花の庭巡りならここ! 皇室の庭園としての伝統を受け継ぐ「新宿御苑」
「伝統文化と最先端技術が融合する稀有な国」と外国人から評される日本。「新宿御苑」はそんな魅力がたっぷり詰まった場所かもしれません。高層ビル群を遠景に、百年の時を経た庭園には、風格と荘厳な佇まいがあります。大都会の中の静かなオアシスへ、ぜひ出かけてみませんか?
目次
都会のビル街に囲まれた
緑量たっぷりのヒーリングスポット
昭和24年(1949)に国民公園として一般に公開された「新宿御苑」。その面積は58.3ヘクタール、周囲は3.5㎞という広大な敷地。園内の樹木は約250種1万本、その他植栽されている植物は約510種にも及びます。
「新宿御苑」は、江戸時代の大名、内藤家の屋敷だった場所で、明治に欧米の近代園芸を取り入れるための拠点(内藤新宿試験場)となりました。その後、宮内省の所管(植物御苑)となり、皇室のための農場という性格が加わりました。
後年、この地を皇室の庭園として改修する計画が進み、フランスの造園家アンリー・マルチネーに設計を依頼。明治39年(1906)5月に庭園が完成し、「新宿御苑」という名称になりました。さらに年月を経て昭和24年に「国民公園新宿御苑」として一般に開放され、現在に至っています。
現在の「新宿御苑」の庭園は、基本的に明治39年に完成した庭園デザインを踏襲しています。広々として奥行きのある芝生とその両側に広がるサクラなどの樹林、池からなる西洋庭園と日本庭園が組み合わさっているところが特徴です。また春のサクラ、秋の菊花壇、ユリノキなどの巨樹、温室の洋ランなど、明治以来の植物遺産が引き継がれていることも、見どころの一つといえるでしょう。
現在の庭園をおおまかに区分すると、正門から整形式庭園、砂利広場(旧宮殿予定地)、芝生広場と池を含む風景式庭園と続く西洋庭園のエリア、菊花壇展の行われる日本庭園、大木戸門近くにある内藤家の大名庭園である玉藻池周辺、国民公園になってから整備された「母と子の森」などがあります。
「新宿御苑」の四季の見どころは、春がサクラ、ツツジ類、ハクモクレン、ハンカチノキ。夏はアジサイ、アガパンサス、ムクゲ、サルスベリ、青々とした芝庭。秋はサルビア・レウカンサ、キンモクセイ、ヒガンバナ、サザンカ、秋バラ、紅葉。冬はスイセン、ウメ、ツバキ。「新宿御苑」の風景、植物は日々変化し、訪れる度に新しい発見があります。
2018年の入園者数は約230万人で、外国からの観光客にも人気のスポットとなっている「新宿御苑」。「管理の行き届いた公園」「都会にあって自然を感じられ、リラックスできる」「温室は植栽も多く、植物や花など状態がよく育っていて素晴らしい」といった声が寄せられ、リピーターも多いのが特徴です。ぜひ何度でも訪れて、自分だけの見どころを見つけてはいかがでしょうか。
エキゾチックな植物たちに出合える大温室
月に2回のガイドウォーク参加もおすすめ
「新宿御苑」には大温室があり、約1,800種の植物が展示されています。広さは約2,750㎡で、一通り巡るのにかかる時間は、大人の足で20~30分ほどです。
温室内はテーマごとにゾーニングされ、「人と熱帯の植物」「熱帯池沼の植物」「沖縄コーナー」「熱帯低地の植物」「小笠原コーナー」「乾燥地の植物」「熱帯山地の植物」などを観賞できます。
大温室では、月2回の「ガイドウォーク」を実施。第2週目に温室内で見頃の植物を解説する「温室の観賞教室」を、第3週目に通常は非公開の栽培室で、新宿御苑の役割(戦前から受け継ぐ洋ランの栽培や絶滅危惧種の保全など)を解説する「バックヤードツアー」を開催しています。
約40分かけて温室を巡り、料金は無料(先着順約20名まで)。ガイド内容は植物の状態に合わせて変わるため、リピートしても楽しめます。
百年以上の歴史を持つ庭園には
風格のある伝統美が漂う
「新宿御苑」の春は、ぜひ花木の美しさに注目してください。
サクラは約65種、約1,000本が植栽されており、見頃は早咲きから遅咲きまで、全体で2月中旬~4月下旬(一番の見頃は3月中旬~4月上旬)です。4月中旬には、八重桜のライトアップイベントが予定されています(詳細は未定)。
写真のツツジの見頃は4月下旬~5月上旬。4月29日には自然に対する理解を深め、自然環境の適正な利用普及を推進する「新宿御苑みどりフェスタ」が開催されます。
5月上旬は園内に2本植栽されているフジが満開に。藤棚に仕立てられ、花穂をいっせいに垂らす姿は、一見の価値があります。5月中旬には、地球温暖化防止や資源循環の必要性などを伝えるワークショップを行うイベント、「ロハスデザイン大賞」が開催されます。
「新宿御苑」では、色とりどりのバラが植栽されています。見頃は春バラが5月上旬~7月上旬 (一番の見頃は5月上旬~下旬)、秋バラが10月中旬~11月下旬です。
写真のバラ園は、ハイブリッド・ティー、フロリバンダ中心の西園と、シュラブ、イングリッシュローズ中心の東園に分かれていて、合計約110種、約500株のバラが植えられています。
3年に1度開催される「世界バラ会議」で「栄誉の殿堂入り」に選ばれた16品種のバラがすべて植えられているので、それを見つけながらバラ園巡りをするのも楽しいものです。
「新宿御苑」の秋のメインイベントは、11月1〜15日に開催される「菊花壇展」。明治11年(1878)に宮内省が赤坂の仮皇居で初めて開催した「菊花拝観」をルーツとした展示会です。戦争を挟んで中止となるなどの変遷を経て、昭和24年(1949)に初めて、「新宿御苑」で一般に公開されました。
「菊花壇展」では、日本の菊栽培における伝統・技術の結晶「懸崖作り花壇」「伊勢菊・丁子菊・嵯峨菊花壇」「大作り花壇」「江戸菊花壇」「一文字菊、管物菊花壇」「肥後菊花壇」「大菊花壇」を展示。端正な花姿が披露されます。
「新宿御苑」の紅葉の見頃は11月中旬~12月中旬。
11月中旬頃からプラタナス並木の黄葉が見頃となり、続いて新宿門近く、日本庭園の池周辺でカエデ類、園内各所でサクラ、ユリノキの色づきが進みます。
その後、本格的な紅葉シーズンが始まると、ラクウショウ、サクラ、ケヤキなどが見頃に。園内各所のサクラがオレンジ色から茜色に染まり、ユリノキの黄葉、タムケヤマ、カエデ類も紅葉が楽しめます。新宿門のカエデ類は紅葉のアーチになって出迎え、シーズン最後には、モミジ山のカエデ類が色づきます。
2019年に初めてのライトアップが千駄ヶ谷門近くのエリアで開催され、2020年も同時期にライトアップを予定しています。
月に1度開かれる「花市場」をのぞいてみよう
レストランや土産物店はオリジナルものが出色!
「新宿御苑」では、毎月「花市場」が開催されています。季節の花苗や鉢花、球根、イタリアの野菜やハーブ、花のタネ、ハーブ関連グッズを販売。質問があれば、詳しいスタッフが植物の栽培や手入れについて、分かりやすく解説してくれます。
「新宿御苑」内には、「レストランゆりのき」があるので、休憩にどうぞ。
営業時間は9:00~16:15(ラストオーダー16:00)、定休日は新宿御苑の休園日、客席数は130席。風景式庭園の四季折々の景色を眺めながら食事ができる開放的なレストランで、江戸東京野菜や新宿御苑ゆかりの野菜や果物、ハーブなどを用いたオリジナルメニューを提供しています。
メニューは「野菜のトマトソーススパゲッティ 御苑ゆかりの野菜添え」750円、「エコ・オムライス」830円、「江戸東京野菜のスイーツ」700円、ドリンク類300~420円など。
「レストランゆりのき」のおすすめメニューは、「エゾシカ肉のカレーライス」850円。北海道のジビエであるエゾシカのカレーを御苑ゆかりの江戸東京野菜・内藤とうがらしで風味づけしています。鉄分豊富でカロリー控えめなシカ肉は、高たんぱく低脂肪で、健康にもおすすめ。レタスやトマト、オリーブなどの御苑ゆかりの西洋野菜を添えたヘルシーな一品です。
「新宿御苑」の売店は、豊富な土産物のラインナップが魅力です。写真の「新宿御苑どら焼き」は270円、5個入り1,350円で、粒あん、桜あん(春)、栗(秋)、抹茶など季節の味が楽しめます。
特に人気が高いのは、明治時代の皇室庭園にあった旧洋館休所と、御苑の代表花・桜と菊を華やかにデザインした「文明堂カステラ」864円、新宿御苑オリジナルパッケージの「東京ひよ子」438円、新宿御苑の庭園を描いた可愛らしいBOX入りの「赤坂柿山あらかしこ」1,080円です。
他にも「レインフォレスト・アライアンス認証コーヒー」ホット300円・アイス350円、新宿御苑ゆかりの国産紅茶「まりこ紅茶」ホット300円、徳川将軍家御用日本茶「本山茶」ホット300円・アイス350円、ミルクたっぷり「濃厚ソフトクリーム」400円(季節ごとにミルク、さくら味、安納芋などを展開)などがおすすめ。
写真のように、御苑オリジナル和柄雑貨(ポストカード、クリアファイル)、和柄服飾小物雑貨、新宿御苑関連書籍なども揃います。コレクションしたくなりますね!
Information
新宿御苑
所在地:東京都新宿区内藤町11
TEL:新宿御苑サービスセンター 03-3350-0151
環境省新宿御苑HP http://www.env.go.jp/garden/shinjukugyoen/index.html
一般財団法人国民公園協会新宿御苑HP http://fng.or.jp/shinjuku/
アクセス:新宿門へ
電車/JR・京王・小田急線 新宿駅南口より 徒歩10分
西武新宿線 西武新宿駅より 徒歩15分
東京メトロ丸ノ内線 新宿御苑前駅出口1より 徒歩5分
東京メトロ副都心線 新宿三丁目駅E5出口より 徒歩5分
都営新宿線 新宿三丁目駅C1・C5出口より 徒歩5分
バス/品97(品川車庫-新宿駅西口) 新宿二丁目下車
池86(東池袋四丁目-渋谷駅東口) 新宿四丁目下車
早77(早稲田-新宿駅西口) 新宿三丁目下車
新宿WEバス(新宿駅西口-新宿駅東口) 新宿御苑下車
大木戸門へ
電車/東京メトロ丸ノ内線 新宿御苑前駅出口2より 徒歩5分
バス/品97(品川車庫-新宿駅西口) 新宿一丁目下車
池86(東池袋四丁目-渋谷駅東口) 新宿四丁目下車
千駄ヶ谷門へ
電車/JR総武線 千駄ヶ谷駅より 徒歩5分
東京メトロ副都心線 北参道駅出口1より 徒歩10分
都営大江戸線 国立競技場駅A5出口より 徒歩5分
バス/黒77(目黒駅-千駄ヶ谷駅) 千駄ヶ谷駅前下車
池86(東池袋四丁目-渋谷駅東口) 北参道下車
早81(早大正門-渋谷駅東口) 千駄ヶ谷駅前下車
ハチ公バス(渋谷-代々木) 国立能楽堂、千駄ヶ谷駅下車
休園日:月曜(祝祭日の時はその直後の平日)、12月29日〜1月3日
※3月25日から4月34日までと11月1日から15日までについては、月曜日も休まず開園
営業時間:10月1日~3月14日 9:00〜16:00 (16:30閉園)
3月15日~9月30日 9:00〜17:30 (18:00閉園)
7月1日~8月20日 9:00〜18:30 (19:00閉園)
料金:一般 500円(30人以上団体割引:400円 ※事前申込不要)
65歳以上 250円 ※窓口で年齢の確認できる証明書の提示が必要。
学生(高校生以上) 250円 ※窓口で学生証の提示が必要。
小人(中学生以下) 無料
※入場券の事前購入について/公式HPよりスマートフォン等でWEBチケット(一般入園券500円のみ、購入日より6カ月間有効)を事前に購入可。購入したWEBチケットのQRコードをスマートフォン等で呈示すれば、チケット購入の窓口に並ぶことなく、入園できる。
駐車場:普通車200台(入園者2時間まで600円、以降30分毎200円)
入園者以外 30分毎330円
大型車5台(60分2,200円、以降30分毎550円)
注)酒類持込禁止、遊具類使用禁止(こども広場除く)
Drinking alcohol, using sports equipment and musical instrument in the garden are prohibited.
写真/環境省新宿御苑管理事務所
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