます。ちなみにヒラタケは、バジルペーストと和えると美味しいそう。 お話を伺いながらハーブ園をぐるりと一周。色とりどりの収穫です。 人生を変えたハーブとの出合い 永嶋さんがハーブに興味を持ったきっかけは、80年代にハーブを広めた園芸家、広田靚子(ひろたせいこ)さんのラジオ番組でした。広田さんの、日曜日の朝は庭の野菜やハーブを摘んで、たくさんのカモミールを入れたお風呂にゆっくり浸かります…という言葉に、永嶋さんは、まあ、なんて素敵な生活なのだろう、と驚きます。当時、農業に就いて、息つく暇もないほどの忙しい日々を送っていた永嶋さんにとって、それは夢のような生活に思えました。が、広田さんの優しい語り口に背中を押され、自分もやってみようと思い立ったのです。 『赤毛のアン』や『大草原の小さな家』などが好きだった永嶋さんは、お話に出てくる、カモミールやローズマリーといったハーブの存在に惹かれていました。しかし、当時はまだまだ珍しく、わざわざ探しに行って手に入れたローズマリーを料理に使っても、さじ加減が分からなくて、家族に不評を買うこともありました。まったく手探りのスタートでした。 そんな折、義理のお母様が体調を崩され、永嶋さんは少しでも助けになればと、ラベンダーを育て始めます。また、持病を持つお祖母様に、育てたカモミールを入れたお風呂をすすめ、「このお花のお風呂に入るとよく眠れる」と、受け入れられたことも励みになりました。そうやって少しずつ、心身の不調を和らげるハーブの力を感じるようになっていきました。 永嶋さん自身、忙しい一日の終わりに小さなハーブ畑に寄ると、疲れた気分がリセットされて笑顔が戻り、癒やされることに気がつきました。「香りってすごいな」と、人を元気にするハーブの力を実感したのです。そして、NPO法人ジャパンハーブソサエティ―(JHS)認定上級インストラクターの資格取得を機に、ハーブの道に本格的に進むことを決めたのでした。カモミールの「逆境のエネルギー」という花言葉が好きだという永嶋さん。人生に力を与えてくれるハーブの魅力をさらに広めようと、次の夢に向かっています。 Information ハーブランドシーズン 〒950-2261 新潟県新潟市西区赤塚5073番地 TEL/FAX: 025-239-3288 開園時間: 9:00~18:00 (冬期は17:00) 定休日:毎週水曜日 Credit 取材&文/ 萩尾昌美 (Masami Hagio) 早稲田大学第一文学部英文学専修卒業。ガーデン及びガーデニングを専門分野に、英日翻訳と執筆に携わる。世界の庭情報をお届けすべく、日々勉強中。20代の頃、ロンドンで働き、暮らすうちに、英国の田舎と庭めぐり、お茶の時間をこよなく愛するように。神奈川生まれ、2児の母。 写真/3and garden
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千葉県

花の庭巡りならここ! 歩むほどに癒やしを誘う花の名所「清水公園 花ファンタジア」
「清水公園」の一角に設けられた 花の名所「花ファンタジア」 「清水公園」は明治27年に開園した、歴史の古い公園です。全体の広さは約28万㎡で、フィールドアスレチックやキャンプ・バーベキュー場、ポニー牧場などもありますが、ここではその一角にある「花ファンタジア」エリアについてご紹介します。 「花ファンタジア」は平成14(2002)年にオープンした花の名所で、市民の憩いの場として整備されました。敷地面積は約6万㎡で、ゆっくり観賞しながら歩いて、大人の足で平均1時間弱くらいで周遊できる広さです。 「花ファンタジア」内は、年3回模様替えされる「四季の花壇」、「ローズガーデン」、「イングリッシュガーデン」、「水生植物エリア」、「亜熱帯(温室)エリア」などにエリア分けされ、変化に富んだ景観を楽しめます。 園内には約700種の植物を植栽。春の部はウメ、モモ、ミモザ、サクラ、ボタン、フジ、バラ、スイレンが。秋の部は、秋バラ、オミナエシ、フジバカマ、ススキ、モミジが見どころに。季節を感じることのできる植栽となっています(春と秋の2季営業)。 「癒やしを感じられるよう、空間演出にも配慮しました。空間と樹木との間合い、草花との高低差や遠近感に工夫し、借景を取り入れたみずみずしい空間にしています」とは、管理スタッフの言葉。そのかいもあってか「広々として気持ちがいい」「手入れが行き届いている」という来場者の声が寄せられ、年間約4万人が憩いに訪れています。 群植花壇にフジ棚、ローズガーデン…… 開花リレーを楽しみに何度でも通いたい! 4月中旬〜下旬には、約5,400ポットが植栽される、ネモフィラの群植が見頃になります。「瑠璃唐草(るりからくさ)」の別名を持つ通り、冴えたブルーの花色が魅力です。這うように茎葉を広げて密に花をつけるので、ブルーのカーペットが広がるような景色を楽しめます。 ネモフィラが咲くのとほぼ同じ時期の4月下旬〜5月上旬には、ボタンが見頃になっているので、こちらにも足を運びましょう。「花ファンタジア」の一角にあるボタン園には、約80品種、約1,000株を植栽。花弁を多数重ねる花姿はゴージャスで、赤やピンク、白などの花色が楽しめます。 5月上旬には、フジが見頃になります。樹齢10〜20年のノダフジが約30本植栽されており、つるの長さは4〜6mにも及びます。藤棚に仕立てられ、滝のように豪華に咲く姿は、見る人に感動を与えること間違いなし。池の近くに植えられているため、紫色の花が水面に映り込んで、いっそう華やかに見えます。 5月中旬〜6月中旬はバラの季節。「ローズガーデン」では約200種、1,300株のバラが爛漫と咲き誇ります。幅3m、高さ2.6mのアーチをつないで10mほど続くバラのトンネルは見どころ。花色に濃淡をつけた素晴らしいグラデーションが楽しめます。芳香を強く放つ品種を集めたエリアや、「ベルサイユのバラ」シリーズの品種を集めたエリアなど、変化に富んだ植栽にも注目を。バラの季節には音楽やダンスのショーなども楽しめる「ローズフェスタ」が開催されます。 初夏の一年草花壇やスイレンを見に行こう! 秋以降はコキアの紅葉やセージ類に注目を 5月上旬〜8月下旬には、スイレンが見頃に(7〜8月は休園)。約3,000㎡の池に3品種のスイレンが花を咲かせます。年々自然に株数や開花数が増えて、見応えのある景色をつくるようになりました。夕方になると花を閉じる性質があるので、スイレンを目当てに出かけるなら午前中がおすすめです。 ネモフィラに埋め尽くされていた花壇は模様替えされ、5月頃に夏の花々で彩られて再登場します。5品種、約4,600株の一年草をボーダー状に植栽。花色にグラデーションをつけるなどして奥行き感を強調し、広く見えるように工夫しています。 「花ファンタジア」内には、温室もありますよ! 面積は約150㎡で、多様なトロピカルプランツが植栽され、ボダイジュ、サラソウジュ、ムコウジュという仏教三大聖樹も見られます。写真は花穂を30〜60㎝下垂させて、鮮やかなエメラルドグリーンの花を咲かせるヒスイカズラ。熱帯雨林に自生し、日本の気候では屋外で育てることができず、温室でしか見られない人気の植物です。 夏に開花する一年草が植えられていたボーダー状の花壇は、再び模様替えをして秋に向けてコキアが群植されます。10月中旬〜下旬には、グリーンのモコモコ姿から紅葉して輝くような赤色へと変化。晴れた日の青空とのコントラストも美しいものです。同じ頃にはバラ園の秋バラも楽しめますよ! 10月中旬〜11月中旬には、メキシカンブッシュセージが見頃になります。約100㎡に約300株が植栽されており、紫色の花穂をいくつもスラリと伸ばして咲く姿がダイナミック。メキシカンブッシュセージを背景に、訪れた記念の写真撮影をしましょう! ガーデン雑貨や地元名産品のショッピングを楽しもう カジュアルなレストランも人気のスポット 園内には土産物売り場もあるので、ぜひ立ち寄りを。地元名産品やローズグッズ、鉢花、園芸グッズなどが揃います。人気アイテムは、おせんべい324円〜、ローズ柄のクリアファイル275円〜など。 温室の2階にはレストランがあるので、ランチや休憩にどうぞ。営業時間は11:00〜16:00(ラストオーダー15:30、11月〜2月11日は30分閉店時間繰り上げ)、ランチタイムは11:00〜14:00。人気メニューはオムライス880円、季節のカレー880円、海老フライ1050円。ドリンクはハーブティー400円、ドリンクバー350円です。
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北海道

カメラマンが訪ねた感動の花の庭。北海道「大森ガーデン」庭づくり物語
厳しい気候にも負けない宿根草探しから始まった 私は、夫の大森康雄と結婚後、初めてこの北海道十勝にやってきました。夫も私も東京育ち。夫はカナダでの留学生活で北海道よりも寒さの厳しいアルバータ州での経験がありましたが、私はどのくらい冬が厳しいかも知らずに「まあ何とかなるでしょう」くらいの気持ちでした。 農業者となって生活するうちに、厳しい状況の中で夫の実兄が東京と千葉でやっていたグラウンドカバー植物の栽培を1985年に始めたところ、北海道以外の地域からの注文がほとんどでしたが、よく売れました。 そのころの北海道は、植えられている植物といえば、個人のお庭も公共の場でも似通った一年草か数種類のグラウンドカバープランツで、それ以外の毎年咲く宿根草に至っては、おばあちゃんたちが昔から庭で育てている何種類かの草花くらいでした。 せっかくつくったグラウンドカバープランツが北海道で使われないのは残念、との思いから、「北海道の気候でも毎年美しい花を咲かせ、葉を茂らせるものを根付かせたい」と思うようになりました。 幸いにも、夫が留学していたカナダのアルバータ州は、冬は氷点下40℃以下にもなる土地。その土地にも春から秋まで花咲く美しいガーデンがある。「北海道でもできないわけはないという確信」みたいなものがありました。そこで“この寒さ厳しい土地で魅力を発揮できる宿根草探し”が始まったわけです。 寒冷地向きの宿根草栽培の厳しい道のり しかし、これが大変なことで、今から30年以上前はアドバイスをくれる人はなく、園芸店で売られているものは一年草か山野草、高山植物として売られているものがごくわずかで、どんな性質か尋ねても、北海道で、しかも戸外でどうなるかは、「よく分かりませんが、まず植えてみてください」と言われておしまい。本州から取り寄せて試験植栽しても、ほとんどが失敗、失敗、失敗の連続。当時は寒冷地向き宿根草についての日本語の資料はなく、海外の文献から情報を得て試験するしかありませんでした。 私たちは海外のガーデンショーに赴いてたくさんの植物を見るだけではなく、夫の康雄は、すでに有名だったエイドリアン・ブルーム氏(ブルームス・オブ・ブレッシガムナーセリー)をはじめ、アラン・アーミテージ氏(アメリカジョージア大学園芸教授)、故ブルース・マクドナルド氏(当時カナダ、ブリティッシュコロンビア大学植物園園長)、故ジェームス・C・ラウルストン氏(当時アメリカ、ノースカロライナ大学植物園園長)など、世界的にも優れたナーセリーマン、プランツマンやデザイナーたちの講義を受けて実践につなげていきました。 海外からの苗の輸入もよくしたけれど、苦労して手配しても検疫でことごとくはねられて、植物は燻蒸にかけられてダメになったり、廃棄処分にされて手に入れることができなくなったこともしばしば。悔しい思いは数知れず経験しました。これらの困難を経て、ようやく本格的に宿根草の生産に入ることができたのです。あの頃はどんなに失敗しても“宿根草を根付かせたい”という思いは募るばかりで、前へ前への日々でした。 念願の直営店をオープン 1997年には、ナーセリー内に小さな直営店をオープンしました。北海道内の各地から車で何時間もかけて、また大型バスでツアーを企画して来てくださる方々もいらっしゃいました。しかし、宿根草の魅力を伝えるには、このテストガーデンを見ていただくだけでは難しい。宿根草の本来の姿だけではなく、植物同士の組み合わせを見せることによって、さらにその魅力を伝えていきたい。そうだ! やはり本格的なガーデンをつくらなくては! という思いに至ったのです。 いよいよ本格的なガーデンづくりへ 現在の大森ガーデンがある十勝・日高山脈のふもとに土地を求め、2006年秋からガーデン予定地のクリーニングに入りました。まず表土を何年もはがされ続けたこの土地を土壌改良することから。堆肥投入、耕して雑草を除去。このクリーニング期間が約2年弱。そののち芝生の種子を播きました。種子の鎮圧も終わってホッとしたところに想定外の大雨。なんと、ほとんどの芝生の種子が流されてしまったのです。もう一度播種、一からやり直しでした。 そしてでき上がった広い広い約2ヘクタールの芝生。 ガーデン施設・ガーデンショップの建設と同時進行で土を運び入れたり、芝生を切り取ったりして、テーマを決めながら植栽エリアを広げ、ガーデンが広がっていきました。そうして2008年、現在地に、ガーデンに併設された新しいガーデンショップがオープン。2019年で11年目を迎えたところです。 「大森ガーデン」が心がけるガーデンデザイン 私がデザインするにあたって心がけていることは、その場所の気候や自然条件に合った植物を使うこと。その植物の魅力を最大限に発揮させること。脇役にしかならない植物と思っていても、組み合わせによっては双方が輝くことだってあります。 苗の姿だけでその後の魅力を判断してほしくない。そのためには、植物をちゃんと評価してもらえるようなデザインが必要です。デザインは、まず植物を知ることが大切です。それができれば、あとは想像力全開で、頭の中でシミュレーションが始まり、季節の移り変わりによって変化する組み合わせもシミュレーションする。そして、図面に落とす。 デザインが閃かないときは苦しいものです。でも想像した通りに魅力を発揮してくれて、図面上のデザインが間違いなかったと思えた時の喜びは、何物にも代えがたいものがあります。この喜び・満足感があるからこそ、続けていけるのでしょうね。 大森夫妻が考えるガーデンとは? ガーデンとは、体験するもの。ぜひ外から、それも一方向からのみ見るのではなく、どうぞその中に身を置いてみてください。移り行く色合いや植物が醸し出す造形の重なりの変化や、そよ風、香り、草花や穂のゆらぎ、朝夕の光、小鳥の声、ミツバチや蝶が飛び交う姿……自分もそんな自然の一部になったような一体感を味わっていただきたい、そして時にはエネルギーを、癒しを、幸せ感を、持って帰っていただきたいと日々思いながらガーデンをデザインし、育てています。 世界的なプランツマン、デザイナーとの仕事 大森ガーデンは「観光ガーデン」を持ちながら、現在1,200~1,300もの品種の宿根草を生産し取り扱っているナーセリーでもあります。 北海道十勝にある「十勝千年の森」のオーナメンタルガーデンは、100%大森ガーデンの宿根草植栽から始まりました。ここは、2012年にプロのガーデンデザイナーらが加入する国際的な団体SGD(ガーデンデザイナーズ協会)の選考で優れた庭園として、大賞を受賞したガーデンですが、その造成前から、ガーデン植栽設計者であるイギリスのダン・ピアソン氏からのさまざまな要求に応え、宿根草のほとんどを揃えて提供したのが大森康雄でした。 また、庭の世界大会である「ガーデニングワールドカップ2016年(ガーデニングワールドカップ協議会主催、会場:ハウステンボス)」においては、アジア初のピ-ト・ウードルフ氏植栽設計の庭園をつくるため、100%大森ガーデンの宿根草を提供することになりました。この際には、オランダのピートさんとインターネット電話のSkypeで苗の生育状況を確認しながらの仕事でした。 ダン・ピアソン氏もピート・ウードルフ氏も素晴らしいプランツマン(植物をよく知る栽培家、植物の専門家)でもあり、植栽デザイナー。このような方々との仕事を通して、私たちは、さらにプランツマンとして、デザイナーとして研鑽を積んできました。 未来の大森ガーデン 来年は12年目を迎えるこの大森ガーデン。今年から少しずつリニューアルをし始めています。ナーセリーとして発表し続けている新しい植物を植栽に使ったり、組み合わせを変えたり、さらに楽しんでいただける見せ場をつくる……。 また、今後も“持続可能なガーデン(サステイナブルなガーデン)づくり”と“ローメンテナンスなガーデン作業の確立”を進めていきます。 プランツマン(植物をよく知る植物の専門家)の大森康雄と植栽デザイナー(植物を知ってデザインする人)の大森敬子のコンビですが、これからもガーデンの充実を心がけて、さらに多くの方に訪れていただきたい。 ガーデンを訪れた方が幸せでした! と伝えてくださったとき、スタッフとガーデンでのこの幸せ感を共有するとき、それが私たちが何よりも幸せを感じる瞬間です。ガーデンの中でたくさんの人に囲まれて日々幸せな時を過ごしたい。どうぞ、ガーデンで私たちを見かけたときには、お声をかけてください。喜んでいただけるのが何よりの楽しみです。 次回は、今井カメラマンが撮影した写真とともに、大森敬子さんによる各コーナーの植栽デザインについて、解説していただきます。 植栽術の記事『カメラマンが訪ねた感動の花の庭。北海道「大森ガーデン」の植栽術』はこちら。 Credit 本文/大森ガーデン 大森敬子 植物解説/大森ガーデン 大森康雄 大森敬子 http://omorigarden.com 写真/今井秀治 バラ写真家。開花に合わせて全国各地を飛び回り、バラが最も美しい姿に咲くときを素直にとらえて表現。庭園撮影、クレマチス、クリスマスローズ撮影など園芸雑誌を中心に活躍。主婦の友社から毎年発売する『ガーデンローズカレンダー』も好評。



















