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イングリッシュガーデン旅案内【英国】英ガーデン誌も注目! ガーデン好き夫妻がつくり上げた珠玉の庭「タ…
見事な庭をチャリティーで一般公開 今回の訪問先は、イギリス、ウェスト・サセックス州にある個人邸の「タウン・プレイス」。英国のガーデン誌も注目の庭ということで、期待が膨らみます。 入り口に到着すると、オーナーのマクグラス夫妻が出迎えてくれました。まずは、ご主人のアンソニーさんと奥様のマギーさんに、庭全体が見渡せる母屋前のテラスでご挨拶。母屋を背に立つと、遠くまで広々と芝生が広がっています。 マクグラス夫妻は1990年に、タウン・プレイスの敷地と母屋を購入しました。庭は以前から残されていた部分も多少ありますが、構造物も植栽も、ほとんどが夫妻によって新たにつくられたものです。2人はこの素晴らしい庭を、ナショナル・ガーデンズ・スキーム(NGS)や地元の慈善団体によるガーデン・オープンデーで一般公開し、募金活動に協力しています。 夫妻それぞれにクリエイティブ 幼い頃からガーデニングに親しんできたというマクグラス夫妻ですが、奥様のマギーさんはタウン・プレイスの庭づくりに着手する前に、英国王立園芸協会(RHS)や有名ガーデンデザイナーの講義を受けて、植栽やガーデンデザインについてしっかりと学んだそうです。花壇で見られる、豊かな色彩の複雑な植栽は、マギーさんの手によるものです。一方、ご主人のアンソニーさんは、独創的なトピアリーや生け垣を生み出していて、夫妻がそれぞれに創造性を発揮しています。 そんなお話を伺っていると、ガーデンカートを押すガーデナーさんが横を通り過ぎました。 「彼は、この庭を手伝ってくれていて、歳は79歳。週に3日来てくれるよ」というのですから驚きです! その他に、週に1度、女性も手伝いに来ているとのこと。約3エーカー(約1.2ヘクタール)という広いこの庭を、オーナー夫妻と合わせて4名で維持しているというので、さらに驚きました。 「シークレットガーデンがあるから、見つけてね。行ってらっしゃい!」というオーナーの言葉で、ガーデン散策がスタート。まずは、母屋の脇にバラが咲いているエリアがあるようなので、向かってみましょう。 優美なサンクン・ローズガーデン 現れたのは、心ときめくバラの回廊! つるバラの絡まるパーゴラが額縁となって、満開のバラの景色を切り取っています。このサンクン・ローズガーデン(Sunken Rose Garden)は、1920年代につくられたものを夫妻が引き継いだそうですが、バラはすべて、主にデビッド・オースチン社のイングリッシュローズに植え替えられました。パーゴラには、‘アルベルティ―ヌ’や‘チャップリンズ・ピンク’、‘アメリカン・ピラー’などのつるバラが隙間なく誘引されていて、見事です。 無数のバラが、低い緑の生け垣に縁取られて咲いています。バラは12種、150株も植わっているそう。「サンクン(沈んだ)」という通り、バラが咲く場所は、回廊より一段下がっていて、そのせいか、芳しいバラの香りが留まっているように感じます。母屋の壁にもつるバラが咲いていて、小窓を縁取っています。 何てロマンチックな演出でしょう! 庭を訪れた2019年の6月中旬は、バラがちょうど咲き始めたばかりでしたが、きっと咲きたてのバラの香りが、この窓から室内に流れ込むのでしょうね。 いつまでも見ていたい景色でしたが、他のエリアを見逃してしまうので、隣のコーナーへ向かいます。 庭にチェス盤? 小道を進むと、奥の緑を背景に、彫像が並び、ラベンダーの紫やハーブ類の茂みが彩りをプラスしている、独創的な風景が見えてきました。中央には、なにやらチェスのコマらしきものが。 建物前のテラスが、赤と白の石板を使ったチェス盤になっていました! 膝丈ほどの大きなチェスのコマが並んでいて、どうやら、本当にゲームができそうです。屋外でチェスが楽しめるガーデン! 何てユーモアのある場所なのでしょう。 果樹園と緑の彫像 チェス盤の庭から南に向かうと、果樹園があって、リンゴの実が少し膨らんでいました。下草がきれいに刈り取られ、落ち葉一枚見当たらなくて、本当によく手入れが行き届いています。春にはラッパズイセンが咲くそうで、その景色もきっと素晴らしいのでしょう。 さらに奥へ進むと、緑の塊がポコポコと、オブジェのように並ぶエリアに到着しました。サーカス(The Circus)と名付けられた庭です。やや盛り上がった地面の芝が丸く切り取られて、その中にグラス類が茂り、丸みを帯びた大きなトピアリーが立っています。これらは、ヘンリー・ムーアの彫像作品にインスピレーションを得て作られたという、セイヨウイチイの「彫像トピアリー」。ご主人のアンソニーさんの手によるものです。これまで見たことのない景色に、庭主さんのユーモアを感じました。 麗しきイングリッシュローズ・ガーデン そのお隣のエリアは、もう一つのバラの園、イングリッシュローズ・ガーデン(English Rose Garden)です。65種、450株というシュラブローズが、一斉に咲き誇っていて、嬉しくなります。ほとんどがデビッド・オースチン社のイングリッシュローズだそう。六角屋根のサマーハウスの中には、これまでの庭の変化を教えてくれる写真が展示されていました。日差しが強い時間帯だったので、涼しい室内で写真を眺めながらクールダウンができました。 ベンチの後ろのパーゴラには、‘フォールスタッフ’、‘マダム・バラフライ’、‘オフィーリア’といったバラが伝います。このガーデンも高い生け垣に囲まれていて、バラの香りが滞留するつくりになっています。 赤や白、ローズピンクに、オレンジがかったピンク。さまざまな色合いのバラに、時々顔を近づけては香りを確かめたりして、数多のバラを観賞する贅沢な時間を過ごしました。 低い生け垣に仕切られた、まっすぐな小道を辿って行くと、その先に、隣のエリアへと続くバラのアーチが見えてきました。 このタウン・プレイスのガーデンは、動線がとてもはっきりしています。一つのエリアから、気がつくと隣のエリアにうまく導かれていて、次の空間に入った瞬間に、がらりとデザインが変わる。その鮮やかな場面転換に、思わず心を躍らせていることに気がつきました。 ピンクのバラが伝うアーチの向こうに、優しいカラーのグラデーションが続くボーダーが覗きます。 紫花のロングボーダー アーチをくぐると、最初に目にした母屋前に広がる芝生を、反対側から眺める場所に出ました。左手には、宿根草のロングボーダー(長い花壇)が続きます。その長さはなんと45m! 奥様のマギーさんが担当する、緻密な植栽の花壇です。 向こうの景色を隠すほど高く壁を作っている生け垣は、以前からあったもので、夫妻は「タペストリー・ヘッジ」と呼んでいます。2つの樹木が混ざって、タペストリーのように模様を描いている、珍しい生け垣です。明るい緑の濃淡が、手前に植わる花々とよく調和していました。 ボーダーの中央付近は、生け垣がくりぬかれています。中を覗いてみると、先ほど見た果樹園のエリアに続いていました。 広い芝生の一辺に沿って伸びる、宿根草のロングボーダーです。テーマカラーである、紫とブルーの花のグループが繰り返し植えられて、リズミカルな景色をつくっています。訪れた6月中旬は、ゲラニウム、サルビア、キャットミントが主役のようでした。クナウティアや、白花のアンテミス、ジャイアント・スカビオサ、カルドンなども植わっているようですが、これから季節が進むとどんな風に変わっていくのでしょうか。 花壇沿いに歩いて、最初にオーナー夫妻とご挨拶した母屋の前に戻ってきました。母屋の前にはバードフィーダーが備えてあって、鳥たちが集まっています。野鳥とも仲良くしながら庭を維持しているんだなぁと、微笑ましく感じました。 これまで見てきたのは西のエリアで、庭散策はまだ半分。とっても広いけれど、どこも素敵な空間ばかりです。さあ、ここからは東のエリアを見ていきましょう。 静けさ漂う小さな水辺 母屋を背に立つと、芝生の左のほうに、小さな噴水のある池の景色が広がっています。ここは、すり鉢状に窪んだ、小さな谷(The dell)のエリア。池は窪んだところにあるので、上のほうから池を眺めながら、その周りに茂る木々や宿根草の彩りを一望することができます。奥に見える銅葉の樹木が引き締め役となって、緑を際立たせています。 池の周りを、さまざまな植物が囲みます。この場所は、かつては大きな池だったそうですが、夫妻の手によって、このような趣のある小さな池の庭に変身しました。 緑の回廊からハーブガーデンへ その隣にもまだまだガーデンがあるようです。この花壇は、ロングボーダーと芝生を挟んで向かい合うショートボーダー(短い花壇)。ブルーとイエローの色調ということですが、黄色の花はまだ咲いていない様子です。花壇の間の、左右に円錐形のトピアリーの鉢が飾られた通路を進んでみます。 雰囲気が変わって、紫の花が白っぽい石壁を覆い隠すように咲く景色が現れました。花によって、石の硬い印象が和らげられていて、素敵です。そして、リンゴの木が誘引された緑の回廊を行くと…… つるバラが絡むアイアンのガゼボを中心にした、ハーブガーデン(Herb Garden)がありました。芝生の道がふかふかとして気持ちいい! ここの花壇は生け垣などの縁どりがないつくりで、花茎が枝垂れていたり、風に揺れていたりして、とてもおおらかでリラックスした雰囲気。コテージガーデン・スタイルのナチュラルな庭です。ガゼボのバラは、白花の‘マダム・アルフレッド・キャリエール’。満開の姿はどんなに素晴らしいでしょう。 ハーブガーデンのナチュラルな植栽の中で、小径の脇にある古木の枝ぶりが引き立ちます。花壇には霞のように葉を広げるフェンネルなどのハーブのほか、コテージガーデンでよく見られる花々が咲いています。 そのほかにも、アストランチアやセリンセ、ゲラニウムなど、日本でも馴染みのある植物が上手に使われていて、親しみが湧きました。 驚きの緑の構造物 さて、ハーブガーデンの南側に出てみると、またまた新たな展開! 現代アートのようなシンプルな空間が広がっています。空に浮かぶ雲までもが景色の一部なんだなぁ、と気づかせてくれる眺めです。 天に向かってまっすぐ伸びるのは、‘スカイロケット’という名のジュニパー。そして、その背後にあるシデで作られた緑の壁は、この写真ではよく分からないかもしれませんが、じつはロマネスク様式の教会を模しています。右手の手前に飛び出したところは、教会に付属する「回廊」部分。ご主人のアンソニーさんは、架空の、しかも廃墟となった教会をイメージして、それを生け垣で作り上げてしまったという訳なのです。その情熱と行動力には脱帽しかありません。 続いて、敷地の南側に行ってみると、生け垣に区切られたポタジェがありました。 スイートピーのアーチや葉物野菜の畑、アスパラガスやアーティチョークが自由に葉を広げている場所など、野菜や切り花を育てている所までも、見た目にこだわってデザインされているのが伝わってきます。先ほどの緑の構造物に加え、トピアリーとポタジェもご主人の担当。ご夫婦揃って、素晴らしい美的センスをお持ちのようです。 スイートピーとサヤインゲンのアーチ。 アーティチョークとアスパラガスの緑を背景にしたベンチコーナー。2つの植物だけで、こんなにスタイリッシュな空間が演出できるなんて。 ポタジェの隣は、真ん丸の緑のボールが宙に浮かんでいるような、緑一色のエリア。瞑想するのによさそうな空間ですね。真ん丸なボールは、シデを刈り込んだトピアリーで、背後の生け垣はヨーロッパブナで作られています。 花壇や複雑な植栽は奥様、トピアリーやハーブガーデン、ポタジェはご主人と、2人で分担しながらも、アイデアを分け合って、デザインや手入れを行ってきたそうです。所々に、ちょっとユニークなエリアもあったりして、庭が本当に好きなんだなぁ、と感じるポイントがいくつもありました。 プライベートガーデンとは思えない広さと、手入れがよく行き届いた、気持ちのよいガーデンで、とても贅沢な時間を過ごしました。 そうそう。シークレットガーデンはどこにあったでしょう? 私も無事見つけることができました! が…、扉の向こうは、訪れた人だけが見られる特別な場所。ここでは秘密にしておきますね。
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愛知県

花の庭巡りならここ! フルーツの魅力を発信する「東谷山フルーツパーク」
熱帯果樹のコレクションも充実!フルーツを学んで味わうテーマパーク 1980年4月26日にオープンした「東谷山フルーツパーク」。市民が集うレジャースポットで、釣り池も含めると敷地は12万4,600㎡にも及びます。今回は果樹園や温室などにスポットを当ててご紹介しますが、これらを見学するには、ゆっくり歩いて1〜2時間くらいかかる規模です。 名古屋で一番高い東谷山を望む「東谷山フルーツパーク」は、借景の素晴らしい自然豊かな環境で、都市にありながら自然とふれあえる場として整備された公園です。季節の草花や花木を楽しめますが、特に果樹栽培に軸足を置き、農業公園として特色のある展示を行っています。 園内には17種の果樹園があり、それぞれ花が咲き、実を付けている姿を観賞できます。果樹の開花は2月にウメ、3月中旬にアンズ、モモ、スモモ、3月末にナシ、4月中旬にリンゴ、5月にブルーベリーやミカン、レモンと続き、見事な開花リレーも見どころの一つです。また、古墳をモチーフにして作られた大小2つの温室もあり、多様な熱帯植物をコレクション。写真のパラミツやマンゴーなど、熱帯果樹の展示も充実しています。 年間を通じて果樹の育て方の講習会も開催されており、剪定のコツや収穫量を増やすための工夫などを学べます。参加費は無料〜200円で約2時間、座学と果樹園での実技が行われます。また、収穫シーズンには、ブルーベリーやモモなどを使った、ジャム作り体験を開催することもあります。 園内には、旬のフルーツや土産物のショッピングができる「フルーツパークマルシェ」や、食事を楽しめる「フルーツパークテラス」などもあります。こちらを目当てに訪れる人々も多く、年間40〜50万人の来場者で賑わう、大人気の農業公園です。2020年は40周年を迎えるアニバーサリーイヤーで、4月26日(日)には記念イベントも予定されているので、ぜひ足を運んではいかがでしょうか。 春からの果樹の開花リレーも見どころ!実りのシーズンには収穫体験を実施 園内に2棟建つドーム型温室内の広さは1,300㎡で、天井の一番高い所は15mにも達します。ゆっくり見学すると1時間ほどかかる規模で、熱帯・亜熱帯の植物35科108種、約300株の植物が元気に育っています。土・日・祝日には、ガイドボランティアに温室内を案内してもらえます。予約は不要で、詳しい解説を聞きながらの見学は、より知識が深まり、さまざまな発見があって楽しいものです。 温室内では、マンゴー、パラミツ、ドラゴンフルーツ、パイナップル、パパイヤなどの熱帯果樹も植栽されています。日本で露地栽培できないフルーツは、どんな花を咲かせるのか、どんな風に果実をつけるのか、子どもと一緒に訪れれば、食育の場になりそうですね。写真のバナナは7種30本が植栽されています。 屋外の果樹園では、2,300㎡の敷地に、リンゴ、ウメ、モモ、ナシ、ブドウ、カリン、ミカン、レモン、キウイ、ブルーベリー、スモモ、アンズ、カキ、ビワ、イチジク、クリ、ポポー、全17種の果樹が栽培されています。春、ウメから始まって、次々と花を咲かせる様子は、とても見事です。普段は果樹園内には入れませんが、ウメ、ブルーベリー、ナシ、リンゴ、ミカン、カキが実るシーズンには、量り売りによる収穫体験を実施。ご家族やお友達と収穫を楽しんでみてはいかがですか。 「東谷山フルーツパーク」は、シダレザクラの名所でもあります。ソメイヨシノの1週間後くらいが見頃で、4月初旬には「しだれざくらまつり」が開催されます。この時期はお花見を目的に訪れる人々が多く、さまざまなフードスタンドが出店するほか、フルーツの即売会なども行われます。 7月中旬〜8月の夏休み期間に実施される、ブルーベリーの収穫体験は、特に人気のイベントです。参加者は、好みのカップ、サイズ大(500g)・中(300g)・小(100g)を選んで、いっぱいになるまで好きなだけ収穫してOK(参加費は気候や着果状況などによって変わります。参考価格として、2019年は小カップで300〜400円)。予約は不要で、開催日程等については、公式HPやTwitterでご確認ください。触るとポロリと取れるまで完熟したブルーベリーは、格別の味わいです! 旬のフルーツが揃う「フルーツパークマルシェ」と季節のパフェが美味しい「フルーツパークテラス」 「東谷山フルーツパーク」では、2019年2月に売店とレストハウスがリニューアルされました。写真は「フルーツパークマルシェ」の様子。旬のフルーツや野菜がずらりと並ぶほか、ジャムなどの加工品、土産物や雑貨も揃っています。中でも、園内で収穫された果物は新鮮そのもので、店頭に並んだ瞬間に売り切れてしまうほど大人気! 気軽にテイクアウトできるフルーツバーもあり、カットフルーツ300円、フルーツパフェ300円、手作りジェラート250円、フルーツかき氷(夏季限定)300円などがおすすめです。土・日・祝日には朝市も催され、大変賑わいます。 こちらもリニューアルされた「フルーツパークテラス」の様子。営業時間は9:30〜16:30(ラストオーダー16:00)、80席あります。日替わりランチ(火〜金のみ)800円、フルーツカレーライス800円、みそひれかつ定食980円など、ランチメニューが充実していますが、やはりおすすめは、旬のフルーツを使ったメニューですね。パインボード(季節のフルーツの盛り合わせ)850円、フルーツパフェ600〜1000円(フルーツは季節によって変わります)、フルーツサンド600円、お手頃サイズのカップフルーツは350円です。 三大イベント時の即売会やステージイベントも大人気 春の「シダレザクラまつり」、ゴールデンウィークの「トロピカルフルーツフェア」、収穫の秋に開催される「秋のフルーツフェア」という「東谷山フルーツパーク」の三大イベント時には、フルーツ即売会が実施されます。写真は「ミカン詰め放題」イベントの様子。とてもお買い得なので、ぜひお立ち寄りを! 「トロピカルフルーツフェア」や「秋のフルーツフェア」の際には、ステージイベントも開催。地元の方たちのジャズ、フラダンス、ベリーダンスなど、クラブ活動の成果をお披露目する発表会として、交流の場にもなっています。 Information 東谷山フルーツパーク 所在地:愛知県名古屋市守山区大字上志段味字東谷2110TEL:052-736-3344 http://www.fruitpark.org/ アクセス:電車/JR中央本線・愛知環状鉄道「高蔵寺」駅下車、南口より南へ徒歩25分バス/ゆとりーとライン「大曽根」発「高蔵寺」行き「東谷橋(とうごくばし)」バス停下車徒歩15分市バス地下鉄藤が丘駅「藤が丘」発「東谷山フルーツパーク」行き終点下車徒歩13分市バス名鉄小幡駅「小幡」発「(志段味巡回)東谷山フルーツパーク(「JR高蔵寺」駅経由)」行き終点下車徒歩13分 オープン期間:通年 休園日:月曜(祝祭日の時はその直後の平日)、12月29日〜1月3日 営業時間: 9:00~16:30 料金:無料(世界の熱帯果樹温室のみ有料。入場料 大人 300円 中学生以下無料、名古屋市内在住 65歳以上の方 100円、30名以上の団体は2割引、年間パスポート 900円) 駐車場/普通車約 840台、無料※ただし、イベント期間中のみ有料。(普通自動車 1回シダレザクラまつり 650円、トロピカルフルーツフェア・秋のフルーツフェア 350円、大型自動車 1回 1200円、自動2輪・原付 1回 150円)
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東京都

花の庭巡りならここ! 皇室の庭園としての伝統を受け継ぐ「新宿御苑」
都会のビル街に囲まれた緑量たっぷりのヒーリングスポット 昭和24年(1949)に国民公園として一般に公開された「新宿御苑」。その面積は58.3ヘクタール、周囲は3.5㎞という広大な敷地。園内の樹木は約250種1万本、その他植栽されている植物は約510種にも及びます。 「新宿御苑」は、江戸時代の大名、内藤家の屋敷だった場所で、明治に欧米の近代園芸を取り入れるための拠点(内藤新宿試験場)となりました。その後、宮内省の所管(植物御苑)となり、皇室のための農場という性格が加わりました。 後年、この地を皇室の庭園として改修する計画が進み、フランスの造園家アンリー・マルチネーに設計を依頼。明治39年(1906)5月に庭園が完成し、「新宿御苑」という名称になりました。さらに年月を経て昭和24年に「国民公園新宿御苑」として一般に開放され、現在に至っています。 現在の「新宿御苑」の庭園は、基本的に明治39年に完成した庭園デザインを踏襲しています。広々として奥行きのある芝生とその両側に広がるサクラなどの樹林、池からなる西洋庭園と日本庭園が組み合わさっているところが特徴です。また春のサクラ、秋の菊花壇、ユリノキなどの巨樹、温室の洋ランなど、明治以来の植物遺産が引き継がれていることも、見どころの一つといえるでしょう。 現在の庭園をおおまかに区分すると、正門から整形式庭園、砂利広場(旧宮殿予定地)、芝生広場と池を含む風景式庭園と続く西洋庭園のエリア、菊花壇展の行われる日本庭園、大木戸門近くにある内藤家の大名庭園である玉藻池周辺、国民公園になってから整備された「母と子の森」などがあります。 「新宿御苑」の四季の見どころは、春がサクラ、ツツジ類、ハクモクレン、ハンカチノキ。夏はアジサイ、アガパンサス、ムクゲ、サルスベリ、青々とした芝庭。秋はサルビア・レウカンサ、キンモクセイ、ヒガンバナ、サザンカ、秋バラ、紅葉。冬はスイセン、ウメ、ツバキ。「新宿御苑」の風景、植物は日々変化し、訪れる度に新しい発見があります。 2018年の入園者数は約230万人で、外国からの観光客にも人気のスポットとなっている「新宿御苑」。「管理の行き届いた公園」「都会にあって自然を感じられ、リラックスできる」「温室は植栽も多く、植物や花など状態がよく育っていて素晴らしい」といった声が寄せられ、リピーターも多いのが特徴です。ぜひ何度でも訪れて、自分だけの見どころを見つけてはいかがでしょうか。 エキゾチックな植物たちに出合える大温室月に2回のガイドウォーク参加もおすすめ 「新宿御苑」には大温室があり、約1,800種の植物が展示されています。広さは約2,750㎡で、一通り巡るのにかかる時間は、大人の足で20~30分ほどです。 温室内はテーマごとにゾーニングされ、「人と熱帯の植物」「熱帯池沼の植物」「沖縄コーナー」「熱帯低地の植物」「小笠原コーナー」「乾燥地の植物」「熱帯山地の植物」などを観賞できます。 大温室では、月2回の「ガイドウォーク」を実施。第2週目に温室内で見頃の植物を解説する「温室の観賞教室」を、第3週目に通常は非公開の栽培室で、新宿御苑の役割(戦前から受け継ぐ洋ランの栽培や絶滅危惧種の保全など)を解説する「バックヤードツアー」を開催しています。 約40分かけて温室を巡り、料金は無料(先着順約20名まで)。ガイド内容は植物の状態に合わせて変わるため、リピートしても楽しめます。 百年以上の歴史を持つ庭園には風格のある伝統美が漂う 「新宿御苑」の春は、ぜひ花木の美しさに注目してください。 サクラは約65種、約1,000本が植栽されており、見頃は早咲きから遅咲きまで、全体で2月中旬~4月下旬(一番の見頃は3月中旬~4月上旬)です。4月中旬には、八重桜のライトアップイベントが予定されています(詳細は未定)。 写真のツツジの見頃は4月下旬~5月上旬。4月29日には自然に対する理解を深め、自然環境の適正な利用普及を推進する「新宿御苑みどりフェスタ」が開催されます。 5月上旬は園内に2本植栽されているフジが満開に。藤棚に仕立てられ、花穂をいっせいに垂らす姿は、一見の価値があります。5月中旬には、地球温暖化防止や資源循環の必要性などを伝えるワークショップを行うイベント、「ロハスデザイン大賞」が開催されます。 「新宿御苑」では、色とりどりのバラが植栽されています。見頃は春バラが5月上旬~7月上旬 (一番の見頃は5月上旬~下旬)、秋バラが10月中旬~11月下旬です。 写真のバラ園は、ハイブリッド・ティー、フロリバンダ中心の西園と、シュラブ、イングリッシュローズ中心の東園に分かれていて、合計約110種、約500株のバラが植えられています。 3年に1度開催される「世界バラ会議」で「栄誉の殿堂入り」に選ばれた16品種のバラがすべて植えられているので、それを見つけながらバラ園巡りをするのも楽しいものです。 「新宿御苑」の秋のメインイベントは、11月1〜15日に開催される「菊花壇展」。明治11年(1878)に宮内省が赤坂の仮皇居で初めて開催した「菊花拝観」をルーツとした展示会です。戦争を挟んで中止となるなどの変遷を経て、昭和24年(1949)に初めて、「新宿御苑」で一般に公開されました。 「菊花壇展」では、日本の菊栽培における伝統・技術の結晶「懸崖作り花壇」「伊勢菊・丁子菊・嵯峨菊花壇」「大作り花壇」「江戸菊花壇」「一文字菊、管物菊花壇」「肥後菊花壇」「大菊花壇」を展示。端正な花姿が披露されます。 「新宿御苑」の紅葉の見頃は11月中旬~12月中旬。 11月中旬頃からプラタナス並木の黄葉が見頃となり、続いて新宿門近く、日本庭園の池周辺でカエデ類、園内各所でサクラ、ユリノキの色づきが進みます。 その後、本格的な紅葉シーズンが始まると、ラクウショウ、サクラ、ケヤキなどが見頃に。園内各所のサクラがオレンジ色から茜色に染まり、ユリノキの黄葉、タムケヤマ、カエデ類も紅葉が楽しめます。新宿門のカエデ類は紅葉のアーチになって出迎え、シーズン最後には、モミジ山のカエデ類が色づきます。 2019年に初めてのライトアップが千駄ヶ谷門近くのエリアで開催され、その後も同時期に紅葉を楽しむライトアップイベントが開催されています。 月に1度開かれる「花市場」をのぞいてみようレストランや土産物店はオリジナルものが出色! 「新宿御苑」では、毎月「花市場」が開催されています。季節の花苗や鉢花、球根、イタリアの野菜やハーブ、花のタネ、ハーブ関連グッズを販売。質問があれば、詳しいスタッフが植物の栽培や手入れについて、分かりやすく解説してくれます。 「新宿御苑」内には、「レストランゆりのき つぶら乃」があるので、休憩にどうぞ。営業時間は11:00~ラストオーダー15:30、定休日は新宿御苑の休園日、客席数は130席。風景式庭園の四季折々の景色を眺めながら食事ができる開放的なレストランで、季節に合わせた料理や京料理のお弁当など、オリジナルメニューを提供しています。 「新宿御苑」の売店は、豊富な土産物のラインナップが魅力です。どら焼きや手作り最中など、和のお菓子が並びます。 写真のように、御苑オリジナル和柄雑貨(ポストカード、クリアファイル)、和柄服飾小物雑貨、新宿御苑関連書籍なども揃います。コレクションしたくなりますね! Information 新宿御苑 所在地:東京都新宿区内藤町11TEL:新宿御苑サービスセンター 03-3350-0151 環境省新宿御苑HP http://www.env.go.jp/garden/shinjukugyoen/index.html一般財団法人国民公園協会新宿御苑HP http://fng.or.jp/shinjuku/ アクセス:新宿門へ電車/JR・京王・小田急線 新宿駅南口より 徒歩10分西武新宿線 西武新宿駅より 徒歩15分東京メトロ丸ノ内線 新宿御苑前駅出口1より 徒歩5分東京メトロ副都心線 新宿三丁目駅E5出口より 徒歩5分都営新宿線 新宿三丁目駅C1・C5出口より 徒歩5分バス/品97(品川車庫-新宿駅西口) 新宿二丁目下車池86(東池袋四丁目-渋谷駅東口) 新宿四丁目下車早77(早稲田-新宿駅西口) 新宿三丁目下車新宿WEバス(新宿駅西口-新宿駅東口) 新宿御苑下車 大木戸門へ電車/東京メトロ丸ノ内線 新宿御苑前駅出口2より 徒歩5分バス/品97(品川車庫-新宿駅西口) 新宿一丁目下車池86(東池袋四丁目-渋谷駅東口) 新宿四丁目下車 千駄ヶ谷門へ電車/JR総武線 千駄ヶ谷駅より 徒歩5分東京メトロ副都心線 北参道駅出口1より 徒歩10分都営大江戸線 国立競技場駅A5出口より 徒歩5分バス/黒77(目黒駅-千駄ヶ谷駅) 千駄ヶ谷駅前下車池86(東池袋四丁目-渋谷駅東口) 北参道下車早81(早大正門-渋谷駅東口) 千駄ヶ谷駅前下車ハチ公バス(渋谷-代々木) 国立能楽堂、千駄ヶ谷駅下車 休園日:月曜(祝祭日の時はその直後の平日)、12月29日〜1月3日※3月25日から4月34日までと11月1日から15日までについては、月曜日も休まず開園 営業時間:10月1日~3月14日 9:00〜16:00 (16:30閉園)3月15日~9月30日 9:00〜17:30 (18:00閉園)7月1日~8月20日 9:00〜18:30 (19:00閉園) 料金:一般 500円(30人以上団体割引:400円 ※事前申込不要)65歳以上 250円 ※窓口で年齢の確認できる証明書の提示が必要。学生(高校生以上) 250円 ※窓口で学生証の提示が必要。小人(中学生以下) 無料※入場券の事前購入について/公式HPよりスマートフォン等でWEBチケット(一般入園券500円のみ、購入日より6カ月間有効)を事前に購入可。購入したWEBチケットのQRコードをスマートフォン等で呈示すれば、チケット購入の窓口に並ぶことなく、入園できる。駐車場:普通車200台(入園者2時間まで600円、以降30分毎200円)入園者以外 30分毎330円大型車5台(60分2,200円、以降30分毎550円) 注)酒類持込禁止、遊具類使用禁止(こども広場除く)Drinking alcohol, using sports equipment and musical instrument in the garden are prohibited. 写真/環境省新宿御苑管理事務所
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東京都

ふたりが生んだ“わが家”のような空間『ジャルダン ノスタルジック』東京・神楽坂 今日はてくてく、「花屋…
オーナーは青江健一さんと加藤孝直さん。38歳の同い年です。 こちらが青江さん。 そして、加藤さん。 運命の出会いって、本当にあるんですね。ふたりとも、花屋さんの開業を目指し、同時期に東京・大田市場の仲卸に勤務。8年前までは、まったく知らない同士でした。 「知り合いになって話していくうちに、感覚が似ていることがわかり、だったら、一緒にやろうということになったんです」。そう話す青江さんに、加藤さんも大きくうなずきます。 ふたりでひとつの“ジャルノス”。 出会いまでの道のりで得たものを持ち寄って生まれたショップです。 テクニックや花への感覚的なことはもちろんのこと…ポエティックな要素を、と言うのは青江さん。「例えば、壊れたシャンデリアの破片が飾られていたり、開いた本の上に葉が落ちていたり。単に花を並べるのではなく、見た人が物語を感じる仕掛けです」。仲卸で働く以前は、パリの数件の花屋さんで研修を積んだ青江さん。前述の演出は憧れてやまない『ラロゾワール』で感動したシーンでした。今、天井から吊るしているドライフラワーやブロカントなランタンもそのひとつ。雑貨の棚の奥には壊れたタイプライターが置かれ、生活の気配を静かに漂わせています。 対して、加藤さんが持ち寄ったのは“パティシエ”というもうひとつの顔です。フラワーアレンジメントの専門学校を卒業後、埼玉に一度、花屋さんを開いた加藤さん。その後、お店を閉めてまでして、福島のパティスリーで働き、お菓子作りを学んでいます。今、花をあしらう一方、なんと!早朝3時半からほぼ毎日、お菓子を焼いてはお店に並べていまます。 でも、なぜ、お菓子? 前々から思っていた疑問をぶつけてみました。すると、予想外の答えが返ってきたのです。加藤さん曰く、お菓子は、お客さんが店内に少しでも長く「いる」時間を作るためのいわば“口実”。「花屋さんって、忙しくて、花を買ったらすぐに出ていかなければならない雰囲気がありますよね。自分自身がかつてそうでした。もっとゆっくり見たいのになぁ、とそそくさと撤退(笑)。お菓子が目に留まれば、花を買ったあとも、どれにしようかと選びながら、ゆっくり滞在する理由ができます」。青江さんが担当する、店内にずらりと並ぶ雑貨も同じ役割。 神楽坂の地にお店を立ち上げて、今年で6年。ふたりとも口をそろえて、店でありながら、年々、我が家のような感覚になっていると言います。のびのびと自分たちらしい花をいけられるマイホーム。だから、会話して、来てくれた人をもてなすのは、ごく自然なことのようです。 意気投合して、ともに活動を始めた青江さんと加藤さんですが、いける花には少し違いがあります。 これが青江さん。いく種ものシャクヤクとバラ、草花を合わせた薫り高いブーケ。 そして、こちらが加藤さん。フレッシュなトーンで描いたグリーンの間から、クレマチスが軽やかに踊っています。 ふたりの花をあえて言葉にするなら、洗練されたナチュラル? いく種もの旬の花々で綿密に構築しながら、季節の移ろいを楽しませてくれます。 店名の意味は「懐かしい庭」。花が好き。小さなつぼみに目を輝かせていたくらい、子どもの頃から花が好き。ふたりと同じ気持ちなら、きっと共感するでしょうね。かくいう私もそのひとりです。 お店は東西線神楽坂駅より徒歩約5分。えんじ色のドアが目印です。 Shop Data:ジャルダン ノスタルジック(jardin nostalgique) ホームページ/http://www.jarnos.jp 住所/東京都新宿区天神町66-2 1F 電話/03・8280・7665 営業時間/11〜19時、土・日限定カフェ15〜19時(LO. 18時30分) 定休日/火曜 アクセス/東京メトロ東西線神楽坂駅2番出口(矢来口)より徒歩約5分 Credit 記事協力 構成と撮影と文・鈴木清子
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神奈川県

花の庭巡りならここ! 大充実のトロピカルドーム温室「小田原フラワーガーデン」
地元の皆さんに愛される憩いの庭園リピーターが多いのも納得! 「小田原フラワーガーデン」は、1995年にオープンした植物公園。「豊かなライフスタイルを築く楽しい花園づくり」を目指して整備されました。敷地は42,188㎡で、ゆっくり歩いて周遊するのに1時間くらいかかります。 メイン施設の「トロピカルドーム温室」では、熱帯・亜熱帯植物が旺盛に枝葉を広げ、冬でも植物たちの生命力を感じて元気をもらえます。特に写真のヒスイカズラに注目を。3月下旬~4月中旬に開花する、翡翠のように美しい花は、一見の価値があります。「小田原フラワーガーデン」メインフラワーの一つで、300以上の花穂が垂れ下がる光景は圧巻です。 また、公園面積の半分を占める「渓流の梅園」では、約200品種のウメが咲き誇ります。他にもアルカディア広場周囲に広がるバラ園や、渓流沿いから池周囲に広がるハナショウブなど、四季折々の花が楽しめる公園です。 園内の開花リレーは、春がサクラ、チューリップ、フジ、バラ。初夏はアリウム、スイレン、ハナショウブ、アジサイ。夏はアガパンサス、マリーゴールド、サルスベリ。秋はリコリス、ヒガンバナ、アメジストセージ、紅葉。「一年中花と緑が楽しめる公園」のコンセプト通り、いつ訪れても季節の花が見頃になっている姿を楽しめます。 また、一年を通してさまざまなイベントや講習会を開催しています。中でも講師に日本梅の会会長 大坪孝之さんを迎えた「なるほど園芸講座」が大人気。初心者向けの、肥料・病害虫防除の話から、上級者向けの、接ぎ木・挿し木・剪定の話まで、季節に応じた園芸ポイントが解説されます。毎月第3日曜日開催で、時間は10:30~11:30、先着30名まで。当日受け付け、参加費は無料です。 「小田原フラワーガーデン」では、屋外エリアのみペットの同伴OK。飲食物の持ち込みも可能ですが、テイクアウトカフェもありますよ。フラワーショップや土産物店も充実しているので、ショッピングを目当てに行くのもいいですね。多彩なイベントを目的にリピーターが多く訪れる植物公園に、ぜひ足を運んではいかがでしょう。 熱帯植物がダイナミックに茂るドーム型温室で南国ムードを楽しむ 「小田原フラワーガーデン」には、小田原市環境事業センター(ゴミ焼却施設)の余熱を利用している温室があります。直径40m、高さ22mの温室は、ゆっくり周遊して約30分。約200種の熱帯・亜熱帯の花木、果樹を植栽しており、南国ムードを楽しめます。 写真の花は、温室で咲くトロピカルフラワーのヘリコニア・ロストラータ。開花時期は6月中旬~9月上旬です。鳥のクチバシのような花が左右に30個ほど並び、1mほどの長さになるエキゾチックな雰囲気の植物。本州では温室がある植物園でなければ見られない花です。 温室で催されている、セルフガイド式の体験プログラム「アロア・ワッド探検隊」にも注目を! これは、謎の植物学者アロア・ワッドからの植物に関するさまざまな指令(ミッション)が出題されるというストーリーのもと、約300種類の熱帯植物が植栽されるトロピカルドーム温室内を探検しながら問題を解くというもの。 入園者は探検隊員としてミッションに挑戦し、五感を駆使しながらゲーム感覚で植物について学べます。探検隊員には「探検隊員証(スタンプカード)」が発行され、来園ごとに異なるミッションをクリアしてスタンプを集めることで、段階的にレベルアップできます。子どもも大人も楽しめるプログラムですね! この企画は「神奈川なでしこブランド2019」に認定されており、ますます注目を集めています。 屋外庭園は四季を通して爛漫と咲く!煙るように咲くバラ園は必見 屋外庭園のバラ園も充実しているので、開花期の5月中旬~6月上旬、10月下旬~11月下旬にはぜひ足を運んでほしいもの。150品種、350本のバラが植栽されています。フォーカルポイントのガゼボには、ダイナミックにつるバラが仕立てられており、ゴージャスな咲き姿を楽しめますよ! 春と秋の見頃には、ガイドツアーやミニコンサートなど、「ローズフェスタ」のイベントが開催されます。 6月上旬~下旬には、ハナショウブ池が見どころに。約180品種1,000株のハナショウブが咲き誇ります。同じ時期には、池の水面に色とりどりのスイレンやアジサイ500株が咲くので、梅雨の季節ならではの素晴らしいコラボレーションを楽しみましょう。開花時期には、ウメ収穫体験など、「花菖蒲・スイレンまつり」のイベントが開催されます。 花苗や雑貨が豊富に揃うフラワーショップスイーツが人気のカフェや売店もチェック! 2017年にリニューアルオープンした、フラワーショップ「PICCOLO(ピッコロ)」も、ぜひのぞいてみましょう。季節の草花はもちろん、花木、果樹、観葉植物など多彩な品揃え。フラワーベースなどの雑貨類も扱っています。開店時間は10:00~16:00です。 お土産コーナーは、季節感のある商品展開が魅力で、リピートしたくなるスポット。園内で採れたはちみつを使った「ミツバチからの贈り物」(650円)、「はちみつラスク」(450円)や「はちみつドロップス」(400円)、「はちみつとクルミのパウンドケーキ」(700円)などがおすすめです。※いずれも期間限定品。 「小田原フラワーガーデン」には、テイクアウトカフェ「ハイビスカス」もあるので、歩き疲れたら休憩しましょう。開店は土・日・祝祭日のみ(大型イベント開催時は毎日オープン)、開店時間は10:00~16:00(ラストオーダーは15:30)、客席数は14席です。おすすめは、バラの香り豊かなジェラートにみずみずしい白桃がたっぷり入ったローズピーチジェラート400円(税込)。 特に、採蜜期間にしか食べられない期間限定のスイーツは知る人ぞ知る人気メニュー。さっぱりしたバニラジェラートと、濃厚なハチミツの相性が抜群なはちみつがけジェラート450円(税込)、園内で採れた純粋はちみつを、温かいパンケーキと冷たいバニラアイスにかけた贅沢な一品、はちみつパンケーキ500円(税込)は、一度味わっておきたいものです。 Information 小田原フラワーガーデン 所在地:神奈川県小田原市久野3798-5TEL:0465-34-2814 小田原フラワーガーデン (kanagawaparks.com) アクセス:電車/伊豆箱根鉄道大雄山線「飯田岡駅」から徒歩約20分(約1.6kmの上り坂)バス/小田原駅東口から2番のりば伊豆箱根バス「フラワーガーデン・県立諏訪の原公園」行き。「フラワーガーデン」下車すぐ。車/小田原厚木道路「小田原東IC」より国道255号を北へ約1.4km先「桑原」交差点左折、約3.2km先「沼田」交差点左折、約800m先「飯田岡」交差点右折、道なりに約1.1km直進しトンネルの先のT字路右折約200mで入口(左折:県立おだわら諏訪の原公園) 所要時間は約15分(道路状況による) オープン期間:通年 休園日:月曜(祝祭日の時はその直後の平日)、祝日(振休も含む)直後の平日、12月29日~1月3日 営業時間: 9:00~17:00(トロピカルドーム温室入園は16:30まで) 料金:無料(トロピカルドーム温室のみ有料・大人200円小中学生100円) 駐車場:普通車140台/障がい者用6台、無料
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東京都

花とケーキで素敵な週末を!『ジャルダン ノスタルジック』東京・神楽坂 今日はてくてく、「花屋さん日和…
店名の意味は、フランス語で「懐かしい庭」。 素朴で、野原の花で遊んだ遠い記憶もふと思い出してしまう、そんな場所です。 えんじ色の扉は通常、締まっていますが、臆せず、入ってください。 中へ入ると、ちょっとひんやり。生花の鮮度を保つため、冷房をつけています。通路を進むと、左手にご覧のようなあでやかな花の壁画が登場しますよ。そう、切り花コーナーです。枝ものやグリーン、季節の実ものを含めて、いつも50種は優に超える品ぞろえ。バラだけでも平均して15種はそろえているそうです(すごい!!)。訪ねた日には、カップ咲きのバラ、‘ロマンティークアンティーク’にシャクヤクといった華やかな花やアスチルベなどの楚々とした草花に紛れて、鬼百合が古い植物画のような存在感を放っていました。 オーナーはふたりの男性。パリの花屋さんで修業した青江健一さん(左)と、子どもの頃から草花に囲まれて暮らしてきた加藤孝直さん(右)。ふたりの好みが反映されるため、幅広い品揃えになるんですね。 天井を見上げると、ミモザやユーカリなどのじつにさまざまなドライフラワーが吊るされています。訪れるたび、どんどん増えて、近頃ではうっそうと…(笑)。行くと、なんだかホッとするのは、こんな演出にも一因があるのかもしれませんね。色鮮やかなドライもあるものの、こっちのほうの干し上がったドライを皆さん、買っていくそうです。 そんなドライの小花をハンガーに飾った青江さんの作品。悲鳴を上げちゃうくらいのかわいさです! 花材を並べている「花の壁画」の反対側は、かわいらしい雑貨と花の器のスペース。雑貨を扱う花屋さんのなかでも、きっと上位にランクインされる品ぞろえかもしれません。 例えば、花模様のポットや小さな器は、パリの蚤の市で見つけたブロカント。 花の香りがする南仏・ニヨンのアンティーク缶入り石けんは、ラベンダーやローズ、メイフラワー、コットンフラワーの4種。とてもやさしい香りがします。各1580円。 そして、ジャルダン ノスタルジックでは、お菓子も買えるんです! 市販のものではありませんよ。加藤さんの手作り。ふたりが並んでいる写真の後ろに映っている小窓の奥が厨房です。朝(真夜中)3時半からお店がオープンするまで、ほぼ毎日、手作り。そんな花屋さん、めったにありませんよね。 これがその一部。左から、ラベンダーの香りに癒される香りのグラノーラ330円、マーマレードと紅茶のクッキー280円、はちみつレモンクッキー350円。季節のフルーツを使ったケーキなどの生菓子も週末限定で作っています。店内でも食べられますよ。 週末は花とお菓子を目指して、いざ、神楽坂へ!!! Shop Data:ジャルダン ノスタルジック(jardin nostalgique) ホームページ/http://www.jarnos.jp 住所/東京都新宿区天神町66-2 1F 電話/03・8280・7665 営業時間/11〜19時、土・日限定カフェ15〜19時(LO. 18時30分) 定休日/火曜 アクセス/東京メトロ東西線神楽坂駅2番出口(矢来口)より徒歩約5分 Credit 記事協力 構成と撮影と文・鈴木清子
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広島県

花の庭巡りならここ! 樹齢400年のバオバブを見に行こう「広島市植物公園」
熱帯植物が息づく大充実の温室は必見!屋外庭園も四季折々に見どころ満載 1976年にオープンした、歴史のある「広島市植物公園」。市民の憩いの場を目的に、都市公園として整備されました。敷地は18.3ヘクタールに及び、大人の足でゆっくり歩いて3時間はかかる規模。園内では約1万種類、約20万本の植物を観賞することができます。 冬の時期、特に注目したいのが充実した温室で、「大温室」をはじめ、「サボテン温室」「展示温室」「熱帯スイレン温室」「ベゴニア温室」「フクシア温室」「栽培温室」があり、延べ3,923㎡もの面積。大温室内だけでも約700種類、約5,000株が息づき、生態・生育環境によって4つのコーナーに分けて展示されています。 特筆すべきは、大温室で見られる日本最大のオーストラリアバオバブです。幹の最大直径は約2mに及び、推定樹齢はなんと約400年。2019年8~9月には、導入後初、国内では2例目の開花が見られ、以降毎年8~9月に開花しています。 一方、屋外には「大花壇」「カスケード」「芝生広場」「花の進化園」「日本庭園「樹林観察園」などがあり、エリアごとに見応えのあるシーンをつくっています。春はウメ、サクラ、ツツジ、シャクナゲ、バラ、フジ、夏はハナショウブ、アジサイ、秋はコスモス、秋バラ、菊、落葉樹の紅葉などが見どころに。四季を通して世界の植物を観賞でき、いつ訪れても癒やしのひとときを過ごすことができます。 また、「広島市植物公園」では、園内の植物ガイドや植物の育て方の講習会、クラフトのワークショップなどのイベントを定期的に行っています。2020年2月22日~3月1日は「クリスマスローズ展」と「春の特別ラン展」(大温室他)を開催予定です。 これだけの広い敷地ですから、休憩所のチェックもしておきましょう。園内には「森のcafe」と「森のレストラン」の2店舗がありますよ。「森のcafe」はログハウス風の外観が目印で、メニューはコーヒー、紅茶が310円、ケーキセット510円、香味野菜のカレーライス530円、ボロネーゼ、カルボナーラ各720円など。 「森のレストラン」は、うどん定食700円、和風定食、トンカツ定食各800円など。(「森のレストラン」は2019年12月~2020年2月まで土・日・祝祭日のみ営業)。飲食物の持ち込みもOKなので、ピクニック気分で訪れてもよさそうです。たっぷり時間をかけてレジャーを楽しめる「広島市植物公園」に、ぜひ出かけてみましょう! 真冬も温室では植物が元気いっぱい!カラフルな熱帯植物の花々に癒やされよう 「広島市植物公園」の温室が充実していることは前述の通りですが、写真のベゴニア温室では、約680種類2,000株のベゴニアを展示。大輪で豪華な花が美しい「球根ベゴニア」はアンデス山脈に自生する野生種をもとに作り出されました。世界で一番美しい花と呼ばれています。 15~25℃の温度と、長日(光の当たる時間が長い)条件を好むため、ベゴニア温室では夏は冷房、冬は暖房を行うとともに、夜間照明をつけるなど、開花調節を行って、球根ベゴニアを一年中楽しめるようにしています。 写真は「サボテン温室」の様子で、約320種類500株を植栽。この温室で一番大きいサボテンは、60年以上生きていると推定されます。 見どころは、たった2枚の葉で一生を過ごす植物のキソウテンガイ(奇想天外)。 コンブのような葉をズルズルと伸ばし続けます。自生地アフリカには、大きなものでは樹齢千年以上といわれるものもあります。 プセウドボンバックスは落葉性ながら幹に葉緑素があり、葉がない時も光合成をしています。そしてモクキリン(杢キリン)は一見、ブーゲンビレアのようですが、本当はサボテンの仲間。コノハサボテンと呼ばれ、10~11月にきれいな花を咲かせます。 屋外庭園では、季節が巡るごとに見どころのエリアがリレーする 「広島市植物公園」には「梅園」だけでなく「日本庭園」にも梅が多数植えられており、見頃は2~3月。約50品種、約170株の梅が咲く梅園には、一足早く春の訪れを感じることができます。写真は日本庭園の枝垂れ梅。立派な枝ぶりで迫力がありますね! 写真は正門を入ってすぐのところにある、大花壇の4月頃の様子です。この時期はチューリップやベゴニア、ポピーなどが満開に。このエリアは一年草を中心とした花壇で、年に5、6回植え替えを行っており、季節ごとに異なるシーンを楽しめます。毎年春にはコンサートやクラフトのワークショップが行われるほか、特設屋台が登場して食べ歩きができる「さくらまつり」を開催。夜間開園の日もあるので、お花見に出かけてみましょう! 「広島市植物公園」のバラ園の見頃は、5月中旬~6月中旬と10月中旬~11月上旬。約700品種、約1,000株のバラが植栽されています。 特に歴史的に重要な古品種やオールドローズなど、貴重品種の収集に力を入れており、後世に残したい優れた品種を多数展示しています。ほかにも、広島で生まれた品種、世界の各都市から平和メッセージとして寄贈を受けた株など、国際平和文化都市広島にちなむ品種や、世界中から集めた野生種などを展示しています。 また、5月には、「ローズフェスティバル」を開催。栽培講習会やバラに関するミニ講座、クラフトコーナー、バラ園のガイドツアーなどを催しています。 園内にある「ハナショウブ園」の見頃は6月です。100品種、1,000株のハナショウブが華やかに咲き競う姿が見られます。 ハナショウブが見頃になる6月は、アジサイも満開に。約140品種、約1,900株が植栽されています。この時期は、「ハナショウブ&アジサイまつり」を開催。ハナショウブやアジサイの育て方の実演会、園内の植物ガイド、お茶会など、楽しい企画が目白押しです。 11月初旬~下旬は、紅葉の季節。カエデ園や日本庭園では、モミジの仲間を中心とした紅葉が楽しめます。また、樹林観察園では西南日本の低地にある常緑広葉樹林を構成する樹種と、高地で落葉広葉樹林を構成する樹種の紅葉の両方を一度に観賞できるのが特徴です。このほかにも、世界三大紅葉樹(ニシキギ、スズランノキ、ニッサ)、ドウダンツツジなどの生け垣、イチョウをはじめとする高木の紅葉も見応えがあります。 園内で雪つりが見られるのは11月頃から。雪つりは日本庭園の冬景色の大きな要素となっています。また、ツバキやサザンカなど、冬に咲く花の雪化粧も魅力的です。この時期は「花と光のページェント」(夜間開園)を開催しており、キャンドルとイルミネーションが織りなす幻想的な景色を楽しめます。 季節の花苗が揃うフラワーショップ&オリジナルグッズも扱う土産物店 園内には、フラワーショップもありますよ! 草花コーナー、山野草コーナーがメインで、寄せ植えの販売も。園内の展示に合わせて植物を入れ替えており、季節によって品揃えが変わるので、たびたび訪れたいですね。 「広島市植物公園」では、お土産コーナーも充実しています。押し花商品、草木染め商品、メダル、陶器類、木製品、ポストカード、菓子類が揃います。特に人気が高いのは、カープコラボTシャツ2,500円、草木染めハンカチ500円、オリジナルポストカード400円、木製キーホルダー800~1,000円です。 Information 広島市植物公園 所在地:広島県広島市佐伯区倉重三丁目495TEL:082-922-3600 http://www.hiroshima-bot.jp/ アクセス: バス/広電バス 植物公園経由薬師が丘団地行広島バスセンターから(2番のりば)約40分、JR、広電五日市駅北口から(1番のりば)約20分車/広島市内中心部から約30分、山陽自動車道五日市IC又は廿日市ICから約15分(約7㎞) オープン期間:通年 休園日:金曜、12月29日~1月3日 営業時間: 9:00~16:30(※入園は16:00まで) 料金:18歳~64歳510円、65 歳~170円、高校生・高校生相当年齢170円、中学生以下無料※18歳に達する日以降の最初の3月31日までは『高校生・高校生相当年齢』になります。※「65歳~」の入園料は、年齢が確認できる公的証明書(健康保険証・運転免許証など)の提示が必要です。※身体障害者手帳・療育手帳などを提示されると入園料は免除になります。※団体割引(30名以上)、年間パスポートもあります。 駐車場/532台、軽・普通車450円
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神奈川県

カメラマンが訪ねた感動の花の庭。神奈川・愛甲郡「服部牧場」
SNSの投稿で知った美しい庭 前回は、北海道のグラスが素晴らしい「大森ガーデン」を2回に渡ってご紹介しましたが、2020年最初のストーリーも、またまたグラスと草花のガーデンです。 ここは、グラスが大好きなガーデナー、平栗智子さんが丹精込めてつくり上げた「服部牧場」。 僕がこのガーデンを初めて知ったのは、知人のガーデナー、Sさんの「いざ 服部牧場へ」と書かれたフェイスブックの投稿でした。2019年11月8日の彼女の投稿写真には、大小さまざまなグラスがピンクや白の穂を出し、株元には青や紫の草花が咲き乱れる美しいボーダーが写っていました。それを見て、今すぐにでも飛んで行って撮影したい! くらいの気持ちになるほど、それは美しいものでした。 昨年くらいから僕の一番の撮影のテーマは「美しいグラスガーデン」でしたので、いつも頭の片隅には「何処かで秋のステキなグラスガーデンが撮れないものか」という思いがありました。ですから、車ですぐに行けるほどの距離に、こんな素晴らしいグラスガーデンがあったとは! Sさんには教えていただき本当に感謝しています。幸いにも数日は天気も安定しているようです。投稿を見た2日後はスケジュールも空いていたので、11月10日に撮影に伺うことにしました。 晩秋の庭へ初の訪問 撮影当日は爽やかに晴れ渡り、気温は暑いくらいの秋の終わりとは思えないほどの行楽日和でしたから、高速道路も結構混んでいました。高速を降りて「服部牧場」が近づいてくると、のどかな風景の中、道路脇の木々の紅葉も黄色く輝いていました。その風景もすぐに車を停めて撮影したくなるほどでしたが、寄り道などしている心の余裕はありません。まだ撮影にベストな時間には早すぎるとは分かっていても、アクセルは緩めず、まっすぐに「服部牧場」へ向かいました。 牧場の駐車場に着いたのは2時半くらいでしたが、天気もいいし家族連れで駐車場は満車。子どもたちが元気に走り回っています。秋から冬の撮影は、午後4時頃の光がきれいですので、まだ大分早く着いてしまったのです。でも、車の中にいても仕方ないので、ロケハンを兼ねて、カメラも持たずにぶらっとガーデンに向かいました。 ガーデン入り口の看板を見ながら石の階段を上ると、お目当てのガーデンが現れました。牧場というのだし、きっと広いガーデンなんだろうと勝手に思っていたので、意外と小さいガーデンにちょっと驚きました。しかし、その小さなガーデンにはびっしりといろいろな植物が植えられていて本当にきれいでした。Sさんの写真で見た、赤い穂のミューゲンベルギアも風に揺れていました。 いやー、きれいだなぁと歩き回っていると、ガーデンの西側には高い針葉樹があってその木々の影が、だんだんガーデンに迫ってきていることに気がつきました。優雅に4時まで待っていると、ガーデンは完全に影になってしまう。これは大変! と走って車に戻り、カメラと三脚を担いで、再びガーデンに戻りました。その間5分ほどですが、先ほどまでは誰もいなかったガーデンの隅で黙々と作業をしている女性を発見。Sさんのフェイスブックのコメントにあった「植物を愛してやまないガーデナー」さんだろうと思い、ご挨拶と撮影の許可をいただくため近づいていきました。 ガーデナーさんも僕に気がついて軽い会釈をしてくれました。早速撮影の許可をもらおうと話しかけると、子どもが走り回るので三脚は遠慮してほしいとのことでした。でもガーデンの撮影には三脚は必需品なので、何とかお願いしなくては思っていると、彼女の表情が突然一変して「もしかして今井さんですか?」と。以前千葉の貝殻亭というレストランで写真講座をしたことがあったのですが、その時に参加してくれたようで、一件落着。僕も子どもがそばを通ったら気をつけますと約束して撮影を開始しました。 グラスが美しく輝く瞬間を狙う 前回ご紹介した北海道の「大森ガーデン」さんのように、近くに背の高いものが何もないガーデンの場合は、夕陽が地平線に沈む瞬間くらいの光がきれいなのですが、このガーデンは西側に背の高い木々があって、割と早い時間から影がガーデンを覆ってくるので、撮影のタイミングは、撮りたい植物が影に入った瞬間を狙います。 ガーデンの東側はまだ強い日差しが差し込んでいて、ギラギラしています。でも、影に入ったばかりの一番西側のボーダー花壇は、明るい日陰でどの植物もきれいに見えています。カメラを三脚にセットして、じっくりとファインダーを覗いてみると、何種類ものグラスが入ったボーダー花壇は、グラスの穂の柔らかい線や直線的な茎の線、アスターのブルーや枯れた草の黄色や茶色と、いろいろな要素が混じり合っていました。春の宿根草のボーダーとは全然違う、とてもきれいな表情を見せてくれています。 あとは、逆光になるように西にレンズを向けて狙ったり、サイド光になるように南や北の方向にレンズを向けたり、ガーデンの中を歩き回って同じグラスを撮ったり…。こうして光と影をチェックしながら、少しずつ東側のボーダーまで撮影して、4時過ぎに撮影は終了しました。 撮影中は、僕の邪魔にならないようにとガーデンの隅のほうにいてくれたガーデナーさんがコーヒーを入れてくださるというので、お言葉に甘えてガーデナールームへ。行ってみると、そこも天井からドライになった昨年のグラスがズラリと飾ってあり、彼女のグラス愛がハンパじゃないことを感じました。僕が「大森ガーデン」さんに行った時の話をすると、彼女も随分前から大森さんにグラスの苗を送ってもらっては、あちこちの庭に植えて経過を観察しているそうです。あたりがすっかり暗くなるまでグラス談義は続き、この日撮影した写真は「Garden Story」に載せますと約束をして、美しい月を見ながら帰路につきました。 凍った庭への期待 この日の写真は大満足。何もいうことはない仕上がりでしたが、もう一つ、冬のガーデン写真といえば「凍った庭」があります。以前はよく群馬県太田市の「アンディ&ウィリアムス・ボタニックガーデン」に行き、日が昇る前の暗いうちから撮らせていただいた経験がありますが、久しぶりにグラスガーデンが凍って、真っ白になった「服部牧場」の写真が撮りたくなりました。「凍った庭」になる条件には、「今シーズン一番の寒波」というような、放射冷却のよく晴れた寒い朝であることが必要ですが、11月29日がちょうどそんな気圧配置だったので「凍った庭」を撮影するために午前3時に出発して、6時前、まだ暗い駐車場に着きました。でも、何だか寒くない。痛いくらい寒くてスキー用の帽子に手袋でガタガタ震えるくらいの朝のはずが、それほど寒くなく……。 残念ながら今日はダメだった、と思いながらもガーデンに行ってみましたが、案の定全く凍っていませんでした。でも、以前の撮影から2週間が経ち、さらに枯れた庭が朝日の中でとても美しく輝いていました。凍った庭の撮影は、またこの年末年始にでも行ってみようと思っています。
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イギリス

イングリッシュガーデン旅案内【英国】ウィリアム・モリスが愛したケルムスコット・マナー
「モダンデザインの父」ウィリアム・モリス ツグミがイチゴをついばむ「イチゴ泥棒(Strawberry Thief)」や、2匹のウサギが描かれた「ブラザーラビット(Brother Rabbit)」。壁紙やテキスタイルに描かれるモリスのデザインは、それらが生まれてから100年以上経った今も、人々を、とりわけ、植物好きやガーデニング好きの人々を惹きつけます。 ウィリアム・モリス(1834-1896)は、アートデザインを手掛けたほか、詩や小説を書いたり、思想家としても活動したりと、多岐にわたる活躍を見せた人でした。彼の生きたヴィクトリア朝のイギリスは、産業革命によって経済が発展し、人々の暮らしが大きく変化した時代でした。工場での大量生産が主流となっていく中で、モリスは、画家のエドワード・バーン=ジョーンズや建築家のフィリップ・ウェッブらと共に、中世の美しい手仕事に再度光を当てる、アーツ・アンド・クラフツ運動を推進しました。モリスのパターンデザインや思想は後世にも大きく影響を与え、それゆえ、モリスは「モダンデザインの父」と称されています。 モリスの「地上の楽園」 ケルムスコット・マナーは、忙しく活動するモリスがロンドンの喧騒を離れて過ごした、田舎の別荘でした。1871年、モリスはオックスフォードに程近い、コッツウォルズ地方のケルムスコット村を初めて訪れ、マナーハウスとガーデンを見て喜びます。特に、高い塀に囲まれ、生け垣で仕切られた庭は、モリスが理想としていた「囲われて外界から隔てられた」庭、そのものでした。 モリスはケルムスコットを「地上の楽園」と呼んで、すぐに、ビジネスパートナーだったダンテ・ガブリエル・ロセッティと共に地所の賃貸借契約を結びます。そして、その後の四半世紀を、ロンドンに行き来しながら、この別荘で過ごしました。コッツウォルズ地方の美しい田園風景や、古くから建つ石造りの建物、近くを流れるテムズ川上流での釣り遊び、緑の木々や、庭に咲く素朴な花々。モリスはこの地の暮らしから、創作のインスピレーションをたくさん得たのでした。 さて、モリスのデザインが大好きな私にとって、彼が過ごしたこの場所を訪れることは、聖地巡礼のような期待感がありました。優れた作品が生み出された、モリスが愛したという環境はどんなものだったのか。彼は何を見て、どんな風に季節を感じていたのか。そのエッセンスを追体験できたら……。そんな想いを胸に、まずは屋敷を囲む庭を見ていくことにしました。 昔の姿を保つフロントガーデン 屋敷の東側には、フロントガーデンが広がります。建物の入り口に向かう小道の両脇には、スタンダード仕立てのバラが左右対称、等間隔に植えられ、小道を優雅に彩っています。訪れた6月中旬は、ちょうど‘エグランティーヌ’や‘コテージローズ’、‘ガートルード・ジーキル’といった、パウダーピンクやローズピンクのバラが咲き始めていました。花に近づいてみると、素晴らしい香り! 1892年にモリスがケルムスコット・プレスから出版した、自身の小説『ユートピアだより(原題:“News from Nowhere”)』の口絵には、このフロントガーデンの庭景色が描かれています。現在の庭は、こういった資料をもとに修復されたもので、バラなどは植え替えられているそうですが、口絵に描かれた100年前と変わらない庭景色が目の前に広がっていることに、驚きを感じます。 屋敷の前に立って、小道の反対側から庭の全景を見ると、奥の隅のほうにガゼボが見えます。その左手、大きなセイヨウイチイの生け垣の上には、なにやら大蛇のようなフォルムの刈り込みが。これは、ファフナーと呼ばれる、北欧神話に出てくるドラゴンを表したもので、モリスがアイスランドへの旅の中で詠んだ詩に登場する、空想上の生き物です。モリスはこのドラゴンを自ら刈り込んでいたというので、きっと、お気に入りのトピアリーだったのでしょう。トピアリーは一度、崩れてしまいましたが、ナショナル・トラストの専門家の力を借りて、再構築されました。 ガゼボの古びた屋根の様子に、長い時の流れを感じます。ちょっと歪んだラティスにも、ささやかながらバラが絡み、ガゼボ右手の茂みの地際には、紫花のゲラニウムが咲いています。植物の数を絞った、シンプルで広々とした庭は、一人の時間を心静かに楽しめる場所でした。 一度、庭の外へ出て、左手のティールーム前の芝生エリアを素通りし、その先の、モリスの時代の屋外トイレ(Three-Seater Earth Closet)に向かいます。芝生エリアの奥に見えるグッズショップに、後で必ず立ち寄らなくては! と誓いつつ、庭の見学を続けます。 カーブを描く小道の先には、三角屋根の小さな建物が。なぜか、3つの便座が横1列に並んでいる、かつての屋外トイレです。 トイレの建物の中には入れませんが、便座に座ったと仮定する位置から正面を見ると、目の前の緑が、向こうの景色を隠してくれるようになっています。なるほど、と思う、トイレ前の植栽。野イチゴが、小道を縁取るように低く茂っていて、その上に、緑や赤のスグリが実っていました。 モリス好みの草花が咲くマルベリーガーデン 屋敷の西側、旧屋外トイレの隣のエリアには、マルベリーガーデンがあります。中央に立つのは、印象的なマルベリーの古木。ごつごつとした幹は苔むしていて、風格が感じられます。マルベリーを挟んで左右に小道が2本、屋敷に向かって平行に伸びていて、歩きながら花壇の草花を眺められるようになっています。この庭も、手入れの行き届いた芝生の緑が清々しい、シンプルさの際立つデザインです。 小道の脇、低いツゲの縁取りに沿って続く花壇では、カンパニュラやゲラニウム、ポピーが、ちらほらと咲いています。モリスが好んだという、コテージガーデン風の植栽です。 モリスの娘メイ(メイは呼び名で、本名はメアリー)は、「父がペルシャのチューリップと呼んで、デザインのモチーフに何度も用いた美しい野生種のチューリップが、花壇いっぱいに咲き乱れている」と書き残しています。今も花壇にはたくさんのチューリップが植えられていて、春になると、モリスの時代さながらに咲き乱れるそうです。4月には、スネークヘッド・フリチラリアも花を咲かせ、目を引く特別な存在となります。 左側の小道では、自然なフォルムを生かして作られた木柵が、向こう側のメドウと庭とを区切っていました。これは、1921年に撮影された写真にあった木柵を再現したもの。地元で採れたセイヨウトネリコやハシバミの木が使われています。モリスは1896年に「中世の庭のように見えるよう、ジャイルズがラズベリーの枝をうまく誘引してくれた」と書き残しているため、その頃には既にこのような木柵があったと考えられています。今、ラズベリーの代わりに絡まっているのはピンクのバラ。少しいびつな木柵が、とても自然な、リラックスできる景色を生み出しています。 モリスの手紙には、バラ、タチアオイ、スカビオサ、ポピーといった、コテージガーデンでおなじみの草花や、クロッカスやスノードロップ、ビオラ、プリムローズ、チューリップといった春の花々が登場し、当時の庭にたくさんの花々があったことがうかがえます。 また、モリスの壁紙やテキスタイルのパターンデザインでは、じつに多くの植物がモチーフに使われています。バラ、チューリップ、ハニーサックル、ヒエンソウ、ラッパズイセン、アネモネ、ムギセンノウ、ギンバイカ、アイリス、ジャスミン、ポピー、オークツリー、ヤナギ、アカンサス、フリチラリア、マリゴールド、リンゴ、ブドウ、ザクロ、レモン、キク、デイジー、クロイチゴ。描かれたそれらの植物の多くは、きっとこの庭で見られるものだったのでしょう。 現在の花壇には、これらの、モリスがデザインモチーフとして用いた植物を選んで、植えてあります。また、その植栽は、深い切れ込みの入った葉の植物を使ったり、大きな花々の間を小さな花々で埋めたり、柵に灌木の枝を絡ませたりと、モリスデザインの特徴を感じさせるものになっています。 パーゴラのあるローンガーデン 屋敷の北東側にあるローンガーデン(芝生の庭)は、もともとはキッチンガーデンでしたが、今はシダやグラス類、アーティチョークの仲間やハーブ類が植えられています。素朴な印象のパーゴラは、クリの間伐材で作られたもの。パーゴラは、ブドウの木を支える伝統的な手法の一つでした。 パーゴラを覆うブドウの葉が涼しい木陰をつくり、ここにもバラが絡んでいます。あら、あんな所、こんな所にもバラが……と、いろんな場所でその姿を見つけました。モリスはバラのデザインパターンを何種類も描いていますが、彼もきっとバラを好んでいたのでしょうね。 その隣のエリアに行くと、葉を茂らせた、どっしりとした大木の周りを、ナチュラルな花々が優しく彩っています。 暮らしに寄り添う、優しい色合いの花々。100年前にも、このような花々が静かに季節を告げる、穏やかな暮らしがあったのだろうと、想像が膨らみます。 「庭を大いに楽しんでいる。ぶらぶらと、どれだけ歩いても、目障りな物は何ひとつない。すべてが美しいのだ」 モリスは、このような言葉を残しています。 屋敷内の全フロアを見学 さて、今度は屋敷の中を見ていきましょう。 この屋敷には、モリスの友人で建築家のフィリップ・ウェッブによって、特別にデザインされたしつらえがあります。また、モリスのロンドンの家にあったものも移されて、コレクションされているそうです。 屋敷はすべてのフロアを隅々まで見学することができて、そのことに感動しました。どの部屋にもモリス柄のテキスタイルが使われていて、上品なデザインの調度品が並んでいます。暮らしと芸術を一致させる、アーツ・アンド・クラフツ運動を実践するような、丁寧な暮らしをしていたのだろうなと思いました。 シノワズリの雰囲気があるノース・ホールでは、セトルと呼ばれる、背部が高く立ち上がった長椅子が目を引きます。これは、かつてモリスが暮らしたレッド・ハウス用に作られたものでしたが、ここに移されました。脇の扉には、モリスが愛用したコートが掛かっています。 長椅子の右手には、手刺繍と思われるカーテンが。この柄は、モリスの作品の中でも最も愛されている「デイジー(Daisy)」ではないかしら! モリスの妻ジェーンと娘のメイは刺繍の名手で、屋敷には彼らの手による美しい刺繍や布小物の数々が残されています。このカーテンの刺繍も彼らが施したものなのかもしれません。 こちらは、1883年作の「ケネット(Kennet)」という柄のテキスタイル。2種類の花がデザインされています。傍には、おそらく実際に使われたと思われる版木が飾ってあります。 「ケネット」のテキスタイルが美しいグリーンルーム。ケネットとは、テムズ川の支流の名前だそう。モリスはしばしば、テムズ川で釣りをして遊びましたが、その際にもきっと創作のインスピレーションを得たのでしょう。他にも、テムズ川の支流の名前を冠したデザインがあるそうです。 グリーンルームは一家の居間として使われていました。暖炉を囲んで、ゆったりと座れるパーソナルチェアが並びます。家族でくつろぐ時間には、どんな会話が交わされたのでしょうね。 脇の小部屋には、ブルー&ホワイトの絵皿コレクションがずらりと並びます。 ここに飾られているのは、ダンテ・ガブリエル・ロセッティの描いた、モリスの妻、ジェーンの絵。彼女はロセッティやラファエル前派のモデルを務めた人物で、モリスと、その仲間たちのミューズでした。 屋敷内には、モリスの友人、サー・エドワード・バーン=ジョーンズの絵画も飾られています。また、アルブレヒト・デューラーやブリューゲルといった、価値の高い美術品のコレクションも見られます。 ジェーンの寝室だったという部屋。壁紙には1887年作の「ウィロー・バウ(Willow Bough、柳の枝)」が選ばれていて、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。 重厚なタペストリーが飾られている、タペストリールームです。この部屋は数年の間、ロセッティが寝起きし、創作を行うアトリエとして使われていました。じつは、ロセッティとジェーンは一時、特別な関係を持ち、モリスを交えた複雑な三角関係があったといわれています。ミューズを巡る、芸術家ならではの人間模様があったのでしょうか。 屋根裏部屋を探検 最上階へ続く階段は、右左の足の置き場が段違いになった、見慣れないつくりになっていました。 広々とした屋根裏部屋です。古い梁が、古風な趣を醸し出す場所だと、モリスも気に入っていました。ここは、モリスの2人の娘が過ごすための空間でしたが、その昔は、屋敷で働く農夫や羊飼いが寝起きしていたそうです。 さらに小さな階段を上がってみると… 絵に描いたような三角屋根の真下には、シンプルさを極めた部屋がありました。娘たちの寝室です。細長い空間には、幅が極端に狭いベッドが2台並べられて、モリス柄のベッドカバーがかかっています。質素で清潔感のある、ミニマリズムの暮らしのお手本のような部屋ですね。 最上階からは、敷地の外に広がるメドウや森を眺めることができます。モリスの娘たちは、朝、目覚めたら、まずこの窓から外を眺めて、野鳥の声を聴きながら、新しい一日をスタートしたのかしら、と想像しました。 ショップはモリスグッズも充実 ショップには、モリス柄を使ったオリジナルグッズがたくさん! 日本ではお目にかかれないような、可愛いデザインばかりです。中央は、モリス柄のテラコッタタイル、上は「イチゴ泥棒」をモチーフにした布製オーナメントで、ちょっとユーモラスなツグミがイチゴをくわえています。 左は、モリス柄をテラコッタにプリントしたミニバッジ。右に並ぶ、モリスやアーツ・アンド・クラフツ関連の書籍も充実しています。 モリスの死後、ケルムスコット・マナーの地所は妻ジェーンによって買い取られ、娘のメイは1939年に亡くなるまでここで暮らしました。メイは地所をオックスフォード大学に遺贈しますが、1962年、地所は大学からロンドン古物研究協会(ソサエティ・オブ・アンティクワリーズ・オブ・ロンドン)に譲られることになります。その後、協会はケルムスコット・マナーの修復作業に着手し、地所は徐々に一般公開されるようになりました。 モリスの眠る教会へ 少し足を伸ばして、モリスやジェーンが眠るセント・ジョージ教会も訪ねました。ケルムスコット・マナーから歩いて10分ほどの場所にあります。入り口に立つ樹木が、12世紀に建てられた古い教会を隠すほどに大きく育っています。 モリスとジェーンの墓は、教会を正面に見て右奥にひっそりとありました。友人のフィリップ・ウェッブがデザインしたという墓碑に、その名が刻まれています。時の流れの中で彫文字はかすれ、かろうじて読めるものになっていました。 教会の祭壇付近には、モリスのデザインした、「バード(Bird)」の柄のテキスタイルがありました。モリスが今もこの土地を守ってくれているのだろうと感じながら、祈りを捧げてきました。
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大阪府

素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪16 大阪「GARDENERʼS TENNOUJI てんしばイーナ店」
ギフトプランナーが提案する 365日笑顔になる店 あべのハルカス、通天閣が隣接する街中に位置する天王寺公園。動物園や美術館、庭園もある都会のオアシスです。その公園内の芝生エリアに、2019年11月、レストランを中心とする新しい憩いのスポット‘てんしばi:na’がグランドオープン。芝生エリアの突き当たりにある動物園の入り口脇に、「GARDENERʼS TENNOUJI」がオープンしました。 ガーデニングを楽しむスペースがなく、日常的に花に触れる習慣がない街中の人たちに「植物に触れるきっかけを提供しよう」という思いでスタートした「GARDENERʼS TENNOUJI」。ここはガーデニング・エクステリアの資材を提供する、ライフスタイルカンパニー「タカショー」が運営する園芸店の一つで、全国3店舗あるうちの一番新しいショップです。 ショップのテーマは、‘大切な方へのプレゼントや頑張った自分へのご褒美のプレゼントが買える店’。「誰かにギフトしたいと思ったときに、365日、いつでも一番最初に思い浮かぶ店を目指しています」と店長の中野誠介さん。植物のある暮らしの提案に加えて、ギフトが見つかる店として力を注いでいます。 ガラス張りの開放感あふれる店内は、植物や雑貨などシーズナルなギフト商品でいっぱい。トーンを落とした温かみのある照明とインドアグリーンのつややかな潤い、そしてブラックで統一した什器で構成された空間は、落ち着いた雰囲気が漂っており、ゆったりとした気分で買い物ができます。 ギフトにぴったりのコンパクトなインドアグリーンが充実。スタッフに頼めば、植え替えもしてくれます。 動物園帰りの子どもたちも多く来店するので、動物アイテムが充実。店内のあちこちで、ぬいぐるみの動物が出迎えてくれます。 日当たりの悪い部屋が多い都会の住居でもグリーンの潤いを楽しめるよう、フェイクグリーンも用意。シックな色味のものも揃い、おしゃれなインテリアづくりに重宝します。 ギフトに最適な、ボックス入りのドライフラワーのアレンジなどもあります。バリエーションが豊富なのでお好みのものを選んで。 植物だけでなく、香りのアイテムや食器などの雑貨類も充実。園芸とは直接的には関係のないものですが、植物に興味のなかった都会の人たちが、ガーデニングに興味をもってくれるきっかけになれば嬉しい、との思いで取り扱っています。「雑貨を用いて、グリーンライフの楽しさを知っていただくきっかけづくりをしています。それには興味を持っていただけるような、ストーリーのあるディスプレイが大切です」と雑貨担当の山中梢さん。 ぬいぐるみだけでなく、動物をモチーフにしたユニークなアイテムがたくさん。写真左は、コウノトリやワニの形をしたカトラリー。右は、コアラやブタ、カメなど、リアルなつくりが人気の貯金箱。 おしゃれなステーショナリーも充実しています。「まずは身のまわりの雑貨類などからこだわって、空間づくりの楽しさに気づいていただきたいですね」と山中さん。 店舗外には、ガーデニングの参考になる コーナーがいっぱい ショップ前に広がるウッド×樹脂製のデッキまわりも見どころが満載です。店舗すぐ前にはガーデニング用品や苗、そしてギフトに最適な寄せ植えなどが並んでおり、ギフトにもなるアイテムが充実。その奥の植栽コーナーでは、ライトのきらめきと共に、中野さんこだわりのロマンティックな風景が広がっています 細長いデッキの手前側の植栽帯には、季節の草花とリスやウサギのオーナメントを合わせたユニークな提案が。三世代が楽しめる、ストーリー性を持たせた演出。 動物たちの生き生きとした姿を表現したのは山中さん。「季節ごとに植え替える花に合わせて、動物たちの置き方も変える予定です。ぜひ四季を通して見に来てくださいね」。 ボリュームを持たせたオージープランツの植栽エリアには、アルパカや家などのピックの飾りをプラス。植物に詳しくない人たちも楽しめるような配慮が施されています。 植栽とライティングによる美しい演出で ガーデンライフの楽しさを提案 動物のオーナメントやオージープランツの奥は、店長の中野さんがセレクトしたというこだわりの樹木による、リーフ合わせの妙を観賞するコーナー。美しい色や形の葉を持つ低~高木がふんだんに盛り込まれています。 併設するガラス張りのカフェにも光が差し込むように、サラサラとした小さい葉の樹木類が用いられています。夕刻ともなると樹木の幹や白い球形のオーナメントにライトが灯り、ロマンティックな風景にチェンジ。 最奥に広がるステップフロアコーナーは、カフェのお客様が緑に囲まれて飲食できるようにと設けられた場所。常緑樹と落葉樹をバランスよく配し、緑の潤いを通年感じられるように設計されています。ここは、カフェだけでなく、庭づくりの相談の場としても活用されています。 ファニチャーはタカショーオリジナルのアイテム。樹脂製のメッシュのソファは、雨が降っても水が抜けやすく乾きやすい優れもの。クッションを置いても◎。 中野店長による、おしゃれな庭づくりにおすすめの樹木ベスト4 左/シャボチカバ:常緑樹なので隠したい場所にぴったり。葉が小さく、重い印象になりません。 右/ツツジ:山採りのツツジなのでヒョロリと丈が高く野趣がありますが、モダンな雰囲気も漂わせています。 左/ストローブマツ:ゴヨウマツをやさしい雰囲気にしたようなマツ。枝垂れるさまが植栽に動きをもたらしてくれます。 右/暖地サクランボ:枝が横に平たく広がるエスパリエ仕立ての、暖地向きのサクランボ。初夏に赤い実が付きます。 エントランスのデッキのアクセントになっている2×2mほどの植栽桝には、カツラをシンボリックに植栽。株元には葉色が美しいヒューケラやコプロスマ、マートルなどを添え、冬の寂しい時期でも葉色を楽しめるようにデザインされています。 冬の庭で存在感を放つ植物たち 左/斑入りギンバイカ(マートル):こんもりと葉をつける斑入りのギンバイカ。フトモモ科ギンバイカ属の常緑低木で、とてもよい香りを放ち、春にはやさしい白花が咲きます。斑入り葉なので、庭のアクセントにぴったり。 右/ヘレボラス・スノーフィーバー:白い散り斑が入る原種の有茎種。茎ににじむ赤色が、ニュアンスを生んでいます。 左/グレヴィレア‘ピーチ&クリーム’:線の細い葉や茎の先に、やさしい色の花を次々に付けます。寒さにも強い品種です。 右/バンクシア・スピヌロサ(ヘアピンバンクシア):いかにもオージーらしいユニークな花を咲かせます。花穂は長さ20cm以上にもなり、インパクト大。 左/アカシア‘ブルーブッシュ’:ボリュームのあるシルバーリーフが植栽の間を涼やかに埋めてくれます。 右/ライスフラワー:米粒のような小花を咲かせます。つぼみから開花までの観賞期間が長く、花もちもよいのが魅力。 併設するカフェで 緑を眺めながらのんびり過ごして 「すべての方が笑顔になれるカフェ」を目指し、彩りの美しいイタリアの野菜などを使ったメニューが好評。明るい自然光が入るガラス張りの空間は、開放感がたっぷり。気分転換にぴったりの場所です。 彩り豊かな洋食ランチのあとはおしゃれなデザートを、そして夜は、美味しいディナーをお酒とともに楽しんで。おすすめのメニューを一部ご紹介しましょう。 「ぺこのハッシュソースハンバーグ」 ¥1,280 6種類のキノコを使った自慢の濃厚ハッシュソースで、富士の麓で育った氷見牛ハンバーグの甘さをお楽しみください。 「ぺこといただきますプレート」 ¥980 ぺこの旗つきチキンライスと、氷見牛ハンバーグのお子様プレート。デザートに季節のフルーツもついています。 「ぺこのチョコシフォンケーキ」 ¥800 しっとりと焼き上げたオリジナルのチョコシフォンケーキにミックスベリーとピスタチオを添えました。甘さ控えめのクリームと一緒にどうぞ。 「ぺこのスフレパンケーキ」 ¥1,000 宮城県のブランド“竹鶏たまご”を使用したオリジナルパンケーキ。一つひとつ、ふんわり丁寧に焼き上げました。 「GARDENERʼS TENNOUJI」中野店長のイチオシをご紹介! 「ギフト」を最大のテーマとして掲げているショップだけに、ラッピングに力を入れています。まず購入者が喜んでくれるようにと、どんな価格の商品でも無料でラッピングをしてくれる嬉しいサービスも活用しましょう。 大きな花束のようなラッピングの、ポインセチア‘プリンチア・ローザ’のギフト。どんな小さい鉢花でもより見映えがアップするよう、包み紙やリボンを惜しみなく使い、最高の状態でお届けしています。 ショップの思いを表現した楽しい壁。「下に描かれた動物をお客様に見立て、浮かんでいるのは幸せのギフト。‘ここに来られたお客様のもとに、たくさんの幸せが降ってきますように’という願いを込めているんですよ」と山中さん。 「うるおいのある暮らし」を届けるショップ 「お客様を笑顔に」という思いを込めて、徹底的にギフトに力を入れている「GARDENERʼS TENNOUJI」。ガーデニングのプロの視点で「うるおいのある暮らし」を提案する、多様性に富んだショップです。初心者だけでなく、玄人ガーデナーにもきっと新たな発見があるはず。「これから植物の種類や数、ワークショップなど、さまざまなもの・ことを盛り込んでいきますよ」と中野さん。‘期待度大’の、誕生したばかりのショップです。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、地下鉄御堂筋線・谷町線、JR「天王寺」駅、近鉄「大阪阿部野橋駅」、阪堺上町線「天王寺駅前駅」、各駅から徒歩約6分。 【GARDEN DATA】 GARDENERʼS TENNOUJI てんしばイーナ店 大阪府大阪市天王寺区茶臼山5番55号 TEL:06-6796-8010 https://gardeners-japan.jp/tennoji/ 営業時間:11:00 〜20:00/カフェ 11:00-22:00 休日:無休(年始を除く) Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。 写真協力:GARDENERʼS TENNOUJI てんしばイーナ店
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宮城県

素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪15 宮城「スワローテイルガーデン」
閑静な住宅街の中で 牧歌的な風を感じさせるショップ 仙台市郊外の閑静な住宅地の中にあるスワローテイルガーデン。店先の小さな庭に設けられたはちみつ色の石積みが、異国情緒を放っています。この石積みは、オーナーである小野雄大さんがイギリスの石を英国式の工法で積んだ壁、ドライウォール。ほんの数メートルの壁ですが、コッツウォルズの風景を感じさせています。 石積み+ナチュラルな草花の 素朴な演出にほっこり 石積みには、野に生えているような楚々とした草花が寄り添い、牧歌的な風景が演出されています。この本場さながらの石積みは、セメントを使わずに石を載せるだけという英国式工法で、熟練の技術と勘が必要。国内で最初に英国に渡って資格を取得した神谷造園(愛知県岡崎市)の神谷さんに学びながら、さらに本場でも研鑽を積み、技術を習得しました。現在国内でたった3人しか認定されていない難易度「レベル3」を保持しており、常に次なる高みを目指して技術を磨いています。 ふんわりとした姿の草花を合わせて、石積みの重い印象を軽減。 庭の雰囲気を盛り上げる 数々のオーナメントも必見 小さなガーデンの雰囲気を盛り立てているのは、イギリスから仕入れた、重厚感のあるオーナメントやコンテナ類。大小さまざまのアイテムが見事に石積みと響き合いながら、軽やかな植物とバランスよく調和しています。 植栽の中にひっそりと配したバードバスとカエルのオーナメント。全形を見せないのが自然な庭を造るポイント。自然体な庭づくりからは、小野さんの人柄や植物との向き合い方が感じられます。 子どもの頃から親しんだ風景が 現在つくり出す風景につながる 子どもの頃、庭に咲いた花を部屋に飾るのが大好きだったという小野さん。母方の実家は田畑に囲まれた茅葺きの古民家で、そんな風景に親しみながら育ちました。その頃の記憶が、現在抱く心の原風景になっていると言います。 「園芸というより植物全般やそれを取り巻く環境に興味がありましたね」。子どもの頃から抱いていた「植物や園芸のことをもっと知りたい」という思いに押され、高校卒業後は、タイやマレーシアの農場を一年ほどかけて見て回り、帰国後は園芸の学校に入学。園芸学校では室内装飾・インドアグリーンを専攻していました。けれど、それだけでは飽き足らず、専攻以外にも面白そうなことは何でも参加し、学校が長期休みに入ると、校内の圃場やハウスで栽培の管理を自主的に行ったり、造園の講習にも頻繁に出席。さらに、都内のインテリアショップやアンティークショップも、時間をつくっては見に行くという生活で、あらゆる感性に磨きをかけていきました。 園芸の学校を卒業した後は、通訳をしていた祖父の影響もあってニュージーランドに渡航した小野さん。ニュージーランドでは、古いモノや拾ってきたモノをさりげなく取り込んだり、自然な植栽を楽しんでいる人が多く、日本のガーデニングとは異なる‘無作為な庭づくり’に感動を受けました。毎日新たな刺激を受けるにつれ、「日本の庭園についてもきちんと学ぶ必要があるのでは?」と感じ始め、帰国後すぐに、鎌倉の造園会社に入社しました。 何世代にもわたって受け継いだものを大事にしながら、自身の趣味を反映させている家が多い鎌倉。土地柄、借景を生かした庭も多かったため、自然に見せる手法や剪定の技術を学びました。学校だけでなく、ニュージーランドや鎌倉で、あらゆることを吸収していったのです。 英国の香りが満ちあふれる 居心地のよい建物内 東日本大震災をきっかけに、奥様の明日香さんと仙台に戻り、以前から考えていた園芸店を自宅でスタートさせた小野さん。住まい兼を兼ねたショップは、イギリスにあるような小さな家がコンセプトです。壁はコッツウォルズのハニーストーンに似た色を選び、屋根の傾斜は現地の角度を参考に。緑の木のドアを開けると、イギリスの香りがさらに強く味わえる世界へ突入です。 室内はイギリスで買い付けてきたというツールや雑貨でいっぱい。暖炉のあるリビングのような空間は、誰かの住まいを訪れたような落ち着いた時間が流れています。 小野さんはイギリスに行くたびに、あちこちのディスプレイをチェック。特に、コッツウォルズのテットベリーという小さな村にある何軒かのアンティークショップがお気に入り。「ショップ巡りはとても刺激になりますよ。この村はリッチなエリアなので、置いてあるものがみんな素敵なんです」。 父方も母方も、祖父が通訳だったことから、幼い頃から海外の人や物に親しんでいた小野さん。「イギリスのトラッドなファッションが昔から好きですね。あまり時代に流されずに、カッチリしたところが好きなんです」。そんな伝統を重んじるイギリス人は、おとぎ話や愛らしい動物が大好き。このショップでは、そんな文化も感じることができるアイテムがいっぱいです。 スワローテイルガーデンの ディスプレイあれこれ 季節ごとにチェンジするスワローテイルガーデンのディスプレイ。イギリスのウインドーディスプレイの雰囲気を意識して飾り付けをしています。その素敵の秘密をご紹介。ぜひ、ベランダのコーナーやもてなしのシーンづくりの参考にしてください。 【ガーデンアイテムは、明るく清潔感が漂うように】 ガーデンツールや雑貨も泥臭い印象にならないように、清潔感を大切に一般的な雑貨と同じ感覚で飾ります。春や夏など開放的な気分になる季節は、明るいカラーにまとめて楽し気に演出しましょう。 【チェアも什器に活用】 テーブルセットの一つであるチェアも立派な什器に。何を置いてもしっくりなじみ、ぬくもりのあるシーンが演出できます。居心地のよい空間づくりにぴったり。 【ドライフラワーもマストアイテム】 なんだか物足りない──そんな場所にはドライフラワーを添えてみましょう。ニュアンスのある色味のものを選べば、落ち着いたシーンを描けます。ほんの少し添えるだけで、絵になるシーンに。 【冬ごもりの時季は、あたたかみを添えて】 寒い時期は外の風景を取り入れながら、心もあたたまるシーンを演出します。野山に行けばいくらでもある枯れ枝は、ディスプレイで活躍する重要アイテムです。花瓶などに数本挿して、動物のオーナメントを添えれば、ォーカルポイントに。この年のクリスマスは、あたたかみのある上品なブラウンでまとめました。「冬の時期のピーターシャムナーセリのようなキラキラ感を取り入れています」。 キッチンツールで アットホームな楽しさを おたまや木べら、キャニスターなどのキッチンツールは、空間に安心感やぬくもりを感じさせるのにぴったりのアイテム。クロスやお菓子などを合わせて、楽しく演出しましょう。 テーブルコーディネートは つややかさと透明感が肝要 大切な人をおもてなしする日は、テーブルセッティングに特に力を入れたいもの。上品にまとめるためには、次の3つが大切です。①色を揃えて少なくとどめること。②ガラスも使って透明感を出すこと。④植物をほどよい分量でさりげなく添えること。 こだわりのスイーツ&ティーも並ぶ 夢のような空間 ショップ内には、「秘密の庭の小さな焼き菓子店」と名付けられた小さなスイーツ&紅茶コーナーがあります。スイーツは、近所で小野さんの母が営むレストラン、「Salon de Cafe MANNE (サロンド カフェ マンナ)」のもの。こだわりの材料で作られたタルトやシフォンケーキ、クッキーが並びます。そして10種類以上ある紅茶は、ドイツのロンネフェルト社のもの。香り高く深い味わいが、優雅なティータイムを演出してくれます。 小野さんのイチオシアイテム 「コッツウォルドストーン」 イギリスのカントリーサイドでよく見られる石積み。庭や牧場の仕切りとしてだけでなく、橋や川岸、建物の塀にも用いられています。イギリスでは景観条例が厳しいので、自然に溶け込むこの石積みが最適なのです。 小野さんは庭の施工も手掛けているので、現在日本各地で石積みをしています。地場産の石を使うこともありますが、雰囲気を出したいエントランスなどには、やはりコッツウォルドストーンがおすすめです。 イギリス人がこよなく愛する草花、お菓子、紅茶、おとぎの世界。それらすべてを取り込んで、トータルでガーデンライフを提案しているスワローテイルガーデン。イギリスのエッセンスがぎっしりと詰まった空間は、しばしの間旅行気分にさせてくれる本格的な演出です。ぜひ訪れてください。アクセスは、仙台市地下鉄南北線泉中央駅よりバスで約15分。 【GARDEN DATA】 スワローテイル ガーデン 宮城県仙台市泉区将監12-11-9-2 TEL: 022-725-6998 https://www.facebook.com/Swallowtail-garden-1426701067608819/ 営業時間:11:00~18:00(冬季は17:00ごろ閉店) 休日:日曜日、月曜日
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東京都

花の庭巡りならここ! 熱帯雨林のジャングルを散歩「板橋区立熱帯環境植物館」
東南アジアの熱帯雨林から高山までをコンパクトにまとめた植物園 「板橋区立熱帯環境植物館」は、1974年に高島平温水プールが開設された際、1階部分に区民の憩いの場として「熱帯植物園」を整備。清掃工場の余熱利用により、当時からバナナやヤシ、スイレンなどが植栽されていました。 その後1994年に、現在の「板橋区立熱帯環境植物館」にリニューアル。世界三大熱帯雨林の中から、日本と関係の深い東南アジアの熱帯雨林に特化して再現しています。海底に見立てた水族館から始まり、標高2,000mの高山(キナバル山)まで順次ジャングルを登っていくような展示内容で、「潮間帯ゾーン」「熱帯低地林ゾーン」「集落景観ゾーン」「雲霧林ゾーン」の4つに分かれています。 植栽面積は約1,000㎡で、ゆっくり観賞しながら回ると大人の足で1時間くらいかかります。水族館の魚は約150種、植物園の植物は約700種をコレクション。特に花が美しい熱帯植物はプルメリアやビワモドキ、ヒスイカズラ、メディニラ・マグニフィカ、バニラ、ラン、果実はミズレンブ、ビワモドキ、バナナ、パラミツ、ビヨウタコノキなどです。友好提携マレーシアのペナン植物園から寄贈されたものも多く、足元や壁際などまで視線を巡らせると、珍しい植物が見つかる楽しみがあります。 日曜・祝日はガイドツアーが行われ、13:00から約1時間かけてスタッフによる解説を受けられます。水族館では餌やり体験も実施、参加費は無料。企画展の内容や季節、咲いている花などによって毎回解説内容が変わるので、何度参加しても楽しめます。企画展やイベントが一年を通して開催されているため、リピーターも大変多く、年間約12万人が訪れる人気の植物園です。 海底を再現した水族館からスタート!海水、汽水、淡水に棲む魚たちを観察 「板橋区立熱帯環境植物館」に入場すると、まずはミニ水族館に出迎えられます。チンアナゴやカクレミノなどカラフルな熱帯魚が泳ぐ海水、淡水と海水が入り混じる河口域に棲むテッポウウオやハゼの仲間がいる汽水、アジアアロワナ、ボルネオカワガメが生息する淡水へとエリアごとに展示。海底から河口、川へと上がっていくイメージです。 こちらは世界最大の淡水エイ、ヒマンチュラチャオプラヤが優雅に遊泳する淡水エリア。上部には熱帯の河口域に根を下ろす植物が見え、水中から上を眺めているような気分になれる展示です。緩やかなスロープを上がって、次はいよいよ植物が息づくエリアに向かいます。 標高の低い熱帯低地から高冷地まで上るにつれて、植生も変わっていく 水族館を後にして現れるのは、潮の満ち引きによって、露出と水没を繰り返す「潮間帯ゾーン」。地表に呼吸根を出す姿が特徴的なマングローブや、ヤシ類などが茂るほか、水辺を好む植物が垣間見えます。 次に進むと、「熱帯低地林ゾーン」が広がります。ラワン材としても知られるフタバガキの仲間など多様な熱帯植物が見られ、ジャングルに分け入った気分に。アコウやガジュマルなど、他のものに絡まるように育つ「しめ殺し植物」も見られ、実際に宿主が枯れて乗っ取られた姿も展示されています。 写真は「集落景観ゾーン」に設けられたマレーハウス。中のベンチで一休みしながら園内を一望できるビュースポットです。この周辺には、低地林より少し高い台地で、人々が集落を作る環境を想定し、生活に利用される植物を植栽。バナナやパパイヤなどのフルーツや、キャッサバ、イモ類などの食用植物、薬や香料に用いられる植物、観賞に向く美しい植物など、人が持ち込んだとされるさまざまな植物が見られます。 順路を進むと、「雲霧林ゾーン」が現れ、ひんやりとした空気を感じて「わあ、涼しい!」という声も聞こえてきます。それもそのはず、このゾーンは標高約1,400m以上の、雨や霧の多い熱帯の高山地を再現しているため。苔や背丈の低いツツジ科の植物、ランなどの着生植物が多く見られます。 企画展やスタンプラリー、体験会など興味深いイベントが目白押し! 撮影/板橋区立熱帯環境植物館 「板橋区立熱帯環境植物館」では、環境や生き物にまつわる企画展を年に11回(合間の小規模展示は8回)行っています。夏休みの「昆虫展」、1月の「ラン展」、春休みの「体感水族館」が、毎年恒例の人気企画。写真は、食べると味覚が変わる「ミラクルフルーツ体験コーナー」で、園内で育った果実を試食するイベントです。 毎回テーマを変えて、年10回以上のオリジナルスタンプラリーを行うほか、フラワーアレンジメントやリース作り、植物画、聞香体験などの講習会も開催しています。 館内には、貸し衣装コーナーもありますよ! トロピカル気分を味わえるアロハシャツやレイなどを纏って、撮影スポットで記念写真を撮るのもいいですね。 土・日、祝祭日は東南アジア料理に舌鼓をミュージアムショップも多彩な品揃え 「板橋区立熱帯環境植物館」では、土日・祝祭日のみ、「喫茶室クレア」がオープンします。営業時間は11:00~17:00(ラストオーダー16:30)で、客席は25席。温室側はガラス張りになっており、ナイスビューが広がります。営業のない平日は飲食物を持ち込んでの休憩もOKです。 撮影/板橋区立熱帯環境植物館 「喫茶室クレア」のメニューは、東南アジアをイメージさせるラインナップ。マレーシアカレー&ライスまたはナン&ミニサラダ、ナシゴレン、ガパオライスが各800円、野菜のキッシュ、ピザフリッタ各400円、お子様セット550円など。飲み物はソフトドリンク、タピオカ、アルコール350円~。写真は大人気のパンケーキ500円。 ※値段は税込 館内にはミュージアムショップもあるので、ぜひ立ち寄りを。オリジナルの缶バッジやポストカード、スタンプ、オリジナルコーヒー、ドライフルーツ、雑貨などが揃います。企画展や季節によって取り扱い製品のラインナップも変わり、毎年1月のラン展の際はランの苗も販売しています。2020年のラン展は最終日が1月13日で、展示品が安く販売されるので、ぜひお出かけください! Information 板橋区立熱帯環境植物館 所在地:東京都板橋区高島平8-29-2TEL:03-5920-1131 板橋区立 熱帯環境植物館 アクセス:電車/都営三田線「高島平」駅下車、東口より徒歩7分バス/国際興業バス「高島第一中学校」下車、徒歩1分※土・日曜、祝祭日、板橋区立小学校の夏休み期間は無料送迎バスあり。時刻表はHP参照(https://www.seibu-la.co.jp/nettaikan/files/timetable2.pdf) 休館日:月曜(祝祭日の時はその直後の平日)、12月28日~1月1日 営業時間: 10:00~18:00(※入館は17:30まで) 料金:大人260円、小・中学生130円、未就学児無料※土・日曜、区立小学校の夏休みは小・中学生無料※団体は20名以上で1名50円引き※障がい者手帳、愛の手帳などをお持ちの方は、大人130円、小・中学生と65歳以上60円、付き添い1名無料
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シンガポール

シンガポールの最新花みどり旅案内〜植物園編〜
シンガポールの日常を感じる朝 シンガポールの私の朝は、毎日決まったこのメニューで始まりました。 「カヤトースト」は薄く切ってこんがり焼いたトーストに、ココナッツミルクを煮詰めて作ったカヤジャムと呼ばれるジャムを塗ったもので、これに半熟玉子をつけて、「コピ」というコンデンスミルク入りのコーヒーをお供にいただく、シンガポールのソウルフードです。毎朝違うお店を選び、通勤途中のサラリーマンの列に並んでみたり、英語ではない現地の言葉での対応に戸惑ったり、今でももう一度食べてみたいと思える懐かしい味になりました。 この日、カヤトーストの朝食を済ませ、地下鉄で向かったのは「シンガポール植物園」。 Singapore Botanic Garden 駅から歩いてもすぐの便利な立地です。 さあ、シンガポール植物園へGo! 「シンガポール植物園」は1859年に開設され、2015年にシンガポール初の世界遺産に認定されています。敷地は東京ドーム13個分にもなる64ヘクタールで、なんと早朝午前5時から深夜の12時まで無休で営業されている、園内の国立洋蘭園以外は無料の施設です。 しかし、この広さを全て見て回るのはとても無理(笑) 写真は、熱帯や亜熱帯地方の代表的な植物であるブーゲンビリア。斑入り葉や八重のものなど多様です。 ブーゲンビリアだけで、こんな景色を作れるガーデンはシンガポールならではかも。 9月末のことですので、最低気温が25℃、最高気温も30℃ほどで、最近の日本の夏の最高気温と数値だけを比べれば、大したことはなさそうだと思うのですが、じつは大敵なのは気温よりも湿度です。年間の平均湿度が84%、9月だと最高湿度が96%、晴れた日の日中でやっと60%程度まで下がります。 早朝からの蒸し暑さで、屋外の植物園は歩くのも嫌になるくらいでした。 背中にTシャツがへばりつくような汗をかきかき歩いて、次は農作物のコーナーへ。 タピオカの原料に遭遇 今人気のタピオカ。じつはこのキャッサバ(Manihot esculenta)の木の塊根のデンプンを加工したものです。 「Ipomoea batatas」Sweet Potato とのことですが、日本では「イポメア‘テラスライム’」として流通している品種と同じかと思います。ここは食用として、栽培が簡単で早く収穫できる植物のコーナーですから、「イポメア‘テラスライム’」も食べてみれば美味しいのかもしれません。味はともかく、食用だということは確かですね。 こちらも同じ場所のイポメアの違うタイプ。花が咲いていました。 園内には所々に休憩所があり、ここで暑さをしのいだり、ストームから避難したり、風景を楽しんだりできる場所になっています。 そこからすぐのヒーリングガーデンの中にある薬用植物ガーデンには、薬用になる植物が植えられていて、昔から、乾燥させた植物を医療に使っていた様子を示す壁画がありました。 名札が付いていなかったので、植え替えの作業をしていた男性に聞いたら 「オイスタープランツだよ、花がオイスターみたいでしょう?」 葉の付け根の辺りが、花を包む紫の牡蠣のように見えなくもありません。西洋おもとでしょうか? これも薬用植物の一つの「Dragon's Tongue」。肺によい植物なのだとか。 他にもいろいろ名前が分からない植物があって、先の男性に聞いていたのですが、ここで私の足元から小さい蟻が上がってきてチクチクと攻撃されてしまいました。それが痛いのなんのって。 「いま植え替えしてるから、蟻がたくさん出て来てるんだよ。違う場所に移動したほうがいいよ!」と男性。 もしかして、私、お仕事のお邪魔だったかもですね(笑) このまま植栽の参考にしたいほど素敵だけど、名前の分からない植物をカメラに収めながら、次の場所に向かっているうちに、風が吹き、雨が降り始めました。 突然の雨と落とし物(?)発見 用意していた傘をさしたけれど、どんどん強まる雨脚に、傘は全く役に立たず、靴どころかパンツまでずぶ濡れに。 これがスコールというものだったのかと、スコール対策の読みの甘さを反省しました。シンガポールの人たちがサンダルで歩いてる理由もうなずけます。長靴でも履かない限り、通常の靴だと間違いなく中まで濡れてしまうからです。 さっきの薬草園の男性が、私が歩き始めようとした時に、室内に入って来た理由も分かりました、変な風が吹いていたのは、スコールの前兆だったのですね。何か私に言いたそうな様子でしたもの。 ずぶ濡れになりながら、オーキッドガーデンまで歩き、そこで雨をしのぎました。かなり長い時間だった気がしますが、ほんの30分ほどだったようです。 雨が上がり、付近を歩いていると、地面に落ちていたのはイチジクのような小さな実でした。 どこかにイチジクの木があるのかしら? と見上げると…… 「ジャボチカバ?」と思えるくらい、幹にみっしり小さな果実がついているじゃないですか! 私の知っているイチジクとは全く違うけれど、これは「Common Red-Stem Fig」と呼ばれる、イチジクの仲間だそうです。 イチジクは漢字では「無花果」と書きますが、この小さい実の中にびっしりと花を咲かせていると説明に書かれていました。美味しくはないけれど食べられるとも書いてあったので、中を割って、味見してみればよかったなぁと後悔。 レポーターとしては、もっと突っ込んだ行動が必要でしたね(笑) ここでオーキッドガーデンに入場したのですが、過去にレポートされているのでそこは省略して、ジンジャーガーデン方面へ進みます。 滝のエリアからスワンレイクに育つ植物をチェック ジンジャー系の植物を集めたガーデンを過ぎ、滝のそばにはこんな素敵な植栽が。滝の飛沫の湿り気と大きな木の陰のちょうどよい環境にピッタリな、ベゴニア類やシダのハーモニー。何枚も写真を撮ってしまいました。 どなたかが寄贈されたという、18mにもなる石の彫刻は、熱帯雨林に育つ200種類の植物を刻んだ素晴らしいものでした。 ウソのように雨が上がり、日差しも出て暑いけれど、どんどん歩きます。 しゃれたレストランもあるのですが、なにしろお高い。そこで、売店のアイスとポテチとジュースで空腹をごまかしつつ、白鳥がいるスワンレイクに着きました。 水面に白鳥が泳ぎ、涼しげに見えますが、やはりここも暑く、そろそろかなりの疲労感が(笑) 朝からずっと暑い中を歩き続けていますから、しばし木陰にあるベンチで休憩し、再び足を進めます。 これは、大砲の木(キャノンボールツリー)です。 遠くからでも目に飛び込んでくる独特の樹形と、赤い花びらにまるでつけまつげをしたかのような雄しべ。これは虫を呼び寄せるためのダミーの雄しべで、本物の雄しべはその奥にあるのだとか。 このモジャモジャしている枝のようなものは、幹から直接出ている花芽で、右下に茶色のものがぶら下がっていますが、これが果実です。キャノンボールとは大砲のことで、ここまで大きくなるのには1~2年かかるそうです。 そして、この実も食べられるそうですが……熟すとたいへん臭いを放つそうです。 さすがにそれを試すのは勇気が必要です。 ここには「ヘリテージツリー」という天然記念物が11本植わっていて、それらをたどるのも面白いのですが、その中の一つが「カポック」の木です。 1933年にここに植えられたもので、高さ43m、幹周り6.2mというサイズ感。パンヤといわれる綿毛が、布団や枕などの詰め物に利用されることから、コットンツリーとも呼ばれます。 ほぼ一日を過ごしたガーデンですが、まだまだ見残したところがたくさん! 次回はまず、完璧なスコール対策をして、もっと効率よく回りたいと思っています。
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カモミールを育てて、カモミール染めをしてみよう!
小花が可愛いジャーマンカモミール カモミールの代表的な品種には、一年草のジャーマンカモミールと、宿根草のローマンカモミールがありますが、今回はジャーマンカモミールをご紹介します。草丈30~60cmの一年草で、1円玉サイズの小さな花を春から初夏にかけて咲かせ、こぼれ種で再び生えてきます。香るのは花の部分。中央の黄色い部分が次第に山形に盛り上がり、白い花びらは反り返ってくるのが、ジャーマンカモミールの特徴です。 ジャーマンカモミールは、カモミールティーとして広く飲まれています。ドイツなど欧州では民間薬として古くから用いられており、リラックスしたい時や、食べすぎなどでおなかの調子を整えたい時にぴったりのお茶です。 お庭から旬の花を摘んでポットに入れ、熱湯を注いで、少し蒸らす。それだけで、フレッシュなカモミールティーを楽しめます。収穫後よく乾燥させれば、ドライハーブとしても保存できます。 ジャーマンカモミールの種まきと苗の植え付けは、春と秋のタイミングになります。早く収穫を楽しみたい方は、苗を購入して育てるのがよいでしょう。栽培は日当たりがよくて、水はけのよい場所が適当ですが、乾燥しすぎるのはよくありません。肥えた土を好むので、野菜栽培用の培養土などが向いています。「ハーブランドシーズン」の永嶋さんも、「野菜の感覚で育てるとよいでしょう。用土に堆肥を混ぜたほうが、しっかりした花になって、よいお茶になります」と、おっしゃいます。 (注意)キク科植物やブタクサのアレルギーのある方は、カモミールの栽培や利用に注意が必要です。 ●カモミールの育て方は、こちら カモミール染めのストール 作り方 さあ、ジャーマンカモミールを煮出して使う染め物を、「ハーブランドシーズン」で教えていただきましょう。 カモミール染めは、発色を促す媒染剤に何を選ぶかによって、染め上がりの色が変わってきます。上写真右の黄色はミョウバンを使った場合。カモミールの花そのままをイメージできる、明るい黄色です。一方、左は木酢酸鉄(もくさくさんてつ)を使った場合。カーキ色のような、渋めの色に仕上がります。今回は、ミョウバンを使ってストールを染めてみます。 【材料】 ジャーマンカモミール 旬の摘みたてカモミールを大鍋にいっぱい(ドライハーブでも染められますし、庭がなくて育てられないという方は、市販のカモミールティーでも染められます) ストール 媒染剤として、ミョウバン(もしくは、木酢酸鉄) 染める前のストール。「絹が一番よく染まりますが、このような軽やかな印象の、化繊の混じったストールも使いやすいですよ」と、永嶋さん(今回使ったストールは、綿、絹、ナイロン、レーヨンの混紡です)。 ストールのカモミール染めの手順 たらいに水を張って、染める前のストールを漬けておきます。 コンロの上にセットした大鍋で湯を沸かし、たくさんのジャーマンカモミールを投入。 くつくつと80℃以上で20分ほど煮出します。 このくらいの色になればOK。 ボウル(もしくは別の鍋)の上に目の細かいザルを置き、まず、カモミールの花や茎、葉を取り出します。 煮出した液をザルに空けて、濾します。 濾した液の中に、絞って水を切ったストールを漬けていきます。 ストールの入ったボウル(もしくは鍋)を再びコンロにかけ、加熱しながら、80℃から100℃の間で15分ほど、箸でかき混ぜながら煮ます(布が傷むため100℃を超えないよう注意)。この時、長く煮ると布の色が濃くなっていきます。だいたいこの色かなと思ったところで、取り出してください。 ストールを取り出して、水の中でゆすぎます。 次に、流水でよくもみ洗いします。もみ洗いして絞ったら、媒染剤の工程へ。 水2Lに対し、ミョウバンの量は小さじ1。まず、カップの水100mlほどで小さじ1のミョウバンを溶いてから、ボウルに張った2Lの水に流し入れて、ミョウバン液を作ります(カーキ色の仕上がりにする場合は、ミョウバンの代わりに、小さじ1/2の木酢酸鉄を使います)。 ミョウバン液にストールを浸し、箸で時々ゆらゆらと布を動かしながら、5~7分漬け込みます。だんだん発色していくので、色を見ながら、引き上げのタイミングはお好みで。 ミョウバン液からストールを取り出して、流水でもみ洗いします。 もっと濃い黄色に仕上げたい場合は、⑥~⑫の工程をもう1度繰り返して、2度染めします。 2度染めして水洗いしたストール。黄色の色が濃く出ています。 よく水洗いしたら、絞って、自然乾燥させてでき上がりです。 ナチュラルな風合いの黄色に、ストールが染め上がりました。中央の永嶋さんが持っている淡い黄色のストールは1度染め、両脇の深い黄色のストールは2度染めしたものです。同じカモミール染めでも、かなり異なる印象の仕上がりになりますね。身にまとってみると、カモミールの香りがふんわりと漂って、いい気持ち。自然の恵みをいただいた、素敵な染め物です。 *「ハーブランドシーズン」では、カモミールの他にも、ラベンダーや蘇芳(すおう)、くるみなど、植物を使った染め物講座を行っています。「ハーブランドシーズン」についての記事はこちらでもご紹介しています。 Information ハーブランドシーズン 〒950-2261 新潟県新潟市西区赤塚5073番地 TEL/FAX: 025-239-3288 開園時間: 9:00~18:00 (冬期は17:00) 定休日:毎週水曜日 Credit 取材&文/ 萩尾昌美 (Masami Hagio) 早稲田大学第一文学部英文学専修卒業。ガーデン及びガーデニングを専門分野に、英日翻訳と執筆に携わる。世界の庭情報をお届けすべく、日々勉強中。20代の頃、ロンドンで働き、暮らすうちに、英国の田舎と庭めぐり、お茶の時間をこよなく愛するように。神奈川生まれ、2児の母。 写真/3and garden
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兵庫県

花の庭巡りならここ! 大小2つの温室で植物の息吹を感じる「手柄山温室植物園」
熱帯植物や砂漠植物が息づく大小2つの温室が充実する植物園 1980年にオープンした、歴史のある「手柄山(てがらやま)温室植物園」。敷地面積は11,334㎡で、ゆっくり散策して30〜40分ほどかかる規模です。植物を通して市民が交流できる憩いの場として、また植物の知識を普及する場として手柄山中央公園内に整備された植物園で、年間約3万もの人々が訪れます。 特筆すべきは、大小2つの温室。サボテン、洋ラン、ベゴニア、食虫植物を中心とした熱帯、亜熱帯、砂漠に生きる植物を120科1,500種、2万5,000株を展示しています。温室内にも四季があり、カエンボク→ブーゲンビレア→マンゴー→ラッセレア→グアバ→バナナ→アリストロキア・ギガンティア→オドントネマ→カリアンドラへと開花リレーが繋がり、見どころは季節とともに移ろいます。 温室以外にも、一年草など季節を彩る草花が植栽される大きな花壇、主にオーストラリア産の植物で構成されるロックガーデン、ラベンダーやセージ、タイムなど多様なハーブが植栽されたハーブ園などがあります。春は芝桜、パンジー、バラ、初夏はラベンダー、アジサイ、夏はペチュニア、ベゴニア、ヒマワリと、四季を通してさまざまな花木や草花で彩られ、いつ訪れても華やかです。 また、定期的に多様なイベントが開催され、リピーターが多いのも特徴。夏は子どもたちを対象にした「ジャコウアゲハとウマノスズクサ観察会」、「食虫植物観察会」、「市花さぎ草観察会」、秋は「手柄山散策ツアー」、3月には市花であるサギソウの球根を植え付け、育て方を学ぶ「さぎ草ふれあい教室」があります。 その他、エントランス展示室・レンガ広場展示室では、四季折々に旬の植物に注目し、年に十数回の展示入れ替えを実施。いつ訪れても楽しい企画展が開催され、「毎回の展示会が楽しみ」という声が寄せられています。園内では花苗の販売も行っており、企画展の内容に合わせて品種を豊富に揃えた花苗を目当てに訪れる人も多いとか。売店では土産物や雑貨も販売しているので、お買い物を楽しむのもいいですね、ぜひお出かけを! 日差しが燦々と降り注ぐ温室内で熱帯や砂漠の植物が旺盛に育つ 写真は大温室の様子。約660㎡のドーム空間では、オオギバショウ(タビビトノキ)、マンゴー、ガジュマルがシンボリックな存在。数々のトロピカルプランツが元気いっぱいに枝葉を広げ、冬でも植物の強い生命力が感じられます。写真に写っているのは、タコノキ、ラン類、食虫植物など。途中、階段の上には滝の噴出口があり、大温室内を巡る水のせせらぎにも癒やされます。 こちらの写真は小温室の様子。サボテンを中心に砂漠で生息する多肉植物を、原産地別に展示しています。写真に見えるのはブリンチュウ(武倫柱)、リュウジンボク(竜神木)、キンシャチ(金鯱)など。大きく立派に育った姿には、歳月を重ねたからこそ得られる迫力が備わっています。 ロックガーデン、ハーブ園も見どころ四季の企画展も多様に展開 写真は、園内のロックガーデンの4月の様子で、約1,000株の芝桜が見頃を迎えています。岩の合間を縫うように這い広がり、密に花をつけてピンクの濃淡に染め上げる様子は一見の価値あり。季節が進むと、このロックガーデンではグレビレア、バンクシア、ゼフィランサス、カリステモン、プロテア、メラレウカ、ルリマツリなどの植物が開花します。 また、ハーブ園には、約100種類のハーブが植栽されています。ミント、タイムなどの香りを楽しむものや、ラベンダー、ローズマリー、セージなど花の美しい種類も多くあります。 色や形が「白鷺」にそっくりなことから名づけられたサギソウ。姫路市は、市のシンボルである姫路城(別名白鷺城)にちなみ、昭和41年8月に姫路市の市花に定めました。手柄山温室植物園では、約1,000株が栽培されており、8月が見頃です。また季節に関係なく観賞できるよう専用の栽培温室を設け、周年咲くように開花調整しています。夏には「市花さぎ草展」を開催。 毎年12月にはシクラメン展を開催。約50種、200株のシクラメンがクリスマスツリーやリース、スワッグなどとともに展示され、クリスマスカラーで華やかに彩られます。展示会期間中は、シクラメンの奥深い世界を解説する展示ガイドが行われるほか、クリスマスにちなんだアロマ小物づくり、カラーベル演奏会なども開かれますよ! レストハウス「花の家」で一休み花苗や土産物のショッピングも楽しもう! 「手柄山温室植物園」には、レストランや喫茶店はありません。飲み物やアイスクリームなどは自動販売機で、また休憩コーナーのあるレストハウス「花の家」では、コーヒー、紅茶、パンなどの販売をしています。お弁当や飲み物、おやつなどの持ち込みもOK。園内には写真のように姫路市の南部地域を一望できるデッキテラスが設けられているので、風を感じながらランチやおやつタイムを楽しむのもいいですね。 園内のレストハウス「花の家」では、季節の草花や園芸資材のほか、各種展示会に応じた植物を販売しています。写真はシクラメン展期間中の様子で、多品種が揃っています。オリジナルブレンドの培養土も人気商品の一つです。 また、手柄山温室植物園オリジナルのポストカードほか、さぎ草グッズ、ハーブグッズ、雑貨、「姫路モノレールグッズ」のレアアイテムを扱う売店もあり、お買い物も楽しめますよ! Information 姫路市立手柄山温室植物園 所在地:兵庫県姫路市手柄93(手柄山中央公園内)TEL:079-296-4300 手柄山温室植物園 姫路 手柄山 温室 植物園 (公式)(@tegara_shokubutsuen) アクセス:電車/山陽電車、「手柄駅」下車、のち西へ徒歩約10分バス/神姫バス、(JR姫路駅北口発)94系統「手柄山中央公園口」下車、のち西へ徒歩約5分(※土日祝日・夏休みには、園真下の停留所に留まる便利な『手柄山ループバス』が運行。神姫バス、(JR姫路駅南口発)97系統「武道館植物公園前」下車すぐ。詳しくは神姫バスHP「手柄山ループバス」参照)車/姫路バイパス「中地ランプ」から約10分 休園日:金曜日(祝祭日の時はその前日が休園日)、12月29日~1月1日 営業時間:9:00~17:00(※入園は16:30まで) 料金:大人210円、小人(6歳から中学生)100円※団体(30人以上)の場合、大人170円、小人50円 駐車場:普通車/手柄山中央公園内駐車場(温室植物園前駐車場 または手柄山中央公園内駐車場 徒歩約5分) 1日1回200円大型バス/山上まで上がれないので、ふもと近くで乗客下車後、車両だけ野球場西駐車場 または文化センター南駐車場へ停車を。1日1回800円。



















